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トウキョウ租界より南にあるヨコハマの上空に向かって『ソレ』は飛んでいた。
それは夕焼け前の太陽染みたオレンジだったが、明らかに自らの意思で飛び、黒い何かにぶつかろうとしていた。
『私は帝国臣民の敵を排除せよ! そして貴方様はゼロ! ゆえにオールハイル、ブリタァァァァァァニアァァァァァァァァァァァァ!!!』
無論、それはゼロのガウェインを落とそうとする
そんなガウェインが急に低空飛行に移り、反乱軍と区別するために新しくされた黒の騎士団の識別反応を出す部隊を通る。
「三番隊! 敵の飛行型だ! 対空砲火の一斉射で撃ち落せ!」
『『『了解!』』』
無頼たちは手持ちのロケットランチャーやアサルトライフルを向けて撃ち込むと、ジークフリートは高速回転をし始めてビリヤードのブレイクショットのように無頼たちを文字通りにバラバラにする。
「出鱈目過ぎるぞ、あいつ────!」
「────次のコーナーを右に進んだ後、もう一度右に出ろ!」
CCがガウェインの操縦をしている間、ルルーシュはこのあたりの地形や地図を重ねたデータを見て次の指示を出す。
「正気か?!
「────俺を信じろ! 契約者だろう?!」
CCは口をつぐみ、言われた行動をし始めるとルルーシュが外部スピーカーを繋げる。
「思っていたより元気で良かったですよ? オレンジ君?」
『オールハイル、ブリタァァァァァァニアァァァァァァァァァァァァ!!!』
ガウェインが一つの建物をぐるりと回るとジークフリートは一つの思考に囚われたかのように後を追う。
「よし! 急上昇する、歯を食いしばれCC!」
ルルーシュが操縦の主導権を変えると、頭から血が無理やり下半身へと動かすほどの速度でガウェインを上空へと上がらせる。
シュドン!
「卑怯?! 後ろをバックだと?!」
そんな時、ジークフリートが背後から撃たれ、初めて装甲にダメージがまともに通る。
「チ、
それはガウェインの行動を読み、先回りをしたランスロットがVARISを全力で撃った弾丸だった。
ルルーシュは間髪入れずに、ガウェインのハドロン砲を建物に撃ち、その崩れる建物にジークフリートを下敷きにして神根島方面に再度向かう。
『ゼロよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!』
「そこを墓標にして眠れ!」
ズズゥゥゥゥン。
「ルルーシュ、お前……」
「(スザクの行動パターン解析がまさかこのような形で活躍するとは。 だが奴の銃弾を食らってやっとダメージが通るとはかなり厚い装甲をしているという証拠。 ならばやはり『動きを止める』ことが最善。
それに俺の……ゼロのことを本気で殺そうとするスザクならば、エナジーの充填を必要なほどの攻撃を加えるのは誤算だったが、今はナナリーだ。)」
ルルーシュが見たのは、フロートユニットからエナジーをVARISに回して近くの高層ビルに着地していたランスロットだった。
『逃げるな、ゼロ!』
「貴様との決着は後だ!」
ルルーシュは今までの行動で消耗したエナジーを気にせず、ガウェインをそのまま神根島へと向かわせる。
「(ナナリー、無事でいてくれ!)」
彼はそのことで頭がいっぱいになり、行動していた。
そこには戦術も戦略も打算もへったくれも何もない、ただただ妹の安否を心配する
……
…
トウキョウ湾付近のゲットーで次々と建物がドミノのように倒れ、それらから逃げるように一体のナイトメアがスラッシュハーケンを器用に使ってビルや瓦礫などを逆に利用し、熟練のパルクール選手のように廃墟の障害物内で減速どころか加速しながら背後から追ってくる『空飛ぶ真珠』から逃げていた。
『待て! 待ちなさい! 我が家の名に待つのであぁぁぁぁぁぁる!』
「……」
マーヤは何も言わずにただなるべく背後から追ってくるキューエルに出来るだけ障害物を自分の間に置けるようにナイトメアを走らせながら、周りの地形を表す地図を画面に出して確認していた。
「(ここ!)」
彼女は先ほどから同じ地区をグルグルと回りながら、ケイオス爆雷を次々とセットしながら今度はかつて日本を侵略した時からの爆撃か何かでぽっかりと開いた穴を通ってウォータートンネル内へとギリギリのところで入り込む。
「ネズミの巣、突貫します!」
明らかにキューエルのジークフリート(試作型)が入り込めないような入り口を、彼は機体を無理やり押し込ませながらウォータートンネルの中を飛ぶ。
マーヤ機を追うジークフリート(試作型)は正しく一昔前に流行った『何某ジョーンズが巨大な球体の岩に追われる』そのものだった。
「フハハハハハ! 早く逃げなさい! そして散ってください!」
マーヤ機は見向きもせずにアサルトライフルを乱射するがジークフリート(試作型)はブレイズルミナスを展開することなく、それらをすべて装甲で受け止めて角を曲がるマーヤ機を見て減速する。
ドガァン!
