小心者、コードギアスの世界を生き残る。   作:haru970

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大変長らくお待たせいたしました。

リハビリとして書いた次話です。

とうとう300話に到達。

活動報告への返信、誠にありがとうございます。

尚ここから純度100%の妄想マシマシな空白期間ネタが出て来ます。 (今更


コードギアスR2.5、R2後の“空白期間”
第300話 終局の後 (挿絵)


「……えーっと、つまり君は前皇帝に組みしていたのはやむなき事情だったと?」

 

 ニューロンドンにいたオデュッセウスの執務室で彼は面接のような物────否、文字通りに『面接』を行っていた。

 

『エリア11』────改名『日本』の南に位置する神根島周辺で神聖ブリタニア帝国の第98代皇帝シャルル・ジ・ブリタニアが巨大戦略兵器『ダモクレス』と共に討たれてから数日後、世界は未だに突然の終戦や『超合集国連合』という前代未聞の政治体制などの戦後処理に追われていた。

 

 そしてそれはブリタニア帝国も例外ではなかった。

 

 シャルル・ジ・ブリタニアの目論見だけでなく、次に有力な次期皇帝候補とされていたシュナイゼルがシャルルに加担していたことが重症ながらも生き延びたカノンの証言によって発覚したことで、皇帝およびそのナンバーツーが同時に居なくなったとばっちりは、皇帝代理を名乗るオデュッセウスとギネヴィアたちに及んでいた。

 

 主に『人材不足』という形で。

 

「はい。 血縁者────しかも家の格が上の者に言われたが故に仕方なく協力はしていましたが、ごらんの通り積極的に加担していたわけではなりません。 むしろ戦後の事を考えて────」

「────ああ、うん。 それならばいい……かな? 憲兵の職務に精励することで示せばいいと思う。」

 

 ピク。

 

 彼の隣で立っていたギネヴィア、およびカリーヌの騎士ダスコたちなどの眉毛がオデュッセウスの言葉にピクリと動く。

 

「ありがとうございます! 殿下のご厚情、感謝の言葉も……つきましては、お礼の気持ちとして持参致したるものがこちらに……」

 

「お礼の気持ち???」

 

「左様でございます!」

 

 ピクピク。

 

 オデュッセウスの前にいた男はわきの下に抱えていた物のカバーを取り、キャンバスに描かれた絵を誇り高く見せる。

 

「ご覧ください! この絵画はかのフランス革命中に賊から我が家が死守したコレクションの中でも────!」

「────うんうん、良い絵みたいだね。」

 

「そうですか、殿下が気に入ってくれれば幸い────」

「────誰かに頼んで美術館に寄付するよ。」

 

「……は?」

 

「う~ん、クロヴィスがいたら聞けるのだけれど私自身は絵のことはあまり分からないからね────」

「────い、いえ。 この絵は殿下に────」

 

 ────プッツン。

 

「貴方、ご自身が何を口にしているのかお分かりで?」

 

「???」

 

 とうとう堪忍袋の緒が切れた様子のギネヴィアが上記の言葉を面接を受けていた男に投げかけるが、当の本人は彼女の言ったことの意図を汲み取れず、ただハテナマークを頭上に浮かべるだけだった。

 

「法の番人である憲兵でありながら、あるまじき言動を取るとは……クレルモン卿! 贈賄の現行犯で拘禁しなさい!」

 

「ハ!」

 

「な、なんですと?! 我が伯爵家は今まで帝国の忠実なる────は、放せ貴様ぁぁぁぁぁぁ!」

 

 バターン!

 

 ダスコによって手を後ろに拘束されて部屋から無理やり連れ出されていく男を見送ったオデュッセウスは頭を両手で抱えた。

 

「はぁぁぁぁ……」

 

「申し訳ございませんオデュッセウスお兄様。 面会者のチェックを厳しくしようと試みてはおりますが……」

 

「う~ん……参ったねぇ……こうも人材不足となるなんて予想もしていなかったよ……悪いけど、マルディーニ卿に────」

「────シュナイゼルが逃亡中だということから、あまり得策ではないかと。 マルディーニ卿が無理やり従わされていたことは本人の証言とダモクレスからマリーたちが抜き取ったデータで証明できていますが、長年シュナイゼルの元にいたので印象は……」

 

