小心者、コードギアスの世界を生き残る。   作:haru970

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第310話 『運命』の裏側で (挿絵)

 ヴ~ン。

 

 ルルーシュとシャーリーが甘酸っぱい青春のページを堪能していた同時刻、旅館内の別の場所にあるリラックスルームでは響く機械音をかき消すかのような唸り声を上げていたヴィレッタがマッサージチェアを堪能していた。

 

「……………………んああああぁぁぁぁぁ~。」

 

 実はヴィレッタ、教員になったばかりのミレイと比べれば『年長者』に当たる為、『引率者側』として旅館に来ているため彼女のスケジュールはかなりかつかつであり、彼女もようやく一息つけたところであった。

 

 そのため、軍学校時代の習慣からか、深い眠りによって睡眠時間を削りつつ部下生徒や同僚たちと鉢合わせにならない、限られた時間内に旅館をできるだけ自分なりに堪能しようとしていた。

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛。 (スタッフがいなかったからあまり期待はしていなかったが、この椅子のマッサージはなかなか……)」

 

 

 追記すると(ブリタニアや貴族に限ったことではないが)女性は基本、ある程度裕福であればお金を払ってその手の専門店やサロン、あるいは家のメイドからマッサージを受けているので『無人(機械)のマッサージ』は珍しい風習である。

 

 

「……このまま溶けてしまいそうだ。 脅威だ。 しかし抗いがたい────」

「────分かるぞその気持ち────」

「────きゃ?!」

 

 グリッ!

 

 「い゛?!」

 

 急に声をかけられたヴィレッタはびっくりして思わず立ち上がりそうになったところで、完全に停止する前のマッサージが食い込んでしまう。

 

「あいたタタタタタタタタタ……」

 

「す、すまない。 驚かせるつもりはなかった。 てっきりその、俺の声が聞こえたかあるいは気配に気づいたのかと思っていた。」

 

「い、いえ。 スバルさんのせいでは……というか、ここでそのヘルメットはどうかと思いますよ?」

 

「そ、そうか?その、俺がここに居るのは不自然かと思って────」

 「────『不審者』感が丸出しですのでやめた方が良いかと。」

 

 ヴィレッタは腰を擦りながらも声をかけてきた、『フルフェイスヘルメットに浴衣』というどこからどう見てもアンバランス珍妙な見た目をしたスバルを呆れ顔半ばでキッパリと言い渡す。

 

「……そんなにか?」

 

 「はい。」

 

「そ、そうか……」

 

「そこまで落ち込むことはないかと────」

「────いや、俺も前にコック帽を乗せて握り飯を配ったことがあって、そのときも『在り得へんわ~』とベニオに────」

「────確かにフルフェイスヘルメットコック帽はないですね。 そもそもどうやって乗せたのですか?」

 

「両面テープを使った。」

 

「……なぜコック帽を?」

 

「フルフェイスヘルメットだと不気味がられて人が寄り付かなかったからだ。」

 

「…………」

 

「難しそうな顔をしてどうした? ああ、ちなみにこの周辺で俺たち以外の人はいない。 確認済みだ。」

 

「いえ、それではなく……」

 

「??? ではなんだ?」

 

「(言えない……『昨日ギターを弾いていたネモの横で踊る貴方を見た所為で色々と言いたかったことが貴方を見た瞬間どうでもよくなった』だなんて。)」

 

「(かなり疲れている様子だな。 この頃、教師だけでなくミレイの事や機密情報局も兼任しているせいで色々としているらしいから、無理もないか。 俺に何かできないことはないかな?)」

 

 自分から目を逸らしつつ静かにため息を出すヴィレッタを見たスバルが考え込むそぶりを見せて僅か数秒後、彼はハッとする。

 

「(しかし浴衣のスバルさんは新鮮味があるな────)」

「────ああ、そうだ。 ちょうどいい、ヌゥ男爵(ヴィレッタ)ちょっと付き合ってくれないか?」

 

「あ、はい────ハイ?! (()()()()?!)」

 

「その、押し付けるようで悪いのだが────」

「(────()()()()()────?!)」

「────見つけたからには、どうしてもやりたくなって────」

「(────()()()()()()()()()()()()()────?!)」

 

 ガシッ。

 

「────ひゃう?!」

 

