小心者、コードギアスの世界を生き残る。   作:haru970

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第三者視点続きます。

お読み頂きありがとうございます、楽しんでいただければ幸いです!


第63話 塗り壁風のカレン墓標

「では行きましょうか、ミス・ナナリー?」

 

「はい、お姉さま♡」

 

「(ナナリーマジ天使。)」

 

「んな?! ま、待て! そんなこと、俺が────!」

「────は~い! ルル子は花嫁らしくないので罰ゲ~~~~ム!」

 

「『シュゼット』様がお通りになりま~す!」

 

『シュゼット』は控室からナナリーと出ると、外で待っていた(中等部の女生徒が中心の)取り巻きたちが『シュゼット』の出歩きに付き添う。

 

 「ナナリィィィィー!」

 

「「「「「お姉さま~~~~~!」」」」」

 

「御機嫌よう皆さま♪」

 

 「ナナリィィィィー! は、放せお前たちぃぃぃぃぃ?!」

 

「(ルルーシュの声が聞こえたけれど無視かつニッコリ笑顔。)」

 

「「「「「きゃ~~~~~!♡」」」」」

 

 そして今度は高等部も交えた男女たちからの声に『シュゼット』がニッコリしながら答えると黄色い声がそこかしこから返ってくる。

 

「クスクス、去年も思いましたけれど凄いですね?」

 

「この『シュゼット』、いついかなる時も全力ですわ。」

 

「でも、本当に私たちも一緒にいていいのか?」

 

「勿論ですわ、ミス・サンチア。 それとも何かご不満でも?」

 

『シュゼット』付近の輪の中にはナナリーだけでなく、サンチアたちもいた。

 

「いや、その……」

 

「もしかして恥ずかしい?」

 

「そ、そんなことは……」

 

 マーヤの問いにサンチアは言葉とは裏腹に視線を外し、これに気付いた『シュゼット』が扇を広げて口元を隠す。

 

「女性として良い素質がございますのに、勿体ないですわ。」

 

「え? (『女性として良い素質』って……初めて言われた。)」

 

「無論、ミス・サンチアだけでなくここにいる皆も少々の磨きで輝く宝石になる可能性をお持ちでしてよ? もしご迷惑でなければ、(わたくし)自らがご教授してもよろしくてよ?」

 

「あ、じゃあボク(マオ(女))お願いしようかな!」

 

「ちょっと! 抜け駆けは無しですわよ新入り────!」

「────ミス・エカテリーナ? この場合、声は荒げるものではなくてよ?」

 

「あ……ご、ごめんなさいお姉さま。」

 

 あと何故か前にナナリーに絡んできた少女+彼女の取り巻き(ナイトメア・オブ・ナナリーキャラ)たちの姿もあった。

 

「(『何で?』って聞かれても、俺が知りたいよ。 気が付いたらいつの間にかシレっと輪の中にいて『お姉さま!』って慕われているし、たまに『スヴェン』としての時でも質問をしにくるし。)」

 

 

 ちなみにその時のエカテリーナだが、『か、勘違いされては困るわ! これはあくまで時期スファルツァ家の長女として必要な振る舞いでしてよ! 決して貴方に会うための口実などお考えになさらないで!』と、あまりにもテンプレ過ぎたものをリアルで見てしまったスヴェンはその日の家庭科で天ぷらを作った。

 

 

「ふ、復活した?」

「……え? 夢じゃない?」

「あの後『もう学園に来ません』って言われていたのに?」

「あ。 やっぱ俺、いいかも……」

「なんか楽しそう……僕もやろうかな?」

「「え゛。」」

「だってほら? あの人、『ちゃんと頼み込めばちゃんとした助言する』らしいさ?」

「……もしかしてガチなのか、スヴェンって?」

 

「(失礼な! )」

 

 上記の男子生徒の会話を『シュゼット』は無視しながら『令嬢振る舞い』を続ける。

 

「(俺も全力でやる気を出したのは『カレンお嬢様の世話係役アピール』がことの始めだったんだよ! でもまさか演劇部が急に手伝いいることになって行ったらマジ受けされて弟子入りしに来る生徒たちが出るなんて思わなかったんだよ!

