小心者、コードギアスの世界を生き残る。   作:haru970

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大変長らくお待たせいたしました、次話です。 _:(´ཀ`」 ∠):_ …

お気に入り登録や感想に誤字報告、誠にありがとうございます。 すべてありがたく、活力剤と励みと気力剤として頂いております。 m(_"_)m

携帯でコツコツと書いたものですが、楽しんで頂ければ幸いです。 _(X3」∠)_バタンキュー


第79話 『他人の為に』

 黒の騎士団、彼らに便乗した反乱軍もとい暴徒たち、暴徒たちに応戦するブリタニアの駐屯兵、コーネリアの親衛隊や知人の者と本国から呼び寄せたグラストンナイツたち、そしてゼロ。

 

 各々が独自の目的のため、混沌化したトウキョウ租界を駆ける。

 

 ナイトメア戦で放たれた弾丸や機体の爆発などであらゆる場所が爆発に巻き込まれ、怒りや憎悪からくる怨嗟で一般市民も武器を手に取り、警察などの保安機関が上手く動けないのを良いことに『自衛』を名分に自警団を組んで暴れていた。

 

『自警団』は聞こえがいいものの、実際の行動は己の定義によって行動する『暴力団』に近かったが。

 

 そんな騒がしいトウキョウ租界の再開発地区……のさらに距離を置いたゲットーでは、鉄パイプにハンマーや火炎瓶など、身近で武器になりそうなものを手に持って租界へと向かっている住民たちの姿があった。

 

 キュイィィィィィ! バキ、ガシン! キュイィィィィィ!

 

 そんな廃墟に、場違いなナイトメアのランドスピナーが展開するような音などが響く。

 

 その場所自体はフジサンに面する方向であって、既に反乱軍の(即席ではあるが)ローラー作戦式にブリタニア軍を押し返していた地域だった。

 そして殆どのナイトメア戦が起きているのはトウキョウ租界の筈。

 断じてこのような辺境で再度聞くようなものではなく、毒島達やアリスのいた場所とは違う。

 

 聞くはずのない機動音にざわめきながら戸惑うゲットーの住民たちが、さらに大きくなりながら建物を反響する音の方向を見ると、機体が一回りごついサザーランド(?)がスラッシュハーケン(のようなもの?)を戻しながら、角を過激なスピードで曲がってくる。

 

 街道を歩いていたゲットーの者たちはこの突然現れた機体により、蜘蛛の子を散らしたようにバラバラの方向に、『我先に』と逃げ始める。

 

 そんな彼ら彼女らを避けるかのように、サザーランド(?)は両手を地面に向け、先ほどのスラッシューハーケン(のようなもの)を別の建物に撃ち出して文字通り宙を舞う。

 

 器用に腕や建物につけたランドスピナーを使い、空中でのバランスを取りながら腰のスラッシュハーケンを打ち出してそのまま角を曲がる。

 

 この光景を見た者たちは『ナイトメアが、空を飛んだ?』と思っている中、後を追うかのように真っ黒な機体が今度は街道をそのまま突っ切る。

 

「(流石はコードギアスの別作品の主人公だ!)」

 

 宙を舞うのは改造と呼ぶには生々しすぎる元純血派のサザーランド────『サザーランド・ザ・ビッグ』に乗っていたスヴェンは、通常のスラッシュハーケンとは異なるデザインと強度をした『アンカーハーケン』を使って、サザーランド・ザ・ビッグ(略して『サザビ』)で以前対ランスロットよりさらに過激な立体機動を行って、追ってくる黒い機体を振り切ろうとしていた。

 

 角を曲がる度に急激な方向転換でGがスヴェンの体を襲う。

 体はシートベルトを着用していたが、暴れ馬のようにいつ()()をしてもおかしくはなかった。

 シートベルトに臓器が締め付けられるだけでなく、医療ポッドに入れられた際に処置された骨はミシミシと音を立ててまたもひびが入る。

 前回の『殺人的な加速』から得た教訓から、スヴェンはほとんど呼吸をせずに息を止め、体を無理やり膨らませた状態で体の形を維持していた。

 

 医療ポッドから投与された痛覚麻痺の薬物で鈍い体に鞭を打って無理やり動かし、意識はやる気と共に『今すぐにでも眠りたい』といった脱力感に覆われながら次第に色があやふやになっていく景色の中、彼はただただトウキョウ租界を目指す。

