小心者、コードギアスの世界を生き残る。   作:haru970

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第320話 『皆が笑顔でいられますように……』 (挿絵)

 同日、アッシュフォード学園のそこかしこで奇妙な……いや、『挙動不審』な教師や生徒たちがいた。

 

「♪~」

 

『ねぇ、今日のヴィレッタ先生なんだかおかしくない?』

『うん……ずっとニヤニヤしているよね?』

『え? いつもニヤニヤしているんじゃないの?』

『いつもよりニヤニヤしているってこと。』

『ちょっと気持ち悪いよね?』

『ねぇ? 今気が付いたんだけどさ……ヴィレッタ先生って、前から指輪をしていたっけ?』

『『『『え?』』』』

 

 校内のグラウンドで生徒たちと共にジョギングしていたヴィレッタの手に視線が向けられると確かにそこにはきらりと日光を反射する、何の変哲もない銀色の指輪があった。

 

『ということは……婚約者?!』

『ヴィレッタ先生も立場的にいておかしくはないし!』

 

「「「「「「なぜだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?!」」」」」」」

「「「「「「きゃあああああああ!♡」」」」」」」

 

 会話を聞いた男子たちは跪きながら地面を叩いたり頭を抱えながら叫び、女子たちは黄色い声を上げた。

 

 「……ムフフフヒヒㇸへへへ♡」

 

 そして肝心のヴィレッタはそれらに気が付くことなく、うっとりとした目で自分の手を見た。

 

 ……

 …

 

「段ボール箱、運ぶの手伝ってありがとうねぇ、リヴァル~♪」

 

「なぁに、ミレイ先生の為ならばこのリヴァル・カルデモンド、たとえ日の中海の中────って……あの。 ミレイさん?」

 

「ん? 何~?」

 

「その手にはめているモノはナンデスカ。」

 

「ん? んっふっふ~♪ 何に見える~?」

 

「キレイナアクセサリーデスネ?」

 

「指輪よ♪」

 

「ゆ、ゆ、指輪ぁぁぁぁぁ?! でもロイド伯爵────」

「────ええ、他の誰かさんが────」

 

 ────ドサドサドサ!!!

 

 リヴァルは真っ白を通り越した土色に顔色を変え、持っていた段ボール箱を落としてしまう。

 

 「ウゥゥゥソォォォダァァァロォォォ?!?!?!?!」

 

 「ぎゃああああああああああああああああ?! まだ採点していないテスト用紙ィィィィィィィィィィ?!?!?!?!」

 

 ……

 …

 

 アッシュフォード学園に叫びなどが響く中、旧校舎の一室ではルルーシュとクロヴィスが貧乏ゆすりをしながらテーブルを間に挟んで向かい合わせに座り、肘を机につき、両手を組んで向き合っていた。

 

「兄上、色々積もる話も質問もあるだろうが────」

「────ああ。 今はそれどころではない、休戦といこうじゃないかルルーシュ────」

「────理解が早くて助かる。 スザクは使えなくなったがまだこちらはやり方次第で藤堂とシンクーを動かせる────」

「────こちらも言い方次第ではギルフォード卿、そして姉上も動かせるだろう。」

姉上(コーネリア)か。 確かに味方に出来ればこれ以上頼もしい援軍はないだろう。」

「「では早速連絡を取る。」」

 

 二人は立ち上がっては、お互いの手を取る。

 

「「すべては世界一、可愛い妹のために!」」

 

 ビキッ。

 

「ルルーシュ、世界一なのはライラだ。」

「ハッ、バカを言うな。 やはり目は節穴か? だからいつも敗北するのだ、兄上は。」

「……やはり好敵手だということは変わらないか。」

「『好敵手』? それは双方が認めた前提の上でようやく意味を成す言葉だ。」

「クッ! その生意気な口もそのままだな!」

 

 なお『妹を守る』という一点では利害が一致したので辛うじてこの二人は協力体制のままあの手この手でスバル(スヴェン)という魔の手(?)からナナリーとライラを遠ざけようと議論をするのだが、後にクロヴィスはスヴェンが『スバル』としてライラの命を救ったのかを聞くことになり気持ちが揺らぎ、そしてルルーシュはそう遠くはない未来にスヴェンの過去をさらに知ることで同様に気持ちが揺らぐこととなる。