「だよね~。 彼には既に持っていたネットワーク(裏組織)で帝国の事を支えるように言っているし……機密情報局もあまり良くない噂が出る前にベアトリス・ファランクスは辞退を宣言しちゃったし……」

 

「マルディーニ卿にさらなる兼任をするにしても、彼を誰かの補佐として就かせるのが精一杯かと。」

 

「コーネリアには帰国後、国防総省にもう就かせる予定だし……圧倒的な人材不足だよ。 先が長いなぁ~……」

 

「仕方ありません。 重要なポストにいた多くの者たちは部下たちを連れて、前皇帝の元に馳せ参じましたから。」

 

「それで残っているのが日和見していた者たちだからなぁ~。 有能でも家の格が低くて……う~ん……そうだ! 彼女の部下であるダールトン将軍とギルフォード卿なら適任じゃないかな?」

 

「確かに……それにダールトン将軍を任名すれば、名高いグラストンナイツが付いてくるので育成の手間も省けるはず。」

 

「よし、そうと決まれば今日はここまで────!」

「────まだまだすべきことは多々あります。」

 

「……私は皇帝代理であって皇帝では────」

「────それでもです。 スケジュールを見ますか?」

 

いやだ、見たくない。 全く見たくない。

 

「これでも本国に出来るだけ負担をかけまいと、マリーとヴェランス大公がそれなりに動いているのでお兄様の公務は通常の三分の二しかございません。 経済面は私とカリーヌが────」

 

────なんで父上が全部シュナイゼルに投げ出したくなったのか分かるような気が────

「────何か言いましたか?」

 

「イイエ、ナニモ。」

 

「そもそもお兄様が今までフラフラと────」

「(────ああ、今日も長くなりそうだ……)」

 

 ギネヴィアの説教が再び炸裂する中、やつれていたオデュッセウスは()()()()を閃いたそうな。

 

「────であるからにして────」

「────ねぇギネヴィア?」

 

 今まで自分の愚痴(説教中)に言葉を挟んだことがなかったオデュッセウスの挙手と言葉に面食らってしまう。

 

「は、はい?」

 

「思ったのだけどさ? 現状の貴族制度って、例外の場合以外は、嫡男が居さえすれば爵位をそのまま引き継げられるようになっているよね?」

 

「……ええ、それが何か?」

 

「その例外……要するに、ジヴォン家のように女子でも爵位を引き継げることを、普通にできないかな?」

 

「・ ・ ・ ・ ・ お兄様、本気でそれを成さるつもりですか?」

 

「うん? だって女性でも男子より優秀な人材たちを私は知っているから────」

「────人材不足が悪化しますわよ? より地位を高めようと娘たちだけでなく、今度は息子たちも婿入りさせようと躍起になります。」、

 

「だからさ? 新たな制度を付け足すのはどうかな? 『税収以外での国への献上』という条件をね。 それとある程度人事の緩和をするとか。 例えばマリーベルの居るエリア24のペンドルトン学園の卒業生たちが大勢路頭に迷うことがあるから、オイアグロ・ジヴォンがKMFを開発する企業に推薦しているとか────」

「────お兄様、その話を詳しく。 特にそれをどこで聞いたのかも。

 

「(あ、やばい。)」

 

 ギネヴィアの目を見たオデュッセウスは後悔しつつも先ほど口にした新たな制度に対し、()()()()()()()()()を話した。

 

 後にこれがブリタニア帝国内に残った貴族たち全員に衝撃を与えることとなるのだが……

 

 その話は、もう少し先である。

 

 「ムッキィィィィィィィィィ!!! 忙・し・す・ぎ・るぅぅぅぅぅぅ!」

 

 余談で近くの執務室では前髪が作業の邪魔にならないようにクリップで上げていたカリーヌが、人生で初の栄養ドリンクと、ブリタニア帝国の軍部に偏り過ぎていた予算の調整に嘆いていたと追記する。

 

 なおその栄養ドリンクは蓬莱島産であり、カリーヌはライバル視しつつも斬新なアイデアや統治方法に感心せざるを得なかったとか。

 

 

 

 


 

 

 カリカリカリカリカリ。

 

 さて。

 

 (スヴェン)の現状を話そう。

 

 カリカリカリカリカリ。

 

 ダモクレスと共に第98代皇帝シャルル・ジ・ブリタニアが大グリンダ騎士団、ゼロ、そして『プレイアデスナイツ』の行動によって討たれてから、世界は今まで戦争に向けていたリソースを、長年戦時体制に偏り過ぎていたためガタガタになっていた生活基盤やインフラに向けられつつある。

