小心者、コードギアスの世界を生き残る。   作:haru970

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遅くなりました申し訳ございません、次話です!

お読み頂き誠にありがとうございます、楽しんでいただければ幸いです! m(_ _)m


第55話 大自然の神根島

 ザザァ……ザザァ……

 

 リズミカルな波の音で意識が覚醒し始める。

 

 ゆっくり……ゆっくりとしつつも力強く浜辺に打ち寄せるそれは子守唄のように()の意識を眠りへと再び誘う。

 

 波と同じように目を開けると、うつ伏せになっていることに気が付く。

 日光は背中と足の裏をマッサージするかのように心地よく、足元がひんやりとしていることから水に浸かっていることが伺える。

 

 このまま横になって、もう一度眠たい。

 

「ッ……」

 

 

 スバルがいつも反ブリタニア活動で来ているライダースーツと同じ物を着ていたアンジュリーゼは声にならない息を出して体を起こし、浜辺から離れてヘルメットを取ってから長い金色の髪をなびかせてやっとホッとする。

 

「フゥー……(流石スヴェン……『スバル』の選んだ物だけあって凄い性能ね。)」

 

 そう思いながらしみじみと打ち身はあるモノの切り傷や塩水がスーツの中にあるのは感じられなかった。

 

 前方はリゾート地のように青い海。

 後方には人の手が入った様子のない森。

 

『これで使用人と一緒に来ていたら』とふと思うと、なぜ自分がここにいるのか不思議に思って記憶を彼女は呼び起こす。

 

 確か、『帝国宰相が新兵器のテストで黒の騎士団を一掃しようとするらしい』という事で、その計画に便乗して『イレギュラーズ』という少年兵たちを死んだことにして解放しつつ司令官を生け捕り、尋問……

 でもいざ相対するとランスロットと殆んど瓜二つの『青兜』をすv────『スバル』が相手をすることになって、その間にマオとマオが敵の司令官を取り押さえるまで私たちはそのまま作戦続行。

 

 そしてマオとマオ────もう面倒くさいから“マオーズ” ────が司令官を確保したと聞いて何故かその司令官が自爆して女のマオの手当てのために私とイレギュラーズの二人以外が戦線離脱。

 

 冴子に言われて私がスヴェン────『スバル』の援護に向かうと彼の機体はすでにボロボロで相手が戦線離脱したとのことで、冴子たちに『スバル』の機体回収を終えると今度は大多数のミサイルが接近しているということで『スバル』は私の機体に乗ったままその場に急行するよう命令。

 

 尋常ではない焦りぶりから冴子も渋々『イレギュラーズ』二人を付けてもらってやっと納得して、今度は空飛ぶ戦艦に度肝を抜かれて『スバル』の言うとおりに新型の弾丸を撃って、それから………

 

 ……………………それからが全然、思い出s────

 

「────ッ。」

 

 

 アンジュリーゼが思い出そうとするとズキリと頭が痛むと同時に視界が眩さが増す。

 

 ズキズキとする頭痛から彼女は目を瞑って深呼吸をすると次第に頭の痛みと、それから伴う耳鳴りも引いていく。

 

「……太陽が高い間にまずは自分の状態と、手持ちのものと、周辺を見ることね。」

 

 アンジュリーゼは声に出しながら、一通りに『もしも孤立した場合』でマーヤから教わったことを口に出して自分を冷静にさせながら行動に出る。

 

「(手足と関節にナイトメア操縦からくる負担以外は感じられないわね。 骨も……一応折れてはいないと思う。)」

 

 彼女は腰につけていたポーチ、ホルスターの中に入っていた拳銃とナイフを確認する。

 

「(うん、ポーチの中身は全部あるみたいね。 耳のインカムはドサクサの時に外れたのかしら? 拳銃も……『スバル』の言う通りなら塩水に浸かっていたとしても撃つことが出来る……筈。)」

