チュン、チュチュン。
パチ。
外から聞こえてくる鳥の鳴き声で目が覚める。
「……あ。」
ベッドスタンドに置いてある時計を見て、思わず身体を起き上がらせていつもの自室では無かった景色に、ようやく『ああ、そう言えば辺境伯になってシュタットフェルト家から蓬莱島に来てそのまま城────領主館に寝泊まったんだな』と意識が追いつく。
それでも既にメイクをし終わって、着替えているところだから『習慣』というのは恐ろしいな。
「着替えをお手伝いします。」
ドッキィィィィィィィィィィン!!!
突然真横から来たマーヤの声に、『心臓が喉奥から飛び出たのでは?』と錯覚してしまうほどに俺の心臓が一回り大きく脈を打つ。
「い、いや、いい。 大丈夫だ。」
「そうですか?」
「ああ。 今まで自分で支度していたから大丈夫だ。」
「そうですか。」
「「………………………………………………」」
いや、部屋から出てくれよマーヤちゃん。
そうやってマジマジと俺の着替えを────あ。
そう言えば見ていないよな?
「マーヤ。」
「なんでしょうか?」
「君は
「???? 『見た』というのは?」
ホッ、良かった────
「寝顔でしたら見ていませんよ? 我慢しました。」
────我慢も何も、異性の寝顔を許可なく見るのは男女関係なくダメだと思うのよ。
そう言えば……
「聞いていいか?」
「はい、何でしょうか?」
以前からホワイトプリムみたいなヘアバンドと『黒』を中心にした私服も普段から着ていたからあまりにも自然過ぎて、今まで見逃していた。
「……」
「???」
『何故メイド服?』と聞くかどうか一瞬迷った。
何せ、彼女に似合っている────否、敢えてこう言い直そう。
『超似合っている』と。
「いや、その服装……似合っているぞ、マーヤ。」
「……」
え。
なにその『我が命に一片の悔いなし』と主張するような
いや、『神様』と俺を呼ぶよりは幾分マシか。 祈りぐらい、目を瞑ってやるさ。 *1
「それとだな、俺宛の文句などは来ていないか?」
ちょっと気まずかったので、話題を変えることにした。
『逃げたw』? 何とでも言え。
「文句……ですか?」
「ああ。」
何せ蓬莱島は殆どレイラや桐原のじいさんやひろしクラウスに任せっきりだから、文句の一つや二つぐらいありそうだ。
特に花村ハメル辺りとかから。
「えっと……聞いていませんね。 苦言どころか、貴方を
「今のは
「へ?」
天然かよ。
コテンと頭を傾げてハテナマークを飛ばしてくるのは可愛いなチクショウめ。
このどストライクど真ん中で超高性能なモブ子め。
末恐ろしいわ。
あ、指輪をネックレスに通しているゾイキャッホイ♪
あれ?
何故か興奮する大型犬っぽくイマジナリー耳と尻尾をぶんぶんと揺らすマーヤが延々と付いて来て俺が困る絵図が脳内に浮かんだぞ?
「あ。 連絡と言えばラクシャータさんから来ていましたね、『例の物が出来た』と。」
お?!
おおおおおお?!
『例の物』って、ひょっとしてひょっとすると教師になってから頼んでいた
ちょうどいい、マーヤにも体験してもらうか♪
フヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ♡
「今度は何を作られたのですか? ラクシャータさんに聞いても、複雑な顔をされて『微妙なもの』としか答えてくれませんでしたし。」
「良いものだ。」
ええ、本当に。
フフフフフフフフフフフフフフフフフフフ♪
アレは病みつきになるぞぉ?
「もしや対象を選ぶウィルスや毒ガスとかかしら? いえ、いっそのこと病死に見せかけられる……」
なんか非常に物騒極まりない独り言が聞こえてきたような気がする。
無視が吉。 深く考えないようにしよう。
コン、コン。
『スバル、起きているか?』
ノックされたドア越しに、毒島の声が聞こえてくる来る。
部屋の中には着替え終わる寸前である俺とメイド姿のマーヤ。
『絶対に誤解がない様に』という念を込めて俺はマーヤを見ると、彼女は頷き躊躇なくドアを開け────ちょ、おおおいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい?!?!
