小心者、コードギアスの世界を生き残る。   作:haru970

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次話です!

誤字報告誠にありがとうございます! お手数かけております!

今回は基本的に第三者視点です。

お読み頂きありがとうございます、楽しんでいただければ幸いです!


第62話 学園祭

 先の澤崎による“日本独立宣言”、そしてそれを鎮圧したとされる第三皇女ユーフェミアの騎士の上に名誉ブリタニア人である枢木スザクの報道された活躍と、口コミでの黒の騎士団の助力の情報によってイレヴン(日本人)たちの意見は見事に『恭順派』と『反抗派』に分かれていた。

 

 世間が未だにこのイベントで揺るがされる中、アッシュフォード学園は毎年恒例の学園祭をブリタニア人、名誉ブリタニア人、そして異例としてイレヴンにさえもオープンしていた。

 

『お待たせ致しました! これよりアッシュフォード学園の学園祭をこの掛け声から始めま~す!』

 

 

『にゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!』

 

『『『『おおおおおお!!!』』』』

 

 ミレイ、そしてアーサーの鳴き声(をまたも真似るナナリー)に学生(特に男子)たちが歓喜の声を出す。

 

「平和だな。」

 

 黒髪をロングストレートにし、タンクトップにジーンズを着た私服姿のサンチアが未だに真面目そうでキリっとした表情をしながら周りを(警戒す)る。

 

「でも、それが一番ですわサンチア。」

 

「……そうだな。」

 

 白に近い銀髪でベルト付きワンピースにキャップをしたルクレティアはふんわりとニコニコしながらサンチアにそう声をかける。

 

「そうだねぇ~! モグモグモグモグモグ。」

 

 見た目相応に明るくて活発な褐色のダルクはへそを出したタンクトップにジーンズジャケットにジーンズ短パンなラフな姿で、明らかに動きやすさを重点とした服装をしていた。

 

「ちょっとダルク……何それ?」

 

 マオ(女)は完全にインパクトのある巨大人造人間が怪獣映画のように出てくる怪物を撃退しなくてはいけない宿命を負ったどこぞの中学校制服(女性版)を身に付け、ギアスを発動していないので特に意味はない眼帯を左目に着用していた。

 

 余談だがこの制服姿を見た昴は『あ、やっぱり(胸のある)カヲルだ』と思ったそうな。

 

「ゴックン! これは右から順にねぇ~? 『タコ焼き』、『イカ焼き』、『焼きそば』、『たい焼き』って言うんだって~! だよね、アリス?」

 

「ウン。 ソウダネ。」

 

 そしてアッシュフォード学園の制服を着た、既に疲れていそうなアリスが返事をする。

 

「アリスちゃんのお友達、皆違って変です!」

 

 そしてチェック模様の入ったシャツにスカートニーソとジャケットを羽織ったライブラの何気ない一言が、メタな矢となってサンチアたちを射抜く。

 

 グサッ!

 

「「「「ングッ。」」」」

 

 クロヴィスランドのグランドリゾートでライブラとナナリーが(アリスのハンドサインと間違えた)『助っ人』として現れたダルクと会ってしまい、アリスは苦し紛れに『私の友達です!』と言ったことからライブラはあの日、サンチアたちと出会った。

 

 そして歳が近いこともあってか、今では普通に友人として付き合う間柄になっていた。

 

 幸いにもその性質上、特殊名誉外人部隊(イレギュラーズ)が全滅したという情報はクロヴィスも含め、殆どの者に伝わっていなかった。

 

「わ、私たちはそんな変か?」

 

『変』と呼ばれたことでかなりダメージを負ったのか、先にショックから復活したサンチアがそう尋ねる。

 

「そうです! あ、でもでも~? 私はそんな皆が大好きです!」

 

「「ライブラちゃんッッッ!」」

 

 ガバッ!

