小心者、コードギアスの世界を生き残る。   作:haru970

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お待たせいたしました、リアルでバタバタしていて気が付いたら設定ミスで投稿が全く違う時間帯になっていて大慌てでキリの良い12時に設定しなおしました……






第274話 Battle over 日本海

「だし巻き卵を作る~♪」

「作るです~♪」

「玉子を~かき混ぜて~♪」

 

 カチャカチャカチャカチャカチャ。

 

「混ぜ混ぜ混ぜ混ぜかき混ぜるです~♪」

「油をしっかり引いて~♪」

四隅(よすみ)に要注意です~♪」

「熱~いお鍋に玉子を~♪」

「玉子を~?♪」

 

 クルクルクルクルクル。

 

「奥から手前に巻き巻き巻き巻き~♪」

 

 シャリシャリシャリシャリシャリシャリ。

 

「その間に大根おろすです~♪」

 

「巻けたらもう一度油を引いて~♪ 溶いた玉子をもう一度奥から手前に巻き巻き巻き~♪」

 

「「出来た~!」」

 

 

 い、今目の前で起こっていることへと繋がる顛末を心の中で思い浮かべるぜ?!

 

『朝起きて朝食の用意をしようとしたらカレンに見つかって味噌汁と玉子焼きを作り始めようとしたら無理やり座らされてライラがニューチャレンジャー(新たに参戦)として即座にカレンの手伝いをするためにスルっと違和感なく滑り込んできた。』

 

 恐ろしい子。

 

 まるで月〇だ。

 

「で? ビックリ妄想タイムは終了なわけ?」

 

 ああ、あといつの間にかただいまじ~ッと見ている最中のアリスも隣の椅子に座っていると追記。

 

「というかなんだその“ビックリ妄想タイム”?」

 

「あんた、ビックリしたら落ち着くために妄想するじゃん。」

 

 カレン並みに恐ろしい子!

 

 あれ? という事は?

 アレか? アレなのか?

 

「アリス、お前もしかして────」

「────ウッ────」

「────カレンにでも聞いたのか?」

 

「……………………………………そ、そうよ! 悪い?」

 

 ハイ、朝一から不貞腐れジト目のアリス来ましたー!

 

「ライラって、大根おろすの早いね?!」

「ハイです! スー先輩のおかげなのです!」

 

「……“スー先輩”?」

 

 あらやだ、アリスの周りがヒヤッとしていきます。

 痛む俺の体にコールドバーニング。

 

「カレン先輩もあの歌を知っているのですね?」

「ま、まぁね~? スバルの手伝いぐらい、したことあるし?」

「お~、やっぱりそうなんです!」

 

 うん、ニコニコしながら意気投合する美少女たちの光景は眩しくて良いね!

 癒しの力がモリモリ湧いてくるわい、フハハハハハ!

 

「カレン、聞いていいか?」

 

「何、スバル?」

 

「お前は行かなくていいのか?」

 

 確か合集国憲章の批准に、主な幹部たちは控室に居た筈なんだけど?

 だが確か超合集国決議第壱號(いちごう)は日本の筈だぞ? その場に行かなくていいのか?

 

「え? う、うーん……まぁ、あっちには扇さんや藤堂さんたちもいるから大丈夫なんじゃない?」

 

 さようですか。

 

「だが日本の事なんだぞ?」

 

「え、そうなの?」

「そうなのです?」

 

 んんんんんん?

 

「なんで貴方が知っているのよ?」

 

 あれ? もしかしてゼロは話していない?

 

「神様ですから。」

 

 おわ?!

 いつの間に横に立っていたのマーヤちゃん?!

 全ッッッッッ然気配がなかったのですが?!

 

「ピッ?!」

 

 ヒシッ!

 

 アリス、抱き付いてきたのは良いが『ピッ』ってお前なぁ……『ゆびをふる』のか?

 

 メト〇ノーム的な感じで。

 

「ああ、まずはこれですね。」

 

「ああ、すまないなマーヤ。」

 

 アレ? 俺が最初に口にするのがブルーベリーの入ったヨーグルトって言ったっけ?

