前回同様に時間が空いている間に携帯で少しずつ書いたものです。
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「じゃあ私が紅茶を淹れるですから、お二人は姉妹水入らずの会話をするです!」
「それならば、ライブラ……えっと、ライラちゃんが戻るのを私は待ちます。」
「ナナリーの言う通りですよ、ライラ? 姉妹水入らずとなるのなら、貴方も含まれますよ?」
「あ。 そういえばそうでしたですねぇ~!」
クラブハウスへと場は移り、本来は給士のやることを慣れた手際でライブラ────否、ライラが気を遣ってかユーフェミアとナナリーに上記の言葉をかけるが、逆に気を使わせてしまっていた様子にライラはケタケタと無邪気に笑う。
「でも、驚きました。 まさかライブラ……ライラちゃんが、
ナナリーが紅茶の入ったティーカップから出る匂いを楽しみながら驚きを言葉で示す。
実は『あまり』どころか、事あるごとにガブリエッラはマリアンヌをあの手この手で陥れようとしていたが。
「私もです~! 最初に会ったとき、『もしかして』*1と一瞬思ったですけれど、確証と自信がなかったです!」
「面識がないのは、ちょっと意外だったけれど……
「あれ? じゃあもしかして、ルルーシュ先輩も
「そうよライラ。 彼もマリアンヌ様の息子で、貴方のお兄ちゃんに当たるわ……それよりもちょっと妬けちゃうな、ライラったらこんなにもルルーシュやナナリーと近くで接していただなんて。」
「えへへ、役得です~♪ ……あれ? でもマリアンヌ様たちって確か────ぁ……」
ライラが気まずい顔をしてナナリーを見る。
「あの……お二人にお願いがあるのです。 私たちのことは黙っていただけませんか? もちろんコーネリアお姉さまやクロヴィスお兄様だけでなく、ほかの皆さんにもです。」
ナナリーのお願いに、ユーフェミアは困惑する。
「え? で、でもこのままじゃあ────」
「────は~い! ライラは了解しましたです~!」
あっけらかんとするライラの答えにユーフェミアが眉間にしわを寄せる。
「そ、即答ですか?! ライラ、『このまま黙る』ということは
「私は……このままひっそりと、学園でお兄様たちと一緒に居られればいいのです……」
「ナナリー……」
「う~ん……でもでも~? 私は何となくわかるです。 皇族としての暮らしは窮屈ですし、ギスギスしていますですし、お母様もお兄様やお姉さまたちもギラギラしていますし全然楽しくないモノです。」
「(クロヴィスお兄様が聞いたら、卒倒しちゃいそうです……)」
「逆にナナリーやルルーシュ先輩は生き生きしていますですし、ナナリーもこうやってお願いするには理由があるはずです!」
「ありがとう、ライラ。」
「今の私はライブラです!」
「(クスッ。) そうでしたね? ごめんなさいね、ライブラちゃん?」
「ナナリーだから特別に許しちゃうのです! ムッフッフ~ン!」
ライラの言葉にナナリーはホッとしながらも、いつもの笑みを向けて感謝の言葉をあげ、ユーフェミアは素直な二人のやり取りを見てナナリーのお願いする理由がわかってしまうような気持になる。
「でもでも……私がいつまでアッシュフォード学園に通えるか分からないです。 今は
「あら、クロヴィスお兄様も
「あ、やっぱりですか?! 私もそう思ったのです────!」
「「────特に素直じゃないところ!」」
ライラとナナリーの声がハモリ、二人は笑顔と笑いを向けあうとユーフェミアが覚悟を決めたような顔をする。
「……実は、私がここに来たのも関係しているの。 聞いてくれるかしら?」
「え?」
「はいです?」
「私が、『皆が身分や人種も関係なく暮らせる場所がある』って言ったら……どう思う?」
ユーフェミアの言葉にライラが首を傾げながら考えごとをする。
「う~~~ん……それって、『国を作る』ということですかユフィお姉さま?」
「え?! やっぱりそうなんですか?! でも……」
「ちょっと違うけれど……そっか。 やっぱり二人もそう思うのよね。 ねぇ、ナナリー? ルルーシュがどこにいるか、わかるかしら? 少し、話をしたいの。」
