小心者、コードギアスの世界を生き残る。   作:haru970

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お待たせしました、次話です。


第315話 貴族の実家 (挿絵)

「ねぇスヴェン、聞いている?」

 

「ぁ……すみません、なんのお話でしたっけ?」

 

 しまった、ボーッとしていたか。

 

 今は……

 俺は壁に掛けてあるカレンダーと時計を見て今はあのマリーベルが現状への不安を訴えた夜の翌日、場がアッシュフォード学園のクラブハウスだとようやく思い出す。

 

 普段なら生徒会やここで出てくる軽食の噂を聞いて集まる準生徒会員(候補)でごった返しになるクラブハウスも、授業中はすっからかんの閑古鳥状態。

 

 居るのは俺とミレイ、あとは────

 

「────スヴェン君、休みをちゃんと取っている? 顔色悪いし、手が止まっていたよ?」

 

「ええ。 お気遣いありがとうございます、ニーナさん。 ただ、こういう静かなクラブハウスは懐かしいと思い出して……」

 

 話の途中だったが既に察している通り、クラブハウスは俺とミレイにニーナの三人だけ。

 そのおかげでゆったりとした時間の中、テストの採点などの作業が捗っている。

 いや、時計を見れば気づいていない間に数分ほどが経っているので『()()()()()』と言うべきか。

 

「分かるわぁ~。 リヴァルが生徒会長になってからガヤガヤするようになったからねぇ~。」

 

「でもそれって、ミレイちゃんがリヴァルの事を心配していたから無理やり生徒会を増員したせいでしょ?」

 

「おや。 そうなんですか、ミレイさん?」

 

 俺はてっきり規模の小さくて存続が危ういクラブを助けつつ人手を増やしながら生徒会に向けられるヘイトを分散させる、ミレイなりの『卒業後の為に』の動きかと思ったんだが……

 

 もしリヴァルの為ならばやっぱり面倒見が良いな、ミレイは。

 

「う~ん……本音を言うとね? ルルーシュとスヴェンが倒れる心配から取った行動だったんだよねぇ~。」

 

「そうなの?」

 

 へぇ~、そうなんだ。

 リヴァルじゃないけれど、俺とルルーシュの心配からだったのか。

 これで一歳上の19歳なんだよなぁ~。

 

 リヴァルの為じゃなかったけど。(二回目)

 

「ほら、リヴァルってたまに後先考えずに先走ったりするじゃん? 『そんなリヴァルのフォローを二人がして胃を痛めるんじゃないかな~』ってね。」

 

 フ、残念だったなミレイ。

 

 俺の胃はマイナスHPだったが仮HPでプラマイゼロなのよ!

 

「ま、スヴェンが卒業するのはさすがに予想外だったけれどね? でも結果オーライで良かったわ♪」

 

 パチッ☆

 

 

【挿絵表示】

 

 

 お茶目なミレイのウィンク、ごちです!

 

「アッハッハッハ。 以前に『お手伝いしてほしい』と言われていましたし、ちょうどいいかなと思いまして。」

 

「え。」

 

「『以前』?」

 

 俺の返事に対してミレイは貴重なポカンとした表情を浮かべ、ニーナはハテナマークを浮かべながら頭を傾げた。

 

「校庭裏で埋めたタイムカプセルですよ。」*1

 

「「……あ。」」

「え? へ?! え?!」

 

 

【挿絵表示】

 

 

「あれ、覚えていたんだ……」

 

 俺の言葉でようやく彼女たちが思い出したのか、ミレイは珍しく素っ頓狂な声を出してニーナはびっくりした。

 

「あ、あれかぁ~……」

 

「そうです。 アレです。」

 

「でもあれって、ミレイちゃんの悪ふざけだったんじゃ……」

 

「ええ、当時はそうだったかもしれませんがこのご時世ですからね。 逆に良かったと思っていますよ。」

 

「あああ……うん……皇帝代理のオデュッセウス殿下の……」

 

「えっと……『爵位承諾期限(しゃくいしょうだくきげん)』、だっけ? でも私は────あ。」

 

 ニーナも俺の言葉の意図に気が付いたのか、バチクリと瞬きをしては俺とミレイを見る。

 

「はっはっは。 忘れがちですがミレイさんも没落したとはいえギリギリ貴族令嬢で、(スヴェン)も一応貴族です。 底辺の男爵ですけれどね。」

 