 

「どうかなされましたか? (ニコ)」

 

 ちょっと聞くのは怖いのでさっきの考えに戻そう。

 

 モグモグ。

 う~ん、冷えたヨーグルトに冷えた果物は合うねぇ~♪

 

 っと、脱線しまくった。

 黒の騎士団の人たちにゼロが日本解放の事を話していなければ、それはそれでおかしい。

 

 アニメや他の作品だと、演出と士気向上と進軍の雰囲気と勢いと高揚感をつけるために神楽耶や天子たちに話を合わさせるための台本を渡していて代表たちと打ち合わせをして、『超合集国決議第壱號(だいいちごう)は黒の騎士団に日本解放を要請する~』とかしていたような気がする。

 

 で、その後に『日本万歳~』からのクルクルロン毛皇帝のドアップの威厳たっぷりが入った『ゼロよぉ~』からブリタニアの『オールハイルブリタニア~』があったよな確か?

 

 完全にうろ覚えだけれど。

 

 ピッ。

 

 というわけで、今がどの辺りかとシャルルが復活するのかを見るためにテレビのリモコンをポチッとな。

 

 するとちょうど神楽耶と天子ちゃんが連合国家の『超合集国』についての話をしていた。

 

「う~ん……つまりどういうこと、スバル?」

 

 カレン、お前……これだけわかりやすいように天子ちゃんが頑張って説明しているのに、わからないのか?

 

「そうですね……EUと似た連合国家と思えばいいと思うわ。」

 

「あ、そっか。 ありがとうマーヤ。」

 

「いえいえ。」

 

 超高性能モブ子マーヤのホッコリニコニコ顔!

 やっぱりこうでなきゃね!

 

 「お役に立てたましたか?」

 

 ああ、ひっそりとマイ耳に語りかける声は羽毛のようにくすぐったい。

 

 何より前かがみになった反動でその豊かな胸のたゆんとした動きがベニッシモ(とってもイイネ)!!!

 

 お返しにここは感謝の気持ちを言おう。

 いくら口下手な俺でも、ここで言えば伝わるだろう。

 

 「ああ、マーヤにはいつも世話になって助かっている。」

 

「ッ。」

 

 ポッ。

 

 え。

 何その『豆鉄砲からの砲撃を受けた鳩』と『突然紅潮した頬』のダブルコンボ?

 

そ、そんな……私など、御身に比べれば♡…… あ。 ですが疑問が一つ残るわね。 確かに連合国家は総合的にブリタニア帝国といい勝負ができるかもしれないけれど……長い歴史を持ったEUと違ってつい最近までは完全に指揮系統や機体性能、運用方法が違う軍が、果たしてうまく連携が取れるのかしら?」

 

「そうだよね~……で、どう?」

「どうです?」

「どうなの?」

 

 マーヤのそれで俺を見るの皆?

 

 俺は別に解説役兼猫型ロボットの頭の良い方の妹でもないけれど……まぁいいか。

 

「足並みを手っ取り早く、そろえる方法がある。 ()()()()()()()()()()()()()()だけだ。」

 

「“アマルガムのように”?」

「でもでも、これって国家規模ですよ? 個人レベルなら、なんとかなるかもですけれど……」

「それに────」

「「「────トップ/一番上/リーダーがゼロだし/ゼロです/ゼロだから。」」」

 

「いや、その為に黒の騎士団の再編成をしている。 見ろ。」

 

 そういいながら俺は数々の名前とポジションが流れていくテレビに指を差す。

 

『皇神楽耶、合衆国日本代表、超合集国最高議会議長。』

『ゼロ、黒の騎士団CEO。』

黎星刻(リー・シンクー)、黒の騎士団総司令。』

『扇要、黒の騎士団総務総長。』

『藤堂鏡志朗、黒の騎士団統合幕僚長(とうごうばくりょうちょう)

 

 エトセトラ、エトセトラ。

 

「ふーん……でも総司令とCEOって何が違うの?」

 

「CEOは『最高経営責任者』、つまりは組織の最高経営責任者だ。 対して総司令は『最高指揮官』。」

 

「う~ん……ようするに、『組織のツートップ』ってことかな?」

 

「「……」」

 

「な、なんでそうやって私を見るの、マーヤにアリス?」

 

「カレン先輩が的を射ているです!」

 

 ライラちゃん……今ので台無しや……

 

「あ……うん……ありがと……」

 

 見よ、このしょぼんとしてはネタ髪の毛も滴るカレンを。

 

『────に抵触する場合には、この憲章に基づく義務が優先されるものとします。 最後に合集国憲章第17条、“合集国憲章を批准した国家は、固有の軍事力を永久に放棄する”。』

 

「「ほぇー。」」

 

 神楽耶と天子の言葉に、ライラと(復活した)カレンの声がハモる。

 

「ぐ、ぐ、ぐ、軍事力の放棄ぃぃぃぃ?」

 

