小心者、コードギアスの世界を生き残る。   作:haru970

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お待たせいたしました、長めの次話です!

お読みいただき誠にありがとうございます、楽しんでいただければ幸いです!


第80話 オレンジとQLと暗躍者たち

 ノネットが見上げていたサザビは所々破損したような箇所があり、今ならば()()()()()を機体に強要していることが分かる。

 

「(それでもまだ、こいつはまだ()()()()()()()()。)」

 

 だがノネットが連想するのは弱っている敵などではなく、満身創痍になりながらも()()()()敵だった。

 

 身震いをするほどに。

 

『私はノネット! ノネット・エニアグラム! 神聖ブリタニア帝国のナイトオブラウンズが一人、ナイトオブナイン! いざ、勝負!』

 

 そして思わず、戦闘中に名乗りを上げる程に。

 

 

 


 

 

 吐きたい。

 お腹も変な気持ちがするし視界がぐらぐらするし灰色だしもう正直クソ怠くて寝むたい。

 

 取り敢えずこのイライラを目の前の建物にイラつきをぶつけよう。

 

 ハイホー、シルバー。

 

 ドゴォォォォン!!!

 

 機体が酷く揺れるが、胸の中は一瞬だけ清々しく感じた。

 だが建物の向こう側で待ちうけていた光景を見ては喉を何かがせりあがってくる感じがまたもしてくる。

 

『私はノネット! ノネット・エニアグラム! 神聖ブリタニア帝国のナイトオブラウンズが一人、ナイトオブナイン! いざ、勝負!』

 

 何だか前にうるさいのが出た。

 

『アポを取れ。』

 

 “どうでも良いが、構っている暇はない”が何故か上記のような言葉で、外部スピーカーを通して俺の口から出てしまう。

 

『その声……何時ぞやの少年か?!』

 

 いや、これは別に“吐きそうになるから長い言葉を続けなかった”というからじゃないぞ?

 

 ただ自然と簡略化して口を開けたらそうなっただけだ。

『開き直り』?

 そうとも言うな。

 

 しかしどうする、俺?

 

『こんな形で君と()り合えるなんて……今日で一番の出来事だ!』

 

 前門の(ノネット)、後門の(ライ(仮))────いや。

 この場合『前門の狂戦士(ノネット)、後門の(ライ(仮))』か?

 

 どこのスペイン人の小説で出てくる主人公のシチュエーションなの()()

 

 ()()()()()()()()

 敵の右腕から来るMVSランスの突きに、俺はサザビのごつい腕でそれを受け流す(横に殴る)

 

『馬鹿な?! ランスタイプとはいえ、MVSを?!』

 

 MVSの由来は『メーザーバイブレーションソード』。 日本語に直訳すると『電磁波振動剣』。

 

 もう名前は察しているかもしれないが所謂『高周波振動ブレード』だ。

 確かにその刃は鉄をも簡単に両断してしまう、恐ろしい斬撃兵装だ。

 その()は、な。

 

 だからそのどてっぱら(剣身)ならば、ある程度の()()を持ったサザビの腕で薙ぎ払える。

 

 腕はサザーランドとは違うのだよ。 サザーランドとはなぁ。

 

『ならば、これはどうだい?!』

 

 今度は左腕のとんがり(ルミナス)コーンか。

 

 前にカレンが見せてくれたデータ通りならばいける筈だ。

 右腕のパイル、充填。

 

 ドッ!

 ビリビリビリビリビリ!

 

 クラブの武器とサザビの腕が衝突し合い、衝撃波が分厚い装甲越しに肌で感じられ、サザビの右手にヒビが入り、破損し始める。

 

 ここだ、『ストライクパイルモドキ』展開!

 

 右腕の肘についたパイルで圧縮された空気が一気にクラブの螺旋状に展開されたエネルギー場と衝突し、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

『なに?!』

 

 とか思っているのだろう?

