小心者、コードギアスの世界を生き残る。   作:haru970

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楽しんでいただければ幸いです!


第40話 イレギュラー対イレギュラー

「ッ!」

 

 バカン!

 ドンッ!

 

 カレンの高ぶる気持ちも束の間、急に首筋から側頭部に向けての寒気の様なゾワゾワ感がしては本能的に後ろへと飛ぶと紅蓮のいた場所のコンテナに大きな穴が開いて重い響きが大気を震わせる。

 

「狙撃?! あの機体……新型?」

 

「あれは……なんだ?」

 

 スザクもカレン同様に狙撃が来たと思われる方向を見てカメラをズームするとぼやけたGX01の機体を見て二人はハテナマークを出す。

 

『おめでと~う! あれはかつて、僕とセシル君の教授だった人の機体でランスロットと同じ第七世代KMFと認定されているよ? 今は()()僕たちの味方らしいから()()()()()()安心してもいいよ?』

 

「ロ、ロイドさん?!」

 

『ロイドさん! 思考放棄から帰ってきたのはいいですが急に私を押し退けないでください! 今は戦闘中ですよ?! 戻ってください!』

 

『あっは☆ ごめ~ん♪ だってさ? 僕のランスロットがまさか頭の悪そうで非現実的な武器にダメージを受けるとは思わないじゃん? あ、コンソール返すね~?』

 

「……ハ?! せ、戦闘を続行します!」

 

 ロイドがいつも以上に緩~いテンションだったことと、普段は温厚な声を荒げてさらにドスの効いたモノを聞き、思考停止しそうだったスザクは無理やり意識を自分に襲い掛かる紅蓮に戻す。

 

 原作と違って被弾したスザクとコーネリアがカレンとルルーシュたちと対峙している間、サンチアは新たな弾丸ともう一度撃つ為のエナジーを装填する。

 

「(私の見たところ、あの紅い機体が一番の脅威。 総督閣下(コーネリア)と対峙しているあの紅い面をしている無頼はそこまで操縦技術が高くない、今の不意打ちされた総督閣下とやっと渡り合えるぐらいだ。 こいつ(紅蓮)さえ何とかすれば一気に────)」

 

『────マッド大佐、またあの感覚です。 近くにいます。』

 

 特殊名誉外人部隊(イレギュラーズ)のアリスたちが参戦しようとしたところで、ルクレティアの通信があった上に()()()()()がGX01たちの前に現れたことで部隊の指揮官であるマッドが標的を変更した。

 

GX01a(アリス機)GX01d(ダルク機)! そのランスロットモドキのパイロットを殺す気で倒せ! サンチアは殿下たちの援護を続けろ!』

 

『『『了解。』』』

 

 スヴェンは確かに、前回は奇襲に遭い不意打ちで何とか凌げていた。

 

『次は無理ゲー』とも言っていた。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()と言う『前提付き』だが。

 

『もう一機────?!』

『────ダルク! 私の“ザ・スピード”を展開するから中距離援護に回って! 私に当てる気でもいい! (ハゲがまた中和剤の中和をする前に終わらせる!)』

 

 アリスたちの前に、『ランスロットモドキ』がもう一機出ては即座に彼女たちに接近して交戦に入る。

 

『やはりこの機体を警戒していますね。』

『ああ、彼の思惑通りだ。 それにしても私は初戦だ、フォローを頼めるか?』

『無論です。 あの方にも頼まれていますし。』

『心強いな。』

 

 二機の『ランスロットモドキ』に乗っていた()()()()()が隊内通信で連絡を取り合い、命を懸けている状況とは思えない笑顔をしながら高速で移動するアリスと次から次へと手当たり次第のモノを投げるダルクの攻撃を躱す。

 

 ドガン!

