小心者、コードギアスの世界を生き残る。   作:haru970

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お読み頂き誠にありがとうございます、楽しんでいただければ幸いです!

視点が所々変わります、ご了くださいますようお願い申し上げます。 m(;_ _ )m

8/12/2022 9:05
豚には野良と農園のものでは別次元ですのでちょこっとだけ修正いたしました!


第56話 大自然の神根島2

「えっと………………これってどういうこと、かな?」

 

 俺が知りたいよスザク。

 

 誰か俺に教えてくれちょ。

 

 何せ俺が目を覚ましたらアリスとルクレティアがいるわ、アンジュリーゼがいつの間にか『アンジュ』っぽくなっていたわ、()()()()()()()()()()()()()()()わで天手古舞だったよ。

 

 

 

 


 

 

 

 スバルは知る由もなかったが、彼は『未完成ハドロン砲拡散ドカ~ン♪』後はアンジュリーゼのようにいつの間にか気を失いながらも同じ島の周辺に来ていたが、彼は彼女と違ってそのまま海の中にいた。

 

 幸いにもアリスとルクレティアが近くの砂浜で気が付き、海の中を漂う彼をすぐに海から担ぎ出してさほど大きな問題には至らなかったが。

 

「おっもい!」

 

「まぁ、大人の男の人ですから。」

 

 海を潜ってベタつくパイロットスーツや髪の毛にイライラするアリスと違い、ルクレティアはどこかホクホクしていた。

 

「……アンタ、どこか嬉しくなっていない?」

 

「気の所為ですよアリスちゃん。 (ニコニコニコニコ。)」

 

「そ、そう? ……でも、参ったわね。 ここはまだ式根島、ルクレティア?」

 

 ルクレティアが目を閉じて、額にギアスの紋章が数秒間程浮かび上がっては消える。

 

「……地形が似ているけれど、ここは違う島みたい。 少なくとも、私が感知できる範囲内にブリタニアの基地らしきものが無かったわ。 でも、ビバークできそうな滝があった。」

 

「よし。 ならそこを目指しながら私が周囲の警戒するから、ルクレティアは周辺地形の把握をお願いね。 そこから生活基盤を築かなければいけなくなるかも知れないから────っと?! ほんっとこいつ(スバル)重いわね! ……てか生きているの?」

 

「はい、ちゃんと息はしているみたいですよ?」

 

 そこからアリスはルクレティアと共に気を失ったスバルを担ぎながら滝のある場所へと着くと前話で裸体になったアンジュリーゼが水の中から勢いよく出るのを目撃することに。

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

 ちゃぷ。

 

 ルクレティアが滝の落ちている場所の水を手ですくい上げて目を凝らす。

 

「そのまま飲めそうなほど透き通って綺麗ですけれど……」

 

「ダメよ。 こんな状況下で軽率な行動をとって、お腹を下すような状態に陥ったらすぐに脱水症状になるのは分かるでしょ?」

 

 グサッ。

 

「ええ。 まずはろ過するか蒸留するかしないと、とても口にする勇気はないですね。」

 

 グサグサッ。

 

「それに私たちのように着の身着のままのスーツだけでもそれぐらいわかるわよね。」

 

 グサグサグサッ。

 

「ええ。 ましてやサバイバルキットを一通り持っているのなら惜しみなく安全と効率を選ぶでしょう♪」

 

 グサグサグサグサグサグサグサッ。

 

「グッ……」

 

 アリスとルクレティアがテキパキとビバークの用意をする中、無数のメタ矢(刺々しいコメント)がどんどんと小さくなっていくアンジュリーゼに容赦なく突き刺さっていく。

 

 彼女が裸を見られて叫び終え、落ち着いてから互いに持っているものを見せ合う……といっても、アリスたちは文字通りパイロットスーツ以外何も持っていなかったのだが。

 

「??? でもパイロットだって拳銃ぐらい持つでしょ?」

 

「貴族のボンボンらしい答えね。 私たちは奴隷兵よ? ナイトメアに乗るのに個人用の武器なんて持たせるわけないじゃない。」

 

「あ……」

 

「まぁ、今ではそれも“元”ですけれどね。」

 

 アリスのムスッとした顔と、ルクレティアの苦笑いにアンジュリーゼは軽率な言葉を出したことに気まずくなる。

 

