「
「……」
そうなんだ。
森を抜けたところで、まるでその一面だけを野原にしたような開けた場所だけがあったんだ。
気が付けば、思わず気が抜けて膝をついていたくらいに……まるで
さて……ここまでの話はお膳立てだ。
ここからはあの皇帝シャルル相手に、完全な『カマかけ』だからな。
「ここまでの巧妙な偽装は、今まで俺は一度しか見たことが無い。 『ジュリアス・キングスレイ』だ。」
「『ジュリアス・キングスレイ』? 誰だそれは?」
「とぼけるのか? 『神聖ブリタニア帝国の皇帝シャルルより委任権の象徴であるインペリアル・セプターを授けられた軍師』……という設定を持たせたルルーシュを、V.V.から遠ざける為にアンタが独自に創り上げた架空の人物のことだ。」
「……」
「彼の偽装とハンセン家の用意周到な工作と隠蔽……対象の立場などは全く違うが、偽装のやり方が同じだった。 前皇帝シャルル、アンタは俺の事を知っているんだろう? 知っていることを話してもらおうか。」
「それを聞いたところで、何をするつもりだ?」
「……俺は……」
シャルルに問いかけられたことで俺は口籠った。
『ケジメをつけたい』と口にするつもりだったが、ここにきて異様な胸騒ぎがしてきた。
最初はカレンやアンジュたちの為に実家に話を付けるつもりだったのに、いざ実家に行けばパンドラの箱を開けたような気分だ。
今のこれは……『不安』? それとも『恐怖』?
よ く わ か ら な い。
「……」
「話したくなければ、無理をせぬことだ。 おおよその察しはついておる。 そこまで独自にたどり着きながら
「え?」
一人称が『ワシ』から『余』に変わったって……
「その前に……容姿はそのままで良いのか?」
「え?」
シャルルにそう言われてから、俺はハッとして『ライダースーツ』に『ネモの仮面』という、ちぐはぐな恰好のままだったことに気が付く。
よっぽど思っていた以上に俺は慌てていたんだろうな。
その証拠に、俺が仮面を取れば汗のせいで髪の毛が頭にべったりと張り付いていたことに初めて気が付いたぐらいだ。
「確かに、『ジュリアス・キングスレイ』同様に『ハンセン』という貴族は余が作らせた家系ではある。 ハーフとはいえ、貴様はブリタニア帝国皇族直系……かの、クレア女帝の血を色濃く受け継いでおるからな。」
……え?
いやいやいやいやいやいや、待て待て待て待て待て待て待て。
俺が『皇家とブリタニア帝国皇族直系のハーフだ』ってことは以前、ゼロから聞いたことあるが……
クレア女帝って、『あの』クレアだよな?
『漆黒の蓮夜』の?
ユーフェミアやコーネリスちゃん様の先祖っぽい人の?
「それで家を……『架空の貴族家』を作ったのか?」
「それだけではない……」
「……」
「……」
ティーカップに口を付けたシャルルが言葉を続けるのを待ち、微妙な空気のまま沈黙の時間が流れる。
「……ふぅ。 冷めておるがよい淹れ方だ。」
「恐縮……光栄です。」
「ハンセン家を作らせたのは余だが、余は詳しいことは知らん。 いや、
「え?」
シャルルは無言で座っていた椅子から立ち上がり、近くのメモ用紙に何かを書いてはそれを俺に渡す。
「なんだ、これは────?」
「────詳しいことはここに赴き、聞け。 現在、マリアンヌもここにおる。 恐らくだがそれが余の取るべき行動なのだろう。」
「そう、か……」
「……ふむ。」
「なんだ?」
紙を受け取った俺をマジマジシャルルが見て、なんとなく聞かれずにはいられなかった。
「何かに悩んでおるな?」
ギクッ。
「これでも長年皇帝を務めておった。 恩返し……とまではいかぬが相談くらいには乗れる。 貴様が覚えておる、時系列に合わせて話せ。 マリアンヌへと赴くのはそれからでも遅くはない……多分。」
ちょっと待て。
今なんか不穏な小声を聞いたぞ?!
