小心者、コードギアスの世界を生き残る。   作:haru970

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暑い。 _(X3」∠)_


第318話 ほっと一息 (挿絵)

 アッシュフォード学園で内心では放心しつつも『優男』の仮面を必死に維持して表情を引きつらせるスヴェンに至るきっかけは数時間前、ちょうどヴィレッタから分かれて自分が担当するクラスへと赴いた時と戻る。

 

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

 

「(ん?)」

 

 (スヴェン)が今日担当しているクラスの教室のドアが音もなく僅か開くと、()()()()()ダークブルーの目がのぞき込む。

 

 さて、アッシュフォード学園だけでもその特徴を持っている者は生徒や教師含めて数十はいるので『ダークブルー色の瞳』だけでは誰だか特定することはできない。

 

 だがそれはあくまで『目の色』だけに限定した場合だ。

 

『一瞬目が合った時に見た目の角度』から大体の身長と、『授業中の時間帯でも教室間を自由に動き回れて教室内の様子を盗み見ることができる人』でかなり絞られる。

 

「────っと。 急ですみませんが今朝頼みごとを頼まれていたのを思い出しましたので、ここからは各自自習でお願いします。」

 

「「「「えええええええええ?!」」」」

 

 俺の言葉にクラスの大半が残念がる声が響き、俺は内心でホッとする。

 

 「ホゲ~。」

 

 約一名は逆に安堵と潰されるカエルが混じったような、器用な声を吐き捨てては机に突っ伏した。

 

 「毅然としろ、アンジュ。」

 

 「無理~……」

 

 そしてその約一名────アンジュの隣に座っている毒島がかけて来た声に、アンジュは頭を机から上げないまま返事をする。

 

 さっき『ホッとする』と俺が言ったと思うが、理由は言うまでもなく『あの日』以前からでもこの二人が俺の担当するクラスによくいるからだ。

 

 これはほぼ100%の確率で(絶対に)どこかのお節介な誰かさん(ミレイ)による計らいだと思うが、理由はメインに毒島だろうな。

 

 アッシュフォード学園は人種の区別なく入学を受け入れているが、名門校で入学入試が厳しい上に指導科目は殆んどブリタニア寄りだから酔狂(もしくは訳アリ)な人でないとほぼブリタニアと名誉ブリタニア人ばかり。

 

 そんな中に、『“売国奴の桐原”の孫』で見た目も隠しようもないゴリゴリの日本人である毒島が一人。

 

 トラブルが(主に毒島の過激な反撃で)発生するのは火を見るより明らかであり、エリア11が日本になった今でも変わりはない。

 それどころか、過去の遺恨などで(主に毒島の過激な反撃で)ブリタニアと合衆国日本の外交問題に発生しかねない。

 

 主に毒島の過激な反撃が問題だ。

 

 何せ非公式な部活も立ちつつあったぐらいだからなぁ。

 その名も『学生自治軍』。

 

ここ(学園)の秩序を守る~』とかを謳い文句にしていたグループで、久しぶりに情報屋の伝手を使って調べたら結成員は全員軍に所属している親を持ったブリタニア人ばかりで、それもオデュッセウス皇帝代理の政権になってからは落ちぶれていく家ばかり。

 

 それだけならば放っておいたのだが学生たち自身を調査してみたらエリア11だった時でも、ゲットーの境界線近くに集団で行っては『粛清』という名ばかりのホームレス狩りを行っていた物騒な奴らだったので、絶対に日本側も見過ごせない&ブリタニア側が庇いたくない物的証拠をリークしてやった。

 

 釘バットやパイプはまぁ……『危ない』に違いないが、流石に『親の目を盗んで予備の拳銃を持つ』のは駄目だと思うの。

 色々な意味で。

 

 それさっきの『潰れたカエル』ことアンジュは未だに耳まで真っ赤にしたまま、突っ伏した態勢から動こうとしていない。

 

 ……今考えたらアンジュのおかげで『学生自治軍』の情報が手に入りやすくなっていたな。

 

 入学当時に色々やらかしたアンジュも今ではちゃんと学生してて、先生は誇り高いぞ!

 

『あの日』以前まではそこそこお互い干渉せずに事が進んで良かったんだがな。

『あの日』以来、目を合わせないようにしても隣にいる毒島がよく挙手したり────え?

 

『それより“あの日”ってどういうことだってばよ』、だと?