 

 彼女は一瞬試し撃ちをするかしないか考えるが、もしここが式根島だったとしたら不用意に自分の位置をブリタニアの勢力圏内で明かすことになってしまう。

 

「(『さぷれっさー』というヤツを付けているけれど“音が完全に消えることはないから用心しろ”、か……こういうことなら一度撃って見ればよかったわ。 それにしても……)」

 

 アンジュリーゼは動く度にパキパキと音を出して塩などが落ちるライダースーツで嫌でも自分が海水に浸かっていたことを意識される。

 

「近くにシャワー室は……無いっぽいから川か滝があればいいのだけれど……よいっしょと。」

 

 勢いをつけて彼女は立ち上がって森沿いに探索を始めると滝特有の『ドドドドド!』という音が聞こえる。

 

「滝? やったわ!」

 

 アンジュリーゼは笑顔になりながら外したヘルメットを片手で持ちながらルンルン気分で小走りになる。

 

「やったー!」

 

 彼女が辿り着いたのは予想通り、大きな音を出す滝だった。

 彼女が試しに小指を水につけ、味見をすると真水だったことに彼女は次々とライダースーツや下に着込んでいたプロテクターなどを脱ぎ捨てて生まれた姿(すっぽんぽん)のまま勢いよく水の中へと飛び込む。

 

 ザパァ!

 

 「ブハァァァ! 気持ち良い~!」

 

 アンジュリーゼは身体がさっぱりしたことで大きな声を出し、ふいに視線を感じては目を開けながら振り返る。

 

「隠れ巨乳……」

 

 どこか悔しそうなアリスと────

 

「……ええっと?」

 

 ────ルクレティアの二人がぐったりとした様子のスバルを担いでいた。

 

 いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?!」

 

 自分の裸を出来るだけ手と腕で覆うとする涙目のアンジュリーゼの叫び声の所為で近くの鳥や動物は驚いてその場から去っていく。

 

 

 

 


 

 

 

「……ここは?」

 

 スザクは気が付くと、砂浜に倒れていた。

 

「……インカムが無い……それに、この感じは式根島なのか?」

 

 そしてどれだけ考えても、最後に思い出せるのはゼロに対して『父親を事故で殺してしまった』という『懺悔』にも似た『告白(叫び)』だった。

 

 

 彼が思い出すのは7年前、実の父で首相である枢木ゲンブは徹底抗戦を表では唱えながらも裏では保身に走っていた。 

 当時子供でありガキ大将だったスザクは今ほど周りのことに対して詳しいことは知らず、ただ父親が『夜な夜などこかに出かけては数日後にゲッソリ、またはイライラしながら帰ってくる』を以前より頻繁になったことを『首相ってやっぱ大変だなぁ~』と軽く考えていた。

 

 夜遅くに目が覚め、トイレからの帰り際に父親の様子を密かに見ようと思って部屋の近くに忍び寄ったときに『総選挙後の婚約を発表』を()()聞いていなければ。

 そして『父親が再婚する』ことにスザクが興味を持ってその場に留まり、()()『ナナリー』と『政治』という単語が聞こえていなければ。

 さらに彼がこのことをルルーシュに『そういえばこれってどういう意味?』と思い付きで()()相談していなければ。

 

 あの日、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 その日は熱い真夏、皇歴2010年の7月。

 ルルーシュとナナリーがいる筈の土蔵にスザクが何時もより早く(藤堂の道場へ通うのをその日はサボって)行くと中は明らかに争った跡があった。

 そこで見つけたのはルルーシュからのメッセージ、彼とスザクそしてナナリーしか知らない子供の遊びの過程で作られた隠語。

 

『危険』、『ナナリー』、『父親』。

 

 これらのキーワードでスザクは藤堂に怒鳴られる覚悟でその日、ゲンブがいる筈の場所を聞きだして振り向かずにその場へと走り出すと毒島が彼の慌てようから急遽自分専用のSPに命令し、車を出させた。

