小心者、コードギアスの世界を生き残る。   作:haru970

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色々とカオスです。


第292話 神根島会戦

 「ナンデアルビオン?! アルビオンナンデェェェェェェェェ?!?!?!?!」

 

 プシュ。

 

「ウッ……」

 

 この『体が冷える』のはどうにも慣れないな……

 

 さて。

 

 全高5.15メートル、重量9.12トンの第9世代KMFである型式番号Z-01Z、通称『ランスロット・アルビオン』は、ランスロットがコンクエスターと改名した直後からナイトオブセブン枢木スザク用に開発されていた専用機であり、スザクが持つ規格外の能力と適性を100%フルに引き出すために、一からリデザインされた機体である。

 

 武装はMVSに、砲身が二連装化されて『スーパー』の名がつくほど強化されたVARIS、ハドロンブラスター、ルミナスコーン、小型化されつつも従来の威力を保ったスラッシュハーケンにブレイズルミナス。

 

 一見するとパッとしないな。

 

 原作では、総合スペック的に紅蓮聖天八極式には及ばなかったものの、紅蓮は神虎と同じく、乗る者の考慮を全くしていないモンスターマシンだ。

 

 そんな紅蓮に乗れるカレンはやはり化け物だが、今はランスロット・アルビオンの話に戻そう。

 

 長ったらしい話だったが、何が言いたいかというと、アルビオンはスザクの()()()専用機。

 つまり、今まで強化改造を施されたランスロットとは別機体だということ。

 

 そう、別機体である。

 

 まさかのまさかで、コードギアスに関する記憶が薄れてきて、こんな大事なことを見落としていたとは────

 

 プシュ。

 

 ────おっと,

 いかんな。

 こうも早く鎮静剤を再び投与されるなんて、俺はよほど焦っていたらしい。

 

 うん、もう一度確認したが、形状はやはりアルビオン……に少し手を加えたような、()()()()()()()()()()()だ。

 

 だが、少し考えてみれば、アルビオンについて、フレイヤ事件後にスザクがロイドたちにアヴァロンの中で訪ねて、ロイド達が『ロールアウト間近』と言っていたセリフがあった……ような気がする。

 

 失念していたしっぺ返しがこうも跳ね返ってくるとはな。

 笑うしかない悪夢だ。

 

 体の維持のために、息をわざわざ吐きだすような笑いをすることはないが。

 

 しかし、この追尾してくるアンノウンが邪魔だな。

 

 目視で追えないほど動きが速く、視覚をセンサーに切り替えた俺でさえも、『何かが動いている』としか認識できない。

 

 動き方からして無人なのは明らかだが、サイズがKMFにしては小さすぎる。

 

 まるでミサイルか、某冒険に出てきたスカイフィッシュみたいだな。

 

 ちなみに、こうやって悠長に考えをまとめられている理由は、単純に機体制御の補助に、先日ユキヤと一緒に作った闇鍋OSのおかげだ。

 

『ツギハギなでっち上げOS』が、逆に機体の挙動を予測不可能なものにし、プラスに働いている。

 

 しかし問題としてアルビオン(仮)とアンノウンはどうしたものか……中にいる相手は誰だ?

 ナイトオブワンのビスマルクか?

 

 だとすれば、奴の先見はヤバい。

 特に、特典が発動するかどうかも分からない今の俺には。

 

 使えたとしても、二秒……もしくはほんの一瞬だけだろう。

 

 ……よし、方針は決まった。

 

 ()()()()()()()()()()()

 

 

 


 

 

「ぬぅん!」

 

 ザン!

 

 同時刻、ダモクレスから出撃したビスマルクは、スバルの後を追うかのように飛来してきたアレクサンダ・ドローンを、構えていた盾やリニアライフルごとエクスカリバーで真っ二つに切り裂いていく。

 

「遅い!」

 

 これを見た他のドローンたちはすぐに対応し、一定の距離を保とうと後退する。

 しかし、高出力のギャラハッドに搭載されたエナジーウィングの加速力により追いつかれたドローンは次々と切られていく。

 

 その間、ビスマルクの隙を狙ってダモクレスに接近しようとしたドローンたちは、ハドロン砲が放つ独自の赤いビームの同時射撃によって次々と撃ち落とされていった。

 