 実際問題、とんがり(ルミナス)コーンも厄介だが思い出してほしい。

 元々はブレイズルミナスの応用で作られた超圧縮空間されたエネルギー装甲システムが、螺旋状に展開されたのがとんがり(ルミナス)コーンだ。

 

 イメージにすると、ラウンドシールドを無理やりバネ状に引き延ばした感じだ。

 

 つまりは理論上、()()()()()()()()()()()()

 

 さてここで問題です。

 衝撃同士が真っ向からぶつかり合うと、どうなるのでしょう?

 ズバリ、物理的に多い方がニュートン法で相殺されなかった分が勝つでしょう! 

 

 ……何故にさっきまで〇尾君ボイスだったのだ、俺は?

 クロヴィスがこの世界にいるからか。

 

 どうでも良いが、今の衝撃でクラブがよろけている隙に右腕の外付けパーツをパージする。

 かなりの物量だから、当分は時間を稼げるだろう。

 

『貴様! 逃げるのか?!』

 

 あーもうー。

 うるさいなぁ。

 

『お前に構っている時間がない。』

 

 外部スピーカーでちょっときつい言葉を言いながら、今度は背後から追って来ている筈の黒ずくめであるナイトメアに機体(サザビ)を振り向かせようとして衝撃が来る。

 

 ブツン。

 

 それと同時にコックピット内が暗くなる────いや、これはカメラ(頭部)がやられたか。

 

 ()()()()

 ()()()()()()()()()()()()()()

 

 バシュ!

 

『な、生身で出てきただと?!』

 

 狂戦士(ノネット)が何か言っている気がするが、なんてことはない。

 ナイトメアはありとあらゆるセンサーなどをカメラ含めて頭部に集中させている。

 だから頭部がやられたら、コックピットの中にある画面に外の映像は映らない。

 

 だがそれだけで、ナイトメアが()()()()という事はないのだ。

 

 非常用キューポラハッチに、シートごと上昇させて上半身を外に露出させれば()()()()()()()()()()()()

 

 流石のライ(仮)も予想していなかったのか、一瞬奴の乗っていたナイトメアの動きが止まる。

 

 その隙に、俺は振り向きざまに上げていたサザビの左腕を振るうがライ(仮)はこれを避ける。

 

 これも想定内だ。

 

 以前*1に使う機会が無かった予備の腕をフリーになったサザビの右腕に装着した()()が飛び出し、金属音を出しながら()()()ライ(仮)の機体の頭部を掴む。

 

 口が満足に動かせる状態なら『ばあああああああああくぬぇつぅ!』と掛け声をしているだろうが、今は余裕がない。

 

 と言う訳で簡易型輻射波動の甲壱型腕ゴー。

 

 ポチッとな。

 

 右腕から出てくる熱量に周りの空気が歪み始め、コンソールからアラートが出てき始める。

 

『甲壱型腕』はコードギアスR2で出てきた、有り合わせのパーツで作られた輻射波動の撃てる腕だ。

 

 出力も威力も本家(紅蓮弐式)には到底敵わないし、あっちと違って連発もできないし、エネルギー源も一発一発がマニュアル装填の必要なカートリッジ式だ。

 

『巨大電子レンジ式単発ショットガン』とでも思ってくれればいい。

 

 それを俺は紅蓮の整備でパーツをちょろまk────拝借して、取り外しのできる輻射波動の簡易版をキョウトのじっちゃんに頼んで作ってもらった。

 

 完全に趣味のネタ武器だったので、サザビの負担は大きいが。

 

 ボン!

 

 しっかし熱いな、やっぱり。

 ヒート、エンド。

 

 頭部はこれで壊したし、オートで脱出機能も作動し────

 

 ────ボン

 

「グフッ?!」

 

 眼前で爆発したライ(仮)機から来る衝撃と驚きに思わず噛み締めた口から息を漏れ出しながら機体を転倒。

 

 脱出装置の作動後に自爆とは考えていなかった。

 

 カン!

 

「ッ?!」

 

 右から聞こえた()()に視線を移すとナイフを持ったライ(仮)の姿ガガガがガガガががががぁぁぁぁ?!

 

 とでも思うたかぁぁぁぁ?!

 俺にはとっておきがあるんだよぉぉぉ!