「卑怯?! 見えないカーブを?!」
マーヤ機はジークフリート(試作型)が減速しながら角を曲がる際に出来た死角からパイルバンカーを食らわせるが、表面が小さく欠けた様子以外は殆んどダメージが与えられているとは思えなかった。
「だが無駄にてございます!」
「まだ!」
マーヤ機はそれでも逆走しながらパイルバンカーのカートリッジを再装填させながら次の周り角で全く同じことを仕掛けようとして、それを予想していたジークフリート(試作型)はスピードをずらして躱すとパイルバンカーはウォータートンネルの壁に当たる。
そんなマーヤ機をジークフリート(試作型)が体当たりを食らわせようとして、マーヤはパイルバンカーの釘を壁に打ち込んだまま強制的に外して予備の釘を次のカートリッジと共に装填する。
「(あと少し……)」
マーヤはそのままナイトメアを走らせながら、横に置いてあるギターケースに目を移して確認した後に上記のパイルバンカーでの奇襲を何度かフェイントも入れて再度試す。
だがこんな状態でもキューエルは学習したのか角を曲がるタイミングをずらしたり、あるいはブレイズルミナスを展開しながら回転してマーヤの一撃に、狙いを定めさせないなどを続ける。
「(これで
『私は! 私はこんな土地で終わるわけには! 君に死のギフトを与えるのです!』
キューエルはそのまま角を曲がるマーヤ機の奇襲を警戒しながら後を追い続ける。
するとマーヤ機は逃げることを諦めたのかアサルトライフルを右手で構え、左手のパイルバンカーをいつでも打ち出せる用意を通路先でしていた。
普通ならば警戒をするが、その先が袋小路だったからかキューエルはジークフリート(試作型)をベーゴマのように回転させながらブレイズルミナスを展開し『転がる』を使った体当たりの軌道に入った。
「オールハイル、ブリタァァァァァァァァァニアァァァァァァァァァ!!!」
マーヤ機の撃つ銃弾はことごとく弾かれ、ジークフリート(試作型)がぶつかると同時にパイルバンカーで攻撃────するのではなく、体当たりをされた拍子に狙いが狂ったのか、近くの壁に当てる。
「パン! ケーキ、が上手に焼けました!」
キューエルはそのままジークフリート(試作型)を飛ばし、マーヤ機を袋小路の行き止まりまで勢いのまま押しつぶす。
「……???」
その際にマーヤ機のコックピットの中から血か肉片が出るのを予想していたが、そんなことは無かったことに彼はハテナマークを出す。
「生き埋めになりなさい、ブリタニアの犬畜生が。」
トンネルの天井にぽつぽつとあるメンテナンス用に地上へと続くハシゴは到底、普通の方法ではたどり着けない、それこそクレーンなどといった道具がなければ。
だが以前スヴェンが使った火薬使用型対KMFライフルに外付けされたワイヤーを使ったようすのマーヤはその一つのハシゴにしがみ付きながらトンネルの中で反響するキューエルの声を合図に、手に持っていたナイトメアの遠隔操作用の操縦桿のボタンを押す。
するとトンネルの中でマーヤがパイルバンカーで打ち込んだ
かつて黒の騎士団がナリタ連山で使った貫通電極の部分などを内蔵していたそれらが共鳴し合い、トンネルの壁が崩壊し始めると今度は地上でマーヤがキューエルを