 手首をスバルに掴まれたヴィレッタはマッサージチェアから起き上がると同時に素頓狂な声を出すが、スバルはそれを意にすることなくただグイグイとヴィレッタを引っ張って歩く。

 

「あの、その、え?! どこへ?!」

 

「温泉と言ったらアレだからな。」

 

「(()()?!) あの、私は! そういったものは初めてでして────!」

「────だろうな、俺もだ────」

「────え?! そそそそそそれならば尚更────いえ、そういった()()を持っているというならばそれはそれで────!」

「────着いたぞ。」

 

 既に予期していなかった急展開に目を回していたヴィレッタは、あまりの動転ぶりに自分自身何を言っているのか分からないまま歩いていると、スバルが止まったのはリラックスルームから少し離れたゲームコーナーの手前だった。

 

「……………………はぇ?」

 

「あれを知っているか? エアホッケー台だ!」

 

 目を点にしたヴィレッタの前でスバルはヘルメットの下からキラキラとした視線をホッケー台に送っていた。

 

 

 スバルがエアホッケーに興奮する理由があった。

 

 コードギアスの世界は古くからサクラダイトという『オーパーツ』ならぬ『オーバー鉱物資源』の恩恵で電気技術が現実(リアル)より格段に発達している為、ゲーム機やゲームセンターなどの類は勿論のことあるし、なんなら重機や建設機械の免許さえ会得していれば作業用に民間人用のKMFシミュレーターもある。

 

 逆にエアホッケーなどの、競技を()()()()のままかつ()()()した遊戯などは皆無である。

 

 え? 『ラクロスとかテニスとかあるだろう』?

 

 無論、あるにはあるが競技をダウンサイズするのなら据え置き型のゲーム機のソフトやバーチャル化すればその分、機材や整備のコストに台を置く空きスペースも浮かせられるのでこの世界では電子化が主流である。

 

 現実での例を挙げるならば、一昔前の『ゲームテーブル機』も時代が進み、スマホや家庭ゲーム機の人気が上がるにつれて無くなった経歴が当てはまるだろう。*1

 

 

「(スゲェ! 見間違いじゃなかった!)」

 

「……」

 

 

【挿絵表示】

 

 

「ん? どうした?」

 

 スバルは黙り込んだヴィレッタへ振り向くと、彼女は両手で顔を覆っていた。

 

「いえ……何も……ただその……自分自身に恥じていまして…… (先日の公私混同騒ぎや予想以上に浸かれる引率役などがあるとはいえ、『勝手に卑猥な妄想をして動揺していた』なんて口が裂けても言えない……)」

 

 

 

 


 

 

 

「そ、そうか?」

 

 (スバル)がそう問うと、ヴィレッタは紅潮していた顔を両手で覆ったままただコクコクと首を縦に振って頷く。

 

 どう見ても、耳まで真っ赤なんだが……

 

『風呂から上がって風呂上りからマッサージチェアを堪能する前に酒を飲んだ』、とかか?

 

 でもあのヴィレッタが朝から酒を飲むとは考え……いや。

 そう言えば以前、シャーリーとルルーシュが誕生日プレゼントを買いにオモテサンドウモールへ行ってヴィレッタに酒を買っていたな。

 

 原作でもルルーシュの脅迫まがいな『ハッピーバースデーヴィレッタ先生♪』なエピソードもあった気がするし、ヴィレッタは酒好きと仮定すればあり得る……かも。

 

 取り敢えず、他の奴らが起きる前にエアホッケーはしたい。

 

 どういう訳かこの世界って、ガチャガチャしたアナログで騒がしい遊戯とか非常に稀だからな……

 

 別にカレンでも良かったんだが、この旅館に学園の奴らがいるとなると話は別だ。

 

 その点、ヴィレッタなら『教師』で『軍人』で『大人』だから不信……()()()()()()をした俺と一緒にいるところを見られても、『変な奴の監視をしていた』で話が通せる。

 

「スゥー……ハァー……もう大丈夫です。」

 

「そうか?」

 

「はい。」

 

 うん、確かにいつものヴィレッタだな。

 

 サイドテールが無いのがちょっと残念だけどそれを補うかのようなサラサラヘアーがキラキラしている。

 やっぱりケアは欠かしていない様子だな。

 

 どこかの約一名(カレン)とは違うなぁ~。

 

「君はエアホッケーを知っているか?」

 

「「『えあほっけー』……『ホッケー』は確か、カナダ州のスポーツと聞いているが────」

「────大体は似ている。 エアホッケーはマレット────この白いヤツ(器具)を使って相手にゴールインして得点を競う遊戯だ。」

 

「……」

 

「ちなみに盤上の穴から出る空気がパックを浮き上がらせ────ん?」

 

「……」

 

 またヴィレッタが顔を覆って天井を見上げたぞ?

