未だにカオスです。
今作でも、リアルでも。
気が付くと、薄暗い場所に
「ん?」
い、今ほんのちょっぴりだが、超現象的な何かを体験した。
い、いや……『体験した』と言うには、理解が追いついていないというのが現状なんだが……
何せ門をくぐった瞬間に視界が暗転したと思ったら、次々と原作アニメとは違う場面らしきものを『観た』というか、『体験した』と言うか、他に言い方がないからぶっちゃけ文字通りに『流れ込んできた』と言うか……
ゴゴゴゴゴゴゴ……
あ、ありのまま話すといつの間にか神根島にある洞窟内の遺跡の前に俺は立っていて周りには手を怪我したルルーシュ、俺を見ているC.C.、顔を殴られた様子のシャルル、そしてそんなシャルルを看病するマリアンヌがいた。
な、何が起きたのか分からないと思うが、俺も分からない。
頭がどうにかなりそうだ。
「どうした、頭を抱えて?」
C.C.が何か言ってきた気がするが今はちょっと頭の中を整理しよう。
あの人払いをしたマリアンヌが撃たれるシーン……アニメだとV.V.がシャルルに影響を与えた事プラス
ナナリーもV.V.が裏組織を使って巻き込んだ筈だが、マリアンヌが本当に母親として庇った様子。
シャルルはともかく、V.V.も瀕死状態のマリアンヌを本気で気遣っていたし────
「────おい。」
おっと、ゼロの仮面を外したルルーシュからの声。
混乱している状態じゃないな。
全力でポーカーフェイスを装着!
「なんだ?」
そして早くも口下手がさく裂したよ、コンチクショウめ。
「お前、知っていたのか?」
知っていたのかって、何を?
知らんがな。
「何をだ────」
「────お前は母さんの事を知っていた。 ならば、シャルルの事も知っていてもおかしくはない。」
あー、うん。
そう思っちゃうよね。
『原作知識』なんだけど、そう言えないし俺もさすがに色々と予想外だからな……
そもそもさっきまでバトルしていたマリアンヌと俺を見てあんぐりとしているマリアンヌは『雰囲気が違う』と言うか、『肌で別人と感じられる』と言うか。
あと
「話せ、スヴェン。」
やべぇ、ルルーシュが本気で睨んできている……
こんなときは連想タイムだ!
『神根島』、『意味不明な映像』、『超現象』、『妖艶C.C.』、『胸デカいな生マリアンヌ』────おっと脱線。
『原作と違う流れと言うか過去』、『シャルルとV.V.が本気でマリアンヌを想っていた』、『原作より破壊力が高いフレイヤ』、『日本返上』、『ダモクレスの早い登場』、『冴えないオデュッセウス立ち上がってブリタニアの二分化』、『皇帝派とオデュッセウス派』、『ブリタニア帝国の内戦一歩手前』、『足並みの揃っていない民主主義な超合集国』、『黒の騎士団じゃなくて零番隊の独断』、『反皇帝派に協力する対テロ組織グリンダ騎士団』『悪をもっと巨悪を制す』、『世界を騙せる規模の嘘』────
────ピーン♪
あれ?
え?
なんか閃いた。
と言うか、連想した。
いやでも……
もし百歩どころか千……
万……
百万……
億……
いやもうこの際だから俺が知っている、有るのかどうか分からない一番大きな『
「「「「……」」」」
キリキリキリキリ!!!
ええい、ままよ!
そう決心した俺は悲鳴を上げる胃を抑え込むようにやぶれかぶれ気味
「『絶対悪』か?」
「「……」」
俺の言葉にルルーシュとC.C.が見るとマリアンヌが目を伏せ、シャルルはじっと俺を見る。
「……むぅ……」
いやん、そんな唸るような声と一緒に熱い視線ビームをぼくちゃんに向けちゃダメよ?
って、なんだ今のおニューでカマっぽい上に悪寒と寒気と共に自分自身が身震いしちゃうようなノリは?
……爆弾っぽいハクチョウなアラベスク?
持ってねぇよ。
と言うか持ちたくない。
「ふ、お前も
ルルーシュ、今の意味深い『フ』……完全に藤堂さんか桐原のじいちゃんが憑依したようにしか聞こえないのだが?
「マリアンヌ、遺跡に力は残っているか?」
「そうね……
「『一回分』? ……もしや式根島の時も────?」
「────本当に頭の回転が早いわねぇ~。」
「マリアンヌの子だからな。」
「あら、そこに貴方も入らないのかしら?」
え。 何でとんとん拍子に話が進むの?
