俺には(叫ぶ)口がない。
それでも俺は叫びたい。
「良いのですか、ゼロ?」
「ああ。 ネモが頼むとはいうことはそれなりの理由があるとみて良いからな。 そうだろう、ネモ?」
「ああ、俺の
「クククク。」
『特撮ヒーロー』の仮面を物理的にも装着した
知っていて俺に話題を振るうなよ、この腹黒頭でっかち野郎!
俺に恨みでもあるのか?!
いや、
しかも
何を隠そう。
現在、俺は『ネモ』に変装中なのだ!
俺もまさか一発芸のつもりだった『ネモ』として、こうして公の場に出るとは思わなかった。
ちなみに今はゼロたちと共に、グレートブリタニアの中を歩いているところだ。
『なぜか』って?
説明しよう! ……なるべく手短にな。
もう既に察しているかもしれないが、俺の『絶対悪』に対してヴィ親子―ズが何だか歯車を合わせるかのようなトントン拍子で『絶対悪シャルルの暴走、死なないゾンビ兵、スザクとユーフェミアの弁明作戦』を練って気が付いたらルルーシュの
そこからはまさに『特撮』というか『世界の悪』であるシャルルが、『正義の味方』であるゼロと『人体実験の生き残り』であるネモに倒される三文芝居。
まぁ……ルルーシュによりアドリブで積年の恨みをこれでもかと弾倉が空になるまで死んだフリをせざるを得ないシャルルを撃った時は引いたけれど……
『コード保持者』って不老不死だけれど痛覚はそのままだから相当痛かったはずだが……『流石はルルーシュの父親』かな?
でもさすがにダモクレスの自爆はルルーシュ達にも予想外だった様子で、確認ができた際には最も近かったラウンズに復活したシャルルが呼びかけてグレートブリタニアを呼び寄せさせて、途中で瀕死状態のカノンを保護したグリンダ騎士団と元イレギュラーズと合流し、全員脱出。
中華連邦の時とダモクレスの時はやけくそだったからあまり考えていなかったけれど……
なんで過去の俺はネモを陽キャラ設定にしたんだろう。
ヒソヒソヒソ……《i》
「見ろ。」
「ゼロだ。」
「ネモとかいう奴もいる。」
「……やるか?」
「バカ言え、単独でゼロと一緒に玉座まで辿り着いた二人だぞ。」
「しかもネモも強化されているというではないか。」
「人型の化け物が……」
聞こえているぞそこぉ!
『精神年齢』は別として俺はまだピチピチの18歳だぞ!
あ。 ちなみにグレートブリタニアの乗組員たちにはシャルルが事前にギアスをかけているらしいからシャルルとマリアンヌがいても違和感を持たないようになっているらしい。
……用意周到過ぎて『流石はルルーシュパパ!』と思わず言いそうになったよ。
《i》ガチャ。
「来たか。」
グレートブリタニア内のとある部屋に入ると、俺とゼロを待ち構えていたかのように座っていたシャルルがいた。
座っていても巨体のせいか、見上げる必要もなく目線が同じだ。
「時間通りね。」
そして彼の隣にはマリアンヌ。
「……フ、来るのを分かっていて言っているのが
「そういう貴様も、ここぞとばかりに畳み掛けてきおる。」
ジヴォン家だけでなくお前たちもか。
もう本当に言葉足らずだな、コードギアスの人たちは?!
俺?
俺は単純に『口下手』だからノーカンだ。
「まぁまぁ、二人とも言いたいことははっきりと言ったほうがいいわよ? 私みたいに。」
「むぅ。」
「……」
なるほど。
ヴィ親子の中心であり、『潤滑油枠』はマリアンヌだったのか。
「それとC.C.は?」
「奴なら『用事がある』と言っていた。」
「チッ、逃げたわね。」
……聞こえなかったことにしよう。
「さて、何から聞く?」
俺たちが座ると同時に、シャルルからの問いに俺は挙手する。
「……なんだ?」
「茶を入れるが────」
「「────もらおう。」」
そしてあたかも当然と言わんばかりに二人が即答する。
『
バシッ!
「それが善意で訪ねた人に頼む姿勢かしらシャルル?」
「……皆の分を。」
なるほど。
『潤滑油枠』でありながら、尻に敷く立場なのか……
悪く言えば『お転婆』。
…………
………
……
…
カチャ。
久しぶりに『従者見習い』で入れたお茶の評価は?
「「……美味い。」」
さようですか、ルルーシュ&シャルル。
「美味しいわねぇ。」
「恐縮です。」
う~ん……庶民の出自だからこそ、マリアンヌのほうが同じ目線で素直だな。
いや、『庶民だったから』と言い直した方が良いのか?
