お読み頂きありがとうございます、楽しんでいただければ幸いです! (シ_ _)シ
追記:
『グラスゴーコピーでは機動の無理があるのでは?』と言う指摘を受け、後編の無頼をサザーランドに勝手ながら変えさせて頂きました。 ストーリー自体に変わりは無いはずですが、突然の変更で申し訳ございません。 m(_ _;)m
スヴェンとアンジュリーゼからかなりの距離を離れた場所にナイトメアとは思えない、滑らかな形をしていたものが狙撃銃らしきライフルを構えていた。
「(チ、また躱しただと? なんなのだ、あのトラックは?!)」
その機体はランスロットと同じく『第七世代ナイトメアフレーム』として認識されている『GX01』。
従来のナイトメアとは完全に違うデザインのそれに乗っていたサンチアは思わず舌打ちをしながら次の弾丸を撃つため銃身にエネルギーをため込む。
GX01の見た目は『ナイトメア』というよりは『大型の人造人間』に近く、実際に外装の隙間から見えるサクラダイト合成繊維が人工的な
以前、開発者であるマッドがロイドにも言っていたが、ランスロットは基本技術をさらにグレードを上げて開発された機体に反してGX01は一から
ふんだんに使われたサクラダイトはランスロットの比ではないが、これによってスザクのようにパイロット適正Sでなくとも
だがGX01の真骨頂はそんなことではない。
『ルクレティア、まだ感じるか?』
巨大な狙撃銃を持ったサンチアの機体のすぐ近くに跪く機体の中のルクレティアがまた考え込んでいるような姿勢のまま喋りだす。
『ええ。 いまだにボンヤリとだけですが。』
『お前の能力で幸い、発見することができた。 (まさかまた敵を目視で追わなければいけない日が訪れるとは……無様だな。 それに……)』
ここでサンチアの脳裏を過ったのは先ほど二つのトレーラーが反対方向に逃げたことで、自分が感じた『空白』のスペースが二つに分かれたこと。
だがこれをマッドに報告したところで彼は『一つに目星は既につけている、お前たちはこっちに向かっているトラックを迎え撃て』と言って指揮官用重装甲車の中へと戻り、今に至る。
『(いや、今は敵の見極めだ。) ダルク、アリス。 準備はいいか?』
『はいはーい!』
『ええ、いつでも。』
『ならば作戦通り、奴を予想経路4に誘導する。 そこからはアリスとダルクの出番だ。 様子見で行くぞ、レセプターの同調と
『『『了解。』』』
サンチア、ルクレティア、ダルク、そしてアリスの額にボンヤリと赤いギアスマークが浮かび上がり、四人の機体に搭載されたサクラダイト合成繊維がほんのりと赤くなり、まるで血管のように色は迸る。
その姿はまさにウォーミングアップを終えたスポーツ選手たちのようで、さらに人間味が増した。
もうお察しの通り、四人の少女は
そしてGX01の恐るべき性能は、搭乗者のギアスを本人だけでなくナイトメアにも適用されることだった。
例えばサンチアの『ジ・オド』は対象の気配、そして条件付きではあるが対象の動向や感情さえも感知することができる。
ルクレティアの『ザ・ランド』は地形自体を結成する空間や物体構造を知覚と解析してその情報をダイレクトにフィードバックすることができ、サンチアの『ジ・オド』と合わせば最先端技術を使われているランスロットのファクトスフィアでも真っ青なほどの超精密センサー付きGPSとなる。
『先に行っているわ、ダルク。』
アリスがそう言い終えると、とても物理法則が守られているとは思えない速度で彼女のナイトメアがその場から消え去る。
『あ、待ってよ~!』
ダルクのナイトメアが踏ん張りを利かせたジャンプをすると、とてつもない跳躍力を発揮して向かいのビルのそのまた向こうのビルまで軽々と跳んでいく。