 彼女が持っていたポーチ、拳銃、ナイフを見せてこれから更に気まずくなるが。

 

「ちょっと?! 何よこのポーチの中身?!」

 

「浄水タブレット、石鹸、消毒液、裁縫セットは勿論の事、ファイヤースターターにナイフと拳銃まで?!」

 

「サバイバルに一通り必要なものが揃っているじゃない?!」

 

「あら? でもこれは見たことの無いタイプの拳銃ですね?」

 

「あと重い……」

 

「こ、これはスヴェン特製の『コルトガバメント』って呼ぶらしいわ。 例え水の中でも火の中でも泥水や海水に浸っていても撃てる代物よ。」

 

「「はぁぁぁぁぁ?!」」

 

 アリスとルクレティアは『そんなバカな?!』と言いたそうな顔と素っ頓狂な声を出す。

 

 忘れがちだがコードギアスの世界は電気技術が発達している世界。

 故に液体に装備が浸るのは例外的なモノを除いて極力避けるのが当たり前の世界であり、その中でも銃のような精密機械も含まれている。

 

 海中用や軍用ならばある程度対策が施されているとはいえ、本来の銃ならば海水に浸ることなど致命的であり、ちゃんと手入れを済ませていない状態で使おうものならば内蔵されたサクラダイトの暴発も十分あり得る。

 

 そんな世界観の軍人に『どんな過酷な状況でも点検や装備の変換無しで撃てる銃』など、眉唾物以外なんでもない。

 

「(……こいつじゃなければ“ふざけんな!”って言っている所なのよねぇ~。)」

 

 アリスが(ヘルメットを取ってからも)いまだに気を失って静かに息をするスバル(森乃モード)を見る。

 

「これが素顔……逞しいお顔♪

 

「(ルクレティアが何か言った様子だけれど話を進めよう。) それで、アンジュリーゼ先輩にサバイバル経験は?」

 

「あ、あるわけないでしょ?!」

 

「でしょうね。」

 

「そういうアンタたちはあるの?!」

 

「ええ、あるけど?」

 

「え。 あ。」

 

 またも自分が軽率なことを言い返し気味に言ったことに、アンジュリーゼは口を噤む。

 彼女でも想像できるように、アリスたち特殊名誉外人部隊(イレギュラーズ)は過酷な状況下の作戦が多かった。

 

「でも意外とカラスって美味しいのよね。」

 

「あと犬も絶品でした♪」

 

「ぅえ。」

 

 しみじみとしながら頷くアリスとルクレティアの言ったことに、アンジュリーゼは思わず『ウゲェ』とした表情とともに舌を出す。

 

「それはそうと、仮の拠点にうってつけでかなりいい場所ねここは。 拳銃、一応借りるわよ。」

 

「え?」

 

「では私は焚火の木々やむしろ(マット)用の葉や木の実など探してきます。」

 

「え? え? え?」

 

「というわけで先輩はそいつ(スバル)を看ていて。」

 

「…………………………」

 

 まるで慣れている動作と行動にアンジュリーゼは理解がやっと追いつくとアリスとルクレティアの二人は既に滝から少しだけ離れたその場にいなかった。

 

「あ……えっと……スヴェンの体を拭こうかな────?」

 

 パキッ。

 

「────ヒッ?!」

 

 そう言いながら彼女がハンカチを出していると近くで枝が折れる音の彼女がビクリとする。

 

「な、なによ貴方たち? 声ぐらい────」

「────ギュイ。」

 

 アンジュリーゼはてっきりアリスかルクレティアが引き返したと思い、声を出しながらが振り返ってみたのは小さめのイノシシだった。

 

「え。」

 

「フゴッ?」

 

 もし少しでも考えていれば、この状況で声をかけずに近寄ってくるのは野良の動物か敵かの二択なのだが……

 

 軍人でもない、少々戦いに一般人より覚えのあるだけの彼女に『そのような判断を瞬時に下せ』というのは酷だろう。

 

「うひゃああああああ?! ぶ、豚ぁぁぁぁぁ?!」

 

 さて、野良の動物相手に彼女(アンジュリーゼ)のように手をバタバタさせながら大声を出して慌てふためくのは『一応怯ませる効果はある』と記入しよう。

 

「あ、あっち行ってなさいよ!」

 

()()()()()()()()()()()()()』、だが。

 

「グゴ?! ブギィィィィィィィ!!!」

 

 アンジュリーゼは近くの石をイノシシに投げつけるとイノシシは明らかな敵対心をむき出しにしながら吠え、アンジュリーゼめがけて突進するため体勢を低くする。

 

「いやぁぁぁぁ! じゅ、銃────は?! あ、うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!

