小心者、コードギアスの世界を生き残る。   作:haru970

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お待たせしました、かなり長めの次話です。


第304話 『明日』を選んだ結果(挿絵)

「スヴェン、オレ……どうすればいい?」

 

 いや、知らんがな。

 

 っと、急な冒頭で混乱させてしまったのなら申し訳ない。

 

 省略するのも引けるが、彼から手渡された手紙は実家からのもので、要するに『卒業したら子爵嫡男に相応しい生活をしてもらう』と書かれている。

 

 ちなみにぶっちゃけるとリヴァルの私生活が原因となった問題で、手紙を送ってきたのはカルデモンド家じゃなくて、仲が悪い父親の方の実家だ。

 

「で、何故か俺に相談しに来たと。 なんでルルーシュに相談しない?」

 

「いやだって……会長────じゃなくてミレイ先生から聞いたから。 『お前(スヴェン)に相談に乗ってもらって外したことはない』って。」

 

 ……なんということだ。

 まさか今までテコ入れしてきたことが、こうやって裏目に出てくるとは。

 

「だからさ、良い考えはねぇか? 俺が実家に帰らなくていい方向で。」

 

『俺は猫型ロボットじゃない!』と叫びたいが、彼には通じないネタだしなにより今まで俺に相談しに来た奴らはほぼ全員が本当に困ったときにだけ話を持ち掛けてきている。

 

 どうしたものか……

 

「しかし、使っている姓名を変えているだけで子爵の家だろ?」

 

「分かっているよ?! だから相談しに来たんじゃん?!」

 

 ああ、なるほどね。

 ミレイと同じようなモノか。

 

 貴族制度、めんどくさい。

 

「できれば手っ取り早いアイデア!」

 

 違った。

 リヴァルめんどくさい。

 

「では、この手紙に書いてある事実を覆すことが一番手っ取り早いな。 だから、お前が優秀なところを周りに広めればいい。」

 

 「え゛。」

 

「そういう反応もなしだ。 見た目はそこそこ良いし、お前もかなり優秀な部類に入るから、頑張れば学業は問題ない。 あとは……そうだな、スポーツ系の何かで────」

「────じゃあダメじゃん! オレ、スポーツは苦手なんだよ!」

 

 バイクを乗り回しているのにか?

 

「バイクを乗り回しているのにか?」

 

 しまった!

 口に出してしまった!

 

「悪いかよ!」

 

「いや……その……意外だっただけだ。」

 

「バイクは急にルール変更とかがないだろ? でもラグビーとかテニスとかってボールがどっち側にあるのかとか誰が持っているかでメッチャ変わるじゃん!」

 

 そう言えばリヴァル、アニメでも描写が無かったから全然気にしていなかったが……体育の時間に何かしているところはあまり見かけなかったな。

 

「なら頑張るしかないな。」

 

 だが、俺は敢えてスポーツを推そう。

 

「ヒデェ?!」

 

「こう考えろ。 スポーツをすることが本命じゃない。」

 

「え。」

 

「スポーツで女子の気を引くんだ。」

 

「?????」

 

「だから、アッシュフォード学園にも子爵家の子たちはいるだろうが。 その誰かと────」

「────会長(ミレイ)じゃなきゃ嫌だ!」

 

 面倒臭い。

 

「ならそれでもいい、ミレイも成人しているからな。 要するに、女子にモテるようになってその中から子爵かそれ以上の子といい関係になれ。」

 

「イイ関係────?!」

「────違う。 まぁ、『おいおいそうなるかもしれない』と匂わせる。 それで実家に『自分はこっち(日本)で良い格の女子と良い関係を作っている最中だ』とアピールできる。」

 

「……おおおおおおおおお! 確かにそうすりゃクソオヤジたちも黙らせるな?!」

 

「というわけで、表に出ろ。 今から特訓だ。」

 

「えええええええええええええええ。」

 

「スタミナと体格はバイク乗りとして十分に整っているからな、それを使わない手はないだろうが。」

 

「でも汗をかくのは嫌だな────」

「────面倒臭い奴だな。 バイクのメンテで油まみれになるのと同じだろ────」

「────全然ちげぇよ────!」

「────なら実家に帰れ。 アデュー。」

 

「……今のって、EU語か?」

 

 本当に、玉城レベルのくだらないところだけ鋭いな……

 

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

 

 ダンダンダンダンダン!