 ビスマルクがビームの方向を見ると、ハドロン砲を撃ったのはドロテア・エルンストのパロミデスであった。

 

 型式番号RZA-4EE、全高6.2メートル、全備重量約12.2トンと、ちょうど重装備のモルドレッドと巨体のギャラハッドの中間に位置する機体サイズと重量。

『亡国のアキト編』での方舟作戦でアシュレイが搭乗したアフラマズダをベースに、モルドレッドから得たデータをもとに再設計されたKMFである。

 

 両肩には巨大な腕があり、格闘戦にも使用可能で、指先一つ一つがハドロン砲となっている。

 

 アーニャ機のシュタルクハドロンには火力では及ばないものの、モルドレッドより小回りが利き、近・中・遠距離での戦闘が考慮されている。さらに、ドロテア本人の力量も現時点でビスマルクに次ぐ高さを誇るため、相当な脅威となっている。

 

 原作でスザクに倒されたのは、彼の超高機動かつ高火力なKMFに不意を突かれたことが大きな要因だろう。

 

 今作ではギャラハッドと同様に、多少異なる部分もあるが、それは少し後に記述することとする。

 

「流石はエルンスト卿、新装備を既に使いこなしているようだな。」

『まだ不安が残りますが、実戦には十分使えます。それよりもヴァルトシュタイン卿、皇妃殿下の援護に回らなくてもよろしいのですか?』

「よい。彼女に心配など無用だ、エルンスト卿。それよりも我々はダモクレスの防衛に専念するべきだ。」

『……そこまでなのですか?』

「たとえ我々が束になってかかっても、何分持つか……だな。」

『何ですか、その評価は?』

「正当なものだ。事実、武に関して私は一度も勝ったことがない。そしてその評価は今でも変わらない……多分。

『ヴァルトシュタイン卿────?』

「────いや、何でもない。」

 

 ビスマルクは複雑な気持ちを表情に出さず、そのまま慣れた手つきでレーダーを一目見て指示を出し始める。

 

「(まぁ、この局面で“指示”とも呼べるものでもないがな。) エルンスト卿はパロミデスで後続のKMFを強制的に散開させた後、己の判断で動いてよい。」

『他には?』

「私一人で十分……と言いたいところだが、ここはクルシェフスキー卿たちにも参戦させよう。私はクルルギ卿の相手をする。 エニアグラム卿が出てきた場合は……そうだな、距離が最も近い者が対応するのはどうだろうか?」

『まるでこの戦がゲームかのように話しますね……ヴァルトシュタイン卿らしくありません。』

 

 ビスマルクは微笑しながら、左目の瞼を閉ざしていた縫い目を取りつつ、飛び去るドロテアのパロミデスを見送った。

 

「“私らしくない”、か。 フ、そうかもしれん……」

 

 そして彼は操縦桿を再び握ると、ギャラハッドは真上からMVSで斬りかかってきたランスロット・リベレーターの攻撃をエクスカリバーで受け止める。

 

『ヴァルトシュタイン卿────!』

「────やはり貴様が私を討ちに来たか、クルルギ卿!」

 

『あなたは、もしかしてそれを見抜いてわざと孤立なさったのですか?! 何故────?!』

「────“何故”と問われても、“私は武人だから” としか答えようがない! (そして君がここに来たということは!)」

 

 ビスマルクはスザクの機体から視線を外し、レーダーを確認すると巧妙なタイミングでギャラハッドを瞬時に後退させ、真横から迫る毒島の攻撃をかわして、彼女とスザクの機体がぶつかり合う。

 

『ぐわっ?!』

「チィ! 奇襲は失敗か! (スバルのメモ通りに動いてもこれか! 強い!)」

 

『フハハハハハ! その動き、悪くはないが、これでもナイトオブワンだ! そう易々と若輩者に負けるわけにはいかない!』

 

 ビスマルクの通信を聞きながら、毒島はスザクと直通通信を開いた。

 

「スザク、確認するがこいつはビスマルクで間違いないのだな?」

『ああ。 正真正銘のナイトオブワン、ビスマルク・ヴァルトシュタインだ。』

「よし。 スザクに情報提供だ。 こいつには()()()()()()()()────」

『────え────』

「────それを踏まえて挑むぞ! 私について来い────!」

『──── “付いて来い”じゃなくて、毒島が俺に付いて来い────!』

「────その意義やよし!」

 

