小心者、コードギアスの世界を生き残る。   作:haru970

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大変長らくお待たせいたしました、次話です!

時間が空いている時間に携帯で少しずつ書いたものですが、楽しんでいただければ幸いです!


第64話 皇女たち、集う(+1名)

「もしもし? 演劇部? 機材の件に関しては映研に話しを通していますから。 機材と配置は……違った、これはこうだな。 はい? ピザは前倒しになりましたが午後からです。 (そして各トウキョウエリアの報道局やソーラーパネルとバッテリー、そして対テロ時対策は……流石ディートハルトだ、情報ではスヴェンもかなりの手腕だがやはりキャリアと得意分野が若干違うな────)」

 

 ルルーシュは三つの携帯を操作しながら、タブレット端末をすべて焦る気持ちで操作していた。

 

 一つは個人の携帯。

 二つ目とタブレットは副会長としての学園のモノ。

 三つめは、今まさに軍事力の国家転覆────『トウキョウ独立』の為のクーデターを企む黒の騎士団用のモノだった。

 

 ルルーシュは普通、三人必要な作業を黙々と一人で器用に機器を使い分けながら行っていた。

 

「(ったく、ブリタニアが平和ボケしているおかげで助かってはいたことが、こうも俺を手こずらせるとはな────)」

「────ねぇねぇ! さっきの見た?! ラウンズの人!」

 

「(ん?! ラウンズがここにいるだと?! ブリタニアの技術部隊が来るとは聞いていたが、まさか会長の言っていた“スペシャルゲスト”がラウンズだったとは────!)」

「────うん見た見た! 化粧も何もしていないのに綺麗だし、性格もさっぱりしていていいわねぇ~! ラウンズってば“堅物の塊”のイメージがあったけれど、なんか普通だったし────!」

「(────ほぉ? イメージアップを兼ねた演出とは……道理で先ほどの『ゼロ肯定否定議論』が切羽詰まった拮抗状態だったわけだ。 若い連中などは『正義の味方』に魅かれやすいと思っていたが、スザクの件とそれもあった所為か。)」

 

 ルルーシュは束の間の休憩がてらにラウンズの話題が出てきたことで仮想の戦術などを冗談半ばで組み立てる。

 

「それと去年の『女王様』さん! まさかまた拝めるなんて思っていなかった!」

 

「うん、ラッキーだった! 本当に綺麗だよねぇ。 それでいて、噂では『男』なんだから……なんだかなぁ~。」

 

「(スヴェン、凄い反響だな。)」

 

 ルルーシュが横に置いてあった野菜ジュースを飲み、糖分とビタミンの補充をする。

 

「あ、それなんだけれどさぁ~? さっきラウンズの人が頬にキスしてびっくりする事件があったらしいよ?」

 

「「ええええぇぇぇぇぇぇ?!」」

 

 ブフォ?! ゲェホゲホ、ゲホ!?!」

 

 そしてキャピキャピしていた女生徒の中でぱっとしない子が言ったことに、周りの学生たちは驚愕の声を出し、ルルーシュはジュースでむせてしまう。

 

「知らなかった? なんか学校の裏サイトでそれっぽい写真がアップされているのだけれど……」

 

「どこどこどこ?!」

「見せて!」

 

 ルルーシュも思わず近くにいた生徒たちのように携帯を出し、書き込みサイトを検索すると、距離があってか少しピントが合っていない、ぼやけたそれっぽいこと(頬にキス)ラウンズ(ノネット)がしてびっくりする『シュゼット』の写真が出てくる。

 

「「「……イイ。」」」

 

「(スヴェン……お前……何をしているんだ?)」

 

 そう思いながらもルルーシュは『シュゼット』のとばっちりで『花嫁』にされたことを宜しく思っていなかったので内心嬉しかったとか。

 

「(だがいい気味だ、クックック。)」

 

 「あ、ルルーシュがなんか凄い顔している!」

 「なんか……イイかも♡」

 「「分かる。」」

 「うん、なんか虐められたいよね♡」

え。

「ちょっとここでカミングアウトしないでよ……」

 

 

 

 

 


 