 

 鼻血か?

 

「大丈夫か?」

 

「……フゥー、大丈夫だ。」

 

「ハンカチ、いるか?」

 

「い、いえ! 大丈夫です! はい!」

 

「そうか。 ちなみにパックを手で触れるのは最初のサーブ時のみで、パックをマレットや素で、腕などで押さえ込むのは反則だ。 それと……この機種は、自陣にパックを保持できるのは数秒だけのようだな。 時間を超えると勝手に相手陣へパックを空気が押すようになっている。」

 

「??? 君は初めてではないのか?」

 

「(今世は)初めてだぞ。」

 

「そうか……そうだよな。 しかし面白そうだ。」

 

 実際に面白いから()()もウキウキしてんだが?

 

「ふむ……一つ良いか?」

 

「なんだ?」

 

「『このエアホッケーで負けた相手が勝者の願いを一つ聞く』なんてのはどうだ?」

 

「なんだそれは?」

 

「スリルがあって楽しいではないか。」

 

 ……マーヤが憑依したのか、ヴィレッタが(微妙に内容は違うけど)どこぞのギャンブル好きなエジプト人的な賭けを持ちかけて来たぞ。

 

 そうと来れば、こう返すしかねぇよなぁ?!

 

「いいだろう。 俺自身に誓って賭けよう。」

 

 「も、もちろん『社会的常識の範囲内で』だぞ?!」

 

「あ、ああ。 当たり前だ。」

 

「ほっ……」

 

 なんで賭けを持ち掛けた君が安堵するの?

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

 

 カコン! カッ! カ、カコーン!

 

 パックがお互いのマレットによって自陣と相手陣を素早く行き来するラリーがさっきからずっと続いている。

 

 最初こそ初めて遊ぶエアホッケーに苦戦していたヴィレッタだが、持ち前の動体視力と軍で鍛えられた知略で瞬く間に慣れてきて、俺が持っていた余裕は無くなり今ではかなり本気で対戦するしかない状況になった。

 

 ポイントは同点の5ポイントずつ。

 

 このまま打ち合いを続けるのもやぶさかではないが、黒の騎士団や学生たちが起きてくれば厄介になるかも知れない。

 

 ならばこれはどうかな?

 

 カッ。

 

「ッ?!」

 

 俺がパックを優しくマレットではじくと、パックは予想通りにスローモーションのようなのろのろとした動きで盤上を移動する。

 

「……」

 

 ヴィレッタは驚いた顔をすぐに引き締め、獲物を狩るタイミングを窺うような狩人のようにジッとパックの動きを見る為に身体が前のめりにすると元々激しい動きで緩んでいた浴衣がはだけ、ヴィレッタの胸がこぼれそうになる。

 

 正しくあれだ。

 

 完全なる『ムホホホホ♡ 見えそう見えそう♡』展開だ。

 

「……」

 

 じゃなくて!

 

 いや、実際は激しい運動と掻いた汗の所為で浴衣が崩れて見えそうなのではあるのだが────?!

 

 ────カシャーン!

 

「え。」

 

 パックがゴールインする音に俺がポイント表示を見ると、ヴィレッタが一点リードしていた。

 

 ニヤリ。

 

 何だ、その不敵なまなざしと笑みは?!

 

 ハッ?! ま、まさか……それも計算の内か、ジョ────じゃなくてヴィレッタァァァァァ?!

 

「……ふ。」

 

 お、恐ろしい子?!

 

 だ、だったら負けるわけにはいかないよなぁ?!

 

 カシャーン!

 

「ッ?!」

 

 パックのサーブとほぼ同時にゴールインする音が響き、ヴィレッタが唖然とする。

 

 ふふふ。

 今までのやり取りで、『初手のサーブから必ずラリーに入る』と思った固定観念がうぬの敗北理由よ。

 

 一気に畳みかける!