「そ、そう言えば……ごめんね二人とも? 私って、()()までそういうの(貴族社会)に興味がなくて。」

 

「ニーナさんも少し前は準貴族だったと記憶していますが?」

 

 マリアンヌが後見人になってのガニメデの開発とかで。

 

「あれはお祖父ちゃんであって私じゃないけど?」

 

「ニーナは本当に人と居るのが億劫だったからねぇ~。 社交の場でもずっと私の傍にいたし。」

 

「だ、だって……怖かったもん……

 

 あ、今一瞬だけ昔のニーナになった。

 

「でもそうなのよねぇ~。 スヴェンの言ったように、あの『爵位承諾期限(しゃくいしょうだくきげん)』のおかげで家柄より事業を営んでいる家が好ましくなっているのは確かねぇ~。」

 

「良かったじゃん、ミレイちゃんなら縁談が殺到するんじゃない?」

 

「それが良い話でもないのよ。 ほら、私って婚約解消した身でしょ?」

 

「「ロイド伯爵/さんとの?」」

 

「そそ。 一応『破棄』じゃなくて『解消』だったからダメージは少ないけれど、留年生だし19歳だから『訳アリ』に類されちゃってさ?」

 

「え?! そうなの?!」

 

「でも『傷物』よりはマシだからねぇ~。」

 

 「『きずもの』。」

 

「そこはロイド伯爵に感謝しないとね。 『自分の都合で婚約解消します』って、全面的に非がアスプルンド家にあるって言ってくれたから。」

 

「……」

 

 そういや、コードギアスの世界ってずっと戦争とかしていたから平均寿命があまり長くなかったな。

 そのせいか、一昔前の日本みたいに中学校時代には婚約者か許嫁がいても不思議どころか当たり前だったり、高校から卒業後は家督を継ぐために結婚式を挙げたりしても誰も驚かない。

 

 10代で『新品同様の商品』、20代で『やや遅め』か『訳あり』、30代前半だと『年増』で30代後半からあとだと完全に『売れ残り』か侮蔑の対象と、大体こんな感じである。

 

 結構シビアと思うかもしれないが戦争、紛争、テロ事件、移動中でも国の勢力圏外に出れば賊の襲撃もかなり高めの確率で起きるし、社会保障制度も国や州によって違うし自国民であっても運がなければろくに受けられないから人が簡単にぽっくりと死ぬ世界だったからな。

 

 と言うか、30歳差の結婚があっても周りにいる他の皆が不思議がっても驚愕していたのは俺だけだったのはさすがに内心で引いたよ?

 

 まぁ、あれは『爵位を引き継いでくれ』と病身の貴族側が商家の父母に頼んで商家の娘も納得した上での『結婚』と言う名の『介護』だったらしいから例外と言えばそうなんだが……

 

 それでも30歳差は色々とアウトだろ。

 

 シンとアリス・シャイングでも『幼い頃からの許嫁で双方が納得&同意しているからギリギリオーケー……かな?』と戸惑う俺だけが異質なのだろうか?

 

 貴族の体面、面倒臭ぇ。

 

 え? 『オデュッセウスと天子ちゃんの結婚があったじゃろwww』?

 

 ありゃアニメならではの『盛り上げ展開』であって、いざリアルになると犯罪臭が半端ない……

 それにオデュッセウスはさっきの話に出た貴族と違って寝たきりとかじゃないし、国同士の政略結婚だから色々と条件が違う。

 

「そうなのよねぇ~。 貴族の婚約って『先手必勝』と言うか、『早い者勝ち』だから私に縁談が来ても、殆どが後妻や物好きや変人だったりするのよねぇ……ほら、没落しかけているし。」

 

 それは……想像しただけで大変だな、色々と。

 しかし、家から独立してレポーターにならなかった、原作からの乖離したツケがこうやってミレイに戻ってくるとは思っていなかったな。

 

「あ~あ! どうしようかなぁ~! 良い嫁ぎ先はとっとと売れちゃうからなぁ~!」

 

 チラッ。

 

「……」

 

「それだったらリヴァルとかどうなのミレイちゃん?」

 

「……リヴァルねぇ~。」

 

 今ものすごく躊躇したな、ミレイ。

 そこまで嫌なのか?

 

 チラッ。

 

「……」

 

「う~ん……少し前のリヴァルだったら完全に勘当される未来しか見えなかったけど、スヴェンに喝を入られてから本当に見違えるくらい周りから意識され出したからねぇ……」

 

「だよね? それにリヴァル、ミレイちゃんの事ずっと前から……その……気になるみたいだし。」

 

 そこはもうズバッと『好きみたい』って言わないのニーナちゃん?

