小心者、コードギアスの世界を生き残る。   作:haru970

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11/4/2024 8:00
アーニャのセリフから文章の一部が無くなっていたので付け足しました。


第290話 『海』に嵐、到来

 唐突と感じるかもしれないが、少しだけ現時点での戦力差を大雑把な割合で示したいと思う。

 

 皇帝シャルルに賛同する者たち────詳しく言えば、『現政治体制の維持を好む者たち』、すなわち『皇帝派』は現ブリタニアの大多数の貴族で構成されている。

 そしてオデュッセウスの制止を無視して、我先にと皇帝シャルルの招集に応えた者たちも、ここに含まれる。

 

 逆にオデュッセウスの訴えに応じたり、現行の政治方針を憂慮したりと不満を抱いている者たちは、仮に「愛国者」と表現しよう。

 

 それらに所属しつつ戦闘可能な戦力すべてを含めると、割合は8対2である。

 この大きな差が生まれたのは、先の『血の紋章事件』と呼ばれる反シャルル派によるクーデターに起因している。

 

 

 以前も『血の紋章事件』について述べたと思うが、ここで少しおさらいしておきたい。

 試験などはないので安心してほしい。

 

 多分。

 

 

『血の紋章事件』が起こるまで増長し続け、皇族を取り入れたり帝国を徐々に私物化したりしていた『貴族派』と呼ばれる派閥は、目先のことしか考えていなかった。

 そしてシャルルが帝位に就いた際、彼がブリタニア帝国の崩壊を救うために宣言した劇的な改革を貴族派は恐れて反逆し、あとの『粛清』によってその権威と発言権を大きく削がれた。

 

 その結果、残ったほぼすべての権力者や貴族たちはシャルルを支持するようになり、『皇帝派』と名乗ってシャルルによる改革でブリタニア帝国の強化に貢献することとなる。

 

 この状況だけを見ると、現時点では反シャルル派の分が悪いように思えるが、『皇帝派』が決して『一枚岩』ではないことも忘れてはならない。

 

 なぜなら、現在の『皇帝派』はシャルルの粛清を逃れる保身のためにそう名乗っていたり、シャルルが政から身を引いてからは個々の利益を優先して動く者ばかりが主な役職に居座るようになり、『調和』に欠けているからだ。

 

『敵艦隊、背後から接近!』

『全艦、反転せよ!』

『待て! 今は合流が先だ!』

『敵に背中を見せるなど、腰抜けのすることだ!』

『生きていればこその戦だというのに……』

 

 こうして移動の為に分散していた『皇帝派』の大半は、積極的に攻勢に出た『愛国者』の攻撃によって指揮系統が統一されていないことが仇となり、次々と混乱したままほぼ一方的に撃破されていった……にもかかわらず、シャルルはシュナイゼルやラウンズに命令を出すことなく、ただ神根島に到着した戦力に『陣形を組み、この場にて待機せよ』と指示を出すだけだった。

 

「調子はどうだ、マリアンヌ。」

 

 そのシャルル本人はダモクレスの格納庫内で、背部にワイヤーを連結したままKMFのコックピットから降りて機体の腕が動く様子を眺めていたマリアンヌに、表情を変えず声をかけた。

 

「すごく面白いわ! まるでKMFが体の一部……いいえ、KMFが体そのものみたい! これを『神経電位接続システム』と言っていたかしら?」

 

「いや。 今使っているのはその改良版である……そう、『思念伝達方式』とでも名付けようか。」

 

「『思念伝達方式』……いい名前ね。 『考えるだけで機体を動かせる』なんて経験をしたら、今まで操縦桿なんて原始的な装置を仲介として使っていたのが疑問で仕方がないわ。」

 

「そうか。」

 

「……」

 

 マリアンヌはKMFを動かし、格納庫内の他の人員に怪我がないことや監視カメラが作動していないことを確認すると、シャルルの機体の足元に降りた。KMFから伸びていたワイヤーがまるで意思を持っているかのように自動的に外れていく。

 

「どうしたのシャルル? 浮かない顔をしているわね? 何か予定外のことでも外であった?」

 

「いや、予定通りである。 そちらこそ良いのか?」

 

「まぁ、KMFに乗るなんて私にとってラグナレクの接続が終わるまでの余興よ。だから安心して待っていて♪」

 

 マリアンヌはシャルルの唇にキスを────

 

