「(この紅蓮の飛び方……どこかで……)」
ジノはそう思いながらも真剣な表情で『紅蓮の飛び方をどこかで見た』という違和感を感じながら、トリスタンを半ば本能的に操りながらうまく紅蓮の攻撃を躱していた。
レオンハルトほどではないが、やはり直感でミルビル博士たちの手が加えられていることを感じ、体が見知ったデザインの「癖」を思い出しつつランスロットで開発と施策が始まっていた
「この! ちょこまかと!」
その半面、スバルによる入れ知恵を実現させたラクシャータによって紅蓮は強化されていたのだが、前回神虎と対峙したときからの教訓か、カレンはごり押しパワーマシマシな荒い操縦を控えていた。
というのも見た目がスバルの蒼天に似ているのだがさすがに小型原子炉が間に合わず、搭載されているのは従来のエナジフィラー。 それも上半身、下半身、そして背中と三基もあるのだが、エナジーが有限だという事に変わりはない。
原作でカレンは紅蓮聖天八極式に初めて乗った上に少しのブランクがあったにも関わらず当時の最先端技術を使ったブリタニアの量産型KMFや果てはラウンズ機まで圧倒できたのは単に彼女の奇才的なKMF適正、今まで何も活躍できていないことによる前のめりでアグレッシブな操縦、奇襲に近い登場に加えてヴァルキリエ隊とルキアーノの瞬殺によるインパクト、そしてフロートシステムを凌駕するエナジーウィングの圧倒的性能という要因等が重なり合っていたことが大きいだろう。
これ等の所為でカレンは現在単機でトリスタンの相手をしており、防御に徹していたジノを仕留められずにいた。
「ああ、もう! 何なのあのへんなゴテゴテ紫ランスロット!」
余談だが『かつてない以上にカレンはイライラしていた』とここで追記する。
通常時ならば『ゴゴゴのカレン』とも。
……
…
「租界の状況は?」
「黒の騎士団が各外延部に張り付いていきます。 藤堂将軍からは『多少の抵抗はあれど順調』とのことです。」
「ラウンズはどうなっていますか?」
「上空超高度にいるウィルバーさんからのデータを送ります。 ピンクちゃん?」
「テヤンデイ!」
リア・ファル内のCICにいるレイラの問いにユーフェミアが答えると、ほぼ間髪入れずに次の状況把握のためにレイラの画面にユーフェミアの合図にピンクちゃんが地図を送る。
「(なるほど、予定通りに『ゼロ』という餌に食らいつきましたね。 機動力が高く、先行するであろうランスロットとトリスタンには同じく機動力が高く連携も取れるシュバールさんとカレンさん……しかしカレンさんは苦戦している? シンクーと対峙した時の無意識的な後遺症でしょうか? マオさん……いえ、サンチアさんたちの方が適任でしょう。
そして後から来るであろうモルドレッドには近接戦闘とバリア対策に特化したアヤノさんとベニオさんたち、そして援護にはアキト達をつければあとは……
グリンダ騎士団の早い展開とゲフィオンディスターバー対策ですね。 きっとオズたちを指揮下に置いたエニアグラム卿の提案……そしてそのエニアグラム卿はグラストンナイツと共に────)────え。」
レイラはそこでノネット機が政庁から離れていくことに思わず声を出してしまう。
「(え? 何故、政庁の防衛戦から外れていくのですか? グリンダ騎士団には『総督の護衛の任』が課せられているはずなのに?)」
「……レイラさん?」
その時のレイラが貴重な『キョトン顔』になったことでユーフェミアが声をかけ、レイラはハッとする。
「サンチアさんたちに連絡を。 武装を中距離から遠距離に変更し、標的を────」
……
…
『トウキョウ租界の全ブリタニア軍部隊に告ぐ。 武装解除すれば国際法に則り危害は加えない。 我々はあくまで超合集国の依頼により、不当な扱いを受け続けた日本人の保護及びに日本の解放が目的で行動している。 上層部の誤ちに盲従して、故郷から遠く離れた極東の島で無意味に死ぬ必要はない。 民間の者たちは、白い旗に使えるものを掲げながらゆっくりと出てくれば、我々が責任を持ち戦闘地域から離脱を────』
トウキョウ租界のそこら中から上記のアナウンスが警報サイレンの代わりに流れては建物に反響していき、一度目のブラックリベリオンと違って落ち着きを保った黒の騎士団機と歩兵部隊がブリタニア人たちを保護していった。
その様子はどこからどう見ても『正規軍』であり、今まで『黒の騎士団=野蛮なテロリスト集団』と思い込んでいたブリタニア人とブリタニア軍双方に衝撃を与えていた。
それはゴトウ租界で活躍した者たちも例外ではなかったのだが、流石に長年このような状況の為に多数あったエリア11のレジスタンスグループに加入せず日々爪を研いできた元軍人たちは慣れた手付きで民間人や、降伏してきたブリタニア軍の武装解除と身元確認後の誘導をしていた。
「「「「(これで例の玉城というやつが大人しくしてくれればな~。)」」」」
『KMF信号、近くに来ています!』
この通信が黒の騎士団歩兵部隊用の周波数に行き渡ると一気に緊張感が高まり、指揮官たちはその方向と所属をチェックする────
『来ます!』
ゴォォォォォォォォ!!!
