グツグツグツグツグツグツ……
「フ……フフフフ、フ……」
「イーッヒッヒッヒッヒッヒ……」
部屋の中にいた男女二人はグツグツと鍋の中で煮える
外から入ろうとしている陽光をカーテンが遮っているから部屋は薄暗いため、不気味な笑いと共にその場はまるでおとぎ話に出てくる魔女かマッドサイエンティスト、あるいはどこぞの悪役を連想させるには十分すぎた。
ガチャ。
「うわ、暗! カーテンぐらい開けなさいよ!」
「開けゴマ!」
シャ!
「ウッ?! (ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアス?! 眩しい!)」
「ヒィィィィ?! 灰になるですぅぅぅぅぅぅ!」
「いや『灰』って、どこの吸血鬼なの?」
「『吸血鬼』って言うより、この場合は『引きこもり』なんじゃないかな?」
室内が薄暗かったことにビックリしたアンジュと共に入ってきたシャーリーが勢いよくカーテンを開けると突然の光に怯むようなライラとスヴェンに対してアンジュは呆れる。
「てか『肌が白い順』で言うと、この中だとシャーリーが一番色白だからね────?」
「────ちょっと?! それは無いでしょアンジュさん────?!」
「────とまぁ、冗談はいったん置くとしよう────」
「────スヴェンも冗談で済まさないで────?!」
「────急に開けたらビックリするだろう、アンジュ?」
「うぅぅぅぅ……目の前がまだバチバチするです……」
「だからって薄暗い部屋だと目を悪くするわよ? そもそもなんで部屋を暗くしたワケ?」
「それは
「鍋? …って、中身のこれ何?」
「日本料理の『おでん』だ。」
「「
「どこぞの13人目────じゃなくて。 どこぞの
「『13人目』?」
「『隻眼神』?」
ハテナマークを浮かべながら聞き慣れない『おでん』にアクセントをつけた二人に対し、スヴェンは言い直すが二人は彼の言った例に対して更にハテナマークを量産していく。
「……取り敢えず、その単語は忘れてくれ。 部屋が暗かったのはおでんを作っている俺の姿がまるでおとぎ話に出てくる魔女みたいだったからだそうだ。」
「そうです! 先輩はただグツグツ何かを煮込みながらニヤニヤしていたです!」
「うぐ。 (全く他意が無いと分かっていても、その言い方はちょっと傷つく……)」
「スヴェンが『ニヤニヤしていた』?」
「そうです! 珍しいです!」
「ふぅ~ん……何かいいことでもあったの、スヴェン?」
「……まぁ、な。 (まさか『
スヴェンをからかうような、または悪戯をするような悪~い笑顔を浮かべたアンジュは顔を背ける彼をのぞき込むと彼は曖昧な返事でその場を濁す。
「それよりさ、その……『おおデン』? ってなんだか美味しそうだね!」
「(なんだか一昔前の『おお?! デデデン!』ギャグを使っているような……) まぁな。 美味しい上に調理が簡単だ、だしを取って具を入れて煮込むだけだからな。 ストーブを使っているから身体だけでなく、キッチンも温まる冬にはもってこいの料理だ。 という訳で二人は
「え。」
「いやだって、煮込むだけでしょ?」
「お前たちが今まで料理して、アレンジした全ての物が『謎の物体X』に出来上がるのは覚えているだろう?」
「「う。」」
チーン♪
「あ! タイマーが鳴ったです!」
「ツウィーベックが出来たか。」
「「『つうぃーべっく』?」」
「……ブリタニア風に『ラスク』と言い換えれば分かるか?」
「ああ! ラスクね! あれ、ハチミツかジャムを塗ったら美味しいよねぇ~♪」
「でもシャーリー、あれって要するに日が過ぎたパンの再利用でしょ? ちょっと抵抗とかない?」
「「……」」
シャーリーとスヴェンは横目でお互いを見て、『こういうところが令嬢っぽい』と内心で思った。
「でもでも~、エコで良くないですアンジュ先輩?」
「そうだよ! ねぇ~?」
「です~♪」
「ウッ?! 邪気なしのダブル笑顔か?! 眩しくてなんて
「(『フュージョン』した結果のモンスターに対して怯むプレイヤーか、お前は?! クリーチャーなのはお前だろ、
「ああ。 今度、夜会があるじゃない? 打ち合わせを生徒会としていたら何だかいい匂いがキッチンからしたから、『ルルかスヴェンかライブラちゃんかな~?』って。」
「………………………………なるほど。 (食い意地か。)」
