小心者、コードギアスの世界を生き残る。   作:haru970

310 / 344
第305話 攻勢ではなく『大攻勢』(挿絵)

『久しぶりにカフェテリア(食堂)に行かないか?』

 

 そう今朝に(スヴェン)がカレンに言った言葉で現在、そのカレンと俺はピンチに陥っている。

 

「「「「……」」」」

 

 周りにはジト目や疑惑の目で俺とカレンを見る者たち────おっとすまない、唐突すぎたな。

 

 少しだけ時間を戻し、現在へと繋がる出来事の順序を簡単にまとめよう。

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

「あれ? 弁当は無いの?」

 

 朝、いつものようにシュタットフェルト家から出ようとして目ざ────コホン。

 俺の荷物がいつもより少ないことに気が付いたカレンに学園のカフェテリア(食堂)を使用しないかと提案した。

 

「ええええ……」

 

 ゴシゴシゴシ。

 

 何だろう。

 なんだかカレンの頭に猫か犬か兎かよくわからない耳が垂れる幻覚を見たような気がする。

 

 ゴシゴシゴシ。

 

 うん。 ただの気のせいだったようだ。

 

「??? どうしたの?」

 

「いや、目の中に埃が……」

 

 しかしどれだけ食いしん坊なんだお前は。

 それとも濃い味付けに慣れたのか?

 

 そこからは何ともない、平凡な一日が過ぎた。

 

「おはようございますヴィレッタ先生。」

「あ、ああ。 お、おはよう。」

 

 まずは校門前でヴィレッタがいたので挨拶を交わした。

 

 ドッ!

 

「ぐぇ────」

「────先輩~!」

 

「ははは。 今日も元気ですね、ライブラさん。」

 

「……」

 

「アリスも苦労していないか? (主にライラのフォローとかで?)」

 

 そしてタイミングを見張らうかのように、横からタックルしてくるライラにお約束と言わんばかりに遭遇したジト目アリスにそれとなく言葉をかけた。

 

「うぐっ……(こんなところで聞くのかよ。)」

 

 そしてまたまたお約束通りに俯くアリス。

 

 ちなみにカッコの中にあるのは前世のメディアなどで培った、多分当たらずとも遠からずと言った俺の勝手な『胸奥の声』の妄想だ。

 

「おはよう、スヴェンにカレン。」

 

 ここで真打のぶっちゃんが登場!

 

 うん、これが校門周辺のワンセットだ。

 

 ………

 ……

 …

 

「あれ? 今日は弁当じゃないのか二人とも?」

 

 教室では同じクラスのリヴァルの声が来る。

 

「珍しいのか? ……いや、珍しいな。」

 

 しかも今日はエルじゃなくてルルーシュ本人と来たか。

 

「あ、ああ。 昨日は少し遅くまで起きていてな? 今日はカフェテリアに行こうと思っていたんだ。」

 

「ほぉ?」

 

 ルルちゃん、その笑み止めてくれ。

 

 ちょっと怖いでやんす。

 

「う、うん! それで『カフェテリアの食事もたまにはいいかも~』って今朝話していたんだ!」

 

「へぇ~……じゃあオレたちも一緒で良いか?」

 

 ここで俺の言葉に対するカレンのフォローに便乗するかのようなリヴァルの提案によって……まぁ、そこからカフェテリア兼食堂へと行く流れへと繋がる訳だ。

 

 ………

 ……

 …

 

 アッシュフォード学園も人数が多いだけに、それなりにガヤガヤとしている。

 

 カウンターでトレイに乗った昼食を受け取った俺たちは開いたテーブルの席に着く。

 

「ルルーシュ、なんだそれ?」

テンドン(天丼)だ。」

 

 ちなみに今更感が半端ないのだが、エリア11から日本に戻るからか最近洋食だけでなく和食も出るようになったとか。

 

「……10(テン)の……Don(ドン)?」

 

 リヴァル、それなんて某オーシャンズな映画なんだ?

 

「『揚げたエビの丼』、の略だそうだ。 なぁスヴェン?」

 

「あははは、まぁ……」

 

「へぇ~、なんか面白いねルル!」

 

 席の順番は俺、その隣にルルーシュ、彼の向かい側にシャーリー、俺の向かい側にカレンで隣にリヴァルで反対側にマーヤ。

 

 更には毒島にアンジュ。

 

 何でこの図になったかと言うと……こんな感じだ:

 

 弁当を持っていない俺とカレンが食堂に行く。

 それを聞いたリヴァルとルルーシュが食堂に行く。

 シャーリーがこれを聞いてルルーシュに付いてきた。

 少々人数が多くなったところで追加のオマケがプラスされた。

 

 何だこのネズミ……芋づる式な団体は。

 

「……」

 

 ん?