多分、こういうところとその場によって凛とした騎士や貴族としての佇まいを使い分けるところとかにジェレミアやコーネリアにクロヴィスたちは好感を持てたんだろうな。
笑顔もナナリーに似て……ああ、いや。 この場合はナナリーが似ているのか。
ますます
「さて。 そちらはともかく、俺
「ふん。 この局面でようやく正面から堂々と言うようになったな……」
「御託は良い。 『ラグナレクの接続』をお前たちは確かに計画していた、C.C.から聞いたからな。 しかし中断したと聞いた。」
「うむ。 マリアンヌの」
「ならばなぜ『ラグナレクの接続』のために動いていた? ……V.V.が独断で────?」
「────いいえ。 むしろV.V.も中断することに賛同していた。」
え? どういうこと?
「なるほど。 つまりは
「恐らくな……それも確固たる確信へと変わったのは、我々が中断した『ラグナレクの接続』に必要な下準備を、
「ブリタニアの機関を使ってね。」
え。
「なんだと?」
「最初はルルーシュが思いついたようにV.V.がシャルルや私、C.C.に黙って動き出したのかと思ったわ。 でも調査していく内に首謀者はV.V.ではないことが分かった。 けれど、それ以上のことは何も……」
「うむ。 調査をしていく内に、関わった者たちは自分らの取った行動の動機や原理を
つまり……どういうことだ?
帝国を『人体』と例えれば、『
なんてホラー映画だよ?!
……『パペットマスター』?
「そして調査が難航していたところに、突如として前触れもなく遺跡の調査をしていたV.V.の前に
「『調律者』、を自称した彼がね。」
ん?
『調律者』?
はて、どっかで……
「……」
おっと、ルルーシュがこっちを見ている。
「俺も知らない。」
「そうなのか?」
そうなの!
「言っておくが、初耳だ。」
真っ先に否定しても、今まで俺がやってきたことを思えば、怪訝そうな目を向けてくるルルーシュの気持ちは分からなくもない……かな?
というわけで、秘技! 『話題を変える』!
「C.C.は知っていたのか?」
「いや、奴はC.C.がいないときに現れていた。」
「話を戻すけれど、彼は『ラグナレクの接続』の事を知っていた。 『調律者』として準備を進めていたことも白状してきたわ。」
「『調律者』とはふざけた話だ。 そいつの名前は?」
「分からぬ……だがこのまま『ラグナレクの接続』を見過ごすつもりはなかった。」
「だってナンセンスでしょう? 『ラグナレクの接続』をせずとも、お互いの事を許容さえすれば生きていけるのだから。」
「だが調査を進めていく内に、奴が他に何をしていたのかが明るみに出たことでワシとマリアンヌ、そしてV.V.は阻止しようと決断した。」
「それは?」
「『ラグナレクの接続』とは別に、あらゆる人体実験。 お前たちも見ているが、中華連邦でのエデンバイタル教団が分かりやすい例だろう。」
あの胸糞悪いところか。
「あの胸糞悪いところか。」
お、ゼロとかぶってちょっと嬉しい。
「そうだ。 そしてその矢先に、マリアンヌが殺された。」
……つまりV.V.とは別の誰かがマリ暗殺ヌを決行したと。*1
「しかし現に母さんはこうして生きている……そもそも、もう一人いたが?」
「あの日、巻き込まれたナナリーの治療を優先させた私はV.V.に契約を迫った。」
「……シャルルの『ザ・デッドライズ』は使えなかったのか?」
「ワシの『ザ・デッドライズ』は、一度滅んだモノを蘇らせ、それを意のままに操る力だ。 マリアンヌの体を救うことは出来ても、既にエデンバイタルへと還り始めた魂までは救えん。 それにマリアンヌが発症するギアスが
「……?」
急に歯切れが悪くなったシャルルに対し、ルルーシュはわずかに眉毛を寄せた。
俺もネモの仮面の下で、きっと同じ仕草をしているだろうな。
「V.V.との契約を済ませたその時、私は確かにギアスに目覚めた……
やっぱり『ナイトメアオブナナリー』のマリアンヌかい。
マリアンヌの顔が曇った?
「私は近くで倒れていた行儀見習いとして離宮に来ていたアーニャにギアスを使った────いいえ、
「……その時からか、マリアンヌ?」
「ええ。」
シャルルとマリアンヌが視線を交わしてから、再びマリアンヌが口を開ける。
「アーニャには
「もう一人の?」
えええええええええええええええええええええええええええええええええええ?!
「そうだ。 アーニャの中には、
「つまり……母さん────いや、『マリアンヌ』という人物がその時点で『二人同時に存在していた』ということか。」
ちょっと……えええええええええ。
ルルーシュも平然としちゃっているけれど……ええええええええええ。
なんてミカン入り闇鍋コードギアスだよ?