 取り敢えずサザビを無理やり360度回転させて振り払う!

 

 ……オエ。 更に気持ち悪くなったけどそんでもって────

 

「────ゴホッガフッガハァ!(逃げるんだよぉぉぉぉぉ!)

 

 今の咳で出した空気を、息を短くして補充。

 目が回るが取り敢えず、今の俺は俺自身が自分に任せた作戦だ。

 

 政庁にはアリスがユーフェミアをコーネリアの元へ連れて行くだろう。

 ユーフェミアはかなり『いきなり』だからな、多分『お姉様が心配です!』とか言い出すだろう。

 

 そして黒の騎士団の退路とフォローを毒島達に。

 まさかのまさかで、阻止できたはずの『特区日本での日本人虐殺イベント』がそのまま続行になるなんて思わなかったが、彼女たちに頼んどいて良かった。

 

 それよりも学園だ。

 あそこにはナナリーやマオ(女)がいる。

 胸騒ぎがする。

 

 ライ(仮)とノネットとエナジーフィラーの残量は……考えないようにしよう。

 

 無視だ。

 虫、虫、蒸し()パン買ってこ~い♪

 

 ……そろそろヤバいな、俺も。

 

『ま、待てお前!』

 

 後ろからうるさい声がくるがどうでも良い。

 さっきのやり取りで遠距離武器が無いのは分かったからな。

 

(俺に)付いて来られるか?

 

 

 


 

 

 電源が落ちたクラブハウスの一角では、生徒会室の中でナナリーとライブラ、そしてミレイとリヴァルにシャーリーもが息を潜んで隠れていた。

 

「外の音、止んだみたいですよナナリー。」

 

「……………………」

 

 ついさっきまでクラブハウスのホールから聞こえていた音が止み、そう震えるナナリーをライブラがそっと声をかける。すると、ドアの外からコツコツとした足取りが聞こえてきたことで、中の者たちは身構えて物陰の中へと隠れる。

 

 ガチャ。

 パチ、パチ。

 

 誰かが部屋の中へ入って来ては照明のスイッチを何回か押す。

 

「あれぇ~? ここもかぁ~……ま、いいか。 誰かいませんか~? 外の人たち居なくなりましたよ~?」

 

「え?」

 

 聞こえてきたのはリヴァルたちと同じ歳ほどの少女の声だったことに、シャーリーが思わず声を出してしまう。

 

 カツカツと足音が大きくなって、生徒会の者たちが隠れていた物置部屋のドアが開く。

 

「み~つけ~た♪」

 

 ドアの向こう側には、茶色の帽子と返り血を浴びたままの制服を着ていた少女(クララ)だった。

 

 

 ……

 …

 

 

「お待たせ~♪」

 

 クララはナナリーの車椅子を強引に押しながらクラブハウスのホールに戻ると、ホールで仰向けに横たわりながら血を流すマオ(女)に……ではなく、彼女の近くにいた少年に声をかける。

 

「待ってください! 誰ですか貴方は?! 生徒会の皆やライブラたちに何をしたのです?!」

 

「何って? ()()()()()()()()()()だけど? それより自分の心配より他人の心配とはねぇ────?」

「────そんな貴方()()こそなんですか?! どうして、私の事を?!」

 

「……“たち”? 目、見えているの?」

 

「私は目が見えない代わりに音には敏感なんです!」

 

「あ、そっかぁ~。 それよりもさぁ、さっきも言ったように私はお姫様を迎えに来ただけ♪ ね、パパ?」

 

 クララが“パパ”と呼び、新たに表れた気配にナナリーは眉間にシワを寄せる。

 

「この感じ……CCさんですか?」

 

「違うよ、ナナリー。 君を迎えに来たよ、ここは危ないからね。」

 

 その場にいた少年に、クララが“パパ”と呼んだVVが目配せをすると、彼はマオ(女)の近くから離れてクラブハウスの外へと出ていく。

 

「パパ~、この子はどうする~? 『グサッ』と行っちゃう?」

 

 クララがナナリーの車椅子の電源を切ってからマオ(女)を見る。

 

