小心者、コードギアスの世界を生き残る。   作:haru970

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*注*…………………………最後の方が少々エロいことになります。


第323話 努力の末のチート(エロ)発動 (挿絵)

「スヴェンは何か知っているか?」

 

 時はウォシュレットの登録と販売の翌日。

 場所はアッシュフォード学園。

 そして眼前には、なぜか校門前に血走った目をしたリヴァルがドアップでいた。

 

「『何か知っているか』とはどういう意味ですか、リヴァル?」

 

 いつものポーカーフェイスになりそうだったのを必死に我慢しながら、俺は『優男』の仮面を維持してそう聞き返す。

 

「指輪だよ! ゆ・び・わ!」

 

「はぁ……」

 

『指輪と言われてもどれのことか知らん』というツッコミが喉までせり上がったが、これもまたため息のような、吐息のような曖昧な生返事で誤魔化した。

 

「んだよスヴェン!」

 

「リヴァルは私に何を求めているのですか?」

 

「もっと過度な反応をするかと思った────は?! さては……指輪を送ったの、お前じゃないだろうな?」

 

 なんでこいつはこういうときにだけこうも勘が鋭いんだよ?!

 もっと『シェロ』みたいに鈍感になっとけよ!

 

 俺はチラリと時計塔を見て、時間稼ぎをすることにした。

 

「……」

 

「おい────」

「────指輪は確かに送りましたよ────?」

 「────なにィィィィィィィィィィィィィィィィィィ?!」

 

 そこで『変化、したぁぁぁぁぁ?!』って叫んでいたら完全に赤い弓兵の中の人なんだが。

 

「スススススススヴェンンンンンンンンンンン? チョットその話クワシクククククク?」

 

 今度はエラーを起こす寸前のロボットみたいで忙しいな。

 

「あれ? スヴェンにリヴァル? 何でこんなところで突っ立っているの?」

 

 そこでようやくちょうどいいタイミングで俺の背後からヴィレッタの声がする。

 

「あははははは。 何を『詳しく』、ですか?」

 

 あとは風が吹いてくれればいい。

 

 もしくはヴィレッタが手を上げれば、だな。

 

「しらばっくれるなよお前ぇぇぇぇぇぇ────え?!」

 

 怒る途中でリヴァルが固まったところで、俺も振り返ると予想通りにヴィレッタがいた。

 

「???」

 

 そして目の前で髪の毛を払うようにした瞬間にきらりと()()が光ったところを丁度リヴァルは目撃したのだろう。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「んな?! ま、ま、まさか! スヴェン、お前?!」

 

「はっはっは。」

 

 ギュ。

 

「ぴゃ────?!」

 

 肩に手を置いて引き寄せたからか、ヴィレッタの喉から変な音が出たが、今は勢いに任せる!

 

「────それ以上は『野暮』というものですよ。」

 

「う……ううう……」

 

 リヴァルが俯いてブルブル震えだした────え?

 

 もしかして泣いていらっしゃる?!

 

ぐぎぎぎぎぎ……」

 

 歯ぎしりもし出したがな。

 

「う……う゛ら゛や゛ま゛じい゛……おめでとう……ぐや゛じい゛……頑張れよ……」

 

 

【挿絵表示】

 

 

 面倒くさい奴だな、お前は!

 血涙を流すのか怒るのか泣くのか妬むのか応援するのかのどれか一つに決めろよ!

 

「ありがとう、リヴァル()。」

 

「………………………………………………くぁwせdrftgyふじこ。」

 

 それを最後にそのまま学園の奥へと進むと、背後からリヴァルの意味不明な奇声が聞こえてくる……気がした。

 

「「……」」

 

 ヴィレッタは俯いたままただ俺の隣を歩き、俺はなるべく学生がいない道を通るように誘導する。

 

『え。』

『ちょっとあれって……』

『うわぁ……』

 

 だが時間帯が登校時だからか、チラホラとだが周りから学生たちの声が聞こえてくる。

 

 う~ん……リヴァル相手に、ちょっとやってしまったか。

 

「……あの。」

 

「ん? なんだベルマ(ヴィレッタ)?」

 

「手を肩に置いたままでなくても良かったのでは?」

 

 あ。

 そう言えばそうだな。

 

 ヴィレッタも女性だ。 急に体に触れて嫌だろう。

 

「不躾ですまなかった────」

「────いえ、『不躾』では────」

「────この穴埋めはいつか────」

 「────穴埋め?!」

 

 ん?