 

 余談ではあるが、コーネリアに連絡をしていてもユーフェミアとスザクが一緒にいることを知って再び某復讐者のごとくスザクに決闘を挑んでいた頃なのでどちらにしても連絡は届かなかっただろう。

 

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

 

「第一回、チキチキブリタニア&日本&EU女子パジャマパーティ~♪」

 

 その日の夜、アッシュフォード学園の女子寮のほぼ隔離された一角では再びユーフェミアによるパジャマパーティーが開かれている様子だった。

 

 そしてその場には以前以上の人数の者たちがいた。

 

「なんだか前にもあったような気がするですユフィお姉さま。」

「でも今回はもっと大勢いますよライラ────」

 

 ドッ!

 

「────グェ。」

「いきなりアリスがナナリーを横からタックルしたです?!」

「ナナリぃぃぃぃぃぃぃぃ……」

 「ナナリー成分を補給しないと!」

 

「ナナリー成分って、アリス……お前、少々危ない目をしているぞ?」

「だまらっしゃい、サンチア! ほぼ一年よ?! ほぼ一年間、会えなかったんだよ?!」

「ねぇルクレティア……いくら何でもこれは駄目なんじゃないかな?」

「ダルクにそこまで言わせていることを考えた方が良いわよアリス?」

 スーハースーハースーハー!!!」

 

 サンチアのやんわりとした忠告に便乗したダルクとルクレティアを無視してアリスはナナリーに抱き着いたまま、ただ大きく呼吸を繰り返し、ナナリー本人は苦笑いを浮かべながらもアリスを拒否するそぶりは見せなかった。

 

「ナニコレ。」

「ノリが悪いですよ、オズ?」

「そうだぞ、オズ。」

 

 そんなやり取りを見たからか、遠い目になっていたオルドリンにマリーベルと毒島がなだめるような言葉をかけた。

 

「いや違う……違うのよ……思っていたのと色々違うのよ……」

 

「そうか? 彼なら全員受け入れてくれると────」

「────そっちじゃない。」

 

「もう、察しが悪いと思っていたけれどオズも頑固者ね!」

「マリーはこれで良いわけ?」

「あら、変な事を言うのねオズ?」

「そもそもマリーベルさんはこのことを予想していたのでは?」

「そうなのレイラさん?!」

「えっと────」

「────横からいいかい、お嬢ちゃん達?」

 

 オルドリン達の視線はパジャマ(と言っても単なる下着姿)のノネットへと向けられる。

 

「私の憶測だと、ワザとアンジュの嬢ちゃんを焦らせるように周りを焚きつけたんだろ、マリーベル皇女様?」

「「「「え。」」」」

 

「ちょっと待って! ……その話、本当なの?」

「ウフフフフフフフフフフフフ♪」

「ぬああああああああああああああああああああ?! その笑みはサエコが無言で肯定しながらバカにするやつぅぅぅぅぅぅ?!」

 

 マリーベルの意味深な笑みにアンジュは頭から枕にダイブして顔を埋めたまま、力の限りに叫びながら足をバタつかせた。

 

「……別に馬鹿にしているわけではないのだが……」

「アンジュはもう聞いていないわよ、冴子。」

 「やはり誤解されがちなのはおじいちゃんの所為か。」

「え?」

 

 落ち込むアンジュを見た毒島の言葉を辛うじて聞いたマーヤの言葉に、毒島はブツブツと何か言いながら不貞腐れた。

 

「相変わらず理解が早いですね、エニアグラム卿♪」

「伊達にエリア24で、マリーベル皇女殿下様の思惑に乗ったわけじゃないってことさ。」

「あら、単純にオズのお願いを通しに来たのでは?」

「その『前例』があったからこそ、今回のことも分かったのさ。」

「……意外ですね。」

「何がだい?」

「エニアグラム卿はもっと……その……」

「『単純そう』だった?」

「「「……」」」

「貴族社会は()()()()()が基本だからね、のほほんとしていたら食われるだけさ。 そういう駆け引きが面倒くさくて、ラウンズになった筈なんだけれどね……それで未だにベアちゃんのお願いとかだけが来るだけでもマシかな……