 

「ぐぇ。 嬉しいけど苦しいです~。」

 

 ヒマワリのようなキラキラとした笑顔を向けるライブラを、ダルクとマオ(女)が左右から思わず抱きしめてしまう。

 

「あら、随分と早いわね貴方たち────?」

「────ん? なんだ、マーヤか。」

 

 そこに何時もの制服や私服姿……ではなく、協会のシスターのような服装を着たマーヤがライブラたちを出迎えるように学園の奥から出てくる。

 

「そう? いつもの“マーヤ姉さん”でもいいのよ?」

 

「う゛。」

 

 彼女も元名誉外人部隊(イレギュラーズ)のサンチアたちが『アマルガム』と合流した後、何かと彼女たちの世話をしたがるのだ。

 

『姉』として。

 

「うわ! 凄くカッコイイ人ですー!」

 

「あら、貴方はええっと……中等部のブリエッラさんですね? 初めまして、私はマーヤ・ガーフィールドです。」

 

「よろしくです、先輩!」

 

「あの……何着ているの?」

 

「ああ、これは生徒会の出し物の一環よ♪」

 

「ではよろしく頼む。」

 

「マーヤ姉ちゃん、あれは?」

 

「ああダルク、あれは────」

 

 マーヤがルンルン気分になり、ライブラとサンチア達にとって初となる学園祭を案内していた。

 

 皇族でしかも『箱入り』だったライブラと、『普通』とはかけ離れた人生を過ごしたサンチアたちにとって学園と学園祭の見るもの感じるもの全てが新しい刺激的だった。

 

 サンチアは表情を変えず、内心ホクホクしながら『警戒』という名義で周りを見ていた。

 

 ルクレティアとライブラはイチゴチョコクレープを頬張って新しい甘味にハートマークを出していた。

 

『いくぞ悪党! とぉ!』

 

『俺の右腕に耐えられるのか、ランスロットー?!』

 

『さぁ皆さん彼を応援しましょう! がんばれー、ランスロットー!』

 

「「「「がんばれー、ランスロットー!」」」」

 

「「「ブフッ。」」」

 

『ぐわぁ!』

 

『この世に悪が栄えたためしはない! 皆、応援ありがとう!』

 

 そしてアリス、マオ(女)、ダルクが特撮ヒーロー系の着ぐるみ化されたランスロットスーツが赤鬼紅蓮スーツと対峙するステージとヒーロー(ランスロット)を応援する子供たちを見て思わず吹き出した。

 

「……………………」

 

 マーヤはニコニコしながらも、どこか彼女の周りだけの気温が下がったような感じが一瞬だけする。

 

 やがてグループが()()()()()の前へときた。

 

「ん? なにこれ?」

 

「『コスプレ教室(控室)』って何です~?」

 

 マオ(女)とライブラがそう口にするとマーヤが何故か誇らしく答える。

 

「ここでの一環が、今の私の服装の理由なの。 この扉をくぐって、コスプレをすると『その衣装に見合った言動をすれば何でもオーケー』ということになっているの。」

 

 マーヤが扉を開けるとサンチアたちが唖然とする。

 

「あら、いらっしゃい♡」

 

 立派なプロポーションをさらに強調する、ボディラインにフィットしたナース服を着ながらどこか色気を出す仕草をするミレイ。

 

「あ、ライブラちゃんにアリスちゃんもいらっしゃーい!」

 

 バニーガール衣装でピョンピョンその場ではねて平常通りの言動をするシャーリー。

 

「ああ、いらっしゃい!」

 

 どこかチア部を思わせるようなJK風制服にツインテに髪形をセットしたスザク。

 

「アリスちゃんにライブラちゃんいらっしゃい。」

 

 どこかのワンダーランド的な童話で出てくる少女のような、青のフリフリドレスを着たナナリーがニッコリとする。

 

「うーん……親父みたいで癪だけれど、ドクター服に衣装を変えようかな……」

 

 執事服に身を包つみながらも白衣を手にして悩むリヴァル。

 

「……………………………………………………」

 

 肩や胸元を露出したウェディングドレスに身を包み、黒髪ロングストレートのカツラをして恥じらいから顔を赤くさせた()()

 

「…………もしかしてルルーシュ先輩です?」

 

 「言わないでくれッッッ!」

 

 「「「「え?」」」」

 

 ライブラがコテンと首を横に倒し、そう自信なさげに聞くと声以外全く普段とは様子の違うルルーシュの声が花嫁から発され、サンチアたちが目を見開きながら気の抜けた声を出してしまう。

 

 そして────

 

「あ~らミセス・ルル? 花嫁姿の淑女がそう小鹿のように震えるものではなくってよ? 淑女ならば『いつ如何なる時も優雅たれ』、ですわ。」

 

 「クッ……殺せ!」

 

 ────白に近いロングの銀髪で見事な縦ロール(ドリル)をして貴族っぽいドレスを身に着けた誰かはルルーシュに向いていたことからサンチアたちに背中を見せ、高らかな()()()()に恥じらうルルーシュが反応してしまう。

 

