小心者、コードギアスの世界を生き残る。   作:haru970

313 / 344
*注*ギリギリ(一応)R18指定じゃない微エロの挿絵が最後に出ます。


第308話 7窒素:2 酸素:1今の雰囲気 (挿絵)

 カリカリカリカリカリ。

 

「……ん?」

 

 ぶっちゃけよう。

 

『気が付いたらアッシュフォード学園のクラブハウスで事務作業をしていた。』

 

 ……なんで?

 

「どうした、スヴェン?」

 

「ッ。 ああ、何でもない。」

 

 俺も訳が分からないので動きを思わず止めていると、それに気が付いたルルーシュが声をかけてきたのだが……『なんだか違和感がある』というわけにもいかないので濁した。

 

 なんだろう?

 そもそも俺は()()()()()

 いや、『学生だから』で片づけられるのだが何か重大なことを忘れている様な気がする。

 

 でもその『重大なこと』が思い出せない……

 

 そもそも俺は学園ではなく、別の場所にいたような気が────

 

 ────バァン!

 

 などと俺の考えを遮るかのように部屋のドアが『ムッフー』と言いたげなドヤ顔を浮かべているミレイによって元気よく開けられる。

 

 うん。

『眼鏡かけた柏〇先生』風のミレイはイイね!

 特に胸の露出度がアップされたせいで色気に更なる磨きがかかって♪

 

 だが傍で苦笑いを浮かべているシャーリーを見ると、いやな予感しかしないのだが?

 

「先生────?」

「────と・い・う・わ・け・で~☆ こほん……スヴェ~ン、ルル~シュ~! ぬぅ~げぇ~。

 

 ミレイが出現したと思ったら『声以外表情と喋り方が皇帝シャルルそのまま完コピ』を披露して来たヨ。

 

 そもそも『脱げ』って意味が不明過ぎる。

 

「うぐっ……ミレイ先生、急に何なんですか────?!」

 「────聞き返すとはぁ~、何たる愚かしかよなぁ~? その身に纏っている服はぁ~、誰が与えたのだぁ~?」

 

 ビキビキビキ!

 

 「自分で購入しましたが何か?」

 

 いや、本当に表情も喋り方もルルーシュの煽り方もシャルルそっくりで思わずルルーシュも青筋を上げながら必死に冷静を装っているし……

 

 物真似レベルが非常に高い。

 

 っと、和んでいる場合じゃない。

 ルルーシュが爆発する前に何とかしないと!

 

「もう一度問う形ですがミレイ先生、急に何ですか? 『皇帝シャルル物真似祭り』ですか?」

 

「ん~、スヴェンのそれはそれで面白そうだけれど……今やっても意味ないでしょ? それに学園では私の方が偉いし♪」

 

 おいおいおいおいおいおい。

 

「ミレイ先生、それ一歩間違えれば変な捉え方で告発なんてされたら大変なことに……」

 

 そら見ろ!

 あのシャーリーでさえも正論を言いながら引いているぞ!

 

「いや、でも今なら案外大丈夫なんじゃね?」

 

 リヴァル、ちょっと黙っていていれば『二枚目』に届くのにそんな一言があるから『残念な二枚目』なんだよ?

 

「ムフフフ♪」

 

 ミレイ、完全に俺たちの反応を面白がっているな?

 

『勝ち負け』以前に、話しかけてきた瞬間から『勝ち』しかなかったということか。

 

「それでどうする二人とも? さっさと脱ぐ? それともいやらしく照れながら脱ぐ~?」

 

『脱ぐ』の一択だけかよ?!

 

「はぁ……ですから理由を聞かせてください、先生。」

 

「ん~? 聞いちゃう? 聞きたい~? 」

 

 聞きたくないけれど聞くしかない案件だよね、これ?

 

「実はね? ロロのオーラが凄くよどんでいるってミレイ先生が言って────」

 

『オーラが淀んでいた』ってミレイ……『聖戦士』────じゃなくて、『ミ・〇ェラリオ』やったんか?!