「イレヴン如きにぃぃぃ────?!」
「────イレヴンじゃない! 日本人だ、ブリタニアのクズがぁぁぁぁ!!!」
『ドドド』と重苦しい土砂崩れの音を背景に、マーヤは対KMF用ライフルを背中に背負いながらそう叫び捨てながらハシゴを必死に駆け上がっていく。
長らく使われていないハシゴの踏ざんは所々錆びていて下で崩壊するトンネルで起きる地震、あるいは命がけのハシゴ登りでマーヤの力強く掴んで引っ張る手の所為で次々と外れていく。
次第に周りがミシミシと音を立て始め、彼女は手足を使って踏ざんを飛びこせそうな名を駆け上がり、マンホールまでたどり着く。
グッ。
「あ、あかない?!」
マーヤが力を入れてマンホールを動かそうとするが、蓋はびくともしなかった。
蓋の向こう側が瓦礫などに埋もれている可能性は否定できないが、埋もれていなくともマンホール自体が約40キロの重さを持っている。
体勢のやりくりや、工具アリならば開けられるかもしれないが今のマーヤは不利な内側、それも不安定な姿勢で長らく開けていなかったことでさび付いていたマンホールを開けようとしていた。
先ほどより地鳴りがどんどんと大きくなっていきマーヤが下を見ると、少し前まで自分が通った場所が徐々に埋もれていくのを見る。
「(もうここまで?! 念には念を入れたけれど、早すぎる!)」
マーヤはキューエルから逃げながらの行動方針と大雑把な作戦を練っていたため、この旧トウキョウの地下を巡るウォータートンネルの老朽化などを正確に配慮しないまま、勢いよく
「……やるしかない!」
ドガァン、ドガァン、ドガァン、ドガァン!
彼女は対KMFライフルでマンホールの外側を撃ち、出来るだけさび付いた部分を減らしてからライフルを斜めにし、ストックを壁に付けながらパイルバンカーのバレルをマンホールに付けて撃つ。
………
……
…
トウキョウ租界の上空にランスロットのエナジー交換要請に戻ってきたアヴァロンが、スザクの頼みでアッシュフォード学園の近くまで来ていた。
頼まれたことは、『学生たちの避難』だった。
「あは~、もう何が何だか!」
ロイドはあまり乗り気ではなかったものの、コーネリアから指揮を任されたギルフォードの頼みもあってか渋々と学園の様子をレーダーで見るともはや『紛争地帯』と呼んでもおかしくはないほどブリタニア軍と黒の騎士団たちが混雑していた。
「ねぇセシル君? これ、いくら何でも無理なんじゃないかな?」
双方とも指揮系統がぐちゃぐちゃになっていたのかトウキョウ租界と同じように泥沼化していた戦況へ突入する準備を壁越しにしていたセシルにそう声をかける。
「それでも、スザク君があれだけ弱々しそうになりながらも頼みごとをするのは滅多にないことです。 それに、私だって一時は
「んー、僕が言ったのはこの状況下じゃなくて
セシルといえば、いつもの来ているタイツスカート風特派の制服からパイロットスーツへと着替えていたのをロイドの言葉でぴたりと一瞬動きを止める。
「それは────」
「────まだ緊張しているんじゃないの?