「ノンノン、ミセス・ルル。 そんなはしたないお言葉、思ってはいても決して口にしてはいけませんわ────」

 「────ああ、女神さま!」

 

 マーヤが手を合わせながらそう言うと、銀髪縦ロールの()()が振り向く。

 

「「「「「ファ……」」」」」

 

「(『女神』?)」

 

 アリス以外のルクレティア、ダルク、ライブラ、マオ(女)たちが思わず息を飲み、サンチアがふと思ったことを『まさかな』と思い、内心で否定する。

 

 彼女たちが見たのは『絶世の美女』と呼んでもおかしくない整った顔と組んだ腕によってさらに強調されるボディ()をした、まるで本などでしか出てこないような『優雅な令嬢』だった。

 

「あら? おかえりなさいませ、ガーフィールドさん。 (わたくし)を『女神』に例えるなど、お気持ちはよくわかりますが恐れ多いですわ。」

 

 ()()の動作、表情、視線でさえも一つ一つが洗練されたもので少女たちであるサンチア達でさえも魅入ってしまう。

 

「そしてシェロ(カルデモンド)? そこまでお悩みになるのでしたら工夫すればよいのです。 何も一つだけに拘る必要はございませんわ。 例えば……『貴族の専属医師』設定などは、いかが?」

 

「おおおおお! その手があったか! サンキュ、()()()()!」

 

 「「「「ゑ?!」」」」

 

 さっきのルルーシュよりさらに驚愕するサンチアたち。

 

「ノンノンシェロ(カルデモンド)。 去年も言いましたが、今の(わたくし)は『シュゼット』とお呼びなさい。」

 

「てかさぁ? なんで俺のことを『シェロ』、と呼ぶんだ?」

 

「あら? シェロ(カルデモンド)はどこにいてもシェロ(士郎)ですわよ?」

 

「相変わらず意味が分かんねぇ回答、ありがとうよ!」

 

「どういたしまして、ですわ! オーッホッホッホッホッホッホ!」

 

 声も含めて、どこからどう見ても『女性』としか思えない『スヴェン』と呼ばれた縦ロールが皮肉な答えをするリヴァルに対して愉快な『悪役令嬢っぽい笑い』を披露する。

 

「え?」

「まさか、本当に?」

「おぅふ?」

「……はぇ。」

 

 サンチアたちが見るのは遠くかつハイライトの死んだ目をしたアリス。

 

「うん、本当。 『アレ』がスヴェンよ。 どう? ルルーシュ先輩だけでもかなり堪えるのに、『アレ』も追加されたら自信を失くさな────?」

 「────綺麗です!」

 

 アリスの言葉を目からまるで星を出す、キラキラしたライブラが遮る。

 

「あ~らミス・ブリエッラご機嫌麗しゅう! ようこそいらっしゃいましわ! 素直な誉め言葉、感謝いたします。 特別に名を呼ばない『お姉さま』、と(わたくし)を呼んで良くってよ?」

 

「はい! 綺麗なお姉さまです!」

 

「あらあら~? 素直にならないミス・アリスと違って十分な素質がございますわね貴方────?」

 「────あんたに言われたきゃないわよぉぉぉぉぉ!」

 

「あら? あらあらあらあらあら。」

 

 その言葉がアリスの気に障ったのか、アリスがシュゼット(スヴェン)に飛び掛かるがシュゼット(スヴェン)は彼女の手と絡めて互いが互いを押し合うような形に落ち着かせる。

 

「ぐぬぬぬぬぬ!」

 

 しかもアリスは上手く力を活かせないような体勢をシュゼット(スヴェン)に強いられていた。

 

「エークセレントな腕力ですわ、ミス・アリス! ですが相手の体格も配慮しませんとほらこの通り、意味はございませんわ!」

 

「綺麗で強いお姉さまですー!」

 

「やはり見どころがありますわ、ミス・ブリエッラ!」

 

 ライブラと(アリスをいなしながら)シュゼット(スヴェン)が貴族令嬢トークに突入し、ニコニコするマーヤにマオ(女)が近づく。

 

「ねぇ? あれ何? どういうわけ?」

 

「あ、実は僕も気になっていた。」

 

 マオ(女)の質問にスザクも便乗する。

 

「う~ん、私も噂程度しか聞いていないけれど────」

「────あ~、これはね? 実は去年の()()()()()()から始まったの。」

 

 彼女たちの会話が聞こえてきたミレイが横から口をはさむ。

 

