小心者、コードギアスの世界を生き残る。   作:haru970

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お待たせいたしました、次話です!

ブラックリベリオンのカオスが続きます。 (;>Д<)

お読み頂きありがとうございます、楽しんでいただければ幸いです!


第75話 ブラックリベリオン3

 行政特区日本────否。 『元行政特区日本』での会場に残されたG1ベースの“掃除”と“再利用”の為の修理が施されている間、一つの客室ではルルーシュがCCにスヴェンからもらった箱を見せていた。

 

「これを、あいつがお前にか?」

 

「そうだ。 奴は知っていた、俺のギアスの事を。 奴がこの俺と……ゼロとの接点は黒の騎士団。 そして黒の騎士団にはお前がいる。」

 

「私はあいつにギアスのことは喋っていないぞ。」

 

「ほぅ? だがお前と奴が一緒にいる事はよく耳にするぞ?」

 

「嫉妬か?」

 

「バカ言え。 質問に答えたくないのならば良いが、お前との契約を遂行するにはある程度の答えが必要になってきただけだ。 お前と奴の……スヴェンとの関係はなんだ? 俺と同じ契約をしたのか?」

 

 CCはいつもの仏頂面を維持するが、内心では舌打ちをする。

 

「(チッ。 何でこいつがあの若造の事を? 若造が喋ったのか? だがこれぐらいなら────)────そうだな、ある意味()()()()()()()()()()()()ような間柄だ。」

 

「……俺よりもか?」

 

「少なくとも、奴は私の個人的事情にむやみやたらと首を突っ込もうとはしない。」

 

「「……」」

 

 二人の間に会話はなく、外からはエリア11全土が一斉蜂起したことやその結果、武装集団が黒の騎士団と合流したがっていることや、暴動が起きているブロックの現状のアナウンスが壁越しにぼんやりと聞こえてくる。

 

「(まさか……奴が(ヨコスカ)(ルルーシュ)がゼロだと知った奴か?! だがそう考えればG1ベースでの出来事をある程度の説明はつくが、ギアスはどこから知った? まさか、(スヴェン)の情報網か?)」

 *注*原作知識です。

 

「それで? これからどうするのだ、ルルーシュ? お前のことだ、もうすでにある程度の考えはあるのだろう?」

 

 窓から入ってくる夕焼けの光から目を逸らし、部屋の中にあるソファーに腰を掛けながら外したコンタクトレンズがすっぽりと入る箱を見るルルーシュにそうCCは問う。

 

「……トウキョウ租界に向かう。」

 

「コーネリアと……いや、帝国(ブリタニア)ともう戦争をする気か?」

 

「いや。 上手くいけばコーネリアもこちら側に引き抜ける打算……“チャンス”がある。」

 

「なんだと? 妹を撃ったのにか?」

 

 ここでCCが意外そうな表情を浮かべる。

 いつもはニマニマした笑みや、澄まし顔の彼女にしては滅多に見せない顔だがルルーシュは気付かないまま口を開ける。

 

「俺の撃ったあのユーフェミアに似た奴は……偽物だ。」

 

「なぜそう断言できる?」

 

「本物のユフィには俺の……ゼロの素性を話している。 だから再会した奴が俺が日本人かどうかの確認なんてするはずがない。 そこが『コーネリアの説得のカギ』と、俺は感じている。」

 

「“感じている”? 曖昧過ぎてお前らしくもないな。 ある意味子供らしくて可愛いぞ?」

 

「言ってろ、ピザ女……しかし、まさか俺のギアスがこのタイミングでオンオフができなくなるとは……」

 

 ルルーシュの独り言にCCがピクリと反応する。

 

「……それでそのコンタクトレンズか……良かったな?」

 

「何がだ? スヴェンともユフィとも連絡ができない、準備も何もかも中途半端なまま黒の騎士団を旗印にエリア11の住民どもが一斉蜂起……状況は想定以上に悪い!」

 

 CCの悪戯っぽい笑みに、ルルーシュはイラつきから辛辣な言葉を返す。

 

「だがお前個人としては、『まだ人里に住める』じゃないか。 それは良くないのか?」

 

 CCに指摘され、さっきまでカッとなっていたルルーシュはハッとして冷静になり、箱を見る。

 

「(そう言えばよく見るとこの箱、宝石店などで見る物に似ているが外側だけで中は完全なカスタムメイドだ……

 スヴェンはいつからギアスを────いや、このこと(暴走状態)を予測していた? 