「………………へ、変なところで人間関係の洞察力が鋭くなるんですね?」
「これでも君の先輩であると同時に、上司だからね♪ それに何度目かになるかわからないけれど、あの
「……………………」
セシルからの返答はなく、二人にしては珍しい静寂な時間がただ過ぎていく。
『まもなくアッシュフォード学園の上空に着きます!』
ただアヴァロンのブリッジにいた特派のアナウンスにセシルはロイドを通り越しに口を開ける。
「もし私の様子が変になったら、アヴァロンで援護してください。」
「アヴァロンに搭載されたルミナスブレイズは全方位じゃないからね?」
…………
………
……
…
『ちくしょー!せめてここだけでも!!』
『死ねぇぇぇ、ブリキ野郎どもぉぉぉぉ!』
混沌化したアッシュフォード学園ではブリタニア軍、そして黒の騎士団の部隊が各々の判断で応戦したり、退却、または弾薬などの物資が底をついて降伏したりなどのカオスだった。
「まったく、来るんじゃなかったよ。」
「まさかブリタニアと黒の騎士団、双方に暴走するような者たちが鉢合わせするとはゼロにも予想できなかったのでしょう。」
そんな学園の中、『非戦闘地帯』での情報収集やプロパガンダ特集などをするためにラクシャータとディートハルトがいた。
そして今の事態の発端を得た情報などから、自分なりの憶測を出したディートハルトはある意味『中らずと雖も遠からず』だった。
「(やはりジェレミアとヴィレッタの推測通りの超能力を考えると、ゼロだけではなかったのか。 あるいはこれも彼の布石か?)」
ディートハルトの憶測の発端はかつて、『オレンジ事件』にて失態を犯したジェレミアやヴィレッタをはじめにした純血派だけに留まらず、『オレンジ事件』の報道をしていた者たちにも及んでいたことから始まった。
殆どの責任をディートハルトは負わされ、左遷されていたところをジェレミアとヴィレッタがゼロのことに関して情報共有して事件の真相を追っていた時に浮かんだ一つの仮設が『超能力説』だった。
『ゼロには人と人の記憶を操る能力がある』、とジェレミアはある日の時に提案していた。
酒の席で。
無論、こんな非現実的な推論を言った本人は本気にしていなく、かなり酔いが回っていた様子だったが一度ギアスにかかっていたヴィレッタは思うところがあり、そんな彼女の様子を見たディートハルトも最初は否定気味だった。
だが時が過ぎていき、ゼロの黒の騎士団と行動を共にしてみるとジェレミアの説が段々と現実味を帯びた。
否、そうでなければ説明できない事案が次々と情報部のディートハルトに入ってきたのだ。
極めつけは『行政特区日本』での出来事で、逆に『超能力』を配慮しなければ説明や理屈が通らないことがあり過ぎた。
ディートハルト本人からすれば、『それも世界という舞台を盛り上げる
彼は自分の情報部の護衛をしていた部隊を使い、自分とラクシャータの部門だけでもアッシュフォード学園から避難させようとしていた。
「せりゃぁぁぁぁぁ!」
ドン!
彼らの部隊近くに、紅蓮は二次災害が少ないパイルバンカーで的確にブリタニア軍のナイトメアを駆逐する。
原作と違い、カレンはアッシュフォード学園が『非戦闘地帯』と指定されたときに紅蓮で一介の『見張り役』として来ていた。
そんな彼女が丁度紅蓮から降りて、扇たちが拠点としていたクラブハウスの様子を徒歩で見に行こうとしたとき、ブリタニア軍と黒の騎士団が急に互いを攻撃し始めた。
そこから彼女は当初、ブリタニア軍のように自分の所属側を抑えるために動いていたが学園は
「これで、八機目!」
カレンはパイルバンカーでなるべくアッシュフォード学園に被害が及ばないように戦っていたからか、いつもより疲労しながら大粒の汗を流していた。
例えるならば、ガラステーブルの上に置かれた木材に大型ハンマーで小さな杭を打つような緊張感の中に彼女はいた。
その時、上空からの識別コードを発していない機体のアラート音がコックピット内で響いて彼女は身構える。
「まさか、スザク?!」
彼女が見上げて見たのは確かにランスロットのフロートユニットだったが、それが取り付けられていたのはランスロットではなくサザーランド……のような機体だった。
『こんばんは~!』
『は? ッ?! は、はや────!』
上空のアヴァロンからくるロイドの緊張感もへったくれもない声に気を取られていた黒の騎士団の無頼等は、見るからにそれはツギハギのカラーリングをしたパーツを取り付けたサザーランドが腕などをMVSで切っていく。