「アンタ、何か変なこと考えていないかしら?」
「そんなことはないぞ、アンジュ。」
「あれ? でも
「おでんと並行して作っている。 というかよくトリッパだってわかったな、アンジュ?」
「私の好きな料理の一つだからね!」
「(意外……という訳でもないか。 『クロスアンジュ』だと、食事パートはあまり重視されていなかったからな。 描写されていなかっただけかも────)」
「────先輩?」
「なんだ、ライブラ?」
「ラスクとトリッパのほかに、ショートケーキと
「は?! よし、焦げる前に行くぞ────」
「────ハイでーす! ぶぇ。」
ライラの質問にスヴェンは珍しい声を出し、時計を見てはエプロンをしたまま慌てた様子で部屋を出ようとするがドア付近で止まってしまい、彼の背中にぶつかったライラはカエルが潰れるような声を出してしまう。
「アンジュ、シャーリー。」
「な、何?」
「何、スヴェン?」
「もう一度言うが触るなよ?」
「いや、そんなに念を押さなくても────」
「────ノータッチだ。 いいな?」
シャーリーとアンジュはコクコクと頷くとスヴェンは鼻を擦るライラと出ていき、彼らが離れたことを確認したアンジュはシャーリーに開き直った。
「よっし、じゃあ────」
「────って、ちょっと待ってアンジュさん! スヴェンに触らないって決めたじゃん!」
「いや、見るだけだからノーカンじゃん。」
「あー、それならいい……のかな?」
「ふーん……『オウデン』って美味しそうな匂いの代わりに地味な具材ばかりね。」
「えーと……大根に卵に豆腐と厚揚げと……この串についているのは牛肉なのかな?」
「あと豆腐の厚揚げみたいだけれど丸いやつがあるわね。」
「「………………………………」」
二人は黙り込み、ほぼ同時にお互いを見る。
「パッとしないわね。」
「あ、アンジュさんもそう思う?」
「うん。」
「これなら隠し味とかいけるんじゃない?」
「玉ねぎとか。」
「え? すっぽんでしょ?」
「え゛……そうなの?」
「『日本料理と言ったらすっぽんじゃ!』って、この間────」
「────ちょい待ちそこでストップ。」
アンジュはシャーリーからどこかで聞いた口ぶりを聞き、ため息を出す。
「『この間』って、なに?」
「あ、この頃ね? ルルが避けている子が居て、この間初めてルルが居ない時に会ったから話してみたの。」
「……それで? その子に
シャーリーから気いた口調に、アンジュは高笑いをするチビ
「え? 別に何も言われなかったけれど?」
「あら、そうなの?」
「うん! ただ最近の事とかこの学園を卒業した将来の話とか普段ルルとは何をしているかの話はしたよ!」
「ア、ウン。 ソウナノ。 (これ、絶対に『ゼロ様好き好き大好き』のあの子だよね。)」
「んじゃあ、隠し味にすっぽんを────」
「────だからなんで丸ごとすっぽんを入れるの?!」
「え? その子曰く、『殿方を落とすには胃袋じゃ』って。 だったら元気になる物を隠し味にいれれば良いんじゃない?」
「……でも、すっぽんよ?」
「じゃあすっぽんを切り刻んでから入れる?」
「その方がきっと良いわよ。 あとはニンニクも良いとサエコから聞いたわ。」
「ニンニクなら生臭いのも隠せるしね!」
「でもニンニクだけだときつくないかしら?」
「あ。 じゃあゼラチンで先に血とニンニクの汁を固めてからゆっくり溶け込むようにすればいいんじゃない?」
「良いかも!」
『そんなことは絶対にない』とツッコみを入れる者はその場にいなかったと追記する。
ガラ。
「間に合ったか。」
オーブンを開けて中の
「でもでも、焦げ目がちょっとついているですよ?」
「これくらいならば許容範囲だ。 逆にこのパリっとした食感が好む人もいる。」
「お~、なるほどです~。」
「ちなみに私たちはモチモチ食感派です♪」
ふお?!
「あ、ナナリー!」
背後からナナリーの声がして思わず固まった俺とは違い、ライラは変わらない様子で振り返る。
というかナナリーがこの時間に来るのは珍しい。
彼女に釣られて振り返ると、ライラにハグされたナナリーの横には複雑な顔をしたヴィレッタが立っていて納得した。
「なるほど、(機密情報局の)隠し通路か。」
「まぁ、な。」
「苦労をかけるな、
「い、いえ。」
「この匂い……何ですか?」
「ああ、おでんだ。」
「お、おでん?!」
あれ?