「ワシは持っている記憶を頼りに確認をしたが……アーニャの中に宿った者は以前とは違う、残虐性と快楽性をより増した別のマリアンヌであった。 恐らくは、
「魂や意識に干渉する能力か……」
「私はアーニャの中へと避難することを断念し、エデンバイタルへと完全に引き込まれる前にCの世界に留まることに成功した。 」
「あそこは隠れるのに最適だからな……そこからワシと兄上は奴に協力する形でずっと機を窺い、手中の遺跡を介してCの世界に居るマリアンヌと話し、とある計画を練った。」
「それが、シャルルの知っている歴史をなぞること。」
「知っている歴史……別の世界線のことか。 そう言えばあの時、『運命を変えるに代償が伴う』と言っていたな?」
「うむ。 いくつか試したが……一度知っている歴史をなぞり始めると脱却するのは至難を極め、最悪より過酷な過程が伴っても同じ結果に至ることが判明した。」
え?!
それってまさか────
「────歴史をなぞらせるのにかなり苦労したぞ。」
「
つまり、今までが『原作通り』だったのは?!
「それも、『兄上の死』までの辛抱だったがな。」
ん?
「歴史を変えることが難しい反面、それをなぞることで絶対的な強制力があるならばそれを転用することにしたの。 『V.V.の死』に、
ほぇ~。
コード保持者の記憶を弄ることが出来るのか。
……怖いな、おい?!
「そこまでする必要があったのか?」
「
ちょっと待てシャルル。
「より確証を得るためにマッド・カニングハム教授をエデンバイタル教団に加え、彼の試行錯誤によってその仮説は証明された。 そしてこんどは精神的に葬る方法を彼に依頼し、エデンバイタル教団で探してもらった結果、
────その言い方だと、まるで────
「────そうして奴が積み上げた技術を転用し、兄上は奴を巻き込んで死した。」
「おい。」
気づいたときには、俺の喉から上記の声が出ていた。
体もわずかに怒りで震えていた。
何故ならば────
「────皇帝シャルル。 その言い方だと、貴様はギアス嚮団とエデンバイタル教団で行われていたことを知りながら黙認どころか指示していたように聞こえるが────」
「────奴は危険すぎる『巨悪』。
「────ふざけるぁぁぁぁぁぁ────!!!」
バキッ!
「────ぐぁ?!」
痛っっっっっっっっっっっっっっっっってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ?!
なんつー骨をしているんだ?!
俺の拳、折れているんじゃねぇか?!
そう言えば前世で聞いたことがある、『素手で骨が折れるぐらい殴ればパンチした奴の方がダメージを受ける場合がある』って。
ああ、痛みで冷静になってきたぞ。
目の前には俺に殴られて本気で痛がりながら鼻を抑えるシャルルと、それを見て見ぬふりをするマリアンヌにルルーシュ。
……………………うん。
めちゃくちゃ気まずい。
「ふぅぅぅぅぅ~……少し、外に出る。」
そこからはすたこらサッサな勢いで部屋から退室し、更に数歩歩いたところでシャルルを殴った拳に血が滲み、そして『ついカッとなってしまった』という気恥ずかしさが顔に広がるのを感じる。
しかし……情報過多すぎる。
まずシャルルの話だが、エデンバイタル教団から保護したあの子たちも、今はいなくなった『調律者』とかいう奴を殺すために
それにギアスを得られる方法がアニメと外伝が同時に成立しているとなると……
『ナイトメアオブナナリー』で出てきたトンデモ設定の
まず『ギアスユーザー』は通常、C.C.細胞を埋め込まれた者たちはギアスを発現した際に体内のC.C.細胞をインターフェイスのように経由してエデンバイタル────分かりやすくすれば『万物の根源』というか『
しかし本来、C.C.細胞は健全な体にとっては『無理やり移植された異物』だから使えば使うほどにC.C.細胞が適合者を侵食していく。
そして能力を使うその度に急激に増殖し、最後はユーザーの完全崩壊にまで至る。
しかし生まれながらに契約無しのギアスユーザー、通称『ワイヤード』は先天的にギアスを持ちながら生を与えられている。
故にノーリスクかつ代償無しでギアスを行使できる。
二回目言ったぞコラ。
もしシャルルが『ナイトメアオブナナリー』通りにワイヤードであり『ザ・デッドライズ』を発現し、V.V.と契約して『記憶改竄』も得たのなら辻褄が合う。
でも彼自身、コード保持者になったから『記憶改竄』は────
「────ッ。」
そこで俺は歩みを止め、ふと考えた。
『俺ってこんなに短気だったっけ?』と。
確かに少し前のエデンバイタル教団や、記録で見た『戦闘狂なマリアンヌ』との対峙(の終盤辺り)でカッとしてはいるが……なんでだろう?