「こいつ! 白兜もどきか────?!」
「あれは、ラクシャータさんの輻射波動を搭載した────?!」
「「────地下から新たな熱源反応?!」」
カレンとセシルが互いを見てびっくりするのも束の間、アッシュフォード学園の倉庫と繋がっていた構内にある人工の池が割れ、双方に
「「ガニメデ?」」
カレンとセシル、そして新たに表れたガニメデに周りの者たちが呆気に取られる。
呆気に取られたのは一昔前のデザインをしたままの機体ではなく、その胸部からピンク色の光を放つ筒だった。
「なんだありゃ────?」
「ナイトメア────?」
「見たことの無い機体だ────」
「コックピットが丸出しじゃねぇか────?」
「乗っているのは学生か────?」
『いけない! 双方全軍攻撃を中止! 中止! ブリタニアも黒の騎士団もだよ!』
そんなガニメデ、そして乗っていたのが学生だからか軽率なことを言う者たちとは別にロイドの焦る声がオープンチャンネルと外部スピーカーから出る。
「黒の騎士団、技術部門のラクシャータだよ! お前たち、攻撃を中止しなさい! あの
ロイド、そしてラクシャータの声に静まり返るアッシュフォード学園を見下ろしていたロイドは青ざめながらカメラ越しにガニメデに乗っていたニーナを見る。
「出ていけ! お前たち、全員! 黒の騎士団も、軍も! 出ていけぇぇぇぇぇ!」
普段物静かで大人しいニーナからは想像もできないほどの肺活量で上記を叫びながら、これ見よがしに起爆スイッチのようなモノを前に出す。
『ニーナ君……もしかして、完成させちゃった?』
そんなガニメデに、ロイドからの通信が繋がる。
「一応、理論上にはですけれど……」
『…………………………………………君の言っていた“共同開発者”とやらは、僕には恐ろしいよニーナ。』
ここでロイドが言う“共同開発者”とはスヴェンの事で、彼は極力なほどに自分がそのような研究に携わっていたことが広まるのを嫌がっていたために名前は伏せられていた。
以前の学園祭でもロイドとニーナは原作通りに会い、彼女の研究に興味を持ったロイドは使い道のないウランを分けていた。
そして恐ろしいことに原作より完成度の高い、コードギアスで初となる『
「ロイド先生……ブリタニアの人たちにも、黒の騎士団にも学園から出ていくようにしてください────!」
『────へ! なんだそりゃあ?! 脅しのつもりか────?!』
「────ひ────?!」
「────お止めなさい、そこのバカが!」
『んな?! ば、バカ?!』
玉城の無頼がアサルトライフルを構えるとラクシャータがいつものふわふわした口調から、子供を叱るようなモノへと変わっていたことに玉城が思わず躊躇して引き金を引き損じ、彼の怒鳴り声と無頼の行動を見てさっきまで気丈に振る舞っていたニーナは震え始める。
それは、彼女の点火ボタンを持っていた手も含まれている。
『彼女の言うとおりだ、そこの君。 理論上、彼女が今握っているのは毒ガス以上の兵器のボタンだ。 トウキョウ租界そのものが死滅してもおかしくない代物だ。』
「ロイドさん……貴方、まさか……」
「に、ニーナ……う、嘘でしょう?」
黒の騎士団、そしてブリタニア軍も半信半疑だったがセシルとカレンは別の意味でショックを受けていた。
コードギアスの世界で『死滅』の単語が結びつく兵器は毒ガスで、その効果範囲もせいぜい風や地形などを利用して半径数十キロメートルほどである。
「言ったことが分からないの?! 出ていけと言ったのよ! 出ないと私……私ぃぃ!」
ニーナの震えは更に酷くなり、さっきは勢いに任せて表に出ていたが今になって怖気づいてしまいそうな自分を無理やりその場に留めるように叫ぶ。
ドッ!
『止めろ!』
「ひゃう?!」
『止めるんだ!』
新たに空……というよりは降ってきたナイトメア(?)の外部スピーカーを通して来る声にニーナが思わず固まる。
「あれは……純血派のサザーランド?」
「ブリタニアの援軍……にしては酷い有様。 それにこの声……まさか?!」
セシル、そしてカレンが見たのは今稼働しているのがおかしいほど至る所で激しく損傷していた元
余談ですがニーナがなぜボタンを押さずに固まったかというとパブロフ理論で本能的に声がスヴェンのものだったからです。
あとセシルの過去に付いては独自解釈です。 (汗