 

 直線だ! 俺は直線で────

 

 ────カコン! カコン! カコン! カッ!カコン! カコーン!

 

 うわぁぁぁぁぁ?!

 ちょちょちょちょちょちょちょちょおおおおおお?!

 

 今度はヴィレッタがサーブしてからずっとゴールを狙い始めたぞ?!

 

 小細工を使っていた時とは違って直線な分、『考える』より『瞬発な反応力』が試されるぅぅぅぅ!

 

「ふん!」

 

 カン!

 

 ぬお?!

 

「ヴィレッタ、待っ────」

 

 ────カシャーン!

 

「ま、待てヴィレッタ。 落ち着け。 その、なんて言ったらいいのか────」

 

 ────プシュゥゥゥゥ!

 

 って、サーブの時間切れでパックがヴィレッタの方に?!

 

 カコ、カコ、カコン! カコン! カコーン!

 

「だから待て────!」

 「────待ちません!」

 

 話を聞けよ!

 バリバリ戦闘民族の血を騒がせている場合じゃないぞ、ヴィレッタ!

 

 ()()()()んだよ!

 大事なやつがガガガがががががガガがが

 

 クッ! 吸い寄せられるように!

 

 目が! 目がぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!

 

 カシャーン!

 ビー!

 

「勝った!」

 

 逆転できない点数に参加者が到達したことによって、エアホッケーの無慈悲な機械音が鳴り、機能停止すると『やり遂げた』感マシマシな嬉しい表情をヴィレッタが浮かべる。

 

「私の勝ちだな!」

 

「……ああ。」

 

 ちくしょうぅぅぅぅぅ……

 

 ガッデムおっぱいめぇぇぇぇぇ……

 

「ではその、私の願い何だが……『ベルマ』、と呼んでくれないか?」

 

 へ。

 

「も、もちろん公の場ではいいが! その……今みたいに、二人っきりの時とか……」

 

 どうしよう。

 

 モジモジしながら照れるヴィレッタがガチで可愛いんだが。

 

 こう、ね?

 

 色々なストライクゾーンで一気にガンガンと攻めこんできているのよ。

 

『褐色美人』に『クーデレ』に『はだけた浴衣』に『乙女感丸出しのギャップ』とかとかとかとかとかとかとかエ~トセ~トラ~。

 

「ではその……ベルマ────」

「────~~~~~~~~!」

 

 うん。

 ベルマ(ヴィレッタ)可愛い。

 

 可愛いのだが、ここは敢えて心を鬼にしよう。

 

 何せエアホッケーは『次ぎに』であって、ヴィレッタを探した理由の『本命』ではなかったらな。

 

「ベルマ、とても……うん、とっても言いにくいことなのだが……必要なので言っておく。」

 

「?」

 

「その……()()()()()()()()。」

 

「……」

 

 目線をわざとヴィレッタに合わせた俺の目から、彼女はポカンとしたままゆっっっっっっっくりと視線を外して自分の身体を見下ろす。

 

 ボッ!

 

 ようやく自分のあられもない姿に気が付き、一気にヴィレッタの頭部が爆発するような勢いで真っ赤になる。

 

 うん……まぁ……元々激しい運動を想定していない浴衣だったし、そうなるよね。

 

 っとと、脱線しかけた。

 

「さて……ベルマは()()を聞いてどうするつもりだ?」

 

「……どうすると言われても、『アレ』とは何だ?」

 

「今朝の、いやどちらかと言うと昨夜のニュースだ。 ブリタニアのな。」

 

「???」

 

 やっぱりな。

 時差もあって、例の()()はまだまだこの周辺に行き渡っていない可能性があったと思ってヴィレッタを探したが予想通りだな。

 

「皇帝代理のオデュッセウス殿下による発案で、現在の貴族制度が見直されるとのことだ。」

 

「『貴族制度が見直される』?」

 

「ああ────」

 

 ────少々不安なのか、眉間にしわを寄せたヴィレッタに掻い摘んで話した内容は『爵位承諾期限(しゃくいしょうだくきげん)』についてだ。

 

 

 


 

 

「兄上も、思い切ったことをしますね。」

 

