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あれから数日後、ついにお茶会の当日となった。
カレンは病弱設定通りなほど顔色が優れない様子だが……
何とか今日は乗り越えられる程度に立ち居振る舞いやダンス、刺繍に令嬢のたしなみも叩き込んだつもりだ。
少なくとも自分の指を針で刺すのは何とか十回のうち四回ほどまでに下げられた。
誰か俺をほめてくれ。
そして胃薬をくれ
「すば────“スヴェン”、大丈夫?」
車の中で、隣でフリルのついたドレスを着て自分を着飾ったカレンがそう声をかける。
やっぱり素材が良いだけに、似合うな。
「私は何も問題はございません、
「う゛。」
俺が面と向かってカレンをお嬢様呼びすることだけは慣れなかったらしく、彼女はバツが悪そうな顔をしてそっぽを向いてしまう。
「歯痒いなぁ……その、車の中だし? スヴェンは私のエスコート役なんだから、今ぐらいは────」
「────ダメです、お嬢様。 あと口調にお気をつけてください。」
「……はい。」
そう。
俺は一応貴族とはいえ、表向きの認識は殆んど『従者見習い』。
それに今尚も慣れさせておかないと、本番でボロが出る可能性が浮かんでくる。
「エスコートは本来、恋人や婚約者がする者。 それらが居なかった場合、家族の誰かが一緒にいるのが一般的です。」
「でも……スヴェンだし……」
いや、理由になっていないから。
俺が元々貴族だから嫡男であるナオトの代わりはギリギリオーケーだけど、本来は即ノータイムのアウトだからね?
さて、お茶会の家に着いたようだ。
…………
………
……
…
「う~~~……皆に見られているよ~。」
カレンは周りの者たちに引きつりそうな笑みを返しながらも小声でそう俺に話しかえる。
「はかなげな笑みをキープですよ。 『病弱』、『低血圧』、『箱入り』に集中集中。」
俺も
「……わかっているけど、身体のところどころがスースーする。 肩とかつま先で立っている足とか足首とか。」
“お前のラフなタンクトップとホットパンツ姿と比べて多いじゃねぇか?!”というツッコミ衝動を抑え込みながら腹話術を続ける。
「慣れろ。 出来るだけ露出の少ないドレスを決めただろう?」
「それでも……ねぇ昴、もうちょっと近くに寄ってよ────」
「────ダメです。 これ以上距離が近くなると『特別な相手』と周りから意識されます。」
「幼馴染だから、別に────」
「────そうなると噂は一発でそこら中の家に広がるな。 そして結果的に今より更に周りから根掘り葉掘り探られるぞ。 あとはあること無いこと流されて対応を見定めるとか。」
「グッ、これだからブリタニアはッ!」
今すぐにでも“どうどうどう”とじゃじゃ馬をなだめたい衝動を抑える。
今そうすると流石にカレンは爆発して、すべてが台無しになるだろう。
そして俺は顔に付いた
正直、馬に乗って逃げたい。
ヒヒーン。
『ほう、あれがシュタットフェルト家の……』
『やはり噂通り、気品ある美貌をお持ちですな。』
『大人に引けを取らぬ振る舞いとは微笑ましい……病弱なのが玉に瑕だな。』
『そうだな、跡取りができるかどうか……』
周りから聞こえてくる声に、俺は俺自身に『よくやった!』と気持ちを込めて内心のガッツポーズを決める。
原作を見て予想はしたが、素のカレンは良くて『お転婆』。 酷くて………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………
ま、まぁそれは今考えなくともいい。
そんな彼女に、ブリタニアご令嬢の立ち振る舞いを学ばせた俺に誰かご褒美をくれぇー!
「ようこそいらっしゃいました、私はアンジュリーゼ・
神様。 俺はこんなご褒美をご所望しておりませぬ。
何故そう思ったのかは以下の通りだ。
隣でカレンが主催者の家の一人である彼女に挨拶を交わしながら相手を見る。
赤みがかった目に長髪の金髪で、顔の右側には縦ロール。
そして極めつけはアホ毛。
リアルのアホ毛だ。
リアルアホ毛が二本とも『ピーン』っと天元突破しておるぞ。
相手は誰だと思っている?