 

 あ、『オーラ』が『闘志』だった場合だと拳闘士が跋扈する世紀末的なアレになるのかな?

 

「────聞いてみたら、『去年はルルが絵のモデルだったから今年はロロが~』って話になってモデルをやらされたのだけれどルルの時みたいに『動くな~』とか『顔が変~』とかが無かったの。」

 

「え。」

 

「でもその代わり、注目を浴びるのとドレスを着るがすっごく苦手で────」

「────まぁ、つまるところ! ルルーシュやスヴェンをイジル大義名分ってことよ!」

 

 「会長、とうとう今ぶっちゃけましたね。」

 「じゃなくて先生だろ、シャーリー?」

「ちょっと待って。 今のミレイ、『ドレス』って言わなかった?」

「あ、そう言えばアンジュさんはクラスが別だから知らなかったんだよね? 去年はスヴェンがクラスに頼まれて女装した『シュゼット』のモデルをやってもらったの。」

「え゛。」

「そうそう。 あれで学園の何人が性癖をこじらせたのかは、もう考えたくないな……」

 

 え。

 リヴァル、その話……俺は聞きたいような、聞きたくないような……

 

 何だろう、どんな話を聞いても沼に落ちていくような気がする。

 

「はぁ……なるほど、ミレイ先生は俺やスヴェンを裸にした上で無茶な要求をしたいんですね?」

 

「そういうこと♪」

 

「「ド直球か。」」

 

 「ルルの裸……ルルの……」

 「シャーリー、鼻。」

 「スヴェンの女装……スヴェンの……」

 「アンジュリーゼさんも鼻。」

 

 「ブツブツブツブツブツブツ……」

 

 ルルーシュが頭を抱えながら独り言を言うその気持ち、分かるぞ。

 

 なんだってミレイは毎度のことごとく俺やルルーシュを晒し者にする方向にイベントを持ちたがる?

 

 ……マジで『幼少期はルルーシュの婚約者候補』の説が濃くなったのと同時に、謎が深まるばかりだな。

 

 「ブツブツブツヌードモデルなどどうでもいいが宮廷画家クラスのプロならともかくたかが地方の学園のガキどもに下手くそな裸体(らたい)を描かれるなど屈辱の極みだ!」

 

 いやいやいやいやいや。 何を言っているのさ、ルルーシュ君? それじゃないだろ。

 

 物凄くズレているよ?

 

 というかあまりのテンパりに、色々と言っちゃダメなことを口走っているけど良いのかよお前?!

 

「というわけで脱ぎなさーい!」

 

 敢えて(内心で)言おう。

『待ちなさーい!』、と。

 

「さぁ! さぁ! さぁ!

 

 「まさかワザと下手くそに描いて俺たちをバカにするつもりか? あり得るブツブツブツ。」

 

 そういう問題じゃないだろ?!

 

 てか裸体なんて嫌だ!

 

「んじゃ、話が付いたところでお二人さんには────」

 

 ニッコリ。( ꐦ◜ω◝ )

 

「────リヴァル。 私たちに何が起きるのか分かって発言しているのでしょうね?」

 

「そ、そこまでオレを睨むことないだろスヴェン?! そ、それに多少心は痛むと言えど、ミレイ先生のポイントを稼げると思えばこのリヴァル・カルデモンド、友と言えども、敢えて売る!」

 

 うっっっっっっっわぁ~……

 こんなところにゲスロウ()がいたぞ。

 

 「最悪だぞ、リヴァル。」

 

「だから! 神妙に! お縄に頂戴!♪」

 

 おお、よくその言葉を知っていたなミレイ。

 

「先生、何ですかそれ?」

 

「『大人しく捕まれ』って言う意味よ♪ ね、スヴェン?」

 

 キッ!

 

 スミマセン、俺のせいでした。

 

「フ……フハハハハハ!!!」

 

 ルルーシュが笑い出した?