 

 ゲンブがいると思われる場所につくと彼のSPたちが問答無用に毒島の車に発砲したことでただ事ではないと悟った毒島のSPが応戦、スザクと毒島そしてSP数名が建物内部の地下壕へと突入。

 

 ブリタニアの官僚たちとの密会予定だったからか辺鄙かつ護衛が少なかったことで侵入は成功し、スザクはようやく父親のいるはずの部屋へと入ると目に見えたのは

 

 ────こめかみに青筋を浮かべ、拳の皮を痛めた手で掴んでいた電話に叫ぶ父親。

 ────抵抗したからか、体中に殴られた跡を残しながら気を失ったかのようなルルーシュ。

 ────怪我がないが、周りがうるさいのに全く反応しないナナリーの姿。

 

親父(おやじ)! これは一体どういうことだ────?!』

『────スザク! 外の騒動は貴様の所為か!』

 

『そんなことはどうだっていい! 何でルルーシュとナナリーが────?!』

『────日本は負けるのだ! だからこれは日本が生き残るために必要なことだ! そして貴様の所為で、先ほど交渉が────!』

『────こ、子供を殴ってまですることなのかよ────?!』

『────黙れ! 貴様に何がわかるというのだ?! ブリタニアに上手く取り入れれば────!』

『────日本の為に戦っている皆はどうするんだ?! アンタの“徹底抗戦宣言”で、戦っている連中は今でもアンタの為に死んでいっているんだぞ?!』

 

『どちらにせよこの国が負けるのは必然なのだ! ならば今のうちにウミ(不穏分子)を排除し、次の時代に備えるのがベストだ!』

 

『なんだよそれ?! なんなんだよ────?!』

『────政治は綺麗ごとでは済まされんのだ────!』

『────そんなことはどうでもいい! ルルーシュたちを────!』

 『邪魔をするのなら貴様は銃殺刑だ!』

 

『ッ?! うあぁぁぁぁぁぁ!!!

 

 ゲンブが拳銃を手にして引き金を引いたとき、スザクは既に走り出していた。

 

 今まで『毒島(遠慮無し)』という肝が冷えるような相手を嫌というほどしてきたスザクは、威嚇の銃弾に怯むことなくゲンブの歳で弱った膝を蹴って無理やり彼を転倒させてから銃を取り上げようとする。

 

 だが所詮は子供と成人男性、体格にも筋力やリーチといった様々な要因にも『取っ組み合い』はスザクにとって絶望的だった。

 

カッ?! カカッ?!

 

 上をとったゲンブに本気で首を絞められながら頭を床に押し付けられたスザクはミシミシと自分の頚椎(けいつい)が音を鳴らすのを早くなる心拍音とともに耳朶で聞きながら、生存本能から息を必死にしようと暴れる。

 

『貴様の所為だ! 貴様! 貴様が! ()()()()()()()()()ぁぁぁぁぁぁ!!!

 

 その時、スザクの手にガッチリと吸い込まれるように冷たい鉄の感触がして彼は無意識にそれを握る。

 

 バスッ!

 

『かッ?! ……ば……バカ者、が……』

 

 乾いた音ともにゲンブの目が見開き、彼の表情は驚愕へと変わるとそのままスザクを覆うように彼の体から力が抜けて倒れていき、スザクは咳をしながらズルズルとゲンブの下から体を抜け出す。

 

ゲハッ! ゴホッ、ゴホッ!