 ガシッ。

 

 ────しようとしたその瞬間、シャルルが彼女の肩をがっしりと掴んで制した。

 

「あら?」

 

「そんなことは今せずとも良い。 十分に時間はあとである。」

 

「もう、つれないわね……そう言えばあの子、グレートブリタニアに置いてきたと聞いたけれど……それはなぜかしら?」

 

「これからのことに邪魔になるかもしれんと思っただけだ。 何だ、近くに置きたかったのか?」

 

「だって()()()から♪」

 

「そうか。」

 

 シャルルは胸ポケットから時計を取り出し時間を確認すると、再びそれを戻してその場を立ち去ろうとする。

 

「……さて、そろそろ時間だ。」

 

「そう。 楽しみだわ、新世界が。」

 

「ではな。」

 

 シャルルは歩き、強化ガラスのエレベーターに乗ってグレートブリタニアを見下ろす。

 

 「……許せ。」

 

 彼が独り言のように漏らしたその言葉は、自身の耳に届くかどうかもわからないほど小さなものだった。

 

 ……

 …

 

 

 グレートブリタニアでモニカやアーニャと共に待機し、護衛の任を受けたジノは、胸の奥に燻る不安を忘れるため、KMFの整備に没頭していた。

 

「……」

 

 しかし、心の中で『このままで本当にいいのか?』という小さな疑問の声は、仕事に押しつぶされるどころか、逆に大きくなっていき、彼を苛立たせていた。

 

「……ふぅ……」

 

 ジノはとうとうため息をつき、近くにあったフローレンスとフローレンス・ドローンを見ながら、グレートブリタニアのブリッジでシステムチェックの指示を出し、あえて忙しく振る舞っているモニカの姿を思い浮かべた。

 

「(きっとクルシェフスキー卿もこんな気持ちなんだろうな……彼女は少し前から何かに戸惑っているようだったが、昔から皇帝に忠誠を誓い、それを周りに吹聴している。周りに認められるような功績を狙っている節もあるからな……それに比べて、私は父上からヴァインベルグ家とブリタニア帝国の過去について聞かされて以来……) ええい!」

 

 ジノは考えを振り払おうと、わざと大きな声を出してトリスタンの整備を終え、ある人物の部屋に向かった。

 

「(こういう時は、周囲をかき乱してくれる奴に会うに限る────)」

 

 ────ガシャン! ガラガラガラ! バリン!

 

「ッ?!」

 

 まもなく目指していた部屋に着こうとしたとき、前方からガラスの割れる音と何かが崩れる音を聞いたジノは通路を走り、目的地である人物────アーニャの部屋のドアにノックをする。

 

「おい、アーニャ。 私だ、ジノだ……大丈夫か?」

 

 しかし、どれだけ待っても、ノックにも声かけにも返事が返ってこなかった。

 

 ガチャ。

 

「(開いている?) おいおい、いくらなんでも不用心だぞ。ラウンズとはいえ、一応は名門貴族アールストレイム家の若きご令嬢だろう────え?」

 

 試しにドアを開けると鍵はかかっておらず、それをいつもの調子で喋り出すが、中の荒れ果てた様子にジノは思わず動きを止めた。

 

「……」

 

 そんな惨状の中、部屋の端で主人と思われる少女、アーニャは床に座り込み、膝の上に抱えた頭を両手で覆っていた。

 

 何故『主人と思われる少女』と描写したのは、普段のアーニャが『無口』、『内向的』、『(ほぼ)死んでいると思われる表情筋持ち』といった特徴を持ちながらも、常に身だしなみに気を使っていたためだ。

 ところが今のアーニャは、しわだらけのパイロットスーツを着たまま、特徴的な髪がぐちゃぐちゃで、まとっている雰囲気もいつもとは違い非常に暗く、鬱屈していた。

 

「……アーニャ?」

 

 ジノが再び声をかけると、アーニャは体をビクつかせ、不安と恐怖に疲弊しきった表情で彼の方を見た。

 アーニャの顔には涙の跡が残っており、目は腫れていた。

 

「ぁ……」

 

 年齢も比較的近く、片言で毒舌なアーニャの言動を軽く受け流せる性分のおかげで長く彼女と行動していたジノだが、今のアーニャの姿は見たことがなく、言葉をうまく紡げられなかった。

 

「ジ、ノ……データが……記録が、()()消えているの……」

 

「……その、えっと────」

 

 ────ピー!