 

「聞きますけれど先生? 俺の服をどうやって剥ぎ取るつもりだ?」

 

 うん、ルルーシュが壊れたようだネ。

 

「??? 今の何? まるでえええっと、『ランスロット仮面』に出てくる仮面の悪役っぽいセリフよ?」

 

 ですよねぇぇぇぇぇぇぇぇぇ?!

 

「フフフフ……分かりませんか? 俺やスヴェンにそのようなことをすれば、黙っていない人たちが出てきますよ?」

 

 ま、まさかルルーシュ……こんなことの為に、黒の騎士団を呼ぶつもりか?!

 

「え? どういうこと?」

 

「あー……ルルーシュとスヴェン、学園中に親衛隊がいるんですよアンジュちゃん。」

 

 ふぁ?!

 

「し、し、『親衛隊』~?」

 

 俺をそんな目で見るなアンジュ!

 俺も初耳だ!

 

「……趣味なの?」

 

 違ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁう!!!

 

「そういう訳で『(ルルーシュ)やスヴェンが裸にされた』という話が大きくなればなるほどに、俺たちに同情する味方は増える一方で先生に対する偏見は悪いものへと変わり、今後のイベント開催に支障を出すだろう!」

 

「クッ! 他人の影に逃げるなんて、卑怯な────!」

「────何とでも。 所詮、この世は結果! 俺の望む結果に辿りつけるのならば、過程においてこの演説の才能を余すことなく発揮させよう!」

 

 もう……我慢できない。

 

「なぁルルーシュ? 言っていることを立派そうに語っているが……言わせた状況が最悪だぞ?」

 

 「自覚はある。」

 

 あるんかい。

 

「だから妥協案だ……なぁスヴェン?」

 

「そうだな。」

 

 ルルーシュが何を言っているか分からないが乗ってやる、彼のウェーブに!

 

「だからリヴァル……お前が脱げ!

 

「うぃえ?!」

 

 あ、その手があったか。

 

「ポイント稼ぎだろ、リヴァル?」

 

「ムムムムムムムムムムムム……………………………………」

 

 「フ。 好きに悩め、どうせお前には────」

「────分かった! このリヴァル・カルデモンド! ミレイ先生の為に! 文字通り一肌どころか全て脱ぎましょう────!」

「────はぁ~? アンタはお呼びじゃないわよ────」

「────ぬぅぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ?!」

 

 リヴァル……見事に撃ち落とされたな。

 

 ご愁傷様……

 

「う……う……オレはどうせ……オレはどうせ……」

「うわぁ……」

「場が盛り上がっていたのに、見事にいつものチャラい行動でクールダウンしちゃったわね。」

 

「フ、条件はすべてクリアした。 ミッションは達成したも同然だ。」

 

 「さ、流石は兄さんだ! 好き!

 

 俺は何も聞いていない。

 

 「勝利は我が手に────!」

「────オレはここまでのようだ……だからロロ、後は頼んだ。」

 

 「へ。」

 

「あ、そっか♪ ロロがいたわね♪」

 

 「ええええええええええええええええええ?!」

 

 ロロよ、やはり君は()()()雑巾だったか……

 

「そう言えばロロってば男子なのに肌も白いし、柔らかくてしっとりしていそうで────」

「────シャーリーさんッッッ?!?!?!?!」

 

 さわさわさわ。

 

「ひぇ────?!」

「────あらホント! 若いっていいわねぇ~♡」

 

「や。やめてくださいミレイ先生!」

 

 ナニコレ。

 

「じ・ゃ・あ♪ じっっっっっっくり見るだけにするわね♪」

 

 まるでパッケージ写真に騙されて年上の先生が男子生徒を空いた教室に連れ込んだ先に気になる先輩も加わったショタものA〇の導入編を見ている気分なんだが。

 

「ロロ、ご指名だぞ。」

 

「兄さん?!」

 

「お一人様、ご案内です。」

 