 ……断ったら断ったらで学園で通している『優男設定』が崩れてしまうし……)」

 

 余談だが、上記のことに加えて『本気で自分を磨きたい』という者たち(男女両方)の真摯な願いを無視できなかったスヴェンの気持ちも少なからずあり、彼も全力で応えた結果だった。

 

 そのおかげで中には性癖が歪んでしまった者たちもいるのだが……

 

 スヴェンは流れに身を任せること(原因の与り知らぬふり)を徹底した。

 

「(あと今思えば、()()()アンジュリーゼがあれから時々この間みたいに『アンジュ』っぽくなっていたんだよなぁ~。)」

 

 スヴェンは『シュゼット』として校内を軽~く自然と出来上がる取り巻きたちと回り始めた。

 

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

「フゥ……」

 

 ルルーシュは何とか『コスプレ教室(控室)』から逃げ、いつもの制服に着替えて一人で屋上に出てはため息を出していた。

 

「平和だな。」

 

 彼はワイワイとする学園祭を見下ろす。

 

 ブリタニア人、名誉ブリタニア人、そしてイレヴン。

 

 その誰もが(少数を除いて)普通に互いと接している光景に、彼は以前に依頼した血液検査の結果やデータのことをふと思い出してしまう。

 

「(遺伝子が『ブリタニア本国由来』、そして『皇家と似ている』……か。)」

 

 それがラクシャータの、以前ヨコスカ港区でルルーシュが採取した血液データに対しての個人的な意見だった。

 

 とある局面で、医療にも長けているラクシャータは『血液は情報の宝庫』といったがそれは正しい。

 

「(以前に彼女の伝手を頼ったときは『ノーマッチ(該当者なし)』という結果が返ってきたが、『遺伝子レベルの違いや欠損してしまった部分を除いて今では“皇神楽耶”以外は途絶えてしまっている血筋を持つ人間』がラクシャータの個人的調査の末の意見……

 そしてあの港の現場にいたそいつは俺の、『ゼロの素顔』を知っている……もしや俺と接触するのは『ゼロ』ではなく『ルルーシュ』としてか? それとも『トウキョウ独立』に便乗して名乗り出るつもりか? あまりにも証拠不足だが────)」

「────ルルーシュ~!」

 

「ゲッ?! 会長?!」

 

 ルルーシュは後ろからミレイの声がして焦りだした。

 

『まさかまた女装を強制されるんじゃ?!』と思ったが杞憂だったらしく、彼女は『巨大ピザ』を作る際に呼んだマスコミが早く到着してしまったためにスケジュールが前倒しになってしまい、ナイトメア(ガニメデ)操縦者を探していた。

 

 本来ならばスヴェンが担当するはずだったのだが、先の『日本独立』のこともあって初の名誉ブリタニア人でありながら騎士になったスザクが通っている学園を早く取材するため予想より早く来たことで、スケジュール調整が間に合わなくなっていた。

 

 よって次の候補でありながら学園祭の仕切り役を担っていた副会長であるルルーシュに声がかかった。

 

 

 


 

 

 タタタタタタタタタタタタタタタタタタ。

 

 機械真っ青の正確さでスザクはひっそりと目立たない物置場をキッチンエリアに転換した場所で巨大ピザに使われる玉ねぎを切る音と遠くのガヤガヤする背景音以外、何も聞こえなかった。

 

「良かった、もう来ないと思っていたよ。」

 

 突然スザクはまるで誰かに喋るような言葉を出す。

 

「ッ………………どうして、私の正体を言いふらさないの?」

 

 物置場の扉からそっとカレンが姿を現せる。

 

 仕込みナイフ入りポーチを手にしながら。

 

「僕は、学校ではそういうのとはあまり関わりたくないんだ。」

 

「何よ? 皮肉のつもりかしら? 第三皇女の騎士様なんだから、私みたいに隠れず胸を張れるから?」

 