 ……

 …

 

『一斉射用意!』

『待て! 味方のKMFが前に出ている!』

『どこの所属だ?!』

『バカな、このままでは我々と反乱軍による砲撃の挟撃に合うぞ?! 引き返させろ!』

『応答、ありません!』

『皇帝陛下からです! “先方の味方機は不死身である、撃て”です!』

『不死身?』

『やはり陛下が不死の研究をしているという噂は……』

『ならば小細工は無用だ!』

『既に数では我々が圧倒しているのだ! 撃て!』

『味方機、被弾! ……いえ、復活していきます!』

『なんと?!』

『パイロットだけでなく、KMFにまで不死が付与されているとは……』

『これはいい! 撃て! 撃ちまくれ! 武勲を立てるのだ!』

『出遅れるな! 我々も戦果を上げるのだ!』

 

 混乱から隊列を立て直した皇帝派は、『FRIENDLY(味方機)』としてIFFが表示する黒いサザーランド・エアたちが前に出たことで一瞬困惑したが、シャルルの通信が入ると艦砲射撃を開始する。目の前で被弾したはずの黒いサザーランド・エアがまるで『自然』に回復していく様子を目の当たりにし、恐れと高揚感を同時に抱いた。

 

 理由は単純である。

 

 権威ある者たちが『不老』や『不死』を求める理由は、どんな手段を取っても『寿命』という()()が迫り続けるからである。

 

『権力、特権、金は人を豹変させ、より多くを求めさせる』という言葉通り、皇帝派の兵たちは目の前で起こる奇跡にあやかりたくなり、戦後の報酬としてこの不死の恩恵を分け与えてもらおうと奮闘し始めた。

 

「(こ奴ら……戦をバカにしているのか?)」

 

 だが『奮闘する意思』が必ずしも良い戦果に繋がるわけではない。皇帝派のカールレオン級の砲撃は、距離の調整を待たずに連射していたため、弾道はイカルガやグリンダ騎士団に届く前にほとんど明後日の方向に飛び、辛うじて届いたログレス級の砲撃もブレイズルミナスに防がれる。その様子を、シュバルツァー将軍は呆れて見ていた。

 

「(距離を無視して撃つとは……戦の基本が成っておらん。こんな者たちが跋扈する時代とは、度し難い……最初はいくら姫様(マリーベル)でも無謀だと思ったが、この様子を見れば認めざるを得ない……)」

 

「将軍、敵の艦隊がKMFの前進に乗じて射程に入りました。」

 

「よし、撃て!」

 

 

『何故敵の攻撃はこうも的確なのだ?!』

『照準の修正を急げ!』

『ログレス級は次弾装填次第、即発射! 打ち崩せ!』

『右舷より敵のKMF、接近してきます!』

『何?!』

 

 

「敵の混乱に乗じて打撃を与える! 考える暇を与えるな、撃て!」

 

 ゼロの蜃気楼が撃った拡散構造相転移砲は前方にある混合艦隊に注意を引かれてブレイズルミナスを正面に展開していた皇帝派の艦隊の虚を突くことに成功し、彼の命令にピンク色のランスロット────C.C.のランスロット・フロンティアがVARISの砲撃を合図に暁たちがバズーカを撃つ。

 

 形式番号Z-01/Aの『ランスロット・フロンティア』は、原作ではスザクが乗っていたランスロットのパーツを寄せ集めた機体で、時期的には『ランスロット・クラブの亜種』とも言える。ただし、サザーランドをベースにしたクラブとは違い、ヴィンセントをベースに再設計されたため、機体スペックは元祖ランスロットとほぼ同等である。

 

「しかし、お前がここまでKMFを乗り回せるとは思わなかったぞC.C.。」

『もう耄碌したか? ガウェインだって私が動かしていたんだぞ? これぐらいどうということはないさ。 しかし本隊に近づいているKMFはどうするつもりだ?』

「艦がKMFに取り付かれれば不利なのは変わらん。 だが────」

 

 ……

 …

 

「────艦長、敵KMFが射程内に入りました!」

 