「スヴェンまで?!」

 

「あっは♡ この怯えた顔、ゾクゾクしちゃう♪」

「それにしても、ロロって顔だけ見れば完全に女の子に見えますよね?」

「……ちょっと嫉妬しちゃうぐらいにね。 アレ(ロロ)、ぜっっっっっっっっっっっったいにスキンケアなんてしていなさそうだし。」

「分かる~♪ 私も夜食にフライドチキン食べた後は洗顔するのを()()()忘れるし────!」

「────あ゛? んだとコラシャーリー────!」

「────え?」

 

「やはりだめだ!」

 

「「「え?」」」

 

 急にルルーシュが叫び、俺を含めてその場にいた全員の視線を集めた。

 

「ロロは大切な弟だ! 人前で裸にさせるなど!」

 

「ほぉ~? じゃあ他の誰がなるというの?」

 

「それならば、むしろ……いや、やはり俺が────!」

「────ダメだよ兄さん! 兄さんにさせるぐらいなら、やっぱりボクが!」

「しかしロロ! それでは────!」

「────いいんだ! 兄さんのためなら────!」

「────ロロ────!」

「────兄さん────!」

 「────くっさ~~~~~~~~~~い!!!!!!!!!!」

 

 ルルーシュとロロの芝居を声のみで断ち切るかのように大声を出す。

 

「な、なんですか先生────?!」

「────プンプンするわ! 処理されていない下水道以下の匂いがするわ!」

 

 ミレイ……今のセリフに『ゲロ以下』が入っていたらシルクハットをプレゼントしていたところだったぞ。

 

「何よ今の『田舎臭い兄弟愛』の芝居は?!」

 

 だよな。

 わざとらしすぎる────

 

「────これじゃあ私が『悪代官』じゃない?!」

 

 そっちを気にするのかミレイ?

 

「え? 違うんですか先生?!」

 

 シャーリー……口にしちゃいけないところを言葉にしちゃったね。

 

「もう! 何でそんなに非協力的なのよ?!」

 

 いやいやいやいや、『男優』ならともかくどこの世界に裸になりたがる男がいるのさ?

 

「先生、やっぱり無理があるんじゃないですか────?」

「────やだー! やだやだやだやだやだやだやだやだやだぁぁぁぁぁぁ! 裸を見―るーのー!!!」

 

 ジタバタジタバタジタバタジタバタジタバタ!

 

 

【挿絵表示】

 

 

 煩悩丸出しとはいえ、あのミレイがただの『駄々っ子』に……そうとうストレスをため込んでいたんだな。

 

 ガチャ。

 

「おー! 今日は生徒会の先輩たちが全員そろっているな!」

 

 新たな乱入者、ジノ!

 

「……」

 

 とアーニャ。

 

「ミレイ、シャーリー、アンジュリーゼ嬢にその他!」

 

 ビキッ。

 

「『アンジュリーゼ嬢』?」

 

 ビキビキッ。

 

「『その他』……だと?」

 

 あ、怒らせちゃいけない人たちの額に立派な青筋が。

 

「ジ~ノ~♡ いいところに来たわね~ん♡」

 

「え?!」

 

「企画よ~? イベントよ~?」

 

「な、なんの?」

 

「主役、やってみないかしらヴァインベルグ卿?」

 

「アンジュリーゼ嬢にそう言われると、昔を思い出すなー! あの頃はまさに『ご令嬢』だったのに今だと『じゃじゃ馬』なのになー!」

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん!? ざけんじゃねぇ、この鳥あt────」

 

 ────ガバッ!

 

「むごごごごがががが?!」

 

 はーい、お口にチャックしようね~アンジュちゃ~ん?

 

「でもさぁ~? ジノに主役が務まるかな~?」

 

 「で、出来らぁ!」

 

 一瞬ジノのデッサンが『食〇しん〇』的でゲジマユなアレになったぞ?!

 

 原作ニーナ級の顔芸だ!