 急に赤くなって、もじもじし出したぞ?

 って、そう言えば以前こういうヴィレッタを温泉でも見たことがあるな。

 

 もしかしてあの時に言っていた『自分に恥じていた』のも、ソッチ方面の妄想だったからか?

 

 俺が『穴埋め』なんて言ったから?

 

 ……………………桃色のSG(シークレットガーデン)的な?

 

 俺は周りを見て、誰もいないことを一応確認してから、普段の様子(ポーカーフェイス)に戻る。

 

「あー、さっきはすまなかったな。」

 

「いや、いい。 貴方────君も苦労するな。」

 

「まぁな。 だがそれよりも君だ。」

 

「私ですか?」

 

 もうコードギアスの原作も終わって、今では戦乱の世も終わった。

 

 だが、急に爵位も上がって『当主』であり『成人』しているとなると、自然と『体面』が大事になってくる。

 

 例え俺が■■なくてはならないとしても。

 

「いいのか? これではその、俺の求婚相手として噂されるぞ。」

 

「それは別にいいのです。」

 

 いいのか?!

 俺、本気にしちゃうぞ?!

 

「ただ、『私で良いのか』と────」

「────君だからいいんだ。」

 

「え?」

 

「いやか? 嫌ならば、単純な()()()として俺を利用してくれていい。」

 

「……しかし、それでは君に対して不公平なのではないか?」

 

()()()()()()。」

 

「……」

 

 う~ん……しんみりした顔はヴィレッタには似合わないな。

 

 いや。 前世では『悲劇の褐色美人枠ヒロイン』というあだ名も付いていたぐらいだから『似合う』のか、この場合?

 

 どちらにしても、女性(ヴィレッタ)にはそんな表情をしてほしくない。

 

「まぁ、いずれ君の弟や妹たちに挨拶に行かなければならないとは思っているが……いつがいい?」

 

 「はぇ?!」

 

「仮にも求婚した身だ。 義理を通さなければならない。 冬休みが良いか? いや、いっそのことクリスマス────」

「────ちょ、ちょっと待ってくれ、スヴェン。」

 

「どうした、ベルマ?」

 

「他の者たちに、この話は通しているのか?」

 

 え? 何で?

 

「そんな顔で見られても困る……」

 

 俺、ポーカーフェイスを維持しているよね?

 どうやって俺の考えていることが分かったの、ヴィレッタちゃん?

 もしかしてマーヤとかカレンが憑依しているの?

 

「ちょっと想像してみてくれ。 君が何も言わずに私とだけ一日を過ごしたことを、他の者たちが知った時を。」

 

 ……う~ん。

 カレンとのデートも特に誰も言ってきていないし、ちょっとイマイチ分からんな。

 

「リヴァルだけでも先ほどの反応だったんだ。 ましてやそれがシュタットフェルト家などにも知れ渡ってみろ、戦争だぞ。」

 

「・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 確かに。」

 

 そう言われるとカレンの時はデートでも『偽装だったからオーケー』で通った気がしてきた。

 

「……」

 

「じ、ジッと見て何ですか?」

 

「いや。 『やっぱりヴィレッタは気配り上手だな』と再確認しただけだ。」

 

「そ、そうか……それと話は変わるが、アンジュリーゼにここ最近何かあったか分かるか? このところ『心ここにあらず』という感じで、いつにも増して危なっかしい様子なんだ。」

 

「……」

 

 

【挿絵表示】

 

 