 

「(だがネタ武器搭載機とはいえ、よく持ちこたえてくれている! 元ネタの機体に出来るだけ近づかせた俺に感謝だ! 遠距離武装、殆んど無いけど!)」

 

 本来のナイトメアでは、いま彼が立て続けに行っている某蜘蛛のスーパーヒーローのような立体起動は不可能に近い。

 それこそ四つのスラッシュハーケンを持ち、さらに『MEブ-スト』という機体のフレームとスラッシュハーケンのワイヤー内を走るサクラダイト繊維を利用した『マッスルフレーミング』。

 

 これらを兼ね揃えた、『軽量かつ高機動戦が可能なランスロット』でなければ今スヴェンがしている移動方法は空想上の理論止まりだろう。

 

()()()()()()()()()()()()()()を持っ(に囚われ)ていれば』、の話に限るが。

 

 そこにランスロット────否、現在のナイトメアが当時からでも開発され続けられたコンセプトに、真っ向から喧嘩を売るようで殆どが正反対の方針(元ネタ)で作られたのがサザビだった。

 

 重装備……いや、機体自体が『重型KMF』とも呼べる新しい機種のサザビは従来の『圧倒的な機動力で勝負』を主に行うナイトメアとは違い、『厚い装甲と強度を増した白兵戦と長距離砲撃武装』を元に、鹵獲した純血派のサザーランドは魔改造されていた。

 

 勿論、これだけの機体ならば自然と鈍足になる……筈なのだがスヴェン、そしてマーヤが繰り出せる『変態(立体)機動』である程度の対策はできるとも言えた。

 

 現アマルガムの中でも、サザビをまともに扱えるのはこの二人だけなのだが。

 

 何せ立体起動で出した速度は、加速し続けなければサザビ(サザーランド・ザ・ビッグ)の勢いは振り出しの、元の鈍足なものへと戻ってしまう。

 

 そんな雪だるま式に加速を続けると次第に機体を襲う負担より、搭乗者への限界が来てしまうので()()()()()()()()()()()()()()()のが今までの現状だった。

 

カハッ! (つってもヘルモードを通り越して改造マリ〇のステージ並みに無理ゲー! ここが()()か!)」

 

 スヴェンはこみ上げる感覚に気付けば吐血し、サザビ(サザーランド・ザ・ビッグ)が重い音と共に地面に着地し、腕を構える。

 

 ドッ!

 

 追っていた黒い機体が角を曲がり、すぐそこまで来ると同時にサザビ(サザーランド・ザ・ビッグ)はスラッシュアンカーを撃ち出しては異様な腕から伸びていた肘がそのまま打ち出されるか如く動き、圧縮された空気を吐き出して同時にスラッシュアンカーが巻き戻されてサザビ(サザーランド・ザ・ビッグ)はまたも半円を描くように飛び、加速し直す。

 

「(まだだ! 後ろから追ってくるライ(恐らく?)に追いつかれる前に、学園に行かないと!)」

 

 スヴェンは先ほどアッシュフォード学園に万が一の為に潜入を頼んだマオ(女)からのメッセージを思い出す。

 

『アッシュフォード学園が非戦闘地帯と指定された。 

 ブリタニアと共同活動する黒の騎士団として入ったよ♪

 by∩(=^・ω・^=)』

 

 ここまでならばいい。

 最初こそ“非戦闘地帯??? 何のこっちゃ??? 聞いてへんぞ?”と思っていたスヴェンだが、次に彼女からのメッセージで彼は当初に目指していた政庁からアッシュフォード学園へと移動する方向を変えた。

 

『黒の騎士団、ブリタニア双方にイザコザ発生&乱射音。

 昔に見たことある嫌な知り合い発見。

 ()()()

 by (=^˃ᆺ˂^=)』

 

 マオ(女)が最後に打ってきた、何の変哲もない上記のメッセージ。

 これがスヴェンに違和感を与えていた。

 

 何せ、彼女は自ら危ない仕事などを今まで志願して引き受けていた。

 根回しや物資の受け取りに交渉、等々。

 特殊名誉外人部隊(イレギュラーズ)を引き抜くために『マッドの確保』でさえも志願し、重傷を得た後でもそれは変わらなかった。

 