「あの時、実は生徒会で『男女逆装』と言うものをしてみてね? 私が言ったの、“どうせやるなら全力でそれぞれ着た服装と性別を演じよう”って。」

 

「で、皆で面白がってルルにドレスを着せて会長(ミレイ)が悪ふざけをしていたところにスヴェンが入ってきたら彼、なんか人が変わったような感じで静かに化粧とかし始めたの。」

 

「あれは(ミレイ)も驚いたわ~。 ルルーシュもだけれど、まさかスヴェンまで……しかも本人の振舞い、『女性』そのものだったし。」

 

「しかも会長、ルルにやっていた(を口説いていた)ことをスヴェンにやられて珍しくタジタジ(弱気)になっていましたしね。」

 

 

 余談だがその時、『シュゼット』を見た瞬間にどこか胸の高鳴りと共に己の中で何かが変わり(壊れ)そうだったことに恐怖を覚えたリヴァルは生徒会室から全速力で逃げたそうな。

 

 

「グッ……そ、そこは別に言わなくてもいい部分よシャーリー? で、でもまぁ、そこでね? 演劇部の部員が突然来たの。 彼らは『Cendrillon(シンデレラ)』をする予定だったのだけれどどうしてもキャストをする人が急に足りなくなっちゃって、前に手伝いとして来ていたスヴェンを頼りに来て……」

 

「そこからスヴェンが『シュゼット』としてシンデレラの義姉役をしたの。 あまりにも『女性』として完璧に演じちゃったものだから問い合わせが殺到しちゃって……」

 

「あー、あの後は大変だったぜ? 一応『アッシュフォード学園にボランティアとしてきた匿名の女優の卵』ってことで外部の噂はやり過ごせたけれど、演劇部と劇を見た何人かはマジで惚れたり、『シュゼット』が『スヴェン()』だったとわかっても性癖を拗らせちゃうし、とんだ学園祭になったよ。 ハァ~。」

 

 リヴァルがその時を思い出したのか、重いため息を出す。

 

 「「オーッホッホッホッホッホッホ!」」

 

 銀髪(シュゼット)金髪(ライブラ)縦ロールがともに同じ仕草(ポーズ)で扇を持ちながら悪役令嬢っぽい笑いをする。

 

「それであの状態のスヴェンについたあだ名が高等部では『女王様』。 中等部が『お姉様』と言う訳。」

 

 サンチアたちがミレイ、シャーリー、リヴァルから生き生きとした『シュゼット』と(すっかり妹分になって楽しそうな)ライブラに視線を移す。

 

「……ねぇ? 一つ気がかりなんだけれど、『声』はどうしているのかな?」

 

「「「「「…………………………………………………………ハッ?!」」」」」

 

 ダルクの純粋な質問に、誰もが余りにも自然過ぎて見落としていた『ソレ』に気付かされて令嬢を続ける『シュゼット』を見る。

 

「もう一度行きますわよ、ミス・ブリエッラ!」

 

「はい、お姉様!」

 

 「「オーッホッホッホッホッホッホ!」」

 

 

 サンチアたちは知る由もないが、スヴェンは別に自分の声帯を()()弄ったわけではない。

 

 とある大怪盗映画や名探偵アニメで見た、『喉に張り付けるボイスチャンジャー』をインスピレーションの元に、サクラダイト等を精密に使ったチョーカーで声を変えていたのである。

 

 全く持って『趣味』の範囲を優に超えているのだが、実はいつか必要になるかもしれない自分の影武者を引きたてる為に作った変装グッズの副産物だった。

 

 薄い涙袋はメイクで潤んだ瞳に見させ、オレンジのコンシーラーを使って青クマなどを隠し、カツラをセットする(のり)、適度な胸の再現の為の詰め物、テーピングなどで顔や喉仏を整える。

 

 等々と、手が込んでいた。

 

 スヴェンが何故『シュゼット』を完璧に演じているかって?

 

 ………………………………実はというと、彼の理由は単純だった。

 

「(最初はミレイをからかう為にしていたのにどうしてこうなった?! 

 周りは周りでスゲェ楽しそうに来るしヨイショするし! 

 もうやけくそじゃい! 

 別に『ナナリーと一日一緒に居られる』とか『ナナリーが楽しそうになる』とか『ナナリーが親しく“お姉様♡”呼びする』とか全然殆んど関係ないでござるからね?!)」

 

 パシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャ。

 

 スヴェンが高笑いをやめると電子のシャッター音が扉から来ているのを見るとサンチアたち+α(他の生徒)が携帯のカメラアプリで写真を撮っていた。

 

お待ちなさい貴方たち(おい待てお前ら)! こちらは控室でしてよ?(ここで撮るな!)