「はぁ……スヴェン、その様子だと心当たりがある────というか、君自身に訳があると見ていいだろうか?」

 

 ギクッ。

 

「…そんなことは────」

「────私の方はいいから、この時間帯で彼女が良くふらついている中庭を見てきたらどうだ?」

 

「あ、ああ。 そうだな。 それにしてもよく彼女が居る場所がわかるな?」

 

「これでも私は教師だぞ? 気にかけている生徒の把握ぐらい、どうってことはない。」

 

「そうか。 では言葉に甘えるとするか。」

 

 彼女がどうかしているのか確かに気にはなっていたから丁度いい。

 

 

 ………

 ……

 …

 

 そして中庭に来れば、ヴィレッタの言った通りにアンジュがいた。

 

「……」

 

 彼女はどこか上の空の様子で、ベンチに腰掛けながらただボーっと空を見上げていた。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「……はぁぁぁぁぁぁ~。」

 

 かと思いきや、時折ポケットから指輪を出してはそれを見て長~いため息を吐き出してはアンニュイな表情を浮かべて再び上を見上げる。

 

 うん。

 どこからどう考えても先日の影響っぽいな。

 

 あと告白のこともあるかもしれない。

 

「アンジュ────」

 「────うひゃあああああああああああああああああああああああああああ?!」

 

 キィィン

 

 うおおおおおおおお。

 急に声をかけたとはいえ、こんな肺活量で叫ぶなんて……

 み、耳……耳が……耳がキ~ンってする。

 マジ痛い……

 

「す、す、スススススススヴェン?! ど、どうしてここに?!」

 

「どうしても何も……俺は教師で、ここは学園だぞ?」

 

「いや、それはそうだけれどさ……島の方とかは大丈夫なの?」

 

「レイラや毒島がいるから大丈夫だ。」

 

「だよねー。」

 

 あれ?

 ニヒルな笑みになって目を逸らしたぞ?

 

「その上マーヤたちもいれば、ぜーんぜん全部が全部大丈夫だよねー。」

 

 アンジュ、卑屈になっていないか?

 

「安心感あるよねー、あの二人って。 勢いだけがある私とは違って。

 

「それは違うぞアンジュ。」

 

「え?」

 

「この際だからハッキリ言うが、経歴や能力がどうであれ……その……お前の勇気(告白)がなかったら多分……俺はまだ足踏み状態のまま、周りの奴らを困らせていたと思う。」

 

「……はい?」

 

 うわぁぁぁぁぁぁぁ

 やっぱり本心を口にするのって恥ずかしい!

 心臓が爆発する様な感じで、目の前もチカチカする!

 

 それでもアンジュはあの時、頑張ってくれたんだ!

 

「だから……その……ありがとう、アンジュ。 俺に勇気を与えてくれて、ありがとう。」

 

「…………………………」

 

 え?

 そこ、変顔をするところなの?

 

「と……」

 

『と』?

 

 「当然の事をしただけよ私は!」

 

 

【挿絵表示】

 

 

 え。

 

「『当然のことをした』って君は言うが、『当然』なのか?」

 

 「先手! 必勝! だから!」

 

 

【挿絵表示】

 

 

 そんなに必死になることは無いと思う。

 というかドアップはやめてくれ。

 

 あ~♪ 南の風に乗っていい匂いが漂うわ~♪

 あ~♪ 青い風を切ってあの(蓬莱)島からでも~♪

 風に乗って匂いが~♪

 

「そ、そうか。 確かに先手と言えば先手だ。」

 

 「でしょう?!」

 

 照れ隠しが下手くそすぎるぞ、アンジュ。

 

 だがそれが良い。*1

 

 

 


 

 

「「……」」

 

 同時刻、スヴェンたちの様子を彼の居る場所が見える向かい側の屋上から双眼鏡越しに見ていた者たちが居た。

 

「……君はどう思う?」

 

「そうね……それほど人間観察に長けたわけではないけれど取り敢えず、神様とあのチャラ男とアバ────コホン! とあの……人たちとの接触は予想通りに行ったわね。」

 

「……そうか。」

 

 屋上から見ていた毒島は隣のマーヤに何か言いたげだったが、諦めたのか再び双眼鏡を覗き、スヴェンが中庭から校内へと戻る姿を追っていた。

 

「ん?」

 

「冴子? どうかしたの?」

 

「いや……見間違いでなければ、あれは────」

 

 

 


 

 

 ドン

 

「────きゃ?!」

 

 い、今俺に起こったことを簡単に語るぜ?!