でもそう言えば、すっかりと色々あって忘れていたけれど元々アンジュやマリーベルたちの事でこうなったんだよな。
……弱体化したブリタニアを全盛期以上に強国として回復させつつも皇帝として108人の皇妃が居たシャルルなら、話ぐらいは聞いても損はないか。
「実は────」
…………
………
……
…
「……」
俺がかいつまんでアンジュとデート(というかもうデートで良いよな?)してからの話をし始めると時々シャルルが質問を挟んできたため、予想以上に自分の事を話した。
『身一つで日本に送られたときのことも含めて』、だ。
「貴様、とんでもなく濃い人生を送っておるな?」
「お前が言うな!」
あ、やべ。
意に介さず言い返してしまった。
けどその『濃い人生』になった理由の半分くらいはアンタが皇帝だった頃のブリタニアだからな?!
「フム……しかしそうと来れば……しばし待て、今追加で渡す文を書き上げる。」
「『文』? 『渡す』? 何のことだ?」
「渡す相手は、先ほど渡したメモ用紙に記した者だ。」
答えになっていねぇ……
本当に不器用だなルルーシュパパ……
時はスバルがシャルルのいる神根島へと赴く少し前まで戻り、場所は『首都』と呼んでも問題はないほどに機能を回復しつつある東京内にある黒の騎士団の拠点の中にある、ゼロ軍用の執務室へと移る。
「これがまとめられた今月分の報告書です。」
「フム……移住を含めて、首都の移転は滞りなく進んでいるな。」
そこではゼロに表向きの情報と同時に未だに適任者がいないために広報、諜報、そして渉外総責任者を兼任しているディートハルトがまとめた資料を渡していた。
「これも桐原公と神楽耶様、そしてレイラ・マルカルと
僅かにだけ『例の者たち』を強調したディートハルトの言葉に、ゼロは書類から彼を見上げる。
「彼らの事情、及び有能さは他でもない君が知っているだろうディートハルト?」
「ええ、まぁ。 私もそれが理由で、ブリタニア人とはいえ黒の騎士団への入団できましたから。」
「有能ならば人種や出国問わずに使うのが合理的だ。 今の黒の騎士団は現在の超合集国連合の規模に反して圧倒的に人材不足だ。」
「それには私も同意です。 ロイド・アスプルンドやラクシャ-タのように、国や連合に所属しているならばいざ知らず、
「それに────ん?」
ゼロの目にふと留まったのは、
それは他の報告書や資料と同じように束ねられていたが、他と比べて明らかに量が少なかった。
「……なんだ、これは?」
「調査結果の書類です。 目を通した方がよろしいかと────」
「────私はこの件に関して緘口令を命じた筈だ、ディートハルト。」
「ご心配なく。 仲介人を通した上、情報は内容の全容が分からないように一部のみを各────」
────ダン!
