小心者、コードギアスの世界を生き残る。   作:haru970

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溶けそうですが、熱中症に気を付けて頑張りましょう!

余談ですがアンケートの進み具合にびっくりです。
まさかこれほど近いとは思いませんでした……

ご協力、誠にありがとうございます! そしてお読み頂きありがとうございます、楽しんでいただければ幸いです! (シ_ _)シ


第32話 ナリタ攻防戦

「おはようございますですナナリー!」

 

 アッシュフォード学園の朝を、元気のいいライブラの声がクラブハウス付近に響き渡る。

 

「おはようございます、ライブラさん。 いつもより、すごく張り切っていらっしゃいますね?」

 

「モチのロンです! この間作ったパウンドケーキとパイを寝かして置く必要が無くなったのです!」

 

「(『モチ』? 『ロン』?)」

 

 そのままライブラは咲世子によって押されながらはてなマークを出すナナリーの車椅子の横を歩く。

 

 ちなみにライブラのこの表現はスヴェンから聞いたものを応用しただけであると追記しよう。

 

「あれ? 今日、アリスは一緒じゃないのですかライブラさん?」

 

「ん~、なんか家に呼び出されたみたいです。」

 

「珍しいですね?」

 

「です。 それと先輩たちは? 姿が見当たりませんですけど?」

 

「お兄様なら二、三日ほど一人で旅行に出ると聞いています。 スヴェンさんは、カレンさんのお世話をしているとメイドの方から連絡があったらしいです。」

 

「う~ん…………………………なんか寂しいですね~。」

 

「そう、ですね……」

 

 ナナリーの顔にわずかにだが影が落ちたのを見たライブラは、目が見えないとわかっていてもナナリーにニカッとした笑みを向けながら元気いっぱいの声をかける。

 

「じゃあ、私が目一杯ナナリーと話をするです! ここにいない先輩やアリスたちの分までです! あ、咲世子さん! 『ヨウカン』や『ダイフク』の作り方を知っていますですか?」

 

「『ヨウカン』? 『ダイフク』??? 何ですか、それは?」

 

 聞き慣れない言葉にナナリーはハテナマークを出す横で、咲世子は内心ビックリしていた。

 ペーパークラフト(折り紙)ならまだしも、まさかブリタニアの者から通でなければ知らない筈の和菓子が出て来るとは思っていなかった。

 

 そしてライブラはこの頃、エリア11の文化や食に触れ始めた兄の喜ぶ顔を思い浮かべていた。

 

 未だに疑問の目で出されたものを見るが(特にカレーライスの時は『な、な、なんなのだこの物体は?! 食するものなのか?!』とかなり慌てていたが)ライブラの期待する目に結局は負けてしまい、エリア11のモノを口にするクロヴィスは当時の弱気な性格からほど遠いほど元気なものとなっていた。

 

 実はプライドの高い彼に聞いても答えが来るわけがないので知る余地もないが、彼は密かに『家族愛』に飢えていた。

 長年騙しあい、闇討ち、暗殺未遂が日常茶飯事の皇族である彼は、ひょっとするとそれをマリアンヌやルルーシュ達を見て感じて彼が彼女たちに惹かれた要因の一つだったのかもしれない。

 

 それに自分の脊髄損傷を呪うことは未だに続けてはいたが、同時にそのおかげで久しくライラとのんびりした時間を過ごせたことにひっそりと感謝はしていた。

 

「ええ、私でよければ。 ナナリーお嬢様、羊羹と大福は『和菓子』の部類です。」

 

「やったです~! ナナリーには味見役をお願いしますです~!」

 

 ナナリーはクスっと笑みを浮かべ、期待を胸の奥に秘めた。

 

 咲世子さんが珍しくウキウキする声のトーンで、それらが如何に日本人である彼女にとって思い出深いもの等が想像できたからだ。

 

 

 

 

「…………………………」

 

 別の場所でニーナはひっそりとパソコンのキーを打ち込んでいた。

 が、ある時にそれを止めては横に置いてある論文へと目を移す。

 彼女がスヴェンに送った書類に基づいて、彼が書き上げたものだった。

 

 彼がそれを渡す時の顔が、ホテルジャックで自分が『イレヴン』と思わず口にしてしまいそうなのを強引に遮るときの行動と、去り際にウィンクした時の顔を連想してこう考えてしまう。

 

『あれは多分……………………』、と。

 

「スヴェン君……」

 

 ニーナは窓の外に広がる、青い空を見上げて彼の名を静かに口にしてハッとしてはパソコンに戻り、キーボードをさっきよりも無意識に力強く打ち込んでいた。

 