 いちいち説明しないといけないかウスラトンカチ?

 

『あの日』とは……

 

 つまりその……

 

 ええええと……

 

 …………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………アレだ! アレアレアレアレアレアレアレ!

 

 察してくれ! 思い出すのも恥ずかしい!

 

 少々の早歩きでドアを開けると予想通りに複雑な顔をしていたミレイがいた。

 

「何でしょうか、ミレイさん?」

 

「あー、やっぱりすぐわかっちゃう?」

 

「ミレイさんは色々と目立ちますからね。」

 

「さすがスヴェン!」

 

 今の会話のどこにウキウキしながら『さすが』の返しをする要素があったんだ?

 

『え? あれってミレイ先生?』

 

「っと、浮かれている場合じゃなかったわ。 実はその……ドア閉めてくれる?」

 

『もう遅いと思うゾ、ミレイちゃん』と思いながらもドアを閉めに手を伸ばすと、クラスの中から予想通りの声が聞こえてくる。

 

『そう言えばあの二人も結構頻繁に会っているよね?』

『え? じゃあヴィレッタ先生は?』

『本命じゃない?』

『本命?!』

『ほら、ミレイ先生ってアスプルンド伯爵と婚約解消しているから────』

 

 ────ガチャ。

 

「………………………………」

 

 俺は『優男』の仮面に『悩む』を混ぜながらどうにかして頭を抱えることを我慢する。

 

「あ、あはははは……ごめんね、スヴェン?」

 

「それで、話とは何ですか?」

 

「えっと……クラブハウスまで、来てくれる?」

 

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

 

「あ。 お久しぶりです、スヴェンさん♪」

 

 

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 なるほどこれは確かに大声で言っちゃいけない案件だ。

 

 コホン、すまない少し取り乱した。

 

 一言で、目の前の景色をくくるぞ?

 

『クラブハウスにはニコニコなナナリーと表情筋がムズムズしているオルドリンと仏頂面なジェレミアとスゴイ複雑そうなロロがいた。』

 

 キリキリキリキリキリ!

 

 あ、うん。

 胃痛も時間差をつけてやってきたね。

 

「……」

 

「さ、サプラ~イズ?」

 

 無言で俺が隣にいるミレイを見ると以前のウハウハな水着を見せた時と似た猫撫で声でウィンクするミレイがいた。

 

 っととととと、『優男』の仮面が剥がれていた。

 

「確かにサプライズはサプライズですが、あまり心臓に良くない類のものは感心しませんよミレイ先生?」

 

「うっ。」

 

「ご、ごめんなさいスヴェンさん。 実は、私がミレイさんに無理を言ったんです。」

 

「そうなのですか?」

 

「ええ。 実はs────学園の様子をどうしても見たくて頼みました。」

 

 この頃乾燥し出したから、たまに言い直しが必要な時期になったなぁ~。

 

 後で時間があれば、とびっきり旨い紅茶でも淹れてあげるとしよう。

 

「そうですか。」

 

 皆の顔を見たい為だけに、護衛もつけずに来たのか。

 いや、最低限の護衛(オルドリン)以外は断ったのだろうな。

 ナナリーって寂しがり屋な上に、『人慣れ』はしていてもまだ『人見知り』が抜けていない様子だからな。

 

 ……よし。

 ならば俺が取るべき行動は決まっている。

 

「では、僭越ながらエスコートをしてもよろしいでしょうか?」

 

「ッ。 ハイ! よろしくお願いします、スヴェンさん!」

 

「ナナリーの頼みごとですから。」

 

 一瞬、敬称の『皇女殿下』を付けようかどうか迷ったがここにジェレミアだけでなくロロもいたことで、ミレイがナナリーに関する記憶が戻ったことを察し────あ゛。

 

「ふぅ~ん? タメ口の上に『ナナリーを呼び捨てにする』ってことはやっぱり────」

 「────ええまぁはいそういうことですはい!」

 

 焦りながらミレイの言葉を遮ると、何故かミレイが怪訝そうな顔をするどころかニヤニヤし始める。

 

 え? なにその悪戯が成功した子供がするような表情は?

 

 ハッ?!

 ま、まさか俺は一番厄介なやつに脅迫材料を渡してしまったのでは?!