「私は君の調査方法に対して不満を持っているのではない! スバルの出自などの深入りに対して緘口令を、よりにもよって諜報部の責任者である貴様自身が破ったことだ!」
最近日夜問わず多忙な日々が続いたところにイラつきが加わり、ついに許容範囲を超えたのか珍しく感情的になったゼロはデスクを殴りながら席から立ち上がる。
「その諜報部の責任者であるからこそ、組織の内外を問わず、要注意人物の調査は必要不可欠なのです。」
だがディートハルトは予想していたのか、驚きや気圧されるなどの『動揺』を全く見せずにただ淡々と言葉を続けた。
「そもそも
「……」
「ゼロは以前独断で零番隊を使い、ブリタニアが違法的な人体実験を行っていた場所を強襲しましたね? それに、彼に『ブリタニア帝国皇族直系と日本人のハーフ』以外伏せたもう一つの情報を合わせれば……ゼロは
「……ああ、
「それらを踏まえた上で、先のダモクレス事件で彼がマリアンヌ様と相対したとき……いえ、それ以前では中華連邦でカレンを救出した際にアヴァロンから放たれたあの一撃……あの一連の証言と捉えていたどのデジタルメディアでも
「────だから『覚えている』と言っただろう? 何が言いたい?」
「ならお解りでしょう? 物理的に不可能なことを可能にできるのは彼が『人外』……『
「────フ、よりにもよって君がオカルト寄りの憶測をするとはな。 この話題が君との間で浮上した今だからはっきりと言おう。」
ゼロは先ほどの感情的な姿とは真逆の、
「
ゼロは────ルルーシュは以前、神根島にある遺跡の扉をくぐった先にある『アーカーシャの剣』が存在するはずの空間でシャルル、そしてマリアンヌの二人に
「(その時得た情報、今まで『スヴェン』が成してきたこと、彼の周りに居る人間の証言、そして人格────いや、人柄。 それらを全て兼ね合わせると────)────私は知っていて、敢えて君に言い渡しているのだディートハルト。 彼が
「……ゼロ、貴方は本気ですか?」
「ディートハルト。 そもそも彼がいつ……いや、一度でも我々にとって不利益なことをしたか?」
「しかし、技術の提供は────」
「────そもそも彼は『立案者』であって実現させたのはラクシャータやウィルバー・ミルビルなどと言った技術者たちだ。 開発ができたのならば、既に在るものを
「……せめて
「本気で言っているのか?」
「あくまでも保険です。」
「必要ない。」
「それはニーナ・アインシュタインでも同じことが言えますか? フレイヤ────」
「────くどい。 我々がすべきことは彼や彼に連なる者たちが動きやすいよう環境などを整え、便宜を図らうことだ。 そうすれば最大限のリターンが返ってくる。 そもそも過激な戦力が必要になる前に、我々黒の騎士団が戦の種を未然に防げばいいだけのこと。 現に、ラビエ博士の強化スーツを民間用に再調整したことで重傷者も不自由なく暮らせるようになっている。 東京の回復が早いのも、従来のソーラーパネルやバッテリーに頼っていない電力が使えることが大きい。 恩恵はその他もあるが……それでも分からないか?」
「…………………………」
「……ふぅ。 分かりました。」
緊張感が漂う部屋の中で長い沈黙がゼロとディートハルトの間で流れるが、それはため息を吐き出すディートハルトによって破られる。
「では、今まで通りで
「ああ。
「……では、私はこれで────」
「────ディートハルト。」
部屋を出ようとしたディートハルトを、ゼロが呼び止める。
「今までの君は良く働いてくれた。 よってこれから先は
「……まるで『
「そう認識して楽になるのならそれで構わない。」
「……以前にも言いましたが、もう一度言います。 世間が納得できる、よほどの理由が無い限りそこまで肩入れするのはどうかと。」
「またその話か────」
「────はっきりと言ってしまえば、世界を動かすには綺麗事だけでは成せないとあなた自身が誰よりもご存じの筈。 公私混同は止してください。 それが例え、
本来なら旧日本がまだ枢木政権だった時に『陰の支配者』、そしてブリタニアの占領後は『反ブリタニアレジスタンスを束ねるキョウト六家の重鎮』として独自のネットワークを構築した桐原が諜報部を担ってもおかしくはないのだが、年齢及び日本がエリア11に改名した時から定着していた
無論、実権の大半は実績および経験豊富な桐原にある。
諜報部以外。
つまり、黒の騎士団が力をつければつけるほど、各部の権限も強まり、上に立つ者ほど全体を把握するのが難しくなっていく。
それはたとえ
「……ディートハルト、貴様まさか────」
「────ご心配なく。 貴方に繋がる証拠は私の方で処理してあります。 それに貴方の正体や経歴を公表したところで、メリットよりデメリットがはるかに大きいので墓場まで持っていくつもりです。 では。」
今度こそディートハルトは退室し、タブレットを取り出してはスケジュールを確認しながら次の仕事に没頭しつつも内心ではホッとしていた。
「(状況的証拠から『もしかして』と思い、思い切って感情的にさせたうえでカマをかけたら動揺した。 やはり若いな。 しかし『ゼロ』としての活動を見る限り、素質は十分あるが……あの様子だと『平和』は『乱世への準備期間』だと理解していない? ……やはり感情的になれる今が……しかし、『不干渉』を宣言したからには……)」
ネモの仮面からフルフェイスヘルメットに替えて、シャルルから受け取ったメモ用紙はハワイ諸島のカウアイ島を示していた。
「遅かったですね。」
そこに書かれていた住所に俺がたどり着くと、教会のシスターが着るような服装に豊かな銀髪、端正な顔立ちの美女が読んでいた本を閉じながら声をかける直前の俺に、そう言ってきた。
眼鏡越しに見える青い目はどこか俺を通して
そう、まるで『背景の一部』としか見ていないようで、既に持っていた『氷のように冷たい』という印象を更に強めた。
それだからだろうか? 体が震えそうな理由は?