────暇もなく、ジェット機のような音が上空を駆けては遠ざかっていき、耳をつんざくような音に騒ぎ出すブリタニア人たちを歩兵部隊が落ち着かせようとする。
『今のは?』
『ランスロットと、プレイアデスナイツだ!』
『しかもドクロ入りのヤツだ!』
『ついにランスロットと対決か!』
『だが青い紅蓮タイプなんて、あったか?』
『もしや新型? あるいは紅蓮の量産機か?』
『KMF信号がもう一つ! ……ラウンズです!』
『は?』
『なんだあれ?』
『角があるランスロット?』
『しかも紫色の……』
流石にここで『スザクへの電話』からの土下座イベントはないよな~。
原作の段階だと、ラウンズに対抗できる手段は死ぬ死ぬマンことシンクーの神虎に藤堂さんの斬月、そしてカレンの改造されたダブルなんちゃって紅蓮。
そもそもシンクーも100%ゼロのことを信用しているわけでもないし、『クッ殺!』なカレンと紅蓮はブリタニアに捕まっていた。
だとすれば後は強敵の個相手の消費を狙う『数で押し通す波状攻撃』ぐらいで、とてもじゃないがエリア11周辺にいる8人のラウンズ相手にその戦法を取れば出る犠牲が大きすぎるし、何より戦争が泥沼化しかねない。
そうすれば新興で基盤も団結も低く、『日本の解放』という大義名分でブリタニアへの抑止力として作り上げられた同盟は、長引けば長引くほど『希望』と『やる気の熱』が薄まっていきいずれ超合集国側は負けてしまう。
というか空中分解して生き残ったブリタニア帝国に蹂躙されかねない。
だが今はシンクーと藤堂さんに加えて全員健在な四聖剣たち、カレンに紅蓮(エナジーウィング無しの代わりに俺風の魔改造)、超高性能なモブ子でゴの字みたいな触覚持ちのベニオと紅鬼灯、アマルガムとついでに俺といったオンパレードの『戦力』がある。
うん、自分を皇帝に売ったスザクに頼らずとも十分ナナリーの(ついでにトウキョウ租界も)奪還はできると思ったはずだ。
俺みたいに。
ガイン! ガリガリガリガリガリ!
……うん。
もう現実逃避はできそうにないからぶっちゃけよう。
アヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャダレカタスケテ!!!
スマン、アレもフラグだったことを完全に失念していたわ!
『どこに行くんだい君?!』
いやもうマジ勘弁してくださいノネットさんお願いします何故にここでアンタも加わるの?
もうね、これってアレな状況よ。
『前門の虎後門の狼』ならぬ『前門の
さっきまでフレイヤの搭載無しなランスロットちゃんと楽しい一方的な追いかけっこを満喫して頃合いを見計らってからカレンと一緒にトリ
俺の追撃から逃れるためにかあるいは隙を作るためか、ランスロットが“鬼さんここまでおいで”的な微妙な距離を前に保ちつつVARISで撃ってくる。
それを避けるために俺は蒼天を左右のどちらかに動かすとその時の減速を狙って後ろからランスロット・クラブっぽい何かがMVSで斬りかかってくる。
え? 『T〇モドキの装甲があるじゃんワザと一発ぐらいVARISに当たってスザクたちの虚を突けよ』だと?