 その度に『面倒』、『時間がかかる』、『出来たらね♪』などと言っては結局頼まれたことを達成させてしまう。

 

 だが一度も『任せて』とは言わなかった。

 始めてマオ(女)と会ってから協力的になっても、今までもずっと。

 

 それが何故かスヴェンに猛烈なまでの違和感を抱かせ、とある結論へと至らせる。

 

『もしかして()()()()()()とは、ギアス能力者でかなり分が悪い強者か?』

 

 そこから彼の『違和感』が『悪い予感』へと転じさせた要因はほかにもあったが、とにかく彼はアッシュフォード学園を目指していた。

 

 フジサワでライダースーツがべったりと彼の身体に引っ付き、サザビ(サザーランド・ザ・ビッグ)に騎乗する前にかぶり直したフルフェイスヘルメットの中はむわッと蒸していた。

 

 それらが果たして上がっていた体温からかストレスからか、大量の汗を掻いていた所為か。

 はたまたスヴェンが無意識に息を荒くしていたからかは定かではなかった。

 

 

 ……

 …

 

 

 エリア11で得られると想定していたデータ収集量を達成したアヴァロンは、戦闘空域となったトウキョウ租界から離れようとしていた移動を少し前から中断していた。

 

「イタタタタタ────」

「────大丈夫……な様子ではないですねロイドさん。」

 

 アヴァロンのハンガーの中では、殴られた頬を赤く腫れあがらせ、いつもかけている眼鏡も外したロイドを、セシルが傷の消毒をしてから瞬間冷却パックを当てていた。

 

 実は先ほど、スザクが今まで見せたことの無い形相でランスロットの作動キーを珍しく正論を言うロイドから無理やり奪って出撃したのだった。

 

 彼の残した言葉、『ゼロは必ず俺が相打ちになってでも殺す』と言い残して。

 

「ロイドさん……どうしますか?」

 

「どうしますって、君……こういう時に限って、僕を上司扱いしていない?」

 

「一応、このアヴァロンで一番位の高い者と言えば伯爵で特派主任のロイドさんですよ?」

 

「はぁ~……どうすると思う? データは保存してあるけれど、肝心のランスロットが無いまま本国に戻ってごらん? 無関心なクルクルちゃんならともかく、スポンサー殿下ならニコニコしたまま予算を次のランスロットを作る分に回すかもよ? 別の特派を作ってから……あーあ! こんなことになるのなら、エニちゃん(ノネット)も一緒に来てもらえばよかったなぁ~……」

 

「と言っても、トウキョウ租界も大変ですけれどね……」

 

 

 ……

 …

 

 ギィン! ギギィン、ガァン

 

 人気のないクラブハウスの中で金属と金属が激しくぶつかっては流され、時たま銃声の音が木霊する。

 

「「アハハハハハハ!」」

 

 そんな物騒な音とは裏腹に、二人の少女が愉快そうに笑う声が混ざる。

 

「(ヤバい。)」

 

 マオ(女)は笑って焦りを隠していたが。

 

 彼女の色白だった肌は擦り傷から出た血で赤く滲んでいるのに対してクララに殆んど傷らしい傷は出来ておらず、せいぜい服が少し破れている程度。

 

 どちらが優勢なのかは一目瞭然だった。

 

「(やっぱり対人戦のブランクは大きいなぁ~。 それだけじゃない、ナイフの扱い方からクララは明らかに『殺し』特化。 『拷問』のボクとは大違いだ。 その上、最後に会ってから数年は経っている。 マ()と放浪している間にも、クララは恐らく研鑽をさせられていた。)」

 

 思考を走らせながらもマオ(女)は応戦していたが、徐々に傾く天秤の勢いが増していくように彼女の怪我は増えていく。

 

「(それでも、()()()()んだよね!)」

 

「どうしたのマオ~? 全然よわよわじゃん♪ ま、いっか。 クララは早くこれを終わらして、お兄ちゃんを探すんだから♪」

 

「奇遇だね。 ()()()お兄さんを見つけたんだ。」

 

 マオ(女)の言葉にクララがピクリと、ごくわずかに初めての『動揺』を見せ始める。

 

「ふぅ~ん? “自由”が好きな貴方がねぇ~? あ、違った。 “()()()()()()な貴方が~?」

 

