小心者、コードギアスの世界を生き残る。   作:haru970

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リアルで心身ともにダウンしていました。
遅くなりましたが、投稿いたします。
本当に申し訳ないです……
 


第324話 努力の末のチート……と、向こう側 (挿絵)

「おい、さっきから上の空だったが大丈夫かスヴェン?」

 

「……ヴィレッタ先生?」

 

 横から来たヴィレッタの声に俺はハッとして、自分が向き合っていた書類を見てすぐにここがアッシュフォード学園だということも、日付も先日ミレイの肩こりを解消した後だということも、時間も時計を見なくとも窓から見える景色で午後だと分かり、自分たちが居る職員室内から気配がしないことからここに居るのは俺とヴィレッタだけだとしても、一応『公の場』だからすぐに『優男』の仮面をつけて愛想の良い笑みで取り繕う。

 

 

「ああ、大丈夫ですよ。 少々周りの環境が目まぐるしく変わったのでただ考え事をしていただけですよ。」

 

「そうか。 それとだな……君に()()だ。」

 

「……私を指名して、でしょうか?」

 

「そうだ。」

 

 なるほど。

 ちなみにこの『客人』とはヴィレッタなりに気を使った隠語であり、『指名』されたこの場合は『あまりことを大きくさせたくない相手』を意味する。

 

 誰だろう?

 

 そう思いながらわざわざ今の俺に会う人物たちを思い浮かべながらヴィレッタに案内されるように彼女の後を歩いて10分、アッシュフォード学園の高等部から中等部へと向かっていることからこれから会う相手をかなり絞り込めた。

 

 というか一気に減ったよ。

 

 ガチャ。

 

「あ、忙しいところすみませんスヴェンさん。」

「ん。」

 

 そして中にいたのは予想通りの申し訳なさそうな顔をしたナナリーと、少々意外だが無表情のアーニャがいた。

 

 ニコ。

 

 取り敢えず、ここは『優男』のままで対応するか。

 

「いえいえ、ナナリー皇女殿下────」

 「────キッモ────」

「────ウッ。」

 

 初っ端からまさかのアーニャから容赦のない言葉が!

 

 いや、確かに『優男』って『キザ』な側面もあるからあながち間違ってはいないのだが、そんなドストレートに言わなくても……

 

「ア、アーニャちゃん? それは、ちょっと……」

 

 せめて否定してくれないかな?

 

 「そこがいいのではないのだろうか……」

 

 ごめんヴィレッタちゃん、今なんて?

 

「ナナリーはあんな薄っぺらい感じでいいの?」

 

 薄ぺっらいって言うなよ?!

 

「えっと……確かに薄っぺらいですけれど、スヴェンさんであることに変わりはないと思いますけど?」

 

 ナナリー!

 マジ!

 天使!

 

 でもそうか、『優男』はお呼びじゃなかったのか。

 

 スン。

 

「気持ちを害したのなら謝ろう。」

 

「うむ。 精進したまえ。」

 

 だから何で君が偉そうにするの、アーニャちゃんや?

 

「二人ともそこまでにしたらどうだ?ナナリー皇女殿下が困っているぞ。」

 

「「あ。」」

 

「……」

 

 あれ? 今一瞬だけナナリーが、ルルーシュが原作で見せた面白くなさそうな目をしていたような……

 

 気のせいかな?

 

「実はですねスヴェンさん? 総督の任も合衆国日本にキリハラさんとカグヤ様への跡継ぎも終わりましたので、実は次は何をしようかと考えていたんです。」

 

「なるほど。」

 

 確かに?

 

「それでですね? 私、クロヴィスお兄様の付き添いとして行き来していたのです。」

 

「ほぉ。」

 

 ダモクレス事件後、クロヴィスが色々な所へ行っていることは報告で聞いていたけれど、ナナリーも一緒だったのは知らなかったな。

 

 けど考えてみればゼロレクイエムが行われた後でも世界は在り続けるのだから、当然の事と言えば当然か。

 

「そこで蓬莱島にも行きました♪」

 

 ウ゛。

 

 な、何だかニコニコとするナナリーが鬼の首を取ったような表情に見える気がするのは俺だけだろうか?

