小心者、コードギアスの世界を生き残る。   作:haru970

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第33話 ナリタ激戦区を駆けるワンマン部隊 (前編)

「(フ。 やはりコーネリアらしい大規模作戦だ。)」

 

 ナリタ連山の頂上近くにいたルルーシュは自分専用の無頼から山を見下ろしていた。

 

「(利用させてもらうぞ、コーネリアに無能な日本解放戦線。 俺の『黒の騎士団』の演習敵(経験値)となるがいい。)」

 

 彼が横を見るのは今回の作戦の要となる紅蓮弐式。

 正確には異様な形をした右腕だった。

 

「(それに、インド軍区で名高い技術者の『輻射波動機構』を受け取ったこのタイミング。 この局面を利用しない理由はない。)」

 

『輻射波動』とは、インド軍区で有名なラクシャータ・チャウラーが新たに開発した技術の産物だった。

 

 触れた対象に高周波を短いサイクルで直接照射し、膨大な熱量を生み出して相手を爆散させる。

 要するに早い話が『電子レンジの応用で敵を“よく出来ました♪”の失敗時の結果になるまで焼く』武器だ。

 

「(とまぁ、以前話題になった『アンジュリーゼ家庭科事件』の例えは今は置いておくとしよう。)」

 

 思わず身震いをしたルルーシュは自分の作戦のおさらいをもう一度内心でする。

 

「(今回はほぼこの辺りの駐留軍を引っ張り出したコーネリアの軍に大打撃を与える。 むろん、今の戦力では無理な話だ。 

 “()()()()”ならばな。 

 あらかじめセットした掘削機に紅蓮弐式の輻射波動を使い、人為的な土石流を発生させて敵の包囲網もろとも周りを崩壊させる。 これを見れば日本解放戦線は攻勢にでて脱出を試みるだろう。 その時がコーネリア、お前のチエック(詰み)だ。

 さすれば一気に反ブリタニア勢力は立ち上がり、弱体化した日本解放戦線ではなく、大活躍した黒の騎士団の旗のもとに集まるだろう。)」

 

 ルルーシュは仮面をつけなおしてニヤリと笑みを浮かべながら無頼の外へと出てどっしりと構えた。

 

 コーネリアの計画が次のステージになるのを待つだけだったからだ。

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

「クックック。 全くもって、順調すぎる。」

 

 ルルーシュは意図的にブリタニア軍が一気に展開した包囲網の中、今まで以上の笑みを無頼と仮面の中でしていた。

 

 包囲網の規模とブリタニアの戦力を前に黒の騎士団のほとんどが動揺し、幸いにも()()()()()玉城がほかの皆の代弁をして抗議の声をあげてくれた。

 

『“奇跡を起こしてみせる”だぁ~?! 奇跡が意図的におこせるわけねぇだろうがよ! お前にはリーダーは無理だ!』

 

 これに対してルルーシュは予定していた動作と言葉で即座に怯むこともなく言い返した。

 

 自ら携帯していた拳銃を捨てて、『ならば誰でもいい! この私抜きで勝てると思うのならば、私を撃て!』、と。

 

 結果は、今ルルーシュ(ゼロ)が無事に自分の無頼に乗っていることで想像がつくだろう。

 

「(“誰でも撃て”と言ったが、そうは出来まい。 ()()()()()()()()のだ。 『ゼロ』を撃てば、必然的に撃った奴が『ゼロの代わりにリーダーシップを取る』ということだからな。)」

 

 ルルーシュは意識をせず、遠くのナリタ市を見ては自ら独立させた(切り取った)イレギュラー(不安要素)を思い浮かべる。

 

「(それにいざとなれば、奴に声をかけて退路を確保する。 奴が同意にしろ、拒むにしろ俺のマイナスになるものは何一つないのだからな。)」

 

『黒の騎士団は正義の味方』と唱える一方で、そのリーダーであるゼロは仮面の下では魔王に似合う笑みをしていた。

 

『ゼロ、発光信号が出たよ。』

 

 Q1(カレン)の声に、恐らくブリタニア軍が日本解放戦線本拠地の入り口を発見した合図の信号を見る。

 

「(そしてコーネリアのことだ。 そこの突破を信頼できる部下、つまりは親衛隊の何人かに華を持たせる為に突破を命じるだろう。)」

 

 ルルーシュが外部スピーカーを使って声を周りで様々な反応をする黒の騎士団員たちに届ける。

 

「よし、すべての準備は整った! 総員、戦闘準備! これより黒の騎士団はブリタニア軍に奇襲をかけ、第3ポイントまで一気に行くぞ! 作戦目的はブリタニア帝国の第二皇女コーネリアの確保! 突入ルートの先陣を切るのは我がエースが乗る紅蓮弐式だ! いけるな、カレン?」