 数日経った今でもトウキョウ租界────否、東京のそこら中から朝昼晩と絶えず復興工事の音が響くほど。

 

 そして久しぶりにアッシュフォード学園の制服に袖を通した今の俺は、ペンを教室内で走らせていた。

 

 カリカリカリカリカリ。

 

 先ほどから聞こえているこれがそうであり、目の前には補習のノート。

 

 カリカリカリカリカリ。

 

 そしてその真横には『ピサの斜塔』ならぬ、『教科書の斜塔』がある。

 

「「「「……」」」」

 

 教室の前方には教師たちの面々が黙って俺()()を見ていた。

 

「はぁ~……」

 

 ちなみに右から来たため息は、同じく補習を受けているカレンのもので────

 

「♪~」

 

 ────左から鼻歌交じりに同じく補習を受けているウキウキなマーヤ。

 

「あの~……なんで私まで?」

 

 そこで困惑するかのように、何故か教師側ではなく生徒側にいたミレイが、おずおずと挙手しながら上記の問いを投げた。

 

 ……確かに変だと思ったが、あまりにも違和感がなくてスルーしていたぜよ。

 

 ピキッ。

 

 あ、女性教師の一人のこめかみに青筋発生注意。

 

「た・し・か・に?! 中華連邦が民衆による一斉蜂起の結果、合衆国中華になったり?! 黒の騎士団を軍事力に超合衆国と言った巨大連合が出来上がったり?! 帝国も主に前皇帝陛下と一部の軍部を中心にした暴走が起きてドタバタして世間は色々と騒がしかったけれど!  それとこれ────つまり学園とは別問題! 学生の本領は学生であり! 助教授補もあくまで候補で研修期間中! にも関わらず、出席日数が足りないという事実を有耶無耶にするのは明らかに公私混同!」

 

「で、でもほら? 皆、事情が────」

「────それを踏まえても! 出席数と単位の双方が足りなければ、学生はいくら成績が良くても留年するしかないの! 助教授はその学生たちの見本として────!」

 

 う~ん、長くなりそうだな。

 ヴィレッタも気まずそうに教師側のところで頭を抱えているし。

 

 横目で周りを見ると久しぶりな面子が集まっている。

 

 「……やはり勉学は慣れぬ。」

 

 ぶっちゃんこと毒島。

 

 「こんなの卒業後、役に立たないのに……」

 

『ワイ、不機嫌でござる! ヽ(`Д´)ノプンプン』とアホ毛が主張しているアンジュ。

 

 「クソ、何故この私が奴の分まで────!」

 

 ルルーシュ……の影武者続行中のエル。

 

 「それを言うのなら僕も元々任務の為に────」

 

 近くにはルルーシュの弟役を続けているロロ。

 

 「ハァ~……事情があるのは分かるけれどここにせめてナナリーかライラがいればなぁ~……」

 

 それと目からハイライトが消えつつも同じく補習を受けているアリス。

 

 ちなみになぜ高等部の教室に中等部の生徒がいるのかという理由だが、単純に先の『フレイヤ絨毯爆撃事件』の余波で租界の断層構造がまだ不安定な部分があるとのことで、学園の半分が未だに避難所として機能しているからだそうだ。

 

 あとライラも一応『復帰』という形で認識されているらしいが、クロヴィスとの再会でここ(学園)に来ていない。

 

 もしや皇族特権か?

 

 それはそうとして、こんな学生らしい生活ができているのも『全部終わったから』と思うと……こう、胸に来るモノがあるな。

 

 この数日間、色々あったのは察せるだろうが、簡単に俺の視点からまとめるとこうである。

『ネモ』によるタレコミを元に、ダモクレスの破壊とシャルルの討伐をゼロと彼の零番隊、大グリンダ騎士団、そして傭兵団『プレイアデスナイツ』が行った。

 

 その過程で『プレイアデスナイツ』はダモクレスの自爆で壊滅(とされている)。

 

 シャルルによるエリア11の返還はブリタニア帝国の内務に集中したいオデュッセウスの承諾で早められ、『日本』としての機能を神楽耶と桐原が復旧中。

 

 ちなみにゼロことルルーシュも藤堂さんたちと一緒に賛同中なので、アッシュフォード学園には来ていない。

 