 

「………………………………」

 

 話を続けないということは、『俺待ち』でいいのだろうか?

 

「そ、それでどうだった────?」

 「────すごいです!」

 

 食い気味キラキラ顔ンンンンンぎゃわイィィィィィィィィ!!!!

 

「どれだけ様々な方たちがまっさらな大地を前に手を取り合って、初期状態の島を載せた写真や苦難などを展示された博物館に行って、今のような島に変わったのかを知って感動しました! 特にEUからの方たち────!」

 

 そんなキラキラした期待と尊敬が混ざった曇りなき紫色の瞳で俺を見ないで!

 俺は何もしていないから!

 全部桐原のじっちゃんとぶっちゃんとレイラだから!

 

「────それにゼロが行方不明になったあとの黒の騎士団────!」

 

 あとついでにブラックリベリオン後に避難してきた黒の騎士団と神楽耶な?

 

「────そして何よりもいいと感じたのが、どんな方でもいろんなものを学べて、自分が好きなように日々を笑顔いっぱいで歩んでいる所です!」

 

 俺なんて本当に何もしていないから!

 だからそんなに褒めないでくれ!

 罪悪感が増すから!

 現在進行中でレイラたちに任せっきりだし!

 

 キリキリキリキリキリキリ。

 

 ううううう……久しぶりに胃が悲鳴を上げているよぉぉぉぉ。

 

 ナナリーが何か言い続けているがとにかくポーカーフェイスだ!

 ポーカーフェイスをキープするのだ!

 

「その反面、戦が終わったばかりで気が緩んで贅沢の限りを尽くす者たちが居ると同時に仕事が無く、大人に限らず子供たちでさえ今日の食事もままならない人たちが大勢いることも……」

 

 クッ!

 ポーカーフェイス、ポーカーフェイスポーカーフェイス!

 

「無知は恐ろしいけれど、敢えて知ろうともしないことはより酷い……」

 

「……しかし少なくともナナリーは違う。」

 

「え?」

 

「合衆国日本になる前、ナナリーが総督として治安や生活基準向上を目指してブリタニア人や名誉ブリタニア人だけでなく、この地に住む皆の苦労を知ろうとして行っていたのは明らかだ。 俺の場合は……そうだな、運が良かった。」

 

「……そんなスヴェンさんに、頼みがあるんです。」

 

 おおおっと。

 キリっとしたナナリー出現。

 

「なんだ、ナナリー?」

 

 

 


 

 

 

 「胸騒ぎがする。」

 

「ちょっと、急にどうしたのルル? あ、もしかして『黒髪の人』絡み?」

 

 中庭を歩きながら隣にいたシャーリーと雑談をしつつもソワソワしていたルルーシュが急に立ち止まり、冷や汗をかいていた彼にそうシャーリーが問う。

 

 ここで出てきた『黒髪の人』とは無論神楽耶のことを指しており、先日『スヴェンと彼女が通路でぶつかった』という報告を受けてからどういう訳かバッタリとルルーシュと神楽耶が会いそうなニアミス(すれ違い)が多発して、その都度ルルーシュが緊張しているのを見たシャーリーは彼女を名で呼ぶことを止めた。

 

 最早、キッチンなどで出現する『アレ』な感じの『名を呼べば現れる』扱いである。

 

 だがルルーシュは首を横に振って否定する。

 

「いや、それもあるが違う。」

 

「じゃあナナちゃんだね────」

 「────何故わかった。」

 

「う~ん……ルルだから?」

 

「答えになっていない。」

 

「だってロロだったらすぐに電話して、電話が繋がらなかったら一緒にいるリヴァルに電話するだろうし。」

 

「(シャーリーなりに考えているということか────)」

「────あ! 今度は失礼なことを考えているでしょ?!」

 