 

 カレンがジッと俺のトレイを見て────ああ、唐揚げか。

 

 カレンのトレイは……天ぷら定食か。

 

 ヒョイヒョイヒョイヒョイヒョイヒョイヒョイヒョイ。

 

「「いただきます────」」

「「「────ちょっと待ったぁぁぁぁぁぁ!!!」」」

 

『日本』に戻ったばかりか、箸はまだメジャーではないから俺とカレンが同時にカトラリーを手に取ってこれからまさに食べようとしたところでリヴァル、シャーリー、アンジュの三人からストップがかかった。

 

「ちょ?! 何、今の?!」

「そうだよカレン!」

「今の何?!」

 

「いや、『何』って聞かれても────?」

「────普通におかずの交換?」

 

「いや、『普通』じゃねぇだろ今の?! せめて打ち合わせくらいとかあるだろうが?!」

 

「そこまで驚くか、リヴァル?」

 

「お、大いにありよスヴェン! あまりにもなれている感じで見逃すところだったけれど────」

「────そうだな……例えるのならまるで『長年連れ添った老夫婦』の様だったぞ二人とも。 ククククク。

 

 で、で、で、出たぁぁぁぁぁぁぁ!!!

 久しぶりに出たぁぁぁぁぁ!!!

 腹黒ルルーシュが出た!

 

「うわぁ~、本当だ~。」

 

 何でシャーリーまで追い打ちをかけるの?!

 

「フフフフ♪」

 

 ぶっちゃん(毒島)も微笑ましいものを見たかのように満足そうな笑いを出すんじゃありません!

 

「うぃえ?! い、いやだな~。 長年一緒に居たからさ、つい────」

「────それでも普通は『これ食べる?』とかあるんじゃないかしら? あ、でも『流石は幼馴染』とは思いましたよ?」

 

 クッ、マーヤまで!

 

 このままだとカップル(の偽装)じゃなくて『勝手知ったるぐらい仲の良い幼馴染』の認識に定着してしまう!

 だって仕方がないじゃないか!

 今までだってカレンとお菓子とかのトレードをしていたんだから!

 

 弁当じゃなくて食堂でのアピールを提案した今朝の俺のバカ!

 

「ねね! 二人ってさ、もしかして付き合っているの?」

 

 出たぁぁぁぁぁぁ!

 シャーリーの考え無しなド直球!

 

「え? ……う、うん……」

 

「きゃああああああああ♡」

 

 ウッ゛。

 

 シャーリーの黄色い声にみるみるカレンの顔と耳が赤くなっていくのにつられてか、俺も耳が熱くなるのを感じ、すぐにポーカーフェイス(の延長にある)ポーカーヘッドを維持した。

 

「じゃあさ、お互いの血液型とかは?!」

 

「カレンはB型だな。」

「え?!」

 

 なんでそこでお前が驚くカレン?

 俺は建前的にお前の従者見習い兼世話係だったんだぞ?

 血液型ぐらい把握していても問題ないだろうが。

 

「す、スヴェンは………………AB型?」

 

 なんで疑問形?

 当たってはいるが。

 

「好きなものは?!」

 

「カレンは半熟卵、シチュー、ハンバーグとかだな。」

「スヴェンも同じだよね?」

「半熟の卵は食パンがあるかどうかによるがな。」

「食パンじゃなくても、ロールパンでも食べるじゃん。」

「まぁな。 卵の黄身を食べられるならべつにどんなパンでも挟められればいい。」

 

「だってさ、ルル!」

「いや……俺に振られても……」

 

 もう本当にこのお坊ちゃんは察しが悪いな!

 

「ルルーシュもシャーリーの事をもっと知りたいとは思わないのか?」

 

「うん?」

「え?!」

 

 フ、これはさっきの仕返しじゃけんボケェ!