「違うよ。 ここは戦場じゃない、だから僕は暴力も脅迫するような手は使いたくない。 せいぜい言葉で、君が黒の騎士団に手を貸すのを止めてほしいと伝えるだけだよ。」

 

「流石ね。 騎士道らしく、情けをかけているつもりかしら?」

 

「今、僕の前にいる君は『カレン・シュタットフェルト』であって『紅月カレン』じゃない。 そして僕はただの『スザク・クルルギ』だよ。」

 

「……………………アンタ、なんか変わった?」

 

「ハハ。 今度は君が驚く番だね?」

 

 プシュ。

 

 物置場の扉がまた開くと、インカムをしたルルーシュが入ってくる。

 

「スザク、生地のトラックが着いたが玉ねぎはどう────カレン?!」

 

 ルルーシュはカレンが学校に来たことだけでなく、ひそかにスザクと会っていた様子にも驚いていた。

 

「(なぜ、学校に来ている?! しかもスザクと密会……いや、よく見れば仕込みナイフを持っている、まさか暗殺か? ディートハルトか? いやここはまず二人を────)────カレン、来ていたんだ? スヴェンは『体調が悪い』って言っていたけれど?」

 

「あ……う、うん。 ちょっとぐらいなら出てもいいって、医師が……」

 

「なら丁度よかった。 クラスの手伝いを少しだけ頼んでもいいかな?」

 

「……いいよ。」

 

 

 ……

 …

 

 

 ってこれのどこが『少しだけ』なんじゃあああああああ?!」

 

「きゃぁぁぁぁぁ?!」

「うわぁぁぁぁ?!」

 

 墓標を模範した怪物の着ぐるみを着て化粧をしたカレンが怒り満杯の叫びを出してその気迫にビビるカップルはその場から逆走する。

 

「ルルーシュの野郎めぇ~、わざと猫かぶっている(病弱設定の)私を『お化け屋敷』の驚かせ役にしたなぁ~?」

 

 カレンはスタンバイ状態に戻ってセンサー付きのモニター画面を憂鬱なため息を出す。

 

「はぁ~……まさかスザクが律儀に秘密を守っているとは想定外だよ。 言っていることも甘々の甘ちゃん野郎の言葉だし……こんなことなら、堂々とスヴェンを『従者見習い』として学園祭を回りたかったヨホホのホホヨ……(それにしても、あの『CC』って奴やたらと『スバル』と親しくしていたわね? 嫌がっていた様子だけれどほっぺをぷにぷにして……何なの一体? それに本当にスバルな時もCCって女が良く周りにいるし。 この間もCCが手を切ったらしくてスバルは包帯なんか巻いちゃっていたしブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツ)」

 

 カレンがブツブツしだすと彼女の独り言で周りより一層リアルな緊張感を生んだ。

 

 

 ……

 …

 

 

『さぁ~見てらっしゃい、見てらっしゃい! 特別派遣嚮導技術部のあの“ランスロット”のパイロットになりきるのはいかが~?』

 

 「(ちょいまちなんでやねん?!)」

 

 シュゼット(スヴェン)たちが体育館内で見たのは特派のトレーラーからメガホンで声を強調しながら引き込みをするロイド。

 

 そして彼の背後にランスロットと(あろうことに)ランスロット・クラブの実物があった。

 

 あれだけ大勢いたシュゼットの取り巻き(?)たちも、学園祭を回っている間に徐々に数も減って今では数人程度しか残っていなかった。

 

『今日だけお得の“ランスロット体験”ができま~す! しかも相手はなんと! あのブリタニア最強の一角を担うラウンズのナイトオブナイン、エニちゃ────じゃなくて、エニアグラム卿~!』

 

 ロイドはどす黒い空気を放ったセシルのおかげで『エニちゃん』呼びを公衆の前で何とかやめる。

 

 シュゼット(スヴェン)が見るとどうやら二機のナイトメアのコックピットを模範したシミュレーターで『仮想訓練』を『立体式アーケードゲーム』のように体験できる様子だった。