アリスは横転したトラックの残骸物が近くのビルまで転々と続いていたことでそれを辿ると、目に入ったのはケイオス爆雷を使ったトラップが発動した瞬間だった。
彼女たちの機体GX01には、ランスロットのブレイズルミナスみたいな盾は無い。
だが────
「────私には効かない。
ケイオス爆雷が爆発するより早く、アリスの機体はまるで瞬間移動したかのようにそれを掴み取っては地面にたたき落とし、罠を無効化していた。
アリスのギアスは『ザ・スピード』。
加重力の原理を使い、その名の通りに相対的な高速スピードを可能にする。
パチン。
アリスが耳にしたのは細い何かがブツリと千切れる乾いた音。
よく目を凝らすと、彼女がもぎ取ったケイオス爆雷からワイヤーが伸びていた先には大型口径の銃口のような筒が既に火を噴いていた。
「二つ目のトラップですって?!」
『ド~~~~~~ン!』
アリスと筒の間にダルクが建物の壁をそのまま引きはがしたらしいオブジェを難無く即席の盾のように持ちながら、放たれたロケットを受け止める。
『ダルク、先に行くわ。』
『ええええ?! 感謝ぐらいしてよ~!』
アリスは返事をせずに高速移動を再開し、機体の腰に下げていた六つの剣の内二つを両手に持つ。
「(あんな短期間で二重トラップを設置するなんて……相手は軍の訓練でも受けたというの? だとすると元ブリタニア軍? マオ……な訳ないか。 それとも教団からの脱走者? ……どちらでも関係ない、私はさっさと終わらせ────!)」
『────ッ! アリスちゃん!』
『────二時の方向だ! 迎え撃て!』
そのまま彼女が無人と化したナリタを凄まじい速度で駆け抜けていると突然ルクレティアとサンチアの声にアリスがハッとして反射的に剣を構えるとけたたましい、鉄が削られる音がGX01の兵装を伝ってコックピットブロック内に響く。
「チェーンソー付きの刀なんて悪趣味ね! 何なのこいつは?! ……はぁぁぁ?!」
ようやく自分と相手の武器が交差したことで飛び散る火花の向こう側を見たアリスは驚愕し、自分の目を疑って素っ頓狂な声を出す。
『アリス! 敵の情報をありのままでも良い、言え!』
『アリスちゃん?』
『どうしたのアリス~?』
アリスはカラカラになった喉を、口に残っていた唾を無理やり飲み込んで潤う感じを誤魔化し、からようやく声が出るようになる。
「ラ……ラン……スロット。」
『は?』
『はい?』
『えええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ?!』
サンチア、ルクレティア、ダルクがそれぞれ度肝を抜かれたような声を出す。
対する、アリスが『ランスロット』と呼んだ機体の中ではもう一人、度肝を抜かれた者のように絶叫を続けていた。
「ぎゃああああああああ!!! イヤァァァァァァァァァァ!!!」
叫んでいたのは顔を真っ青にしたアンジュリーゼ。
「腕が痛い。 叫ぶのをやめろ。 (どないしよどないしよどないしよどないしよどないしようんとこと、どっこいしょぉぉぉぉぉぉぉぉ?!)」
そして腕を全力でアンジュリーゼに掴まれながら表面はポーカーフェイスを維持して全く予想だにしていない展開に、スザクと対面した時ほど内心テンパっていたスヴェンだった。
彼が乗っていた機体は確かにパッと見れば『ランスロットだ』と間違えてもおかしくはない。
何故なら外装がランスロットの特徴を
「(ハッタリのおかげで助かったけどマジでどうしよう俺あんな機体……え? 俺は
スヴェンが上記で暴露したように、彼は出来るだけ
持っていたのは