ガチャ。
「ぬ、マーヤか? ……んな?!」
開いたドアの向こう側には、予想通りに毒島がいた。
手に持った二本の木剣とポニーテールに束ねた髪と運動服姿からして、多分朝の素振りへ誘うために来たのだろう。
まぁ……大抵の場合は『時間があるか?』から『一緒に素振り』から『
アレはドキドキしたな。
主に『いつ俺は毒島に敗れてギチョンギチョンにやられるのだろうか』という不安からだが。
せめてもの救いだったのはここ最近、忙しかったからめっきり彼女からの誘いが減ったことかな。
後は俺が怪我で動けなかったり、都合が上手くかみ合わなかったりしてずっとご無沙汰だったから今日は毒島自身が誘いに────え? 『現実逃避w』?
だからほっとけって。
「何かしら、冴子?」
「や、やったなマーヤ!」
『やったな』ってどういうこっちゃ、ぶっちゃん。
俺は何もやっていないぞ。
「あら、何の事かしら?♪」
マーヤも『してやったり』なニコニコした顔で煽らないの。
第二のC.C.なんて要らないからな?!
1人で十分すぎるからな?!
いや、それよりも毒島だ。
「すまないな、毒島。 少し用事ができた。」
「ぬ。 そうだったのか、それはすまなかったな。」
「いや、こちらの方こそわざわざ来てくれたのにすまないな。 俺もつい先ほど用事のことを知ったばかりだ。」
「相も変わらず多忙だな、君は。」
うん。
包容力のある君の微笑はやっぱ癒しやわぁ~。
「お詫び……と言えるほどでもないが、これからの用事に付き添ってくれるか?」
「ッ。 あ、ああ! では着替えてくる!」
少し曇った毒島に俺がそういうと、彼女の顔色がご機嫌と共に少し直る。
「「「「「いってらっしゃいませ。」」」」」
そして多くの元バベルタワーのバニーや従業員たちに見送られながら、俺たちは車に乗り込む。
無論、またも運転手がマーヤ。
そしてドライブ中にレイラもピックアップ。
「……聞いていいか?」
「なんだ、スバル?」
「何でしょうか、シュバールさん?」
「……いや、何でもない。」
べ、別にふわっと漂って来るフローラルな匂いや柔らかくも暖かい感触や吐息にドギマギしているんじゃないからね?!
これ見よがしにきらりと光る指輪も関係ないんだからね?!
「ふむ……なるほどな。 この為に幾度となく、自ら潜入していたわけか。 彼ら彼女らならばある程度の実力は保証されている上、気働きの利く者たちが自らの意思で付いてくるわけか。」
いや。 そうじゃないんだよ、ぶっちゃん。
単純にリアルバニーを拝みたかっただけなんよ、俺は。
「常に二手三手先を考えるのは、人間がやることですから。」
マーヤちゃんや、何シレっと俺を『非人間枠』に入れるの?
「ですから言いましたよね? 『型に囚われないおおらかな方』だと。」
うお?! レイラの笑顔が太〇拳並みに眩しい! 直視できない!
「ん?」
そしてこっちには冥〇たん────じゃなかった────ぶっちゃんの顔がドアップ!
誰だ、こんな凶器みたいなスタイリングを元から良かった毒島にしたのは?!
あ、俺でしたか。
でも何でレイラもこの車に?
そう思いながら右のレイラを見ると、彼女はにこりとした笑みを浮かべる。
「
ふぁ?!
本日二回目の『心臓が飛び出た』と思った俺だった。
どうやって知った。
マーヤを含めて、俺は誰にも言っていない。
現にマーヤもびっくりしたのか、一瞬だけびくりとしたせいで車が揺れた。
毒島も何か言いたそうな姿勢で、横で固まっている。
そもそも俺が『辺境伯』となったのは昨日だぞ?
しかも封蝋付きの手紙だぞ?