 

 ノネットは先ほどのオルドリンと似た、どこか遠いところを見るような目で天井を見上げた。

 

「えっと……エニアグラム卿は何時からお気づきに?」

 

 かなり変になりつつあったその場の空気をレイラが取り持とうとした。

 

「あの『報酬』の話がでた辺りから……かな? レイちゃんは?」

 

「「「「(『レイちゃん』。)」」」」

 

「私は……マリーベルさんが日本に滞在し続けたところからです。」

「う~ん……やるねぇ~。」

「ですが、貴方に比べればとても────」

「────それでも、君はアマルガムの偽装に蓬莱島の事務などを平行に行っていたことを考えれば十分すぎるさ。」

 

「それを考えると、何故スバル本人がわざわざ身一つでEUに先行したのかが分かるな。」

 

「そ、それはその……大勢の方たちが助けられましたし……自分も……その、恩返しを……それに『必要』と言ってくれたので……

 

 

【挿絵表示】

 

 

 急にたどたどしくなり、しゅんと俯きながら猫のぬいぐるみをハグしながら赤面するレイラを見たノネットたちはほっこりした。

 

「かー! ミルク無しの紅茶がいくらあっても足りないねぇ、これは!」

「あの……」

「「「「「「うん?」」」」」」」

「明らかに私たちは場違いな感じがするのだが……」

 

 ノネットたちは先ほどのレイラのように畏まりながら黙っていたヴィレッタの言葉に首を力強く縦に振って頷くwZERO部隊のケイトたちやクロエなどを見る。

 

「『場違い』? どうしてだい?」

「いや……」

「だって私たち……」

「ねぇ?」

「軍人のヴィレッタさんでも、シュバール(スバル)さんと一時期一緒に住んだことはあると聞いたけれど……」

 

「なんだい! まるで『私たちはただの一般人です~』と書いたような弱気な顔は!」

 

「「「「「(えぇぇぇぇ……そんな簡単に言われても……)」」」」」

 

「君たちの分の指輪もあったし、それを受け取ったんだろ? ならそれで充分じゃないか!」

 

「でも……」

「他の皆と比べると……」

 

「んじゃあさ? そんなアンタたちに聞くけれど、なんで君たちは少年から受けた指輪を指にはめているか、ネックレスにしているんだい? その()()が分からない歳じゃないだろ?」

 

「「「「「『意味』……」」」」」

 

 さて。

 ノネットが口にした言葉の意味を伝えるために少々『婚約の風習』に関して話をしたいと思う。

 金属の生産が盛んだった古代ローマでは庶民の女性でも『婚約の証』として指輪などのアクセサリーが用いられていたが、やがてローマの崩壊後の中世時代では主に『裕福』の象徴として貴族や商家などがこの風習を続けた。

 

 そしてそのような上流階級者は、婚約指輪などの類はほとんど後の政略結婚を意識した行為である。

 

 現代(リアル)の21世紀でこそ『婚約指輪を送ることが必ずしも結婚へと繋がらない』という意識が庶民の間に広まったため、スヴェン(スバル)も似た感覚で指輪を送ったのだが……

 

 生憎と未だに昔ながらの価値観が根強く続いているこの世界(コードギアス)では『婚約を申し込んで指輪を送る』ということはつまり『求婚の証を送る』ということであり、その(指輪)を身に付け方によっては『保留』、もしくは『求婚への同意』を示す。

 

「それにさ、皆は彼の申し込みを何で受け入れたのさ? 彼が身分や立場を気にするタイプだからかい?」

 

「「「「「……」」」」」

 

「何か決めてはあるんだろ? それが例え何でもないように見返りも要求せずに他人を助ける姿に一目惚れとかでもさ、いいじゃんか。 人間は普通さ、『助けたから何か礼がもらえる』なんて損得を常に無意識にでも考えてから行動する生き物なんだ。 勿論、『そんなことは絶対にしない』って断言するやつはごまんといるけれど……チラッとぐらいは思うのが普通さ。」

 

「でも彼は違う。 それは、ここに居る皆は分かるだろう?」

 

「そうそう、ぶっちゃんの言うとおりだよ?」

 