 ナナリーは元総督としてクロヴィスやギルフォードたちと引継ぎ作業中。

 果たしてライラがナナリーの付き添いとして政庁にいるおかげでクロヴィスが引継ぎの戦力になるのかは別として、コーネリアも居るから大丈夫だろう。

 

 ユーロ・ブリタニアの宗主、ヴェランス大公は日本の返還を好機と見たのか本国であるブリタニア帝国を現在皇帝代理として動かしているオデュッセウスと交渉中と聞いている。

 

 ビスマルク・ヴァルトシュタインの戦死およびシャルルの死で、ラウンズは自然と『皇帝直属の騎士』からグリンダ騎士団のような『遊撃機甲部隊』の扱いに変わった。

 

 と言ってもビスマルクとシャルルの死をきっかけに多くの生き残った者たちが辞表を出し、直属の部隊やKMFなどを返還した今では、ドロテアを筆頭にジノ、アーニャしか残っていない。

 

 その中でもアーニャは積極的に新たな帝国と関わろうとしていないので、辞退する可能性があると噂されている。

 経歴(原作知識)を考えると、無理もないが。

 

 ちなみにスザクだが、彼は超合集国連合の医療および軍部を担っている黒の騎士団の元に身柄拘束される……と喧伝されている。

 

 これには彼の事を連想させている、アニメ化していた『ランスロット仮面』が大いに役立った。

 

 俺も見たが、ぶっちゃけると『仮〇ラ〇ダーっぽい超〇機メ〇ルダー』がブレンドミックスされたような内容だった。

 

 ……まさかコードギアスで本格的な特撮が見られるとは思わなかったから奇声を出して恥ずかしかった。

 

 それもあってか世間の見方は広がっていて、多少の不満はあったもののスザクはユーフェミアと同様に『シャルルの人体実験による被害者』という風に受けられていた。

 

『表』では。

 

 無論、本当はユーフェミアと新大陸にあるアイダホ────つまりシュネーの実家がある州に隠居するための口実だ。

 

 まぁ、『隠居』と言っても以前スザクが耕して作った農園があるらしく、ユーフェミアはその管理をしてスザクは別の形でルルーシュの手伝いをする予定だ。

 

 それにしても『休暇に農園を耕す』って……どんだけだよ、スザク。

 

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

「ああああああ、やっと終わったぁぁぁぁぁ!」

 

 あれから数時間後、ようやく補習を終わらせた俺たちが外に出ると、カレンが歩きながら背中を伸ばしながら上記を言う。

 

「娑婆の空気は美味い!」

 

 そしてアンジュがオッサンく……テンプレなことを口にしていたが俺も同感だ。

 何せミレイは未だに説教を他の教師たちから食らっているからな。

 

「♪~」

 

 それにしてもマーヤ、スゴくご機嫌だな?

 鼻歌までして。

 

「どうしたマーヤ?」

 

 おっと、ナイスなタイミングで横のぶっちゃんが俺の疑問を代弁してくれたぞ。

 

「ええ、ただ嬉しくて。」

 

 嬉しい? どういうこっちゃ?

 

「マーヤは補習を受けて嬉しいのか?」

 

 もしかしてマーヤはM?

 

「いいえ。 私が嬉しく思っているのはこうやって一緒に学園に戻れたことです!♡」

 

 

【挿絵表示】

 

 

 何だこの『ウキウキ♪ルンルン♪』しながら満面の微笑みをしているクッソ可愛い生き物は。

 

 これがリアルじゃなくてアニメとかのメディアだったらスーパーデフォルメ(ちびキャラ)化したマーヤが謎のキラキラとハートマークを出す光景なんだが?

 

 素はコレ(普通の女の子)なのに『子供』と『ブリタニア帝国の悪』とか俺がいざ絡むと豹変するのが玉に瑕なんだなぁ~。

 

 ……そう言えば全部終わったから、黒の騎士団の幹部とか国の重鎮とか、コードギアス本編の主要人物意外のどのキャラでも、殆どが『モブ子』に部類されるよな?

 

「……」

 

「ん? どうした、スヴェン?」

 

 

【挿絵表示】

 

 

 この『姉のように微笑ましく周りを見る』毒島もモブ子になったんだよな?