完ッッッッッッッッ全に『クロスアンジュ』のアンジュじゃねぇかぁぁぁぁぁぁ?!
……ちょっと自分が覚えている姿より、幼いような気がするけど。
え? なに? どゆこと?
毒島だけならまだしも、なんで『クロスアンジュ』のアンジュがここに?
ナンデ?
「皇族の血が流れている身とはいえ、今の私は家族ともども政治に直接関わらない家としております。 どうか、ゆっくりとおくつろぎくださいませ。」
礼儀正しいアンジュリーゼがニッコリとした笑みを俺たちに向ける。
……………………ええのぉ~~~~。 (付け焼刃の)カレンとは大違いだ。
…………………
………………
……………
…………
………
……
…
「フゥ~。」
俺は洗った手をハンカチで拭きながら、長い溜息を吐き出した。
あれからアンジュ……いや、『アンジュリーゼ』のご家族と顔を合わせた後、カレンのフォローとダンスを立て続けにしてドッと疲れていた。
何せアンジュリーゼだけでもびっくりなのに、母の『ソフィア』、兄の『ジュリオ』、車いすに乗った妹の『シルヴィア』と出てきては認めざるを得ないだろう。
『完全に“クロスアンジュ”じゃねぇか?!』、と言い出したい。
言ったら言ったで狂言者を見るような視線が俺に突き刺さってカレンだけでなくシュタットフェルト家に泥を塗ることになるしクソビッチシュタットフェルト夫人に解雇される理由を与えてしまう。
いや、でもマジでなんで?
ナンデ?
まさか
意味が分からん。
毒島の時も『奴ら』が居たらやばいかと思ったが……幸いにも『奴ら』は頭を吹き飛ばせば何とかなるし、基本的にコードギアスはナイトメアがあるから全勝できる……筈だ。
だが流石に
そこまでになると、流石に生き残るだけで精一杯になるぞ?
余談だがカレンに足を踏まれそうになったのはダンスのリズムと、足運びを調整して何とか回避した。
『可愛いねぇ君?』
『え、あの……』
そう思いながら歩いていると、人気のないテラスの方から男女の声が聞こえてくる。
これはアレだな。
テンプレで言う、『貴族の男に絡まれた女性が言い寄られている』シチュエーションだ。
そして物陰から見た場面は案の定、テンプレの奴だった。
「こんな会場より、楽しいところに行かないか?」
「こ、困ります!」
酔った見慣れない貴族の男性が彼女の腕を掴んでいた。
ってよりにもよって絡まれているのが
しかも凄くしおらしい女性のように振舞っている……だと?
『クロスアンジュ』ならば、“触るなこのクソキモ豚野郎!”とか罵詈雑言を叫びながら金的攻撃している筈だろ?
………………だけどこうやって見過ごすのも、後味が悪いな。
ガッ!
「な、なんだ貴様は?!」
「あ、貴方は……」
「彼女が嫌がっているでしょう? その辺にしてはいかがでしょうか?」
俺はすぐにテラスに出ては男の腕を掴み、アンジュリーゼから彼を引き離して二人の間に入る。
「確か、シュタットフェルト家の────?」
「────ッ?!」
「はい、ミスルギ家の御令嬢に覚えられて至極光栄でございます。 大丈夫でしたか?」
「あ、はい! だ、大丈夫です!」
俺がニッコリとした笑顔を向けた先のアンジュリーゼはホッと胸を撫で下ろしていた。
いや、マジでなんでしおらしいの?
俺の覚えている『クロスアンジュ』じゃないぞ?
そもそも『コードギアス』の世界に『クロスアンジュ』ってどういうことやねん?
