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場所と時は更に移ろい、租界にあるアパートの(記憶を失くしたヴィレッタがいるビルと同じだが部屋が違う)一つへと移る。
その中で取り敢えずは目の前の事に対処することを決めたスヴェンはいた。
場の流れのまま毒島に加えてアンジュリーゼたちとマオに発信機を間接的につけたマーヤとも合流し、マオ(女)が隠したと思われる抑制剤の入ったスーツケースを持って連行した彼女に『知っていることをすべて話せ』と。
あとは特殊メイクで皮膚のかぶれを避けたかったこともあって、今の彼は素顔になっていた。
「(いやマジであのマオに発信機を気付かれずに付けるってどれだけ有能なのマーヤ? 俺、マジでこいつの事が怖いんだけれど? ……いや、今は
スヴェンに目的は複数あったが、一つは自分がおぼろげに覚えている
そこで得た情報はマオがブリタニアに所属していた頃の情報は以下のとおりである:
『ブリタニアの特殊部隊“
彼ら彼女ら用のKMF、『GX01シリーズ』。
『隊員全員が人造
『全員が副作用を抑える抑制剤に依存させられている実質上の奴隷』。
などなど。
最初、マオはギアス嚮団の場所も話そうか迷ったがスヴェンが横から彼女の言葉を遮ったことで断念した。
結果、彼女の言ったことはほぼ彼が知っている
そして幸か不幸か、彼の懸念していた一つがスッキリしたことに胸の高鳴りを感じて内心でガッツポーズをしていた。
「(良かったぁぁぁぁぁぁ! これで『
彼は何某アニメに出てきた“だぁぁから貴様はアホなのだ、ドモ〇よ!”が特徴的な人のように、その身一つでナイトメアと互角以上の格闘戦を繰り広げるゼロを思い浮かべていた。
実際、『ナイトメア・オブ・ナナリー』でのゼロはあのランスロット相手に肉弾戦で互角以上の動きを見せていた。
「(これでルルーシュが頭脳だけでなく、身体も超人だったら暴走時に手を付けられなかったよ……)」
マオから話を聞いた毒島達は様々な反応を見せていた。
「そう……ブリタニアに、そんな裏の顔もあっただなんて……」
「帝国ほどの大きな国ならば、そのような類に手を染めているだろうと睨んでいたが……」
「(うんうん。 平等な反応ありがとうアンジュリーゼに毒島。 問題は────)」
スヴェンはメラメラとメタ的な青白い炎を静かに背後に纏わせていたマーヤを横目で見る。
「(────うん。 完全にブチ切れていますね彼女。 『ギアス嚮団』と彼らの場所を知ったらどうするかは火を見るより明らかだ。)
無理もない。
マーヤが反ブリタニア活動に本腰を入れたきっかけ自体が『無垢な者たちを一方的にブリタニアが自分たちの都合で巻き込んだ』ことで、マーヤは目の前で養っていた日本人の孤児たちを殺されたのだ。
同じような境遇を持った孤児たちを、ブリタニアが自分たちの都合のいい道具に作り変えられるだけでなく使い潰されているのなら────
「────神様。」
「……なんだ? (『神様』呼びに戻っている────)」
「────その者たちには勿論天誅を下しますよね?」
「(顔は笑っているけれど目がヤバい。 このままだと一人でカチコミを決めそうだ。)
「……そうですか。」
マーヤの返事に間があったことに内心冷や汗を掻くスヴェンだが、次に毒島が口にした事で更に掻くこととなる。
「スバル、
「「「………………」」」
毒島の問いは言葉通りの意味……だけではなかった。
ギアスの事を知った彼女は色々な推測をし、それ等を確かめる意味も含めて上記を口にした。
だから敢えてマオたちが居るこの場でその質問をしたし、例え推測の中でも
毒島にとって、『スバル』は
スバルがナオトと同じ作り笑いを徹底している所ではなく、彼の言動だった。
彼はまるで周りが本の一ページ、あるいは舞台を見るような……『自分以外全てが役者』のように『観客的な第三者』の位置からものを見ていた。
これを常時できるのはよほどの馬鹿、または『今の自分』を『批評できる自分』というある種の才を持った人間がするようなことだった。
そして先日彼が自分たちに話した内容が、『キョウト』でも掴んでいなかった情報はとても『一介の情報屋』という枠を超え、マオが話した内容が『それ』をある程度裏付けるには十分過ぎた。
長い沈黙の末に、
「……俺の力は、『
「違うのか?」
「俺の能力はどちらかと言うと『研ぎ澄まされた勘』のような感覚に近い。
そこでスヴェンの視線に釣られてみたのはアパートに連れ込まれてからバクバクと出されたお菓子を次から次へと頬張るマオ。
「……ん?