 それに、こんなことをしても自分に直接得があるわけでもない。 せいぜいが、俺に恩を売ることぐらいしか……

 あいつはいつもそうだ。 

 昔から自分の得にならないような物事を率先して行っている……と思えば、時には俺以上の第三者視点から損得からくる計算で動いているような行動を取る……一体どちらが本当のアイツだ?)」

 

 珍しく感傷的になるルルーシュを見ていたCCは内心、複雑な気持ちを持っていた。

 

「(あの若造……私だけではなく、ルルーシュのことまで知っているとは何者だ? ギアス能力者かコード保持者……ではないな。 

 ()()()()()()()()。 それは今までの接触で確認できているが……だとすると……奴は何だ?)」

 

 ピリリ♪ ピリリ♪

 

 ルルーシュの携帯が鳴り、着信相手が『ナナリー』と見てはすぐに電話に出る。

 

「ナナリー? どうしたんだい?」

 

『あ、お兄様? ユフィお姉様とお話できるかどうかと思いまして。』

 

「ッ……あ、ああ。 そうだな、今は難しいんじゃないか?」

 

『ほら、この間の学園祭は中断になってしまいましたから、次の学園祭に誘えるかどうか。 今度はお兄様と私とユフィお姉様に、アリスちゃんやライブラちゃんやスヴェンさんたちに、他の皆さんと回るのはどうかな、と。』

 

「ナナリー……ニュースやラジオとかで、何か“ユフィ”や“行政特区日本”のことで聞いていないか?」

 

『いいえ。 “行政特区日本” に関しては途中までしかなくて、ユフィお姉さまに関しては何も。 今では“活性化した暴動などの事に対して警戒せよ”という事しか……』

 

「そう、か……分かった、ありがとう。 しっかり戸締りをするようにと、咲世子さんに伝えてくれるかな? 俺も遠出しているから、近くのホテルか何かで泊っていくよ。 だから、学園に戻るのは少し遅れそうになる。」

 

『分かりました。 お兄様も、お気をつけて。』

 

「うん、ナナリーも気を付けてね。 ユフィと話ができるときにナナリーの頼みを伝えておくよ。 もちろん、できればスザクにも。」

 

『ありがとう、お兄様!』

 

「じゃあ、またあとでねナナリー。」

 

『はい、お兄様。 またあとで。』

 

 ルルーシュは電話を切り、ソファーから立ち上がる。

 

「(そうだ。 この事態の“流れに逆らう”のではなく“受け流して利用”するんだ! このままでは暴徒化したままではいらぬ損害と軋轢が出来てしまう!

 そうなればエリア11は今まで以上に監視が厳しくなる────いや、最悪の場合は今度こそ、原住民(日本人)のいるゲットーが根絶やしにされる可能性も……

 そうなる前に母さんのこと、そしてユフィの事をコーネリアに話して交渉のテーブルに強引にでもつかして俺の考えも、『合衆国日本』についても話す。 ユフィや、ナナリーたちの為にも! それに万が一、奴が応じなかった事態でも黒の騎士団と立ち上がった日本人たちを誘導して何とかするだけだ!)」

 

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

 

「アイツ、しつこい!」

 

 アリスのガニメデ・コンセプトはヨコスカ租界……の一歩手前にあるフジサワにある隠れ家の一つに向かいながら森の中を“ザ・スピード”を発動させながら移動していた。

 

 本来ならトウキョウ租界へと向かっている筈のディーナ・シーやアマルガムと合流するために移動するのだがスヴェンの容態が芳しくない上に謎のナイトメアに追われていたことから街道などを迂回していた。

 

「だ、大丈夫なのですか────?」

「────分かんないけどそいつ(スヴェン)だけはちゃんと支えといて!」

 

 さっきから激しく揺れるガニメデの内部で、ユーフェミアは眠っているかのように目を閉じていたスヴェンの体を支えていた。

 

「(いけね。 意識を失っていたか……)……………………う。」

 

「気が付いたのですね!」

 

「状況、は……?」

 

「丁度いいわ。 今は迂回してフジサワを目指している、あそこの隠れ家ならあんたの治療もできると思うけれど……今、追われている状態よ。」

 

「機体……?」

 

アンノウン(識別不明機)。 けど、私の“ザ・スピード(弱)”でも振り切れない。」

 

「そう、か……(胸が痛い。 吐きたい。 胃がデロンデロンと変な感じがする。 “(弱)ってなんやねん”ってツッコミたい……けど……)」

 

 スヴェンはよろよろとアリスの握る操縦桿に手を付ける。

 

「はひゃ?! ちょ、ちょっと何を────?!」

「(────『“時間”に意味はない』。)」

 