 

 

 

 アッシュフォード学園では珍しく、毒島が人目につくように登校して来ていた。

 

「「「「おはようございます、毒島の姉御!」」」」

 

 そして高級そうな車から降りてきた彼女を、一昔前のアニメか漫画のように何人かの男子生徒たちが迎えに来ていた。

 

「あれって、NACの────?」

「珍しい……いつもは人目を嫌うのに────?」

「お、拝めるぞ! だ、誰か写真を代わりに撮ってくれ────!」

 

 そんなヒソヒソ話を気にすることもなく毒島はまさに“お嬢様”らしい仕草などで珍しがる学生たちに平然と挨拶をしていく。

 

 それこそ、()()()()()などが目立たないほどまでに学生と教師たちの注目を浴びながら。

 

「(がんばれよスヴェン、カレン……そして────)」

「────毒島さん! 連絡先の交換を────!」

「────すまないなカルデモンド君、私は────」

 「────俺の名前を知ってくれていたぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?!」

 

「(…………………………面倒くさい男だな。)」

 

 感激で泣きそうになるリヴァルを毒島は笑顔を絶やさず見ながらそう内心で彼を評価したそうな。

 

 

 


 

 

『ナリタ連山』、エリア11で最大の勢力と規模を持つ日本解放戦線の本拠地があると噂される場所で、昔から温泉町で有名なナリタ市も比較的に旧日本人であるイレヴンの人口密度が多い場所でもある。

 

 よって世界中からブリタニアの者たちが癒しと観光のために良く出入りする都市で、今までブリタニアは中々大規模な軍事作戦にあと一歩というところで踏み出せずにいられた。

 

 今までは。

 

「(日本解放戦線。 ユフィに危険な体験をさせたことを後悔させてやる!)」

 

 ナリタへ移動中のG1ベースの中にいたコーネリアは怒っていた。

 

 そして草壁中佐と名乗ったホテルジャックの主犯の行動や作戦に対して何もしない日本解放戦線に怒りの矛先を向けていた。

 

 その鬱憤を晴らすために『リフレイン』の出先である中華連邦の隠し拠点らしき島を徹底的に空爆してから彼女自らナイトメア単身で乗り込んで逃げ回る残存兵や生き残った機動兵器をグロースターのランスでめった刺しにするほど。

 

 だが怒りは収まらなかった、()()()()()日本解放戦線に対して。

 

「(ホテルジャックのことを肯定するか、利用するか、何かすると思えば『だんまり』とはな。 『テロリスト(日本解放戦線)の中に藤堂がいる』と聞いたが、やはり噂か。 ハッキリいって落胆したぞ、すでにマイナスだったがな……生温いな、人参役者(クロヴィス)め。 威勢だけは良かったが、実力が全く伴っていない。 日本解放戦線のようにな。)」

 

 コーネリアは“どうしても”とせがんで、政庁ではなく本作戦に同行してG1ベースのブリッジに立っているユーフェミアを見た。

 

「(それに対して、ユフィの突然の頼みには驚いた。 “戦いを実際に見てみたい”などと……)」

 

 

 当の本人であるユーフェミアはホテルジャック事件、自分が名乗り出ようかどうか迷っていた。

 

 皇族である自分がいれば、日本解放戦線は少なくとも話を聞くだろうと思って。

 だが中々そのタイミングがこなかったこと。

 護衛である変装した女性のSPがユーフェミアを止めていたこと。

 そしてとある少年が急に聞きなれない言語を喋りだして日本解放戦線の兵士たちを動揺させるだけでなく、そのまま乱暴をされずに連れていかれたとき明確に自分にウィンクを向けたのだ。

 

 まるで、お忍びで来ていたユーフェミアの正体を知っていたかのように。

 

 幸い、SPの方はそれを見逃していたがその同年代であると思われる少年の手腕が明らかに場慣れしたものだということを理解するのは容易かった。

 

 あの事件後、名誉ブリタニア人で元イレヴンであるスザクに少年が言った言葉を何個か覚えている限り発音すると、スザクはギョッと目を見開いて固まった。

 

『皇女殿下……それらは()()()です』、と。

 

 本来忘れがちではあるが、世界の三分の一以上を牛耳るブリタニア帝国の母国語である英語がコードギアスでは主流でブリタニア帝国本国はもちろん、支配しているエリアも同様である。

 

 よって、ブリタニア人が英語以外を話すのは『珍しい』を飛び越えて『奇怪』である。

 

 これを後に姉であるコーネリアと相談すると、意外と彼女は感心していた。

 