 

 ダカダカダカダカダカダカ!

 

 広い体育館内で床にぶつかる合成ゴムに伴うかのように、体育館シューズの音が響く。

 

 近くの壁にはハーフタイム後半が残り数秒間を示すタイムボードとホイッスルを手にし、カウントダウンを見つめるヴィレッタ。

 

 目の前と隣にはアッシュフォード学園の体育服の上から違うチームを見分ける為の色付きベストを着ているクラスメイト達。

 

 もう既に察しているかもしれないが、体育の時間でバスケをしている。

 

 「何故この私がブツブツブツブツブツブツ。」

 

 ちなみに隣には走り続けながらも器用に愚痴を続ける『ルルーシュ』ことエル。

 

 俺も『なら咲世子さんに戻すか? その時お前もばっちりを食らうぞ』とツッコミたいが、生憎ボールは今俺の手中にある。

 

 脱線したのは現実逃避の為だ。

 何故なら────

 

「────スヴェェェェェン────!」

「────食らいやがれぇぇぇぇ────!」

「────爆破ァァァァァァ────!」

 

 ────どうやら俺とカレンがヘッドホンシェアリングをしていたところを、誰かがブログにアップしてそれを見たバスケ部の奴らが殺気マシマシのラフプレイを仕掛けてくるからだ。

 

 ヒョイ。

 

 いや、『仕掛けようとしていた』の方が正しいかな?

 

「避けやがった?!」

「三人相手だぞ?!」

 

 フハハハハハ!!!

 お前らの攻撃なぞ、ワルシャワの老婆たちに比べれば欠伸が出るわ!

 

 フハーハハハハハハハハハハハハ!!!

 

「来たぞ!」

「よっしゃ!」

 

 って、第二の壁かよ?!

 

 一人相手にオーバーなリアクション……と思いたいがこいつら、今までは『病弱(笑)(猫かぶり)設定』を理由に体育は出席しても壁の花に徹していたカレンだが、復学してから超元気になったカレンを見ているから無理もない。

 

 ぶっちゃけ、体育服を着ていても()()()からな。

 

 ドッ!

 

「おわ?!」

 

「取った!」

 

 ヤバい!

 現実逃避中にエルの足を絡めて俺を転ばせる策だと?!

 倒れる!

 受け身をとっても、3秒ルールに引っ掛かる!

 

 そう思った俺は片手でボールをパスする。

 

「って、俺?!」

 

 リヴァルに。

 

 実はリヴァル、バイクを乗り回すスキルはかなり良い部類に入るぐらい器用だがバスケやテニスの様な『切り替えが命』系のスポーツだと一気に要領が悪くなる。

 

 それ故にノーマークだった。

 

「シュートしろ────!」

「────もうどうなっても知らねぇからな────!」

「────左手は添えるだけだ!」

 

 パシュ。

 

 リヴァルがほぼエイムタイム無しで俺の言った通りのシュートフォームに入り、他チームがたどり着く前に打つと、ボールは円を描いてはすっぽりとリングに入る。

 

「「「「「……え。」」」」」

 

 ピィィィィィ!

 

「そこまで、タイムアップだ!」

 

「うおおおおおおおおおお!!! 初めて入ったぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「よくやったな、リヴァル。」

「うおおおおおおお! ヴィレッタ先生ぃぃぃぃぃぃぃぃ!」

 

 ドテ。

 

 あ、ヴィレッタを抱きしめようとしたリヴァルが避けられて転んだ。

 南無~。

 

 「……一瞬、時間を凍らせるのかと思ったぞ。」

 

 いやいやいや、それだと物理的にクールダウンして汗をかいている俺たちが危ないだろ?