 

「…………………………………………う~ん……この際だから修道院に入るのも視野に入れた方がいいかも。

 

 「「え。」」

 

 複雑な表情を浮かべながら腕を組むミレイに俺とニーナも気の抜けた声を出して固まる。

 

「??? どうしたの、二人とも?」

 

 俺とニーナは思わずお互いを見て目が合うと、同時に無言で苦笑しあう。

 

「え。 なにその顔は?」

 

 多分だがニーナも俺と同じで、『ドンマイリヴァル』と彼の事を憐れに思っただろうな。

 

 何せ前世ほど『宗教』という概念が根付いていないコードギアスの世界とはいえ、『女性が修道院に入る』ということはそれまでの縁と人生どころか、『世間』そのものとの繋がりを一切合切断つことを意味する。

 

 それは税をも含むあらゆる物から免除されることで結婚も可能だが、代わりに『権力』や『贅沢』などからは縁遠い質素な人生を死ぬまで送ることになる。

 

 ちなみに結婚したら相手も同じ質素な生活を要求されるので、大抵は似た境遇を持つ教会の神父などが主な相手だな。

 

 リヴァルとくっつくことを検討する前にそんな余生を送ることを思い浮かべるってどんだけだよ。

 

「はぁぁぁぁ……どこかに良い相手が居てくれないかなぁ~?」

 

 チラッ。

 

 うん。

 もう無言のままここにいるのは無理そうだ。

 

 ルルーシュ風に言うとアレだ。

 これは敗北ではない!

 戦略的な一時撤退だ!

 

「はっはっは。 大変ですよね、『貴族社会』とは。」

 

「でしょ? 私もお祖父ちゃんも正直どうでもいいのだけれど、ママがねぇ……」

 

 ミレイママか。

 そう言えば原作では電話でミレイと話をするぐらいしか登場しなかったが、どんな人なんだろ?

 話題に出てきたし、ちょうどいいから聞いてみるか。

 

「ミレイの母が『貴族』に固執しているのですか?」

 

「うん、まぁね。」

 

「どんな方ですか?」

 

「……はぁ~。」

 

 あれ?

 いつものミレイからはちょっと想像できない、ものすごく複雑な顔になったぞ?

 

「でもママはママで、私は私だから!」

 

 と思ったらいつものミレイに戻った。

 

 ……良し。

 

 アンジュやマリーベルたちのこと()あったから、ここはもう思い切って会いに行こう。

 

 行きたくないけど。

 

 もう本ッッッッッッッッッッッッッッッ当に行きたくないけど避けては通れない道なんだよなぁ~……

 

 

 ……

 …

 

 

 ザザァン……

 

 翌日、俺は砂浜に押し寄せるさざなみを見ながら、ビーチサイドを歩いていた。

 青い空を照らす太陽はチリチリとした熱気を降り注ぎ、流れる風も塩気と湿気を含んでいてとても秋口とは思えないほど温かく、海にダイブしても『冷たい』というより『暑さから逃れて気持ちいい』という感想が真っ先に出るだろう。

 

 俺は泳ぎに来たわけではないので、水着は着ていないのが残念だ。

 

 歩くこと数分、海の向こう、浜辺を挟んで建つ一軒家が目に入り、近づくとラウンズの正装と帯剣している一人の女性が裏から現れる。

 

「貴方がここに来るのは意外ですね。」

 

 俺も君に同じことが言えるよ、モニカたん?

 

「クルシェフスキー卿もまだここにいたのか。 ラウンズとしての義務は果たせるのか?」

 

 今のどこが『どうしてここに居るの?』になるんだ、俺の口下手?!

 

「……」

 

 ほらぁ、俺の言葉でモニカもムッとしちゃったじゃないかぁ……

 

「ラウンズとしての責務を全うしつつも、極秘任務として前皇帝シャルルの護衛を兼任しています。」

 

「……」

 

「なんですか、その目は?」

 

 もしかしてモニカ、シャルルを守るようにギアスをかけられているのか?

 だとすれば、これから会いに行く────

 

 ────ザザァァァ!