「そんなことはない。 それよりも学園に忘れ物をしたから俺は戻る────」

「────あ、ちょっとルル!」

 

 ルルーシュはシャーリーの制止する声を無視し、そのままざわつく胸から逃げるかのように校内へと駆け込む。

 

「(この感じ、昔を思い出すな。)」

 

 今度は息切れから意識を逸らすためにルルーシュが思い浮かべたのはまだ極東の島国が『日本』と呼ばれていた幼少の頃、妹のナナリーと共に『客人(人質)』として送られて間もない初夏、忽然とナナリーが姿を消した日があった。

 

 ルルーシュは日本へ来た当初から『護衛』という名の『監視』が付いていることを知っていたため、あの日もなるべく隙を見せないために外面は『冷静』を取り繕うことと行方が知らないナナリーを探すために必死だったことしか覚えていなく、詳しい話はスザクとナナリーから聞いた話のみで結果的に、ナナリーを見つけたのはスザクだった。

 

 というよりも、『秘密基地一号』だった土蔵をルルーシュたちに取られた(と思い込んでいた)スザクは古い元浅井戸を見つけて、それを『秘密基地二号』にする為拡張(魔改造)していたところに外の空気を吸いに一人で散策していたナナリーが車いすごと穴へと落ち、その拍子に地上へと戻れる唯一の手段だった梯子も壊れた。

 

 そして当時のルルーシュが信じられないほどの行動をスザクは取った。

 

 それも、『近くに溜まった地下水をわざと掘り当てて上がる水を利用して自力でナナリーと自分を元浅井戸から脱出する』というものだった。

 

 8年経った今でも呆れるか笑うの二択しかない、『ザ・脳筋』の本領発揮をしたスザクが熱で寝込む代償にルルーシュはスザクに恩を感じ、その時スザクは初めてルルーシュたちの境遇を知ることとなった。

 

 そんな過去の事をなぜ今になって思い出すのかルルーシュはがむしゃらに(本能の赴くまま)走って到達した教室のドアを開けて中を見た瞬間、どうでもよくなった。

 

 ガチャ。

 

「「あっ。」」

「………………………………」

 

『誰もいない教室内でナナリーがスヴェンに寄りかかっていた』という光景(悪夢)が、彼の前に広がっていた。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「………………………………」

 

 ルルーシュは何も言わずにただ感情の抜けた表情のまま固まっていた。

 

「る、ルルーシュ────?」

「お、お兄様────?」

 「────立った! ナナ────!」

「────わあああああああああ!! ルルダメェェェェ────!」

「────グェ?!」

 

 感動なのか怒りなのかよくわからない表情をしたルルーシュの叫びを後から彼を追っていたシャーリーが彼の口を物理的に塞いで遮る。

 

「「しゃ、シャーリー/さんまで────」」

「────もががががががががが────?!」

「────私だってナナちゃんのことをあまり外で口に出しちゃダメってわかっているのにルルは見境なくなるよね?! ごめんねスヴェンにナナちゃん────?」

「────ごががががががが────」

「────ここ最近、変な黒髪の女の子がうろつくようになってからルルってば気が立っちゃって────」

「────う……ぐ……ご────」

「────あー、シャーリー……さん?」

 

「何、スヴェン?」

 

「そろそろルルーシュの口から手を退けてくれませんか? 彼が青くなっています。」

 

「あ。」

 

 

 


 

 

「なるほど、そういうことか。」

 

 全力疾走してきたこともあってか、シャーリーに口を塞がれて窒息しそうになっていたルルーシュの意識を取り戻させて、簡単になぜあのような状況になっていたかを説明すると、ルルーシュは(一応)納得したかのように声を出す。

 

 ちなみにナナリーはいつもの車いすに座っている。

 そして彼女に頼まれたのは『リハビリ』だった。

 

 より厳密に言えば『歩く』ことへのリハビリだ。

 

「しかしどうしてスヴェンに頼んだのだ、ナナリー?」

 