「よし! ゼロの指示通り、全出力のハドロン砲をあの黒いKMFにお見舞いしてやれ!」

 

 周囲の艦が撃ち始めて数秒後、扇の号令でイカルガも加わる。ハドロン砲の強力な粒子ビームは、黒いサザーランド・エアたちを覆い、明確なダメージを与えて次々と海へ落下させた。

 

 ……

 …

 

『なるほど、ハドロン砲か。』

「ああ。スヴェンたちから得たデータを解析する限り、奴らは物理攻撃が効くが、再生力が脅威となる。だからこそ、その再生力を上回る高火力、特に()を持つ攻撃をぶつければ時間を稼げる。」

『“時間を稼ぐ”、か……』

「完全破壊よりも効率的だ。この戦いが長引けば我々の不利になる。」

『あの巨大要塞のフレイヤか。 しかしあのニーナというか少女からアンチフレイヤシステムを────』

「────使用条件が厳しい上、俺が懸念するのは()()()()()()()焦れてフレイヤを発射することだ。」

『……そこは“皇帝シャルルが”、じゃないのか?』

「違うな。 仮説ではあるが、恐らくはこの戦い────話は後だ。 先行部隊と敵だ。」

『相手もエナジーウィングを使っているみたいだな。 と言っても、全員ではないか。』

「ラウンズだけだな。 予想通りだ。」

 

 ……

 …

 

「将軍、敵が我が方を包囲せんとしております────!」

「────慌てることはない。 FからJ部分の艦に新たなベクトル座標を送り、上下からの射撃を撃ちつつ後退。 各艦はブレイズルミナスによる『盾』と艦砲射撃の『槍』役を交代で担え。 それと元マドリードの星たちに出撃準備を。」

 

「了解です、将軍。」

 

 

 ……

 …

 

 

『敵が後退していきます!』

『なに? 敵は戦う気がないのか? 将軍と呼ばれても、やはり数に臆するか……』

『ならば後方の艦を本隊の援護に回せれる!』

 

 

 ……

 …

 

 

「敵の後方が減速し始めました!」

「よし。 後退やめ! 最大船速で前進! 射程内に入り次第、集中攻撃! 星たちよ、こちらシュバルツァー将軍だ。 敵の隙を狙え、例の『レホネーオの陣』で行く。」

 

『『『『『了解!』』』』』

 

 シュバルツァー将軍の艦隊を追おうとしていた皇帝派の艦が転進し始めたちょうどその時、将軍は後退させていた艦隊を前進させ、前後に分かれて数が減った皇帝派の艦隊に攻撃を加えていく。

 

 ……

 …

 

『何だこれは?!』

『退いていた敵からの砲撃か!』

『攻撃が来ているだと?! 後退していたのではなかったのか?!』

『ええい、後ろの奴らを呼び戻せ!』

『敵KMFも接近中!』

『こちらもKMFを出撃しろ!』

 

 しかし皇帝派の艦がKMFを出撃し終えて艦砲射撃の準備に入った時には、すでにシュバルツァー将軍の艦とKMFは射程距離の外へと逃げおおせていた。

 

『レホネーオの陣』のレホネーオ(rejoneo)とは『騎馬闘牛』のことであり、本来地面に立って突進してくる牛をギリギリで躱したり反撃するマタドール(闘牛士)と違い、馬に騎乗しつつ荒れ狂う牛の相手をする。

 無論、馬に乗ったままなので真横への回避などの小回りが利かないため、かなりの器量と度胸を要する。故にシュバルツァー将軍が大グリンダ騎士団に取らせている艦隊移動はそれになぞらえた名前だった。

 

「将軍……」

「何かね?」

「KMF部隊と他の艦から推進力の不具合が出ているとのことです。」

「うーむ……仕方がない。 不具合の出ている者たちは後方に下げて、他の艦と入れ替えさせろ。」

 

 味方の疲労は免れないものの、敵の被害は確実にそれ以上となるが、煽り耐性の低い相手にしか効果はなかっただろう。

 幸い、皇帝派は先ほどから何度もプライドをズタズタに引き裂かれて挑発され、苛立ちは高いままだった。

 

 ……

 …

 

 