いや違う。
彼女はおもむろに帯剣や銃を携えてはいないが、全く隙を見せない体のあらゆる場所に暗器などが隠されている。
だがそれも違う。
『気配』だ。
明らかに目の前にいるこの人は『強い』。
今まで感じたことのない感覚。
『
分かりやすい比較対象を敢えて引きずりだすのならば、ダモクレスで相対した『マリアンヌ』だ。
ただし、『完全に油断も隙も笑い声も遊び心も無い無情なマリアンヌ』だが。
「……それで?」
値踏み……いや、『観察』されるのも束の間で彼女は何かを受け取る様に手を出すと反射的に身構えてしまったが、なんとか下手なことをせずにポケットの中から封蝋された手紙を俺はゆっくりと手渡す。
「……来なさい。」
いつの間にか手にしていたペーパーナイフで開け、手紙を読むとその命令口調の彼女はそのまま自動で開いたゲートをくぐる。
「ちょ、ちょっと────」
「────ここは私の私有地です。」
「それじゃ────」
「────質問は入ってからにしなさい。」
「……だ────」
「────そんなに知りたいのなら『元ラウンズ』で良いかしら?」
「「……」」
こここここここいつ……
俺が質問する前に先回りしやがって!
気に入らんンンンンンンンン!!!
後を歩いて数分、豪邸と思われる建物まで到着してまたも自動ドアを潜ると────
「あらお帰りベアちゃん♪」
「『ちゃん』はやめなさい。」
────中に入って応接室みたいな部屋の中で椅子に腰かけながらお茶を飲む、髪を栗色に変えたマリアンヌがのほほ~んと出迎えていた。
部屋を飾る
それよりも『ベアちゃん』って。
「もう引退したんだから、そんなに堅苦しい装いはしなくても良いんじゃないかしら?」
「生憎とこれは生来の性格よ、
クイッ。
ク〇だ! キャプテン・ク〇の『クイッ』がリアルで起きた────って、『マリー』?
今この女性、マリアンヌを愛称で呼んだのか?
「座りなさい。」
シスターっぽい女性こと『ベアちゃん』が座ってから、俺も座る。
「さて、まずは答え合わせからかしら?」
それよりも、アンタは誰?
「私……俺はスヴェン・ハンセンだ。 現在はアッシュフォード学園で教師を務めている。」
俺の自己紹介に『ベアちゃん』は目を細め、室内の温度が僅かに下がったような気がする。
な、何かダメだったんだろうか?
「……ふぅ。」
僅かに息を吐き出しながら眼鏡を調整する『ベアちゃん』の雰囲気は全く変わらないものの、その仕草からは明らかな『呆れ』が感じ取れた。
「私はベアトリス・ファランクス。 ファランクス
え。
「あと元ナイトオブツーね♪」
ゑ。
「マリー……あの席はマンフレディ卿に明け渡したのよ?」
「でもその前はベアちゃんのだったんだし、
「良くないわ。」
何だろう……
この二人を見ていると『天然と生真面目』な『漫才コンビ』を見ている様な気がして、さっきまでの空気が嘘のように思える。
「それで?