「教団の玩具が居たのはちょっと予定外だったけれど、概ね問題ないよ。 君は先に行っていて良いよ。」

 

「ハイハ~イ!♪」

 

「(不覚……まさか、()()()まで呼んでいただなんて……もしお兄さんが知っていたら、僕でもちょっと荷が重いと言っていたな……)」

 

 マオ(女)はボ~っとする頭のまま、出来るだけの情報を集めようと意識だけでも何とか留めていた。

 

 

 ……

 …

 

 

「なんだ、これは……なんなのだ、これはぁぁぁぁぁぁ?!」

 

 ルルーシュはブリタニア、そして黒の騎士団がアッシュフォード学園の敷地内外で争う光景に絶叫していた。

 

 校内グラウンドはナイトメアのランドスピナーが通ったことで抉られ、テニスコートはひび割れていた。

 

 市内とは思えない緑が豊かな森などでは歩兵同士が撃ち合い、ゲリラ戦を行っていた。

 

 本校は外的ダメージが見当たらないが、電源の切られた建物の内部が時々銃声によって光り、銃撃戦が行われているのを伝えていた。

 

「扇! 玉城! 誰でも良い、応答しろ!」

 

『ゼ……ゼロか?』

 

 ルルーシュの呼び掛けに返事をしたのは息を切らした様子の扇だった。

 

「扇?! どうした! ここで、一体何があった?!」

 

『わ、分からない。 ブリタニアの兵士たちが突然、発砲してきたんだ。 “黒の騎士団が騙し討ちをした”って……俺も、その過程で撃たれた。』

 

「なん……だと? ハ?! せ、生徒会────クラブハウスの奴らはどうした?!」

 

『す、すまん……分からない。 俺も銃声が聞こえて、様子を見に本校に来たら襲われた────』

「────何だと?! 持ち場を────い、いや! く、車いすの少女はどうし────?!」

「────危ない!」

 

 ナナリーの事を聞くルルーシュへと振り返っていたCCは目を見開き、ガウェインを動かすと銃弾が装甲を掠って租界の彼方へと弾道を続けていく。

 

『ゼロ! やっと見つけた! 正々堂々、僕と戦え────!』

「────スザクか?! えええい、こんな時に────!」

 

「────つくづく最悪のタイミングで現れるな、あの男(スザク)は。」

 

 今度は現れたランスロットに、CCがため息交じりにそう言っている間にルルーシュがガウェインをクラブハウスの近くに移動させてランスロットの構えるVARISの射線上に、クラブハウスをルルーシュはガウェインを置く。

 

「(クソ! 取り敢えず、スザクにアッシュフォード学園(クラブハウス)は撃てない筈だ!)」

 

『ゼロ、貴様には死んでもらう!』

 

「枢木スザク、落ち着け! 何故(なにゆえ)私を殺そうとする?!」

 

『とぼけるのか?! お前はそうやって“知らぬ存ぜぬ” を最後まで演じる気か?! ユーフェミアを……ユフィの夢を捻じ曲げたお前が────!』

 

「────捻じ曲げる? 何の話だ?! 特区日本に、私は何も────!」

『────うわぁぁぁぁぁ!!!』

 

 ランスロットがVARISからMVSに攻撃手段を変えてガウェインに距離を詰め、ガウェインは回避運動を全力で行う。

 

「ええええい! 相変わらずのイノシシ頭が! 人の話をき────!」

「────ッ! ルルーシュ、ナナリーが連れていかれた! 神根島に向かっている!」

 

「貴様! こんな時に冗談を言っている場合か?!」

 

 そこに突然何か素っ頓狂なことを言うCCに、ルルーシュが煮えくり返るイラつきと怒りのこもった怒鳴り声を彼女にぶつける。

 

「冗談じゃない、本気だ! 式根島と同じだ!」

 

「んな?! な、なぜ貴様がそれを知って────?」

「────理由はどうでも良いだろ!? おまえにとって、あの子が生きる理由なのだろう?!」

 

『ゼロ、覚悟!』

 