「敵の性格を理解し、数で勝っていることを逆手に取るとは流石シュバルツァー将軍ですね。」

『マリーもきっとできたわ。』

「あら、買い被りよ?」

『よぉ~し! 突撃にゃ────って前方に高エネルギー確認!』

「ッ! 密集しすぎよ皆! 散開!」

 

 上空からレイラのアレクサンダ・ドローンたちに続いていたオルドリン達は、ビスマルクが陣取っていた場所を迂回してダモクレスに近づいていると、ソキアの通信にマリーベルが指示を出した直後にハドロン砲の砲撃が雨霰のように彼女たちを襲う。

 

『下……いえ横────?!』

『────ハドロン砲の反応が数か所────?!』

『────でもレーダーに機体の反応が出ていないのは変だ────!』

『────何あれ?!』

 

 オルドリンがソキアの言葉につられて砲撃が来た方角を見ると、まるで重力を無視するかのように飛ぶ『何か』の残像が見えた。

 

『敵発見!』

 

 オルドリンとティンクが困惑している間、マリーベルはすぐにドロテアのパロミデスをカメラで捉えた。

 

「(あの形状……ユーロ・ブリタニア軍が秘かに開発していたアフラマズダに酷似している。カラーリングから、相手はエルンスト卿────?)」

『────マリー、上!』

 

 オルドリンのハイグレイルはマリーベルの強化されたトライアルMkIIに体当たりして無理やり位置をずらすと、文字通りに上からハドロン砲が撃ってくる。

 

「今の攻撃は、どこから?!」

 

『アイたんでキャッチ! ……腕にゃ! ()()()が動いて攻撃しているにゃー!』

 

 さて、『ドロテアのパロミデスについて少し後で記入する』と言ったのでネタをばらすと、パロミデスにはソキアのシェフィールド・アイが使っているACOハーケンの技術が組み込まれていた。

 これにより制限付きではあるが、パロミデスは疑似的に周囲からの複合攻撃が行えるようになり、実質的な『初見殺し』となっていた。

 

 理論上は。

 

「グリンダ騎士団……死角からの攻撃によく怯まずに対処した。 噂以上だな……」

 

 ドロテアは自分でも戸惑うような攻撃から立て直しつつ、ダモクレスに取り付いて反撃を開始するグリンダ騎士団を見て笑みを浮かべた。

 

「しかし若いな。 陛下の居城に、背を向けるとは。」

 

『ダモクレスに取り付けた!』

『他の皆に信号を────』

『────ちょい待ち! ダモクレス内部からKMF反応が近づい────すぐそこにゃ!』

 

 オルドリンたちは遮蔽物に身を隠せたと思い、ホッと一息つく間もなく、ダモクレスの中から黒いサザーランド・エアたちがぞろぞろと出てきてはすぐに攻撃をする。

 

「さて、『不死の軍団』とやら相手にどう立ち回るか見てみたいが……」

 

 彼女はパロミデスの腕が収納されるのを確認し、エナジーの充電率を見つつ、遠距離から攻撃してくるマーヤたちの機体に目を向けた。

 

 ……

 …

 

 

『よっしゃ! お前ら、遅れるなよ!』

『はい! 玉城大先輩!』

 

 イカルガからゼロの蜃気楼とC.C.のフロンティアと共に発進した玉城の通信に、ベニオが元気よく返事をする。

 

『いや、それはもういいから……』

 

 しかし、玉城自身も飽きたのか、いつものように舞い上がることなく、むしろテンションが下がっていった。

 

『玉城大先輩! 前から反応が接近!』

『おう、こっちでも見えた! 撃ち方用意────!』

『────あ、スバルさんです。』

『何だよ、よりによって────』

 

 ゴォォォォォォ!!!

 

『────って早い?!』

 

『お前たちも逃げろ!』

 

 スバル機が通過した直後、巻き起こった風で玉城たちの機体が揺れる中、スバルから通信が入る。

 

 バシュシュシュ!

 

『うわ?!』

『なんだ?!』

『被弾した?!』

 

 スバルの忠告を理解する前に、ピンポイントのレーザー光線のような攻撃が玉城やベニオの暁を襲い、すぐに大破へと追い込んでいく。

 

『なんだよ、アンノウンって?!』

『知るか!』

『避けろ、避けろ、避けろ!』

 

 パニックを必死に抑えながら、数名はとりあえず攻撃が当たりにくいように動き回ることに専念する。

 

 バシュシュシュシュシュシュ!