「……“一体何を見せられているんだ”とでも言いたそうだな? 私も同意するよ。」
C.C.もそう思うか?
……あれ?
『天空要塞ダモクレス』。
それは最大で高度300㎞上空から文字通りに『
パパパパーン!
その要塞内では本来、聞くはずのない発砲音が響いていた。
無論『要塞』と名がつけられている通り、内部への侵入が許されても侵入者を撃退する兵士やKMFが動き回れるほどの幅がある通路。 さらに、通路の壁から展開する自動機銃などの仕掛けもあり、これらは『初見殺し』と言っても過言ではない。
通常の侵入者ならば。
『前方70メートル、左上と右下に仕掛け────!』
『────アリスさんにソキア────!』
『『────分かった/はいよ────!』』
『────背後150メートルから殺気あり────!』
『────隠し通路だ────』
『────ダルクさんにティンク、潰して────!』
『『────は~い!』』
しかし、彼らは侵入者たちは『通常』からは程遠い、少数精鋭ながらも『突破』と『撃破』に特化したグリンダ騎士団にマリーベル。
さらに、ほぼ孤立状態ながらもどんな過酷な任務でも遂行する元イレギュラーズと彼女たちのギアス。
侵入者にとって難関である侵入先の把握やトラップに伏兵など、文字通りに力を合わせたこの二つの部隊の前では無いも同然である。
しかしそれを想定していたのか、皇帝側の戦力も質より量を重視した波状攻撃に対して内心焦りを感じていた。
「(攻略ペースが予想より遅い。 だが、まだルルーシュお兄様たちと練った作戦の想定範囲内────
皇帝を討つと言ったルルーシュお兄様は、『護衛がなくても多分大丈夫』と言っていたけれどもし仕留めることが出来なければこのダモクレスだけでも────
敵の出現やそのタイミングも『分かって』はいるのに、『根本的な対処』ができないのが歯痒い────
どうにかしてフレイヤ弾頭の
ティンクに全出力のメガハドロンランチャー────
いいえ、誘爆の可能性も捨てきれない────
やはりここは────)────ッ?!」
マリーベルはランスロット・トライアルの中で、ピタリと動きを止めた敵ヴィンセントたちの様子に戸惑いを覚えた。
『……? 敵の動向が消えた────?』
「────総員、私に続け! 一気に装填室まで駆け、フレイヤを無効化する!」
だがそれも一瞬だけであり、サンチアの通信を聞いたマリーベルはすぐに大胆な行動へ移り、物陰から飛び出した。
そして彼女は動きの止まったヴィンセントたちを攻撃するどころか、躊躇なくそのまま素通りする。
『マリー、これは一体────?』
「────おそらく、敵側に何らかの変化があったのだと思うわオズ。(果たしてそれが皇帝なのか、シュナイゼルお兄様なのかは分からないけれど。)」
……
…
「右舷、弾幕が薄い! 何やっているんだ玉城?!」
『敵が倒れねぇんだよ! 文句があるなら、相手に言え!』
イカルガの中で珍しく怒気を含んだ扇の声に、いつも以上に苛立った玉城の返事が返ってくる。
「はぁ~……『死なない兵士』ってのは面白いけれど、敵に回すと厄介なだけねぇ~。」
そしてラクシャータはいつもの調子で開戦と共に海へと落とされた黒いサザーランドたちが復活する様子を見てぼやいた。
ザ、ザザザ……
通信機にノイズが走った直後、画質の悪い映像付きの通信が入り、ダモクレスの制御室らしき場所がイカルガのスクリーンに映し出された。
「は? おい、この映像は何だ────?!」
「────わかりません! 突然、零番隊用の周波数に────!」
「────発信源は……巨大要塞内部────?!」
「────ゼロ?!」
オペレーターの双葉の言葉に、イカルガのブリッジにいた全員の視線がスクリーンへと向けられる。
そしてそこには二つの視点からの映像が映し出されていた。
一つはゼロの視点らしき映像。
もう一つの通信映像には、相対するように立つシャルルとゼロの姿があった。
……
…
「これは────?!」
「────録音を続けろ! 手を止めるな!」
同時刻、イカルガ内の広い情報部の一室ではブリタニア内戦終結後のプロパガンダとして使用する戦場映像の整理や編集が進められていた。