 そしてアリスが『マジか~』と言いたそうな顔をする。

 

 分かる。 分かるぞ~、その気持ち。

 

 俺もここだけは前世で受けた衝撃の所為ではっきりと覚えているからな。

 

 多分。

 

『これはそれぞれの国が武力を持つのは騒乱の元。 その上で、各合集国の安全については国家に属さない黒の騎士団と契約します────!』

 

「えーと……つまり? 黒の騎士団が超合集国の軍になるってこと?」

 

「ああ、その通りだ。」

 

「す、すごい! ……でもこれと日本の何が関係あるの?」

 

「まぁ見ていろ。」

 

『────それでは私から最初の動議を。 我が合衆国日本の国土は他国により蹂躙され、不当な占領を受け続けています。 よって、黒の騎士団の派遣を要請したいと考えますが、賛成の方はご起立を。』

 

 神楽耶の言葉に、画面に映りだされたほぼ全員の代表たちが席から立ち上がる。

 

『では賛成多数により、超合集国決議第壱號として黒の騎士団に日本解放を要請します!』

 

『いいでしょう! 超合集国決議第壱號の進軍目標は、日本!』

 

 パチパチパチパチパチパチパチ!

 

「「「……………………………………………………」」」

 

 画面越しに感激からの拍手を送る各国代表たちとゼロの高らかな宣言に対して、周りの人たちは何とも言えない表情で俺を見る。

 

「ね? だから言ったでしょう?」

 

 そして隣で立っているマーヤはまるで自分が褒められたかのようにウキウキ度がドアップ。

 

 キラキラキラ~。

 

「流石スー先輩です!」

 

 キラキラし始めるライラ、今日も癒しの泉!

 

「ま、スバルだからね~。」

 

 そして何故か『しゃーなし』な感じで納得するカレン。

 

「はぁ……まぁ確かに、こいつのは今に始まったことじゃないわよね。」

 

 で最後に俺をこいつ呼ばわりしつつも肩をすくめながら呆れ顔をするアリス。

 

 ……癒し。

 良い癒しは良い癒し。

 うん癒し。

 by俺。

 

『その程度か、ゼロよぉ?』

 

 ハイここでロン毛ロールケーキ皇帝の登場ですね。

『予定通り』っていえばそうなんだが……

 

 しかし今考えたらどうして原作っぽい流れのままなんだ?

 

 色々と去年のブラックリベリオンから散々改変と介入したのに、大まかに逸脱していないのが不思議だ────

 

 ────ピリリ♪ ピリリ────♪

 

 っとと、携帯が。

 

 ……………………………………『不明(アンノウン)?』

 

「もしもし?」

 

『……』

 

「もしもし?」

 

『……私だ。』

 

「お前だったのか。」

 

『そうだ……』

 

 そこからゼロ────ルルーシュの声は途切れる。

 

『……』

 

 何か言えや。

 電話をかけてきたのはそっちなんだから。

 

 いや、このタイミングで俺にかけてきたという事はアレだな。

 ナナリーの事だ。

 

 けどこの電話はスザクにかけていたはずなんじゃ……

 

「総督の事か?」

 

『ッ……フ、流石だな。』

 

 原作知識です。

 

『君とアマルガムに頼みたいことがある────』

「────ならこちらも準備を進めよう。」

 

『私はまだ何も内容について言っていないが、いいのか?』

 

「大方正面から大規模な上陸作戦をシンクー達にやらせている間にイカルガで東京湾へと進み、租界の奇襲だろう?」

 

『……理解が早いな。』

 

 だから原作知識です。

 

 というか、こういうことは電話じゃなくて面と向かって話すか手短にしないと傍受される可能性が高くなるから、わざと話を進めているんだが?!

 

 早く察しろよもう~……

 

『では詳しい話は後程にしよう。 君の側近たちには私から話してもいいだろうか?』

 

『側近』?