もしや……咲世子さんを雇ったとか?
「辺境伯になったという通達を俺が受けたのは昨日だ。 耳が早いな、レイラ。」
「いえ、今知りました。 おめでとうございますシュバールさん。」
え?
もしかして俺、カマをかけられた?
それともからかわれた?
あのレイラに?
あの! レイラに?!
「あ! 他意はありません。 ただそろそろブリタニア側から何かしら接触があるとすればハンセン家由来と思いまして。 そして男爵のままでは色々と不都合ですので、恐らくは
ああ……
あのレイラが……
あの世間知らずのレイラが!
こんな立派になって!
パパは嬉しいよ!
いや、パパじゃなくて婚約者なんだけれども言ってみたかったセリフの一つだから許して。
「えっと……」
あれ?
レイラがそっぽを向いたぞ?
俺、口に出していないよね?
「うーむ、やはり……微笑は破壊力が……」
ぶっちゃんも小声でブツブツと何を言っているの?
お兄さんがちゃんと聞こえるように言ってよ?
…………
………
……
…
そしてやってきました、蓬莱島のアマルガム────じゃなくて、蓬莱共和政府の共同技術部に!
「あ、シュバールさんにレイラに……マーヤさんに毒島さん?」
そして出迎えに来た白衣のアンナちゃん、こんにちは。
「ラクシャータはいるか?」
「え? うん、何だかワクワクしていたけれど……」
「アンナは使ったのか?」
「ま、まだ使っていないけれど……」
「そうか。 まだか。 フフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフ。」
「シュバールさんが悪い顔になっている?!」
「ちょっと怖い……」
「そうか? 雄々しくてそそらないか?」
「サエコのそれは……ちょっと分からなくもないかも。」
「神様ですから。」
何かアンナやヒルダや毒島やレイラやマーヤが何か言っている気がするが無視!
彼女たちも
ちなみに、何を作ったのかというと────
「────ああ、ようやく来たわねぇ~。 できているわよ、例の……ええっと、『うぉしゅれっと』?」
そう。
疑問形で聞いてきたラクシャータが言ってきたように、俺が頼んだのはウォシュレット便座だ!
実はこのコードギアスの世界、イギリス大帝国が潰れずにブリタニア帝国になったからか色々と俺の知っているモノとは違う歴史を辿っている。
そして技術的に凄く進んでいる上に和式より洋式がメインになっている反面、どういうわけかウォシュレットは無かった。
例えT〇T〇が無くても、別の会社が作っていそうなのにないんだ。
「「「「「『うぉしゅれっと』?」」」」」
周りにいる全員が俺とウォシュレット便座を取り付けた便器を見て、どう反応したらいいのか迷う表情になる。
「君が作るからには、良いものだとは思うのだが……」
あれ?
「あまり資源の無駄遣いは感心しないわよぉ?」
『資源の無駄』って。
「シュバールさんがここまで興奮するのは……」
レイラ……何で君まで俺を『痛い子』扱いするの?
「……えええと……スヴェン君だから、良いもの……かも?」
ニーナまで?!
クッ!
まだだ!
彼女たちも使ってみれば魔性の道具と認める筈だ!