 スヴェンは止まった世界の中を移動するために握っていた操縦桿を────

 

「────な、なにこれ?」

 

 アリスがびっくりしながら違和感ありまくりの周りを見渡す。

 

「(え。)」

 

「えっと……なんだか周りが止まった感じがしますね?」

 

 ユーフェミアが困ったような顔で感想を出す。

 

「(ええええぇぇぇぇぇぇ。 うそ~ん?)」

 

 思わず時間が無くなった世界にビックリするアリスたちにビックリしながら気が抜けそうなスヴェンは眠気が絶えない頭を気力で無理やり切り替える。

 

「と、取り敢えず動けるのなら今のうちにフジサワへ移動してくれ。 何時まで()()か分からないが、動けるのなら好都合だ。」

 

「……了解。」

 

「(ほ。 取り敢えず、今はユーフェミアの安全と俺の治療だ。 これに関してどう説明すればはわk────)」

「────後で教えてよ()()()()? 全部が落ち着いてからでいいからさ?

 

 なおスヴェンの角度から見えなかったが、アリスは神妙な顔をしていた。

 

「(まさかこいつ……私たちとは別の機関というだけで、同じ境遇持ちだったの?)」

 

 アリスが思い浮かべたのは以前、河口湖の出来事後にミレイがある日スヴェンの過去がそれほど良くなかったような話だった。*1

 

 彼女たちは止まった世界を不思議に思いながらもフジサワにある隠れ家の“入り口”につくとアリスは急いで近くのパネルにコマンドを入力していくと地面が地下へと降りていく。

 

「よし、こんな世界でも電源もモーターもちゃんと動いているわね。」

 

「こ、これは────?」

「────エリア11は地震で有名な土地だけれど、租界では感じられない細工の正体がこれ、地震対策用の階層構造よ。 エリア11の所々にこういう場所を所持しているらしいわ。」

 

 ガニメデ・コンセプトのコックピットから外の様子を見ていたユーフェミアに答える。

 

「“らしい”?」

 

「……私も全部把握しているわけじゃないから。 (“組織に入って日が浅い”なんて言えないわ。)」

 

 彼女たちが乗っていた巨大パネルが動き地中を移動すると、まるでその移動を隠すかのように他の巨大パネルが動いて空いた穴を埋めるその様子はまるで人体の“皮膚”が再生するような様だった。

 

 やがてパネルの移動が済むと、開けた場所にユーフェミアが見たのは一昔前のデザインをしたシェルターだった。

 

「こんな場所が租界の下にあるなんて……」

 

「ま、スヴェンの説明では租界が今のような要塞化された時より以前の代物らしいわよ? 知っているのはよほどの物好きとかじゃないかしら?」

 

 二人は苦労しながらもスヴェンをシェルターの中から担架を出し、彼を乗せて古いデザインの医務室の中にある医療ポッドに入れる前にヘルメットを取り、ライダースーツを慎重にはがしていく。

 

「ウッ。」

 

「ユーフェミア様は見ない方が良いと思うわ。」

 

 胸は青を通り越して紫色に変質し、スヴェンの見たて通りに散弾が数粒ほど防弾着(ケブラー)の網をすり抜けて肌を抉っていた。

 

 見るからに痛々しいそれをアリスは黙々とハサミを使って取ってから医療ポッドを取り敢えずは自動(オート)で作動させる。

 

「(……これで何か異常事態が出て来たときのアラーム設定をして……あとは容態が悪化しなければいいんだけれど……こればかりは『運次第』か。) はぁ~。 疲れt────」

 

 一息つける状況にやっとなったことでアリスは大きい溜息を吐き出してふと不思議に思った。

 

「(────あれ? そう言えば()()()()()()? 喉も乾いていないし“ザ・スピード”の副作用から来る痛み(CC細胞の浸食)もない? なんで?)」

 

 アリスはそれ等の疑問を不気味に感じ取りながら念のために中和剤パックをガニメデ・コンセプトのコックピット内にある小物入れから出して飲みながらユーフェミアを探す。

 

「(あれ? どこ行ったかな、お花畑姫。)」

 

 アリスがシェルターの管制室、居住区、倉庫を“ザ・スピード”の無駄遣いで見て回るが、結局ユーフェミアがいた場所はスヴェンが治療を受けている医務室だった。

 

「(この人、ここまでになっても………………)」

 

 そう思いながらユーフェミアは医療ポッドが次々と作業を進めていくのを見る。

 

「(すれ違ったのか。) お花────じゃなかった。 ユーフェミア様────ッ?!」

 

 アリスが声をかけようとしたとき、一気に体中が痛みだすと共に急に乗り物酔いをしたかのように視界がぐらぐらとして彼女はこみ上げる吐き気を我慢するために素早く空気を飲んで息を止め、近くの壁に寄りかかる。

 

「(ウッ……オエ……なに、これ?)」

 

「う、うう……」

 

『ガフッ?!』

 

 ピィーピィーピィー!

