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ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!
『な、なんだ?!』
『まさか、エリア11でよくある“アレ”か?!』
大きな地鳴りとともにブリタニアの正規軍の者たちが焦る声を出す。
元々日本は地震が多発する国で日本人なら誰もが慣れている現象だが、外国のものからすれば不自然極まりない日常だった。
当時、日本を植民地に変えようとしたブリタニアは
そしてこれら『人工的な地盤』となった階層構造を監視、そして調整する部署がひっそりと存在する。
つまりその部署にある端末を使えば、意図的に階層構造を緊急パージしてすることが出来る。
だがそんな事をすれば操作した部署も勿論、巻き添えを食らう。
操作した者自らが命を捨てる覚悟、あるいは何らかの強制がなければ出来ないことなのだ。
「いやだ! いやだぁぁぁぁぁぁ! 死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくないぃぃぃぃぃ!」
人工地盤調整部の管制室にいる誰もが上記と似たような命乞いを口にし、涙と鼻水を流しながら彼ら彼女らは人工地盤の操作を終えた後、腰から拳銃を抜いてそれを自らのこめかみに当てては引き金を引く。
……
…
「スゲェ。 やっぱゼロはスゲェよ!」
目の前で陣取っていたブリタニア軍が文字通り足場とともに崩れていくこのありさまを見ていた玉城がその光景に魅入られていた。
……
…
『偵察部隊、退避せよ! 先行したお前たちもだ! 死にたいのか?! (まさか、人工地盤を強制パージするとは……恐れ入ったよ、ゼロ。)』
崩れるブリタニア軍、そしてこれを見て先走って移動していた反乱軍もいたフロア階層がパージするのを見た藤堂は上記の命令を出す。
……
…
「うわぁ~♪ まさかこれもゼロ様が?」
G1ベースにいた神楽耶がニヤリとしていたディートハルトに問う。
「後々、我々が必要とされる施設もありますから一部だけかと思います。 (しかし流石ゼロ、どうやって人工地盤調整部たちを……いや、ヴィレッタやジェレミアの推測通りに考えればなにも不思議ではない。 聞いていたより被害範囲は広いがさほど問題ではない。 やはりゼロは素晴らしい!)」
ディートハルトは近くのコンソールに歩き、通信を情報部に繋げる。
「お前たち、ちゃんと録画しているな?! さっきの映像と政庁の陥落した映像を世界に放送すれば黒の騎士団……いや、『合衆国日本』の始まりとなる!」
……
…
コーネリアは地面がパージされて、騎乗していたグロ-スターが自由落下し始めると近くの建築物にスラッシュハーケンを撃ち出して無事な部分に着地し、彼女の行動で同じように行動をする者たちがほかの出遅れた機体たちが瓦礫と化した地面に押し潰されるか破損する場を見る。
『全軍、政庁まで撤退せよ! このありさま……謀ったな、ゼロ?!』
「地震対策の為の階層構造を利用するとはな。 さすがだ、ゼロ。」
ガウェインの中にさっきまでユーフェミアと会話したことでホッとしていたコーネリアの怒鳴り声と、CCが感心するような言葉を出す。
コーネリアとの通信が繋がったままからか、ここで彼女が『ルルーシュ』ではなく『ゼロ』と呼ぶ。
だがルルーシュは顔色を青くさせて驚愕していた。
「ち、違う!
『何?!』
「なんだと?」
ルルーシュの言葉にコーネリアとCCが反応し、素になったルルーシュはショックからか口を開ける。
「確かにこのようなプランを、俺は練ってはいたがユーフェミアを確保できたことで断念していた! これは俺じゃなく、別の誰かが────!」
『────言い訳のつもりか、ゼロ?! 私の注意を逸らしてぬけぬけと────!』
『────きゃああああ?!』
「『ユフィ?!』」
ユーフェミアの悲鳴がスピーカーから流れ、コーネリアとルルーシュが彼女を愛称で同時に呼ぶ。
『ユーフェミア様、しっかり掴まっていてください!』
「(この声、アリスか?!)」
『ゼロ、このまま私たちは政庁を目指────きゃあああ?!』
「お、おい! どうした?! 応答しろ!」
そこでアリスからの通信が途切れたことにルルーシュが焦る。
『ゼロ! 反乱軍を退かせろ────!』
「────コーネリアも軍を退け! このままでは全面衝突どころか────!」
コーネリアたちの通信をよぎるかのように反乱軍、そしてブリタニア軍が砲撃を開始する。
『「誰だ?!