 

 

 

「これが変装の衣装なのか?」

 

「そうよ。 文句あるの?」

 

「ない。 だがなぜ私まで変装しなければいけない?」

 

「アンタそれでも(黒の騎士団の)一員でしょうが?! 不用心すぎるわよ! というか貴方なんでここにいるわけ?! その制服は何?!」

 

「『世界で一番大きいピザがある』と聞いたから来ただけだが?」

 

「答えになっていないわよ……」

 

「(どうしよどうしよどうしよどうしよどうしよどうしよ────)」

 

 あの後カレンは『病弱』を理由にし、さっさとシュゼットの手を(強引に)引きながら無人になった『コスプレ教室(控室)』に向かっていくと────

 

『おい、世界一のピザはどこだ?』

『えっと、午後からだと思うけれど……新入生? 見かけない顔ね?』

『私は学生ではn────ムギュ。』

 

 ────何故かCCがうろうろしながら右から左の人に『世界記録ピザ』のことを訪ねていた場に出くわし、スヴェンとカレンはギョッとしては彼女を無理やり保護に変装をさせる為に控室へと一緒に連行移動し、今はマーヤが部屋の外で見張りを受けていた。

 

 なおホラーハウスのライブラとナナリーは、アリスによって外でダルクを止めていたサンチアとルクレティアに預け頼み、『スバル』とベルマの二人もその場から別ルートで離れて行った。

 

「(────どうしよどうしよどうしよ? 何でここにCCが? それにカレンもカレンでCCとの接点持っちゃったしいやこれはこれでいいのか? 二人は原作ではもうすでに黒の騎士団再編成で面識あるしこれでルルーシュが扇ポジをとった俺こと『スバル』とヴィレッタ(ベルマ)が一緒にいることを見ていないから、というかなんで『スバル』たちがここに? 誰か教えてくれプリーズ。)」

 

 そして『シュゼット』からスヴェンに着替え終わった彼は、焦ってどう次に動くのか考えていた。

 

 シャ。

 

 仕切り用のカーテンの音がしてスヴェンが思わず横目で見る。

 

「ちょちょちょちょっと────?!」

「────おいお前、どれがいいと思う────?」

「────スヴェン見ちゃダメだよ────?!」

 「────まず前を隠してください────」

「────なんだ、つまらん男だな────」

「────何考えているのよ貴方(CC)────?!」

「────下着姿ぐらい減るものでもあるまいし、それにお前(カレン)こそ派手な下着を見せ────」

 「────いいから前を隠して仕切りを閉めろお前。

 

 スヴェンもテンパっていたのか、『優男』仮面から『ポーカーフェイス』へとすぐに変えて、どこか面白くない表情をするCCに、犬を追い払うような『シッ、シッ』という動作をする。

 

「……だからどれが────」

「────(もうええがな!) 『クロス監察官』とラベルが付いている奴はどうだ? 髪の毛も三つ編みアップにして赤いフレームの眼鏡もつければ存外、気付かれにくいかもしれんぞ?」

 

「そうか。」

 

 「なんで二人ともそんなに冷静なのよ……」

 

 シャ。

 

 スヴェンは仕切りが閉まる音にため息を(静かに)出す。

 

 が、彼がホッとしたのも一瞬だけだった。

 

『ほぉ? これは中々の衣装だな……着てみるかお前?』

『え────ブフォ?! ななななな何よその衣装?!』

『“クロスパイロット制服”、という奴らしいぞ?』

『ナニソレ。』

『着てみろ。』

『えええぇぇぇぇぇ?! そ、そんな派手なヤツ────』

『────お前たちの着るパイロットスーツよりはマシだろ────?』

 『────グホォア?!』

 

「(あ゛。 そういや『アレ』も作っていたんだった────)」

 「────逃げないでよスヴェン。」

 

 スヴェンは嫌な予感がし、そろりと出口の方へ動き出すと、カレンが察知したのか釘を刺される。

 

「……ただ足を伸ばしていただけだ。」

 

「ならいいけど。」

 

 シャ。

 

「かなり良いな、これ。」

 

「動きやすいけど……なんか変な気分。 落ち着くというか、庇護欲というか、なんというか……」

 

 再び仕切りが開かれ、立っていたスヴェンが向こう側を見る。

 

「(クロスアンジュの『エマ』と『ヒルダっぽいエルシャ』キタァァァァ!)」

 

 ツカ、ツカツカ!