その最中にシャルルとゼロが対峙する映像が届いていたおかげより一層忙しくなったにも関わらずディートハルトはウキウキしていた。
『来たか、ゼロよ────』
『────皇帝シャルル! 問おう! 先の戦いで見た黒いサザーランド……あれこそが、貴公の追い求めていた不老不死か?!』
『フン、何を……あれらは失敗作に過ぎん。
『────ならば! 去年、行政特区での狂乱……否! ブリタニアの兵士だけではない! ユーフェミア皇女が豹変したのも貴公の仕業か?!』
『奴は主義者であり、危険分子だった。 だが────』
────ニヤリ────
『────貴様とは違い、なかなかの余興であった。』
『自らの民……そして自らの娘まで己の欲望に利用するとは、人間を何だと────?!』
『────何を言う。 ワシはずっと宣言しているぞ? “人は平等ではない”と。
『では枢木スザクは?! 奴をラウンズにしたのは、他でもない貴様だった────!』
『────しかし奴はブリタニア人ではない。 奴は実験の良いテストベンチだった故、手元に置いただけよ。』
『自然の理を……“自由”を己の欲の為に曲げるために人間の尊厳や自由を踏みにじる冒涜に、それ等に関わってきた者たちの粛清と犠牲……そしてフレイヤとこの難攻不落に近い要塞による、世界を恐怖政治による統一化の算段……そのために貴様の犯した数々の罪は万死に値する!』
ただニヤリとほくそ笑んでいたシャルルにゼロは銃口を向けながらそう宣言するゼロの姿はまさしく、今まさに巨悪の根源を断罪している『正義の味方』だった。
パンパンパンパンパンパンパァン!
ゼロの拳銃が火を吹き、飛び出た弾丸はシャルルの胸に次々と命中して行き、シャルルは後ろへと倒れる。
『……思っていたよりも、呆気────』
『────それだけか、ゼロよぉ?』
『何?!』
ゼロが警戒を緩めると同時シャルルは体を起き上がらせながら懐から拳銃を抜き、驚愕したゼロへと向ける。
『貴様、不死身か────?!』
『────ハハハハハ! 私を殺すなど、焦ったなゼロよ! ワシが無策のまま貴様に撃たれるとでも思ったか?! ワシを殺せるのは、同じく処理された者だけだ! すでに全員、強化処理を施され、ワシに忠実な肉人形と化しておるわ! それに歯向かったとしても、ワシが死ねば全員が死ぬように細工を施した────!』
『────それが、黒いサザーランドや“不死の兵士”の正体か────!』
『────いかにも! 死ね、ゼロ────!』
『────とぉ!』
バキッ!
『ぐぁ!』
そんなシャルルをゼロの視点の外から誰かが飛び蹴りを食らわせ、着地後にマントをふわりと整えながら胸を張り、ポーズをとる。
『俺、参上!』
ゼロの衣装より少々ごつめの白い衣装を着たその誰か────中華連邦で天子の結婚式を滅茶苦茶にした『ネモ』が高らかと宣言する。
『ネモか、助かった。』
『ハハハハハ! 君に感謝されるほどの事はしていない! だが忠告はしていたはずだぞ? 皇帝シャルルは
『ぐ……中華連邦の放送を観てよもやと思っていたが、やはり貴様かネモ! 生きておったのか?!』
『残念だったな、ゼロのおかげで今日まで生き永らえたのだ! しかしこのまま皇帝を放っておけば彼はいずれ人間ではなくなる。 残念だが────!』
そう言いながらネモは腰のホルスターから、二丁の
『────こういう場合は、全力で
『シンプルイズベスト、だな。』
ババババババババババババァン!
先ほどゼロが使った拳銃より重い発砲音が響き、次々と弾丸がシャルルに撃ち込まれていく。
『ブルァァァ!!!』
次第に彼の胴体は文字通りに『ハチの巣状態』になったことより紫色だった正装は血のような深い赤に塗り替えられ、シャルルは前のめりに倒れては動かなくなった。
その様子を見たゼロはネモに横目を(多分)向けると、ネモは怯む様子なくシャルルに近づいてはしゃがんで脈をとる。
『……うん。 今度こそちゃんと死んでいるようだ、ゼロ。』
『そうか。 だが皇帝シャルルは狡猾だ。』
ゼロはそう言いつつ倒れていたシャルルに近づきながら拳銃を再び懐から取り出し、それをシャルルの後頭部に向けると躊躇なく引き金を引く。
『故に侮れん……念のために────』
パパパパパパパパパパパパパパパパン!