 

「あの……ご迷惑でしたでしょうか、スヴェンさん?」

 

「いいえ、全く。」

 

 とはいえ、『ミレイなら悪い様にしないだろう』と思った俺はすぐに切り替えてニッコリとした『優男』の笑顔をナナリーに向けた。

 

「……フム。」

 

 そこのオレンジ卿、何か言いたげだな?!

 

 「なんで僕まで……」

 

 確かに。

 ここにロロがいる意味が解らん。

 

「あ。 実は私もそれをお願いしたんです。」

 

 え゛。

 

 「え?!」

 

 俺が内心にとどめた声をまるで代弁するかのように同時にロロの素っ頓狂な声を出し、一瞬だけ自分が声に出してしまったかと錯覚する。

 

「だって……」

 

 チラッ。

 

「ああ。 『()()()()ですから』、ですよね。」

 

 言い淀んだナナリーはロロから視線を外して俺を見て、助け船を出す。

 

 こうしてナナリーではなく俺が言えば、万が一『勝手な身内認識(兄の横取り)』という解釈をしてたとえロロが嫌がったり怒ったり否定しても、矛先は『ナナリー』ではなく『俺』に向けられる。

 

 「……身内……」

 

 お?

 割とウケが良いっぽい。

 

「続きは、歩きながらで良いでしょうか?」

 

「そうですね。」

 

「それと、私も身内に連絡を入れてもいいですか?」

 

「スヴェンさんの身内ですか? ……カレンさんですか?」

 

「いえ、違います。」

 

 カレンと俺はそんなんじゃない。

 

 だからそんなに眉毛の長いお目目をバチクリしないでくれよナナリー。

 

 俺は携帯を取り出してライカへメッセージを送る。

 

『いま良いか?』

『どうした?』

『ナナリーが来た、案内をする。 一緒に来るか?』

『身辺警護か。』

 

 どうしてそうなる。

 

 いや落ち着け俺、ライカはずっと生死を掛けた仕事オンリーだったんだ。

 

『違う。 校内の案内だ。』

『ならボクは距離を置いて中距離の護衛に就く。』

 

 なんでや。

 

『一緒に歩いていいと思うが?』

『固まって動いたら意味が無い。』

『なら頼む。』

『了解。』

 

 最近はライラやシャーリーの周りに居ることでここ最近は以前のような『無気力感』が抜けてきたが、まだまだ『柔軟性に難アリ』だな。

 

 う~ん……これは一度ライカと本格的に話し合う必要があるか。

 

「どうしたんです、スヴェンさん?」

 

「いえ、()に連絡を取ったのですがどうもイマイチでして。」

 

「……スヴェンさんに、妹がいたんですね。 それは初耳です。」

 

「ええ。 少々の()()があって最近一緒に住むようになったのですよ。」

 

「…そうですか。」

 

 ん? 今、一瞬間があった様な……

 

「一度、会ってみたいですね♪」

 

 気のせいだろうか?

 

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

 

 俺がナナリーの隣で歩き、おっかなびっくりといった様子で反対側にロロ。 そして少し距離を置いてジェレミアとオルドリンが後ろから歩いてくる。

 

「「あ。」」

「ん?」

 

 今度こそ俺とロロの声がハモり、ロロも俺と同じような心境になっていると本能で悟った。

 

『何やってんだお前(C.C. )』、と。

 

 この際C.C.が学園にいることはどうでもいい。

 

 逆に『なんで中等部の制服を?』と聞きたい。

 

 

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 しかもそのサイズ……アリス……いや、違うな。

 

「あ。 その声、C.C.さんですか?」

 

「ナナリーか。」

 

「はい、私です♪ こうして面と向かって話すのは初めてですね?」

 

「そうか?」

 

「……」

 

 そのサイズはもしかしてもしかするともしかするかも?

 

「なんだお前、じっと私を見て?」

「その制服、もしかしてナナリーのか?」

「え?!」

「よくわかったなお前?」

「えっと……」

「明らかにサイズが合っていない。」

「なんだ、私の窮屈な胸を見ていたのか? このスケベ。」

「あの……」

「それよりも丈が短くて太ももがほぼ丸出しだ、着替えろ。」

「……」

「それよりも良いのか? さっきから素が出ているぞ?」

 

 ……………………………………ハッ?!