 

 ああ、式に参加している毒島やレイラたちのことか。

 これはルルーシュ、相当テンパっているな。

 一度冷静にさせるか。

 

「彼女たちは側近ではない────」

『────何────?』

「────対等な仲間だ。 違うか?」

 

『それは、もちろんのことだが今はそんなこと────』

「────冷静になれ。 焦るとお前は行動が極端かつ過激になりがちだ。 付け入られるぞ。」

 

 原作のようにシュナイゼルとかロールケーキ皇帝とか腹黒虚無男とか。

 

『……そう、だな。 君の言うとおりだ。』

 

「それで、俺たちにはどうしろと?」

 

『政庁……いや、租界付近は要塞化と共に防衛が以前より固くなっている。』

 

「それは()()も同様か?」

 

『ああ、おそらくな。』

 

 な~るほど。

 それでトウキョウ租界を強襲する藤堂さんたちの助太刀をアマルガムに、というわけか。

 

 そして無論、この強襲も実は本命のナナリーを救出するために前もって租界内に侵入させた咲世子たちが脱出できるまでの第二の陽動だ。

 

 あれ? でも俺に電話をかけてきたということは……スザクとの電話はないのかな?

 

「そうか。 ラウンズはどうする?」

 

『今作戦最大の障害になるだろうな。』

 

「だろうな。」

 

『では、あとで会おう。 カレンにも話をする、電話を彼女に渡してくれないか?』

 

「ああ。 カレン、お前にだ。」

 

「え?」

 

 カレンに電話を渡すと、俺は黙々と朝食を食べ始める。

 

「もしもし……あ、うん……うん……分かった、あとでそっちに行くね?」

 

 さてと。

 

 フレイヤ開発フラグをぶっ壊したし、新大陸のネバダ州やアリゾナ州に『大きな謎の光』の報告もアングラニュースサイトや使用人用裏ネットワークにも載っていなかったから、その手の心配はないだろう。

 

 ラクシャータに頼んでいた『アレ』の出番はないから逆に蒼天の兵装を整えて────

 

「────先輩?」

 

 おっと、ちょっと眉毛をハの字にしながら体をモジモジするライラが。

 

「もしかして、トウキョウに行くんです?」

 

「ああ。」

 

「ナナリーのためです?」

 

「……ああ。」

 

「だったら、その……できればお兄様も、頼んでいいですか?」

 

『お兄様』っていうと、クロヴィスか。

 参ったな────

 

「────身勝手な我儘なのは承知の上です……それに、お兄様も、あそこにいる皆が変なのも知っているです……でも、家族なんです! お兄様が私の事を忘れていても……血の、繋がった……」

 

「わかった。」

 

「本当ですか?!」

 

「ああ。」

 

 だから、そんな泣きそうな顔はやめてくれ。

 

「「…………………………………………………………」」

 

 ん? アンジュとアリスから視線を感じる。

 

「なんだ、お前たち?」

 

「「別に。」」

 

 さようですか。

 

 う~ん、でも困ったな。

 

 ナナリーの救助は、彼女側から見れば『誘拐』────いや、太平洋で接触したからなんとか行けるはずだ。

 

 あの時に連れ出せなかったことが、こうやって転じるとは思わなかったけど。

 だからナナリーはいいとして、クロヴィスまでさすがに予想外だ。

 

 原作だと初っ端からルルーシュの『バン!』で殺されていたからな。

 それに足が不自由らしいし。

 

 ……出し惜しみは無しで行くしかないか。

 

「マーヤ────」

「────ミルビル博士たちには連絡を取りました。」

 

 早い!

 

 怖い!

 

 でも正直助かる。

 

 

 

 


 

 

 

 皇歴2010の9月、枢木ゲンブの自害によって降伏した日本はブリタニア帝国により『エリア11(11番目の植民地)』という不名誉を得た。

 

 それから旧日本人の大多数は他の植民地の先住民と同様に苦汁を7年もの間に飲まされつつ、予定より早い敗北をしたことで軍の多くは潜伏し、反ブリタニア運動で決して少なくない被害を出せたことで他の植民地にブリタニア帝国への反抗が決して不可能ではないことを示した。

 

 皇歴2017年、エリア11で『ゼロ』が圧政を強いていたクロヴィスに重傷を負わせ、『奇跡』と呼ぶしかない数々の所業を成したことでブリタニアの被害はエリア11だけでなく、世界中の反乱分子へと情報が広がり次第、拡大していった。

 

 しかしブラックリベリオンでゼロが何らかの理由で音信不通になったことと、武装やKMFを渡されて統制から外れて暴徒化したナンバーズと元名誉ブリタニア人の暴走によって方向性を失った暴力は瞬く間に『鎮圧』という名の下に粛清された後、ブリタニア帝国にどれだけ現状の政治と軍事体制が脆い基盤の上に立っていたかを痛感させた。

 

 エリア11は『厳島の奇跡』以来の衝撃を再び帝国に感じさせたこと、世界に混乱を招いた火種となったこと、そしてマリーベルの誘拐未遂とテロ未遂事件によって以前以上の圧政を強いるようになったカラレス総督により強いられた。