そんなことできるか!
VARISって確かに『
あれには『インパクトレール』という正式名があって、あれを変えることで色々な『弾』を撃ち出せるんだよ。
レールガンで実弾を撃ち出したり、ハドロン砲、それに先端部分を変えればフレイヤ弾頭とかも発射できる。
まぁつまる所、ワザと当たるのは『博打』という事だ。
装甲は確かにタフだがぶっちゃけ運試しなんてとてもする気になれないヨ。
しかもスザクを何とかしてもノネットが待っているという悪夢。
なんて
あ。 『ランスロット』ですか、そうですか。
『ナイトメア・オブ・ナナリー』ならぬ『ナイトメア・オブ・
だとすると俺は東方〇敗なゼロ?
キィィィィィーン!
うおおおおおお、耳鳴りがするし揺れる揺れる揺れる揺れる視界が揺れる!
視界の中に黒が混じって見えにくくなる!
え、ちょっと待って。
何この『背後から急接近する敵性反応』のアラート?
え、待て待て待て待て待て待て! ノネット機が背負っていたフロートシステムがなんか形を変えているんだけど?!
回避回避回避回避回避ぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!
ギリギリギリギリギリ!
イテテテ、シートにGとショック対策として体を固定しているのに首が痛い!
先月折れた腕とかも痛い!
もうナニコレダレカタスケテプリーズお願い神様仏様女神様ぁぁぁぁぁ!
「クッ!」
スザクは額から浮き出ては流れる大粒の汗を瞬きで対処し、先ほどからランスロットを酷使して全身全霊を持ってなるべくスバルのKMFに当たらないかつノネットを牽制させる射線上を確認しながらVARISを撃っていた。
本来ならば如何にスザクが本気でVARISの真意を偽装していてもノネットが違和感を覚えて看破しても不思議ではないのだが今の彼女は現状の把握より、完全に目先にある
それに幸か不幸か、スザクは撃ち出したVARISをスバルとノネット機、果ては租界の建物にも当てさせる気がなかったことも関係していた……かもしれない。
「(何とかエニアグラム卿を政庁から引き剥がしたは良いものの、このままだとランスロットが先に根を上げそうだ! もし君が例の現象を起こせるのなら早くしてくれ!)」
スザクは目に染みる汗を無視し、ランスロットのVARISの出力を最低限にしつつオーバーヒート寸前にまでフロートユニットの出力を維持しつつも、シンジュクゲットーとアヴァロン強襲時に感じた
「(まさか少年が私とクルルギ卿を同時に相手しても全く引けを取らないとは恐れ入ったよ! こちとら現段階の設備と時間でロイ坊とセシルの
ノネットは自分の無茶ぶりな操縦の仕方にどんどんと応えてくれるランスロット・クラブ兼『ベディヴィア』と今の状況下で分泌されるアドレナリンなどを含めた高揚感に若干ハイになりながら機体慣らしついでにスバルからの反応を見るため突いていた。
「(ゲギャギャギャギャギャギャギャギャタスケルマエニタスケ
そしてスバルは
さて、ここでスザクたちがトウキョウ租界中を奔走している間に二機のランスロットに関して話そうと思う。
無論、スザクはアニメや外伝でも見えるランスロット・コンクエスターなのだが内部はグリンダ騎士団とノネットのデータにより改良されていた。
第七世代KMF実験機であるランスロットをベースとしているところは基本同じなのだがサクラダイトが豊富なエリア11に長時間いたことでイレギュラーズの使っていたGX01同様のサクラダイト合金繊維による『人工筋肉』が適用され、『教授を超えるんだー!』とロイドのプライドにかけて更なる改良のおかげで、サクラダイト合金繊維がコイルと似た役割を担うことで人工筋肉そのものが発電機となり高出力かつ長時間の稼働を実現させ、これによってエアキャバルリーやコンクエスターの難点であった『エナジー消費』が実質解決された。