「それにこうでもしないと『縁』はすぐに切れるもの。」

 

「「「「「うおあ?!」」」」」

 

 急に背後から気配もなく頭だけをひょっこりと出しながらいつもの口調でスラスラ喋るアーニャに殆んどの者がびっくりしてしまう。

 

「だな。 アーニャの言う通りさ。 それに少年は勇気を出して、これを送ったんだ。」

 

「……もしも……」

 

「「「「「うん?」」」」」

 

 今まで考え事をしながら黙り込んでいたヴィレッタが声を上げる。

 

「まぁその……ないとは思うし、あくまでも『もしも(if)』の話だが……彼が特定の誰かを好きになったら皆はどうする?」

 

 彼女はそう言いながら今この場にいる、世間的に地位が高いマリーベルやナナリー(皇女)たちを見る。

 

「問題ありませんよ?」

「ええ。 私も同じくらい愛してもらえるように努力するだけです。」

「『彼を独占したい』という気持ちは……まぁ、分からなくもないですが。」

 

「(強いなぁ、二人とも……)」

 

 マリーベルにナナリーたちの言葉にカレンはギュッとタバタッチを抱く腕に力を入れた。

 

「皆はさ?」

 

 今度はカレンが注目を浴びて一瞬戸惑うが、口を再度開ける。

 

「アイツの事、どう思う?」

 

「そうだな……変なくらいに色々と知っていることかな?」

「あとは便利なアイデアなど。」

「そうそう。」

「あとは単純に一緒に居て面白いところとか。」

「事情が色々異なっても、適度な距離感も取ってくれるし。」

「博識なところもあれば、変に鈍感なところとかも。」

「『世間知らず』じゃないけれどね。」

「それに全然(おご)ったり、偉そうにしないところがいいわ~。」

「価値観がなんというか……」

「それで真面目でひたむきだけれどどこかぶっきらぼう……」

「と思いきや、紳士で時々ケーキとかお菓子とか作ったり優しいし。」

「あれで意外と茶目っ気もあるのよねぇ……」

「……今考えたらさ、彼って実はどこかスゴイ血筋の家系とか?」

「もしかしたら王子様だったりして!」

 

 スヴェン(スバル)の血筋を知っている者たちは連続でドキッとしたそうな。

 

「んじゃ、少年を一言で表せば……『ズレている変人』、とか?」

「まぁ……『ズレている』わね。」

「『変人』と言えば、変人……かも?」

「確かに普通の方たちと比べれば『変』ですけれど、同時に『素敵な方』ですよ?」

 

 

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 ナナリーの言葉に誰もがこう思ったそうな。

『これって一目惚れどころじゃないな』と。

 

 同時に、『ま、その気持ちがわからないでもないけれど』とも。

 

 『何名かを除いて』、だが。

 

「(一つの国家に匹敵する人材と技術持ちにコネクション……ベアちゃんじゃないけれどお偉いさんたちが危惧する訳だ。)」

「(そしてその気になれば、帝国や超合集国連合を正面から対峙することも……)」

「「(果たして、少年/彼は何を目指すのだろうか……)」」

 

「(と、エニアグラム卿とマリーベルさんなら考えていても、おかしくはないですね……)」

「(そうだな……それと『どうやってスバル君の夢を伝えて、それを彼の本心だと信じさせるか』だな。)」

 

「それにしても、『しーつー』だっけ? スゴイ数のぬいぐるみだね?」

 

「ふふん、良いだろう?」

 

 

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「ああ、そうだね! 特にその眠たそうな表情が良い!」

 

「話が分かるな。」

 

「……ところで物は相談だが────」

 「────やらんぞ。

 

「い、一個ぐらいいいじゃないか!」

 

「断る。」

 

「ケチ!」

 

「ふ、褒め言葉として受け取ってやる。」

 

「ぐぬぬぬぬ……」

 

「「「「「(あのエニアグラム卿が手玉に取られている……)」」」」」

 

「それに欲しいのならあの若造に言え。 言えばいくらでも作ってくれるぞ? 最速でな。」

 

「……もしかして、ここに居る皆が持っているぬいぐるみも少年のお手製かい?」

 

「「「「「ええ/うん/ああ/はい!」」」」」

 

