時間が空いている合間に、携帯で少しずつ書いたものです。
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『目を覚ましたら地獄だった。』
そんな表現を人がするのを、メディアや映画などでするのを聞いたことはあるが、まさか
俺が目覚めたのは、今まで感じたことの無い痛みと、二日酔いに似たような悪寒と、吐き気と頭痛とグラつく視界が一度に俺を襲ったからだ。
叫ぼうとしてもすでに叫んでいたことで、肺は空気を欲するのに痛みで声にならない叫びをしていた。
吐きたいのに吐くことが出来ない。
周りを見たいのに、鎮痛剤の副作用からか上手く身体が動かせない。
ようやく落ち着くと、俺がいたのは医療ポッドの中だと気付く。
「あ、起きた?」
そしてガラス越しに何やらゲッソリしたアリスがいた。
「ここはどこだ? 何があった? ユーフェミア様は? 外の状況は?」
「アンタってば相変わらずブレないわね?」
ちゃうねん、色々予期せぬことがあって必死なだけやねん。
「ここはフジサワ。 本当ならアンタの指示通りにトウキョウ租界に直行していたけれど、変な機体たちに追跡されていた。 アンタのギアス(?)で振り切ったけれど、あまりにも重症っぽかったから独断でここの隠れ家の医療ポッドに入れた。 ユーフェミア様なら目を回し過ぎて隣の部屋で横になっている……私もアンタのギアス(?)の反動で結構参っていたけれど、彼女よりは慣れていたわ。」
「そうか。」
へぇ~?
元々アリスが優秀だったのは知っていたけれど、上出来だ。
「それにしても、『
「前にも言ったが、俺のは『ギアスに類する能力』だ。 本当にギアスかどうかわからん。」
それよりも俺、言っちゃっていいかな?
言っていいよね?
なんという事だぁ! よりにもよってぇ、『時間が意味を無くした世界』にぃ! 入門してくるとはぁぁぁぁ!
……なんか違う気がするけど、まぁいっか。
「状況を出来るだけ教えてくれ。」
「ニュースとか通信傍受でも良い?」
なんでもええがな。
…………
………
……
…
なんという事だ?!
『ユーフェミア生存』しているのに殆んどマイナーな詳細が違うだけで、大まかに『原作ブラックリベリオン』の始まりじゃねぇか?!
しかもなんだよルルーシュ?! 『最終通告』で『我が軍門に下れ』って?!
まさかギアスをかけたダールトンに何かあったのか?
それとも俺たちがユーフェミアをトウキョウ租界に送っていないから、何かあったのか?
こいつはクセェ!
VVの匂いがするぜ!
プンプンしやがるぜ!
辛気臭~い匂いがプンプンするぜぇぇぇ!
ならこっちも出来るだけのカードを切っておくか。
不安しかないけど。
「よし。 大体の治療は終わった。 医療ポッドを開けて。アリスはユーフェミア様を連れて、一足先にトウキョウ租界に向かって毒島達と合流しろ。 彼女にはもう『もしもの場合』を前もって伝えている。」
「“一足先に”って……アンタは?」
「準備が出来次第、ここに置いてあるナイトメアで後を追う。 俺がいない方がお前は
「……分かった。 ユーフェミア様にはどう説明する?」
「アリスの判断でいい。」
「そ。」
アリスが医療ポッドのハッチを開けてから部屋を出る前に、もう一度俺の方へと顔を向く。
「……じゃあ、トウキョウ租界で。」
「またな。」
空気圧独自の音で扉が閉まり、俺は100を数えてから医療ポッドから出ようとする。
「グッ!」
だが、痛覚マヒの薬物のおかげで身体の神経の反応は鈍く、足がもたれて倒れそうになるのを壁に肩を預ける。
先ほど言ったように痛覚がマヒしていたが、身体が自然と震え、視界にはチカチカと星が散るが、何とか自分のカルテを見る。
割創、杙創に内部出血。
怪我のオンパレードだが、幸いまだ動ける。
医療室から出て、シェルターの管制室でここに俺たちが居た痕跡を消して……いや、まずは個人の武装だ。
アリスには『ここに置いてあるナイトメアを使う』と言ったが、実戦で使えるかどうかは微妙な上に、少し離れている場所に保管してある。
さっさと警備室から武装を持ってきて、トウキョウ租界に向かおう。
スヴェンがいる場所から、アリスのガニメデ・コンセプトで、アリスと即席用で取り付けるタイプの席に座っていたユーフェミアが、階層構造で身を隠しながら移動し、隠れ家から少し離れたフジサワから離れたところで移動を開始する。
「(あそこか。)」
そしてこれを見ていた黒い機体がすぐさま元に戻ろうとする構造の中へ躊躇なく飛び込み、中で蠢くパネルを素早く移動する。
ん? アラート音?