 

「(てあれれれ?)」

 

 ドン!

 

 カレンがつかつかと歩いて、彼女の気迫にスヴェンは自然と壁に追い込まれ、カレンは力任せに手を彼の顔の横をニアミスして、そのまま壁を叩く。

 

「さぁ、話してもらうわよ? あれは一体どういうことなの? あのもう一人のライダースーツは何?」

 

「(リアル壁ドン?!) “あれ”と言われてもな────」

 

 ────ドン!

 

 カレンがもう一つ手で、空いていた反対側の退路を防ぐ。

 

 ダブル壁ドンである。

 

 「とぼけないでね♪」

 

「(あ、アカン。 なぜか超怒っとる。 完全に『ヒルダ』じゃん。)」

 

 スヴェンが『エマ・ブ〇ンソン』コスをしていたCCを見る。

 

 まるで『私は何も喋らないぞ? 約束だからな♪』と言うかのように、CCはそっぽを向きながらクイッと眼鏡を掛けなおす。

 

「(G〇DDAMIT(ガッデミット)! やっぱ気ままな猫だわこいつ!) ……わかった、話そう。 あの『スバル』は影武者だ。」

 

「そこは分かっているわよ────」

「(────わかっちゃうの? いや、ナンデよ────?)」

「────私が聞きたいのは別の『アレ』よ。」

 

「(……“別のアレ”? ああ、なるほど────)────『シュゼット』のことなら去年も話しただろう? お前────」

「────違うわよ! だから! ……だから……」

 

「(ん? 目が泳ぎ始めたぞ?)」

 

「だから……話してもいいじゃんよ?」

 

 カレンが弱気な表情を浮かべ、さっきまで荒げていた声もだんだんと小さくなっていく。

 

「(ッ……そうだな。 カレンに、『アマルガム』のことを話しても────)」

「────アンタとCCって、何?」

 

 そっちか。

 

「まったく……面白そうだから付き合ってきたのに、ただの痴話喧嘩とはな。 興覚めだよ。」

 

「違うぞ。 俺たちはただ────」

「────約束を交わした間柄だ……な?」

 

「へ?」

 

 妖艶意味深な笑みを浮かべるCCの言葉に、カレンがポカンとし、スヴェンがムッとする。

 

「言い方が────」

「────“言い方”? ()()()()()()()だろう?」

 

「(クッ……この……)」

 

 スヴェンは控室の扉を開けて、マーヤ以外に誰も付近にいないことを確認してから部屋の中に戻り、小声でカレンに話す。

 

「カレン、一応言っておくがこいつ(CC)には俺の『スバル』としての正体がバレているだけだからな。」

 

「……はぇ?」

 

「なんだ、もうバラすなんて面白みのないことを……」

 

「そして俺はこいつの頼みを聞いてやっているだけだ。 それとCC、ワザと怪我をして『スバル』としての俺に近づくのはやめろ。」

 

「さぁ? 私はお前の言っていることがわからんな。」

 

「な? こういう奴だ、こいつ(CC)は。 だから一々真に受けるな。」

 

「…………………………あ、アハハハハハハ! そそそうだよね! ウァハハハハハ! なーんだそういうことかぁー! ああ、笑った笑ったー!」

 

「(よし。 これでヴィレッタのことは濁せた……と思う。 ウッ。 奴らのことを考えると胃が、荒れる……)」

 

 

 

 ……

 …

 

 

 

「(何やっているんだろ、僕。)」

 

 スヴェンがホッとしている間、別の場所までベルマと移動していたランスロット仮面の『スバル』役を担っていたマオが冷静に考え始める。

 

 愛し(?)のCCとニアミスだったことを知らずに。

 

「おい、大丈夫か? (とりあえずはこの女だ。 兄さんも兄さんで、変なところで抜けているな。 それとも意図的にか?