『仮想敵の言語を知っているだけでなく、話せるのは戦略的に評価できるものだ』と言って。

 

 これにより、ユーフェミアはいかに自分が世界を知らなさすぎることをわずかにだが気付かせていた。

 

 

 

 

 ナリタ連山では、黒の騎士団がゼロの指示に従って“ハイキング”をして頂上を目指していた。

 

 歩兵用の武装はもちろん、グラスゴーをチューンした新しくキョウトから贈られたナイトメア、無頼も騎士団員と土作業や発掘用の貫通電極などを詰めたトラックを押していた。

 

 そして後方では殿を務める赤い機体、紅蓮弐式の姿もあった。

 

 中にいたカレンはどこかぼんやりしながら再度、ポケットの中に入れていたメモを見る。

 

 そこに書かれていたのは輻射波動の細かい、発射時設定のメモだった。

 

「(スバル……どういうことなの?)」

 

『カレン、何か聞いてないか?』

 

 無線機からさっきまで新人たちと今回の行動原理などを議論していた玉城の声が出てくる。

 

「へ?! あ。 ごめん、何も聞いていない!」

 

『扇は?』

 

『いや……その……俺もだ。』

 

 これを聞いたカレンの胸は少しだけ重くなる。

 

「(私も扇も言えないよ。 『()()()()()()()』だなんて……私たちも半信半疑なのに。)」

 

 一方、扇も自分の無頼の中で渡されたメモの再確認をする。

 

 ゼロに渡されたメモには、明確にどの深さまで掘って、どのポイントに設備を埋めるかが書いてあった。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「(スバル、お前……あれはどういう意味だったんだ? わざわざゼロがわからないようなタイミングでこれを渡して、『無関係の人たちを巻き込みたくないならこれの指示通りに動いてくれ』なんて……)」

 

 それを考えながら、二人はナリタ連山を登る前に自分にメモをゼロが見ていないところで渡したスバルがいると思われるナリタ市を見た。

 

 

 


 

 

「ほい、これおつりね。」

 

「ありがとう。 貴方も、いつでも避難できるようにしておいたほうがいい。」

 

「そうかい? ここは安全だと思ったんだけどねぇ……」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。≫

 

 俺ことスバルが日本語でそれを言うと、駄菓子屋のおばちゃんの目の色が一瞬だけ変わる。

 

≪そうかい。 じゃあ()()()()()()()。≫

 

 俺は駄菓子屋を後にして(大型トラックに偽装中の)KMF輸送トレーラーの中へと戻ると戦利品を袋から取り出し、ヘルメットを取ってそれ等を頬張る。

 

 バクッ!

 

 ビッグモナカうんめぇ~~~~~~~~~~。

 

 あ、窓には一応コーテイングしているから大丈夫だ。

 窓に顔を当てるまで近くに来たならともかく、パッと見たら暗く見えるように加工している。

 

 ゴクゴクゴクッ!

 

 「プッハァァァァァ!」

 

 ラムネもうんめぇ~~~~~~~~~~。

 

 余は満足じゃよ~~~~~。

 

 あ、一応言っておくが別に他の皆に置いて行かれた訳じゃないぞ?

 ゼロであるルルーシュに、念の為の『遊撃部隊』ということで別行動中でナリタ市に残っている。

 

『部隊』といっても、俺一人だけなんだけどね……

 

 ……………………………………こんな~はずじゃ~、なかったよね~♪ あの夏の日、の~♪

 

 え? 『元ネタ古い』? 

 

 うるさいよそこ。 自覚はしている。

 

 それに俺は(この世界では)まだ17なんだ。

 

 ズズゥゥゥゥン……

 

 俺がトレーラーの中でくつろいで待機していると、遠くからくぐもった爆発音が聞こえてくる。

 

 始まったか、コーネリアの『日本解放戦線壊滅作戦』が。

 

 ゴミをゴミ袋に放り込んで、後方へと移動する。

 

 なるべく置いてあるナイトメアを見ないように、待機状態へと機体を移行させておく。

 

 さて、と。 扇とカレンが渡したメモ通りに動いてくれれば良いが……動かなかったら俺はニーナの分も泣くぞ。

 

 実は渡したメモには、ゼロが今回使う『山崩し』を前もって俺がニーナと一緒に『仮想状況訓練』と称して計算しなおしたものが書かれている。

 

 これはもちろん、原作でのルルーシュがあまりにもコーネリアの大軍に大打撃を与えるためにわざと大雑把な計算をしたことで、被害が予想以上に広がってしまったのを防ぐためだ。

 

 別に偽善や同情や人道主義からの行動ではない。

 

 実はルルーシュがこれから行う人工的な『山崩し』で起きる土砂崩れに出張中だったシャーリーの父親が巻き込まれて死んでしまうのだ。

 

 最悪だろ?