「そのクジラもかい?」

 

 ノネットの視線先に移ったのは、サンチアの抱いているクジラのぬいぐるみだった。

 

「わ、悪いか?」

 

 

【挿絵表示】

 

 

「いんや? でも帽子をかぶせたり、傘を持たせたりしたらもっと可愛くなると思わないかい?」

「あ、普段はサンチアってそういうアクセサリーをぬいぐるみに付けているよ?」

 「ダルク。 お前。 何故。

「え? 言っちゃダメだった?」

 

 

【挿絵表示】

 

 

 当たり前だ。

「へぶあばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばば?!」

 

 サンチアはすぐにダルクの頬を両手で左右に引っ張った。

 

「……良いのか、あれ?」

 

「ダルクちゃんですから、いつもの事ですわ♪」

 

 もちろん、ダルクならばギアス無しでも容易に引きはがせるだろう。

 

 だが『敢えてそうしない』ということは、ダルク本人もある程度『許容している』という証明でもある。

 

「これでもか?! これでもかぁぁぁぁぁぁ?!」

 

いひゃいいひゃいいひゃいいひゃいいひゃいいひゃいいひゃい?!」

 

「ちなみにこのぬいぐるみ、実は手のところに磁石があってな?」

 

 そんなやり取りを無視するかのようにC.C.はもう一体チーズ君を取り寄せて、手を合わさせると『パチン』と乾いた音と共にチーズ君たちの手が引っ付く。

 

「物を持たせるだけでなく、こうやって手を取り合うこともできるんだ。」

 

 C.C.はサンチアのクジラを手に取ってフリッパーを空いていたチーズ君の手に近づけると再び『パチン!』と乾いた音がして引っ付く。

 

「ほれ、お前たちもやってみろ。」

 

 C.C.に言われた通りに、自分が持っているスヴェン(スバル)製のぬいぐるみの手を各々が近づけさせると『パチン、パチン』と磁石が引っ付き合う音がひっきりなしに続く。

 

 そして次第にカレンが持っていて少々ほころびや取れない汚れが付いてある、古びたタバタッチだけが残っていた。

 

「いやぁ~、流石にこいつはどうかな~? これ、昔にアイツがお兄ちゃんと一緒に祭りの屋台で勝ち取った商品だからさ────」

「────全く、お前は肝心なところでヘタレだなカレン────」

「────ちょっとC.C. ────!」

 

 ────ぺち。

 

 カレンの制止を無視したC.C.はタバタッチをぬいぐるみたちに近づけさせると、タバタッチの手に入っていた磁石が反応する音が小さく鳴る。

 

「……え?」

 

 その音はあまりにも小さく、明らかに今までのぬいぐるみの手に埋め込まれたモノより効力は小さく、微小だった。

 

 まるで、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()かの様だった。

 

「「「「「……」」」」」

 

 最後に部屋の中で出来上がったのは、巨大なぬいぐるみの輪っかが出来上がっていた。

 

 それはまるで多種多様なぬいぐるみが見た目などに関係なく手を取り合うかの様な景色だった。

 

「「「「「……」」」」」

 

 誰もが黙り込み、それをただ見ていた。

 

「(あー、こりゃ参ったねぇ。)」

 

「……う。」

 

 そんな中でノネットは唖然とするレイラや複雑な顔をするマリーベルたちにどや顔をする毒島やマーヤを見ていたが、呻き声を挙げたカレンを横眼で見る。

 

「う……ひっく……」

 

 

【挿絵表示】

 

 

 その先には泣き声を押し殺していたカレンがいた。

 

「……」

 

 これを見たライカは、先日カレンに尋ねられた質問を思い浮かべた。

 

『本当に子供の頃を覚えていない?』という質問を。

 

 だがライカはそれを今言うべきかどうか一瞬迷ったが、結果的に『何も言わない』選択を決めた。




仲良しぬいぐるみたち~♪ 手を繋ぎ、大きなま~るい輪になれるよ~♪
町を創り、星の上で、皆で手を取り合おうよ~♪
でっかいお月様の兎も、ソラで手を振ってポツンと観ている~♪
嬉しいこと~♪ 悲しいことも~♪ 全部、大きな輪だね~♪♪
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