管制室に初期化のコマンドを時間差で発動するにセットし、警備室で置いてある武装を拝借していた
ズルズルと足を引きずり、監視カメラを見ると、全身真っ黒でバイザーをした誰かを見たような気がした。
え? 誰こいつ?
見たことない制服?
なんかダールトンのグラストンナイツみたいなバイザー?
どっちにしろ、味方じゃないのは確実だ。
……不味いな、怪我は一応処置されたがこれ以上の失血は危ない。
ここはトラップを張って時間稼ぎ、そしてスタコラサッサするに限る。
まずは手榴弾と閃光弾たちの安全ピンにワイヤーを接続して、固定とかくれんぼレッツゴー。
……思っていたより不味い、完全に無意識に遊び気分になっている。
集中、集中。
焦っていても、ワイヤーや手榴弾等の隠し方に固定をちゃんとしないと、ただ無駄に労力と時間を消費するだけだからな。
「ハァ……ハァ……」
持ってくれよ、俺の身体。
たった5分ほど動いただけじゃねぇか、もう息を上がらせるのはだらしないぞ~?
いや、10分ぐらい経っているか?
分からん。
視界がダブって見えるが、あの侵入者が通過すると思われる通路とドアに仕掛けは終えた。
主に俺との間だけだが、これで数分稼げるだろう。
あとはナイトメアのある場所に────
ドゴォン!
────引っ掛かった?!
早すぎる!
ドゴォン!
ドゴォン!
バァン!
いや違う! 段々と近づいてきている!
こいつ、急ごしらえとはいえ
正気じゃねぇ!
このことに気付いた俺の心臓は脈を強くかつ早く打ち始め、寝ぼけていた頭と体に血液を循環させて、無理やり闘争本能を覚醒させる。
普段なら焦るが、ありがたい。
意識が幾分かハッキリとした俺はサブマシンガンを片手でドアに構え、もう片手で脇腹を抱えるように置く。
ドゴォン!
直ぐ近くで、ついさっき仕掛け終えた手榴弾の爆発がドアの向こう側から聞こえて、俺は手に力を入れる。
プシュ。
空気圧で開いたドアの向こう側から黙々と煙が俺のいる部屋の中に侵入し、まるでショーのように先ほど見た人物らしき奴が迷いのない足取りで入ってくる。
身長は俺やルルーシュとあまり変わらない……いや、僅かに低いか?
腰には拳銃のホルスター、いつでも抜けるように固定ベルトを外している。
そして肩まで伸びた髪は灰色より銀髪に近かった。
「返事は期待していない。 が、“断れば亡骸でも良い”との事だ。」
透き通った、中性的な声が返ってくる。
あ、しまった。
こいつ、バイザーをいつの間にか取りやがった。
外すタイミングで撃てばよかった。
バイザーを外した目の前の、整った顔立ちをした奴の碧眼が赤のかかった目の色に変わって
待て待て待て待て待て待て待て待てぇぇぇい!
こいつ、
というかノネット見た後に俺、こいつのことを探していたぞ?!
髪の毛を切っていないのか、髪の毛が若干伸びてはいるがよく二次原作やサンプルの攻略本でスタッフが書いた素顔だ。
「『ライ』、か?」
そう思った俺は思わず、
『ライ』。 コードギアスのゲームである『ロストカラーズ』の主人公で、アッシュフォード学園内に倒れていたところをミレイとルルーシュに保護されたところから始まる
そしてゲームの主人公だけあって、超が付くほどの公式認定のドチャクソチートキャラ。
とあるルートではチェスのルールをルルーシュに教わって彼と4戦し、2勝2敗のほぼ互角。
とあるルートではロイドお墨付きの『スザク君並みの身体能力と操縦技術がもう一人♪ 良いデヴァイサーに当たったねぇ♪』。
しかもナイトメアの操縦技術に至っては『バケモノ』と呼ぶしかない。
ナイトメアの操縦桿を使って精密な動きなどを行えるが、ライは一秒間で約12個のコマンド入力が出来る。
確かスザクでも無理な芸当だった……筈。
しかもルートによってはあのダールトンでさえも指揮官としての才能に魅入られ、しかもルルーシュの上位互換版ギアスを持っている。
『ザ・コードギアスチートキャラ』と言えば
「……『ボクに従ってもらおうか』。」
俺の名呼びに、特に反応を示さず俺にギアスをかけようとする。
だがな、ライ(多分)? そこがお前に無い、俺だけのアドバンテージなのよ。
ルルーシュ、そしてマオ(両方)で検証済み────
従え。
────ウッ?!