 

 腰にあると思った拳銃に手を伸ばすと先ほどアリスが借りていったのを思い出してできるだけ叫んで彼女かルクレティアが気付くのに希望を持つ。

 

 だがイノシシは彼女の叫びを威嚇と勘違いし、突進を始める。

 

「ぎゃああああ?! キキキキキタァァァァ?! スヴェン、起きて! 起きてぇぇぇぇぇぇ!!!!!!

 

 彼女は未だに気を失っているスヴェンに呼びかけながら彼の頬をぺちぺちと叩くが効果はなく、彼の体を引っ張ろうとする。

 

 ドッ!

 

「グハッ?!」

 

 スヴェンを何とか突進の直線状から押し出して自分も直撃は免れたものの、イノシシの突進はアンジュリーゼをかすり、彼女は押し倒されて地面を転がりながら脇腹を抑えて悶える。

 

「(いっっっっっっっったぁぁぁぁぁい!)」

 

 小さくともイノシシは農園などで家畜化された豚などと違い、その身のほとんどが強靭な筋肉であり、かすっただけでもかなりのダメージとなる。

 

 ボタボタッ。

 

「ぁ……」

 

 さらに落ちた時に頭を強く打ったのか鼻と顔から血が出てそれらが地面へと落ちるのを彼女はグワングワンする視界で現実味のないままボーっと見ては思わず手でそれを受け止め、生暖かい感触が手から伝わる。

 

「(あ、これ、私、血が出てる? え? さっきの突進直接当たっていないのに痛くて血が出る。 止まらない────)」

 

 「グギィィィィィ!!!」

 

 ドシッ!

 

「────ッ?!」

 

 アンジュリーゼが呆けている間、イノシシはUターンして彼女が立ち上がろうとしたのを見て再度突進をし直し、今度は直撃してしまい彼女の肺から無理やり息を吐きだされる。

 

「(あ。 これ。 死ぬ? え? ここで?)」

 

 だが距離も最初のものとは段違いだったのと、アンジュリーゼが防護性抜群のライダースーツを着ていたおかげで牙は貫通せずかつアンジュリーゼは無意識にイノシシに押されていく形のまま。

 

「(何もまだしていなくて出来ずにこんな知らない島でまだまだこれから────)」

 

 ────プッツン。

 

 グサッ。

 

 何かが切れたような気がしてと思えば、彼女はナイフでイノシシの耳の後ろを思いっきり刺していた。

 

 「グギィィィィィ?!」

 

 普通ならナイフ程度の刃物はイノシシの分厚い皮膚を貫通したとしても、硬い筋肉か骨にあたって致命傷に至らないだろう。

 

 だがいま彼女が刺したところはちょうど頭蓋骨の隙間かつバランスを保つ、三半規管だった。

 

 「……ね────」

 

 グサッ、グサッ、グサッ、グサッ、グサッ────

 

 「────ギ、ギィィィィィ────?!」

 

 「────死ね! 死ね! 死ね! ────」

 

 ────グサグサグサグサグサグサグサグサグサグサ────!

 

「────死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!

 

 イノシシは三半規管の機能が失われたことと今まで感じたことのない頭部へのダメージで前足をもつれさせるがアンジュリーゼはただただ怒りの籠った叫びを繰り返して動かないイノシシを滅多刺しにしていく。

 

 この、クソ豚が────!」

 

 ────ザク────!

 

 「────死ね────!」

 

 ────ザク!

 

 「────死ねぇぇぇぇぇ!!!!」

 

 ────ザク!