 

 ジノの言葉を電子音が遮り、彼は近くのモニターを確認すると、そこに表示されていたのは呼びかけに応じない艦隊が接近中だということだった。

 

「(このタイミングで……おそらくエリア11からの艦隊か────)」

「────行かなきゃ────」

「────お、おい待て! そんな様子で出撃するな!」

 

 力なく声を出したアーニャはふらふらとドアへ向かおうとし、ジノが止めようとするもアーニャは虚ろな目で何かぶつぶつと呟きながら歩き続けた。

 

 ピッ!

 

 ジノの持っていた携帯電話が着信音を鳴らし、彼はシュナイゼルからの出撃命令を確認して顔をしかめた。

 

「クッ……何が『救済の英雄』の子孫だ! どうして私のご先祖、アルト・ヴァインベルグは皇族殺しの業を背負うことにしたんだ?!」

 

 ガァン!

 

 ジノはぐるぐると胸の中で蠢く感情を逃がす為に拳を握りしめては近くの壁を殴り、自分も配置場所へと赴くために歩き出した。

 

 

 ……

 …

 

 

「ふむ……果たしてこういう景色を“絶景”と呼ぶべきか……」

 

 同時刻、ダモクレスを中心に防衛陣を張っていたシャルル派の艦隊が、次々とレーダーに反応があった方向へ一体の生き物のように向きを変える様子を見て、シュナイゼルはそう呟いた。

 

「この反応……オデュッセウス皇子に賛同した者たちと黒の騎士団の連合軍でしょうか?」

 

「厳密には()()連合軍ではないがね。」

 

「しかし、私の見立てでは、オデュッセウス皇子の呼びかけに応じた者は少数です。 おそらくエリア11周辺にいた戦力だけでしょう……果たして本当にこのまま我々に攻め込んでくるのでしょうか?」

 

「攻め込んでくるとも。 現状が彼らにとってこの上ない好機だからね。 兄上、あるいは皇帝陛下の招集に応じなかった勢力も静観して、自分たちにとって有利な結果が見込める方に力を貸し始めるだろう。 フレイヤの存在もあるし、時間は我々の味方だ。」

 

「殿下、一つお尋ねしてもよろしいでしょうか?」

 

「なんだね、カノン?」

 

「もしかしてオデュッセウス皇子も、例の『妙な力』の影響を受けているのでは?」

 

「かもしれないね……ところで、艦隊の陣形は?」

 

「準備が整いつつあり、予測された射程距離に所属不明の艦隊が入る頃には完了します。」

 

「(マリーにゼロ、そして幽鬼(レヴナント)……どのように来る?)」

 

 そう考えていると、その場にシャルルが現れると皆が立ち上がって敬礼し、シャルルはそのまま制御室の玉座に歩み寄って座ると、シュナイゼルが口を開ける。

 

「皇帝陛下、準備が整いました。いかがなされますか?」

 

「うむ。 提案した陣形に問題は見られぬ。 任せる。」

 

「……よろしいのですか?」

 

「お主の顔が指揮を執りたがっていることを物語っておるが?」

 

「ははは、お見通しでしたか。 では、()()()()()務めてみます。」

 

「うむ。」

 

 シャルルはモニターに映し出された艦隊の配置、そして応答に応じないまま接近してくる艦隊の信号を見つめた。

 

「(さて、数ではこちらが勝っている。 そして連携の問題を、ダモクレスを『中心』に据えることで少しでも軽減できるだろう。)」

 

「殿下、所属不明の艦隊から通信が入っています。」

 

「繋げてくれ。」

 

 モニターに数秒のノイズが走った後、画面に映ったマリーベルの姿に場がざわめきだす。

 

『皇帝陛下、宰相閣下。 ご機嫌麗しゅう。』

 

「久しぶり……でもないね、マリー。」

 

『そうですね。私も、できることなら違う形でお会いしたかったですわ。』

 

「マリーベル、貴様はまたもワシに剣を向けるのか?」

 

 シャルルが単刀直入に問いを投げてもマリーベルは狼狽えず、そのまま言葉を並べていった。

 

『その前に、皇帝陛下に質問がございます。 先のトウキョウ租界で起きた悲劇……あれは自動システムの事故だと陛下は宣言した……そう聞いておりますが?』

 