 

『わ、私が死ねば……日本は……日、本は……貴様、ごときに……』

 

 譫言のように、スザクを恨めしそうに見ていたゲンブはそう言い続ける。

 時折、喉に液体が絡むような音を出しても。

 彼の上半身の周りに血がゆっくりと広がっても。

 息を引き取り、ゲンブの目が虚ろになる最後の瞬間まで。

 

 彼はずっと、スザクを────

 

『────無事かスザ────これは?!』

 

 その時ようやく、返り血の浴びた毒島が部屋に入ると見たことに足を止めて息を素早く飲む。

 

 彼女が見た放心したようなスザクが、己の父親をボーっと見ていたから……ではない。

 ボコボコにされた様子のルルーシュでもない。

 気を失ったナナリーでもない。

 

 毒島の目に入ったのは返り血でべっとりとしていたスザクの手に握られていた拳銃と、撃たれた様子のゲンブだった遺体。

 

『す、スザク……お前、まさか────?』

 

 毒島の声でスザクはハッとしたような顔をして拳銃を手放し、自分の震えだす手を見てから毒島を正気の失いかけた涙目で口を開ける。

 

 『────ち、ち、違う! 俺じゃ! 俺じゃない! 俺の! 俺の所為じゃない! でないと俺が! 俺たちが死んでいたんだ! 日本が! めちゃくちゃになっていたんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁ?!?!?!?!』

 

『………………』

 

 毒島は何も言わずに目一杯叫んだことで喉を枯れさせ、荒い息をしながら泣くスザクへ歩いて自らの頭を抱える彼の肩に手を乗せると、スザクが怯えたようにびくりと体を跳ねさせる。

 

『そうか、()()()()()()()()()()()のだな? ご立派な判断だ。』

 

 そのまま彼女はハンカチを出して拳銃から返り血と指紋をふき取ってから倒れたゲンブにそれを握らせると彼女のSPが入ってくる。

 

『お嬢! ご無事で────な?! こ、これは────?!』

『────枢木首相は責任を感じ、ブリタニアの客人たち(皇子と皇女)を道連れに自決をなされた! 首相の護衛たちは彼の出る行動に内部分裂を起こした!  おじいちゃん(桐原泰三)に今すぐ連絡を取ってそれ等を全て伝えろ! 良いな?!』

 

『で、ですが────』

 

 SPたちは未だにガタガタ震え、手が鮮血で汚れていたスザクをチラッと見る。

 

『────貴様ら! このまま日本を混乱に落とす気か?! 下手をすれば内部分裂か内乱でブリタニア帝国への反抗どころではなくなるのだぞ! わかったのならスザクとあそこの子供たちを今すぐこの場から連れ出して出来るだけ離れさせろ!』

 

『『『『『は、ハッ!』』』』』

 

 数名のSPたちがスザク、ルルーシュ、ナナリーたちを連れ出している間に毒島はさっきから初めて剣術ではないことにフル回転で動かしていた思考でおじいちゃん(桐原泰三)の(ゲッソリとするほどの)孫バカムーヴをしながら自慢話を例にし、確認をしていく。

 

『(指紋は消した。 動機も現場も今いる奴らにも一応徹底させた、加害者を被害者に転じさせた。 おじいちゃんにも連絡をした。 あとは────)』

 

 

 

 揺れる車内でスザクは目を開け、これに気付いた日本軍の者が口を開ける。

 

『大丈夫ですか?』

 

『……る、ルルーシュたちは?!』

 

『お友達ならば隣で寝ているよ?』

 

 スザクはスゥスゥと寝息をするルルーシュとナナリーにホッとするが、車を運転していた兵士の言葉に緊張する。

 

『あの、自分は何も聞かされていないのですが何かあったのでしょうか? “枢木首相が居なくなった”と騒いでいるのですが……』

 

『……死んだ。』

 

『え?!』

 

『親父は……自決した……』

 

 

 


 

 

「(思えば、あの時慌てながら起きたルルーシュに“交渉に失敗した親父(ゲンブ)は自決した”と僕が言ったんだっけ……うん、事故だったんだあれは……

 いや、頭を切り替えよう。 今は現状の事だ。 今まで歩いてここが式根島ではない事が分かった。 ならば、水を確保してビバークする準備をしよう。)」

 