 

「私の顔に何かあるのか?」

 

「いや……『ようやくひと段落が出来る』と思いながら感傷に浸っていただけだ。」

 

「「「「……」」」」

 

 いやもう本当に長かった……

 

 最初は原作から逃げようと思っていたのに、いきなりカレンと『何故か桐原の孫』な毒島な上に、どういうわけかクロスアンジュのアンジュまでとも知り合いになって、どっぷりとコードギアスに巻き込まれてから身を遠ざけようと思いつつも不運な出来事を避けるために動いていたら、いつの間にか外伝の『ナイトメアオブナナリー』のアリスたちや『亡国のアキト』のレイラやアキト達みたいな、色々な有能な人たちを『アマルガム』なんて組織の傘下に置いている状態から、R2後編からもの凄く脱線した展開になって、挙句の果てに原作のサイコ的なマリアンヌとドッグファイト的なタイマンを張っているわでもう本当に……

 

「「「「……」」」」

 

 波乱&波状満タンで濃い~2年だったよ。

 

 ……レイラも蓬莱島の政務を続けて大丈夫かな?

 気負いし過ぎて、過度な負担になっていなければいいのだが……

 

「「「「……」」」」

 

 およ?

 周りから視線が俺に大集中している?

 なぜに?

 

「ねぇスヴェン? 休んだら?」

 

「カレン────?」

「────そうよ。 アンタ、ずっと全力疾走している感じなんだから────」

 

 ちょっと待て、カレンはともかくなんでお前(アリス)まで心配するような言葉をかけてくる?

 

「────って何その目は。」

 

 

【挿絵表示】

 

 

 久しぶりにアリスのジト目攻撃!

 

 しかし効果はあまりなかったようだ……

 

 むしろホッコリして『平穏』をより実感できる。

 

「いや、アリスが俺の心配をしていると思うと複雑で────」

「────勘違いしないでよ?! ここにいないナナリーたちの代わりにアンタの心配をしているだけなんだから!」

 

 テンプレの売り言葉に買い文句、ごっそさん!

 

「なぁ、余計にアイツ(スヴェン)和んでいないか?」

「そうみたいだな、エル。」

「いや、“そうみたいだな”で片づけても……」

 

 おい、そこの二人。 全部聞こえているぞ。

 

 さてと……シュタットフェルト家に戻って癒し成分を補給してから『ネモ』として政庁に向かうか。

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

 シュタットフェルト家よ!

 私は帰ってきたー!

 

 いや、別にフレイヤを一発ドカンとお見舞いさせないよ?

 

「……」

「可愛い~♪」

「ほんとにゃ~♪」

「小さくて、温かくて……」

「赤子はいつ見てもいいな。」

「ウフフフフ♪」

 

 ただ未だに腕に抱かれた赤ちゃんが、周りの女性陣(現在はオルドリン、ソキア、トトの三人プラス何故かC.C.)にチヤホヤされてニコニコする留美さんたちから現実逃避していただけだ。

 

「全然慣れないわー、コレ。」

「奇遇だな。 俺もだ、カレン。」

「だよねー。」

 

 何を隠そうダモクレス事件の後、シュタットフェルト家にカレンと共に帰ってきたその日に、生後3カ月未満の赤ちゃんを抱いた留美さんの開口一番が『貴方、お姉ちゃんになったのよカレン♪』で、カレンは倒れたからな。

 

 俺もびっくりだよ。

 

「……」

 

 

【挿絵表示】

 

 

 ムニ。

 

 で、このポケ~と何か考えているのか考えていないのか判断がつかない表情をしながら首ごとぐるっと回して周りを見るぽちょぽちょした太りに太ったボンレスハム状態の赤ちゃんは、カレンの妹、『スミカ(菫花)』だ。

 

 『スミカ・シュタットフェルト』、または『紅月スミカ』。

 

 ムニムニ。

 

 R2の後半の留美さんはチラッと一瞬だけ描写されたが、リフレイン中毒の後遺症で廃人同然になって、ゼロレクイエム後は自宅療養していたのを思うとグッとくる……

 

 ムニムニムニムニムニムニムニムニムニムニムニムニムニムニムニムニムニムニムニムニムニムニムニムニムニムニムニムニムニ。

 

「ウフフ、スヴェンは相変わらずスミカの頬っぺたが好きなのね♪」

 

「この表情を全く変えないところと、ジッと終わるのを待ってくれているところが可愛い。」

 

 あとはビー玉みたいな目とか産毛とか手より大きな腕とか手足を無気力にプラ~ンとさせているところとか。

 