なん、だ?
ライ(多分)のギアス、『絶対遵守』に感化されたのか、とてつもない衝動に俺の意識が刈られそうになる。
従え。
こ、れは?!
まさか、ライ(多分)のギアスは効くのか?!
したがえ。
ヤバい。
ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい。
したがえ。
これは予想外。 想定外。 ヤバい。
そう思った俺は左手を一気に引っ張って、奥の手を使い、瞼を閉じても眩しぎるほどの閃光と鼓膜が破れたかのような爆発音が腰からする中、俺は記憶の通りに走る。
ボ────!
スヴェンの腰にあった閃光弾がさく裂すると同時に、彼は部屋から半ば本能で記憶に頼りながら身体を動かして逃げていた。
対してスヴェンが『ライ』と呼んだ者は、まさかあれほどの距離で閃光弾が玉砕覚悟で使われるとは思っていなかった様で、とっさに目を瞑って腕でスヴェンを掴もうとしたが、スヴェンは既にその場に居なかったことで腕は空振りをし、閃光弾の効果で星が視界を散っていた。
「(“ライ、か”?
やべぇ。 胃が荒れてきた。
最悪のタイミングもヘッタクレもないが、俺はそう考えながら元々純血派のサザーランドだった『ソレ』に乗り込む前に、パネルにコマンド入力を終えてからナイトメアを起動させていた。
酷使する体のそこかしこから嫌な汗が出ては吐き気もした……ような気がする。
頭痛と胃が圧迫されているような感覚は確かだ。
それと『元々純血派のサザーランドだった』と言ったが、今ではその影も形もほとんどない。
両腕は太くかつ長く、フレームも一回り大きくなっていて、足はランドスピナーを含めてごつくなっていた。
これの
まさかのまさかで、
しかもライ(多分)相手に。
……さて。 起動準備も終わったし、
そう覚悟を決めた瞬間、機体が酷く揺れ始める。
「ドワァ?!」
センサーとアラーム音で機体の腕をボクシングポーズのように上げながら方向転換すると、階層構造の壁に亀裂が走って黒い機体が向こう側で武器を構えるのを見た。
「↑キャァァァァァァァァァァァァ?! ↑↑キキキキキキキタァァァァァァァァァァァァァ?!」
命を懸けた地獄の鬼ごっこ、ラウンド3の開催合図になりつつあるスヴェンの悲鳴(裏声)が彼の口から出ていた。
『コーネリア様! 負傷していたダールトン将軍を保護いたしました!』
「何ィィ?!」
トウキョウ租界の外延部に兵を展開し、彼らの配置と反乱軍の位置を確認していたコーネリアのグロースターに上記の通達がされる。
『奴は無事か?!』
『は、はい────』
『────その通信機を貸せ────!』
『────しょ、将軍何を────?!』
『────姫様! 大至急お伝えしたいことが────ゴホッ、ゴホッ!』
『いけません将軍! 今の貴方は重症なのですよ?!』
『ダールトン、どうした?! 何があったのだ?!』
『姫様! 通信のチャンネルを
コーネリアがいる外延部とは違う場所で、酷い負傷をしたダールトンが彼を保護しようとしたグラストンナイツのグロースターに乗り、彼女のいる場所へと急行しながら通信の周波数をコーネリア、ダールトン、ギルフォードの三人だけになった時のものに変える。
『ダールトン! 重症と聞いたが────!』
『────姫様! ユーフェミア様は生きておられます!』
『なっ……』
コーネリアは腹心であるダールトンの言葉に頭が真っ白になり、言葉を失う。
無理もない、彼女は少し前までユーフェミアの死をアヴァロンの医師から聞いたギルフォードの連絡に、酷く揺さぶられて放心していたのだから。
そしてようやく心が一旦感情の整理をし終えたと思えば、今度はダールトンの『ユーフェミアが生きている宣言』が来た。
『で、デタラメを言うな! ダールトン、お前らしくないぞ! それよりも治療を────!』
『────今、話します! “行政特区日本” で、何があったのかを! 私の治療はその後でいい!』
……
…
「…………………………」
ルルーシュはガウェインの中で貧乏ゆすりに、CCの椅子は小刻みに震えていた。
時刻は彼が宣言した零時まであと少しを切ったというのに、コーネリアからの通信が入ってくる様子はなかった。
ピリリリ♪ ピリリリ♪ ピリリリ♪
ルルーシュは通信ではなく、携帯から来る着信音で思わず身体を跳ねさせてしまい、CCの方向を見ないようにする。
「(『着信相手不明』だと? 誰だ、こんなタイミングで? だが……)」
彼は何個かの想定を思い浮かべては声の変換器と暗号化部品を携帯に付けてから無言で出る。
『…………も、もしもし? ゼロ……えっと、ルルーシュですか?』
「ユフィ────?!」
ゴン!