 そう思い、スザクは森の中へと進んでいく。

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

「……」

 

 別の場所では、毒島が重い瞼を開けて完全に覚醒していない思考のままディーナ・シー(潜水艦)の個室の中でベッドに寝転びながら腕を胸と額に乗せて天井を見上げる。

 

 ドアからベッドのある場所までは脱ぎ捨てたと思われるライダースーツに内側のプロテクター。

 

 そして紫のブラ。

 

 毒島は所謂『パンイチ』状態でベッドの上にいた。

 

「(久しぶりに『枢木ゲンブ事件』の夢を見たな。 思えばあの時から私は『子供扱い』されなくなったな。)」

 

 何を隠そう、幼い毒島が見せた機転と手腕で桐原がいつも自慢げに言う『ワシの冴ちゃんは世界イチィィィィィィィィィ!』に実が伴ったからかその日から彼女への接し方がガラリと変わった。

 

 あの日から彼女は『お嬢』から『令嬢』の待遇になり、必死にその期待を裏切らない為頑張ってきた。

 

 そしてそれが更なる過大評価を呼び寄せ、終わりのない『イタチごっこ』となり始めていた。

 

「(だが、彼との再会は思わぬ幸運だった。)」

 

 そこで気が張り詰めそうになり、夜な夜な租界へ出てのストレス発散が過激になりそうなところで毒島は(スヴェン)と幸運にも再び出会った。

 

 そこからは『精神的に成長した毒島』を披露しつつ、昔のように接してくれる彼によって『ストレス発散』が大きな事件になる前で踏み止められただけでなく、本格的な反ブリタニア活動へと繋がった。

 

「(本当に、彼は凄い男だ。)」

 

 ピピッ♪ ピピッ♪

 

 近くの通信機器から音が鳴り、彼女がボタンを押すとマーヤの声が出てくる。

 

『冴子、マオちゃんが目を覚ましたわ。』

 

「そうか。 あとで船医に礼を言おう。」

 

『ええ、酷い出血だったけれど何とかなりそう。 でもすごいわ、あとも残らないなんて。』

 

「桐原殿は(特に私のこととなると)遠慮を知らないからな。」

 

『それと、ブリタニア軍の警戒網の穴を数か所見つけてスバルたちが居ると思われる島を絞り込めたと思う。』

 

「了解した、サンチアたちにも協力してもらうと伝えてくれ。」

 

 さっきまでヌボ~っとした暗い雰囲気は陰も見せないほどキリリと気を引き締めた毒島がそう返す。

 

「(しかし、昴はどこまで未来を見渡しているのだ? 潜水艦に手持ち散策用のレーダーや赤外線とサーモゴーグルに音とシルエットが低いモーター付き小型船……()()()()()()()()()()()()()()()()()()……私はちゃんと奴の助けになっているのだろうか? ……少しでも頼りになれるよう、精進しないとな。)」

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

 

 スザクはどんどんと滝の音の方向へと歩いていくと次第に『ソレ』が見えてくる。

 

「こ、小屋?」

 

 彼が見たのは着替え室のような『小屋』と、滝が落ちる場所を囲うような枝を使った『しきり』だった。

 

「(ここは、どこかの私有地なのか? 少なくとも、無人島ではない。 ならば通信機器を使わせてもらえば……いや、そもそも社会から隠遁している人たちなのかも────ん?!)」

 

 小屋の簡易的な扉が開くとスザクは思わず身を隠す。

 

「ハァ~、さっぱりした!」

 

 扉から出てきたのは黒の騎士団の上着を羽織った、満足げで髪を下したカレンだった。

 

「え、カレン?!」

 

「うぃえ?! だ、誰?!」

 

「あ。 ぼ、僕だよ! スz────って黒の騎士団の制服?!」

 

「スザク?!」

 

 カレンとスザクは互いの事にビックリし、カレンは一気に距離を詰めてポーチの仕込みナイフでスザクを攻撃する。

 