『死ねぇ、ブリキ野郎どもぉぉぉ!』
『イレヴン風情がぁぁぁぁ!』
『七年前の恨み、ここで晴らせてもらうぞぉぉぉぉ!』
『大人しくしていれば死ぬことはなかったんだ、この原住民どもがぁぁぁ!』
コーネリア、そしてルルーシュたちに返ってくる通信は今までの鬱憤を今この場で晴らすかのような者たちの咆哮だった。
そのどれもが生々しく、人間の誰もが胸の中に秘めた『嫌悪』や『憎悪』からくるものだった。
『ゼロ、まずは体勢を立て直すのが先決だ! このままでは泥沼化するぞ!』
「分かっている!」
コーネリア、そしてルルーシュが
「(そう言えばゼロの奴……“ユフィ”と言ったな。 いや、今は必要以上の損害を出さないことに集中しなくては!)」
ふとそう思ったコーネリアだが、やはり根は武人ですぐに頭を切り替えた。
『ゼロ! こちらは学園組の扇だ! さっきの地震は何だ?!』
「以前に私が提案し、断念したプランを誰かが強行したことでブリタニア軍と反乱軍が衝突しだ────!」
『────扇さん! ブリタニアの奴らが────!』
ドォン!
『────うわぁぁぁ?!』
ルルーシュがゼロとして扇に状況を伝えようとしたところ、扇側の誰かが慌てた声が爆発音に消されそうになり、悲鳴の途中で通信がぶっつりと切れる。
「扇? 扇! クソ! 藤堂、応答しろ!」
『ゼロか? まさかとは思ったが、人工地盤を利用するとは────』
「────さっきのは私ではない! 何者かが我々とコーネリアの軍を衝突させるよう仕向けられた可能性がある!」
『なんだと?! では、これは……』
「(この慌てようと切り替え、藤堂ではないな。 それに奴ならば、俺に一声をかけるはずだ。 なら誰だ? ディートハルトはありえなくもないが、奴にそこまでのカリスマがあるとは思えん。) 藤堂、お前は黒の騎士団を中心に撤退命令を聞かない反乱軍の統一化に回れ! G1ベースには前線から離脱するように伝えろ!」
ルルーシュは地図にファクトスフィアから得た情報を重ねた画面を見るとガウェインの進路転換をする。
「CC! 学園に行くぞ! あちらのナイトメアの動きがおかしい!」
「ここにいなくて良いのか、ルルーシュ?」
「ここは藤堂と黒の騎士団に任せればいい! (ナナリー! 生徒会の皆! シャーリー! 無事でいてくれ!)」
……
…
少し時間は遡り、トウキョウ租界の外延部のパネルなどが落ちていく衝動がアッシュフォード学園にまで届いていた頃。
「きゃあああ!」
「わぁぁぁぁ?!」
「落ち着け!」
「建物の壁の近くまで移動すれば大丈夫だ!」
「落ちるものから頭を守れ!」
中でもブリタニア人の学生や兵士たちは慣れない地面の揺れにビックリするが、ほとんどが日本人で構成された黒の騎士団がてきぱきと指示を的確に出す。
流石に日本人だけあって、多少の地震には強かった。
ドォン、ドドン! ドォン!
「な、なんだ?!」
だが無い筈の爆発音が次々とブリタニア側から聞こえ、黒の騎士団たちが戸惑う。
「う……うぅぅぅ……」
そんなところに、ブリタニアの兵士が数人ほど胸を抱えて黒の騎士団のテリトリーにフラフラとうなり声をあげながら入ってくる。
「負傷者か? なにg────?」
────ボン!
ブリタニアの兵士たちは叫びながら次の瞬間、文字通りに空気を入れすぎた風船のように破裂しては周りに凶器の破片と化した骨や肉片が飛び散って周りの黒の騎士団員を襲う。
「うぎゃああああああああ?!」
「目が! 目がぁぁぁぁぁ!」
「あつ! アチチチチチチチチ!」
「お、おい! ブリキ野郎どもが────」
『────卑怯なイレヴン共がぁぁぁぁ────!!!』
「────うわぁ?!」
生々しい匂いに戸惑っていた彼らだが、今度はブリタニア軍が発砲してきたことで彼らも応戦せざるを得なかった。
上記でブリタニアの兵士が爆発したように、先ほどブリタニアのテリトリーでも黒の騎士団の数人が自爆して何人かの兵士を道連れにしたのだった。
幸いにも殆どの生徒たちは寮の中にいたので彼ら彼女らに被害はなかったがアッシュフォード学園は瞬く間に戦場と化した。
「な、なんだ?!」
「ブリタニアだ! ブリタニアの奴らが発砲しだしたぞ!」
「ッ! そこの者、止まれぇぇぇ!」
そんなアッシュフォード学園の外れにあるクラブハウスへ続き道を一人の少女が血の付いた制服のまま走っていたことに気付いた黒の騎士団員三人のうち一人がそう叫ぶ。
「いや! 怖い! た、助けて!」
「が、学生────?」
バズッ。
少女に気付いて彼女の着ていた学生服に油断した一人目は喉をナイフで切られ────
「────こ、この────!」
スパッ。
「────イデェェェ?!」
二人目が一人目に何が起きたかに気付いて銃を構える前に、少女が出した二つ目のナイフで手首の筋まで深い切り傷を負わせ────
「────うるぁぁぁぁ────!」
ドスッ、ドスッ。
「────がボォ?!」
銃の引き金を引く直前に三人目の喉に少女は一つもナイフを投擲で貫き、手首を深く切られて利き手ではない手でまごまごと拳銃を取り出そうとしていたところに二つのナイフを彼の心臓を振り向きざまに刺す。
流れるように銃を発砲させずに三人を葬る少女の制服は更に所々が血を浴びてしまうが、彼女は気にするどころか平然としてナイフを回収し、スカートと腰にそれらを戻してから再度クラブハウスへ歩きだす。
「(よっわ♪ こいつら絶対に修羅場の経験全然ない♪ あ。 ダメだ。 なんか楽しくなってきちゃった♡) 楽しくなっちゃったのよ♡ キャハハ♪ 楽しく~なっちゃったのよ~ん♬ キャハ~ハハ♫」
ルンルン気分を表現するかのように、スキップしながらどこか古臭い(?)歌のテンポをなぞりながら上記の言葉を口にする
本来ならカギはかけているのだがさっきの三人を見張りに置き、扇たちは騒ぎ出した本校へと向かったままの状態でカギは開いていた。
ドンドンドンドン!