 

 「まぁ、そうムキになるな。 使う場面ではない。」

 

「ッ。 そ、そうだな。 忘れていた。」

 

 愚痴を言っている反面、エルはかなり学生身分をエンジョイしているな────

 

 ────ドッ────!

 

「────ぐぇ────」

「────スヴェェェェェェェェン! 初めてゴールを決めたぜこの野郎ぉぉぉぉぉぉ────!!!」

「────リヴァル、抱き着くのは止めてくれ。 キモイ。」

 

 あとさっき転んだ時の汚れを落とすついでに鼻水ぐらい拭けよ。

 

「ひでぇ────?!」

「────じゃなくて暑苦しい。」

「スヴェンお前さぁ……あの体勢からでもシュート決められただろ?」

「無茶言うな。 俺はスーパーm────じゃなくて、ランスロット仮面じゃないんだぞ。」

「ふ。」

 

 おいそこのエルちゃん、鼻で笑うなよ。

 確かに文化祭やキューピッドの日ではランスロット仮面だったがそれとこれは別の話だ。

 

「それと話は変わるんだがよ……お前、なんでバスケ部の連中から恨みを買っているんだ?

 

 こういうところの勘は妙に鋭いのね、リヴァルって。

 原作のR2でも、シャーリーがヴィレッタの誕生日プレゼントを決めるのをルルーシュに手伝ってもらう時も偶然その近くにいたしな。

 

「……別に。」

「もしかして、カレンが急に元気になって帰ってきたのと関係あるのか? まさか、ヤッてないだろうなこの野郎────?!」

 「────違う。 落ち着け。」

 

「ククククク……」

 

 エル、テメェ! 笑うな!

『影武者だ』とリヴァルにバレちゃうでしょうが?!

 

「カレンが病弱だったのは……まぁ、単にいうと()()()()()()からだった。」

 

「それが何で黒の騎士団の捕虜になっていたことで治るんだ?」

 

「……」

 

『どういうこっちゃ?』と一瞬思ったが、なるほど。

 カレンの『行方不明』は『ブラックリベリオン時に黒の騎士団の捕虜になっていたから』とされているのか。

 

 ()()()()()()()()

 

「ここだけの話だぞ、リヴァル。」

 

「お、おう?」

 

 よし、俺の真剣な顔で委縮しているなリヴァルの奴。

 

「実はカレン、ハーフなんだ。」

 

「ハ、ハー────むぐぐ?!」

 

「声が大きい。」

 

 全く……アニメでも思ったが、リヴァルって毎回過度な反応をする。

 アニメだからまだ良かったが、リアルになると正直キツイ。

 

「……詳細は省くが、その所為でエリア11時の中学で色々あってな? シュタットフェルト家の跡継ぎだから、ハーフであることはもみ消すことは出来たが……そこからは察してくれ。」

 

「あ、ああ……」

 

 うん、素直でよろしい。

 あとは駄目押しと行こうか。

 

「あと絶対に他の奴らに言うなよ? 言ったら……」

 

「い、言ったら?」

 

 「……お前が未だに学園の裏サイトで女子のサイズデータを再び載せているってバラすぞ。」

 

 ギクッ。

 

「す、スヴェンお前……まさか……見ちゃったりしている?」

 

「ああ、見たな。」

 

 俺の言葉にリヴァルが固まった顔をヒキつかせながら物理的に引いていく。

 

「そ、そ、そうか……あ! 俺、用事を思い出した! 先に着替えてくるわ!」

 

 リヴァル、残念だがどれだけ裏サイトのパスワード変更をしようが暗号化方式を変えても無駄だ。

 

 まずはSSH(セキュアシェル)のユーザー名とパスワードを初期設定から変えないとなぁー?

 

 初歩的なミスを直さないと何も変わらんよ、リヴァル。

 

「何か悪そうな顔をしているな、スヴェン。 何か企みごとか?」

 

 おっと、ヴィレッタの出現!

『ポーカーフェイス』にしてから『優男』の仮面、装着!