この様子だと、ナナリーはおでんを知っているのか?
ちょっとというかかなり意外。
……咲世子さんの影響かな?
でも真っ赤になるのは何でだろ?
と、今はヴィレッタだ。
「キッシュの生地が残っているから、またあとで柔らかいものを作ろう。」
「そ、そこまでされなくても大丈夫だ。」
機密情報局に教師の兼任にナナリーやマリーベルに振り回されているから苦労しているだろうに、ヴィレッタは遠慮することに慣れすぎている。
……よし、畳みかけよう。
「
「────是非。 具は多めで。」
フ、好みは把握済みだ。
知っているんだからな、俺は。
伊達に森乃モード時に一緒に住んでいた訳じゃないぞ。
ニコニコニコニコニコニコ。
あ。
横から来ている視線を見ると案の定、ホクホク顔でニコニコするナナリーとライラが居た。
「まるで新婚さんですね♪」
「『
う、う~ん……
やっぱり側からしたら俺とヴィレッタのやり取りはそう見えるのか。
「……こ、子供っぽいと思いますか?」
「ヴィレッタさんがスヴェンさんの前でこうなるのは可愛いですよ?」
「そうです! 『素直』と『子供っぽい』のは別物です!」
「うぅぅぅぅぅ……」
そしてこの満更でもないヴィレッタのテレ顔の破壊力はいつ何度見てもええわ~。
「あ、あまりジロジロと見ないでください……」
無理。「可愛い。」
「「「え?」」」
あ゛。
「……」
思わず心の声を口にしたと気づいた時には既に遅く、ヴィレッタは顔どころか耳まで真っ赤になって頬を両手で覆う。
やばい。
まともに顔が見れない。
というか思わずにやけて口角が上がりそうでポーカーフェイスが崩れそうだ。
「……私は?」
「ッ。」
この声はナナリーか。
「ナナリーも可愛いぞ。」
怖いが素面で言うのは恥ずかしい!
「……」
うおおおおおおおおおお!
この沈黙が怖い!
「ライラはどうです?」
「ライラも可愛いぞ。」
「…………………………うぃへへへへへへ♪」
いつも思うがライラの笑い方って、失礼というか偏見というか……
前世で言うところの『腐女子』っぽいな。
……ニーナの笑い方もそうなのかな?
『『ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア?!』』
ドタドタドタドタドタドタ、バン!
女性らしからぬ悲鳴が隣の部屋から聞こえて来たと思ったら今度は女性らしからぬ慌てぶりで乱暴にドアを開かれ、顔を真っ青にしたアンジュとシャーリーが居た。
「「スヴェン、助けて!」」
「何があった?」
「「おでんが変になった!」」
なんでや。
「お前たち、何をした?」
「「…………………………………………」」
はい目を逸らしましたね?
確信犯ですよね?
「怒らないから何をした?」
「既に怒っているじゃない?!」
「そうだそうだー!」
面倒くさい。
隣の部屋に────
「────あ! ちょっと待ってスヴェン!」
シャーリーの制止する声を無視して俺が隣の部屋に入ると────
────ゴポ。 ゴポゴポゴポゴポゴポ。
ナニコレ。
「何ですか……アレ。」
「コールタールの様な何かが、鍋からあふれ出ている……」
俺の後を追ってきたナナリーとヴィレッタたちよ……その気持ちはよ~く分かるぞ。
「うわぁ……アンジュ先輩たちの『謎の物体X』の再来ですぅ……」
多分、俺も今のライラのように遠い目をしているのだろうな。
というかライラの目、ハイライトが消えてない?
ゴポゴポゴポゴポゴポゴポ!
「お、オオオオおおおおおオオオオ。」
「「キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア?!」」
「「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア?!」」
鍋からコールタールの様な物がひときわ大きい音と共に溢れ出たと思ったら、今度は異音を出した
もうナニコレ。
完全にアンリでマユなこの世の悪的な聖〇の泥なんだが。
ゴポゴポゴポ!
「ヒェ?! 急にどす黒いグロテスクな色になったですぅぅぅぅぅ?!」
いやいやいやいやいや落ち着け俺。
これだと本当に甚平を着て衰弱死するような未来しか見えなくなる。
アレは……そうだな。
ゼラチナス・ウーズ(小)だ!
説明しよう!