 

 しかもご丁寧に対ノネットだけでなく、今までランスロットが世間的に堂々と出撃した数々のミッションもプレイ(体験)できるモードもあった。

 

「(うーん、ある意味カレンがいなくてよかった……かも?)」

 

「あ、面白そうです~! 行ってみましょうお姉さま!」

 

 ライブラが物珍しそうにシュゼットの手を強引に引っ張る。

 

「あ、あの、えっと────(どうしよどうしよどうしよどうしよどうしよどうしよ)。」

 

 内心、興味津々だったのだが相手が特派だけに気まずかった。

 

 たとえ()装していても。

 

「(えっと、えっと、えっと、えっと、ええと、エ~トセト~ラ~────)────よ、よくってよ?!」

 

「では、私たちはここで画面を見ていますから。」

 

「(な、ナナリ~~~~~~~!!!)」

 

 焦った彼は思わず『後輩や妹想いの令嬢』としての返答をグルグルした目で出してしまい、離れていくナナリーの名を叫びそうになりながら開いていた。

 

「一人お願いしますで~す!」

 

「ん? おお! 姉妹(設定)かい? 仲いいな!」

 

「そうですよー!」

 

「お褒めの言葉、ありがとうございますですわ。 (危うし胃の調子助けて、ただいま予期せぬ土壇場ライブで物凄いピンチ。)」

 

 ライブラに手を引かれ、ブースの近くにいたノネットがニカッとした笑顔を向ける。

 

「私のとこに来たということは対戦をお望みということかな?」

 

「はいです! お姉さまと一緒に対戦です!」

 

「(え、何この流れ。)」

 

「いや~、よかったよかった! どうした訳かギャラリーが私のことを避けていて、正直暇を持て余していたんだ! さぁ乗ろう!」

 

「いくですよー!」

 

「(…………………………もうどうにでもな~れ。)」

 

 

 

 ……

 …

 

「あー! 負けたですー!」

 

 ライブラの対戦はほんの数分で終わり、不服そうな彼女がシミュレーターから出てきて大型スクリーンを覗く。

 

「おお!」

「あのネェチャン、ラウンズ相手に粘っている!」

「どうせ手加減されているんだろ?」

「けどよ……噂ではあの子、男らしいぜ?」

「「え?!」」

「あんな可愛い男がこの世にいるわけがッッッッ!!!」

 

 シュゼット(スヴェン)対ノネットは意外にも予想以上に長引いていた。

 

 というのもノネットは上記の観戦者の一人が言ったように、手加減()していた。

 

「(フゥ~ン……上手く隠していたけれど、やっぱりナイトメアの操縦経験アリだね。)」

 

 ナイトメアの基本OSはほとんど操縦経験のない者たちでもすぐに戦力になれるよう優秀に組み込まれている。

 原作でもルルーシュが各レジスタンスを駒として使っていた時でもそのような描写はされていた。

 

 だがどれだけ優秀だとしても、本人にその素質がなければ新米の新兵程度の動きしかできない。

 

 ほぼノータッチと、小道具のみでチューンした自動車位の絶妙な差だが、ノネットは手加減と立ち回りをしてそれを見極めることが出来るほどの腕前を持っている。

 

 結果、ライブラはその時に撃墜されてシュゼット(スヴェン)は生き延びていた。

 

 と言っても────

 

「ああああ!」

「良い一発を受けた!」

「やっぱダメか……」

 

「負けてしまいましたわ……」

 

 ────シュゼット(スヴェン)も全力を出す気はなかったので撃墜されたが。

 

「いや~! 良い腕しているね君! どこかの貴族?」

 

「いえ、ただの庶民でございますわ。」

 

「そっかそっかー!」

 

 カラカラとしたノネットがバシバシとシュゼットの肩をたたいてから口を耳に寄せる。

 

 「……もしかして、少年の趣味かい?」

 

「ッ?! い、いえ。 これには理由が…… (え、ちょっとマっ?! え?!)」

 