 

『何故か逆ギレ気味に照れ隠しをするアンジュと別れて職員室に向かう途中で誰かに見られていると思っていたら不意に曲がり角から人影が出てきてぶつかっては体格差で転ぶ小さな少女と出くわした。』

 

 そして小さな体とは裏腹に学園の高等部の制服を着ている少女のロングの黒髪が揺れて、緑色の目が驚きによって見開かれている。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「いたたたた……ちょっと、不注意ですわよ?!」

 

 少女の目は恨めしそうに俺を睨みながらそう文句を言って来る。

 

「確かにそうかもしれませんが、貴方も急に飛び出したことも要因では?」

 

「殿方でしたら、身を挺してでも女子が怪我をしないように立ち回るべきでは?!」

 

「そう仰られても……」

 

 あ。

 今のでピンときた。

 

 うん。 俺はこの光景を見たことあるような気がするというかこいつ神楽耶やんけ。

 何で学園に?!

 

 おっと、ポーカーフェイスじゃなくて『優男』にならなければ。

 

「貴方、学生ですか? その身なりから察するに違いますよね? 教師であれば、尚更悪いですわ!」

 

 なんで俺が説教されているの?

 

 普通にむかつくんだが。

 

「身なりと言えば、貴方もここに居て良いのでしょうか?」

 

「え?」

 

「合衆国日本……いえ、超合集国最高議会の議長であればそのように一方的に罵倒するのはどうかと存じ上げますが?」

 

「う?!」

 

「特に戦乱の世でなくなった今、余裕を持った誰がどこで何を見ているのか分かりませんからね。」

 

「ぐぬぬぬぬぬぬ……名乗りなさい!」

 

「『学生』という体を通すならば、まずは自分から名乗るものでは無いのでは? 」

 

 フハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!

 どうだ参ったか、俺の正論に歯ぎしりを立てて悔しがる神楽耶め!

 ハーハハハハハハハハハハハハハハハ!!!

 

「……皇神楽耶です。」

 

 いや本名出したらあかんやろが。

 もうちょっとひねりとか入れへんかい?!

 

 ………………………………ティ〇ァとか。

 

「そうですか。 私はスヴェン・ハンセンで、この学園で教師を務めています……手を貸しましょうか?」

 

「結構です!」

 

 神楽耶に手を差し出すが拒否され、彼女はお尻と腰を擦りながら一人で立ち上がってそのまま廊下を走り去る。

 

「……」

 

 これ、フラグとか立っていないよね?

 

 

 


 

 

「「……」」

 

 神楽耶がスヴェンを横切る際、彼に向かってあっかんべーするところまで一部始終を双眼鏡で見ていた毒島とマーヤの間に、沈黙だけが一分ほど流れた。

 

「……」

 

「ねぇ冴子?」

 

「なんだマーヤ?」

 

「神楽耶様も加入するのかしら?」

 

「そ、それは……………………無い………………………………と思う。 神楽耶様には昔から気になる男性もいると聞く。 それに()()にも惚れ込んでいる。」

 

「『無いと思う』ということは、可能性は()()ではないということよね?」

 

「……………………………………あのやり取りを見て、ほぼ()()に近いと思うがな。」

 

「でも()()じゃないわよね?」

 

「・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ()()ではないな。」

 

 感情の籠っていない声で毒島は答えながら、ポケットから携帯を出して何かを確認する神楽耶を見続けた。

 