 

 そして皇歴2018年、ゼロは復活し、今度は『超合集国』という連合国家によって各国の集結した軍事力によって世界では再び血と鉄による戦が再び開かれようとしていた。

 

 ここで注目したいのは、この依頼は別に新たな総督として着任したナナリーや、カラレスが重傷により表舞台から身を引いたことで再び意見できるようになったクロヴィスとギルフォードの尽力に対してエリア11に残った名誉ブリタニア人や数多くのナンバーズが不満を持ったからではなく、あくまで中華連邦へと国外逃亡した合衆国日本政府がエリア11の奪還を依頼したからである。

 

 むしろ『百万人の奇跡』後にエリア11内に残った者たちはそれなりの生活基準に戻っていたので、超合集国の放送を見た時は誰もが焦った。

 

 ブリタニア人はもちろんのこと、ようやく行政特区などの働きで軋轢が無くなりつつあった名誉ブリタニア人や、名誉ブリタニア人になれないナンバーズも同じことを思った。

 

『またブラックリベリオンみたいな無法地帯状態が戻ってしまうのか?』という不安を。

 

 それ等とは別に、式典では神楽耶と天子だけでなく、いくつかの各国代表と打ち合わせをしたゼロによって『ブリタニア帝国から日本の解放』は満場一致で可決される議題であった。そもそも打ち合わせが必要なかったほど、すんなりと超合集国に加盟した代表たちが賛成の意思を示した理由は、近年のブリタニア帝国の勢力拡大と軍事強化の動きが主な理由である。

 

 三大強国のうち、EUは『方舟事変』で急激に衰退し、領土をブリタニアに奪われ、中華連邦はクーデターで実質消滅した。

 

 中華連邦は内乱によって劣化版(あるいは少々縮小したとも言える)合衆国中華となった。

 

 が、EUと違って合衆国中華は亡命政府の合衆国日本と共に他国へ呼びかけをした。

 主にいつ自分たちもブリタニアの毒牙にかかるかわからない小国たちで、内容は『新たな連合国家を作る』こと。

 

 これは願ってもないほどの好条件だった。

 

 その証拠に、持っていてもブリタニア相手では気休め程度にしかならない軍をすべて黒の騎士団に委ねた国は多かった。

 

 フロートシステムを取り付けてホバー機能を追加された地上戦艦の大竜胆(ターロンダン)を旗艦に同じく改造された竜胆(ロンダン)、そしてイカルガをスケールダウンした『アスカ型小型可翔艦』を空中の護衛とした艦隊の主力をカゴシマ租界沿岸へと進行した。

 

 これに対してブリタニア軍は司令部を乗せたG-1ベースを中心に、数多くのカールレオン級浮遊航空艦を手広く展開して迎撃体勢に入った。

 

 そしてこれは世界中でも起きていた。

 

 国境線をブリタニアと共有している各小国の軍と、皇族が持つ親衛隊はギリギリ攻撃範囲外で進軍は止まってはにらみ合いを続けていた。

 

 この際、双方の指揮官や兵士たちは高まっていく緊張感に固唾を飲みながら、『誰が先に発砲────引いては戦争の引き金となるのか』で躊躇していた。

 

 個々の戦力と練度で勝るブリタニア軍。

 

 総合戦力と物量で勝る超合集国黒の騎士団。

 

 お互い、いざ合戦となれば今までのような泥沼化した戦いではなく徹底的な攻防になるだろう。

 

 ドォン!

 

 先に発砲をしたのは超合集国側。

 

 ドドドドドドドドドドドドドォォォォン!

 

 それを合図に両軍は発砲をし始めるとあまりにも濃い弾幕が空中で衝突して大砲では通常あり得ない『跳弾現象』によってそこかしこに爆発を起こしていった。

 

 カゴシマ租界を中心にヤマグチとナガサキといった広範囲な地域に先端は開かれ、当初ブリタニア軍はサザーランドやグロースターなどのフロートユニットの配備が終わっていないKMFを使って波打ち際で地帯防御戦闘を行っていたが、超合集国が揚陸するタイミングで主力のフロートユニット付きKMF部隊で制空権を維持しつつ爆撃機を投入した。

 

 あまりの攻勢と各機体や艦の性能さに戦線が長くかつ細くなってしまった黒の騎士団は大打撃を受けつつも更なる部隊を投入し、後方からの砲撃支援による消耗戦に乗じた。

 