「食うか喋るか先に決めろ。 それからでいいが、ギアス能力はどんな種類があるんだ? 条件とかはあるのか?」
マオは一瞬どうしようか迷った。
『
だがここでとある仮説を彼女は組み立てた。
「(もしかしたら、ボクを仲間の
「弱点は?」
「それも相手によって違うけれど……強いて言うのなら、ボクみたいな人工ギアスユーザーは『力を行使すれば使うほど命を削る』ってことぐらいが共通するかな?」
それを15,6歳の少女があっけらかんと言ったことに、毒島達は複雑な気分になる。
「今はもう、ボクに適用されないけれど。」
「「「え?」」」
「ね、
まるで狙っていたかのようにマオ(女)ははにかみながらスヴェンを悪戯っぽい笑顔で見る。
「(これぐらいは言ってもバチは無いじゃないんかな? これで君の株も上がるしお互いにWinWinじゃん。)」
「(こ、こここここいつぅぅぅぅ! いらんことををををををぉぉぉぉ?!) まぁな。 未だに試行錯誤中だが。」
マオ(女)は善意で話題を振っていたがスヴェンは仮面の下で更に焦って『それらしい』っぽいことを言った。
「そ、それはどう言う意味よ?」
「うーんとね、
「────ど、ドリル────?!」
「────さっきボクは力を使えば“命を削る”って言ったけれど、実際は“埋め込まれたガンのような細胞に侵食される”んだ。 で、
信じられないかもしれないけれど、ちょっと前までボクの手足は酷い発疹でさぁ? まるで酷いやけどを負ったような感じだったのが今では元通りなんだ。」
「(ほぉ? 能力が云々以前に、文武両道だな
毒島は感心した。
「(さすが神様です! まさか前もって罪のない子供たちを救う手立てを既に準備していたとは!)」
マーヤはとんでもない類推解釈をしながら感心した。
「ねぇ、なんでさっきからそいつの事を“お兄さん”って呼んでいるの?」
ブスッとしたアンジュリーゼは些細なことに気付き、不服そうな問いをマオに投げた。
「え? だってボクたちってば似ていない?」
マオは席から立ってそれをアピールするかのように自分の顎をスヴェンの頭の上に乗せる。
「ね?♪」
「勝手に人の頭に顎をつけるな。」
白い髪とほんのりと赤みがかかった目のマオが楽しそうに銀髪で同じく赤のかかった目のスヴェンの視線を返す。
スヴェンはその間もマオ(女)の事も、毒島達の事も、マオ(男)の事やこれからの事に対して考えると胃がキリキリと痛みだしていた。
「この匂いは……料理?」
「あ。 おかえりなさい、スバルさん。」
「あ、ああ……
中のキッチンからひょっこりと頭を出したのは記憶喪失をしたヴィレッタ(エプロン着用)。
そしてまたも思わず彼女の『おかえりなさい』に『ただいま』と反射的に返してしまう。
ちなみに『ベルマ』とは俺が付けた、ヴィレッタの仮の名だ。
最初は原作で扇が名付けた『千草』も考えたがちょっと……いや、かなり抵抗があって考え抜いた末に『ベルマ』となった。
…………別に安直な理由とかじゃないぞ?
決して“千草”と呼んだら原作での扇みたいになるから『ヴィレッタ・ヌゥ』からの『ヌゥ』で『
……思い付きでした、ハイ。
「また勝手に置いてあるモノを使わせて頂きました────」
「────構わない。 置いているだけの俺よりはマシだ。」
「ふぅ~ん?」
「あの……その子は誰ですか?」
このやり取りを見てニヤニヤしたマオ(女+眼帯+普通の私服着用)を見て
「お兄さん、
「何を思い浮かべているの知らんが違うと言っておく。」
「“お兄さん”? お二人は兄妹なのですか?」
「うん────!」
「────違う」
「?????」
「こいつは『とある経歴』で当分の間、預かることになった『マオ』だ。」
「よろしくね~、褐色のお姉さん!♪」
「ベルマだ、次はちゃんと名で呼べ。」
「ええ、よろしくお願いしますマオちゃん。」
「わは?! ちゃ、“ちゃん付け”……」
「(マオお前……こんなキャラだったのか? 或いはCC細胞で絶望を感じていたからとげとげしい態度だったのか?)」
「おお~~~! 美味しそう!」
「そう言ってもらうと嬉しいわ。 あ! それと洗濯ものも終わって畳んでおきましたし、明日の弁当分は既に取ってあります。」
「(う~ん、この手際の良さ!
「別に~?」
ちなみにこうやって何故マオを連れて来たかというと、彼女も協力的だったが監視対象だからだ。
通常ならば監視対象は個別にするものだが人手が足りない。
と言うのも
なのでマオには
「(あと単純に人手が足りないことはもう言ったか? 言ったか……) マオは少し普通の社会とは無縁だったから失礼をするかもしれないが大目に見てくれ。」
「え~?! そんな言い草ないでしょ?!」
「それとマオ、ベルマがおっとりしているからって
「……は~い。」
ピリリ! ピリリ!
「(ん? この番号……) すまん、急用がまた出来てしまった。 出かける。」
「あ、その前に軽食はいかがかしら?」
「もらおう。」
「(ニヤニヤニヤニヤニヤニヤ。)」
このやり取りにマオが何故かニヤケ顔をするが昴はそれを無視して外へと出る。
「(あとは毒島たちで彼女たちを見張られるだろう。 それに、もしマオ(女)の仮説があっているのならマオ(男)のギアスは────)────もしもし?」
『私だ。』
「お前だったのか。」
『そうだ、私だ。』
「『……………………………………………………」』
「それで?」
『いや、お前が突然なにか妙なことを言い出したから乗っただけだ。』
「(さいですか。 流石長生きしているだけあってノリがいいのか?)」
スバルの携帯に連絡をしたのはCCだった。
「何故連絡してきた?」
『以前、お前の事を黙っている代わりに私の頼みを聞くと言ったな? なら私を手伝え。』
「何を?」
『……私に付いて来て欲しい。』
「分かった。」
『……何も聞かないのか?』
「聞いてお前が答えるのか?」
『それもそうか。』
「どこに行けばいい?」
『クロヴィスランドとか言う遊園地の近くで落ち合おう。』
「……分かった。」
良し、これで
マオ……今度こそ、死んでもらう。
ちょっと休憩しにリフトブレイカーをプレイしてきます。 (´゚ω゚`)ノ