『毒島冴子』が居たことで今更感アリアリだが。
もしくは、
「シュタットフェルト家だと? …………そうか! その銀髪、見た目とふるまい……」
男が俺の腕を振り払い、見下すような笑みをする。
「貴様がハンセン家の『良く出来た
「ッ。」
「え?」
そんなあだ名になっているのか、大人社会での俺は。
だが後ろから来たアンジュリーゼの呆気に取られた声を窺うと、あまり広く知れ渡っていないみたいだな。
「けッ! イレヴンの混血が、由緒正しいザッド伯爵の息子である俺に意見か?! 偉くなったものだな?!」
そこはハンセン家が頑張っているみたいだな、目の前のようなアホが吹聴しなければ。
釘を刺すか。
「そうですか、ザッド伯爵のご子息でしたか。 では後日改めて、苦情を伯爵にこちらのミスルギ嬢と共に申し立てましょうか?」
「そ、その必要はない! 私は気分が悪い、これにて失礼する!」
男はそれを聞き顔色を悪くし、小物がよくするような捨てセリフを言ってからその場を去る。
「混血……」
「(ん?)」
俺がアンジュへと振り向くと────
「ッ。」
────彼女の俺に向ける視線は冷たいものだった。
「そうですか、これが混血……いえ、
「ミスルギ嬢────?」
俺が口を開けるとアンジュリーゼが今まで見せたことのない、スンとした表情を浮かべていた。
「────誰の許しを得て私に話しかけているのですか? 私が先に声をかけた幻惑でも? 思いあがらないでくださいませ。 野蛮で下品で汚らわしい、混ざりモノの分際で。」
「…………………………………………………………」
彼女が自分に向けた視線と豹変ぶりに少し堪えたが、幸いに長年もの間に俺が鍛え上げた仮面は分厚い。
仮面が無ければ動揺が漏れていたかもしれなかったが……
さっきも言ったが幸い、仮面は分厚かった。
今、胸の奥で感じているモノは
だから、大丈夫だ。
大丈夫。
大丈夫だ。
…………
………
……
…
「スヴェン……大丈夫?」
『病弱設定』を生かし、『体調を崩したので途中で帰る作戦(カレン命名)』を実行した俺とカレンは今、帰りの車の中だ。
全て、前もって考えたプラン通りだ。
だから、何も────
「────スヴェン?」
俺は仮面をつけなおす。
「ああ、失礼しましたお嬢様。 少々考えごとをしておりました。」
ポス。
ナデナデナデ。
「ひぅえ?!」
「あ。 申し訳ございません、失礼致しましたお嬢様。」
ハンセン家から日本に島流しをされた時も動揺したと思ったが……
どうやら今回の方が、ダメージがかなり大きかったようだ。
紅月家で世話になっていた時みたいに、思わずカレンの頭を撫でてしまった。
でも、あれが一般的なブリタニア貴族の精神なんだよな。
『ブリタニア人以外は自分たちとは違う、人間ですらない。』
再度、思い知らされたよ。
「やっぱり……アは、嫌いだ。」
「ん? 何か言いましたか、お嬢様?」
「え?! う、ううん……なんでも、ないの。」
「さようですか。」
俺ですらほとんど聞き取れない何かをカレンはボソッと言った気がしたが、彼女が否定するのなら掘り下げる必要はない。
それを最後に、俺たちの間に会話は無いままシュタットフェルト家の屋敷へと帰った。
尚かなり後になって知ったことだがこのお茶会の数年後に、こともあろうことかアンジュリーゼは自身のデビュタントでリィード伯爵のご子息に彼女の家族が実はその昔、ブリタニアが今より小さな帝国であった頃に日本との和平交渉を決める際に日本から送られた子女を先祖に持っていると暴露された。
彼女のミドルネームの『
だが俺が上記を知ることとなるのは、さっき記入した通りに今から更に後。
変わり果てた様子の
と言う訳でブリタニア上級階級貴族の精神を詰め込んだ初期アンジュリーゼでした。
クロスアンジュ1話アンジュリーゼ:あら? 子がノーマだったのですか? ならば次は普通の子供を産めばよいのです。
ノーマのママ: キィエエェェェェェェ! ←発狂&襲い掛かろうとする
上記を初めて見たときの世界観のインパクトが未だ鮮明に…… (汗汗汗汗汗