「うん、そうだよ♪」

 

 彼女の本音を書けば『始めは利用するつもりだったけれど♪』と言った続きがあったかもしれない。

 

 彼女の『ザ・リフレイン』はかなり戦闘力に直結したギアスユーザーを生み出していた特殊名誉外人部隊(イレギュラーズ)にすれば、当初は『ハズレ』の扱いをされていた。

 

 だが彼女の能力の副産物である、『対象の記憶を()()読み取れる』という性質は魅力的で、本人のマオもある程度は自信を持っていた。

 

 だがスヴェンにギアスは()()()()()()()

 

 否。

 より正確に例えるのなら()()()()()()()()()というべきか。

 最初はそんな異常でデタラメな存在をマオはどう使えばいいのか迷ったが、さすがにCC細胞を抑制剤無しに退化させることも出来るのは想定外だった。

 

 今までの『諦め』と『絶望』などだけの気持ちが混ざった暗い自分の胸に、初めて『希望』が出来た。

 

 しかも相手側はそれに気付いた様子も、利用するような仕草も見せずに『ただ一人の人間(ヒト)』として接していた。

 

 スヴェン然り、毒島然り、アンジュ然り、マーヤ然り。

 

 マオは生まれて初めて『友人』や『同僚』や『上司』などではなく、『家族』と出会った。

 心根がまっすぐで。

 互いを『仲間』と信頼して。

 他人の幸せを願え、寄り添える人たち。

 

 グサッ!

 

「ウッ?! (痛い!)」

 

「きゃは! とったー!♪」

 

 クララがわざと落としたナイフに気が逸れ、隠し持っていた二つ目のナイフがマオの腹に刺さり、マオの体はくの字になりそうになりながら弾倉が空になった銃を落とす。

 

「(()()()()!)」

 

「ッ! お前────!」

 

 クララはすぐにナイフを引き抜こうとするが、マオが腹筋に力を無理やり入れたことでそうすることでようやくそれ(刺されたこと)がワザとだったことにクララが気が付いた頃、マオはコンタクトレンズを目から外して発動していたギアスを向けていた。

 

 「────ボクと共に永遠の眠りにつけ、クララ・ランフランク!」

 

 初めて『他人を守りたい』という感情が『自由ファースト』の彼女に芽生え、それに気付いたマオが出た行動だった。

 

 

 ……

 …

 

 

「(これほどまでに、怨嗟は人を変えるというのか!)」

 

 藤堂の黒い月下は暴徒化した反乱軍、およびブリタニア軍をなるべく死者を出さないように切ろうとしていた。

 

 だがすぐに動けないナイトメアを群がるように市民が中からパイロットを引きずり出しては暴行を加える。

 

 何とか黒の騎士団組の歩兵と連携し、パイロットたちを保護していくが限界があった。

 

 元々黒の騎士団は『トウキョウ租界を落とす』という前提の装備や編成をしていたもので、『敵兵の捕獲』または『救助』などに不慣れな者たちもいた。

 

 そんなところに、慌てた様子の通信が藤堂に届く。

 

『と、藤堂さん! 白兜です!』

 

「なに?! (ランスロットか?! だがあの航空戦艦は離脱した筈────!)」

 

『────うわぁぁぁぁ────!』

『────は、早────!』

『────た、助け────ぎゃあああああ?!』

 

 次々と黒の騎士団や反乱軍の断末魔などが届いたことが、藤堂の予想を確信に変えさせて彼はすぐに対応をしだす。

 

「全機! ランスロットが戦場に出た! カレン君以外は()()()()()()()()()()()()! 奴の予測経路にいる雷光たちからは脱出し、前線から離脱し始めろ!」

 

『え?!』

『お、俺らならまだ戦えます!』

『そうです! それに────!』

 

 「────これは命令だ!」

 

『『『りょ、了解です!』』』

 

 藤堂は懐にしまっていた封蝋に思わず手を添えながら、いつも以上に気合の入った口調で念を押す。

 

 封蝋されていた手紙には、『もしも黒の騎士団がトウキョウ租界を攻めることがあり、ランスロットが現れるようなことがあれば奴の前から総員退避させてくれ。 でないと()()()()()()()()()()()()()()()。』

 