 ムニムニムニムニムニムニムニムニムニムニムニムニムニムニムニムニムニムニムニムニムニムニムニムニムニムニムニムニムニ。

 

「……」

 

 ……プイ。

 

 モチモチですべすべな頬っぺたを触るのをやめた数秒後、まるで『もう終わった?』とでも言いたげに、何もなかったようにスミカが首を回して別のところを見る。

 

 ふぅ~……癒し成分の補充ができた。

 

「オルドリンさん、抱いてみる?」

 

「え?! えっと、こう……かな?」

 

「……」

 

 驚きながらもオドオドしつつ留美さんからスミカを渡されたオルドリンは抱くが────

 

「あわわわ! えっとえっとえっとえっと、ソキア!」

「私?!」

 

 ────オルドリンの抱き方が気に召さなかったのか無言でジタバタともがくスミカを今度はソキアが抱いてみる。

 

「お……重い……この子何キロ?」

「7キロ。」

「7キロ?! ってわわわわ! トト、パス!」

 

 やはりソキアの抱き方も嫌だったのかぐずりだしたスミカを今度は犬耳褐色属性モリモリメイドのトトが受け取る。

 

「はぁ~い、パス受け取りました♪」

「……」

「可愛いでちゅねぇ~♪」

「……」

 

 お、流石はトト。

 ちゃんとスミカの首を支えながら両手と体で抱いたぞ。

 

 スミカもジタバタと────

 

「あ、あれ?」

 

 ────前言撤回。 ジタバタともがき始めた。

 

「はぁ~、お前たち下手くそだな。 貸せ。」

 

 トントントン。

 

「けぷぉッ。」

 

 面倒くさそうにため息を出しながらもC.C.がスミカを抱くと、彼女はトントンとスミカの背中をトントンと叩くとげっぷらしき音がスミカから出てくる。

 

「……」

 

 そして体をC.C.に預けたスミカが寝始めた。

 

 う~ん、流石長生きしているだけあって子供の扱いが上手いな。

 

「なんだ、お前?」

 

 おっと、C.C.からもジト目攻撃。

 

「いや。 『慣れているな』と思っただけだ。」

 

「伊達に長生きしていない。」

 

 いやそれ……言っちゃダメなやつでしょ?!

 

「長生き?」

「せいぜいマリーカたんより一歳年上なんじゃ……」

 

 ニヤ。

 

 クッ! C.C.め、ワザと俺にフォローさせるために言ったな?!

 

 だが残念だな、お前に構っている時間はない。

 

 ここからは『ネモ』の時間だからな。

 

 「いいカレン?! 絶対に負けちゃだめよ! 頑張りなさい!」

 「え……な、何を?」

 

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

 

 

 場所は政庁に移り、そこにはブリタニア帝国と日本の代表たちなどが、丸いテーブルを囲んで座っていた。

 

 日本側はゼロに扇、零番隊のカレンやベニオに桐原や藤堂にディートハルトと、何故か玉城に井上さんに一二三オペレーターズ。

 

 ブリタニア側はナナリー、ギルフォード、ダールトン、コーネリア、気まずいライラの隣にクロヴィスにグラストンナイツ。

 

 横には毒島に(ネモ)

 

 尚、シンやジャンにも呼びかけは届いていたが、アシュレイやユキヤ達の治療に専念したいということからこの場から辞退していた。

 

 俺も顔を出して挨拶だけ済ませて辞退したかったが、『この会議にネモは外せない』と言われてそのままドナドナされて今に至る。

 

 ……色々な意味でヤバいんだが。

 

「さて、皆に集まってくれたのは他でもない、今後の事で話し合う必要性をここに居る皆は知っていると思う────」

「「「「「「(────なんで玉城/玉城大先輩/玉城さんがここに────?)」」」」」

「────そこで────」

 

 ────ぐぅぅぅぅぅぅ。

 

「「「「「「「………………………………」」」」」」

 

 ヤベェ。

 最悪のタイミングで腹の虫が鳴った。

 

 元々さっさと挨拶を済ませて何を食おうと思っていたのに説明する前にドナドナされたからなぁ~。

 

 「今のって────?」

 「────嘘────」

 「────まさかゼロ────?」

 「────すっごく響いたよね────?」

 

 ────なんだかよく分からないが皆隣に居るゼロだと思っているからセェェェェェフ!