『────
『え。』
今までとは少々違う気の抜けた声を出すネモを無視したゼロはそのまま空になっていた弾倉を取り換え、再び拳銃を構えて引き金を引いていった。
ビィィィ!!!
『何だこの音は?』
『……そうか! 道理で誰もいないわけだ!』
途中でけたたましいアラーム音が鳴り始め、戸惑うネモの様子とは裏腹にゼロがはっとして近くのモニターを見てから通信を開く。
『この要塞にまだいる者たちおよび近くの者たちよ、聞いてくれ! こちらゼロだ! この要塞の自爆装置が既にカウントダウンを始めている! 脱出し、出来るだけ距離を取れ!』
ゼロの視点からの中継映像が切れてから数分後、トウキョウ租界を群で襲ったフレイヤミサイル以上の強いピンク色の光が放たれた。
瞼越しでもまばゆいその閃光はダモクレスの各部から発生し、やがて光に飲み込まれたダモクレスは文字通りに消滅していった。
後にこの時の光景も編集された映像に加わり、『暴君シャルルの乱心』と言う題名の元に放送されることとなり、中華連邦で『ネモ』と名乗った人物が提供した情報によってゼロとピースマークそしてグリンダ騎士団が共同で行った調査によって明るみに出た内容に世界は驚愕した。
皇帝シャルルが秘密裏に進めていた人体実験と連なる生体兵器の製造、自分の子供や比較的優秀な兵士をもその人体実験の対象として扱っていたことや、サクラダイトに頼らない原動力の戦略兵器化とダモクレスによる文字通りの『恐怖政治による世界統一』。
それらの目論見が黒の騎士団に漏洩したことで皇帝シャルルが狂乱に出てはゼロとネモにより討たれたこと。
皇帝シャルルに賛同した者たちを誅する為にマリーベルおよびグリンダ騎士団が独断で、目覚ましくもダークホースな傭兵団『プレイアデスナイツ』を雇ったこと。
巨大要塞ダモクレスと皇帝派の連合艦隊との激しい抗争により『プレイアデスナイツ』が傭兵にしては珍しく自己犠牲によって義を果たしたこと。
フレイヤの発射装置の破壊を試みたグリンダ騎士団に重傷のカノン・マルディーニが保護され、ブリタニア帝国宰相のシュナイゼルが脱出し、身を隠したこと。
数々のニュースは世界中の人間を骨の髄まで震わせ、後に超合集国連合と神聖ブリタニア帝国は停戦協定から公式な戦争の終結条約を結んだことを発表し、人類史上で。比較的平穏な戦後処理へと移行することとなる。
その経過で暦も『皇歴』から『光和』へと変わると同時に皇帝代理のオデュッセウスによりブリタニア帝国は軍部の見直しによって事実上縮小し、まるで戦に疲れた世界中の人間が、とうとう真の意味で平和が訪れたことに安堵し、休めるような様子だった。
ここは神根島。
そしてダモクレスが自爆してから数時間後の現在、休む暇もなく連戦を行ったことで疲弊していた各勢力の部隊がここを仮の駐屯地として使用していた。
ほぼ事情が分からないままゼロに駆り出された黒の騎士団の零番隊と旗艦であるイカルガ。
速度を重視し、戦いに不要な物資を搭載せず急遽出撃しつつノネットと合流したマリーベルの大グリンダ騎士団。
そして最後に、『プレイアデスナイツ』という傭兵団……に偽装したアマルガムとプラスα。
大まかに、この三勢力がそれぞれ島に着陸して被弾したKMFや艦のメンテナンスを行っていた。
ガガガガ!
カァン、カァン、カァン!