…………
………
……
…
という訳で使わせてみました。
「「「「「特許登録と利益登録をしましょう! 今すぐに!」」」」」
危うしオラのポーカーフェイス誰かタスケテ。
ただいまぎらつく目でオラをドアップで見る鼻息の荒い美女たちが心底怖いでござる。
結果は御覧の通り、使った全員にものすごく気に入られた。
「そ、そうか。 ではそうしよう。 ああ、このリストに載っている者たちからのオーダーはとことん無視しろ。」
そう言いながら彼女たちに渡したのは、以前マリーベルに渡されたメモに『
「??? この人たちは?」
「(女性に対して)無礼な奴らのリストだ。」
後にウォシュレット便座が蓬莱島中に設置され、殺到するかのように注文が合衆国日本と合衆国中華を中心に超合衆国だけでなく、ブリタニア中にも浸透することとなる。
新たな流行の始まりだと気が付いたのは、この時ウォシュレット便座を使った者たち(スバル本人を除く)全員である。
なお、『流行』とは立場が高いほど重要視される。
貴族制度ではこのような新しい『
なお『流行に乗れない』、あるいは『流行となる物を手に入れられない家』は影響力────即ち『発言力』が『弱い』と見なされ、どれだけの大貴族でも『流行』に乗れなかった場合その家の力に疑問が持たれ、実績や緊急事態など一部例外を除いてその家の勢力は自然と衰えていく。
スヴェンがマリーベルに『徹底的に冷遇しよう』という宣言はつまり、『社会的処刑の宣告』である。
瞬時にこの処刑方法を思いつくってどんだけだよ、スヴェン。*2
…………
………
……
…
「じゃあまた明日ねミレイ先生~!」
同時刻、アッシュフォード学園でその日の担当する授業を終えたミレイは校門前で学生たちを見送っていた。
彼女も少し前までは学生だったからか、彼女の見送る目は懐かしさと羨ましさが混じっていた。
「大丈夫か、ミレイ?」
「あ、ヴィレッタ先生。」
「どうした?」
「え? ううん……『学生の頃は色々出来たなぁ~』って。」
「『学生の頃』って……もうその歳で達観しているのはどうかと思うぞ。」
「でもそういう人たちが間近にいるからさぁ……」
「あぁ、確かに。」
二人の頭上にルルーシュとスヴェンが同時に浮かび上がる。
「……それとだな、理事長が呼んでいるぞ。」
「え? お祖父ちゃんが?」
ミレイはルーベンからの呼び出し理由を考え、すぐにゲンナリとする。
「あー……うん、分かった。」
「その顔……もしや、実家絡みか?」
「多分ねぇ……(そしておそらく、ママからの連絡よねぇ……)」
気が重くなりながらも、ミレイは渋々と理事長室へと足を動かした。
部屋に入ると頭痛がするのか、アスピリンを飲むルーベンが待ち受けていた。
「やっほー、お祖父ちゃん♪」
「ミレイか……お前宛の電話が来ているぞ。」
「あー、やっぱり?」
「それと番号を変えたのなら一言ワシに言ってくれ。 全く繋がらないとなるとワシも困る。」
「婚約解消した後、どれだけの連絡が来たか愚痴ったでしょ?」
「それとこれは話が違う。」
ルーベンは携帯電話を差し出す。
「それとお前、今度は何をやらかした?」
「な~んにも?」
「本当だな?」
「ほ、本当だってば!」
「……ならいいが。」
「??????」
ミレイは困惑しながら携帯電話をルーベンから受け取り、そのまま耳に持ち上げる。
「もしもし────?」
『────でかしたわよミレイ!』
バタン!
キィィィィィィィィン。
あまりの音量にびっくりし、思わず慌てふためいたミレイは転びながら耳鳴りのする耳を手で抑える。
「あー、ワシだ────」
『────あ、お義父様からもいってくださいまし────!』
「────何をだ────?」
『────今度の相手を絶対に逃すなと!』
「ぶふ?!」
ミレイママの言葉にルーベンは今口に含もうとした紅茶を吹き出してしまう。
「……『今度の相手』?」
『あらミレイから聞いておりませんの? 私、夫人会で聞きましてよ? 最近、どなたかが贈った指輪をミレイが嵌めていることを。』
「なん……だと?」
『アスプルンド伯爵とは穏便な婚約解消になったけれど、それでも一度は婚約した身ですもの! 良縁が来るとは限らないけれど、少なくともミレイにその気があるということはそこそこ見どころのある相手! ならこのチャンスを逃さないように貴方からも言ってくださいな! あの無駄に豊満な胸で篭絡して! 既成事実を作って! あの丈夫なヒップで二、三人の跡取りを産むのよって!』
「お、落ち着け。 お前、飲んでいるのか?」
『これが飲まずにいられると思いますか!? やっと! やっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっと! あのミレイが! あのエンゲージメントブレイカーが! 結婚に! 前向きに! なっているのですよ?! 30年物を開けて飲んでいますわよ?!』