 

 まさか『隣に座れ』がこのようにプラスとして働くなんて思わなかったが嬉しい誤算だ!

 

 「威勢のいい腹の虫じゃないか玉城!」

 

 あれ?

 

 「俺じゃねぇよ!!」

 

 もしかしてゼロもお腹が減っていたのかな?

 そう言えば思っていたより音量が大きかったな様な気がする……

 

 パン!

 

「ではこうしよう、『皆で飯を作る』などはどうだ? なぁ、ネモ?」

 

 ざわめき始める前に毒島が手を合わせ、注目を集めると────ちょっと待ってぶっちゃん。

 君、今とんでもないことを言い出したぞ。

 しかもさらりと俺に振るなよ!

 

「おおおお! じゃあカレーとかどうだ?」

 

 玉城、お前……

 

「ちなみに仮面をかぶっている奴らが玉ねぎ係な。」

 

「「なぜ私/なんで俺が?!」」

 

 あ、ゼロとハモった。

 

「なんでって決まっているだろ! 『王から動かなきゃ部下はついて来ない』んだろ?!」

 

 ええええええ、この場でそれを出すのか玉城?

 

「それに仮面をしているから目が沁みにくいだろ?!」

 

 しかもダメ押しに正論まで来た。

 

「グッ……」

 

 え、何ゼロ?

 急に俺の肩を掴んで立ち上がって────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

「「ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」」

 

 ダダダダダダダダダダダダダダダダダ!

 

 仮面をかぶったままマントを脱いだ二人の男が咆哮を上げ、リズミカルな音と共に大量の玉ねぎが処理されていく。

 

「おおお……」

「スゴイ……」

「え? なに? ゼロとネモって料理できるの?」

「エプロン姿のゼロ様……良いですわぁ~♡」

 

「(クソ! 玉城のくせに! 玉ねぎのくせに!)」

「(ルルーシュ! スピードが速すぎる、タンマタンマタンマタンマぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!)」

 

「よし、私のノルマは終わった────」

「(────ぬあああ、早すぎる! ルルーシュの癖にぃぃぃぃぃぃ!)」

 

「ん? 違うぞ双葉────」

「────え────」

「────包丁は押すのではなく引いて切るのだ────って、なんだその添え手は?! ケガをするぞ! 水無瀬、肉を炒め過ぎだ! 日向もジャガイモの皮が厚い! もったいないだろ?! お前たち、さては自炊をなめているな?!」

 

「「「ひえええええええ!!!」」」

 

 ゼロの指摘に一二三オペレーターズは悲鳴を上げた。

 

「はっはっは! 待たせたな! ん? ……このジャガイモの皮は俺が処理しておこう、栄養値が高いからな! それとそこの君、あまり気張らなくてもいいぞ?」

 

「は、はぁ……何分、包丁を持ったことはないので……」

 

「いやはやそれにしても良い切り方だ! だが食材を抑えるときは猫の手だぞ! それと人参の皮も俺が処理しておこう、多ければ多いほどに甘みが増すからな!」

 

「甘いカレー大好きです────!」

「────ダメだぞライラ! あんな得体のしれない奴を好きになるなど────!」

「────でもちょっとピリッとした方が良いです────!」

「────そこは同感だ。 流石はライラだ。」

 

 その反面、料理初心者ブリタニア側の監督を任されたネモはゼロとは違う方向性だった。

 

「「「「「「(…………………………………………(しゅうとめ)なゼロと、家庭的でおじ様なネモ。)」」」」」」

 

 これを見ていた者たちはそう静かに思ったそうな。

 

「(……………………千葉ならどう処理するのだろうか。)」

 

 

 惚気ですかい、藤堂ちゃん?




後書きEXTRA:
玉城:いい匂いだな~。
ライラ:いい匂いです~。
C.C.:ピザじゃない……
ナナリー:えええと……チーズをかけるのはどうですか?
ゼロ:ハァ~……(疲れた。)
ネモ:ハァ~……(何でこんなに疲れる設定にしたんだろ。)
ゼロ+ネモ:いただきま────あ゛。
C.C.:(ようやく仮面に気が付いたか。 頭が良いわりに馬鹿だな。)
神楽耶:(でもそんなお茶目なところも素敵ですわ!)
毒島:(そんなうっかりなところが可愛いな♪ それに同じ『人間』とも思える。)
ゼロ+ネモ:〇刀乙
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