 

「ええ、いつでも。」

 

「使うのは三番の貫通電極だ。」

 

「(昴のメモの、読み通りだ。)……わかった。 」

 

 一瞬、間のあったカレンの短い返事に彼女の紅蓮弐式は地面に突き刺さった円柱型の装置を掴む。

 

「(……ん? よく見れば俺の指示した位置と深さより少しだけ違うな? 素人による手違いか? ……まぁ、些細な違いだ。 問題なかろう。)」

 

「出力確認。 輻射波動機構、涯際状態維持……」

 

 カレンは深呼吸をしながら出力の最終チェックをする。

 ゼロの計算のまま打つか、昴のメモか。

 

「鎧袖伝達! (間違っていたら数回、顔を殴ってやる!)」

 

 彼女は昴のメモどおりに打つことを決めながらボタンを押す。

 

 ドォン!

 

 輻射波動は貫通電極を伝い、地下水脈まで届くと一気に急激な温度変化を利用した水蒸気爆発が起きて地面が盛り上がり、山頂から予想していた以上の精密さで雪崩のような土砂が一気に駆け下りてゆく。

 

 ズズゥゥゥゥン!!!

 

 ルルーシュは乗っていた無頼のファクトスフィアを展開し、急変する状況を冷静に解析していた。

 

「(ほぉ~? 予想以上の成果だ、これは状況が限られるが利用できる。 まさか()()()()()()()()に被害が出るとは思わぬ収穫だったな。 さて……スバルとやらにも動いてもらうか。)」

 

 ルルーシュは自分の機体にのみ増設された外付けの無線アンテナを展開して、出力にブーストをかけて暗号化された通信を放つ。

 

「こちらキング。 R1、予定通りに作戦を────」

『────こちらR1。 無理だ、敵襲を受けている。 状況は“極めて難しい”と言わざるを得ない。』

 

 通信超しでも聞こえてくる音で、如何にスバルが激戦を強いられているのかをルルーシュに想像させていた。

 

 スバル本人の平然とした口調がいつもと変わらないので一瞬、自分の耳を疑ったが。

 

「なんだと? まさか『白カブト』か?! (えええい、忌々しい! いつも最悪な時に! ……いや、これは好都合だ。 イレギュラー同士、潰しあえば────)」

『────わからない。 これ以上の通信は傍受されて位置がバレる可能性があるので、そちらも独自で頑張ってくれ。』

 

「は?」

 

 向こうが切った通信にルルーシュは思わず気の抜けた声を出してしまった。

 

 

 


 

 

 時は少々、カレンが起こす土砂崩れの前まで遡り、場所はナリタ市でトラックの中でふんぞり返っているスヴェンことスバルへと移る。

 

 

 

 おお~、派手にドンパチやっているね~。

 

 俺はナリタ市にまで響く戦いの音を双眼鏡越しに見ていた。

 

 フジサンとは違ってナリタ連山はまだ温泉観光地だけあって大自然に覆われていた。

 

 だが自然では決してありえないナイトメアフレームという人型の人工物が“ハイキング”をしていた。

 

 重装備で山に取り付き、至る所で爆煙を上げ、山との勝負ではなく同じ人間を相手にしながら登っていた。

 

 日本解放戦線も無頼を出撃させてブリタニア軍に対抗するためゲリラ戦を行っているようだが、圧倒的戦力の差と練度と戦略で撃破されていく。

 

 原作通りなら、日本解放戦線のリーダーをしているのは元日本軍の少将である片瀬(かたせ)帯刀(たてわき)という奴の筈だ。

 

 今だから言うが、俺はこいつが嫌いだ。 

 

『日本の誇り』を割り切れずに独立を夢に見て旧日本軍を集めて組織させるのはまだ評価できる。

 

 が、ホテルジャックを独断で強行した草壁とかなり似ているのだ。

 草壁と同じで『古い時代』に囚われているものの、彼と違って片瀬は()()()()()

 

 主に防衛線で活躍したからか、思考が『守り』重点で『厳島の奇跡』を聞いたからこそ藤堂に必要以上の期待と依存をしていた。

 

 何をするにも“藤堂は?”、“藤堂がいれば!”、“藤堂はどう思う?”、等々。

 

 もし元々彼が少将にまで上がった理由が自分の能力であったとしても、原作コードギアスの描写を見る限り彼の信頼と自信は自分ではなく全て藤堂にいっていた。

 