 ……

 …

 

「ハークシュン! ハークシュン! ハークシュン!」

 

「ちょっとルル大丈夫? 風邪?」

 

 同時刻、クラブハウス内では何度も盛大なクシャミをするルルーシュとそんな彼を気遣いながらハンカチを貸すシャーリーがいた。

 

「ズズ……いや、鼻が急にムズムズしただけだ。」

 

「誰かルルの噂をしていたり♪」

 

「は。 噂だけならばいいがな。」

 

「え? いいの?」

 

「噂が百の数に届いても、所詮は『噂』だからな。」

 

「うーん……じゃあ何がいけない?」

 

「そうだな……厄介なのは、信憑性が無くても発言力ある者が『こうだ』と断言してしまえばどれだけ馬鹿げていても、『事実』と周りの者たちに捉えられてしまうことだな。」

 

「おー。 パチパチパチパチパチ~。 流石ルル、説得力がある。」

 

「兄さんだからね、当たり前だよ。」

 

「ところでロロ、ちゃんとアイツがここに辿りつけないように偽装工作はしているんだろうな?」

 

「ヴィレッタにも協力してもらっているから、よほどの強運と偶然が重ならない限り難しいと思うよ?」

 

「……」

 

「どうしたの、兄さん?」

 

「いや……『強運と偶然が重ならない限り』というセリフを聞いたら、何故か冷や汗が……」

 

 

 

 


 

 

 

「はぁぁぁぁぁぁぁ……」

 

 同日。 その日の授業が終わり、ようやく一日が終われると思った頃にまたもやため息を出す女性が俺の近くで出てきた。

 

 チラ。

 

 しかも俺をチラ見しながら。

 

「どうしたんですか、ミレイ?」

 

「へ? な、何でもないわよ?」

 

「チラチラと私を見て『何でもない』は流石に無理があると思いますが?」

 

「う……そ、そんなに分かりやすかった?」

 

 「ああ。」

 

「そこまで力強く言わなくても……」

 

 おっと、いつの間にかポーカーフェイスになっていた。

 

『優男』、と。

 

「何か悩み事ですか?」

 

「え? う~ん……『悩みごと』と言えば悩みごとねぇ……」

 

「話ぐらいなら聞きますよ?」

 

「へ?! い、いや~……その……相談したいけれど、相談しにくいというか……」

 

 モジモジ。

 

 ミレイがそこまで躊躇する相談か……あ。

 

「ああ、なるほど。 確かにそれは相談しにくいですね。」

 

「へ?! そこまで分かりやすいかしら、私?!」

 

「ああ。」

 

「えぇぇぇぇぇぇぇぇ……」

 

()()だと慢性的に肩こりに悩むだろう?」

 

「そうそう。 これだけのバストだと肩こりが────って、違うから。

 

「違うのか?」

 

「あ。 いや。 その、違わないというか……ゴニョニョ……」

 

 意外だな、年毎に大きくなっていく胸の事で愚痴っているカレンと同じような悩み方だったんだが……

 

「まぁ、でも……確かに座り仕事が増えて酷くなっているのはなっているわねぇ……あ! そう言えばさ! スヴェンってさ、マッサージとかできる?」

 

「ええ、できますよ?」

 

「そうよね、いくらスヴェンでもできないこともあるわよね────ってできるの!?」

 

「カレンの(『病弱設定』の信憑性を高めるため、)世話係も兼任していましたから一通りの事はできます。」

 

「うわ~……スーパーブリタニアンじゃん。」

 

「流石に空は飛べませんけれどね。 どうします? 受けます、マッサージ?」

 

「是非! あ、でも変なところを触る前には一言ぐらい言ってほしいかな~?」

 

 「触りません。」

 

「ちぇ、ケチ。」

 

「という訳で脱いでください、ミレイさん。」

 

 はいぃぃぃぃぃ?! ちょっと早すぎない?!」

 

 やべ、カレンとのやり取りをそのまんま実演していた。

 