 

「はっはっは、そんなことありませんよ。」

 

「リヴァルが慌てて走っていったのと、()()()()()()()()()()()?」

 

「かも知れませんね。」

 

「それに、彼にわざとボールをパスしたように見えたが?」

 

「いやいやいや、あのまま転んでいればゲームの決着はつかなかったですよ。」

 

「君ならあの体勢からでも、ゴールに入れられたと思うのだが……」

 

『だから買いかぶり過ぎなんだってばよ、お前たちは』と言いたいが……う~ん、良い言い方はないかな?

 

 あ、そうだ。

 

「『自分は主役じゃなくていい』と思っただけですよ。」

 

「え?」

 

「リヴァルはチャラいところなどありますが、根は良い奴ですし3年生ですから。」

 

 一度留年したことを『仕方がない』と許されたミレイと違って、リヴァルの家────特に仲が良くない子爵の父親は何かと理由を探してはリヴァルをカリフォルニア州に連れ戻そうとしているみたいだからな。

 

 何だかんだで、リヴァルは子爵家の嫡男。

 

 つまり次期当主というわけで、貴族制度が廃止されていないこの世界だと家を引き継ぐための教養が成っていないと父親に判断されればリヴァル本人だけでなく、カルデモンド家────つまりリヴァルの味方をしている母親の家に泥を塗ることになりかねない。

 

 ……もしかしてミレイは、このことを考慮してリヴァルを生徒会長にしたのか?

 

「あの、()()()()()()()()?」

 

 「ベルマとしての口調が出ていますよ、先生?」

 

「っ……す、すまない。 あn────君といると、どうしてもな……」

 

 う~ん。

 モジモジしながら気まずそうに照れてそっぽを向くヴィレッタは良いな!

 ぴっちりしたワンピースの袖無しドレスで、サイドテールにした長い髪の毛が揺れるところもいい♪

 てかこの間のメイドカフェイベントでも思ったが、このルックスと若作りで27歳とか反則じゃね?

 

 いつもの化粧を落として、ちょっと整えれば普通に制服とか似合いそうなんだが……

 

 長身だけれど、海ちゃんコスプレとかいけるかも。

 

「あの……ジッと見て、何ですか?」

 

「すまない。 “やっぱり元気なのもいいな”と思っただけだよ。」

 

「や、やっぱり『おしとやか』なんて私に、似合わない────」

「────いや? どっちもヴィレッタ先生に変わりはないからより良い。」

 

「ングッ……」

 

「それに頼まれていないのにアールストレイム卿(アーニャ)のことも気にかけていると聞いている。」

 

「えっと────」

 

「────面倒見がいいことに加え、家事全般も一通りできるブリタニアの軍人で一代目の男爵とくれば将来が────」

「────そ、それ以上は止めてください……」

 

「?????」

 

 なんだ?

 ヴィレッタが苦しそうなのか何かを我慢しているか分からない複雑な顔になったぞ?

 

 なんでや、本当の事を言っただけじゃん。

 

「……」

 

 ん?

 視線を感じる。

 視線先は……

 

 

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 何だ、アンジュか。

 女子は……バレーボールの様だな。

 

「アンジュさん!」

「そっち行ったよ!」

「ッ。 誰か上にトスして! ……だりゃああああああああああああああ!

 

 ドォン

 

 おおおお。

 流石はクロスアンジュで助けに来たタ〇クの『言っちゃアカンこと』に対して小型艇を揺らすほどのビンタを繰り出したパワー持ちだ。

 

 以前、カレンをゴリラに例えたかもしれないがその座は正しくアンジュの為にあるようなものだな!

 

「それと、この間聞きに来た話だが……本気か、スヴェン?」

 

「ん? どの話だ?」

 

「……『卒業する』の話だ。」

 

 ああ、そっちか。

 

「何?! 私は何も聞いていないぞ?!」

 

「言っていなかったからな。」

 

「クッ……」

 

 拗ねるなよ、エル。

 

「……角砂糖が溶けないほどドバドバ入れたコーヒーでも飲むか?」

 

「いらん!」

 

 さいですか。

 同じあだ名でも同じ趣味とまでいかないか。

 

「……う~む、私もバスケがやりたくなってきたぞ。」

 

 バスケの試合を見て、ヴィレッタの血が騒ぎだしたのかな?