 

「……ね、ルル────!」

「────シャーリーの事なら知っているぞ。」

 

「「「「え?」」」」

 

 俺だけでなく、周りの皆も同じくハテナマークを浮かべてルルーシュを見ただろうからか、明らかにルルーシュの眉間にしわが寄せられる。

 

「なんだお前たち、その目は?」

 

「いや、だって……」

「ねぇ?」

「『シャーリーを知っている』と言われても……」

 

 皆の疑問は分からなくもない。

 今までの扱いが扱いだけになぁ~……

 

 アニメでも、ルルーシュがシャーリーの事が好きだって自覚したのは手遅れな時だったし────

「────血液型はA型で誕生日は7月8日の蟹座────」

「────え?! え?!  ええええええ?!────」

「────好きなものはハチミツとバターたっぷりのパンケーキに、カリッカリに揚げたフライドチキン────」

「────はわわわわわ?!」

 

 ルルーシュがペラペラと饒舌に自分の情報を言い出したことでシャーリーがアタフタし始める。

 

 というかルルーシュ、その言い方は絶対にあれだろ。

 機密情報局で学生のプロフィールを閲覧した時に見た書類をそのまま口にしている気がする。

 

 

 ………

 ……

 …

 

「反省会を開くよ、スバル!」

 

 下校後、シュタットフェルト家の屋敷に戻ってスミカちゃん(カレンの妹)の柔らかほっぺたをぷにぷにして癒し成分を補給してからカレンの第一声が上記のソレだった。

 

 ちなみに場所は俺の部屋である。

 

「反省会? 『世界を欺く作戦会議』の間違いじゃないのか?」

 

「あ、なんかカッコいいからそれでいこう!」

 

 単純な奴め。

 

「いや~、食堂で食べるのは良いアイデアと思ったけれど……こう、なんというか────」

「────そもそも話すのならお前の部屋で良いだろ?」

 

 俺の言葉にスーっとカレンの目が泳ぎ出し、ピンとくる。

 

「カレン、お前まさか……整理整頓が────」

「────ふ、服はちゃんと洗濯かごに入れているよ?」

 

 ……いや、それ……普通の事なんだが。

 

「それ以外は?」

 

「さ、さぁ! 作戦────」

「────せめて筋トレ用のダンベルとかは片付けろ。 誰かが転んだりしたら危ないだろうが。」

 

「う……はい……って、それは今大事じゃない! これを見てよ!」

 

 カレンは携帯電話を出して、()()()SNSを見せる。

 

「……学園のSNSか。」

 

 そこにあったのは俺とカレンが町中で仲の良い様子の事等が書かれていた。

 そして────

 

「────『付き合っている割には落ち着き過ぎている』……だと?」

 

 よっしゃ!

 一度は口にしてみたいセリフを言えたぞ!

 

「先日も言われたしさぁ……やっぱりカップルとなるともっとこう……ほら、周りに『付き合っているぞー!』って見せつけるじゃん?」

 

「だが今の現状だと難しいぞ? ジョナサン様だけならば黙認するかもしれないが……流石に他の貴族などが黙っていないだろう。 そのプレッシャーにジョナサン様も黙認が出来なくなる。」

 

「うわぁぁぁぁ! やっぱり貴族って面倒くさい!」

 

 同感だ、俺も頭を抱えたいぞカレン。

 

「やっぱり地道にするしかないのかな……デートとか。」

 

 デート?

 デートか……

 

「この間のよりステップアップすることになるぞ?」

 

「バッチコーイ! あ、服のコーデは自分でやるからね?!」

 

「……」

 

「な、なに?」

 

「別に俺は構わんが、毛玉付きスウェットやジャージは駄目だからな────」

「────流石にそれはしないよ────?!」

「────冗談だ────」

「────知っているよ? ()()()()()だけー。」

 

「……」

 

「スバル?」

 

 まさかここでアキトレベルのダジャレとは……

 誰の所為でこうなった?*1

 

「それはそうと、デートはどこに行く?」

 

「へ? そりゃあ……モールとか?」

 

「何をしに行く?」

 

「いやだからその……デート?」

 

「デートと言っても種類があるらしいぞ。」

 

「え?! そうなの?!」

 

「俺も聞いただけだからな、詳しくは知らん。」

 

 そもそもエロ────ギャルゲーだと相手の子とかに合わせて選択肢が出てくるからな。

 

「ふ~ん?」

 

「なんだ?」

 

「ううん、『スバルでも知らないことがあるんだなぁ~』。」

 

「俺だって文字通り知らないことは腐るほどあるぞ?」

 

「そぉ~?」

 

「そうだ。」

 

「そういうことにする。」

 

 本当の事なのになんで信じ────「ウッ?!」

 

「スバル?!」

 

 な、なんだこれ は。

 

 きゅうに むねが、くるしく……

 

「ヒュ、ヒュウ! ヒュウゥゥゥゥ! ヒュウゥゥゥゥゥゥゥゥ!」

 

 い、いきが────

 

「────どりゃああ!」

 

 ドン

 

「ごはぁ?!」

 

 せ、背中に痛みが!