神根島のそこら中から聞こえる、激しい音にそこかしこで汗を流しながらも淡々と整備作業を行う者たちの姿。
「………………」
で、
他の皆曰く、サイコパスな方のマリアンヌとの対峙中に俺はキレッキレな活躍をした。
と言うのも
気がついたらアロンダイトから放り出され、無我夢中でパイルバンカーについていたワイヤーを使ってアルビオンにしがみ付いて中にいるマリアンヌを直接攻撃していた。
あとは近くにいたアマルガムの機体やリア・ファル、そしてディーナ・シーから得たデータをもとに自分が何をしていたのか予測はつくが……あれだけアロンダイトで動き、特典を使用したのなら、気を失うほど体が軋んだり、『痛い』と言いようしかない
だが現に今の俺は気怠い上に眠気を感じはするものの、いつもに比べればかなり軽い症状だ。
なのに、整備の手伝いをしようとすると周囲の全員が無理やり俺を止めに入る。
で、今に至る。
「……気まずい。」
「まぁ、そう言わずにさ。」
ちなみに、いつの間にか来ていたカレンものんびりと隣に座っている。
……無事でよかった。
何せ最初、俺がゼロたちと共にダモクレスから脱出してイカルガに帰って来た瞬間、文字通りに飛び込んできたからな。
『タックル』ともいうが、泣いていたことから『怒り』より『安堵』の方だろう。
「────何、スバル?」
おっと、じっと見つめすぎたか。
「いや、お前が珍しく炭酸飲料を飲んでいると思っただけだ。」
「だって、スバルが言っていたじゃん。 “KMFに乗る前とかは炭酸や豆類は避けろ”って。」
そう言えばそうだったな。
アニメなどのメディアでは、こういったリアルならではの生理現象は省かれているが、実際のKMF操縦中や戦場では激しい動きとかGによってかなり悲惨なことになりかねないからなぁ~。
ま、例の強化スーツに高伸縮排泄物パックとか消化吸収率の高い携帯食とか開発すればクリアできるかもしれない。
……ますます某衛〇強化スーツに近づいている気がする。
………………………………『敵対的な地球外起源種』とかが来ませんように!
お願いします!
お願いします!
大事なことだから本気で二度(心の中で)祈ったぞコラぁ!
「……す、少し飲む?」
「ん?」
「え、だって……その、さっきからずっと見てるからさ?」
間接キスになるとカレンは気が付いていないのか?
「いや、今は非炭酸なものを飲みたい気分だ────」
「────奇遇だなスバル、私もだ。」
カレンとは反対側から、私服(タンクトップ)姿の毒島が俺の隣にかがみ、ドリンクを手渡し────カップサイズ詐欺疑惑の谷間がコンニチワ!
うーん、大きさだけじゃなくて形も良いネ♪
『美乳。』
その一言でしか表すことが出来ないな。
『カレンは』?
『ロケットおっぱい。』
つまりは毒島とは別の意味で『大変目の保養になる張りのある胸』である。
毒島がグイッと飲む姿に俺もドリンクを一口。
うん、このすっきりとしたクエン酸の酸っぱさに、醤油のしょっぱさ、麦っぽい辛さ、縁茶の風味が合わさって……ハードロックな破壊力のあるハーモニーがががががががががが?!
「ブフッ?! ゴホッゴホッゴホッゴホッ!!!」
「ちょ、ちょっと?! 大丈夫スバル?!」
な、なんだこの渋~い味は?!
思わずむせたぞ?!
「な、何を飲ませたの?!」
「??? ただの
「なにそれ。」
渋いな、おい?!
俺も今世プラス前世含めて、『梅醤番茶は健康食品の一つ』としか知らないぞ?!
しかも『イケる』か『大嫌い』かに分かれるタイプ。
「じゃんけんでは引き分けだったのに我先にと来ては……」
「ゲホゲホ、ゲホ!」
ぶ、毒島が何か言っている気がするが、むせていてうまく聞き取れなかった。
「それに、梅醤番茶は健康にいいのだぞ? 冷え性や風邪、胃腸の不調などを整えてくれる。 君は間違いなく、ゼロやマリーベル、レイラ、シンたちと並ぶほどの功労者だ。 心身ともにな。」
それで何の事前情報もなく他の人に飲ませるのか?
いや、毒島の事だから善意でやったのだろう。
……不器用だな。
「感謝する、毒島。 ありがとう。」
「ッ。 あ、ああ……その、ただ君を労いたいだけだ。 だから皆の事を悪く想わないでくれ。」
そう言いながら毒島が見た先には汗を流しながらも活き活きと整備作業に励むアンナたちの姿だった。
ツナギの洗濯などが間に合わないのかいつもとは少々違うラフな服装────半袖のTシャツにデニムのオーバーオールを着て作業をしている。
俺たちの視線に気が付き、一瞬だけ目が合ったアンナははにかみながら手を振ってから再び整備に戻る。
……初めて会った時は、『見知らぬ人』という以前に、『他国の人』というだけで委縮し、意図的に会うのを避けていた引っ込み思案なアンナが、こうして明るく反応してくれるのは嬉しいな。
「彼女も君と会って変わったと、レイラから聞いている。」
「……結果的にそうなっただけだ。」
「うわぁ、出たよまた……」
「フフ、君のその謙虚な言いまわし、久しぶりに聞くな♪」
残念無念、そんなんじゃないねん。
ほんまにそうなっただけやねん。
「それに『久しぶり』と言えばカレンの苦笑いにジト目、そして毒島の笑顔もそうだぞ。」
「「え。」」
「(『余裕』が感じられるから)いつ見ても、嬉しいものだ。」
「「……」」
ん?
