少々リアルで立て込んでいました。 <(_"_)>
お読みいただき誠にありがとうございます、楽しんでいただければ幸いです!
「(……う、私……は……)」
ダールトンが目を覚ますと、
いや、『見知らぬ』というよりは『
「(ここは……)」
ダールトンが半分寝ぼけたままの意識で周りを見渡すと医療器具や自分の腕に繋がった点滴などが目に入る。
「(どこかの医務室か? 何故だ? 私は確か、ユーフェミア様の補佐として『行政特区』に……)」
ダールトンは血が通い始めたのか、徐々に覚醒する意識のまま横になっていたベッドから起き上がって体中が痛むことにハテナマークを出す。
「(何故こうも体が痛む? まるで戦闘行為を……そうだ! 『行政特区』でユーフェミア様とゼロが二人だけで会い、そこから……そこから兵士が暴走をし始めたのだった!)」
ダールトンの意識が『行政特区日本』での出来事に追いつき、完全に覚醒した彼の心臓は力強く脈を打ち更に血を体中に行き渡らせる。
「(そして……ダメだ、そこから先が思い出せん。 まるで
そう思いながら彼はすぐ横で折りたたまれていた制服を、包帯などが巻かれた身体の上に着ながら医務室を出る。
「(『警護の者がいない』、だと? 医務室の設備を見て、てっきりブリタニアの施設と思ったが……)」
ダールトンは出来るだけ警戒しながら通路を進んでいくと、建物内の構造から見て、自分がいるのは政庁の中だとあたりをつける。
「(トウキョウ租界、だと? 私は
彼はナリタで多くの負傷した兵士たちの見舞いなどでおぼろげに覚えているメディカルフロアにある、警備室を目指して移動すると建物内に響く音が耳に届く。
「(トウキョウ租界の政庁が攻撃を受けているだと? 一体どういうことだ?
────ガチャ!
「ッ?! どうなっている?!」
早歩きになったダールトンが勢いのまま警備室のドアを開けると誰もいないことに彼は困惑しながらもロッカーの中から拳銃を取り出し、何時でも撃てるように弾倉を入れてモニターの映像へと視線を移す。
そこには政庁の自動機銃砲座が展開し、ブリタニア軍の正式カラーであるサザーランドや良く見知ったグラストンナイツのグロースターの援護射撃をしている様子と、黄色に塗料が塗り替えられたサザーランドや無頼に雷光等がモグラ叩きゲームのように次から次へと現れては政庁を襲う光景が映し出されていた。
「これは……トウキョウ租界が攻め込まれている? いったい何が────むっ?!」
もっと情報が欲しかったダールトンはモニターが移しているカメラの視点を変えているとブリタニア兵士らしき者たちが発砲し、それに応戦する
「(なんだ、これは?)」
彼はさらに困惑しながらも、警備室の一角を見てはしゃがみ込む。
……
…
「(弾は……残り僅か、か。)」
コーネリアは銃の薬室に再装填をしながら、そう思っていた。
彼女が愛用するサーベル型銃は、今ではかなり珍しい『ダブルアクション』かつ『回転式弾倉』といったリボルバーの特徴を使用し、これにより弾丸一つ一つに工夫が施されて通常より高い威力を保持させていた。
『普通の防弾スーツならば容易く貫通できる』、『通常の(コードギアス世界の)銃より有効射程が長い』などの、スヴェンが使う『火薬式銃』とかなり利点が似ていた。
だがその反面、『装弾数が少ない』、『銃身が長くて取り扱いにくい』、『専用の
無論コーネリアも自分の銃の特徴などを把握しており、単発より一回り荷物になるスピードローダーを使って『弾薬の再装填に時間が掛る』デメリットを消していたが。
「ッ!」
彼女は銃の装填をし終えたと思った瞬間、ブルパップ式アサルトライフルを構えていたブリタニア兵士が二人ほど角を曲がってくる。
彼らはコーネリアが銃の再装填中に襲えると思っていたのか、彼女が既に装填し終わっていたことに一瞬だけ動きに迷いが生じたように固まった。
「なめるな!」
だが彼女の持つのは『サーベル型銃』。
ガチャ!