『ゼラチナス・ウーズ』とは知性を持たない半透明の粘液の塊であり、得物を丸のみにし強力な酸で溶かす、アメーバの様なクリーチャーであり、通常は魔法による補助が無い攻撃ではダメージを与えることができない。
なおゼラチナス・ウーズに飲み込まれたクリーチャーが内部から脱出するにはd20判定に成功しなければいけなく失敗した場合、毎ラウンドに1d6の1~6HPを削る『酸』タイプのダメージを受け続ける。
ぶっちゃけた話、ゼラチナス・ウーズとは巨大スライムではあるが決して『雑魚モンスター』ではなく下手をすれば努力して得た装備を台無しにしてしまう、
って、俺は誰に説明をしているんだ?
現実逃避にもほどがあるだろ。
ズズズズズ!
「うわわわわ?! 今度は半透明に?!」
「なんでや?!」
おっと、ボーっとしていた。
素手で対峙するには無理がある。 まずは装備だな!
ゼラチナス・ウーズ(小)のイニシアチブ、1d20-2=6。
スヴェンのイニシアチブ、1d20+4=15。 イニシアチブ判定:成功。
キッチンで武器になりそうでリーチが合って扱いやすいのは……これだ!
スヴェンは『レードル+2』を装備した。
そして飛び散った液体からは……これだ!
スヴェンは『なべのふた』を装備した。
貧弱な装備だが、小柄なゼラチナス・ウーズ相手にはこれしかない。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
ポコポコポコポコポコポコポコポコポコポコポコポコポコ!!!
「おたまで叩いている?! 飛び散らないか、あれ?!」
「違います! おたまでアレを鍋に戻そうとしています!」
「アンジュ先輩────」
「────たりゃああああああああああ!」
アンジュの不意打ちイニシアチブ、1d20+7=20。 イニシアチブ判定:クリティカル。
ポコポコポコポコポコポコポコポコポコポコポコポコポコ!!!
アンジュの攻撃、1d20+3=20。 クリティカル判定。
横からライラに投げられた別の聖剣おたまを手にしたアンジュも加勢し、何とかゼラチナス・ウーズ(小)を鍋に押し戻すことに成功した。
「アンジュ────!」
「────でやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
アンジュの攻撃、1d20+3=20。 クリティカル判定。
ゴポゴポゴポゴポゴポゴポ!
俺の声にアンジュは雄叫びを上げながらストーブの火力を限界にまで上げ、鍋の中のゼラチナス・ウーズ(小)が暴れて鍋がぐらつく。
ガタガタガタガタガタガタガタガタ!
だが、俺は全身の体重を蓋ごと鍋に乗せて傾くことを阻止する。
ガタ、ガタガタ……ガタ……ガタ……
数分後、ようやく中に閉じ込めたゼラチナス・ウーズ(小)が弱体化したのか鍋の勢いが弱まって動かなくなる。
「…………………………………………………………………………………………はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。」
俺の横でアンジュが長~いため息を出すが……元々この騒動はお前(とシャーリー)の所為だからな?!
「な、なぁライラ様────?」
「────ライブラで良いですよヴィレッタ先生?」
「いえ、ですがその────」
「────ライブラで良いですよヴィレッタ先生?」
「そもそも私は男爵────」
「────ライブラで良いですよヴィレッタ先生?」
「……ライブラ。」
「はいです?」
「アレは一体どう言うことだ?」
「アンジュ先輩かシャーリー先輩が料理して失敗すると出来上がる『謎の物体X』です。」
「料理?! 動いていたぞ?!」
「『謎の物体X』です。」
「しかし────」
「────『謎の物体X』です。 二人の先輩たちを厨房には近づかせない、暗黙のルールがあったですが……生徒会が大きくなって分からない人が多くなったみたいです……」
「そこまでなのか?!」
「今回のは規模が小さかったです……」
あらら……目からハイライトが消えていらっしゃる。
あの様子だとライラも思い出しているか。
気持ちは分かるぞ、ライラ。
アンジュとシャーリーがリヴァルと共に練習と兼ねた、『世界一のピザ』を作ろうとした二年前を。
アレはまだ『KMFでピザを作る』って考えが至る前の話だ。
どうやってか、某バスターズの『ス〇イパフ・マ〇ュマロマン』みたいな人型でトマトソースも悪い意味で血を連想させる生々しいデコレーションにもなった蠢く
余談だが最後は某姫で出てくる、首を落とされたシ〇神みたいで怖かった。
ちなみにナナリーはルルーシュの野郎が自分と共に誰にも何も言わず一足先に避難していた。
アイツ、逃げ足と危機管理だけは(身体能力的に)長けているからな。
今思い出したら、アレは先ほどの『某バスターズ』というような『霊的なサムシング』よりも完全に『錬金術な失敗作』に近かった。
倒し方は完全に『圧倒的に水量によって本体が形を維持できないほど薄める』だったが。
はぁぁぁぁぁ。
あの頃は色々なことが楽で懐かしいなぁ~。
ま。 アレがあったから『世界一ピザ』を
……こういうことが起きないように、もう一度生徒会に釘を刺しておくか。
え? 『まず当事者たちにしろよ』?