 

 ルルーシュは自分の考えた非人道的作戦を行ったことで、知人の父を殺してしまうのだ。

 

 しかもそれだけで止まらず、遺体の身元確認でナリタにシャーリーは母親と来た際、()()()ルルーシュを見たヴィレッタと会ってしまい二人はルルーシュに疑いを持ち始め、さらにこのトラウマをシャーリーは利用されてルルーシュに銃を向けてしまう。

 

 今考えると本当に複雑な気持ちになるな。

 

 あの恋愛に関して引っ込み思案のシャーリーがあまりの動揺と悲しさと癒しを求めた末にルルーシュにキスをするのだから。

 

 …………出来れば、もっとハッピーな結末にしたい。

 それに前にも言った通り、後にシャーリーが絶望的な局面に立たされていたルルーシュ最後の拠り所となっていた。

 

 そして、この事件のせいで彼女は……………………

 

 パン!

 

 いってぇぇぇぇぇ~。

 

 俺は自分の頬を手で叩いてからヘルメットを着用する。

 

 暗い気持ちになるな、俺。

 

 これからコーネリアと加勢に来たスザクによって退路を求めるゼロたちが待っているんだ。

 

 任務開始(ミッションスタート)だ。

 

 

 

 


 

 ユーフェミアはコーネリアと親衛隊を出撃して後退するG1ベースの中で士官たちに作戦内容を聞いていた。

 

「この、後方にある部隊()()は?」

 

「ああ。 それらは()()()()()をパイロットとして有する友軍です。」

 

「一つはランスロットということですか。 では、このもう一つは?」

 

「……特殊名誉外人部隊(イレギュラーズ)と呼ばれる部隊です。」

 

「ナイトメアをナンバーズ如きが動かすなぞ、本来なら許されざる事なのですが……かの部隊────特別派遣嚮導技術部(特派)は第二皇子様の肝いりで、特殊名誉外人部隊(イレギュラーズ)は本国直々に『独立部隊』として動く特権を持っているので、我々の人事権は及ばぬのです。」

 

「そんな部隊があるのですか……」

 

 

 

 

 

『……ムッ。』

 

『ん~? どうしたのサンチア~?』

 

 特殊名誉外人部隊(イレギュラーズ)専用の大型トレーラーの中にあるナイトメアに各自待機し、いつもは必要最低限の言葉以外発さないサンチアが部隊内部通信越しでも聞こえるほどの声を出したことにダルクが珍しがって声をかける。

 

『いや、()()変な感覚があってな? ルクレティア、ポイントAの43を探ってみてくれ。』

 

 いわれるままルクレティアは目を閉じて、考え込むような姿勢になる。

 

『……? なんです、これ?』

 

『どうなの?』

 

『あ、アリスちゃん……それが……』

 

『はっきり言え、ルクレティア。』

 

『ハッキリ言えないのです。 何か、()()()()()()()感じがするのです。 こんな感じは今まで体験したことがございません。 サンチアは?』

 

『私にはその場所周辺が()()だ。』

 

『え?! じゃあもしかしてハゲが言っていた────?!』

「────噂の“ギアスユーザーかも知れない”奴かもね。」

 

 特殊名誉外人部隊(イレギュラーズ)独自のパイロットスーツに身を包んだアリスは操縦桿を握る手に力を入れた。

 

「(さっさとこれを終わらせる。 サンチアたちには悪いけど、フルスロットルで行くわ。)」

 




狩る者と狩られる者。
それを利用する駆虎呑狼の計を図る者。

力をもたぬ者は生きては行かれぬ暴力の場へと山は化す。

あらゆる信念を持った者が集うナリタ市。
ここは第二次太平洋戦争が生み落とした表と裏が今衝突する都市ナリタ。

怪しい匂いと情報に惹かれて危険な奴等がその出所を求めてやってくる。

次回:
『ナリタ激戦区を駆けるワンマン部隊』

スヴェンの食したモノは彼の見積もりと同じで、甘すぎた。



……また次回予告をこらえませんでした。 (汗
暑さの所為にしておきます。 (汗汗汗

あと活動報告にツイッターリンク入れておきました。

『ブリタニア絶対殺す狂犬』を加入させますか? *注意事項*作者はロストストーリーズ未プレイでゲームが完結していないので『高い可能性(ほぼ確定)でキャラ崩壊アリ』とだけ前もってここに書きます

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