 シュゼットがぎょっと目を見開いて内心テンパるも、何とか『演技』を続ける。

 

「そうか? いや何、私の知り合いでそういう野郎が一人いるからね。 毎度毎度毎度毎度毎度毎度会うとネチネチネチネチと小言を言いながらやれ『女子力』だのやれ『ファッション』だのやれ『トリートメント』だの────」

「(────あ。 これ長くなる奴や。)」

 

 ……

 …

 

 

「ッコン!」

 

「ん? クシャミかいカノン? 珍しいこともあるんだね。」

 

「失礼いたしました殿下。 おそらく女子の『じ』も皆無な騎士が私のことを口にしたのでしょう。」

 

 ハンカチを出したカノンがそうシュナイゼルに答え、近くの者たちは『あれがクシャミ?』という思いを胸の奥にしまった。

 

 ……

 …

 

 

 あれからくどくど文句をノネットに言われ、『大丈夫さ、私は口が堅いからね♪』でほとんど気休めにしかならなかったもののそれ以上考えることをシュゼット(スヴェン)はやめて校内散策を再開し、追加で頼んだクレープを入れた袋を持っていた。

 

「(あああ、学園祭楽しいなぁ────)」

 

「────きゃぁぁぁぁぁ!」

「────うわぁぁぁぁ!」

 

「あら?」

 

『シュゼット』が男女の叫びに気が付くと、いつの間にかお化け屋敷と変わった教室の近くにいた。

 

「どうかしましたですか~?」

 

「『ホラーハウス(お化け屋敷)』~?」

 

「なんだか面白そうだね────ェグエ?!」

 

 そばに残ったライブラとアリスがそう言うとダルクが入っていこうとしてサンチアとルクレティアに止められる。

 

「やめろ。 お前、驚くと相手を張り倒す癖があるだろう?」

 

「ダルクちゃんだとシャレにならないわよ?」

 

「えええ~~~~~?! そ、そんなこと……ないもん。」

 

「(あ、確かに。)」

 

 ダルクが目をそらして気まずく抗議するが、シュゼット(スヴェン)は容易に想像してしまった。

 

 彼女が驚かせ役に思わず手を出してしまい、『ホラーハウス』が『スプラッターハウス』に変わる様を。

 

「なんだか面白そうです、行きましょうお姉さま!」

「では行きますです~!」

 

「(え。)」

 

「あ、あら?」

 

「ちょちょっと?! 先に行ってるわサンチア!」

 

 ナナリーとライブラが、シュゼット(スヴェン)とマーヤの二人をお化け屋敷の中へと連れ込み、アリスが慌てて後を追う。

 

 中に入ったナナリーとライブラが早くも最初の仕掛けにハマる。

 

「ひゃ?! なんだかヌメっとしたものが?!」

「ななななななんですこれぇぇぇぇぇ?!」

 

「(おー。 ベタだけど、まさかブリタニアがこんにゃくを使うとは。)」

「こんにゃくって……」

 

「あれ? これって確か、『こんにゃく』ですよねスヴェ────『シュゼット』お姉さま?」

 

「そうですわね。 あとダイエットにも的確でして────」

「────こらぁぁぁ! 食べ物を粗末にするなですぅぅぅ!!!」

 

「(うんうん、ごもっともなことを言うね。)」

 

 ナナリーとライブラがこんにゃくの感触に慌てて反応し、シュゼット(スヴェン)が親(姉?)目線でほっこりし、アリスが呆れる。

 

「同感です、女神様。」

 

「あらやですわ。 (わたくし)、今のお考えを声に出してしまいましたか?」

 

「いいえ? 啓示を受けただけですが? (ニッコリ。)」

 

 「(余はお主が怖いぞシスターよ。)」

 

 「なんだかマーヤが一番怖い────」

「────何か言いました、アリス? (ニコッ)」

 

 「なんでもないです────!」

 

 グループが角を曲がると、ちょうど墓標のオブジェが急に動き出して殺気に似た気迫の入った叫びがその場を揺るがす。

 