 ランスロットの猛攻をガウェインのフロートシステムについているリミッターを解除し、全速力でその空域から離脱し始める。

 

『逃げるのか、ゼロ?!』

 

『今は貴様に構っている暇はないのだ、このバカ野郎が!』

 

 ルルーシュが通信機を藤堂に繋げる。

 

「藤堂! 以降の作戦は全てお前に任せる! 負傷した扇の仕事はディートハルトに仕切らせろ! 私は他にやらなければならない事が出来てしまった!」

 

『ゼロか?! それは一体どういう事だ?!』

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のだ!」

 

 そう言って残りエナジーをまるで気にしないかのような飛行中のガウェインに、急激に追いついてくる物体がレーダーに浮かぶ。

 

 『オハヨウゴザイマシタァァァァァァァァァァ!!!』

 

 オレンジ色の球体が背後からガウェイン目掛けて飛んでくる。

 

「な、なんだあれは?!」

 

「大きい! ナイトメアか、あれは?!」

 

 ガウェインがとっさに回避をすると、空中で止まった球体の機体────後に『ナイトギガフォートレス』と呼ばれる新たな非人型の大型強襲兵器の初号機となる『ジークフリート』の外部スピーカーから新たに声が発される。

 

 さっきのり、見ましたよ?! あなた様はゼロですね?! 何たる僥倖! 幸運かッ?!

 

「この声……まさかオレンジ(ジェレミア)か貴様?!」

 

 オ゛?! オ゛オオ゛オ゛オオオネガイ! です?! 死んでくれませんか?』

 

「しつこい奴め────!」

 『────オールハイルブリタァァァァァァニアァァァァァァァァァァァァ!!!』

 

 

 ……

 …

 

 

 トウキョウ租界、激戦区となりつつある場所で、毒島達は何度も自己修復するサザーランドなどを相手にしていた。

 

 いや、『しようとしていた』がより正確になるだろう。

 

『各機体、状況はどうだ?!』

 

『こちらアンジュ! 残りの弾数がヤバいわ、冴子!』

 

『こちらサンチア、彼女と同じだ!』

 

 元々彼女たちは『異能』などを相手にする予定はなく、もしもの時の為に『黒の騎士団の退路の確保』を前提に動いていた。

 

 だが彼女たちに待っていたのはどれだけ攻撃を加えても、目の前でビデオが逆再生するかのように修復されていくサザーランド達。

 

 実質、『知性あるゾンビの軍団』を相手にしているかのようで、本来の作戦を実行する場合ではなかった。

 

「食らいなさい!」

 

 マーヤがパイルバンカーを敵のコックピット……ではなく、脚を狙って文字通り『釘付け』にする。

 

 「“ザ・パワー”からのぉぉぉぉぉ! どっせぇぇぇぇい!」

 

 ズンッ。

 

 今までの攻撃方法の中で、彼女の機体に取り付けられたパイルバンカーとダルクの物理的ぺしゃんこゴリ押しが一番効果的だった。

 

 そんな中、毒島は舌打ちをしながら何時もの『突き』より『薙ぎ払い』をして敵の足や腕などを切断していく。

 

「(こんな時、アリスがいれば!)」

 

 彼女がそう思ったのは、アリスのガニメデ・コンセプトに搭載された試作の兵装が理由だった。

 

 そんなことを考えながら見ていると、別の敵が切断された部位を拾い上げてはそれを失った機体に投げ、相手側が受け取るとそれが吸収されては欠損した部分が修復していき────

 

『伏せて、先輩!』

 

 ────そんなサザーランドを、アリス機がほんのりと紅い光を放つ剣で上空から突き刺す。

 

『食らいなさい!』

 

 ボコボコボコボコボコボコ!