ザシュ! ドドドドン!
左手でそれを一人の胸に刺し、右手で掴んでいたリボルバー部分でもう一人の敵に何発も密着状態から撃ち込む。
本来は
「(銃が最新の
勿論本来の用途とは違う使い方をしたことでリボルバーのむき出しになった薬室に撃った際に飛び散った肉片が絡まって回転は途中で止まった様子で手動の修正が必要な様子で、コーネリアの左手は敵を刺した時に生じた摩擦で手袋と手が斬れていた。
「(新手か?!)」
それでも彼女はそれ等を手放すことなどは考えていなかったが、新たな足音に彼女はリボルバーを力一杯に振って、薬室に絡まった
ガシャ!
コーネリアの足元で重苦しい金属音がして、彼女が視線とリボルバーを向けてその先にいる人物を見ては目を見開いてしまう。
「ダ、ダールトン?!」
「姫様、こちらです!」
「無事だったか!」
彼女が見たのは政庁の空気を常に新鮮な空気と循環させる通気口を開けたダールトンだった。
「姫様、一体全体、どうなっているのですか────?!」
「────後で話す! まずは政庁から
「もちろんですとも。」
コーネリアは人間一人が身をかがめてようやく通れる通気口に躊躇なく入ってから取り外した通気口のカバーを戻し、ダールトンの後を歩く。
ダールトンはコーネリアに色々と聞きたかった様子で、コーネリアも彼に言いたかったが流石は数々の修羅場を乗り越えた二人でまずは
…………
………
……
…
「チ、やはりここもか。」
政庁の内部からトウキョウ租界へと通じる総督用のヘリポートには政庁の警備隊ではなく、先ほどのような兵士がいたことにコーネリアが舌打ちをして今度は別の移動手段である海路へと向かうとさすがにそこまで手が回らなかったのか、人気がなかった。
そのまま二人は近くのクルーザーに乗り込んで出発前の準備と軽い点検を行ってからすぐに出発をする。
「姫様、何が起きているのかご説明を願えないでしょうか?」
「ダールトン、先に聞かせてくれ。 ゼロとは何だ?」
「ゼロはブリタニアの敵ですが、何か?」
「……(嘘は言っていないようだな。)」
クルーザーを操縦していたダールトンが即答したことと、昔から彼を見てきたことで彼が嘘を言っていない(というか言うときの仕草がなかった)ことで一安心する。
「それよりも姫様、これは一体どういうことでしょうか? 私はなぜ政庁に?」
「なんだと?」
いや、
「ダールトン、お前は私に『行政特区日本』でのことを伝えると同時に黒の騎士団の────いや、ゼロとの直通回線を教える為に戻ったのではないのか?」
「私が……でありますか?」
ダールトンはハテナマークを出しながら困惑する表情を浮かべると、コーネリアが以前に同じような仕草を画面越しにした者たちを連想させる。
『知らないのです!