「はぁぁぁぁ────ぐあ?!」

 

 が、スザクはそれを一本背負いの応用で彼女の身体ごと飛ばし、彼女は近くの岩に背中を打ってしまい、羽織っていた上着が近くの茂みに落ちる。

 

 スザクは一気にこの隙にマウントを取り、カレンに質問を投げる。

 

「カレン・シュタットフェルト! 何で君が────?!」

「────その名前で呼ぶな、裏切り者が! 私は紅月カレン、日本人よ!」

 

「ッ……じゃあ、本当に黒の騎士団────」

「────そうよ! 今更隠すつもりは無いわ!」

 

「なら答えろ! この島は以前から黒の騎士団の活動に使われていたのか?!」

 

「ハァ~? あんたが尻尾を振るブリタニアが前から居たんでしょうが?!」

 

「「………………………………………………え?」」

 

 カレンとスザクがお互い持っていた疑惑の言葉に呆気に取られるが、スザクがいち早く復活する。

 

「では紅月カレン、君を拘束する。 容疑はブリタニアへの反逆罪だ。」

 

「ハン! 言ってな裏切り者! 私の仲間が来れば、捕虜になるのはアンタの方よ!」

 

「……ウワァ……枢木()()って、見た目と違って肉食派?」

 

 「「え?!」」

 

 カレンとスザクが第三者の声に更に驚いてみるとそこには明らかに今まで見たパイロットスーツとは違うスーツを来た色白の少女────アリスがスザクを軽蔑するような目で見ていた。

 

「は、はぁ?! ちちち違う! これは────!」

「────ぬおぉぉぉぉぉぉ!」

 

 カレンはスザクの重心が一瞬揺らいだ隙をついて抜け出し、スザクを『少佐』と呼んだことで直感的にアリスがブリタニア軍に関わりがあるという考えから、彼女(アリス)を人質にしようと行動に出た。

 

「え────ぐぇ?!」

 

 だがアリスが消えたと思えば握られていたはずの仕込みナイフは手から払い落とされ、強烈な痛みがさっき打った腰に誕生したことから『強打された』と本能的に理解しながら前のめりに倒れて思わず手を痛む腰に添えて声にならない息を出しながら涙目になる。

 

「~~~~~?!」

 

「あ。 ごめんカレン先輩。 大丈夫……そうじゃないわね。」

 

「アリス……なのかい? それに、僕の事を『少佐』って────?」

「────あー、うん。 言葉の綾。」

 

 パサッ。

 

「それには無理があるぞ。」

 

「いちいちウッサイわね。」

 

「……あぇ? (スバル)?」

 

 そこにヘルメットとライダースーツを来たスバルの声にカレンが見上げると、もう一人同じ服装とヘルメットをした(ボディラインから察するに)女性に黒の騎士団制服をカレンに羽織らせる。

 

「(『昴』、だって? 昔、あの毒島を泣かせた???)」

 

 スザクが遠い過去、珍しく藤堂に泣きついていた幼い毒島を思い出す。

 もし、彼がさっき『枢木ゲンブ』の事を思い出していなければ、たどり着くことは無かっただろう。

 

「………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………」

 

 静かに黒塗りされたバイザー越しに猛烈な睨みを利かせたジト目(と思われる)視線を向けられたカレンがタジタジになりながら黒の騎士団の上着で自分を出来るだけ覆いながら更に慌てる。

 

「あぁぁぁぁぁ!? ごごごごごごごご、ごめん!」

 

 「“ごめん”で済むのなら治安当局なぞ要らん。」

 

「えっと………………これってどういうこと、かな?」

 

「「「………………………………………………」」」

 

(天然を発揮した)スザクの純粋な質問にその場にいた誰もが黙ってしまう。




次話にて何故小屋とかが出来ているのか明かすつもりです。 (汗
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