 「────はよ来んかぁぁぁぁぁぁぁい?!」

 

「「「「きゃあああああああああああああ?!」」」」

 

 希薄に涙目になったライブラ、ナナリー、アリスが近くにいたシュゼット(スヴェン)を抱きしめる。

 

 フニュン♪

 

「(ウォッホ♡ ライブラちゃん、クロヴィスランドで見たときに予想したとおりの乙πでござるね♡ あと数年したら化けるの確定♪)」

 

 ムニュウ。

 

「(……無乳(むにゅう)?)」 ←語彙力低下によるダジャレ

 

「あ、あれ? へ? ……え?」

 

 墓標オブジェから出てきたカレンはシュゼット(スヴェン)に抱き着いて顔を埋めるライブラ達……そして上記で叫んだ四人目のベルマが抱き着いた『ランスロット仮面スバル(森乃モード)』を互いに見合わせてさらにハテナマークを頭上に浮かべる。

 

「……(スヴェンが)二人?」

 

『スバル』はランスロット仮面の下かつ内心で舌打ちをした。

 

「(チッ。 『CCのことを考えている奴』と『何も聞こえない』ところに来たら兄さん(スヴェン)の方かよ。)」

 

 シュゼット(スヴェン)は口の端をヒクヒクさせながら優雅(?)に冷や汗をダラダラと掻く。

 

「(O-Oh fu〇k(し、しまった)! というかなんでカレンは“二人”なんてテててテテテて?! 誰か助けてぇぇぇぇぇ!)」

 

ピコーン。

 

 シュゼット(スヴェン)の頭の上にメタな電球が光り、手に持っていたクレープ袋を差し出す。

 

「クレープはいかがかしら?」

 

「あ。 うん。 ありがとう。」

 

「では、(わたくし)これにて────」

「────アンタたちにはまだ話があるから♪ (ニッコリ)」

 

「ア、ハイ。」

 

シュゼット(スヴェン)の『食べ物で気をそらす作戦』の効果はいまひとつのようだ!

 

 

 ………

 ……

 …

 

 

「……ハッ?!」

 

 別の場所で『もぐら叩き』ならぬ『学生叩き』で使っていたピコピコハンマーを買い取ったアンジュが校舎の方を見ると、ランスロットのお面をした毒島が同じ方向を見る。

 

「どうしたアンジュ?」

 

「なんだかスヴェンが助けを求める声が聞こえたような気がした。」

 

「……行くか、アンジュ? あいつの……なんというのだ? 『シュなんとか』が苦手で距離を意図的に取っていなかったか? 確か、『昔の自分を見ているような』────」

「────ゴフッ?!」

 

 毒島の他意のない言葉にアンジュは(精神的)ダメージを負って立ち尽くすと誰かとぶつかってしまい、毒島が二人を支える。

 

「「きゃ?!」」

 

「おっと、大丈夫か?」

 

「あ、ええ。 ありがとう冴子。」

 

「わ、私も大丈夫です。」

 

「ちょっとそこのあなた! そこの者を放しなさい!」

 

 アンジュとぶつかった少女の付き添いと思われる、きつい表情をした男女のペアが来てはぶつかってきた少女をさっさとその場から連れ去る。

 

「何よあいつら?! “ごめん”の一つも言えないのかしら?!」

 

「(正論だというのに、アンジュが言うとどうも違和感を感じるな。 それはそうと、さっきの奴は確か……グランドリゾートでコーネリアの隣にいた奴か? 見た目と噂に違ってかなり行動が活発だな)」

 

 毒島の脳内に浮かべるのは最近ではお転婆な性格が出ないことでかなり不安を感じるとある黒髪と緑色の目をした少女だった。

 

「(………………流石にここ(学園)に来てないよな?)」




“クックック。 未だにライブラが誰なのか知らないスヴェン、哀れよのぉ?” byどこぞの魔王


それとは別に、前話でも申した通りに明日明後日は投稿できない可能性大です。 申し訳ございません。 (汗

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