『私は、純血派を率いるものとして誓います! 決してそのような、
最初はクロヴィスの警護と腹心であったバトレー、そして身の潔白を必死に訴えようとしたジェレミア。
二人の周りの兵士たちなどなどの証言。
「(まさか、
「────何を今更。 姫様のそばが、私の居場所です。」
「それが例え、
「……………………」
コーネリアの問いに、ダールトンが黙る。
そしてそれは無理もなかった。
何せコーネリアの意味合いは『ブリタニア帝国の裏世界を探る』というもの。
大国であればあるほど、その業と闇は深い。
「姫様。 ギルはどうしますか?」
「は?」
だがそんな彼女の問いに、ダールトンはギルフォードの事を逆に訪ねていた。
「いや、奴にも内密にするような事柄でしょうか? あとで私が『姫様のお供をした』と知れば、奴のことです。 確実に拗ねますぞ?」
「ダールトン……お前は────」
「────なぁに。 私は除け者扱いされていたところを拾われた恩があります。 姫様が必要あらば、地位や体面などまったく構いませんぞ?」
「…………………………ありがとう。」
「しかしユーフェミア様や、クロヴィス様たちは如何なさいますか?」
「ユフィならゼロの知り合いが匿っているだろうさ。 奴ほどの策略家ならば私に対しての切り札だとしても、ほかの理由があろうとも私が生きている間はユフィも無事だろう。 そしてクロヴィスならばしぶとく生き残れるはずだ。 何せライラもいるし相手の標的はどうも、私やゼロらしいしな。」
「姫様、やはり先ほどの兵士は第三の勢力でしょうか?」
「そう考えれば全て辻褄が合う。 『行政特区』やトウキョウ租界、そして政庁の状況。 最初は私の失脚や、今までで一番勢いのある反ブリタニア勢力という“ウミ”の一掃なども考えられるが……どうもそれだけではないと思ってしまう。 特にゼロからマリアンヌ様の真相に関して話すところで、このようなことが立て続けにあってはな。 偶然にしては出来過ぎている。」
「マリアンヌ様の?! ……なるほど、それで本国も信用が出来ないと。」
『マリアンヌ暗殺事件』はかなり前の出来事だったが、いまだに爪痕を残すソレはいかなる理由があっても『これ以上の何人たりとも詮索無用』と、珍しく政に口を挟まない
「ああ。 それにギルには悪いが、奴はあまり
「ですな……」
二人が思い浮かべるのは数々の戦場でギルフォードが如何に堅物であるかの様なハプニングや、奇襲寸前での名乗り上げだった。
結果的には敵の
これをギルフォードが知ったら泣くどころかダールトンの言ったようにいじけていただろう。
『で、ですがすべては殿下のために!』と言いながら。
………
……
…
トウキョウから神根島への直線コースの相模湾から太平洋へと出たところでフロートユニットを取り付けた紅蓮とランスロットが戦っていた。
『スザク、ゼロはやらせないわ!』
『カレンか?!』
最初こそ空を飛びながら戦うことにカレンは不慣れだったが、持ち前の操縦スキルで徐々に、恐ろしいほどまでに順応していった。
逆にランスロットに乗りスザクは空中戦の経験はあるものの、何が何でもゼロを追う為に機体を酷使していたのがここで裏目に出て、二機はほぼ互角の戦闘を行っていた。
『邪魔するな! お前は! お前たちは全員、アイツに騙されているんだ!』
『裏切り者であるアンタの言葉を聞く気にはならないね!』
スザクはカレンに応戦しながらも神根島へと向かい、どうやって紅蓮の撃退────
「(残りのエナジーが、あまり心もとない!)」
────が無理であれば、どうやって一時的にでも紅蓮の追跡を止められるか考えていた。
そしてスザクが待っていたそのチャンスが到来した。
『食らいな────!』
「────いまだ! VARIS、フルパワー!」
彼はヒット&アウェイを繰り返していた紅蓮の
ランスロットのVARISを持っていた左腕は輻射波動をまともに受けたライフルと一緒に膨れ上がり、爆発する前にスザクは腕を肩の付け根ごとパージする。
『うわぁ?!』
逆に紅蓮の輻射波動は物理的な攻撃ならば防げるが、機体への負担がなくなることは無い。
最大出力のVARISが撃ち出した弾丸は輻射波動の発生させる
「(お、落ちる?! やられる!)」
ここで追撃されれば幾らカレンでも分が悪かったが、回る景色の中で彼女が見たのは神根島へと移動するランスロットの姿だった。