そもそも、『俺』ってこんな性格だったか────
────……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………
「ではまず、兄上のおかげで奴がいなくなった後の話だが────」
「(────いったいどこからツッコめばいいのだろうか……)」
鼻血が止まらない様子のシャルルがハンカチで鼻を押さえているシュールな光景を見ながら、ルルーシュはそう思いつつも彼の言葉を聞き続けた。
「(この場合、スヴェンが言っていた“
「貴様も中華連邦やEUを見て分かっていると思うが、ブリタニア帝国の政治形態は長く存続してきたが、すでに衰退の予兆はワシが帝位に就いた時点で見えていた。 もう分かってはいると思うが政治も人が作り上げた『システム』である限り、必ず寿命が来る。 それが時の君主の行いによって早まるか、あるいは現状維持になるかの違いである。 故に、ワシはワザと『人権』や『尊厳』などを無視した残虐的な行為や恐怖政治を良しとする前提を作り出し、最も分かりやすい収束点────つまり、世界が共有できる『敵』を作った。」
「(やはりそうか。) そして、共有する敵がいることで否が応でも団結せざるを得なくなる
「それだけではないわ。 頑固な帝国のやり方で甘い汁を吸い続けようとする貴族や富豪たちをシャルルの元へと集め、一網打尽にする。 その世界規模の『粛清』が、私たちの考えた
「……そして『その後』の世界の番人として俺や零番隊……黒の騎士団にマリーベルやグリンダ騎士団を選んだのか。」
「ゼロは『正義の味方』であると同時に、黒の騎士団は『
「(ハァァァ……
「なんだ?」
「うん?」
「ここにはアイツ────スバルが居ないから聞くが、彼との面識はどこであった?」
「何のこと────」
「────とぼけるな。 ギアス嚮団の遺跡で、貴様は彼を知っているようなそぶりを何度か見せていた。」
ルルーシュの問いに珍しくシャルルが気まずげな表情を浮かべ、マリアンヌも考えるそぶりを見せた。
「……見れば分かると思うけど、ルルーシュとも仲がいいみたいだし言っていいと思うわ。」
「……些末な────」
────ゴン!
「それなら、私が説明するわね♪」
「ああ。」
「と言っても私たちでさえ分かっていることは少ないし、憶測も入るけれどね────」
………………
……………
…………
………
……
…
「ふぅー……(思っていたより長居してしまった。 ジェレミアを呼んで、これからの────)」
「────ゼロ様────」
「────フォ?!」
部屋を出ながらゼロの仮面をかぶりなおしたルルーシュはため息をつき、通路へ出たところでジェレミアに声をかけられ、素っ頓狂な声を上げてしまう。
「コホン。 ジェレミア、なぜここに?」
「いえ、私の方が早く終わったのでゼロ様を迎えに来たのですが、彼が待っている様子だったので……」
「(“彼”?)」
ジェレミアの視線を追うと、壁にもたれながら立っているネモの姿があった。
「(わざわざ俺を待っていたのか? それとも、盗み聞きか?)」
「……」
「おい、ス────ネモ。」
「……」
「寝ているのか?」
そう思ったゼロはジェレミアを横目で見る。
「だとすればかなり深い眠りですね。」
「(無理もないか……)」
ゼロが思い出したのはかつて、スバルの日常をモデルに咲世子が作ったスケジュールだった。
「何せ私が来てから何度名を呼んでも反応していませんので。」
「フム……おい、起きろネモ。」
「……ん。」
ゼロはネモの肩に手を置き、軽く揺さぶるとようやく目を覚ましたネモがくぐもった声を出す。
「ゼロ────?」
「────やっと起きたか。」
「……俺は寝ていたのか?」
「その様子だ。」
「……そうか。 最近、あまり寝れていないからな。」
そう言いつつも、しっかりとした足取りで歩き出すネモの背中を見ながら、ゼロはジェレミアと共に後を追った。
「ジェレミア、彼に頼まれたものとは何だ?」
「アーニャ・アールストレイムにギアスキャンセラーを使うことです。」
「アーニャに? ……効果はあったのか?」
「ええ。 使う前も酷い様子でしたが、使った瞬間泣き出しましたよ。」
「(あのアーニャが泣くほどにか……)」
作者:ここから『復活編』までの空白期間を始めると思います。
チビアーニャん:……始まるよ。
【挿絵表示】
おはぎちゃん:……仲間????
どうでもいい余談:
どうして世の中上手くいかないことが多いのでしょうね……