 

「コホン。 今日は晴れ晴れとした太陽ですね。」

「…………」

 

 C.C.に言われて振り返るとジェレミアはわざとらしい咳払いをして目を逸らし、オルドリンは怪訝そうな目で俺を見ていた。

 

 ……なんで?

 

 「男の人ってやっぱり……」

 

 今なんて?

 

「まぁいい。 そこの身を小さくさせて赤面しているナナリーに免じてここは素直に応じるよ。」

 

「え?」

 

 俺がナナリーを見ると確かに彼女は腕を胸の前で組みながらシュンと猫背になり、俺の視線を返していた。

 

 「…………………………ですから…………………………」

 

「はい?」

 

「成長期……ですから……」

 

「……」

 

 それを今、言うかねナナリー君?

 

 「男の人ってやっぱり……」

 

 だからさっきからブツブツとなんて言っているのさ、少々引いているオルドリンよ?

 

「ホッホッホッホッホ♪ という訳でロロ、お前も一緒に来い。」

「な、なんで僕が?!」

「私の着替えはクラブハウスにあるからだ。」

「だったら一人で行ってください!」

「正面から入ろうとすれば多くの学生に見つかる。」

「だからってなんで僕が……」

「ルルーシュもクラブハウスに居るぞ。」

「よしじゃあ行こう!」

 

『ルルーシュがいる』と聞いただけでホイホイ付いて行くなよ。

 尻尾が在ったらはち切れんばかりにブンブン揺らいでいるだろうな、あの様子だと。

 

 ちょろすぎるだろ、ロロ雑巾……

 あ、でも原作みたいに仲がこじれていないのは良かった。

 

 それさておき……『優男』の仮面を装着、と。

 

「という訳でナナリーもクラブハウスに行きますか?」

 

「いえ、実は他に行きたい場所がありまして。」

 

 暗に『ルルーシュに会うか?』と伝えると、意外な返事が返ってきたことで戸惑ってしまう。

 

「そ、それはどこでしょうか?」

 

「学園で一番高くて、全体が見渡せる場所がいいです。」

 

 だとすると……時計塔か。

 

 第二トウキョウ決戦時に被弾したが、これ幸いにと新しいのが建築されて古い奴とは違ってエレベーターも付くようになった。

 

「スヴェン・ハンセン!」

 

 そんなことを考えながら構内から中庭へと出たら、曲がり角の向こう側から男子生徒が姿を現して拳銃を構えていた。

 

 急なことだが背後でジェレミアとオルドリンが二人とも動く気配がすると同時に、俺自身はナナリーを庇うかのように前に出ながら普段から携帯している小型拳銃をジャケットの下から抜く────

 

「ごはぁ?!」

 

 ────と、その前に二階の窓から落下してきたライカによって男子生徒は不意打ちを受ける。

 

「「「……」」」

 

『優男』の仮面を維持しつつも、周りの者たち同様に俺は顔を引きつらせながらどこから出したのか分からない小型拳銃を使って男子生徒を地面に組み伏せていたライカを前に嫌な汗をかいていた。

 

 いや、訂正しよう。

 

『太股のホルスターから抜いた小型拳銃』だ。

『定番』と言えば定番なんだが……

 

 それって『ナイトメア・オブ・ナナリー』のパンチラ担当アリスのネタだよね?

 

「えっと……お転婆な妹さんですね、スヴェンさん?」*1

 

 そして俺の隣にいたナナリーの言葉に、こう思った。

 

 『それってよりにもよって(ナナリー)が言うかね?』、と。

 

「こいつはどうする、兄さん?」

 

 ライカ、お前も俺を『兄』呼ばわりかよ。

 

 男と女マオも含めて何人目だ?

 

「は、放せ! そいつのせいで、俺の両親と同志は────!」

 

 ────あ。 誰かと思ったらこいつ、『学生自治軍』の首謀者アンソニーじゃねぇか。

 あれから数日経っただけなのに、かなり老けたから一瞬誰だかわからなかった。

 

「殺す────?」

「────ひ────」

 「────殺すのはよせ。」

 

 物騒過ぎるぞライカ!

 

「こいつの拳銃は本物だ。 装填もされていた。」

 

 やっぱり物騒だったよ、『学生自治軍』!

 大事に発展する前に潰しておいてよかった……

 

「だが事が起きる前に止めたのならば、あとは警察の仕事だ。 ()たちのじゃない。」

 

「……そうか。」

 

 ゴン!