 

 スヴェンは『シュゼット』として言動の『優雅(エレガント)変換』をやめなかった。

 

 幸か不幸か、昔から『ポーカーフェイス』と『優男』の仮面などから来る教訓で演技が自然と徹底してしまっていた。

 

 

 

 上記のライブラ達とは別の場所ではワンピースに淵の大きい帽子をかぶったベルマ(ヴィレッタ)が『スバル』と歩いていた。

 

「学園祭?」

 

「みたいだな。」

 

 原作で彼女は外に出るのを怖がってはいたのだが、滞在している場所がゲットーではなく租界だったので時折こうしてスヴェンは『スバル』としてなるべく彼女の要望に応えて出かけていた。

 

 決して影武者を務めるマ()は今日がアッシュフォード学園で学園祭が行われることを知ってどう~~~~~~~~しても学園にいるCCと共に時間を過ごしたかった為に来ていたわけではない。

 

「……入るか?」

 

「え?! その……人が多いのに良いのでしょうか?」

 

 ベルマが遠慮する理由としては、彼女が『スバル』が決して表の世界に出せないようなことを仕事にしているのを理解していた。

 

 住居としてるアパートは生活するには一通りのモノが揃っていたがあまり使われた形跡はなく、時々明らかに見た目相応ではない人物も訪れている。

 

 極めつけはこの間、大掃除をしている時に見つけた隠し棚に置いてあり、自衛の次元を超えた数々の銃や手榴弾などの殺傷能力が高い武器。

 

 あれをベルマが見つけたのは全くの偶然だが、あえて何も自分に言わなかったのは『自分は何も知らなかったかつ巻き込まない為』と彼の行動を取っていた。

 

 記憶喪失とはいえ中らずと雖も遠からずだったのが、いかに独自でベルマがヴィレッタとしてゼロ=学生と関係ある=ルルーシュにまでたどり着けたかを容易に想像させれるだろう。

 

「(さぁ~て。 兄さんがこいつ(ベルマ)の好意に気付いていないみたいだから発破をかけるか! ついでに! 僕もCCに会えてしまうかも!)」 ←後半が本音

 

「いらっしゃーい!」

「ほらほら、立っていないで────!」

「────え、あ、ちょっと────」

「────今日は誰でも入っていい学園祭だよー! あ、でもヘルメットは取って────」

「────あ、 待ってください────!」

 

 アッシュフォードの学生たちが門の前で立っていたベルマと『スバル』を強引に引っ張り、独りが『スバル』のヘルメットを取ろうとしてところでベルマが待ったをかけようとするが遅かった。

 

「「「────ッ。」」」

 

 ヘルメットが半分取られた状態でその下にあった『森乃モード(仮面)』を見た学生たちは動きが止まっては青ざめ、女子生徒は口を手で覆う。

 

「……これを一つ貰っておこう。 (あー、メンドクセェ。)」

 

『スバル』は学生の一人が持っていたランスロットヘルメット(別売り)を手に取ってそれを装着してから中に入っていく。

 

「(CC! 今から会いに行くからね! 一緒に楽しい楽しい学園祭という奴を楽しもうよ!)」

 

 彼とベルマが通りかかったのは特例として敷地内に入ることを許された特派のトレーラー。

 その中でセシルとロイドたちがあくせくと『アッシュフォード学園に入る交渉条件』を満たそうと動いていた。

 

「ロイドさん、コックピットの再調整終わりました!」

 

「こっちも終わったよセシル君! これならば誤動作で本体が動くことは無い筈!」

 

「ふむ……しかし『(ラウンズ)が仮想空間の相手役として出ろ』を条件にされるとは思わなかったな!」

 

 そしてノネットがカラカラと笑う。

 

「いや、それでいいんですか エニアグラ────ノネットさん? いくら昔に知り合った仲でも────」

「────私としては全然かまわないさ! むしろ面白そうじゃないか! (それに、ユフィも後で来るだろうしな。)」




余談ですが、来る日曜日、月曜日、火曜日辺りの投稿が遅れるかも知れません。
大変申し訳ございません。 m(;_ _ )m

追記:
ちなみに『シュゼット』の得意技はバックドロップです。 (;^_^A アセアセ・・・

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