 日本の反対側にあるブリタニア帝国の帝都ニューロンドンでギネヴィアが事務室内で静かに書類に目を通していたオデュッセウスに声をかける。

 

「まぁ……これぐらいはしないとね。」

 

「目の下にクマが出来ても、できれば化粧などに頼らない方が良いかと。」

 

「アッハッハッハ。」

 

 少々疲れた様子のオデュッセウスは苦笑いを浮かべながら乾いた笑いを出すと、真面目な表情をギネヴィアに向けた。

 

「現在のブリタニア帝国はかのクレア女帝が即位して少し後の代から、今までEUや中華連邦などを仮想敵国として常に『戦時体制』だったけれど、今の世の中では通用しない。 と言っても、急に『平時態勢に戻れ』と言われても現在の企業や社会構造が乱れずに転換できる保証はない。 

 それと同時に、今まで体制のせいで『爵位はデメリットなしに承諾できる』という考えが常識化していてお世辞にも能力に秀でている人材を活かせているとも言い難い。 先の『ダモクレス事件』で前皇帝の召集に飛びついた者たちとか、帝国内で静観を決めた大貴族たちなどがいい例だね。 だからこその、『爵位承諾期限』だ。」

 

「しかし、『税収以外で国への貢献や功績が無い爵位承諾は三代目まででその後の四代目からは爵位返上した平民』など……これは明らかに貴族社会を根底から引っくり返す事柄ですよ? 比較的歴史ある家が苦しくなる────」

「────()()()()()()()()()()んだよ、ギネヴィア。 これから……いや、今までの様な『有爵者(ゆうしゃくしゃ)は何もせずとも只優雅に暮らせる』という前提的な考えを持ち続ければ、クレア女帝や父上(前皇帝)の様な者たちが行ったドラスティックな持ち直し方でしか修正できない状態に帝国は再び陥ってしまう。」

 

「つまり、『明確に法律化されたノブレスオブリージュ』を敷くと?」

 

「『養っている領民たちがおり、管理すべき土地がある。』 口ではたったそれだけだが、それすらも忘れているようでは貴族の特権を行使できる資格はないと考えているよ。 無論、()()()()()()()()()()()()と考えている。」

 

 ガタッ!

 

「兄上?!」

 

 オデュッセウスの言葉にギネヴィアは目を見開かせながら思わず立ち上がるが、オデュッセウスは平然と書類から目を離して彼女を見る。

 

()()()()()に考えた、平時の……『自分の現状に満足せず、明確な目標に向けて努力を続けたいという強い気持ち』を引き出す政策だよ。 『競わせる』には、何も『敵国』や『戦』が絶対的な必要条件だと私は考えていない。」

 

 オデュッセウスはギネヴィアから目を外し、近くの窓から広がる庭の景色を見る。

 

「今の情勢で納得できるような大義名分で『領地拡大』が行えると思えるかい? 少なくとも私には無理だと思うね。 それより私は帝国内の治安向上に産業の育成に力を入れたい。 『これからの帝国』の為にね。 それで皆、納得するのならいいけれど……私は思えないな。 特に一部の貴族や、今まで武力でのみ功を立てた一族などね。 そう言った輩の力を削ぐ口実にも、救済装置にもなれるのが『爵位承諾期限』の公布だ。」

 

「しかし────」

「────今だから言えるけれど、武力は万能ではないよギネヴィア。」

 

「……」

 

「武力で()()はできてもそれにかまけて、長引けば長引くほど武力で抑えたぶん大きな()()となって返ってくる。」

 

 神妙な表情を浮かべながらそう言うオデュッセウスを、ギネヴィアは複雑な心境で魅入っていたそうな。

 

 

 

 

 

 


 

 

後書きEXTRA(?):

 

アンジュ:あああああ、シャーリーが急に鼻血出したりして睡眠時間がズレた……ん? (あれは……ヴィレッタにスヴェン? 見慣れない台は何だろう? ……『えあほっけー』? ホッケーを個人レベルに簡略したヤツからしら? ……それにしても二人は仲がいいのね。 って『ベルマ呼び』を勝負の褒賞にするって────)

 

────チクッ。

 

 

【挿絵表示】

 

 

アンジュ:???????

*1
『ギャ〇クシアン』や『イン〇ェーダー』、『パック〇ン』など

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