 

 アリス機の持っていた剣がさらに赤く輝き、サザーランドが()()()()()()()()()()()()

 

 かつて、ヨコスカ港区でカレンの紅蓮がパイルバンカーでランスロットのMVSを貫いたことを覚えているだろうか? *2

 

 その時のMVSの破片を毒島たちは回収した。 

 さすがに再現までは至らなかったものの、得た技術の応用で疑似的な『マイクロ波誘導加熱ハイブリッドシステムを内蔵した刃』の剣が出来あがった。

 

 余談ではあるが、『バスターソード』と命名されている。

 

 決してスヴェンがアンジュの天元突破したドリル(アホ毛)を見て思わず言った『バスターコレd────じゃなく、“バスターソード”なんてのはどうだ?』は(あまり)関係ないだろう。

 

「(来てくれた?! だがなぜだ?!) アリス! 助かるが、そっちはどうした?!」

 

 アリス機がバスターソードを引き抜いて移動すると異様な形で膨れ上がったサザーランドが爆散する。

 

『政庁への単独突破は無理! ブリタニア軍と反乱軍がいない場所は別動隊がわんさかいる!』

 

『ですから、私の名前を出せば────!』

「────いえ、それは悪手ですユーフェミア様。」

 

 アリス機から来た通信越しに聞こえるユーフェミアの声を、毒島が遮った。

 

「失礼を承知の上で申し上げますが、不安定な状況下において名乗り出ては、相手の出方が予想できません。 平時や統率の取れた場合ならば話は違いますが、現在のような場合ですと、名乗り出た相手の度量に左右されてしまいます。 恐らくそれを承知し、アリスは私たちと合流したのでしょう。 ですので、彼女を責めないでいただきたい。」

 

『えっと……誰ですか?』

 

「毒島冴子と申します、以後お見知りおきをユーフェミア様。」

 

 毒島はニッコリとするが、逆にユーフェミアは身構える。

 

『……私をどうする気ですか?』

 

「何も。 少なくとも、この騒動が終わるまで貴方を護ります。」

 

『えっと……久しぶりになるのかな、ユフィ?』

 

 『ええええええええええええ?! その声、アンジュリーゼさんですか?!』

 

『う……』

 

 ユーフェミアの驚愕する顔と声に、アンジュは冷や汗を流す。

 

 かつて、ユーフェミアがまだ学生でアンジュが令嬢だった頃にこの二人は出会っている。

 と言っても、ラクロス部の活動を通じて、何度か互いの学校の『交流会』という名の練習試合をした時などだけなのだが。

 

『積もる話があるとは思うし不安かも知らないけれど、少なくとも私を信じて!』

 

『なんだか、人が変わっていませんアンジュリーゼさん?』

 

『悪かったわね! こっちが素よ!』

 

『まぁ! やっぱり生き生きとしていますね! ラクロス時も時々“死ねゴラァァ!”と────』

 「────興味深い話だが私語は慎めお前たち。

 

『『あ、ハイ。』』

 

 思い出話に盛り上がるユーフェミアたちを、毒島がドスの効いた声で黙らせる。

 

「(なんで他の皆が冴子の事を“姉御”と呼ぶか分かるような気がする。)」

 

『おおおおお! イレヴンが! イレヴンがまだまだここにぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!』

 

 少し他の者たちから距離を置いていたマーヤは、上空から来る新たな声に上を見上げるとジークフリートに似た球体の機体が空を飛んでいた。

 だが外には大型スラッシュハーケンはなく、ジークフリートとは違ってオレンジ色ではなく濁った銀色であり、あちらよりさらに球体を思わせる形だった。

 

『空を飛ぶ真珠』、そう呼ぶとイメージしやすいだろうか?

 

 そしてそれはあながち間違いではなく、こちらの機体は試作機ゆえに外部の武装はない代わりにジークフリートよりさらに強固な電磁装甲とブレイズルミナスを兼ね添えている『ジークフリート(試作型)』だった。

 

イィぃィぃレヴンッッッッッッがガガガがががが!!!