 

「あの、もう死んでいると思いますけれど?」

 

 息を荒くしていたアンジュリーゼが声をかけられてハッとする。

 

 金のような髪だけでなく彼女の体の至る所はべっとりと血で赤くなり、握っていたナイフも刃こぼれしていた。

 

 そして肝心のイノシシは完全にスプラッター映画の死体ごときのように原型を留めていないほど変わり果てた姿。

 

 アンジュリーゼの叫びで急いで拠点に戻ってきて声をかけたルクレティアはニコニコしていたが、彼女の後ろでアリスは顔色を悪くさせながら引いていた。

 

「……あ、うん。 そうね。」

 

 が、アンジュリーゼにはどうでもよかったらしく簡潔に返事しながら絶命したイノシシから下半身を出して立ち上がる。

 

「それと返り血でその……髪の毛がすごいことに……」

 

 アンジュリーゼがルクレティアの指摘に見て自分の酷い有様を見る。

 

「(洗うのが大変そう……)」

 

 そしてどれだけ今まで体験した状況でも、『かつて貴族令嬢だった』という名残から今でもケアを欠かせない気品のあった立派なロングヘアーをアンジュリーゼは────

 

 あああああ、もう()()()()()

 

「え?」

「は?」

 

 ザクザクザクザクザクザクザク!

 

 ────呆気に取られるルクレティアとアリスの前で後ろ髪を束ねてから持っていたナイフでおおざっぱに切り落とす。

 

あああああ、さっぱりしたぁぁぁぁぁ! ……って、何よ二人とも?」

 

「……あ、ああ。 いえその……何か吹っ切れたようで何よりです?」

 

 ルクレティアは急にしおらしい態度から今の態度に変わったことにさほど違和感が覚えられず、ただ単に腫物が落ちたかのようなアンジュリーゼに当たり障りのない言葉をかける。

 

「(ええええぇぇぇ?)」

 

 逆にアリスはアッシュフォード学園の中等部でも、アンジュリーゼの噂は聞いていたので今の彼女とのギャップ感に戸惑っていた。

 

『高飛車』、『傲慢』、『人付き合いが悪い』、『貴族気取り』。

 などなど。

 

「あ、でもべったりするからこのまま水の端っこに入るね?」

 

「その前に死体の処理をしないと────」

「────あ、さっきのファイヤースターターで焚き火を────!」

 

 以前の態度が嘘だったかのようなアンジュリーゼがアリスたちと協力的になったことで作業などがかなり捗る様になり、そこでようやくスバルが目を覚まし、彼の助言や活躍などで簡易的な住居(小屋)が滝の近くに出来上がる。

 

「いやぁ~、これだけで様になるわよねぇ~。 ありがと、アリス!」

 

「あ、ううん……アンジュリーゼ先輩────」

「────もうアンジュで良いわよ! あ、ルクレティアもスバルもだよ?」

 

「(え? 何で『ほぼショートカット』で『アンジュ』なの? 流れで太陽が沈む前に急ピッチで小屋っぽいものを作ったけれどナンデ? 誰か教えてプリーズ。)」

 

 スバルはヘルメットと(CC遭遇との教訓で特殊メイクから変えた)『森乃モード』の仮面を外したポーカーフェイスでそう疑問に思うとそこでアンジュリーゼ────アンジュのお腹から音が出る。

 

 ぐりゅるるるるる~。

 

「う。 安心したらお腹が……」

 

「(まぁ、うん。 こういうところはアンジュリーゼだな。) 日暮れが近い、手っ取り早くキノコを探そう。」

 

「ま、そうなるわね。」

 

「なんだアリス。 経験あるのか?」

 

「ちょっとね。 ちなみにダルクは毒キノコ食べた。」

 

「(あー、なんかコミックでも『アホの子』ぽかったような気が……)」

 

「では私とアンジュは火の番でしょうか?」

 

「それと近くで木の実があるか見てくれ、感知系のギアス持ちならば簡単なはずだ。」

 

「え。」

 

「(ん?)」

 

 ルクレティアがポカンとして固まったことにスバルは仮面とヘルメットをかぶり直す。

 

「ね、ねぇアンタ……どうしてルクレティアのギアス(ジ・ランド)が『感知系』ってわかったのよ?」

 

 「(あ。)」

 

(ルクレティア)、一度も言っていないような気が……」

 

「奇遇ね、(アリス)もよ。」

 

 ここでスバルは自分のミスに気付いて焦りだす。

 

 彼が何故、ルクレティアのギアスが『地形の精密把握』かと分かったのは勿論『ナイトメア・オブ・ナナリー』からなのだが当然“原作知識”とは言えない。

 

「……何度か戦ったからそう思っただけだ。」

 

「ふぅ~ん? どうしてそう思ったのかしら?」

 