「その通りだ。」

 

『私には、そのようなミスを皇帝陛下や宰相閣下のような方々が見過ごすとは信じがたいことです。 しかし、逆に超合衆国連合の戦力を削ぐため、多くの同胞がいたにもかかわらず攻撃を許した……という見方もありますが、皇帝陛下はどのように答えますか?』

 

「仮にそれが真であっても、避難命令を守らなかった兵の自己責任ではないか?」

 

『そうですか……グリンダ騎士団はテロリスト対策のために組織されました。そして活動を進めるうちに、多くのテロ行為が負の連鎖の捌け口となっていること。 また、こうした事象には国境や人種など関係がないことも……ならば!』

 

「ダモクレスのブレイズルミナスを正面に展開。」

 

 マリーベルが何かを言っている間も、シュナイゼルは静かに指示を出し、辺りは次第に騒がしくなる。

 

「は?」

「は、はい!」

 

 画面越しのマリーベルは、腰に差していた剣を抜き、シャルルたちに向ける。

 

『地上に蔓延(はびこ)る暴力の根を断つため、私はこの剣でテロリズムの根源を薙ぎ払います!』

 

「前方から急激なエナジー上昇反応!」

「フレイヤか?!」

「フレイヤではなりません!」

「何かが来ます!」

 

「総員、回避運動を。 対ショックおよび対閃光態勢に入れ。」

 

 シュナイゼルは小さな笑みを浮かべながら指示を出し続けたほぼその直後、ダモクレスが展開したブレイズルミナスにエネルギーの塊のような巨大なレーザーが衝突する。

 

 衝突の際に発された光は目を背けた者の瞼越しに焼きつくほどのもので、轟音が艦やダモクレスの装甲を突き抜け、鼓膜を破るかのような暴力的なものであった。

 

「────!」「────!」「────!」「────!」「────!」

 

 それでもダモクレス内にいた者たちは幸運なことに報告ができる状態だったが、激しい耳鳴りのせいで誰もそれを聞き取ることができなかった。

 

 シュナイゼルはフレイヤのテスト時に使っていたサングラス越しに端末を確認し、状況を把握する。

 

「(これは……中華連邦やユーラシアでも見せた攻撃と似ているが、実体は異なる。 ああ、またも道具の中身を新しいもので詰め込んだんだね? 一つの武器────それもコンセプトがまだ発展途上の浮遊航空艦に多機能な艦用兵装を搭載するとは……それに今の一撃の被害に加えて艦隊が出し始めていた連帯感は乱され、こちらの目はあらかた奪われた。 ならば────)」

 

 ……

 …

 

「────全対艦ミサイル、一斉射。 目標、大型空中要塞。」

 

「ミサイル発射、確認しました。」

 

 場面は海中に潜んでいたディーナ・シーで静かに移動し、配置位置に到達して上空の混乱に乗じて攻撃を仕掛けるタイミングを待っていたシンたちへと移る。

 

「……ミサイル、空中要塞に当たる手前で信号が途絶。 ブレイズルミナスに阻まれた模様です。 第二波の準備を────」

「────緊急注水、艦を直ちに潜航させろ。」

 

「了解。 クルーには敵の爆雷に備えるよう通達します。」

 

「(敵の注意がすぐ近くの我々に……いや、敵はブリタニアの宰相シュナイゼルだ。) やはりジャンの言った通りに第二波の準備が整い次第、再度攻撃を仕掛けるんだ。」

 

「準備、間もなく完了します。」

 

「流石はジャンだ。 すぐに意図を察して動いてくれている。」

 

 ポッ。

 

「きょ、恐縮です。」

 

「??? どうした、ジャン? 何かあったのか?」

 

「い、いえ! 何でもありません!」

 

「???」

 

 なお、照れ隠しに俯いたジャンを見て、ハテナマークを浮かべて心配するシンとのやり取りに、乗組員たちは内心、微笑ましい気持ちを抱いていた。

 

 と、ここで追記しておく。

 

 ……

 …

 

「グ……今のは、何です?!」

 

「ラインランド、大破!」

「ポートランド、退艦命令を出しています!」

「ユリシーズ、フロートシステムに異常発生! 戦線離脱していきます!」

 

 グレートブリタニアのブリッジにいたモニカは、星が散るような視界を瞬きで正常に戻し、ブラックアウトしたモニター画面をセンサーからのデータに切り替えたクルーの報告が次々と入ってくる。