ドアが少し開いた瞬間に中から重い銃声がして、クララはすぐに壁へと移動する。
「あっれ~? (誰だろう? 黒のアホ団は校舎の打ち合いに夢中になっているのに?)」
「やっぱり君だね、クララ。」
中から来た声にクララの顔は一瞬無表情になるが、すぐに薄笑いを浮かべる。
「ふぅ~ん? その声、もしかして
クララとマオ(女)の二人は別の組織に身を置いているが、立ち位置が少し似ていた。
二人は主に『潜入』、『工作』、『尋問』のスペシャリストとして良く比べられていた。
所謂『ライバル』的な位置につけられていたが、本人たちにとっては大きな迷惑に過ぎなかった。
「そうだね。 君にも同じことが言えるよ。 『自称
「まぁね。 お兄ちゃんに会うまでクララは死ねないよ♡ 『自称吐かせの
クララは帽子の中から手鏡を出し、ポケットから出したガムを噛み始める。
「それよりもマオ~? ここにいて、『私に発砲する』っていう事は裏切ったのかな~?」
「裏切る? 『裏切り』は元々お互いを信頼した関係から来るものさ。 ボクは一度も信頼したことは無かったよ。」
クララはガムをナイフに付けて更に手鏡を付けるとドアの隙間にそれをゆっくりと、ゆっくりと出す。
「奇遇ね。 私も貴方たちの事を信頼したことが無かったから、貴方が“
クララが手鏡の中から黒の騎士団が設置した機材から銃を構えている様子を見て笑みが邪悪なものに変わる。
「という事で『マオ・
クララの目にギアスの紋章が浮かび上がり、それは手鏡に反射してクラブハウスの中にいたマオ(女)の目にキャッチされ、彼女は隠れていた場所から出ては出口の方へと歩きだす。
この様子を見たクララはマオ(女)の横を素通り────
────ギィン!
けたたましい金属と金属が互いを弾く音がクラブハウス内に鼓動する。
「チィ! (コンタクトレンズを使った奇襲はやっぱり効かなかったか! 勘だけは良いもんな!)」
マオ(女)はクララのような『目を直視して発動させるギアス』への対策として、スヴェンと共に開発したコンタクトレンズを目に付けていた。
「アハ! やっぱり演技力はダメダメね────!」
「────それは君もでしょ、クララ! それに元々ボクたちは────」
「────私たちは────」
「「────好戦的ッ!!!」」
マオ(女)、そしてクララがお互いに
…………
………
……
…
トウキョウ租界の外延部でもコーネリアの軍や反乱軍のいた場所から離れた場所でアリスは崩れていくパネルから次のパネルに飛び移り、政庁へ近づこうとする。
「ここを! 何とか切り抜けられれば!」
アリスが最後に大きく飛ぶとトウキョウ租界の内部へと着く。
その懐かしい街並み(と言っても再開発地区)にアリスがホッとしてしまうが、すぐに横から来るアラート音にガニメデ・コンセプトを避けさせる。
「あの時追っていた黒い機体たち?!」
……
…
反乱軍が集結した背後のG1ベース……の更に後方では半壊した建物が次々と戦闘に巻き添えになり、倒れていく。
「(サンチアたちの感知に引っ掛からず、マ
毒島達はスヴェンの書いていた指示通りに動いていたが急に襲撃を受け、応戦していた。
「(ここに素早いアリスもいれば……いや、無いものねだりをしても仕方がない────何?!)」
毒島が建物と建物の間を潜り抜けようとすると、敵の機体らしきものが同じように角を曲がろうとしていたところに出くわす。
「ヌゥン!」
毒島は乗っていた無頼改の廻転刃刀で身に染みさせた動作で三段突きを繰り出す。
一つ、二つ、三つ目の突きが正確に敵の機体のコックピットブロックと思われる胸を貫く。
普通の敵ならばこれで戦いは終了していた。
敵の機体がランスを繰り出し、毒島が距離を取りながら見ていると破損したはずの敵が自己修復していく。
「チッ! こいつもか!」
毒島の言ったように、彼女たちが対峙していた敵はそれぞれが何かの能力を持っていたことで、かなりの苦戦を強いられていた。