 あ、それは俺も知りたい。

 真剣なナナリーに対して『なんで俺?』なんて聞けなかったからな。

 

「えっと、病弱だったカレンさんの従者兼世話係でしたので……」

 

「しかし、彼でなくともその手の者に頼めば済むのでは?」

 

 だよな。

 

 一応ナナリーの言うとおり、『病人の世話』の一環としてマッサージやリハビリ系のことは一通りできるが、所詮は素人に毛が生えた程度だ。

 

 カレンの『病弱』()『設定』だったしな。

 

「だって……他の方は怖いですから……」

 

 あー、うん。

 

 リハビリの人たちは『仕事』としてやっているから容赦がなく、威圧感があって怖いよね。

『その日のノルマまで患者が到達しないと評価に響くから』って、患者を恫喝する奴らもいると前世で聞いた(と思う)し。

 

 大体はS気が強い人たちがその職に就くし。*1

 

「……………………………………………………なるほど。」

 

 異様に長い沈黙の末にルルーシュは短く上記の一言を口にしては俺に近づき、肩に手を置いた。

 

「事情は分かった。 だが二人っきりになるのは感心しないな。」

 

 もしかしなくてもルルーシュ様、怒っている?

 

「外にアーニャかヴィレッタかライカがいる筈だが────?」

 「────誰もいなかったぞ?」

 

 うそーん。

 二人だけだと不安だから三人に頼んだのに何で三人ともいなくなっているの?

 

 これはナナリーセコムシスコンルルーシュも怒るわー。

 

「これからは俺を呼べ。 必ずな。 分かっているよな、スヴェン?

 

 

【挿絵表示】

 

 

 目で『まだ早い』って訴えてきているような……何だろう。

 シャルル並みの(プレッシャー)をルルーシュから感じる……いや、この気だと完全体セ〇か?

 

 ……ルルーシュは〇ルジュニアでした?

 

「つまり彼女のリハビリにお前を呼べと?」

「話が早くて助か────」

 「────だが断る。」

 

「断る……だと?!」

 

 『なんで“だが”が付くんだろう? ナナちゃんは分かる?』

 『えっと……何か深い理由があるのでは?』

 

 ごめん外野、ちょっと露〇先生みたいに言いたかっただけなの。

 深い意味なんて無いの。

 

「ルルーシュ、なぜ彼女がお前に黙ってリハビリを始めたと思う? 考えてみろ。」

 

 という訳で、『秘儀:マントマリ〇返し』!

 

「なぜ?」

 

 ルルーシュが考え込むところを見て、俺は内心で『勝った』とほくそ笑む。

 深読みし過ぎる相手ほど、この手は効くからな。

 

 ぶっちゃけルルーシュに『ナナリーが恥ずかしいから~』とか、『兄離れしたいから~』とかの類を他人が言っても聞く耳を持たないからな。

 

 対処はシンプルでいい。

 

「あ! もしかしてナナちゃん、ルルをびっくりさせたかったの?」

 

 シャーリーの『中らずと雖も遠からず』の言葉に俺とナナリーがドキリとする。

 

「そう……なのか、ナナリー?」

 

「えっと……はい。」

 

 恥じらうかのように視線を泳がせてからナナリーが頷き、俺はふと思った疑問で追い打ちをかける。

 

「そもそもだ、ルルーシュ。 何故ここに来た?」

 

「う。」

 

「それが聞いてよ、スヴェン! ルルったら、急に『嫌な予感がする~』って走っていったの!」

 

 それでここまで辿り着くか、普通?!

 

 どんだけ優秀過ぎるセコム……いや、『人為的』で『意図的』な『サムシング(何か)』を感じさせるぞ。

 

 それとも、俺が深く考えすぎなのか?