 

「ジノ君なら大丈夫だよ! ファンもいっぱいいるし!」

 

「あ、やっぱりシャーリーもそう思う?! いや~、転入早々にラブレターとかも山みたいに貰っているし、やっぱりそうなんだ! ナハハハハハハハハ!!!」

 

「「けっ。」」

「ククク。」

 

 嫌みかよこの野郎。

 

「ところでジノは何をさせられるの?」

 

「良い質問ねアーニャちゃん! ずばり! ゴニョゴニョゴニョゴニョ……」

 

「……」

 

 ん? ミレイに耳打ちされたアーニャがこっちを見た?

 

「……じゃあ私が立候補する。」

 

 ゑ。

 

 「「「え?」」」

 

「だめ?」

 

「いやいやいやいや!」

「問題ありまくりだよ!」

 

「そ、そ、そ、そうですよ()()()()? 流石にそれは駄目ですよ。」

 

「なんで?」

 

 いや、『なんで』って聞かれても────

 

「────ちょっと待てスヴェン……今お前、呼び捨てにしなかったか?」

 

 あ。

 

「も、も、も、もしかして『付き合っている~』とか?」

 

 シャーリー、どこからどう解釈すればその結末に至れるのだ?

 

 むぎゅ。

 

 何で抱き着いてくるの、アーニャんちゃん様?!

 

「うん、そう。」

 

 「「「えええええええええええええええ?!」」」

 

 何言っているのこの子は?!

 

「ね、()()()?」

 

 ………………………………………………ゆ、夢だ。

 

 これは悪い夢だ!

 

 夢だぁぁぁぁぁぁぁぁ

 

「そう、これは夢。」

 

「あ、アーニャ?」

 

「だから起きなさい。 でないと……」

 

「で、『でないと』?」

 

 「私が脱ぐ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

「ふぁ?!」

 

 ガバッ!

 

 冷えた身体中から噴き出した冷や汗のせいで浴衣が肌にべったりと張り付いた嫌な感触を覚えつつも、俺は勢いよく起き上がる。

 

 い、いったい何が……

 

「すごくうなされていた。」

 

「そ、そうか。」

 

 悪夢でも見ていたのかな、俺は?

 

「そ、そもそもここはどこだ?」

 

「温泉じゃない。 とりあえず、のぼせた君を部屋に隠した。」

 

「一目見てそれはわかる。 どこの部屋だ?」

 

「私と冴子の部屋です。 お水、ありますけれど飲みますか?」

 

「そうだな、もらっておこう。」

 

 グビ、グビ、グビ。

 

 俺は浴衣姿のマーヤから手渡されたコーヒー牛乳瓶の封を開けて、喉を────「────ブフォ?!」

 

「神様?!」

 

 なななななななんでマーヤもここに?!

 

 あ、いや、さっき『私と冴子』って言っていたから────ってそうじゃない!

 

「ああ、実は学園の修学旅行がハイキング(山登り)から温泉に戻ったのですよ。」

 

 え。

 

「元々ロッジに何泊かする予定でしたので、皆さん着替えを持っていましたから、着る服を変えるだけで楽でしたよ?」

 

 寝起き直後から情報が多すぎる。

 

「ちなみに冴子はもう黒の騎士団のいる会場に向かわれましたが────」

「────す、少し待ってくれマーヤ。」

 

 ようやく思い出してきたから頭の中を整理しておきたい……

 

 俺は確か、ライを風呂に────って、そうだ!

 

 ライが『男』ではなく実は『女』だと────ああ、そうじゃない! ここにはマーヤもいる!