「30年物って……ワシの秘蔵のワインではないかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?!」
『オホホホホホホホホホホホホホホホホ!! 今日は祝いよー! レッツパーティィィィィィ!!!』
……
…
「姫様、その顔は?!」
同時刻、ダールトンとグラストンナイツ共にダモクレス事件後の処理が一段落したため、一足先に合衆国日本内に新しく出来ていたブリタニア領事館へと来たギルフォードが、合衆国日本の外交などに携わっていたため既にいたコーネリアを見て驚愕していた。
「……ん? ああ、ギルフォードか。」
頬杖をしながらどこか上の空だったコーネリアの顔についていた立派な紅葉マークを見て『驚愕するな』という方がおかしいが。
「『ギルフォードか』、ではないですよ! 姫様のお顔が────!」
「────いや、これは仕方が────」
「────誰ですか、この様な蛮行を行ったのは?! 私が直々に制裁を────!」
「────それ以上はやめろ、ギル。 これは自業自得だ。」
「ビンタが……『自業自得』、ですと?! どのような過程を辿ればそうなるのです?!」
「それは……」
「それは?」
「……」
コーネリアそこで考えた。
『果たしてギルフォードにユーフェミアのことを話していいのだろうか』と。
実はコーネリアとダールトン、この一年間ずっとブリタニアから離れて動いていたことは話していても、未だにユーフェミアが生きていることをギルフォードに伝えていない。
何せギルフォードは超が付くほど裏表がないクソ真面目な生真面目でたとえ己が不利になるとしても嘘が付けない体質である。
死んだことになっているユーフェミアが実は生きているとなると、ようやく落ち着きだしたブリタニア内が再び混乱に陥るどころか、その隙を超合集国連合に付き入れかねない。
もっとも、コーネリアの紅葉マークはそのユーフェミアによるものだと口が裂けてもコーネリアは言えないのだが。
……
…
事の発端は変装中であるスザクとユーフェミアが、蓬莱島に来ていたコーネリアの前であまりにも仲が良さそうだった様子から始まった。
『はい、あーん♪』
『そ、それは流石に恥ずかしいかな?』
『そぉ? それでも夢でしたから、あーん♡』
『仲がいいな二人とも。 付き合っているのに報告もなしとは、私は悲しいぞ?』
『あ、これは失礼しました。 実は────』
『────あ、ちょっと待てス────スーちゃん────』
『────スーちゃんだと────?』
『────一か月前から交際し始めました。 報告が遅れて申し訳ありま────』
『────よし少し面を貸せ────』
『────え────?』
『────付き合いたければ私を倒してからにしろ────!』
『────望むところです!』
『(やっぱりこうなっちゃうの?)』
ユーフェミアはこれから起きるであろう決闘を想像して気が一気に滅入った。
そして二人はチューニングを終えたグロースター・ソードマンと同等の性能を持つランスロット……は流石に色々な事情が絡んで用意するのが無理だったので、『データ収集を兼ねたテスト』という名目でBRS機能付きの陽炎タイプ(試作量産型)を使った。
無論、パイロットスーツも強化スーツであるので土俵はイーブン……と思いきや、コーネリアの策略で実弾が使用されたことで話はややこしくなった。
文字通り
対してスザクはそんな彼女を殺さずに無力化しなければいけなかった。
最初は戸惑うスザクに猛攻を続けていたコーネリアだが、逆にリアルの殺気が混じっていたことでスザクにルルーシュがかけたギアスが発動した上に彼の余りある身体能力がフルに活かされ、激戦の末に両者の
そして『決闘が終わった』と勝手に勘違いしていたスザクを、コーネリアは即座に肉弾戦を仕掛けて葬ろう排除しようと試みた。
『貴様はユフィの何様のつもりだ!』
『騎士であり、恋人のつもりです!』
『そんな貴様は既に一度失敗しているではないか?!』
心理戦でスザクを動揺させるその過程で『如何にお互いがユーフェミアの事を相手より知っている』という、なんとも拍子抜けしそうなマウントの取り合いにまで発展した。
『ユフィの好きなものは?!』
『マカロンなどの茶菓子を楽しむアフタヌーンティー!』
『嫌いなものは?!』
『生トマトのようなぐじゅぐじゅした物!』
『好む下着は?!』
『ローライズ!』
『むきゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ?!』
ちなみにこの二人のやり取りが続く間、当の本人であるユーフェミアは茹蛸状態のまま奇声を上げていたとここで追記する。
それも次のやり取りでユーフェミアはやめることとなるが。
『えええい、貴様調子に乗るなよ?! ユフィの
『────ならば僕は貴方を倒さなければいけません────!』
『────いい加減にして下さぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!!!!』
バチィン!!!