コードギアスのゲーム、『LOST COLORS』をプレイした者たちならば今頃『ランスロット・クラブ?』と頭をかしげているかもしれない。
だがランスロット・クラブと違い青くはない。
どちらかと言うとスヴェンの機体は銀に近い白で、可変式アサルトライフルもない。
先ほど言ったようにMVSもない。
特徴的だったルミナスコーンもない。
代わりにあったのは今使用している廻転刃刀、腰から下げていた通常のアサルトライフルにケイオス爆雷、背中に多数のロケットランチャーの弾頭と
その姿を敢えて文章にすると『ランスロット・クラブを目指して改造されかけのサザーランドに紅蓮の予備パーツに入れ替えをして無頼改の武装も無理やり付けた』が一番近いだろう。
スヴェンにとっても『闇鍋機体』だった。
そしてそれに乗っていたスヴェンは対峙していたGX01を見たときから、脳に妙な
「(“新型が間に合わなかったから今はオプションパーツだけで我慢してね♪”だなんて言われても元々俺はパーツだけを頼んだけだけど実際今はそれのおかげで助かってはいるから良しとしても────)」
『────でりゃああああああ!』
上からダルクがまたも建物の瓦礫をスヴェン目掛けて投げつける。
『ちょっとダルク! 私がいるでしょうが?!』
『でもでもアリスなら避けられると思って────』
『────私語は無しだ二人とも! まだ終わっていないぞ!』
「「ッ」」
高速で巻き添えを避けたアリスと、軽い態度のままだったダルクがサンチアとルクレティアのギアス能力から提供されたセンサー反応を見て驚きながら
「(あっぶねぇぇぇぇぇ。 ビルの一角を無理やり投げるなんてどれだけのパワーを持っていやがるんだあの機体?!)」
「ウップ……」
スヴェンが横眼で見たのは顔を真っ青から土色に変えたアンジュリーゼだった。
「吐くなよアンジュリーゼ、放り出すぞ? (やはり『
『────バカな?! こいつ、私の
速度が増していくアリスの猛攻を、スヴェンはギリギリ凌いでダルクの建物や建造物を使った広範囲攻撃をアリスと
「(アリスのスピードのように速度を上げるギアス? いや、それだけならば彼女とダルク二人掛かりでも致命打一つ与えられないのはおかしな話だ……まさか……試してみるか。)」
指揮官用重装甲車の中にいたマッドが通信を開く。
『
「え────?」
マッドの言葉に反応したのか、アリスの座っていた操縦席と握っていた操縦桿が彼女を拘束するような形に変わり、機体からパイロットスーツへと直接繋がっていたチューブから緑色の液体が彼女の体に注入される。
「────あ、あ゛ア゛ガア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛?!」
するとアリスは獣のような悲鳴を上げ、自分を蝕む痛みから逃れるため暴れようとするが拘束椅子のように変形したコックピット席と操縦桿によってわずかに
「ガはッ?! ハッ?! ハッ?! ハッ?!」
ようやく謎の液体の注入が終わり、拘束から解かれたアリスはガタガタと震えながら自分の体を抱く。
そこにはいつもことごとくスヴェンに突っかかるようなアリスでも、無邪気にナナリーと接するアリスでも、さっきまで奮闘していた軍人でもない、ただの『怖がる少女』がいた。
『120秒以内に敵を
「……イエス、マイロード。」
目を見開いて白黒させ、汗が滝のように体中から流れるアリスにマッドの冷たい
「むぐ?!」
「(こいつ、さらに速くなりやがった?!)」
アンジュリーゼがくぐもった叫び声を出し、スバルは全神経をさっきの比べ物にならない速度で自分を襲うアリスに心が冷え、躊躇する間もなく『
「(特典を使っても躱せない! 持ちこたえてくれよ、『ランスロ紅蓮モドキ』!)」
「(速い!