 

『『何?!』』

『もう一機が?!』

 

 アリスとダルクたちがいる場所に新たな方角からの弾丸が近くのコンテナを破壊し、援護射撃の為に全体の戦況の把握をしていたサンチアが方角を見ると狙撃銃らしきものを抱えながら移動する新たなナイトメアを見る。

 

「(三機の『ランスロットモドキ』だとぉ?! アスプルンドのガキめ! 散々“僕のランスロットじゃないよ~! 試作機も本国から取り寄せようと要請を出して返事が返ってきたばっかりだし予備パーツの在庫の見直しも全部二回も怖いセシル君たちにやってもらってデータの漏洩が無いように面倒くさい封蝋をした手紙で連絡を取り合っているし~!”などとぬかしておったのにこの体たらくか!)」

 

 マッドは先日の『ランスロットモドキ』が出てきたことでロイドに正式な問い詰めをしていた。(実際は脅迫に近かったものだが。)

 

「(ヒィィィィ! 威嚇だけでも怖い!)」

 

 この三機目に乗っていたのは他でもない、初めて命の奪い合いに首を突っ込んで涙目になりながらも歯を食いしばるアンジュリーゼだった。

 

 この三人、短い間ながらもガニメデが置いてあるアッシュフォード学園の倉庫……の更に地下のスペースを経由してスヴェンが情報屋として利用している隠れ家の一つに忍び出てはそこに届けられたナイトメアフレームを組み立てながら同じく送られてきたナイトメアシミュレーターで仮想訓練を続けていた。

 

 表向きの送り主は『キョウト』となっていたが、毒島が読んではクシャクシャにしてごみ箱に入れようとした手紙に書いてあった『ワシ、奮発したぞい! v (´ω`v) おじいちゃん褒めてちょ? (´・ω・`)ノ』で一目瞭然だった。

 

 余談だが三人は驚くべきナイトメア適性を出していた。

 マーヤは一度実際に乗ったことがあるからか、シミュレーターで最高ランクである一歩手前のA+。

 毒島は最初、操縦をオートにしたままだったが徐々にコツをつかんでは総合的なB+をたたき出した。

 アンジュリーゼは────『ウプ……き、気持ちわる……エチケット袋ッ!』────オート付きだが何とかCに留まることが出来た。

 

 故に以前、スバルが乗っていた機体には(嬉しさのあまりで涙目になった)マーヤが乗り、無頼改(をさらに改造して接近戦に特化した機体)には毒島が乗ることとなった。

 

 アンジュリーゼはサザーランドを改造した遠距離強襲型の威嚇射撃(怖がらせ役)の機体で『取りあえず当てなくても良いから敵を撃っては移動を繰り返す』ことに。

 

 今回、彼女たちはスヴェンの頼みで出てくるかも知れない特殊名誉外人部隊(イレギュラーズ)の注意を引いていた。

 

 さて、スヴェン本人は何をしていたかというと────

 

『サンチア!』

 

 ────ルクレティアの通信とほぼ同時にGX01s(サンチア機)の頭上にスヴェンが()()()()()()飛びついていた。

 

 いつかの火薬使用型対KMFライフルに(以前ナイトポリスを沈黙化させた)槍と外付けのワイヤーを取り付けたことで更にゴツゴツした装備を巧みに使ってサンチア機に張り付いた。

 

「(上手く意表を突けた! このまま畳みかける!) うおぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

 彼はその槍を機体の(もし人と例えるなら)()()()につけてトリガーを引く。

 

 ボン!

 バキバキバキ!

 

「グアァァァァ?!」

 

 今のスヴェンにとっては聞き慣れた重苦しい音と共に釘がサンチアの機体に打ち込まれる瞬間、新しい形状の所為か狙いが少しずれ、釘はサンチアの肩を掠る。

 

「(上手く狙いが付けなかったけど手ごたえあり! このまま次を撃つ!)」

 

「サンチア────ッ!」

 

 ドン!

 バシュ!

 

 打ち込まれた釘が戻ったところでスヴェンは狙いを大雑把につけて20ミリ徹甲弾をルクレティア機の方へと撃つと彼女のメインモニターに穴が開き、銃弾はそのまま彼女の横を貫通する。

 

「きゃあ?!」

 

「なんと?! 敵もまさか……チームを────ハッ?!」

 

 マッドがハッとして気が付くと、さっきまでサンチア機の上に居た筈のフルフェイスヘルメット(スバル)がいつの間にか自分が中にいる重装甲車の側まで来て、サンチア機を貫いた()を再度構えていた。

 

 強化ガラスの向こう側にいる自分を明確に狙って。

 

「ぬ、ぬおおおおおおお────?!」

 

 ドン!