 

「(まさか、初手の超遠距離攻撃でここまで陣形が乱されるとは!)」

 

「所属不明のKMF反応!」

「距離は……近い?! すぐそこです!」

 

「(バカな、どうしてこれまで捕捉できていなかった?! いえ、それよりも!) 方向は?!」

 

「方向は……方向は、0()()! 真上です!」

 

「対空────!」

 

 モニカが指示を言い終える前に、赤黒い()()はグレートブリタニアを素通りしていく。

 

「速い?!」

「ミサイルじゃないのか?!」

「KMFです!」

「だが速度が速すぎるぞ?!」

 

「(まさか敵の狙いは────)────皇帝陛下?!」

 

「上空からさらにKMF反応を検出!」

 

「(この速度と斜め上の行動は、幽鬼(レヴナント)に違いない!)対空砲火、および全KMF出撃! 敵の第二波が来ています! ジノとアーニャたちにも、私がフローレンスで迎撃に出ると伝えてください!」

 

 

 


 

 

 ピピー!

 

『時間です。』

 

 電子音とともに、()()()()()からの通信が入ると俺は目を開けて時間を確認する。

 

「よし、行くぞ。」

 

 ゼロ、マリーベル、レイラたちが提案した作戦は至って単純だ。

 

『少数精鋭によるダモクレス及び皇帝シャルルの無力化。』

 

 具体的には、まずシュナイゼルが()()()()()マリーベルの通信に気を取られている間にリア・ファルの主砲をチャージし、発射する。距離があるからダモクレスはブレイズルミナスで受け止めるだろうが、周囲の艦はその限りではない。

 同じブレイズルミナスを持っていても、ダモクレスに比べて出力は段違い(ダンチ)だ。 その衝撃だけでもかなりの数の艦が被害を受け、混乱に陥るはずだ。

 さらに、シンたちのディーナ・シーが対艦ミサイルで『下』から攻撃。

 そしてリア・ファルの主砲が撃たれると同時に、ダモクレスの真上、高度のある上空から俺たちが衛星並みの速度まで加速して強襲をかけるという手順だ。

 

 いやまぁ……その加速の付けた強襲は厳密には機動力が一番高い俺とレイラの操るドローンたちが仕掛けるのだが。

 

 色々とツッコみたいところはある。

 

 例えばだが『なんで俺の扱いが無人機と同じなんだ』とか。

『シン、トウキョウ租界に来る前にインド軍区の艦隊を襲ったフレイヤの大群相手に生きてたんかいワレ』とか。

『録画した通信で時間を稼ぎながら相手の注意を引くところは原作マ男への対策やんけ、流石ルルーシュの妹のマリーベル』とか。

 

 とかとかとか。

 

 すまん、やたら細かいとこまで準備された作戦には感服するが……怖くないと言ったら、正直ウソだ。

 

 毒島にほぼ無理やり押し付けられた手渡されたお守り────いやどこからどう見ても刀だが白兵戦をするなら切り合いじゃなくて手っ取り早く銃を使うから『お守り』と称している────がしっかりと固定されていることを確認する。

 

 ビー!

 

『投下ポイントに到達。』

 

 網膜投影システムに無情にも文字が映る。

 

『シュバールさん、ご武運を。』

 

「ああ。」

 

 レイラ機が機体の背から離れ、俺はアロンダイトの先端を真下へと向ける。

 

『では、私は他の者たち率いてネモ(スバル)の後を追います。』

 

「ああ。 ()()()()、派手にかき乱してやる。」

 

『期待しています。』

 

 BRS経由でKMFのOSにアクセスし、速度のリミッターとそれに関する警告をオフにする。機体の制御はセミオート(半自動)モードに変更。

 

 落下中に減速されると、良い的になりかねないからな。

 

 重力とブースターの加速で、速度インジケーターが倍々に上がっていき、やがてヒッグスコントロールシステムでも対応が追いつかないほどの浮遊感が襲いかかってくる。

 

 「ダイビングエントリィィィ!!!」

 『セリフを取られたにゃぁぁぁぁぁ?!』

 

 とりあえず、叫ぶことで恐怖をごまかすとソキアの通信が入ってきた気がした。

 

 次第にアロンダイトが軋む音が装甲越しに聞こえるが、慣れたし、技術チームを信頼しているので気にしない。

 

 ピ。 ピピ。 ピピピピピピ。 ピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピ。

 

 ブリタニア軍の識別信号が一つ、二つ、六つと増え、視界全体が『Britannia(ブリタニア) EM(皇帝派)』で埋め尽くされていく。

 

 ブーブーブーブー!