 

 

 

 


 

 

「マーヤ。」

 

「何かしら、冴子?」

 

「対KMFライフルを人に向けるのは感心しないぞ?」

 

 スヴェンたちがいる校舎の近くにある建物の屋上では、せっせと背丈ほどもある大きな対KMFライフルを個別のパーツに分解するマーヤに対して、少々複雑な顔をする毒島がいた。

 

「だったら冴子にはルルーシュと神楽耶様が会わないような、他の手段があったの?」

 

「アーニャたちなどに電話をすれば済むではないか?!」

 

「だって三人とも、初めてウォシュレット便座を使ったのでしょう? ここまで長引くのは多分、誰かが腰を抜かしてしまったのよ。 だから時間がかかり過ぎるわ。」

 

「しかし実弾を装填するのは、どうかと────」

「────ルルーシュが鈍すぎるのが悪いのよ。」

 

「……」

 

「どうしたの、冴子?」

 

「(こ奴、極端すぎる!)」

 

 

 君がそれを言うのかい、ぶっちゃん?

 

 

「……コホン。 それと先日、ミレイのマッサージのときに離れていたのによくあのエリアだけ封鎖できたな?」

 

「神様なら造作もないことだろうけれど、私なんてまだまだだから人に連絡したわ。」

 

「…… (その時は他人を頼ったのか。)」

 

「何かしら?」

 

「いや。 『誰に連絡をした?』、と考えていただけだ。」

 

「ああ。」

 

 ニッコリ。

 

「マリーベルやアリスちゃんたちよ。」

 

 ……

 …

 

 尚、余談かも知れないが勿論『スヴェンがマッサージをする』ということに興味が無い訳がなく、聞き耳をドア越しなどに立てた者たちからすれば、室内の会話は以下のように聞こえてしまう:

 

『き、着替えてきた……わよ……あまり……見ないで……』

『では()()()、ベッドにうつ伏せになれ。』

 

「(呼び捨て?!)」

「(ベッドの上に?!)」

「(スヴェン君って、意外と……」

 

 ギシ。

『では、マッサージを開始します。』

『あ、ハイ。 よろしくお願い────ってちょっと待って?! 何でこんなに本格的なの、スヴェン?!

『急にどうした、ミレイ?』

『急にどうしたはスヴェンよ!』

『何がだ?』

『な、“何がだ”って……』

『どこもおかしくはないだろう?』

『いや、その……肩こりならさ、こう……後ろに立って両手に力を入れるとかで良いんじゃない?!』

『それはほぼ効力がない。肩こりと人は言うが、厳密には肩や首や背中に目の疲れなどの不調が『肩こり』と症状として出てきているだけだ。』

 

「(確かに言われて見れば、胸のサイズが変わっていないのに書類仕事をし始めてから目が疲れるわね……)」

「(というか何でこういう時のアイツって真剣(マジ)なの?)」

「…………………………………………グスン。」

 

『う……わ……』

『痛むか、ミレイ?』

『ううん……凄く……いい……』

 

「「「(ふぁ?!)」」」

 

『ふぁ……ひぐぅ?!』

『痛かったかミレイ?』

『い、痛くはない……ないけれ────』

『────では続ける────』

『────どぉぉぉぉぉ?! ん……んん! ん! あ……ふぁ……ああ……ふぅ……ん! んんん~!』

 

 「「「…………………………ゴクリ。」」」

 

『ミレイ、息を止めるな。 凝りが悪化する。』

『ふぁ?! ああ……あああ!!!』

 

「(まさかのS?!)」

「(うわぁ……知りたくなかったなー。)」

「(ミレイちゃんを手玉に取っている?!)」

 

『次は首回りだ。』

『へあ?! あ、ああああ~……こ、これダメェェェェ……体が溶けるぅぅぅぅ……』

『む。 やはり凝りが酷いな。 もう少し力を入れるぞ。』

『へ?! あん?! す、すご────ふぅぅぅん?!』

 

「「(首?!)」」

「(まさかの首絞め?!)」

 

 *注*あくまでもマッサージです。

 

『次、棘下筋(きょくかきん)。』

『え?! ちょっと待ってそれどこ────ああ! あああん?! だ、ダメ! ダメダメダメダメダメェェェェ!! そ、そんなところ触らないでぇぇぇ……あん?!♡』

 