 

「────ぐああああああああ?!」

 

 マッドの恐れていた通り、自分の首を反射的にひねって装甲車を貫通した釘が肩に直撃し、彼は痛みに叫びながらも鎮痛剤の入った注射器を手に取りながら装甲車のさらに奥へと身を投げ出す。

 

『グッ……ダルク! 撤退だ! 大佐を連れて退却!』

『ええええええ?!』

『口答えするな! このままでは大佐がやられる! アリス、殿を務めろ!』

『そうは言うけどねサンチア! こいつら、思っていた以上にやるのよ?!』

『ならば死ぬ気で殿を務めろ!』

『相変わらずの理不尽ぶりね!』

 

 サンチアはマッドの叫び声を聞き、彼の安全第一に指令を出すとアリスはボヤキながらも『ザ・スピード』をフルに活用し、マーヤの牽制攻撃と本命である毒島の三段突きを受け流していく。

 

『サンチア達から離れろー!』

 

「うお?!」

 

 そしてスヴェンはお構いなしにコンテナをこん棒のように振り回すダルクから逃げるように全力で疾走する。

 

『このゴキブリ野郎────!』

『────ダルク、目的を忘れるな! チャフとスモークを使う!』

 

逃がさない────!』

『────待てマーヤ! このままだと黒の騎士団や日本解放戦線に発見される、アンジュリーゼとともに退くぞ────!』

『────ブリタニアァァァァァァァ! 逃げるなぁぁぁぁぁ!!

 

 毒島の声が聞こえていないかのようにマーヤ機はそのまま煙がモクモクと出る場所へ突込んでいく。

 

『チィ! アンジュ、私はマーヤを追う! お前は先に私の痕跡を消してから隠れ家に戻れ!』

 

 

 

『グワァァァァァ?!』

 

『不意打ち程度で私にナイトメア戦で勝てると思いあがったか、ゼロ?!』

 

 コーネリアの満身創痍であるグロースターを相手に、ついに敗れたゼロの無頼からコックピットブロックが自動的に射出される。

 ルルーシュは本来、パイロットとしての腕は正規兵と変わらない。

 

 対するコーネリアは文武両道で『ブリタニアの魔女』という二つ名が知れるほどの操縦技術を持っている。

 

 起動前に攻撃を受けたとはいえ、元々彼女を生きたまま捕獲するルルーシュたちの攻撃はさほど過激ではなかった。

 対するコーネリアは彼を殺す気でいた。

 

『生きたまま相手を捕獲する』と『単純に相手を殺す』では難易度の差は明確であり、ルルーシュはコーネリアに敗北した。

 

『ゼロ! こんのぉぉぉぉ!』

 

『くっ! 後ろから攻撃とは────!』

『────殿下!』

 

『ええい! 白カブト!』

 

 これを見たカレンはすぐに追い打ちをかけようとしたコーネリアのグロースターの足を飛燕爪牙(スラッシュハーケン)で打ち抜き、ランスロットとまたも対峙する。

 

「(今の叫び声は、ゼロ?!)」

 

 ゼロが飛ばされた現場近くにはフード付きの外套を羽織ったとある人物が慌ただしい港を走っていた。

 

「(上手くいけば、奴の正体を暴くチャンス! そして生け捕りにすれば、私は────!)」

 

 フードの者がゼロの落ちたところにつくと、彼女が見たのはパラシュートが上手く作動しなかったコックピットブロックの外に放り出されて地面に横たわるゼロの姿だった。

 

「フフ……フフフフフフ! これで……これで私は────何?!」

 

 その者が高ぶる気持ちから笑いを出し、ゼロの懐に入っていた拳銃を取り出してから外れかけだったゼロの仮面を剥ぎ取る。

 

「まさか……学生本人がゼロだと?!」

 

 気を失ったルルーシュを見て驚いてフードが外れ、その下から現れたのは腰まで届く銀髪で褐色の肌をした美女だった。

 

「だが、生きている! こいつを捕縛して、コーネリア様に届ければ私は本物の貴族に────!」

「────動くな────!」

「(────しまった!)」

 