 

 コース上の障害物を示すアラート音が鳴り響く中、俺は各火器の安全装置を解除し、初弾の準備を整えていく。

 アラートはうるさいがオフにはしない。

 

 使()()()からな。

 

 識別信号ではなく、カメラの映像として艦が見える距離にまで近づいていく。

『目視』と書いて『メインカメラ』だ。

 人間の視力で見える距離じゃないし、()()では情報伝達も追いつかない。

 

 ヒュン!

 

 一隻。

 

 ヒュン!

 

 二隻。

 

 ヒュン! ヒュンヒュン! ヒュヒュヒュヒュン!

 

 三、四、五隻と、俺はサイドスラスターを駆使してブリタニア軍の艦を横切り、敵IFFと位置情報をオートでレイラのドローン部隊やマリーベルたちに送っていく。

 

 外を映し出しているカメラの様子から何隻かは予想以上に反応速度が速く、既に対空砲火を機体が通っていくコースに発射している。

 

 だがあくまでも『対応が早い』というだけで、精密性に欠けているので脅威ではないことは装甲のおかげだけでなく、直感で感じたのでそのままヨーソロー。

 

 いた。

 

 前方に浮かぶ巨大人工物──ダモクレスの姿がセンサーに映り、俺はコースを微調整しつつ、火器のウェポングルーピングを確認する。

 

 ブレイズルミナスで覆われたダモクレスの姿を見て、シュナイゼルの薄笑いが頭に浮かび、胸がむかついた。

 

「ガラ空きの脳天にシュートぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

 

 胸の奥で高鳴る鼓動を抑え込むように電磁砲(レールガン)の照準を合わせて撃ち出していく。

 

 相手と周りの艦はもちろん機銃でそれらを撃ち落とそうとするが俺の機体の速度もあって殆どが撃ち落とされずに着弾していく。

 

 本来ならいくら火薬式でも実弾など、ブレイズルミナスの前では屁みたいな脅威だ。

 

『ウザイ』だろうが、文字通り『痛く』も『かゆく』もないだろう。

 

 しかし、いくら出力が高かろうが()()がある。

 

 何故ならばコードギアスの世界では電力は未だにサクラダイトに依存している。

 つまり()()()()()式である。

 

 しかもサクラダイト自体は打たれ弱い上に爆発しやすいので通常、電力はコンデンサーなどを通して電子機器に送られている。

 

 リア・ファルの主砲、ディーナ・シーの攻撃、そして技術者たちによって早急に開発した()()()()()()()()()弾頭。

 

 それ等によってダモクレスの展開していたブレイズルミナスの一部にヒビが入り、その周辺の六角形のブレイズルミナスがチカチカと透明度が不安定になっていく。

 

「消えろ。」

 

 ドキドキと力強く脈を打つ心臓から注意を逸らそうと独りを言う。フッと消えたことを見て、胸の鼓動が更に早くなる。

 

『胃痛は』だと?

 

 無論、ラクちゃん特製の薬でその他諸々を抑え込んでいますが何か?




後書きEXTRA:
オルドリン:いややっぱりアレ、絶対に人間やめている動きでしょ?
ソキア:セカンドエントリィィィィィィィィィ!!! ンฅ(>ω< )ฅ
マリーベル:エントリ~♪
オルドリン:え────ちょ────待ってマリー────心の準備がまだぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああ?!
アシュレイ:獲物がいっぱいだぜ!




どうでもいい余談:
毎度のことながらホルバイン少尉を思い浮かべるとハッちゃけたもみあげジャミルか強化後のマシュマーを思い出してニヤニヤする作者です。

そして『ワシヤ=ルルーシュ』と思い出す時は『声優ってスゲェな!』と再度感心する作者です。


更にどうでもいいリアルの余談:
最悪なタイミングで社内監査があるようになるとのことです。 明らかにコロナの影響で増加した社員の減らしとか給料の値上げを止めるクソムーヴ。 ファッ〇。
というかいまだに『コロナの影響』を言い訳にしているってどんだけ……
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