 つまり『草壁ほど過激な行動に出ない』が、逆にそれが理由で『片瀬は草壁より酷い』と思っていい。

 

 とまぁ、ここまで説明できる余裕が今の俺にあるわけだが……

 

「(どうしよう?)」

 

 作中では俺のような奴がいない状態でも、ルルーシュは生き残った黒の騎士団員たちを連れだしたからハッキリ言って手持ち無沙汰だ。

 

 それに記憶が正しければ、ゼロを追い詰めたスザクがCCの精神干渉攻撃っぽいモノに当たってランスロットが暴走したドサクサで逃げたからな。

 

 一応ここから出来ることといえば遠距離支援だが……

 今の俺の手元にあるナイトメアは()()()()()じゃない。

 

 う~~~~ん……

 

 せっかくナリタに来たから、毒島やアンジュリーゼやナナリー、それにライブラたちに土産でも買おうかな?

 

 お代はその店にちゃんと置くぞ?

 世紀末的な時代でも世界でも何でもないからな。

 

 毒島はそれなりに喜びそうだが、アンジュリーゼは未だにブリタニア文化に染まりきっているからなぁ~。

 

 天使のナナリーと天真爛漫なライブラならなんでも喜びそうだし……

 

 アリスには適当に温泉卵でも買えばいいだろう。

 どうせチワワのようにキャンキャン吠えるだろうしな。

 

 う~~ん……

 

 ここにいればアンジュリーゼに聞け────ってアホか俺は?! 

 携帯があるじゃねぇか!

 

 情報屋用の暗号化変換器をつけて……メッセージを打つ。

 

『今ナリタにいるのだが何か土産は欲しいか?』

 

 ぽちっとな。

 

 お? トラックの中から向こう側の道でウロウロするロングの金髪発見。

 閉鎖されたナリタから出られなくなったブリタニア人かな?

 

 あっちにフラフラ~。

 こっちにフラフラ~。

 ガラスに額を当てて、閉まったお店の中を見たり────ん? 何かポケットから出した?

 

 ピロリン♪

 

『奇遇ね、私もナリタよ。 今どこにいるの?』

 

 え゛。

 

 ま、()()()? ←*注*あまりのテンパりぶりに語彙力低下

 

 俺は向こう側にいる金髪を見ながら携帯にメッセージを打つ。

 

『そうなのか? 出来れば両手を挙げて輪っかを作ってくれないか?』

 

 送信。

 

 すると俺が見ていた金髪が両手を挙げて輪っかを作るではないか。

 

 なんでやねん。

 

 ナンデここにおんねんワレ?

 

 プアアァァァァァン

 

 俺がトレーラーのクラクションを鳴らすと、金髪が体を跳ねらせて変なポーズをとる。

 

 ちょ、お前……

『シェー!』ポーズって……

 

 ブリタニア……という過去の世界でもあるのか、ソレ?

 

 そして予測通り、金髪が近づくとロン毛一本ギガドリルブレイカー(縦ロール)装備のアンジュリーゼだった。

 

「スヴェン?! 何ですかそのトラックは?! その格好も! それに、この町はどうなって────?」

「────いいから乗れ。 ここはもう戦場だぞ。」

 

「……………………え?」

 

 トレーラーのドアを開けるとアンジュリーゼがぽかんとしたまま状況が呑み込めずただ突っ立っていた。

 

 めんどくせぇ。

 

「って、きゃああああ?!」

 

 俺は無理やり彼女をトラックの助手席に引きずり込んで、トレーラーのエンジンに電源を戻して移動を開始する。

 

「ななななな何をするのよ、この変態!」

 

『どうしてここにいる?』、

『なぜここがわかった?』、

『どうやってここまでこられた?』、

 などいった疑問等が浮かんだが、俺が口にしたのは今この瞬間に必要な言葉で彼女が状況を理解できるものだけだった。

 

「悪いな、いま日本解放戦線の本拠地であるナリタではコーネリアが率いる大規模なブリタニア軍の殲滅作戦が展開されている。 ()は黒の騎士団の一員だ。 信じられないのなら後ろを見ればいい、()のナイトメアが置いてある。」

 

 ポカーンと、口を開けたままアンジュリーゼはさび付いた人形のように首を回し、後ろに乗せてあるナイトメアを見ては青ざめる。

 

「というかお前、何をしにここに来た?」

 

「あ……いや……その……えっと……」

 

 「言え。 もしくだらない理由だったら放り出すぞ。」

 

「は、はぁぁぁぁぁ?! 貴方は何様のつもりですか?!」

 

「この自動車の運転手だが?」

 

「無免許運転でしょうが?!」

 