 

「「…………………………………………」」

 

 周辺視野で()()が動いたことと波しぶきの音で俺とモニカは注意をつられて海の方を見ては唖然とする。

 

「クルシェフスキー卿。 今のは見なかったことにしないか?」

「……」

 

 モニカからの返事はない。

 無理もないと思いたい。

 

 俺だって今まで数あるトンデモなハプニングと相対していなければ即死だった。

 いや、実を言うと俺もちょっとというかかなり動揺していてどこぞの赤い人ネタとかがごちゃ混ぜになっている。

 

 でもサーフボードの上で腕を組みながら仁王立ちのまま器用に重心を使ってサーフィンする半袖のアロハシャツに短パンとクソ長い髪をポニーテールに束ねたシャルルってどういうことやねん。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 仁王立ちでどうやってバランスを保っているんだ?

 動いていない陸の上ならともかくサーフィン中に腕を組んだら駄目だろうが?

 もはや『器用』という領域を通り越して『奇跡』なんだが?

 物理法則はどうした?

 どうやってサーフボードをあんなにも自然と乗っていられる?

 

 色々と考えだしたら収束が付かないエンドレスなワルツならぬメテオストーム的なオペレーションツッコミ状態になりそうなのでもうここら辺で諦めるか。

 

「……」

 

「クルシェフスキー卿?」

 

「え? あ。 はい。 そうですね。 今のは見なかったことにしませんか?」

 

「……そうだな。」

 

 さては意識が飛んでいたな?

 そう言えば俺も一昔前は現実逃避を良くしていたな……

 懐かしいな~。

 

 器用に浜辺近くまで来たシャルルはそのままサーフボードから降りて担ぎ、俺たちのいる場所へと歩く。

 

「……」

 

シュバ!

 

「アローハ。」

 

手を上げながら『アロハ』?!

しかもバ〇カン式敬礼って……

 

「アーローハー。」

 

「……あ、あろは……」

 

「ウム。」

 

 そして見定めるようにサングラス越しでも見える目を細め、鋭い視線で俺を見る。

 

「……何か?」

 

「いや。」

 

 割と長身な登場人物が出てくるコードギアス作中でも巨体に加え、『覇王』と発せられる圧力と威厳たっぷりで問いを投げかけたシャルルから思わず返事をしながら何とか瞼を閉じて、目を逸らす寸前だったことを誤魔化す。

 

「して、何用だぁ?」

 

「貴方に尋ねたいことがある。」

 

「クルシェフスキー卿ならば、ワシは何もしておらぬ。 奴は独断でここに居る。 そもそもコードを兄上から受け継いでから、能力()失っておる。」

 

 あ。

 そう言えばそうだったな。

 

「それを言った直後でなんだが、俺の質問はそれではない。」

 

「ほぉ?」

 

「俺の実家、ハンセン家の事だ。」

 

 今度は目を逸らさず、ただジッとさらに細める彼の目を見る。

 

「「………………………………」」

 

 うおおおおおおおおおおお!

 怖ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!

 

「クルシェフスキー卿、周りの警戒を。 こ奴はワシに話があるようだぁ。」

 

「でしたら、私も側に────」

「────機密の類である。 控えよ。」

 

「……イエス、ユアマジェスティ。」

 

 うっわ。

 シャルル、原作アニメでも思ったけど本当にクソ不器用だな。*2

 それだから誤解されがちなんだよ。

 その線で考えるとルルーシュってやっぱり父親似なんだな。*3

 

「前皇帝シャルル、その『機密』というものはクルシェフスキー卿に危害が及びかねないほどの内容か?」

 

「え?」

 

 微妙にどこか叱られた子犬のようにトボトボとした足取りでシャルルに言われたとおりにその場から離れようとしたモニカが俺の質問にポカンとして歩みを止める。

 

「……………………………………………………………………………………その可能性はなくもない。」

 

 はよ言わんかい?!

 どこに躊躇するところがあった?!

 俺以上に口下手かよ!