携帯から来る相手の声がユーフェミアだったことに、彼は思わず立ち上がってしまい、思いっきり頭をガウェインのカメラに接続したモニターにぶつけてしまう。
「────グホォァ?!」
『きゃ?! い、今のは何?』
「~~~~~~~~~~!!!」
『ル、ルルーシュ? 大丈夫?』
ルルーシュは頭を抱えながら深呼吸をして言語化できない叫びを堪えようとする間、CCはそんな彼を見る。
まるで、『なにやってんだか』と言いたいようなジト目で。
「も、問題ない。 少し驚いていただけだ。」
「盛大に頭をぶつけてな。」
いじわるそうな顔をしたCCにルルーシュはキッとした視線を送る。
『えっと……今のは女の子の声?』
「あ、ああ。」
『もしかしてルルーシュの彼女?!』
「違う。 違うから話をさせてくれ。 今ユフィはどこで何をしている?」
『今、私たちはトウキョウ租界に向かっている途中。 そっちは、お姉様からの連絡は?』
「まだだ。 一応時間稼ぎはしたが、それも零時までだけだ。」
『もう時間が────』
“もう時間”が無いとユーフェミアが言い終える前に、新たな声がガウェインの中で響く。
『こちら、エリア11の総督であるコーネリア・リ・ブリタニアだ……この周波数であっているか?』
それはルルーシュが待ち望んでいた声だった。
『お姉様!』
「やっとか! ユフィ、まずは俺に話しをさせてくれ。」
『分かった!』
ルルーシュは息を深く吸っては吐き出し、気持ちを切り替えてからコーネリアの通信に音声だけの通信を繋げる。
「こちら、ゼロだ。 よくぞこの通信に出てくれた、コーネリア。」
『ダールトンから大まかな一連は聞いた。 まさか、兵の一部の暴走が、瞬く間に広がるとは……だがそれを信じる信じないかは、お前の出方次第だ、ゼロ。』
「無論、私もそれを承知している。 ですから、まずは妹君との会話などどうでしょうか?」
『何?! ゼロ、それは────!』
『────お姉様! 良かったぁ~。』
『ユフィ!? 無事だったのか?!』
ルルーシュは携帯をガウェインのシステムに繋げると、コーネリアはユーフェミアの声に心底ビックリしたのか総督ではなく、素の態度が出ていた。
『ええ、ゼロと私の知り合いのおかげで何とか!』
『待て! その……本当にユーフェミアかどうか────!』
『────お姉様が小さい頃、後宮の庭に迷い込んだ子猫にニャーニャーと
『────あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!』
ユーフェミアの思い出を恥ずかしがったコーネリアは、彼女の声をかき消すかのような素っ頓狂な叫びをあげ、ルルーシュはそのシーンを思い浮かべて『コーネリアが猫の物真似……だと?』と困惑したそうな。
余談ではあるが、原作でのユーフェミアが野良猫と思ったアーサーにニャーニャーと語りかけたのもコーネリアの真似……であってのかもしれないとだけここに記入しよう。
時刻は丁度23:59で、あと何秒間か過ぎれば予告の零時となるところだった。
……
…
トウキョウ租界、それも政庁のバルコニーらしきテラスで座っていた誰かが、静かに5段のトランプタワーに最後のカードを置く。誰かは冷静に、一触即発のブリタニア軍と、黒の騎士団率いる反乱軍を見下ろしていた。
テーブルの上に置いていた懐中時計は、スザクが持っていた枢木ゲンブの形見に似ていたが、こちらは正常に動いていたし壊れた様子もなかった。
針はカチカチと一刻一刻を刻んでいき、とうとう零時を指すと、トランプタワーを作った本人が最下段のトランプを指で突く。
トランプタワーがグラグラとバランスが危うくなると同時に、重い地鳴りがトウキョウ租界全体に響く。
租界の外延部、そして反乱軍が陣取っていた再開発地区の階層構造までもが一気に崩れ始め、トランプタワーがバラバラと崩れていく。
更にカオスの予定です。 (;´ω`)φ
そして次話の投稿が少し遅れる、または日が開くかもしれません。
申し訳ございません。 m(;_ _ )m