「そうか。 ならお前も乗った時点で共犯者だな。」

 

「貴方が引きずり込んだんじゃない! というか学園と今の貴方、まるで別人よ! それに────!」

 

 ああああああああああ。

 やっぱりまだ『クロスアンジュ』冒頭の『面倒くさいアンジュリーゼ(皇女モード)』だな、こいつ。

 

()()()()()()()。」

 

 まだ何かギャアギャアと言う彼女の名前を呼んで黙らせる。

 

「ング?! な、な、なによ? 突然名前で呼ぶなんて?! 貴方に呼び捨て────!」

「────今は俺の言うことを聞いてくれ。 出来なければ死ぬぞ。

 

「そ、それは脅しのつもりですか?! 脅迫ですよ?!」

 

「俺は本気だ。 こういった静けさこそ嵐の────ッ! 掴まっていろ!

 

 プアアァァァァァ

 

 ギギギギギギギギギ

 

 ガリッ!

 ドンッ!

 

 俺は視界の端でキラッとした光に寒気が走ると同時に対向車線をはみ出したトレーラーを避けるため思わずトレーラーのハンドルを思いっきり切るとタイヤが悲鳴を挙げ、すぐ横のアスファルトが抉れて次の瞬間、重い発砲音が大気を震わせた。

 

「きゃあああああ?! 何?! なになになになになになんですか?!」

 

「狙撃だ。 口を閉じろ、舌を噛むぞ。」

 

 アンジュリーゼは両手で大げさなほど口を覆う。

 

 よし、とりあえずは黙ってくれたか。

 状況は最悪に近いがな。

 

「後ろのナイトメアのハッチは開いている。 先にコックピットの中へ乗り込め。」

 

 アンジュリーゼが頭を縦に振り、左右に回避運動をするトレーラーの中をぎこちない動きで後ろへと消える。

 

 俺はといえば口うるさい奴(アンジュリーゼ)が居なくなったことで、狙撃をうまく回避する。

 

 だが、酷使したトレーラーが限界だ。

 

 いたるところからオーバーヒートを起こしたのか煙が上がり始め、焦げた匂いもしてくる。

 

『こちらキング。 R1、予定通りに作戦を────』

 

 そして無線機からルルーシュ(ゼロ)の声だとぉぉぉぉぉ?!

 

 もうホント勘弁してくれ、最悪のタイミングだ。

 

「────こちらR1。 無理だ、敵襲を受けている。 状況は“極めて難しい”と言わざるを得ない。」

 

 ああ、ちなみに『R1』とは俺のことだ。

 

『なんだと? まさか“白カブト”か?!』

 

 だったらもう俺、VARIS(ヴァリス)の直撃受けて死んでいるよルルーシュ。

 

「わからない。 これ以上の通信は傍受されて位置がバレる可能性があるので、そちらも独自で頑張ってくれ。」

 

『は?』

 

 ハンドルをガムテープ、そしてペダルをリュックサックで固定させてから俺はアンジュリーゼが乗ったはずのナイトメアを見て内心ため息を出してから乗り込む。

 

 ついに直撃を受けるトレーラーが爆発する寸前に中から無理やり力ずくでコンテナを突き破り、飛び出てはランドスピナーを全力で飛ばして今までの狙撃が来ていると思われる高台の死角にあるビルの陰に移動する。

 

 「きゃあああああ!!!」

 

 そして横には叫ぶアンジュリーゼのせいで耳鳴りがする。

 

 アタマイタイ。

 

 ……………………どうしてこうなった?




戦場で人は何を求める? 

『金』?
『名声』?
『理想』?
『野心』?

それとも『明日』か?

そのどれもが戦場である限り、己の手を血潮に染める覚悟と逆に討たれる覚悟が必要である。

次回:
ナリタ激戦区を駆けるワンマン部隊 (後編)

『宗教』?
それもアリかもしれない。 





アンケート、本当に思っていたより近くてびっくりです……

なお、明日いつもの時間に投稿を予定しておりますのでその少し前の結果で内容を変えます。

もし加入するとしたら借りる設定はググった見た目と受けた印象ぐらいなものです。

結果がどちらになってもご了承くださいますよう再度お願い申し上げます。 ┏(;_ _ )┓

作者はロススト未プレイですのでアドバイスをメッセージなどで(お手数かけますが)頂ければ幸いです。 (゚ー゚;Aアセアセ

『ブリタニア絶対殺す狂犬』を加入させますか? *注意事項*作者はロストストーリーズ未プレイでゲームが完結していないので『高い可能性(ほぼ確定)でキャラ崩壊アリ』とだけ前もってここに書きます

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