 

 流石は戦闘民族の末裔だな。

 

 俺も知らなかったがその『戦闘民族』とやらも、ブリタニア帝国が新大陸の先住民族(ネイティブアメリカン)に付けた名称だけどな。

 

 見えていないだけでコードギアスのちぐはぐなところも、一応は理由がある。

 

 別に設定集とかにも書いていなかったと思うが、今のブリタニアからは非常に珍しいぐらい『対立』よりも『共存』を選んだおかげでヴィレッタの様な褐色の人も『ブリタニア人』と認識されて納得がいく。

 

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

 

「ねぇスヴェン、あのズボンってどこにあったっけ?」

 

 このお嬢様(笑)、何を堂々とクラブハウスで聞いてくるんだ?!

 

 そもそも()()()ことだ?

 

「どのズボンだ?」

 

「短パンのヤツ。」

 

「だからどれのだ?」

 

「丈が超短いヤツ。」

 

 ああ、あの部屋着兼パジャマにしていたやつか。

 

「それなら俺のクローゼットにしまったままだぞ。」

 

「うぃえ?! マジ?! ……何で?」

 

「……あー、(シュタットフェルト前夫人のメイドから)隠したときのがそのままある。」

 

「……あ。 やっぱり入れた(隠した)ままだったんだ……」

 

「取りに来るか?」

 

「うん、そうだね。」

 

「穿く前に洗濯しろよ。」

 

「はいはい。」

 

「えっと……それってもしかして、『置き服』?」

 

 

【挿絵表示】

 

 

 おっと、横から気まずそうに芋ジャージ姿のニーナが声をかけてきた。

 

 置き服は置き服でもただ単純にカレンが置き忘れていた服だぞニーナ?

 

 ちなみにニーナがここ、アッシュフォード学園にいる理由は単純だ。

 

 表向きは『学園を飛び級で卒業しただけでなくブリタニアの研究機関にスカウトされたOG』。

 だが裏では彼女が開発した、『サクラダイトに依存しない電力』────原子炉が原因でほぼ雲隠れするかのように(本人の強い希望で)ここ(学園)にいる。

 

 第二トウキョウ決戦時、ゲフィオンディスターバの影響を受けず、政庁に設置されたプロトタイプで電力供給が実証されたことで、鼻で笑われていた彼女の論文に注目が集まりつつある。

 

 その『注目』も全てが良いモノと限らず、中華連邦で彼女のエスコート役をシュナイゼルがしていたこともあって『前宰相が気にかけていた天才』とされ、さらにダモクレスが使用したフレイヤが『原子炉技術を利用した兵器ではないか』という疑惑もあり、ニーナを探す者たちが現れた。。

 

 と、ニーナ本人とプリンマッドサイエンティストことロイドたち、スザクの親衛隊の一人であるレド・オフェンが証言してきたのでアマルガムとヴィレッタの直属の部下たちが共同で彼女の身柄を保護している。

 

 黒の騎士団────というより合衆国日本を経由した超合集国がニーナの身柄の確保を主張してきたが……政庁に設置してある原子炉の所有権を合衆国日本に渡すことで黙らせた。

 

 実際に稼働しているプロトタイプだからな。

 超合集国が合衆国日本に頼んで独自にそれを研究しても痛くも痒くもない。

 

『責任転換w』? どうとでも言え。

 

「二人って……前より仲がいいよね? 何かあったの?」

 

「え?! べ、別にな~んにも無かったわよ? ね、スヴェン?!」

 

「まぁな。」

 

「……本当に、スヴェン君の名前を出さなく良かったね?」

 

「ん? ……ああ、そうだな。」

 

「え? どういうこと?」

 

 ハテナマークを浮かべる猫っぽいカレン、あざっす!

 

「あれ? カレンちゃんは知らない? 例のサクラダイトに頼らない新しい電力────」

「────ああ、ニーナが開発したっていうアレよね────」

「────あれって元々、スヴェン君と一緒に研究していたことがきっかけで────」

 「────なにっぬ?!」

 

『なにっぬ』って、カレン……器用だな。

 

「ちょっと待ってスヴェン。 じゃあアロンダ────むぐ!?」

 

 ちょっ、おいカレン?!