二人とも黙り込んで目を逸らしたぞ?
「コホン! それと、『例の者たち』のことだが……スバルはどうするのだ?」
あー……うん。
毒島が咳払いして雰囲気を変えると、俺は軽いめまいを覚えた。
せっかく考えないようにしていたのに……あの、頭が痛くなる案件たちを。
……もう、本当にどうしてこうなった────
「────あっ。」
「「“あ” ?」」
そういえば、『例の者たち』の中に、
コードギアス作中でも屈指の不幸な理由による被害者。
「スバル────?」
よし……思い当たったら、即行動するしかない。
「────毒島。 ゼロと話して、ジェレミアを借りようと思う。」
「ジェレミア……ああ、オレンジ色の仮面をした御仁か。」
ぶっちゃんも、なかなか辛辣だね。
オオクボステーションモール騒動もあったから、気持ちは分からないでもないけど。
「それから……
「そうか。 同行者は?」
「多分、大丈夫だ。」
「「付き添うよ!/付き添おうか?」」
「いや、(刺激したくないから)俺一人で十分だ。」
「むぅ……」
「……そうか。 相変わらず君は……」
そもそも、俺の考えが当たっているなら、今頃
極力他人に見られるのも嫌うだろうし、巻き込みたくない。
「それに、俺とジェレミアだけじゃない。 おそらくだがゼロも来るだろう。」
「そうか?」
「まぁな。」
「ちょっと待って! それって大丈夫なの?」
「ああ。 (多分。)」
あそこには
そう思いながら、少々重い足取りでイカルガへ向かいながら、リア・ファルの近くに停泊している航空浮遊艦を横目で見る。
大グリンダ騎士団や、ブリタニア帝国の主力であるカールレオン級よりも、ひときわ大きいログレス級────
……うん。
……どうしてこうなった。
カリカリカリカリカリ……
とある部屋の中で、ペンが紙の上を走る音が響く。
その部屋は簡素ながらも高級ホテルの一室のような内装をしていた。
窓には鉄格子があり、警備というより看守のような者たちが控えていることを除けばの話だが。
コン、コン。
「どうぞ。」
『失礼します。』
ガチャ……
部屋のドアが開き、ピンクブロンドの髪を持つスーツ姿の女性が入ってきた。
「初めまして。私はアイーシャ・イナヤット。あなたがこの国にいる間、あなたのもとで働くようにと仰せつかっています。」
「そうかい? 助かるよ。 何せ、私は文字通り着の身着のまま来てしまったからね。」
「……」
「不服そうだね?」
「いえ────」
「────気丈に振る舞うのは、勘弁してほしいものだよ。 私の周りは、今までそういう人たちばかりだったからね。」
「……」
「だから、私は裏表のない正直なやり取りをしたい 。ダメかな?」
「……では、単刀直入にお聞きします。あなたはなぜ、我が国に来たのですか?」
「???」
「国の安寧を思う者として、あなたのような人物が来るのは────」
「────意外かい?」
「……ええ、まぁ。」
「うん、さっそく裏表のない会話を始めよう。 そうだね……今の私は
「……」
「あっはっはっは。 その目は私を信じていないね? ならば、この国の国力向上に向けて働くとしよう。 これからお世話になる国だからね。」
そう言いながら青年はかけていた眼鏡をはずし、仏頂面のアイーシャの目を見る。
「自分で言うのもなんだけれど、これでも自分の手腕は良い方だと思う。 何せ宰相の身だったからね。 期待していいと思うよ?」
部屋の中にいた青年──シュナイゼル・エル・ブリタニアは、ニッコリと愛想のいい笑みを浮かべ、平然とそうアイーシャに宣言した。
ちなみにアイーシャは273話にてジルクスタン王国の代表として超合集国連合からの使者に王国の加盟を拒否した子です。
活動報告への返信、誠にありがとうございます。 励みにしています。 m(_ _)m