『仲間にできるかもしれない』と言っておきながら、マオ(女)のギアスで記憶を掘り起こすなり、ほかの搦め手はあるのに一向にそんなそぶりを見せない。)」

 

『スバル』が息を切らしそうにしているベルマに声をかけると、彼女は汗を掻きながらもにっこりした笑みを返す。

 

「ええ! 大丈夫です! 以前の私もこういうのが好きだったのかどうかわかりませんが、体を動かして汗を掻くのは楽しく感じてしまいます!」

 

「(ま、僕にはCCさえいればどうでも良いよ。 頼まれたのは『兄さん(スヴェン)らしく』だけだし。) そうか、それは……()()()()。」

 

「ッ。 もしかして、私の身を案じてくれているのですか?」

 

「(……ハッ?! しまった!)」

 

 指摘されてマオは仮面の下で慌てる。

 

 今までの『スバル』は『不愛想ながらもちゃんと礼をし、移住食とある程度の頼みを聞き、何不自由ない日常』を『ベルマ』となったヴィレッタに提供していた。

 

 それは原作での扇との生活に似ていたが、彼と根本的に違うところは『男女の関係』に発展しないように、スヴェンは『スバル』として最低限の接触しかベルマとしていなかった。

 

 だが、これが逆に彼女の興味を引きたてていた。

 

自分(ベルマ)に危険が及びそうな裏の事情に巻き込まれないよう、敢えて(スバル)は距離をとっているのだ』、という仮説を立たせるには、十分な現場証拠があり過ぎた。

 

 そしていつもはしない我儘、『一緒に出掛けませんか?』にスバルが同意したことと、先ほどの放った言葉がまるでそれらの疑惑を裏付けていた。

 

「(まぁ、いっか。) ……だとしたら、どうなんだ?」

 

 だがそろそろ何重生活に支障をきたす最近、『スバル』の影武者を頼まれたマオにそれらは関係なかった。

 

「スバルさんは、ブリタニア人じゃないですよね?」

 

「……エリア11を出て、ブリタニア本国に戻るか?」

 

 どちらかというとこの頃スヴェンが『スバル』として活動していると、わざと絡んでくるようなCCが面白くなかったということも関係がなかった……と言えないかもしれない。

 

「私……残ってもいいですよ? エリア11に。」

 

 そして幸か不幸か彼女たちがいた場所は人気がなく、そよ風が吹く木の傍だった。

 

「(兄さん。 謝る気はないから、“頑張って”とだけ言うよ?)」

 

 

 ……

 …

 

 

 上記のマオとは離れた場所では、人気が未だに散る様子ない場所にライブラ、ナナリーそしてうつむきながらギュッとスカートの裾を掴むアリスが並んで学園祭を歩いていた。

 

「あああ、面白かったですー!」

 

「え、ええ……そう、ですね。 ね、アリス?」

 

「……うん。」

 

 彼女たちの後ろにはニヤニヤするダルクとルクレティア、そして意外そうな表情を浮かべたサンチアが互いにしか聞こえない小声で話をしていた。

 

「でもまっさかなぁ~。」

「アリスも怖くなるんですね、ちょっと驚きです。」

「(……それよりも驚いたのは『スヴェンに抱き着いた』というところだな。 あいつは、誰にも頼るようなことがなかった筈だ……)」

 

「あら~? あらあらあら~?」

 

 のほほ~んと、気の抜けた声がしてナナリーは呆気に取られるような顔をする。

 

「ッ。 この、声は────?」

「────あ、()()()お姉さまの方です~!」

 

「あら、やっぱり()()()ちゃんだ! それに、もしかして……あなたは────」

「────()()()……ちゃん?」

 

 様々な要因や巡り会わせのおかげか、原作ではユーフェミアとナナリーの再会に、死んでいないクロヴィスの妹である『ライラ・ラ・ブリタニア』までもがこの場に加わることとなった。




何気にアンジュ見て『クロスアンジュ』のコスを作ったスヴェンでした。 (汗

明日も投稿が遅れる可能性が出ていますが頑張ります! (;´д`)ゞ

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