 

 近くの医務室からユーフェミアもうめき声を出し、医療ポッドが電子音を出して中にいるスヴェンが咳をする。

 

 それ等はまるで、一気に事態が進展する予兆の様だった。

 

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

 

 アリスを追っていた黒い機体たちはファクトスフィアを展開しながらゆっくりと、物音を立てずにランドスピナーで森の中を前進する。

 

『………………ターゲット、ロスト。』

『ここからは“猟犬”の出番だ。』

『それでVV様はなんと?』

『トウキョウ租界への移動、輸送護衛だそうだ。 スケジュールの邪魔になるモノはイレヴン、ブリタニア人でも射殺許可が出ている。 各機、エナジーフィラーの残量で作戦続行可能か?』

『『『『問題なし。』』』』

『よし、ならばこのまま続ける。 遅れれば機体は破棄せずにその場で自爆レバーを引け。』

『『『『了解。』』』』

 

 成人した女性と男性の声がお互いに感情のこもっていない言葉で通信を飛ばしあう。

 言っている内容も物騒なものだが声は冷静そのものだった。

 

 まるでその者たちに取って、日常的な会話であるかのように。

 

『聞いたな、“猟犬”?』

 

『……………………了解です。』

 

 謎の黒い機体部隊のリーダらしき男性が確認を取ると今度は中性的な若い声が返ってくる。

 

 黒い機体たちは一機だけを残し、それ以来何も言葉を交わさずその場を去る。

 

 残った黒い機体はそのまま速度を上げてランドスピナーを展開し、真っ直ぐフジサワへと向かう。

 

「(……………………あれだけ大きいフレームをしたナイトメア、倉庫ではなく隠すのなら地下断層あたりか。)」

 

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

 

 トウキョウ租界の政庁はかつてないほど騒がしかった。

 

 数時間前まで、ブリタニア帝国全土でも初の(一部の地域だけとはいえ)『ナンバーズを認める』特区の設立で反ブリタニア勢力とつながっていた貴族や代官たち、そして汚職で甘い汁を吸っていた者たちはダールトンとバトレーの働きで一掃された。

 

 これだけでもかなりの人手が減ったというのに、シュナイゼルの助言もあってか今度はコーネリア直々に『ユーフェミアを全力でバックアップせよ』との命令だった。

 

 彼女が宣言したのは『小さな地域限定ですが、ブリタニア人とナンバーズは平等です。』

 

 言葉にするのは簡単だが実際問題、根本的な問題が山積みだった。

 

 “差別意識が正義”という“ブリタニア社会の常識(普通)”を覆すようなそれはユーフェミアの政策を現段階では“副総督として平等にナンバーズを扱ってください”と口だけで言っ(お願いし)ているようなモノだった。

 

 確かに賛成する者はいるだろうが、逆も然り。

 どちらかというと否定派の方が多いのが現状のブリタニアである。

 

 よってそれをより現実的にさせる為に政庁の中でも差別意識が薄く、有能な者たちがユーフェミアのサポートに出払っていた。

 

 だがユーフェミアの政策は『大失敗で暴発』どころか、『近くで眠っていた火薬庫に引火』させてしまった。

 

 報告によれば、一部のナイトメアと兵士が独断で発砲し始めその混乱の際に兵士達は『皇族の命令である』と言っていたとのこと。

 

 真相は定かではないが、ブリタニア軍が『行政特区日本』に発砲したのは事実で、()()()()()()()()()()()

 

「各地で暴動が発生しています!」

「黒の騎士団は一般民衆を吸収しつつ、このトウキョウ租界を目指して進軍中とのことです!」

「敵の勢力には名誉ブリタニア人も加わり、その数は既に数万を超えて今なお膨れ上がっていきます!」

「他のブロックは既に暴動の鎮圧から防戦に方針を変えており、援軍は望めません!」

 

 ブリタニアの官僚や将校たちの報告が政庁の会議室で飛び交い、いかにパニック寸前なのかを表していた。

 

「狼狽えるな!」

 

 そんな彼らをギルフォードが叫んで黙らせる。

 

 そんな彼でさえも内心、混乱しているがコーネリアがこの場に出てこない以上は彼女の代わりに出来る範囲で何とかするしかない。

 