 

「ぐべ?!」

 

 ライカは表情を変えずに、アンソニーの髪を鷲掴みにしてアスファルトに強打させて昏倒させる。

 

「警察への引き渡しは私が引き継ごう。」

 

「良いのか、ゴットバルト卿(ジェレミア)?」

 

「何、私にも使える伝手はある。 その小僧の面影には見覚えがある。 恐らく親が恩赦を掛けるように保安局に懇願したんだろうが、今度こそ確実に罪に問われるように手配しよう。」

 

「……その顔の説明はどうする?」

 

「手術の後遺症とでも言えばどうとでもなる。」

 

 あらやだ、ジェレミアったら男前でカッコいい。

 

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

 

 

 新しい時計塔の頂上は小さな休憩ができるエリアになっており、オルドリンは時計塔の周りと周辺の屋上の警戒をしていて、ここには俺とナナリーしかいない。

 

「良い風ですね。 それに景色も良いです。」

 

「そう、ですね。」

 

 ここ最近では新しいデートスポットの定番と時計塔がなっていると聞いているが……

 

 確かにこれはいいな。

 

 元々最先端の技術を持つブリタニアの植民地だっただけに復旧工事のスピードは半端なく、ほとんど終わっているように見える。

 

「実は最近、合衆国日本への引き継ぎが終わったので、ここに来たんです。」

 

「そうですか。」

 

「というのは嘘です♪」

 

 え。

 

「それとさっきのC.C.さんとの会話を見て、やっぱりあれが素のスヴェンさんなのですよね?」

 

 あ。

 なんてこった……

 凡ミスだ……

 

『俺』らしくない。

 

「ちなみに他意はありませんよ? ただ、いつもは自分より他人を案じたり、たしなめたり、懸命に周りの方たちの事を考えている様でしたから……その……私の付き添いを通して、少しは心が休められればいいと勝手ながら思っていました。」

 

 ああ……そういうことか。

 

 学園に来たのはルルーシュたち生徒会やアリスたちに会うためだけでなく、俺の気遣いも兼ねていたのか。

 

 ナナリーマジ天使。

 それに俺の素を見たのだから、もう『優男』として取り繕う必要もないだろう。

 

「フ、我儘だな、ナナリーは。」

 

「あら、知らなかったんですかスヴェンさん? 私、これでも昔はお兄様やスザクさんたちを振り回していたんですよ?」

 

「しかしそれを言えばナナリーも総督になってから、自分より他人や周りの者たちの事を優先して考えている様子でしたよ。 だからお互い様だ。」

 

「あら、分かります?」

 

「ああ、分かった。」

 

「フフフ、これ似た者同士ですね♪」

 

「ああ。」

 

 心が癒される……

 

「「……」」

 

 俺とナナリーが黙り込み、ただ静かで心休まる時間がゆっくりと過ぎていく。。

 

「……スヴェンさん、聞いてもいいですか?」

 

「何をです、ナナリー?」

 

「これからどうするつもりかを、です。」

 

「『これからどうする』、ですか……」

 

 どうなんだろう。

 今まではとにかくコードギアスが────R2が終わるまで生き残ってついでに取り除ける周りの奴らの不幸を防ぐことでいっぱいいっぱいだったからなぁ……

 

「それに、マリーお姉様から聞きましたよ?」

 

 ギックゥゥゥ!!!

 

「……ナニヲデス?」

 

「スヴェンさんが、蓬莱共和政府の自治領主になったことです。」

 

 あ、そっちか。

 

 セェェェェフ!

 

「でも私の時は違って、スヴェンさんの周りには私より頼りになる方たちが大勢いますから、きっと大丈夫ですよね?」

 

 

【挿絵表示】

 

 

「それは……」

 

 俺は気まずさから座っていたベンチの隣にいたナナリーから視線を外して、東京を見渡す。

 

「俺は……」

 

 それ以上の言葉は出なかった。

 

 だが『例の企画を早める』という覚悟を決めさせるには十分すぎた。

*1
ピンクちゃん:オマエモナー




ナナリーはレイラやマリーベル、毒島にマーヤたちと違って『戦』に秀でた才能はなく、ただ懸命に『周りの為』と己が立たされた立場内で行動する普通の少女である。

だから良いのかもしれない。

傷付いた者を癒すのはこんな少女なのかもしれない。

-by変なテンションの作者
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