このやり取りを『
「この動き、攻撃動線を予測しているわけでもない……
マッドはニヤリと邪悪な笑みを浮かべ、通信をサンチアに繋げる。
『サンチア。 敵のコックピットを撃て。』
『よ、よろしいのですか? あそこには、まだ────』
『
『…………イエス、マイロード────なんだ、これは?!』
『は、早い!』
サンチアは戸惑いながらも狙撃銃を構えると、今になって感知した気配にルクレティアとともに驚く。
『これは、あのランスロットモドキと同等の────?!』
「────なんだと?!」
マッドがサンチアとルクレティア経由のマップを見るとあらゆる障害物を無視した直線的な動きで激しい攻防戦を繰り広げるアリスとスヴェンに近づいているのを見る。
「まさか、こいつがギアスユーザーか?! おのれ!」
アリスは自分たちのいる場所に突貫してくるサザーランドに思わず動きを止め、目を見開いた。
「何、あいつ?! まさか?!」
スヴェンは逆に
「(三次元機動?! いやそれだけじゃない、構えているのは────)────
スヴェンは返事を待つまでもなくその場から消えると両方の肩に構えていた大型キャノンを連発する。
「くっ! 敵が逃げ────!」
『────戻れ、
アリスの体にまたも液体が注入され、彼女は引いていく激痛にホッとしながら自分を襲う眠気にあらがう。
『マッド大佐?』
『コーネリア殿下直々のお達しが来たのだ、サンチア。 (クソ!
だが確かに新総督には恩を売るために“いつでもお呼びください”と言った手前、無視するわけにもいかん……
次だ! 次こそ入手してやるぞ、サンプルを!)』
まるで互いの斬新な
いやマジで何の? ナイトメアなの、あれ? 覚醒化した小型エヴァじゃん。
不意打ちできたから逃げられたけど次は無理ゲーだよ?
いや、まずはこいつだ。
アンジュリーゼ?
落ち着いた瞬間そそくさと非常用キューポラハッチから出て漫画とかで見る『口からキラキラするオロロロ~』をしている。
俺はまだ稼働できる腕でアサルトライフルと大型キャノンを捨てて敵意のない事を示すサザーランドに構えてから外部スピーカーをオンにする。
「サザーランドのパイロット、降りて素顔を見せろ。」
念のため外部スピーカーをオフにしているとサザーランドのコクピットブロックが開き、出てきたのは俺が全く想定予想だにしていない者の姿だった。
ゴシックっぽいヘッドドレスの下にパッチリとした青い瞳に整った顔。 艷やかで流れるような黒髪は太ももまで伸び、その姿はまさに『清楚の表現化』と呼んでいい。
だがそんな印象と裏腹に引き締まった身体とプロポーションの度合いと、ガータベルトを着用しているのもかなり……
うん。
はっきりと言おう。
見た目からの判断だが、かなり俺好みの女性だ!
って動き早ぇぇぇぇ?!
俺が感動している間に飛び出て機体の足元まで一気に駆けてきただと?!
『マズイ!』、と思っていた俺の目の前で少女はどういうわけかそのままの勢いで膝を地面につきスライディングを決めながら、手と手でいつかホテルジャックでシャーリーが見せた『祈り』のポーズをとりながら俺を見上げていた。
そして目をキラキラとさせながらこうハッキリと叫んだ。
「ああ! 神様!」
「なんでじゃい。」
………… (´・ω・;`)←暑さとは関係ない汗を盛大に掻き、胃薬を服用する作者
えええ……本日の7/21/2022 07:30を持って、『狂犬加入アンケート』終了させていただきます。 結果は528対464で合計992人が投票してくださりました。
結果と参加者人数に感激と驚きから変な声を思わず出してしまい胃もキリキリと音を鳴らせながらも投稿いたしました。
そして妄想版ほぼ別人(?)『狂犬』の加入となりました。
ご協力してくださった皆様に、心の奥から再度感謝の言葉を送りたいと思います。
投票へのご協力してくださった皆様、誠にありがとうございます。 m(_"_)m
これからもエタらないよう、頑張って書こうと思いますのでアンケート結果をご了承くださいますよう深く、お願いしたいと申し上げます。 m(。_。;)m
余談:
妄想版だから別人かもしれないがスヴェン、強く生き残ってくれ……
あと次話投稿、遅れるかもしれません。 申し訳ございません。