前言撤回。
『ベアちゃん』────ベアトリスの全く感情が籠っていない視線が俺に集中する。
でも『皇帝陛下』って……シャルルの事を知っているといっても、色々と問題が────
「────ベアちゃん? 夫はもう皇帝陛下じゃ────」
「────私にとって、彼が『陛下』よ────」
「────だからって、辞めるのは────」
「────他の者たちは私にとって忠義を捧げるに値しなかった。 それだけの事よ。」
このベアトリスって奴、見た目は20代の美女なのに淡々とした事務的で達観したやり取りの所為で色々と台無しだな。
「スヴェン・ハンセン、時間は有限なの。
うん。
俺、この人が怖いでヤンス。
「ああ、その通りだ。」
「そう。 ならば貴方の覚えていることを話して。 時系列に。」
またこれか。
「マリー、貴方もここに居なさい。」
そしてベアトリスはいつの間にかこっそりと気配を消して退室しようとしたマリアンヌを呼び止めた。
スゴイな、このベアトリスは。
俺はマリアンヌが動いたことでさえ気づかなかったのに、ベアトリスは俺を見ていても『周りを把握している』というか……
………………………………やっぱりコードギアスはヤバいな。
モブ子でも超高性能な人材がゴロゴロそこら中におるがな。
…………
………
……
…
「……」
またシャルルと同じような内容を話したが、あちらと違ってベアトリスは終始無言のまま話を聞いていただけだった。
あと意外だったのはマリアンヌがずっと黙っていたことぐらいかな?
「なるほど。 ならば貴方の記憶と実際のハンセン領の齟齬があったために来たのね……いいでしょう。 貴方の
「『第一発見者』?」
「私は陛下の命で
「────昔からベアトリスは器用だったから────♪」
「────でも流石にその過程で
ん?
「お茶を淹れてくれないかしら?」
唖然とする俺にマリアンヌがそう頼み、ベアトリスが『待ちますよ?』と言いたげな視線を送ってきた。
「茶葉────」
「────左上のキャビネット。」
……
…
「うん、やっぱり美味しいわね♪」
さようですか、ルルーシュ&ナナリーのママン。
「及第点ね。」
……本当にこの女性は見た目が良いのに、性格に難アリだな?!
「それで話の続きだが────」
「────任務中にまだ幼い貴方と遭遇した。 普段なら
その『無力化&解剖』って要するに『息の根を止めること』だよネ?
「────貴方は敵意も殺意も何もなく、ただその場をグルグルと当てもなく歩いていたわ。 まるで……そうね、
ということは?
俺はマリアンヌと会っていた……ということになるのか?
「貴方の血筋の検査結果もあり、ファランクス家に一時的に身を預けることになった。 幸い、その時は既に私が当主であり人気のない山中に位置する領地でしたので。」
なるほど。
俺が行った『ハンセン家』自体がカモフラージュだったのか。
「そして貴方は言語以外、スポンジのように何もかもを吸収していった。 それは本からだけでなく、いつものようにマリーとビスマルクの模擬戦を
なん……だと?
「『預かった』といっても短い間だけで、マリーが貴方をエリア11となる予定だった極東の日本へ送った。 無論、『ハンセン家』として
「……………………………………………………つまり、アンタは……いや、ベアトリスさんは……俺の……
「虫唾が走りますが、形式上はそうなりますね。 それよりも手紙に書いてあった貴方の事情、複数の異性から言い寄られていて困っているのよね?」
シャルルパパァァァァァァァァァァ!!!
お前! お前! お前ェェェェェェェェェェェェェェェェ!!!!!
「心配をせずとも、好きになさい。 不器用で先を突っ走る者のフォローは慣れていますから。」
あ。
ベアトリスのこめかみに米印が。
めっちゃ怒っているのが分かる。
何気に初めてこの人形みたいな人の『感情』を見たような気がする。
「一つ聞くが、俺の生まれとかは知らないのか?」
「さぁ? 状況的に見て、オーバーテクノロジーによって
いや、そのくだりは完全にロスカラのライなんですが。
………………………………………………………………………………やっぱり俺がライでした?