「(ランスロット……いや、スザク君はなるべく黒の騎士団を……『日本人』を殺さないように今までは動いていた。 最初は余裕からかと思っていたが、パイロットがスザク君ならある意味理解できた。

『殺しは極力したくない』、と。

 何か、心構えを変えさせた理由があるのか? どちらにしても、スバル君にこんなことを書かせるのなら相当な変化だ。)」

 

 ……

 …

 

『な、なんなんだよこいつはぁぁぁぁぁぁ?!』

 

 反乱軍のサザーランドがどれだけアサルトライフルを撃っても、()()は銃弾を躱しながらただただ彼らを躊躇なく突っ込んできては確実に相手を殺すようにMVSで切り伏せていく。

 

 『お前たちにかまっている時間などない!』

 

 スザクは今まで胸の奥深くに長年、仕舞い込んでいた『怒り』を糧に全力でランスロット・エアキャヴァルリーを────否。 ナイトメア(ランスロット)に初めて騎乗して以来、機体を酷使していた。

 

 今までスザクは必要なとき以外、ランスロットの性能を100%出していなかった。

 

 というのも、ロイドの理論上からの『通常のデヴァイサー(肉体)なら崩壊しかねないからね☆』だとか。

 

「ゼロは! ゼロはどこにいる?!」

 

 ピィー♪ ピィー♪ ピィー♪

 

「うるさい、黙れ!」

 

 そんなスザクはロイドが(渋々)ランスロットのOSに組み込ませた、機体の予想されている性能が耐えられる負担オーバーを知らせるアラームを強引に切り、ファクトスフィアを展開すると学園の方に盗まれたガウェインが移動────

 

 「───見つけた! ゼロォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!」

 

 スザクはフロートシステムを全開にし、空を飛ぶ。

 

 

 ……

 …

 

 

「どっせぇぇぇぇい!」

 

 ノネットはトウキョウ租界でMVS(ランスタイプ)を活用し、大暴れしていた。

 彼女はクロヴィスのお願いによりダールトンがいない今、防衛線を張るギルフォードの副官……のようなものをし、できるだけコーネリアの調子が戻るまで時間と兵力を温存させていた。

 ほかの誰が何と言おうと、何も『臆病風に吹かれた』というわけはなく、これは立派な戦術の一つであった。

 

 『侵略軍に対して現状が不利ならば、意図的に戦力を分散させて数を減らす。』

 つまりはわざと侵略する軍に制圧させる範囲を広げさせて、兵を広範囲に展開させる。

 

 今でこそブリタニア軍は不利であるが上記の戦略を取ればブリタニア軍が各個撃破されることはない上に戦力の密度は上がりよりよく防衛をすることができる。

 

 少なくとも、本国からの援軍が到着するまでは。

 

 人工地盤の(文字通りの)どんでん返しがなければ。

 

 「次ィィィィ!」

 

 人工地盤が崩れ、せっかく温存した戦力が減ったことで、ノネットはやっとギルフォードに自分が直接前線に出なければ行けなくなったかの説得に成功した。

 

 彼女の姿は某長寿ゲームで言うところの『無双』に近く、反乱軍が鹵獲したサザーランドや戦車を薙ぎ払い、一騎当千の活躍に味方のブリタニア軍の士気は高まる一方だった。

 

 装備していたのはいつもの大型ランスではなく、ランスタイプのMVS、そして背中にエナジーフィラーを携帯していた。

 

 危険極まりないが、『敵に背後を見せなければいいだけだ』とのことだった。

 

「(これであらかた政庁の側面に展開した、奴らの戦力はズタズタにできた。 後は────)」

 

 ノネットはランスロット・クラブのエナジーフィラーを素早く交換し直してファクトスフィアを展開すると、通常の速度をはるかに超えたナイトメアらしき反応に身構える。

 

「(────なんなんだこれは?! 味方の識別信号を出していないから敵なのは確かだが、この速度と動き……まるで障害物を突っ切る戦車のようだ!)」

 

 ドゴォォォォン!!!

 

 ノネットが思っていたように、()()が近くの建物を異様な形をした腕をあげながら突き破ってくる。

 

「(あれはサザーランド?! 反乱軍色じゃない……味方? いや、肩が純血派特有の赤い塗料がされている! 純血派はジェレミアの事件で解散された────つまりは敵か?!)」

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