 何を言おうとしてんじゃい?!

 

「『あろんだ』?」

 

「何でもない。 それに例の電力に関してだが俺個人としては、むしろサクラダイトだけに頼っている現状を打破する手助けに成れればそれで良いと思っている。」

 

 フレイヤが出回らなければいいと思うし、何しろ前世のチェルノブイリ原発事故も原子炉自体や設備の所為でもなく元々『人間の操作ミス』が原因だったらしいからな。

 

 原子炉も結局、火や銃と同じで単なる道具だ。

 

 要は使い方次第ということだ。

 

「……スヴェン君はやっぱり優しいね。」

 

 ニーナが!

(人前で)笑ったぁぁぁぁぁぁ!!!

 

「……」

 

 ガブッ!

 

 「あ痛たぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?!」

 

 かかかかかカレンの奴、口を塞いでいた俺の手を噛みよった!

 

 なんでや?!

 

「ハイ、救急箱です(神様)!」

 

 マーヤ、君は何時からそこにいたの?

 

「??? カレンのズボンの話からですが?」

 

 最初からやんけ。

 

 というか心を読むのは止めて。

 

 「スヴェン君、意外と……」

 

 ニーナ、それはどう言う意味だっちゃ。

 

 

 

 


 

 

 

 

「ねぇ、聞いた聞いた?」

 

 スヴェンとカレンのことを何か思っているニーナたちがいるアッシュフォード学園の一部ではバスケ部、あるいはブログを通してスヴェンとカレンに関する話題で持ちきりだった。

 

「何を?」

「カレン先輩たちのことだよ!」

 

 主に(今のところは)中等部ではあるが。

 

「なんかいい雰囲気の写真のこと?」

「隣合わせでイヤホンシェアをしていたんだって!」

「え?!」

「どこどこどこ?!」

「ほらこれだよ!」

「「「「きゃー!♡」」」」

 

「……あれ? でもスヴェンさんって……」

「ああ、そう言えば……」

 

「??????」

 

 そんな彼女たちは何かに気付いたのか、近くにいたライラを見る。

 

「(なーにやってんだか、あの二人は……別に私には関係のないことだけれどね?!)」

 

 そして彼女の隣にはまたもジト目になっていたアリスがいた。

 

「ライブラちゃんも見ました?!」

 

「??? 何をです?」

 

「ほらこれ!」

 

「スヴェンさんとカレン先輩がちょっとアレな雰囲気の写真!」

 

「アレって何です?」

 

「……えええと。」

 

「ほら、この二人! 前はお嬢様と従者な感じだったけれど、な~んか付き合っているっぽい空気じゃん?!」

 

「ほぇ~。」

 

「「「……………………………………………………………………………………………………それだけ?」」」

 

「皆の言っていることがよくわからないです。」

 

「ほら、アレ!」

「昼ドラの修羅場────!」

「────うわぁぁぁぁぁ! ド直球すぎるぅぅぅぅぅぅ!!!」

 

「『ひるどら』?」

 

「(やっぱりライラって箱入り過ぎるわね。) はぁ~……だから、スヴェンが別の人と付き合っているかもしれないってことよ。」

 

「「「(……アリスってスヴェンさんの事を呼び捨てにしていたっけ?)」」」

 

「ほえ~。」

 

「なに、その反応?」

 

「アリスちゃんの言っていることに反応しているです。」

 

「っ。 他に何かあるじゃない? というかライブラは困らないの?」

 

「??????? どうして私が困るです?」

 

 

【挿絵表示】

 

 

「あぷぉ……」

 

 ハテナマークを頭上に浮かべ、純粋に『Why(なぜ)? 』と思いながらキョトンと首をかしげるライラの前にアリスのイラつきは呆れへと変わった。

 

「あら、やっぱりそう思う?」

 

「へ。 (こ、この声は?!)」

 