 

『うわ?! うわ?! うわぁぁぁぁぁ?!』

『どこから、どこから来ているんだぁぁぁぁぁ?!』

 

 しかし、360度からの攻撃に翻弄され、KMFのOS補助があっても避けきれずに次々と大破していく。

 

『密集して取り敢えず撃ち続けろぉぉぉぉ!』

『こなくそぉぉぉぉぉぉ!』

 

 玉城の命令で、残った暁たちは背中合わせに隊形を組み、死角をカバーしながら両手のアサルトライフルで周囲に飛び回る『アンノウン』に対処する。

 

 バシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュ!

 

 それでも、攻撃の数は限界を超え、次々と暁の手足やフロートユニットにダメージが蓄積されていく。

 

「この相手には!」

 

 ベニオは輻射波動をワイドレンジに設定し、正面の『アンノウン』に向けて放つと、いくつかのオブジェがバチバチと火花を散らしながら爆発し、海へと落ちていく。

 

 ザン────ドン!

 

『うわ?! ラ、ランスロ────アグッ?!』

 

 しかし、ランスロットと見違えるアルビオンのMVSが、ベニオ機の右腕を切り落とし、続けて彼女の紅鬼灯を踏み台にしてスバル機を追いかける。

 

「速度を落とした!」

 

 カチカチカチカチ!

 ドンドンドンドン!

 

 スバルはこの機を逃さず、操縦桿を操作すると、アロンダイトの両腕とサブアームが追撃してくるアルビオンに向けてバズーカ砲を放つ。

 

 ……

 …

 

「ちょっと面白そうだけれど、今は邪魔ね……ん?」

 

 アルビオンの中にいた女性────マリアンヌは薄笑いを浮かべつつ、アロンダイトが放った攻撃を見て考えを巡らせた。

 

「(私ではなく加速したルート上に撃ったということは────)────フ!」

 

 マリアンヌは掛け声と共に体を力ませながらエナジーウィングを展開し、加速し始めた機体を無理やり停止させると、アロンダイトの弾頭が炸裂し、散弾がアルビオンの装甲にかすり傷を与える。

 

「……散弾だけでは倒せないわよ!」

 

 ……

 …

 

「受けた?! いや、止まった! ならば!」

 

 カチカチカチカチカチカチカチカチ!

 ボシュボシュボシュボシュボシュボシュボシュボシュボシュ!

 

 スバルは驚きながらも動きを止まったアルビオンに対して再びバズーカ砲を撃ち、今度は大量のミサイルも追加で発射する。

 

 ……

 …

 

「先ほどは散弾だったから、今度は!」

 

 マリアンヌは新たな攻撃を見て、今度はアルビオンを加速させる。

 

 ドォンドォンザァァァァドォンドォンドォンザァァァァ!!!

 

 予想通り、弾頭はアルビオンを感知すると散弾と爆発を交互に繰り返す。

 

「次はこっちからよ、どう対処するのかしらね?!」

 

 アルビオンは彼女の言葉に呼応するように、エナジーウィングから短槍状のオブジェを射出し、それらは自力でスバル機を追尾していく。

 

 ……

 …

 

「読まれた?!」

 

 スバルはアルビオンの非常識な動きと、再び画面に映し出される『アンノウン』に不安を感じながら、接近するアルビオンに不要と感じた武装コンテナのミサイルを全て撃ち尽くし、コンテナをパージして軽量化した後、艦隊戦の行われている戦場へと再び突撃していく。

 

 

 

 開戦からここまでの時間はわずか一時間未満だったが、参加者たちには体感的に数時間が過ぎたように感じられていた。




どうでいい後書き余談:

パロミデスの元となったアフラマズダにも足はありました。 パーフェクトです。

余談その2:
手を合わせる=旗艦を後退させる
指で指す=右翼部隊で敵を迎撃
✋からのサムズアップ=隊列を整えつつ隙を作るな
『沈黙の辞書』より。
本人も手振りのみで艦隊の指揮が出来たのもすごいけれど、それを理解して指示に通訳出来た補佐官もすごかったなぁ……
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