 

「ま、マーヤ?」

 

「はい?」

 

「その……(ライ)……彼女(ライ)のことなのだが……その────」

「────ええ。 神様並みの技術をお持ちですし、有能な人材を確保できましたね。 」

 

 何だろう。

 ポーカーフェイスのライ(仮)と表情が忙しいマーヤを見ていると、まるで他作品の主人公たちの間にあるギャップ感を見ている気がしてホッコリする。

 

 「まさかこの為にルルーシュに『貸し』を作らせていたとは私の目を持ってしても!」

 

 うん、まぁ……マーヤは時々高い確率で『それどこから受信しているんじゃないか』レベルのネタを口にするけれども。

 

「それでえっと……お名前はなんでしょうか?」

 

「……………………」

 

 マーヤを無視しないでライ君ちゃん様。

 てか俺を見るなよ。

 

「???」

 

 ほら、マーヤも釣られて俺を見るようになったじゃんか。

 

 仕方ない、ここは無口な彼────彼女の代わりに答えるか。

 

「ライだ。」

 

「『ライ』??? まるで男性の名前ですね。」

 

 そうかな?

 ライの名前は設定集か何かによればルルーシュやロロのように『ラ行繋がり』でしかも『嘘つき(ライアー)』から取ったから、男女関係なく『変』だと思うぞ。

 

「……『ライカ』だ。」

 

 ゑ゛。

 

「ああ、なるほど。 ライは愛称でフルネームはライカなのですね? 私は────」

 

 マーヤが自己紹介をしているが、俺の耳には届いていなかった。

 なんでライに『カ』を付け足す?

 

 何か違和感が……何かが引っ掛かって……

 

 俺とライの接触はかなり限定している!

 思い出せ!

 

 えええっと……戦っている時はロクに話しもしなかったから……初めてライを見た時、俺はなんて口にしていた?

 

『ライ、か?』*1

 

 ………………………………………………………………………………ん?

 

『ライ、か?』→『ライ、か』→『ライか』→『ライカ』。

 

 もしかしてもしかするともしかするのか?

 

 いやいやいやいや、そんなアホな。

 

「ブツブツブツブツブツ……」

 

 生憎、マーヤは独り言を言いながら没頭している。

 

 「なぁ、ライ。 その、『ライカ』って────?」

 「────君が僕を始めて呼んだ名だ。」

 

 もしかしたぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?!

 

 あの時の言葉で始まっていただとぉぉぉぉぉぉ?!

 

 人のことは言えないが、そんな安直なことで良いのか?!

 

「お前はそれで良いのか?」

「別に?」

 

 あ、いいんですか。 そうですか。

 

「それよりもこれからはどうする?」

 

 どう言う意味だってばよライカちゃん。

 

「……ここには君の学友たち()来ている。」

 

 あ、そっか!

 さっきマーヤも『冴子』と言っていたじゃないか!

 もしここで毒島が現れたら、黒の騎士団の連中に勘繰られて色々とややこしくなる!

 

 よし、俺も準備してから宴会場に行こう。

 

「マーヤ、先に行ってくれ。 あとで追いつく。」

 

「え? ……ええ、分かったわ。」

 

 確か予定によれば大広間だったような気がする。

 

 それに、のぼせた俺をここまで運んでも何も言わなかったライカなら()()だろう。

 

「……?」

 

「ライ────いや、ライカ。 手伝ってくれ。」

 

「分かった、何をすればいい?」

 

 うん、素直でよろしい。

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

 ガヤガヤガヤガヤガヤ!

 

 大広間に到着したが見た様子では乾杯を澄ませ、既に宴会は始まっていた。

 

 いや、もしかすると乾杯をする前に宴会は始まったのかもしれない。

 

 酒を飲んでいる者、酒が抜けて切っていないのに飲む者────つまるところ、『酔う為にここにいる』様な感じだ。

 

 そして部屋の中はカオスだったことは言うまでもないだろう。

 

 強いて言うのならば杉山と井上さんは誰が一気に飲めるかの勝負をしていて、近くの吉田は白目をむきながらダウンし、扇は部屋の端で暗~い空気を纏いながら一人で飲んでいるし、C.C.はどこからかピザをゲットしては食べているし、誰も神楽耶とゼロの他に毒島がいることに何の疑問も浮かべていないところだな。

 

「ス~バ~ル~♪」

 

「おわ?!」

 

 くっさ!