 しかし厄介極まりない事態だったのも事実。

 

 何せ中華連邦も『この間に』と言わんばかりに艦隊を海上に展開し、“模擬演習”とやらを行っていたとの報告も海兵騎士団から入っていた。

 

 よってトウキョウ租界は正しく、『陸内の孤島』状態になっていた。

 

 とはいえ、仮にも植民地エリアの要だけあって籠城すれば強固な要塞と化す。

 

 例え中華連邦が黒の騎士団の進行に便乗しても、本国からの援軍が到着するまで理論上は持ちこたえられる……筈。

 

 多大な物理的損害と、人口的被害が出てしまうのは避けられないが。

 

 しかしギルフォードはあくまでもエリア11総督の騎士であり、総督補佐などではない。

 

 ほかの者たちが動きたくとも、そのような彼の指示に従っても後から彼に責任は問われない。

 肝心のコーネリアは少し前から部屋の中に籠っているので、その場合は副総督が出るはずのだが……その副総督が()()()

 

「(マズイ。 姫様が『全ての攻撃を中止せよ』と命令を出したことで兵は混乱し、後手に回っている……)」

 

 ガチャ。

 

「遅れてすまない。 状況の確認をお願いできないだろうか?」

 

「あ、貴方は?!」

 

 ギルフォードが焦りながらどうすればいいのか迷っているときに会議室のドアが開いて、誰もが予想していなかった人物が車いすに乗って入ってくる。

 

「「「クロヴィス殿下?!」」」

 

「よい、座ったままでいい。 ギルフォード卿、情報が欲しい。 まとめて私の部屋に持って来てくれないか────?」

「────で、殿下……お言葉ですが、貴方は────」

「────元総督であるのは承知の上だ。 だが姉上が動けない以上、私が何とかするしかないだろう? それとも、ここにいる誰かが代わりをすると前に出て発言するのか?」

 

「「「「……………………」」」」

 

「ならばエリア11の総督に代わりこの私、第3皇子クロヴィス・ラ・ブリタニアが一時的にエリア11の防衛指揮を執る! 異のあるものは今、この場で申せ!」

 

 クロヴィスにしてはかなり正論を通した言葉に誰も何も言えず、退室するクロヴィスを見送る。

 

「(あの状態の姉上は見たことがない。 このままではエリア11は黒の騎士団やイレヴンどもに蹂躙される! そんなことはあってはならん! ライラがいる学園は安全と思いたいがイレヴンは野蛮だ。 トウキョウ租界の政庁から注意が逸れれば……)」

 

 クロヴィスが想像してしまったことに手は震えだし、彼は手を強く握りしめて再び自分の部屋へと戻る。。

 

「(駄目だ! やはりテロリストどもを政庁にだけ釘付けにする必要がある!)」

 

『クロヴィス殿下、ギルフォードです。』

 

「入れ。」

 

 すぐに後を追ったのか、ギルフォードがクロヴィスがユーフェミアの『副総督補佐っぽい仕事』に使っていた部屋をノックして部屋に入る。

 

「殿下────」

「────いい。 卿の言いたいことはわかる。 私では不安なのだろう?」

 

「………………いえ。 ですが────」

「────分かっているさ。 私は軍事に関しては姉上とは比較もできない。 それに姉上の命令は『攻撃を中止せよ』であって、『迎撃の用意はするな』ではない。」

 

「それ、は……」

 

 クロヴィスの提案はいわゆる『命令の捉え方(屁理屈)』と、『代理』であった。

 

 無論、既にエリア11のことから立場が危ういクロヴィスの名を借りるということは、万が一にも何かがあっても責められるのはギルフォードではなくクロヴィスということになる。

 

「だがそんな私にも、守りたいものがここにあるのだ。 ()()()()()()()()()()使()()、ギルバート・G・P・ギルフォード卿。」

 

 クロヴィスが今まで見せたことない真剣な目と言葉にギルフォードは思わず自分の主君で凛としたコーネリアを連想してしまう。

 

「(やはり半分だけとはいえ、血は繋がっているということか。) ……イエス、ユアハイネス。」

 

 ギルフォード卿はこの後、『総督(コーネリア)の騎士』でありながら『第3皇子の支持』を得たことでトウキョウ租界の防衛配置などに指示を出し始めた。

 

『『せめて、姫様(姉上)が回復するまで』』と思いながらギルフォードとクロヴィスは動いた。

*1
30話より




次話の投稿が遅れる、または次の日などになることがあるかもしれません。 (汗
ご了承くださいますようお願い申し上げます。 <(_"_)>
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