 その場に居合わせたスヴェンがライフルを褐色の女性に向けながら荒い息継ぎを悟られないよう、必死に息を整えようとしていた。

 

 

 

 


 

 

 

 フルフェイスヘルメットの中で俺は今にでも吐きそうな気分を必死にこらえながら、自分が()()()()()()()()()ことにホッとしそうになって緊張感が薄れるのを我慢しながら対KMFのライフルを目の前の褐色美人に向けていた。

 

 こいつの名は『ヴィレッタ・ヌゥ』。

 彼女は元オレンジ卿……じゃなくてジェレミア・ゴットバルトを筆頭としていた純血派のメンバーで彼の直属だった。

 だが『オレンジ事件』、そして純血派のナンバー1だったジェレミアとナンバー2のキューエル卿をナリタで失ったせいで純血派は事実上解散となった。

 

 ヴィレッタはそれでも病的なまでに貴族入りすることを求めて、ルルーシュのギアスの受けて生きた第一号。

 そう、原作の二話でルルーシュの『ナイトメアを寄こせ!』と言ってサザーランドを奪取されたのが彼女だ。

 

 原作ではルルーシュのギアスをかけられてもかすかな記憶を元に彼女は『ゼロ』と『アッシュフォード学園の学生』が繋がっていることを独自に調査し、ナリタ事変で身元確認の為に来たシャーリーのメモ帳の中に張ってあったルルーシュの写真を見て疑惑が確信へと繋がり、シャーリーを水先案内人に使って後を追ってこの港に来ている……はずだ。

 

 なぜ、彼女がここに?

 

 

 尚スヴェンは知る由もないが、元々洞察力が鋭くて頭の回転も速い彼女はシャーリーとの接点がなくともそのままアッシュフォード学園の名簿長と写真集を報道局のディートハルトに頼んで取り寄せて学生一人一人を見ていき、『ルルーシュ・ランペルージ』を見ては違和感を持ったことで原作とほぼ同じ動きをしていた。

 

 

 ヴィレッタは背後から聞こえた俺の声に持っていた拳銃をゆっくりと地面に下ろしていく。

 

「違う! そのまま投げ捨てろ! 横にだ!」

 

「チッ!」

 

 ヴィレッタが舌打ちをしてゼロの拳銃を言われたように投げ捨てる。

 

「そのままゆっくりと────!」

 「────ブリタニアァァァァァァ!!!

 

 俺の指示を、突然背後からコンテナを無理やり突き破って現れた傷だらけのマーヤ機から彼女の声が外部スピーカーを通して遮る。

 

「(マーヤ────?!)」

「────ふん!」

 

 俺がマーヤに気がとられた瞬間、ヴィレッタは自分の拳銃を取り出して乱射しながら横へと走る。

 

 死ねぇぇぇぇ!!!

 

 マーヤ機は持っていたアサルトライフルをマイクロ弾に切り替え、ヴィレッタを狙って乱射する。

 

「グァ?! わ、私……私は、ここで!」

 

「ま、まて────グッ?!」

 

 ああアアあア?!

 

 突然脇腹に鋭い痛みを感じてよろけながらも、俺はヴィレッタの後を追うと意識を失ったらしい彼女がちょうど港から落ちていく瞬間を目撃する。

 

 やべぇ。

 

 今の彼女は原作で錯乱したシャーリーに小型拳銃で撃たれた時より重症のはずだ。

 

 もしこのまま彼女が、死んだりしたら原作の流れが────!

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────そう思った瞬間、気が付けば倒れる彼女の後を追うようにゴツゴツとした防波堤へと俺は飛び込んでいった。




偶然が偶然を呼び寄せ、その結果が雷のように人を突然打つ。
意識は行動を、行動はさらなる意識を理想へと育つ。

理想はやがて『執着』、『信念』、『愛着』、『憎悪』などに行きつく。
それらは全てに仮借なく干渉し、更なる偶然という嵐を育む。
 
今度の放たれた雷は誰を狙う?

次回予告:
マオ

『必然な偶然』は果たしてあり得るのだろうか?



久しぶりに次回予告できました。 (汗
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