 背後から来た声にアリスが振り返ると予想通りにまたまた気配を消していたマリーベルにギョッとする。

 

「マ、マr────むぐ。」

 

 そんなマリーベルがウィンクしながら人差し指を口に当てた姿を見てアリスは急遽口をつぐんだ。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「(そ、そうよね?! こんなところにマリーベル皇女がいるなんて知られたら────!)」

「────あ、お姉様です────!」

「(────ライラさんンンンンンンンンンンソンンンンンンンンン?!)」

 

 そんなアリスの内心を知らず、マリーベルを『お姉様』と読んだライラをアリスは焦りと怒りとイラつきが半分(?)ずつ混じった睨みをマリーベルに抱き着いたライラの背中へと送った。

 

「『お姉様』?」

「え?」

「似ていない……」

 

「実はここに来たのは妹に会うためです。 内緒にしてくださいませ♪」

 

「「「(ああ、やっぱりライブラは良い出のお嬢様なんだ~。)」」」

 

 そんな愛らしくも気品のある頼み方をするマリーベルを見て、他の者たちはライブラの立場(設定)を再確認した。

 

「それでね、ライブラちゃんと二人っきりでお話がしたいのだけれど……良いかしら?」

 

「ハイ。 ドウゾ、ワタシ二オカマイナク。」

 

 マリーベルの愛らしい仮面の下から何とも言えない圧力を感じたアリスはすぐにマリーベルのおど────()()に応じた。

 

 

 

 ……

 …

 

 

 

「あ、あの……こんにちは!」

 

 同時刻、合衆国中華では代表の天子とシンクーがオデュッセウスを迎えていた。

 

「うんうん、こんにちは。」

 

「……」

 

「ハイ、これ。」

 

「……なんだ、これは?」

 

「お土産だけど……」

 

「見ればわかる。」

 

「あああ! 何のお土産の事だったね! 日本の『ヤツハシ』ってお菓子だよ? あ! 言っておくけれど買った時のラッピングはそのままだからね?! 細工とかしていないからね?!」

 

「……何故(なにゆえ)、ブリタニアの皇帝代理がこれを手渡してくる?」

 

「え? いやぁ、黒の騎士団総司令への就任祝い……かな?」

 

「……『他意はない』とでも?」

 

「ぶっちゃけ、『超合集国頑張ってね』とも言えないしさぁ────」

「────言っているではないか貴様────?!」

「────と気を和ませて……本命はホッカイドウブロックからの帰りに、ここ(合衆国中華)に立ち寄っただけなんだ。」

 

「(ホッカイドウ……確か、この周辺ではフジ(富士)山の次にサクラダイトの輸出量が多い場所だったな。)」

 

「えっと……ホッカイドウ『ブロック』ですか? 合衆国日本の……ええええと、『北海道』ではなく?」

 

「うん? う~ん……本来なら天子様の言う通りなのですが、あの土地は()()特殊な事情がございましてね。」

 

「特殊な事情?」

 

「ホッカイドウは第二次太平洋戦争時にブリタニア帝国の植民地ではなく、特別統治区と認定されたのです天子様。」

 

「……???」

 

「あははは。 つまりホッカイドウは『植民地』ではないので合衆国日本への返還に含まれていないのですよ。 個人としてはともかく、サクラダイトの入手方法は国にとって重要だからね……主権移譲はもうちょっと先になるかも知れない。」

 

「なら前宰相のシュナイゼルのインヴォークとやらが開発した電力を使えばいいのでは?」

 

「そうなんだよねぇ。 でも……」

 

「「?」」

 

「(まさかそれを転用したのがフレイヤだなんて言えないし、貴族たちは忌避するか何が何でも欲しがるからなぁ……それに例の貴族制度も控えているし。 どうしたものかなぁ~。 )」

 

「あ、あの!」

 

「「うん?」」

 

「貴方に質問があるのですが……聞いていいですか?」

 

「ええ、私でよければ良いですよ天子様。 何でしょうか?」

 

「貴方はえっと……なぜ好きでもない人と結婚できるのですか?」

 

「え………………………………う~ん……」

 