部屋の外に立っていた咲世子とユーフェミアのSPたちが気まずい緊張感が漂う空気の中に、アリスの姿はなかった。
「ううぅぅぅぅ、さっぶ! (やっぱ制服だけじゃ寒い!)」
彼女はクラブハウスの屋根の上にいた。
冷たい秋風にさらされ震えながら、屋根裏の電線をむき出しにし、タブレット端末にそれらを繋げて以前にルルーシュが『対マオ』用に設置した警備用カメラや盗聴器で中の様子をうかがっていた。
「(でもまさか、ナナリーがブリタニア帝国の皇女だっただなんて……それに『母がマリアンヌ』だとすると、よりにもよってあの『閃光のマリアンヌ』の子供……そして彼女の後ろ盾をしていたアッシュフォード家の庇護を受けていた……)」
アリスは偶然にもこの情報を軍用端末と、中の話からたどり着いていた結論中にふと思った。
「(まさか、
「あ! (そう言えばスザクが知っていたという事は、もしかして……)」
ユーフェミアがそう思いながら腰に付けたポーチの中を漁り、折りたたんでいた紙を出してそれを広げながら書かれた(表面に絵具で凸凹付きの)似顔絵をライラとナナリーに見せる。
「そう言えば、お二人に聞きたいことがあるの! この人を見かけたことあるかしら!」
「ん~?」
「えっと……」
ナナリーが紙の浮き出た感触を指でそっとトレースし、ライラが似顔絵を横から見ると二人は頭上にハテナマークを浮かばせる。
「「これ、スヴェンさんですか?/先輩ですね?」」
「あ、やっぱり知っているの?! “先輩”という事は、やっぱりここの生徒なのね! ね、どこにいるか分かるかしら?!」
「ブフェェェェ?」
これを屋根の上から聞いていたアリスが意外(?)な人物の名が出てきたことで思わず噴き出してしまう。
「(アイツ、何やっているのよ?!)」
クラブハウスの室内でユーフェミアが突然食い気味に体と顔を近寄せたことに、彼女はライラとナナリーがキョトンとしていたことに気付く。
「あ、そんなに大事なことじゃないのですけれど……その……河口湖での件でお礼を言いたくて。」
「ユフィお姉様、あの時にあそこにいたのです?! 全然気づかなかったです。」
「「???」」
外からふと聞こえた少女の声にユーフェミアやライラ、部屋の外に立っていた咲世子やSPたちも『ん?』と思いながら首をかしげるが持ち場を離れなかった。
「ア、アハハハハハ……スヴェンさんならついさっきまで一緒にいましたけれど────」
「────あ! いたです!」
そしてナナリーが乾いた笑いを出して話を戻し、彼女の言葉をライラが遮りながら窓の外に指を差す。
あああ、ドキドキした。
カレンに壁ドンされてそれとなく
スッッッッッッッッゲェ嫌な顔されたけど、こうでもしないとCCは頑なに自分なりに『世界一ピザ』をいの一番に入手しようとするからな。
俺はというと、キリキリ痛む胃を鎮めさせるために胃薬を服用してから、ライブラたちのフォローをするために後を追っていた。
止む無く事情とはいえ、仮にも彼女たちと学園祭を回っていたのに中断してしまったからな。
サンチアたちとはすぐに連絡が取れて会うことはできたが、どうやら『客人』とやらにライブラとナナリーはクラブハウスに連れていかれた様子で今向かっていた。
「スヴェンさん。」
くぇrちゅいおp~~~~~~~?!
「な、なんでしょうか咲世子さん?」
急に背後から来た女性の声に大声を出しそうなのを無理やり『優男仮面』で凌ぐ。
「お時間よろしいでしょうか? (ニッコリ)」
あ。
これ、有無を言わずの『ニッコリ』や。
後何気に『ついて来なさいやオラ』のオーラが……
オラオラオラオラオラオラオーラ。
……
…
「やっと見つけました!」
ぎゃああああああ! この声はわははははのはは?!
「初めまして……になるので正式な自己紹介です! 私、第三皇女のユーフェミア・リ・ブリタニアと言います!」
「私はスヴェン・ハンセンと申します。
「『只の学生であるスヴェンさん』、貴方の事を探しておりました!」
な
ん
で
や
ね
ん?