“当初の目的は機動力の向上だった筈では?”は禁句であり、キャメロットでは『産物として機動力も向上した』をつけるのが暗黙の了解となっていたとここで追記する。
なおこのおかげで『エナジー切れ』というランスロットの弱点は無くなったことをスバルはまだ知らないのだが……
「(
それはさておき、次はノネットのランスロット・クラブこと『ベディヴィア』。
スザクのランスロット同様に装甲の下はサクラダイト繊維のマッスルフレーム処置もしてあり、ブレイズルミナスがランスロット同様に胸部と両脚部に追加されたことで同じくとんがりコーンコアルミナスコーンもその気になれば使えるようになっている。
『おりゃあ!』
「(ヒィィィ?! スザクの蹴り技にブレイズルミナスが追加ぁぁぁぁぁぁ?!)」
基本的に
かなり違いが多数あるので大まかな部分だけに集中したいと思う。
「(ひぎゃあああああ!!! スラッシュハーケンにブレイズルミナスなんてどこの
『これも避けた?!』
まずお察しの通り、ブレイズルミナスがハーケンブースターのついたスラッシュハーケンに追加されたことから切れ味が増し、中と至近距離での戦力アップは『脅威』の一言では足りないだろう。
『よし! じゃあこれはどうだい?!』
「(え?! フロートユニットを
次に中華連邦では試作段階だったエナジーブーストが完成したことで、より安定しエナジー消費も抑えた『エナジーウィング』がベディヴィアのフロートユニット(カモフラージュ)の下に装備されていた。
『早いね! じゃあこれも追加だよ!』
「(外部ユニットとして装備可能なハドロンブラスターが二丁も?! ナニコノキタイもうヤダ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死死死死死死死死死死────)」
────プツン────
「────死ねるかぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
その瞬間、蒼天は今まで取っていた消極的な行動から一転しては右腕の輻射波動砲弾と左腕に持ったオートマチックのスラッグ弾入り散弾銃を前方に乱射させ、無理やり腰、背中、肩に二本ずつある計六つのサブアームを全て起動させてはバックパック内にあるバズーカを持たせて後方に撃ちだし、攻勢に出る。
「そこを退けぇぇぇぇ!!!! (久しぶりにキタァァァァ────って、え?)」
自らの体の自由が利かなくなって独りでに動いていることにスバルは感激したのも束の間であった。
「うおぉぉぉぉぉぉ!!! (ちょっとタンマストップストップストップストップストォォォップ!)」
今まで租界への被害が最小限に抑えられていたが、タガが外れた所為か今のスバルはそのような事を全く気にしていない攻撃をしだしたことに焦りだした。
高層ビルに当たったスラッグ弾は大きな穴を抉っていき、着弾した弾の爆発によって割れたガラスや建物の瓦礫が地上へと落ちていき、ブリタニアと黒の騎士団に関係なく降り注いでいく。
『うわぁぁぁぁ!』
『逃げろ!』
『オイバカ! 民間人たちが先だ!』
『持ち場に戻れ!』
「(うわ、人が本当にアリのようだ────じゃなくて! オイ俺! やめろ、まだ人が居るんだぞ────!)
────知るか! オレは死ぬわけにはいかないんだ────!
(────って本当に人の話を聞かないどころか超が付くほどの個人主義だなオイ────?!)
────うるさい────!