 抱き着いてきたのは滅茶苦茶嬉しいけれど酒臭いぞ、井上さん?!

 

「アンタのその真面目さと~、ストイックなところって~、結構ポイント高いのよ~? 分かる~?」

 

 呂律は辛うじて回っているようだが、完全に酔っぱらって理性がほとんど残っていないな。

 

「あ、そうだ! ()()、やって欲しいな~♪」

 

『アレ』とは何ぞや。

 

「ほら~♪ アレよ、アレアレアレアレアレアレ!」

 

 そんな浴衣をはだけさせた姿と火照った顔で『アレ』と言われてもナニしか思い浮かばないけれど俺は露出の趣味はないからな?

 

 するならもっと雰囲気が整えられた────

 

「────帯、引っ張って~ん♪」

 

「……そんな事をしたら浴衣が脱げるんじゃ────?」

「────そんなことないわよ~! 先に~、クルクルクル~って回りながら『あ~れ~』になっちゃうの~♪ 時代劇でもあるじゃない~♪」

 

 フム、そう来るのならこういい返そう。

 

「時代劇とリアルは違うでござるよ、井上殿?」

 

 あ、今のなんか『オロロ~』をよく言う侍っぽかったな。

 

「何よ~?! 男だったらロマンでしょ?! 一度は()()たいでしょ?! ()()()()()()()って言っているのに~! この()()()()()~!!!」

 

 井上さん、言い方。

 あと密着した柔らかさ、ごっちゃんどすえ!

 

「・ ・ ・ ・ ・ ・」

 

 ハッ?!

 へへへへへ部屋の反対側から冷た~い視線が来ている?!

 

 感じるぞ!

 

 無視だ! 無視するしかない!

 目を合わせたら命はない!

 

「ねぇ~? して~? してよ~?」

 

「・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・」

 

 

【挿絵表示】

 

 

 無視だ無視!

 ミ~ン、ミ~ン、ミ~ン!

 俺はしがないセミ!

 

「あの、ですからその、私は────」

 

 ん?

 なんだか上座の方でゼロが圧されている様な感じがするぞ?

 

「────なんだゼロ! 神楽耶様の酒が飲めないとでもいうのか?!」

 

 毒島、なんでそのフリを君が知って……いや、知ってそうだな。

 

「いえ、ですから私はお酒の類は────」

「────う。 うぅぅぅぅぅぅ……」

 

 なるほど、飲酒を進められて困っているのか。

 

 それにしても毒島、何だかプルプル肩を震わせるほどに怒って────

 

 ブヮッ!

 

「どうせ私は役立たずだぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 ────失敬。

 

『怒っている』じゃなくて……『悔しそう』?

 

「うああああああああ!」

 

 ガチ泣きしだした?!

 あの毒島が?!

 

「私は! 私は! 私はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! 剣を振るうことしか能のないダメな女だぁぁぁぁぁ! うわぁぁぁぁぁぁぁん!!!」

 

 

【挿絵表示】

 

 

 ま、まさかとは思うが……酒を飲んでいるのか?!

 年上っぽい見た目と性格だけど……同年代の未成年でしょ?!

 

「冴子。」

 

「ひぐ、えぐ……な、何ですか! 神楽耶様?!」

 

()がお主を役に立たせよう、まず周りを黙らせろ。」

 

「はい、神楽耶様!」

 

 キィィィン。

 

 突然毒島が立ち上がったと思ったら耳鳴りのような音がし始め、周りが自然と黙っていく。

 

「うむ、いつも以上にキレの良い居合術じゃな冴子。」

 

「光栄です、神楽耶様!」

 

「……皆の者たちよ、芸で(わらわ)を楽しませろ。」

 

 

【挿絵表示】

 

 

 え。

 

 ………………………………………………やっぱり脱ぐしかないの、俺?

*1
77話より




『神楽耶様』、降臨。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。