「「「…………………………」」」

 

『あともう少しで終わる、我慢しろ。』

『そ、そこコリコリしない()ぇぇぇぇ……♡』

『次はボキボキと音が出るかもしれないが気にするな。』

『え?! 何何何何何何?! 怖い怖い怖い怖い怖い怖い私怖い! やだやだやだやだやだやだやだ────あ、ダメ! そ、そんな! あ! あ! あ! んはぁぁぁぁ?!♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡』

 

「「「…………………………………………………………」」」

 

 部屋付近で聞き耳を立てていた三人は無言でその場から離れたとここで追記する。

 

 更なる余談だが、その三人は翌日体調不良で寝込んでいたとも記入する。

 

 

 

 

…………

………

……

 

 

 

 場面はどこかにある大地へと移る。

 

 ほとんど陽が沈み、月に照らされた大地には難民────と呼ぶには()()身なりがよい服装をした者たちが砂漠の中を歩き、何人かは荷物を載せたソリを引いていた。

 

「……まだか?」

「あともう少しだ。」

「夜だとダメなのか?」

「方向を見失うのは致命的だ。」

「近くのオアシスは?」

「軍だったらいいが、軍に扮した盗賊がまだ出るって噂だ。」

「EUの脱走兵たちか……」

「負け犬どころか、野良犬だな……」

「人の事が言えるか────?」

「────『極東の島で死ぬよりはマシだ』といってのはお前もだろう!」

 

 彼ら彼女らの間での言葉数は少なく、常に緊張感が漂っていた。

 

 シュゥゥゥゥゥ!

 

「「「「「ッ!」」」」」

 

 突然風に乗って耳に来る、まるで空気が流れる音に難民らしきたちはすぐに身を寄せ合う。

 

「この音は────!」

「────子供たちを背後に────」

「────軍だったらいいが────!」

「────最悪、盗賊でも近くの都に連れて行ってくれるように交渉しよう────!」

 

 次第に音が大きくなっていき、やがて砂丘の向こう側から四脚式の戦車らしきメカが数機、姿を現す。

 

『そこの者たち、その場で止まれ!』

 

 スポットライトの光が放たれ、難民たちを照らすと同時にスピーカー越しにパイロットの声が聞こえてくる。

 

 難民の一人が武器を所持していない証として両手を挙げ、震えながらゆっくり前へと出る。

 

「わ、我々は────!」

『────少し待て! ……………………お前、名は何という?!』

 

「わ、私はグレッグという────!」

『────下の名は?!』

 

「に、ニールソンだ────!」

『────ブリタニア人か?!』

 

 この問いに難民たちがざわめき、不安が広がっていく。

 

「マズイ────!」

「────やっぱりくるべきじゃ────」

「────ええい、腹をくくれ! 国に戻っても、罪人として追われる日々────!」

『────そうか。 我々は君たちを同志として迎えに来た!』

 

「「「「「…………………………は?」」」」」

 

『安心してほしい……と、このような場で言っても信じがたいだろう────』

 

 バシュ!

 

「────なので我々のKMFを使って、近くの都に向かってくれ。」

 

 四脚式の戦車────否、四脚式のKMFのコックピットが開いて中からパイロットたちが出て、グレッグ・ニールセンたちの前まで歩く。

 

「い、いいのか? いや、それよりもKMFの操縦なんて────」

「────ご謙遜を、元ブリタニア軍機甲師団大佐である貴方なら造作もないはずです。」

 

「んな?! な、何故それを────?!」

「────貴方たちが来ることは『知っていた』、とでも言いましょう。 少々早いかもしれませんが……ジルクスタン王国は、貴方たちを歓迎しております。」

*1
*注*スヴェンの偏見です




『木村さん風デザインにしたスヴェンってロロに似ている』?

Ha,ha,ha. 見間違いじゃないかい、ジョージィ?
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