 

 この新しい機体から来る狂気に満ちた声に、マーヤがハッとする。

 

「この声……あの時のゴミか?!*3

 

ゴ?! ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴごめんなさい、負けたわけではございますまい。 貴方を殺せばノー問題でした。』

 

「……こっちにこい、このゴミが!」

 

 マーヤの機体がその場からジークフリート(試作型)を引きはがす為、さらに距離を取る。

 

 

 

 ……

 …

 

 

「なに?! ゼロの機体が離脱して行くだと?!」

 

 ジークフリートに襲われる少し前、ガウェインが前線から離脱して行ったことを知ったコーネリアが報告されたことを復唱する。

 

『は、はい! 何故だかゼロはアッシュフォード学園に立ち寄ってから南へと移動した模様です! 恐らくは、我が軍と交戦中である黒の騎士団に指示を出したのかと────』

「────待て! 学園は確か、『非戦闘地帯』と指定されたはずではないのか?!」

 

『そ、それがどうやら黒の騎士団の襲撃を受けたという事で、我が軍がやむを得ず応戦を……』

 

「(どういうことだ?! 何故だ! まさかゼロがそんなことを……いや、理由がない。対ブリタニアへのプロパガンダの理由を作ろうにも、奴ならばもっと上手く出来ている筈だ。 それにダールトンの証言によると、『特区日本』でのことも────)────ギルフォード! ここはお前に任せる!」

 

 コーネリアはなぜだか悪い予感がして、その場で機体を反転させては政庁へと戻る。

 

『コーネリア様?! どこへ?!』

 

「ダールトンが危ないかもしれん! いいか?! 相手は黒の騎士団ではない! 反乱軍だ!」

 

『コーネリア様?! それは一体どういう────?!』

 

 コーネリアはグロースターの通信機の周波数を、自分の親衛隊から政庁のモノへと変えて何度も呼び掛けをする。

 

「誰かいるか?! いるのなら応答しろ! クロヴィスでもいい!」

 

 だが返ってくるのは雑音だけで、『悪い予感』が更に高まる。

 

 ドゴォン!

 

 コーネリアが政庁へ近づくと、中から壁を突き破って飛び出てきたオレンジ色の機体に、思わず移動を一瞬止めてしまう。

 

「あ、あれは?! 兄上のプロジェクトか?!」

 

 コーネリアは近づく反乱軍に固定砲台や機銃などを展開して、政庁の裏に回って中へと入っていく。

 

「(杞憂で終わればいいが、どうにもこの気持ちが晴れん────)────何者だ貴様ら?! どこの所属だ?!」

 

 コーネリアが政庁の中で見たのは、識別反応どころかレーダーに一切の反応がなかった黒い機体が、政庁の守備部隊を制圧していた光景だった。

 

 黒い機体はコーネリアを見た瞬間、持っていたランスなどで彼女に襲い掛かる。

 

「貴様ら、誰に刃を向けていると思っている?! 私はエリア11の総督にして神聖ブリタニア帝国第2皇女、コーネリア・リ・ブリタニアだ!」

 

 だがコーネリアの警告を聞かないどころか、彼女の正体を知ったことで殺気が更に鋭くなったのをコーネリアは肌で感じた。

 

「(こいつら、まさか?!)」

 

 以前、コーネリアは皇族の身でありながらルルーシュの母、マリアンヌの警護担当を務めていた。

 マリアンヌが後宮にて、テロに襲われて命を落とした日まで。

 たかがテロリストが独自で後宮に侵入できるわけはないのだが、その日は何故かマリアンヌが直々にコーネリアに言ったのだ。

 

『その日の警護は最小限だけでいい』、と。

 

 それはまるで、その日の襲撃を知りながらも来る被害を抑えようとするような行為だった。

 

 事件が起きてルルーシュたちが日本に人質として送られ、コーネリアは独自にその事件の真相を追った。

 

 だが出てくるのはレッドへリングで、()()()()が隠蔽された情報だけだった。

 

 唯一、コーネリアが得た情報が一つの単語だった。

 それが果たして誰かの名前なのか、組織の名前か作戦名なのかも分からない。

 

 ただ『プルートーン』、とだけ。

*1
34話、ナリタより

*2
39話より

*3
35話より




余談ですが『少し休もう』と思い、一息ついたら体調を思っていた以上に崩していました。 (汗

『自分の疲れなどを無視する』スキル発動中でした……というのですかね? (;・ω・)

何よりも投稿が遅くなり、申し訳ございませんでした。 m(;_ _ )m
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