こうして決闘は横から思いっきり強化スーツの補助付き拳ビンタでスザクとコーネリアをノックアウトしたユーフェミアによって幕を閉じたのであった。
観客が蓬莱島の技術部といってもほんのわずかな一部だけであることが不幸中の幸いというべきだろうか?
……
…
「…………………………………………………………」
「姫様?」
「いくらお前でも、言え────」
────バァン!
ギルフォードの問いにコーネリアが返事を終える前にドアが乱暴に開けられる。
「へい、落ち込んだコーちゃんにピザの宅配一丁上がり!」
そしてドアの向こう側には満面の笑みでピザを持ったノネットがいた。
「……エニアグラム卿、それは何ですか?」
「ん? 見ての通りピザだけれど? ああ、少年はピッツアって呼んでいたっけ。」
「(少年?) どっちでも同じでは?」
「私もそう思っていたんだけれどねぇ……『ピザ』と『ピッツア』は別物だと言い張る子がいてね?」
「(はて……いや、それよりも今は姫様だ。) エニアグラム卿は今の姫様に至る経緯を知っているのですか?」
「だから言ったじゃんコーちゃん、『ギルにはちゃんと言わないとダメだ』って。」
「しかし……ギルだぞ?」
「姫様?」
「そこはまぁ……そうなんだけどさ?」
「え?」
「う~ん……でももうこの際だから、言って黙ってもらうしかないと思うよ? っと、手袋のままじゃ食べにくいな。」
ノネットはそう言うと手袋を外し、コーネリアの為に持ってきた筈のピザを頬張り始める。
「ま、要するにユーちゃんからきつ~いビンタを食らったのさ。」
「『ユーちゃん』?」
「まぁ、座りなよギルフォード卿。 ちょいとばかし、長~い話になるからね♪」
「それよりもエニアグラム卿……それは何ですか?」
「ん? 指輪。」
「?!」
「ほぉ! それはおめでとうございます!」
「……」
「はっはっは! ありがとう! この歳で求婚されるとは夢にも思っていなかったよ!」
「……」
「それにしても貴方が受け入れるとは、相手は誰でしょうか?」
「……」
「ん? 気になるかい、ギルフォード卿?」
「……」
「それは勿論。 (参考になるだろうか?)」
「だ、そうだけどコーちゃんはどうなのさ?」
「……」
ノネットとギルフォードがコーネリアを見ると、コーネリアは真剣な顔で滝のように汗を掻きながら頭を抱えていた。
「姫様?」
「ノネ先輩に……先を……越された……だと?」
「『ノネ先輩』?」
「ちょっと待てやコーちゃん……それってどう言う意味だい? ん? ( ꐦ◜ω◝ )」
急激に温度が下がっていく部屋の中でギルフォードは、無茶をしてまで一足先にここに来たことを心底後悔しそうになった。
余談:
ウォシュレットを使った各々の声:
ラクシャータ:………………………………………………うひゃひゃひゃひゃひゃ!
アンナ:ひゃうん?!
レイラ:……え?! あの! あの!? そこは────ひゃああああん?!
マーヤ:ッ?! んん……んんんんんんんぅぅぅぅぅ?!
ニーナ:え?! ちょっとそこ?! 待って待って待って────あ?! ……………………………………ん♡ ……………ふぁ♡♡♡
毒島:………………あ?! ………………………………………………………………ふぅ♡