そう思いながらも礼儀作法に乗っ取って畏まると同時にありのまま起こったことを話すぜよ?!
咲世子さんにクラブハウス内に連行案内されたと思ったらギスギスギラギラするSPたちの視線から逃げるように早歩きで咲世子さんの後を追ったらお茶していたユーフェミアとナナリーとライブラが居た。
お、俺も何が何だか……
というかユーフェミアとナナリーがいることは原作でも見たから分かるが何でライブラもここに?
俺のように、『ナナリーの友達枠』で連れて来られたのか?
「すみません、スヴェンさん。」
ナナリーよ、そこまで悪いことをしたような顔をしないでくだせぇ。
「あの時はありがとうございます!」
『あの時』?
って、河口湖の時か。
「いえいえ、私は特に何もしておりませんよ。 (わぁぁぁぁぁ! 生ユフィの笑顔くそかわぇぇぇぇぇ!)」
「そんなことないです、貴方があの時立ち上がらなければ私が名乗り出ていました。 並大抵の者では、ああも立ち上がれませんでした。」
「私もそう思うです~!」
そういや今考えれば、その流れもあったな。
ライブラって忘れがちだけれど『ブリエッラ侯爵家』の娘でかなりのステータス持ちなんだよな。
下手していたら原作のように『ニーナが
……それってどんなウ=ス異本?
「過大評価ですよ。 私はただ、我慢ならなかっただけで“何とかできないか”という賭けに情で出ただけの若輩者です。 (ニコッ)」
ユーフェミアがキョトンとして、ライブラが『おぉ~』と感動する声を出す。
「やっぱり、スヴェンさんは凄いですね。」
「買いかぶり過ぎですよ、ナナリー。」
「ねぇ貴方? 少し、聞いていいかしら?」
「何でしょう、殿下?」
「貴方は、河口湖で私が『皇女』と知っての行動でしたよね?
確かにそれとなくウィンクしたけれど、まさかこうも彼女に俺を訪ねさせる(?)程の事になるとはさすがに思わなかった。
でも『どうして』、か。
『
『フレイヤが生まれるのを止めたかった。』
『ニーナの依存症をどうにかしたかった。』
上記で出したこれらを言うのは簡単だが、意味もないしただ不審がられるだけだろう。
「……無礼と不敬罪を承知での発言をしてもよろしいでしょうか、皇女殿下?」
「構いません、今ここにいるのはただの『ユーフェミア・リ・ブリタニア』という個人ですから。」
本当に、優しいな。
これで歌とか歌ったら『歌姫』になれるんじゃね?
冗談は別として────
「────理由は、『皇女殿下』という肩書きで不用意に名乗り出ようとしたことですね。」
「え?」
少しきついかもしれないが……夢見がちなユーフェミアに今言わないと、ダメなような気がする。
「『皇女殿下』という肩書にはかなりの重みがあります。 今の世の中で安易にそれを使ってしまえば、本人が望む形になろうが否が応にも周りは過激なほどに動きだしてしまいます。
ですから、肩書などを出す時は慎重にかつ自分の技量に沿った状況下でないと、大抵の場合は望んでいる結果とは違う流れになる可能性が出てしまいます。」
「「「………………」」」
三人とも黙ってしまった。
少し言い過ぎたか?
「無論『相手を試す』という振るいに賭ける時でも有効ですよ? 先ほど申し上げた通り、周りは過激なほどに動きだしてしまいますから。」
一応、俺の本音を混ぜた言葉を言ったつもりだ。
「「「………………」」」
つもりだったが、気まずくなってしまった。
「そ、それではもうよろしいでしょうか皇女殿下?」
「ぁ……え、ええ。 ありがとう、ございます。」
どうにかして逃げ口を見つけた俺は立ち上がると、空になった茶菓子のお皿を見て思わず追加の言葉を言ってしまう。
「それと、もしよろしければ作り置きのマドレーヌがございますが────」
「「────マドレーヌ?!」」
ライブラはまだしも、ユーフェミアの食い気味接近が半端ねぇ!