 全く想定していない天子の質問にオデュッセウスは目を点にさせると少々気まずい沈黙が流れるが、オデュッセウスはどこか迷うように眉間にしわを寄せてから再び天子と目線を合わせてから口を開ける。

 

「そうだね、私情ではなく政治的で君にとっても失礼なことかもしれないけれど……『結婚一つで国同士の関係が良くなるならいいかな』って。」

 

「……」

 

 シュン……

 

「ああ、いけない。 困らせ────」

 「────天子様を悲しませるとはどういうことだ、ブリタニア────!」

「────え────」

「────シンクー様、落ち着いてください────!」

「────止めるな香凛────!」

「────あははは、やっぱりここは楽しいねぇ~♪」

 

 余談ではあるが、シンクーが真剣に(真)剣を抜くまでオデュッセウスは彼の行動を『場を和ませるための()()()()過度なリアクション』と取っていたそうな。

 

 ……

 …

 

「フゥー……」

 

 東京と蓬莱島を行き来していたゼロは握っていたペンをデスクに置いてはため息を出しながら、腕を動かして凝っていた肩をほぐそうと試みていた。

 

「(まさかこうなるとはな。)」

 

 黒の騎士団で『正義の味方』をしていた時よりはるかに体を動かすことは無くなったことはルルーシュにとって喜ばしい変わりに見えたが、逆に事務作業が増えたことで精神的な過労とそれに伴うストレス、及びそのストレス解消ができる機会も減っていた。

 

「(『実際に体験しなければわからない』と、俺はナリタ連山で言ったが……皮肉なものだな。)」

 

「大丈夫ですか、ゼロ様?」

 

「コホン! ……神楽耶さ────ではなく、神楽耶はいつからそこに?」

 

 横から来た声にルルーシュはゼロの仮面の下でハッとしつつも頭を切り替えてから平然さを装った。

 

「そうですね……『すべきことが多々ある』、と小さく言ったときからでしょうか?」

 

「う。」

 

 ルルーシュは神楽耶から彼女の側に置いてある、冷めた様子のお茶を見てバツが悪そうな声を出してしまう。

 

「す、すまない神楽耶。 少々没頭しすぎたようだ。」

 

「あら、謝らないでください! おかげで真剣な夫の横顔を見られたのですから♪」

 

「そ、そうか……(相変わらず夫扱いには慣れない……)」

 

「大変でしたら、もっと私を頼っても良いのですよ?」

 

「いえ、神楽耶にはもうかなりの事を肩代わりさせています。 (それにまだ16歳。 ナナリーより一歳しか違わない、ならばここは俺が────)」

「────あら、もしかして歳を気にかけています? 私はこれでも成人している、立派な『れでぃ』ですわよ?」

 

「……………………………………」

 

 「どこを見ているのですか、ゼロ様?」

 

 突然静かになったゼロに対し、ジト目の神楽耶はずいっと彼の仮面にクローズアップする。

 

「い、いや! ただ『そう言えば日本の成年年齢は』────」

 チュ♪

「────隙アリですわ♡」

 

「……神楽耶、今のは────」

「────元気になるおまじないです♪ ここ最近、蓬莱島との行き来をするとき以外はずっと籠りっぱなしでしたから♪」

 

「(『たまには休むことも大切なこと』、か……それもそうだな。)」

 

 そこにふとした思いつきがルルーシュの脳内を過ぎった。

 

「神楽耶、黒の騎士団の古参メンバーたちを労おうと思っているのだが────」

「────では旅館の手配をしておきますわね♪」

 

「そ、そうか。 (かなりグイグイとくるな……クロヴィスが宣伝していたことも考えると、やはり日本人はテルマエのような風呂が好きなのか?)」

 

 

 そんなことはないのである。

 

 

「(ようやく一段落するところまで来た。 あとは……) はぁ~……」

 

 ルルーシュは窓から見える海の景色へと視線を移し、またもため息を出す。

 

「(あとは、()()のことだな。 会いに行くには丁度いいタイミングかも知れん。)」




次話は『あの』展開を予定しております。
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