「ああ、言葉足らずでした。 体操服に着替えてください。 ブラジャー無しで。」

 

 「え?!」

 

 俺の口下手ぁぁぁぁ……

 

「その……したままでも良いですが、ミレイさんぐらいの大きさだとブラジャーの形が崩れたり、肩こりの緩和が上手くいき届かない可能性があるので……」

 

 

 


 

 

 

 あれからスヴェンが先に保健室へ来てから15分後、ドアが開かれる。

 

 ガチャ。

 

「き、着替えてきた……わよ……」

 

 モジモジ。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 ドアの向こう側から、体操服に(というよりもノーブラ状態に)恥じらうミレイがいた。

 

「……」

 

「あまり……見ないで……」

 

「(エッッッッロ。 いやいやいやいやいやいや。 無心だ、無心。 これはあくまでも肩こりを緩和するマッサージなんだから。)」

 

 そうスヴェンは内心で決めながら()()()()()()()は、袖をまくり上げる。

 

「では()()()、ベッドにうつ伏せになれ。」

 

「う、うん……うん?」

 

 ミレイは急に自分を呼び捨てにする真剣なスヴェンに首をかしげながらも、横になる。

 

 ギシ。

 

 ベッドが軋む音を合図に、スヴェンはミレイの背中にタオルをかける。

 

「では、マッサージを開始します。」

 

「あ、ハイ。 よろしくお願い────ってちょっと待って?! 何でこんなに本格的なの、スヴェン?!

 

「急にどうした、ミレイ?」

 

「急にどうしたはスヴェンよ!」

 

「何がだ?」

 

「な、『何がだ』って……」

 

「どこもおかしくはないだろう?」

 

「いや、その……肩こりならさ、こう……後ろに立って両手に力を入れるとかで良いんじゃない?!」

 

「それはほぼ効力がない。」

 

「え?!」

 

「『肩こり』と人は言うが、厳密には肩や首や背中に目の疲れなどの不調が『肩こり』と症状として出てきているだけだ。 だからやるなら徹底的にやる。」

 

「て、『徹底的にやる』って……スゴイ気迫ね、スヴェン?」

 

「当たり前だ。 では、始めるが……良いか?」

 

「じゃ、じゃあよろしくね? (こんなに真剣なスヴェン、見たことが無い……何時もの紳士なスヴェンも良いけれど、これはこれで……)」

 

 戸惑うミレイの顔や様子を見ないように、スヴェンは手先に力を入れてミレイの腰を押し始める。

 

「う……わ……」

 

「痛むか、ミレイ?」

 

「ううん……凄く……いい……」

 

「(よし。 カレンにするマッサージより弱めにしたこの力加減でいいことが分かった。 あとは()()()()()()()別のことを考えながらマッサージを続けるか。 でないと俺が色々と大変になっちまう。)」

 

 

 *注*ここからはほぼセリフと擬音のみとなります。 

 

 グッ……グッ……

 

「ふぁ……(スゴイ、いい……)」

「(これからどうしようか。 ウォシュレットでの商売がここまで大ヒットするとは思わなかったから蓬莱島だけの生産力では追いつけない。 お、硬いところ(凝り)発見。)」

 

 グッ! グッ!

 

「ひぐぅ?!」

 

「痛かったかミレイ? (生産力なら合衆国中華がいいだろうな。 人口も多いし。)」

 

「い、痛くはない……ないけれ────」

「────では続ける────」

 グッ!

「────どぉぉぉぉぉ?! ん……んん! ん! (ま、不味いわこれ。)」

 

 グッ! グッ! グッ!

 

「あ……ふぁ……ああ……ふぅ……ん! んんん~! (気持ち良すぎて、変な声が出ちゃうぅぅぅぅぅ!)」

 

「ミレイ、息を止めるな。 凝りが悪化する。 (でも合衆国中華には中華テリオン(シンクー)がいるからなぁ~……)」

 

「ふぁ?! ああ……あああ!!! (そ、そんな?! こんな状況で『息を止めるな』って……スヴェンって実はドS?!)」

 

「次は首回りだ。 (考えたら、天子ちゃんに会う口実が出来たと思えばプラマイゼロかな?)」

 

 ズッ! ズッ! ズッ!