(────またこれかよ?! 面倒臭い野郎だな!)」
『クソ! 西からの連絡が途絶えた!』
『きっと陥落したんだ、撤退するぞ!』
『どこに撤退すればいい?! 周りは黒の騎士団機でうじゃうじゃしてやがる!』
『我々のKMF部隊はまだか?!』
『東シナ海と日本海からの援軍は何をしている?!』
『誰かこれを本部に伝えてくれ、民間の航空機が貴族連中に接収され、戦域離脱に数が足りていないらしい。』
『ハァ?! こんなクソ忙しい非常時に何をしているんだ……』
場所は政庁の敷地内に数ある指令室の一つに移り、中では租界の防衛に携わっているブリタニア軍全ての通信が入ってきていた。
コーネリアが総督だった時、彼女は政治家としても戦略家としても非常に優秀で彼女がすべてを仕切っていたのは例外であり通常は政庁で租界全ての管理を単体で行えるわけがないので、指揮系統の負担を下げるため地区ごとに分断化し効率を追求した結果、戦域が大きければ大きいほど指令塔が複数あることは別段珍しいことではない。
しかし
それもその筈で、この指令室は現時点でトウキョウ租界中────否、ブリタニア帝国内でも少数の者しか知らない役割を担っているからだ。
「ですよね?」
「誰だ?!」
「憲兵は何をしていたのか?!」
部屋の中にねっとりとした声が響くと中にいた者たちは全員座っていた椅子から飛びあがり、明らかに護身用ではない口径のアサルトライフルを声の出た方向へと構える。
しかし彼ら彼女らにとって最も意外な人物が立っていたことで全員が呆気に取られる。
「所属を明らかに────ナイトオブテン、ブラッドリー卿ですか?」
「うむ。 ご苦労だ、諸君。」
「な、何故あなたがここに?」
「そう言えばブラッドリー卿の艦がいち早くこちらに向かったという通信を聞いたような……」
ルキアーノが来たことにざわめき始めるが、彼はそれらを気にすることなくその指令室内の指揮官へと歩き、胸ポケットから紙を出しては手渡す。
「我が宰相閣下からの命令書である、今この場で読んで承諾してくれないか?」
指揮官がそれを受け取り、読んでいく内にみるみると彼の眼は見開いていき、しまいには口調も丁寧なものから素のものへと変えてルキアーノを睨む。
「な、なんだこれは?!」
高圧的な態度をとる指揮官に対してルキアーノは肩をすかす。
普通、一般の兵士や少しだけ地位が高い将校でもこのようにラウンズに突っかかるだけでも不敬罪に処されてもおかしくはないのだがここの指揮官は軍に身を置いてからかなり時間が経っており、いつ現役引退してもおかしくはなかったからである。
そんな彼が、こうも感情を露わにしてまで声を荒げるのは並大抵の事ではないだろう。
「“なんだこれは”、と申されましても……“宰相閣下の命令書だ”としか────」
「────ふざけるな! こ、こ、こんな命令があっていいモノか!」
「ハァ……では暗証コードとIDをここに残して地下へと退避すればいい。 あとは私が────」
「────そんな子供だまし、信じられるか! ブラッドリー卿はあの光を見ていないからそんな悠長なことが言えるのだ! あの光はこの世にあっていいものではない! あの光は絶望の光だ!」
「まるで貴殿は
「あの光のせいで、あの場にいた半数以上が目をやられた────」
────ガチャ────
「────しかしこんな馬鹿げた命令を遂行しようとする輩を止めないほど耄碌していない!」
指揮官が拳銃を抜いてルキアーノに向けると、部屋の中にいた者たちはギョッとして固まる。
「ほぉ! 私に銃を向けることが何を意味するのか分かっているのかね……スペンサー隊長?」
「もう軍にいられるかどうかも怪しいぐらいだが、
「テロリストを止めるには『恐怖』が必要だという事は英雄皇女様が既に証明している……このままだとエリア11が落ちるぞ? 退け。」
「断る! その命令を遂行させるわけにはいかないのだ!」
「もう一度しか言わん、下がれ。」
「だったら殺すんだな、吸血鬼────!」
────パァン!
乾いた銃声が鳴ると指揮官の表情が驚きに変わり次の瞬間、
ドサッ。
室内の者たちが左を見ると開いた通気口から入って来たと思われるヴァルキリエ隊の特徴的な団服を着た女性たちが銃を構えていた。
「さて、副官の……ソニア君。 命令書を読んで、遂行したまえ。」
「……ですがこの命令は……本国は、我々に黒の騎士団と共に心中せよと?!」
「栄えあるブリタニア軍の軍人ならば、本望ではないのか?」
「な、何故このようなことを?! 皇帝直属のラウンズであれば、宰相閣下の越権行為を陛下に報告するのが筋のはず!」
「まったく……これはヴァルトシュタイン卿にも言ったのだがね、私たちの欲するものはたった一つだけなのだよ────」
ルキアーノは青ざめていく副官のソニアに近づきながら、その場に現れてから一度も絶やさなかった年相応の青年がする愛想笑いを崩さずに宣言する。
「────破壊ですよ。」
なおとどめと言わんばかりにダウンしていた間、来週あたりから外国への出張予定が入っていると知って“ガッデム!”と思っている作者です。 (泣
……もしやこれが同じ誕生日を持つがゆえに自称『勝利の女神()』にかけられた呪い?! (錯乱