 今のはカレンの平手打ち?!

 

「ちょっと大丈夫スバル?! 顔が真っ青だよ?!」

 

「あ、ああ。 ちょっと気分がな……」

 

「……やっぱり夜更かしし過ぎなんじゃない?」

 

「かもしれん。」

 

 何せこちとら蓬莱共和政府でレイラの手つだいに学園からの卒業を駆け足で進行中しつつも実家への連絡を入れるための準備をしているからな。

 

 俺もゆっくりと時間をかけて卒業を他の皆と一緒にしたかったが、卒業さえすれば一応一般的な『成人』への一歩を進むことになるし『学生』の身分のままだと色々と制限がかかってしまう。

 

「じゃあ、明日は休日だし……出かける?」

 

「うん? ああ、そうだな。 それと出る時間はずらした方がいいだろう。」

 

「ん、了解!」

 

 さて、明日はどうなるのだろう?

 

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

「お待たせスヴェン!」

 

 

【挿絵表示】

 

 

「…………………………」

 

「スヴェン────?」

「────誰だお前────?」

「────ひどい! 失礼な! 私だよ私!」

 

「なんだ、お前だったのか。」

 

「そうだよ? ……もしかして騙されたぁ~?」

 

「ああ、一瞬全く気が付かなかったぞ。」

 

「……って、これ何のフリなの?」

 

「暇を持て余した遊び。」

 

「なにそれ。」

 

 惜しい!

 君は実に惜しかったぞカレン!

 

「それにしても、何か言う事ない?」

 

「初めて見るコーデだ。」

 

「そ、そりゃその……デートだから気合ぐらい入れるでしょ?」

 

「しかもちゃんと自分で寝癖を直しているから更に感心した。」

 

「だから気合入れるでしょ?!」

 

「似合っているな。」

 

「またまた~、お世辞でも嬉しいけれど────」

「────いや、素で可愛いぞ。」

 

「はぇ。」

 

 カァァァァァァァ。

 

「……」

 

 何でだろう。

 自然とカレンを褒めただけなのにカレン同様に俺も気恥ずかしくなってきたのだが……

 ま、まぁ実際カレンは可愛いしな!

 

 嘘は言っていない! うん!

 それにデートの冒頭で相手を褒めるのは悪くない筈だ!

 

 それに熱くなってきたのはきっと日差しの所為だ!

 

 秋口なのにガッデムホット(クソ熱い)

 

「そ、それでデートって何すればいいのかな?」

 

「ああ、それなんだが井上さんに聞いてみた。」

 

「ちょっと待って! 今って皆忙しい時期のはずでしょ?!」

 

「酒との引き換えによる交渉だった。」

 

「こ、『交渉』って……」

 

「それで貰ったのがこのメモだ。」

 

「えーっとなになに……『服屋さんで服を選び合う』、『デザートをシェアする』、『飼いたい動物を語り合いながらペットショップに行く』……?」

 

 最後の案は俺も『具体的!』と思ったからそんな顔を俺に向けないでくれカレン。

 

「う~ん……朝早くからデザートってなんだかなぁ~……」

 

「じゃあ服屋に行くか?」

 

「そうだね!」

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

 

「……ハッ?!」

 

「な、なにスヴェン?!」

 

「い、今俺たちは何をしている?!」

 

「いや、『何』って……ゲーセンでゲームやって日が暮れたから帰ってから部屋でゴロゴロしているけれど……何かおかしいの?」

 

 ですよね。

 

「ということは、まる一日潰れたということか……結局、服屋さんとかには行けなかったな。」

 

「……ハッ?! そう言えばそうだった!」

 

「と言っても、お前がふと足を止めてフラフラ~とゲーセンに入っていったからなんだが────」

「────それは言わない約束────!」

「────あと、今お前が抱いているぬいぐるみも『取れないかな~?』で結局取るために二時間────」

「────あー! あー! きーこーえーまーせーんー!」

 

「頼めば作ってやるぞ?」

 

「え。」

 

「既に何体か作っているしな、タバタッチ以外にもう一つぐらい増えても────」

「────もしかして毒島がたまにカバンから取り出して見つめながらニコニコするあのよもぎ餅っぽいヤツもスヴェンの手作りなの?」

 

「ブフ?!」*2

 

 よ、よもぎ餅って……

 今まですくすく〇沢に付けられたあだ名の中で、一番しっくりくるな。

 

「『カビ大福』とか、『カビの生えたわらび餅』とかじゃなくてか?」

 

「そんなのぬいぐるみが可哀想じゃん!」

 

 だとさ、自称『勝利の女神兼ゼロの新妻』の神楽耶様?