 

「へあ?! あ、ああああ~……こ、これダメェェェェ……体が溶けるぅぅぅぅ……」

 

「む。 やはり凝りが酷いな。 もう少し力を入れるぞ。 (天子ちゃんと中華テリオン、元気かな?)」

 

「へ?! あん?! す、すご────ふぅぅぅん?!」

 

肩甲骨(けんこうこつ)を動かす。 (原作のR2で中華テリオンは『死ぬ死ぬ』って言っていたし。)」

 

「け、肩甲骨を動かすって、どういう────んはぁぁぁぁ?! こ、これもスゴイ♡ スヴェンの指が(肩甲骨(けんこうこつ)の)間に入ってぇぇぇぇ……はうん!♡」

 

「次、棘下筋(きょくかきん)。 (今ならラクシャータたちもいるし、どうにかして延命治療とかできないかな? そうすれば俺への警戒も減るし、天子ちゃんたちも喜ぶだろう。)」

 

「え?! ちょっと待ってそれどこ────ああ! あああん?! だ、ダメ! ダメダメダメダメダメェェェェ!! そ、そんなところ触らないでぇぇぇ……あん?!♡」

 

「あともう少しで終わる、我慢しろ。 (何より合衆国中華へ恩も売れる。)」

 

「そ、そこコリコリしない()ぇぇぇぇ……♡」

 

「次はボキボキと音が出るかもしれないが気にするな。 (これから人だけでなく、国に恩を売っておけば、レイラたちも助かるだろ。)」

 

「え?! 何何何何何何?! 怖い怖い怖い怖い怖い怖い私怖い! やだやだやだやだやだやだやだ────あ、ダメ! そ、そんな! あ! あ! あ────!」

 

 ボキボキボキボキボキボキボキボキ!!!

 

 「────んはぁぁぁぁ?!♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡」

 

 ドサ。

 

「ハァ、ハァ、ハァ……」

 

「(うん! 次の行動は決まったな! 合衆国中華に協力を願おう! っと、身体が止まったからマッサージも終わったか。) ミレイ()()、これで終わりました。」

 

「……ハァ……ハァ……ハァ……」

 

「ミレイさん? (え? なんでうつ伏せになって深呼吸しているの? ……すごくエロイ妄想が……)」

 

「……す、スヴェンって……テクニシャンね♪♡♡♡」

 

 

【挿絵表示】

 

 

「(なんだかすっごいエロいミレイがいるんだが。 え?俺、変なところは……うん、触っていない筈だ。 カレンと同じようにしたはずだし、ちゃんと体格の違いも思慮して行った。)」

 

 なお余談だが、スヴェンはこの時根本的な見落としをしていた。

 

 確かにマッサージは完ぺきだった。

 完ぺきだったが、色々レジスタンスや黒の騎士団活動をしてきたカレンは筋肉が付いている。

 比べてミレイは体格維持のための運動しかしていない。

 

 つまり同じマッサージやどれだけ力加減をしても、人がそれぞれ違う生活を送っているように、『ほぐされる度合いも違う』ということにスヴェンがこの時気づいていれば、後の波乱を防げたのかもしれないとここで追記する。

*1
なーな! なーな! なーな!₍₍ (ง* ॑꒳ ॑*)ว ⁾⁾




余談:
ミレイの肩こりはかつてない程に解消しています。

余談その2:
スヴェンのマッサージがまたさく裂します。

*注2*神楽耶とのフラグはフラグでも、『恋愛』のフラグではありません。 ご了承くださいますようお願い申し上げます。

8/26/2025 20:30
冒頭で『ヴィレッタ』が『カレン』になっていたせいで、ご迷惑をおかけして申し訳ございません。 修正しました。
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