 アリスは未だにアンジュから借りた拳銃を握る手に力を少しだけ入れる。

 

「以前のナリタとヨコスカ()での動きだ。 それとクロヴィスランドでアリスのギアスが速度に関連するのは分かった。 そこで以前見せた『力のギアス』、そして精密な射撃だ。 あれほどの射撃は幾らギアスが使えるとはいえ、普通はスポッター(狙撃のフォロー役)が居なければ乱戦中は無理だ。 

 つまりアリスから『今の特殊名誉外人部隊(イレギュラーズ)が四人』といった時点で自ずと『速度のアリス』、『パワー系のギアス』、そして『狙撃手(スナイパー)』と『スポッター(狙撃のフォロー役)』の四人で丁度。

 (ルクレティア)がアリスと俺とアンジュリーゼと合流したところを見ると、『速度のアリスと周辺の地形の感知役』を組ませて上手く式根島を立ち回らせようとしたのだろう。」

 

「「「………………………………………………………………」」」

 

「違うか? (“違う”と言わないでくれぇぇぇぇぇぇぇ!!!)」

 

 スバルは『それっぽい』ことを言った筈なのだが────

 

「(────うわスゴ。 やっぱりスヴェン(スバル)は凄い……)」

「(────あれだけの少ない情報からその結論へ至るとは……これで何故アリスちゃんが対峙した時に『脅威』と感じたのかがちょっと分かったような気がする。 敵じゃなくて良かった……)」

「(────うわぁ。 アッシュフォードでも思っていたけれどこいつ、やっぱただものじゃないわね……)」

 

 アンジュ、ルクレティア、アリスがそれぞれスバルの言ったことに自分なり評価をしていた。

 

「(ウッ?! なんか腹がキリキリする?!)」

 

 そしてスバルの胃は痛みだした。

 

 これがスバルたちのいる式根島にスザクやカレンたちが飛ばされる2()4()()()()の一連の出来事であった。

 

 

 

 


 

 

 

「よっと!」

 

「上手いですね!」

 

「昔の知り合いで、こんな釣り方で競う子が居てね。 そのとき身に付けたスキルさ。」

 

 今、私の目の前で先日ブリタニア第三皇女のユーフェミアに騎士任命された初の名誉ブリタニア人で元日本首相の息子で白兜のパイロットの枢木スザクがズボンを膝まで、袖を肘まで捲くってこれまたブリタニアのパイロットスーツっぽいもの(スク水のデザイン?)を着た白に近い銀髪の少女────ルクなんちゃら(レティア)と協力して魚を狩っている。

 

 ……いや、海辺の岩場で足元を海水に付けながらジンジンと未だに痛む腰から気を逸らして休んでいる(カレン)が言うのもなんだけれど訳が分からない。

 

「カレンせんぱ~い!」

 

「カニが獲れたぞ。」

 

 そしてこっちにはブリタニアのパイロットスーツっぽいもの(もう完全にスク水が元になっているわよね、あれ?)を着たアッシュフォード学園の後輩で準生徒会員のアリスと暑苦しそうで趣味の悪そうなライダースーツ+フルフェイスヘルメットを着て私と同じ黒の騎士団所属で幼馴染の(スバル)がシャカシャカと足を動かすカニを両手に獲っていた。

 

「……………………」

 

 そして近くには濡らした布を交換して腰が痛む私の世話をするライダースーツとヘルメット着用の女性(多分)。

 

 ブリタニアの騎士に軍人に黒の騎士団にライダースーツ。

 

 ナニコレ? なんなの?

 

 なんていう『ギリガ〇君SOS』の再放送なのこれ?

 

 そこ『歳クセェ』言った奴ウッサイよ!

 お母さん(留美)がそういうのが好きだったからよ?!

 

 隣のライダー女性が腰の布を変え────あッ♡

 ヒンヤリする~♡

 

「フハァ~……」

 

 

 カレンはこの頃最近、切羽詰まった出来事や黒の騎士団としての活動を立て続けに参加していた為、ホッとしながらやっと一息つくような感じで和んでいた。

 

 そして彼女を看病していたアンジュは内心冷や汗を流しながら声を出さないことに専念していた。

 

『どうしてこうなった?!』と思いながら。




と言う訳で『アンジュ』誕生でした。 (汗

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