 

「……」

 

 モニカは何も言わずに敬礼し、その場から離れる。

 

「さて、入れ。」

 

 ……

 …

 

「……うむ。」

 

 満足げに(紅)茶を飲みながら『うむ』じゃねぇよテメェこの野郎。

 

 と、いきなりですまないな。

 

 どうしてこうなったかを説明すると、『シャルルは家に入っては椅子にドカリと腰かけて“茶”とだけ一言だけ言っては俺を見ていたから渋々紅茶を淹れたらシャルルが仏頂面のまま満足げに紅茶を飲んでいる』。

 

 横暴だが、これからの為にさっさと話をしたい。

 

「それでぇ? 貴様の……“ハンセン家”とやらを、なぁぜワシが知っていると思ったかぁ?」

 

 白を切ってきたか。

『予想内』と言えばそうだが生憎と俺なりの憶測でアンタが関わっているの知っているんだよ、高い確率でな。

 

「この間、俺は話をつけるためにハンセン家宛に手紙を出した。 そして帰ってきた返事が『好きにしろ』とも。」

 

「……」

 

「『好きにしろ』と言われたが、さすがに後見人や戸籍はそうもいかない。 現当主がそれに了承したという書類が必要だからな。」

 

「……」

 

「だがどれだけ都合を聞く文を出しても、のらりくらりと躱されるだけだった。 そして先週、失礼を承知したうえで宣言無しで現当主の父に話を付けに(おもむ)いた。」

 

「……」

 

「かなり開拓と都市化が進んだ新大陸でも、モンタナは辺鄙な場所だった。 だが奇妙なのはここからだ。 ネットで調べればいくらでも簡単な履歴や家系図などが出てくるし、現地の者たちもハンセン家の事を噂程度とはいえ知っていた。」

 

「それのどこが奇妙なのだ?」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()。」

 

「……」

 

 そう、誰もが聞いたことはあるのだが()()()()()()()()()()()()()

 

 これは明らかに異常だ。

 何故ならば稼業や事業が捗っている貴族の家ならば、厄災や天災等に対しての備えができるようにある程度の自給自足が可能な敷地のやりくりを行っている。

 

 シュタットフェルト家も例外ではなく、クソビッチ(シュタットフェルト夫人)がいなくなったとはいえ使用人の数は現時点で200人前後。

 屋敷内の掃除、洗濯、執事、教師、乳母、シェフ、エトセトラ。

 外は庭師に職人、馬や家畜の世話、畑作などなど。

 その使用人たちも、事情によっては家族ぐるみで住み込みもあるから実際はその倍は居る。

 

 しかし自給自足にも限界はある。

 だから不足がちな物の仕入れを行う為に使用人や連絡を商人などに出す。

 

 つまり()()()()()()()()()()()、完全に遮断された様な『閉鎖』はあり得ない。

 

「ああ。 だがもっと奇妙なのはハンセン家に直接行くために住所を聞きだした時だ。 距離が近ければ近いほどに聞いた者たちは同じ場所を大雑把に示したが、郊外で聞いた時は全く違う場所だった。」

 

「フム、それは珍妙であるな。 して、辿り着けたのか?」

 

()()()()()辿()()()()()()()()。 門前払いを食らったからな。」

 

「で、あるかぁ。」

 

「だから()()()()()()に行った。」

 

 何食わぬ顔で平然と紅茶を飲もうとしたシャルルが一瞬だけ目を開けそうになったのを確認してから言葉を続けた。

 

「三つ目、だと?」

 

「門前払いを食らったところは確かに立派な貴族の屋敷だった。 だが観察を続ければ続けるほどに、とある違和感が浮上したからな。」

 

「どのようなものだ?」

 

()()()()()()()()()()。」

 

「……」

 

 そう。

 立派な庭に気品のある使用人たち、それなりの屋敷。

 文句なしの男爵家にぴったりなそれらは違和感が無かった。

 

 ()()()()()()()()()()()

 

 人が住んでいればどんな場所でも変化はある。

 それが汚れであったり、寝不足だから仕事のキレが落ちていたりと、取り敢えず『変化』はある。

 

 だがあの家は一定のクオリティを常時キープされていた。

 

 あまりにも完璧すぎて、まるで精度の高いモデルハウス……

 

 いや、精巧な()()()()()()だった。

 

 リ〇ちゃん人形も真っ青になるほどのな。

 

「してぇ、三つ目とやらは?」

 

「現地の人が全く寄り付かないくせに僅かにだけ人の手がついた痕跡の残る森を30分かけて歩き、たどり着いた場所には……」

 

 厳重かつ悪質なABC兵器を使ったトラップが無数に出迎えて来たときは流石に肝を冷やした。

 この世界で、()()()()そんな発想をするヤツがいたとは思わなかったからな。

 

 そして苦労して森を抜けた先には……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()()()。」

*1
67話より

*2
作者:お前が言うな

*3
ルルーシュ:クッ! 殺せ!




キリの良いところでいよいよハンセン家の謎の(一部)に迫れる展開に来れました。
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