じゃあライカはどうなるんだ?
やっぱり俺のクローン………………………………とかになるのか?
ライカは
あ、アカン。
宇宙の果てを見渡す猫な感じに────
「────私からも質問があります。」
「???」
「陛下の文に『複数の異性からの好意を向けられている』と書いてありますが────」
ギクッ。
「────それをどう
「……何故、そこまで────?」
「────出生がどうあれ、貴方はクレア女帝の血を色濃く受け継いでいます。 コーネリア皇女殿下とユーフェミア皇女殿下以上のその血をこれ以上薄くさせるわけには行けません。 それに、貴方が仮想敵国の手に渡ればブリタニアの皇族入りへの大義名分を与えかねません。
「……そう、か。」
俺の口からはそのような言葉しか出なかった。
思っていたよりも、俺の生まれは単純である同時に複雑だったようだ。
でも話からするとこのベアトリスって人は、間接的に俺の『保護者』になるのか?
……少々腑に落ちないところもあるが、今は過剰情報で頭がパンクしそうだ。
一旦帰って、これからの行動方針を決めよう。
今の俺がすべきことは『過去』に執着することじゃなくて、アニメの一期にR2、亡国のアキトにオズも終わった『未来』のことを考えよう。
マリアンヌとベアトリスはエスコートを断り、退室してからもどこかフラフラとした足取りのままベアトリスの敷地から離れて自動ゲートを通過する様子を監視カメラ越しに無言で見ていた。
「ベアトリス。」
「何かしら、マリアンヌ?」
「
「別に。」
ベアトリスは喉が渇いたのか、冷めた紅茶を一口飲んでから再び口を開いた。
「貴方とシャルル陛下の
「まさか彼も思っていないでしょうね。
『
そう言われたベアトリスはティーカップをソーサーの上に戻し、懐かしむように外の景色を窓越しに目を送る。
「そこはマッド博士に感謝するべきね。」
「
「状況と相談しに来た理由から見て、サエコ・ブスジマの裏にいるタイゾウ・キリハラ、アンジュリーゼ・ミスルギ、マリーベル・メル・ブリタニアが恐らく絡んでいるわ。」
「彼に伝えなくて良かったの?」
「何を?」
「彼を殺さなかった理由が、彼が貴方の弟の────」
「────それ以上は貴方でも許さないわよ、マリアンヌ・ヴィ・ブリタニア。」
ザワリと寒気がその場一帯を支配し、マリアンヌは思わず身構えそうになるがいつもの愛想のよい笑みを浮かべて感情を隠してから口を開ける。
「そうね、失言だったわ。 でもあなたには感謝しているのよ。」
「どの無茶ぶりのことを言っているのかしら?」
「『流れの調整』。 シャルルのね。」
「ああ……やりがいはあったけれど、流石に骨が折れたわ。」
「流石はクレア女帝の帝国を代々陰から守護してきた、
「……」
ベアトリスは何も言わず、ただ冷めた紅茶を飲み干した。
あとタイトルに『311話』を二回入れてしまったので修正しました。
後書きEXTRA(挿絵):
シャーリー:あ! これもルルに似合うかも!
ルルーシュ:……
シャーリー:ルル?
ルルーシュ:へ?! あ、ああ。 そそそそそうだな。
シャーリー:……楽しくない、買い物?
ルルーシュ:そんなことはないが?
シャーリー:じゃあ何で顔を逸らすの?
ルルーシュ:(『元気なシャーリーを見ているだけでニヤケそうになる』なんて言えるか!)
シャーリー:ねぇ、今度はナナちゃんやロロも一緒に……は、無理だよね……
ルルーシュ:いや、案外その機会はあるかもしれんぞ?
シャーリー:ふぇ?
ルルーシュ:(こういう時は『スヴェンに合掌』、というのだっけ?)
【挿絵表示】
*時系列的には東京でゼロ(ルルーシュ)の休憩とシャーリーの休日が重なった時です。