 

「でもデートって思っていたより難しいよね? 思わずいつもサボっている感じで過ごしちゃったし。」

 

 それは多分誰の所為でもないと思うぞ。

 ゲーセンなんて魅力的じゃないか!

 

 ガヤガヤしているし、お前(カレン)は夢中になると周りが見えなくなるし、他の子もお前と同様に夢中になるしな。

 

 ボーナスとして割と高い確率で『見えそう見えそう♪』な展開が起きるし。

 

 特にダン〇ボ的なマシンとかなんて、俺としてはウハウハな────「────あ。」

 

「ん?」

 

 

【挿絵表示】

 

 

「……あー、それとだなカレン? 良い服装のコーデなんだが、もうちょっと気をつけた方がいいと思うぞ。」

 

「ん~?」

 

「その服装のままベッドの上に座るのは良いがその……えっとだな、あー……()()()()()()()。」

 

「……」

 

 カレンの視線が俺から自分へと移り、ようやく姿勢を正す。

 

「ふ~ん?」

 

「そのだな……一応令嬢なんだからもっと気を配る────」

 

 ────グッ! バフッ!

 

 俺が言葉を言い終える前に、今まで見たことも無い速さでカレンが俺をベッドに引く。

 

「ね、ドキッとした?」

 

 

【挿絵表示】

 

 

 そこに同じく横たわるカレンがドアップで────え。

 

 な────

 

 ちょ────

 

 待っ────

 

 え。

 

 え。

 

 え?

 

 そ、そ、そ、そりゃあ小さい頃は同じ部屋で寝たりとかはしたが……

 

 昔は今とは違うのですが?

 

 キリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリ!!!

 

 やばい。

 久しぶりに胃がヤバイィィィィィ!

 

 

 


 

 

 

 「(ヤバイ。)」

 

 

【挿絵表示】

 

 

 同時刻、かつ同じ場所でカレンは内心で絶叫しながら必死に悶えることを我慢していた。

 

 「(やばいよやばいよやばいよヤッッッッッッッッベェよぉぉぉぉああああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!! これ普通に恥ずかしいよぉぉぉぉぉぉ!!! しししししし深呼吸ぅぅぅぅぅぅぅぅ!)」

 

 ドドドドドドドドドドドドドドド!!!

 

 自ら持ちかけたとはいえ、この様に自分が恥ずかしくて動揺していることを悟られたくないカレンであり、耳朶にくる心臓の鼓動は某冒険で使われるオノマトペが実体化したような音を発していた。

 

「(いやこれよく考えたらカップルの偽装する必要なかったよね?! うわ! うわ! うわぁぁぁぁぁ! それにこうやって見てから気が付いたけれど、スバルって意外と肩幅広い……)」

 

 ブワッ!

 

 パンッ!

 

 カレンがスバルの肩幅を見ていると、徐々に彼女の思考は卑猥な妄想へと繋がる直前にカレンは自分の顔が一気に紅潮する前兆を察して両手を使って音を出し、無理やりその場の空気を乱す。

 

「な、な~んてね! ビックリした?! ねぇビックリした?!

 

「・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ (アカン……これ、胃と心臓に悪すぎる……)」

 

 スバルは喉の奥からせり上がってきた何かを飲みこみ、返事をしないままただ仰向けにベッドへと突っ伏した。

 

「(めっっっっっっっっっっっっっっっっっちゃやばかった! やっぱりこれって井上さんが言っていたような『軽いスキンシップ』じゃないでしょ?!)」

 

 そしてスバルが突っ伏している横ではカレンは耳まで真っ赤になった頭を両手で抱えていた。

 

「(それにしても、井上さんが言っていた『あわよくばその先に!』ってなんの事だろう?)」

 

 

 カレン、君はそのまま綺麗なままでいてくれ。

*1
作者:お前だよ!

*2
*注*モンゴルの格闘技でも氷結属性魔法でもありません




……『猪突猛進』。 (´-ω-)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。