注意してこの惨状だったがな。
今更だけど、だが気になることがあるんだよねぇ。
「ナナリー、一つ聞いていいか?」
「え? あ、ハイ。 何でしょうかスヴェンさん?」
「どうしてこの時間、ここに?」
「ああ、実はちょっと話をつけに来ました♪」
「『話をつける』?」
いったい誰に何の話を?
ニッコリ♪
あれ?
何だろう……笑顔なのにちょっと影があるというか、ダークというか……
ニッコリ♪
そこで何で俺を見るの?
「お願い! 夜会でのパートナーになってリヴァル先輩!」
スヴェンとアンジュが遭遇したゼラチナス・ウーズを討伐している間、とある少女が屋上の庭園で手を合わせながらリヴァルに頼みごとをしていた。
「いや、その……何でオレなんだ?」
リヴァルはたじろぎながらもとても16歳とは思えない胸部装甲を見ずに少女────ミーヤ・ヒルミックに聞き返す。
「だって誰もパートナーになってくれないもん!」
「????」
「必死にダンスレッスンをこなしてカレンさんやミレイ先生にわいろも渡して怖~いナナリー皇女殿下とも交渉して晴れてルルーシュと舞踏会で一曲目に踊る権利を勝ち取ったというのにパートナーが居なければ参加できないの!」
『訳が分からない』といいたい様子のリヴァルにミーヤは言葉を続け、リヴァルはようやく理解した。
「あー……そう言えばミーヤってすぐ相手の膝を蹴ったり足を踏んだり、ターンを毎回するたび転びそうになるって有名だったもんな~。 ミレイ会長────じゃなくて先生もそうだったし。」
「でしょう?!」
リヴァルが暗に『ミーヤもミレイのように
「でもミーヤぐらい可愛い子ならパートナーなんてすぐ見つかるだろ?」
「……ルルーシュと踊るのが裏目に出たの。」
「……………………ブワッハッハッハッハッハ! 誰でもルルーシュの後は嫌か!」
「笑いごとじゃないの!」
「ダンスが上手いやつを誘えば?」
「そんな人は相手がいるかとっくに売り切れちゃっているわよ?!」
「スヴェンはどうだ?」
「……カレンさんが躍る予定。」
「男装したライカはどうだ?」
「別の二位の女子が取った。」
「……そりゃあ災難だったな。 じゃ────」
ガシ!
「────だからパートナーになってよ?!」
「オレだってルルーシュの後は嫌だよ?!」
「そこは可愛い後輩を助けると思って!」
「やだ!」
「お願い! ルルーシュが卒業するから最後のチャンスなの」
「い・や・だ。」
「何でもするから!」
「え?! う、う~ん……」
「……………………………………パートナーになってくれたら胸、揉んでもいいよ?」
ミーヤは渋々と、本当に渋々と上記の提案を悩むリヴァルに出す。
「いや、それはいい。」
が、リヴァルは手を振りながらすぐにその提案を拒否した。
「え?! (即答?!)」
「その代わりに……あー、これは後でも話せるか?」
「あれ? その言い方だと何かあるの?」
「う~ん……『ある』と言えば『ある』んだよなぁ~……けどそれは夜会が終わってからでもいいや。」
「そう言われると、ちょっと怖いんだけど私。」
「いや、これはオレの問題だから。 けど、どうしてもどうにもならなかったら話す。 ミーヤに損はさせないと約束する。」
「それ、本当かなぁ……」
「このリヴァル・カルデモンド! 男はともかく女の子との約束は何が何でも守る!」
「それってミレイ先生限定でしょ?」
「なんでそうなるんだよ?!」
「やっぱり胸を揉むんでしょ?!」
「だから違うって!」
日頃の行いを顧みたまえ、リヴァル君。
次話はちょっとエロを含む展開……かも。