「……神楽耶様、大丈夫……なのですよね?」

 

「シンクー様たちを信じてください、天子様。」

 

 大竜胆(ターロンダン)の中では以前とは違い、より距離を置いた後方から激しい戦場を見ていた天子は小声で隣に座っていた神楽耶にそう問いかけると、前で参謀長官である周香凛が振り向かずにそう答える。

 

「そう、ですよね……それに、ここで勝機を見いだせれば────」

「────ええ、エリア11の解放が近づけば近づくほどに次々と静観している国も超合集国側に就くはずです。 つまり一気に世界の勢力図が塗り替わる瞬間、勝敗が決まります。」

 

 ……

 …

 

「ヤマグチ租界に、敵軍が東シナ海から回り込んで────!」

「────ガルシア隊、全滅の模様────!」

「────超合集国……いや、黒の騎士団め! テロ組織風情が、正規軍ほどの戦力を────!」

「────国土絶対防衛線を維持しようにも東中華海戦で、シンクーに押し切られた以上────!」

「────うろたえるな! このエリア11さえ守り切ればよい! ここで彼らの勢いを緩ませるだけでも我々の勝利につながる! 他のナイトオブラウンズも全て、最前線に出ている!」

 

 G1ベースに集まる通信やデータに、防衛線に慣れていないブリタニアの指揮官たちにビスマルクの言葉でオロオロとしていた者たちが気を引き締めては職務に励む。

 

「(さて、そろそろか。) 私の機体を用意しろ。」

 

「え? ですがその……まだ8割だと整備班から────」

「────8割で十分だ、今すぐ用意しろ────」

「────イ、イエスマイロード!」

 

 

 

 

 

「ハッハハハハハハ!」

 

 ここで両軍のカリスマ性に溢れた者たちの言葉に、さらに戦いが激化する中で愉快そうに笑う青年────ルキアーノは陸の上でアザラシの群れを見事奇襲できたホッキョクグマのように次々と暁を撃墜していく。

 

 最も残虐かつパイロットをルミナスコーンで直接攻撃し、時にはこだわりを捨てて大腿部に搭載されているハドロン砲を乱射して黒の騎士団の包囲などを崩していく。

 

『だめです、高度が維持できません!』

『退艦命令を出せ────!』

「────なるほど、ではその沈むしかない艦を再利用させていただきますよ────!」

『────ブラッドリー卿?! おやめください! まだ退艦は────!』

 

 開戦から既に一時間ほどが経った今、黒の騎士団側の陣はルキアーノと彼が味方機や友軍の艦を己の武器として使う破天荒な戦術によって息切れ寸前の状態となった。

 そこにビスマルクのギャラハッドが参戦し、正面を攻め込んでブリタニアの防衛陣に突破口を開こうとしていたシンクーの神虎を攻撃して進行を止めた。

 

『(敵軍の頭領をつぶしに来たか────!)』

『────貴公が指揮官のシンクーとやらか────!』

『────だが戦術の基本であるがゆえに読みやすい! 天愕覇王荷電粒子重砲(てんがくはおうかでんりゅうしじゅうほう)を食らえ!』

 

 シンクーは自分を真っ先に狙ってきた敵機めがけて一時的に神虎の出力リミッターを外した超至近距離の天愕覇王荷電粒子重砲を撃つ。

 

 この一発だけで神虎のエナジーを1割ほど吸われるのだが威力は折り紙付きで先ほどもこれを使ってブリタニア軍の後方に回ろうとしたところにビスマルクのギャラハッドに阻止されたところだった。

 

 相手が通常のKMF、あるいはカールレオン級の航空浮遊艦ならばたとえブレイズルミナスの盾が展開されていたとしても距離次第で盾だけでなく装甲までもを(設計上)貫通できる。

 

 ただし、相手は仮にも『帝国最強』とうたわれているナイトオブワンが騎乗しているギャラハッド。

 

『ぬぅぅぅん!』

 

 ズバッ!

 

 エナジーを本体から供給された刀身に特殊フィルムのような幕が(まと)い、神虎の攻撃を文字通りに一刀両断して切断されたビームは意図せぬ方向へと軌道を変えられていく。

 

『何────?!』

『────このエクスカリバーの前では、ビームの類などエナジーの無駄遣いだけにすぎん!』

 

『チィ! 実弾はともかく、まさか天愕覇王荷電粒子重砲(てんがくはおうかでんりゅうしじゅうほう)を斬るとは! (ゼロ、まだなのか?!)』

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