「“
カレンはフロートユニットに紅蓮を順応させたラクシャータの即席仮想OSの出す『
………
……
…
当の神根島では、ガウェインが何時かのルルーシュが衰弱して遭難した島にある入江の洞窟に近づいていた。
「CC、お前はここに来たことがあるのか?」
「
「逆に『他にある』という事か。 それに学園や今での言葉を察するに、お前はギアスが使えない代わりに精神への干渉などと言った能力が使える……といったところか? どうなんだ?」
「……………………」
「ここにきてだんまりか。 まあいい、ナナリーを攫った奴はギアス能力者か?」
「そこまでは……だが傍に待機させているかも知れん。」
「つまり、相手はお前のような────何?!」
ルルーシュは視界の端で何かを見たと思えば反射的にガウェインを動かして巨大なスラッシュハーケンを躱す。
「ゼロ! ここで会ったがさっきぶり! 懺悔の時間到来でございましたぁぁぁぁぁぁ!」
「ええい、しつこい! たかがオレンジ如きが────!」
「────ルルーシュ! ここは私に任せて、お前はナナリーの場所へ行け!」
「……頼む!」
ルルーシュ、そして彼から操縦を代わったCCが見たのは残り少ないエナジー残量とジークフリートの破損具合だった。
原作とは少し違う形だったが、二人はある程度ならば互いを
少なくとも『必死になったルルーシュを全力でCCは手助けする』。
そして『ゼロではなく、ルルーシュとして一度交わした
ガウェインは弱めのハドロン砲を海に撃ち、蒸発した海水で煙幕が張られている間にCCはルルーシュを神根島へと降ろす。
「死ぬなよ、ルルーシュ。」
「お前こそ……と言いたいところだが、お前は殺されても死なない女だ。 いうだけ無駄だろう。」
「こういう時は嘘でも言うものだぞ?」
「お前は冗談が嫌いだっただろう? 約束は守る。」
「期待しないで待っているよ。」
それを最後にルルーシュは神根島の洞窟の中へと走り、CCはガウェインにまだゼロが乗っていると思い込むジェレミアのジークフリートを出来るだけ神根島から引き離していく。
「(ナナリーを攫ったのは、やはり俺が狙いだからか? それともCCか? どちらにしても、敵は俺がゼロだということを知っている可能性が高い。 あるいは……ナナリーの正体を知っていて『皇子のルルーシュ』を誘い出すためか……それとも────)」
持ち前の情報と照らして数ある可能性を考えながらもルルーシュは器用に暗い洞窟の中を慎重に歩いていくと、次第に前方が明るくなっていく。
そこは以前、彼が神根島に来たときにガウェインを奪取した洞窟内の通路の行き止まりだった。
「(あれからさほど時間がたっていない筈なのに、
ルルーシュが洞窟の中の『神殿』らしき場所の祭壇にある門を力一杯に押す。
「フンンンンン!」
ズ……ズズズズ。
パラパラと長らく開けられていない門はこびりついた土や石を落としていく。
パンパンパンパァン!
「ッ!」
「こちらを向け、ゆっくりと。」
背後から来る銃弾が門に当たると同時にスザクの声がすると、ゼロは門を押すのをやめて言われたとおりに振り返るとスザクがいた。
「枢木スザクよ、私を撃たないのか?」
「撃って欲しいのか?」
ルルーシュはバクバクと荒ぶる心拍音を無理やり無視しながらゼロらしく『冷静沈着』と『余裕』を装いながらスザクに喋りかける。
「枢木よ、心して聞け。 私が撃ったのはユーフェミアでは────」
「────『ギアス』って、凄いんだね。」
「(………………………………………………)」
スザクの言葉にゼロは今まで動かしていた思考が止まって真っ白になり、身体が思わず固まる。
「それがゼロの秘密だよ、カレン。」
「ッ。」
近くの物陰に身を潜めていたカレンが息を素早く飲み込み、拳銃をスザクに向けながら口を開ける。
「気付いていたの? なら私をさっさと撃てば良かったのよ────」
「────君にもゼロがどういう奴か知らせたかったのさ。 君には……いや。 君だからこそ、その権利がある。 仮面を取れ、ゼロ。」
「断る。」
パァン!
スザクがゼロの仮面を躊躇なく撃つ。
すると元々は素顔を隠したり、声を変えたり、ギアスを使うためのスライドパネルなどの
露わになったルルーシュの額は仮面が弾丸を弾いた際に出来た傷から血が流れ出て、さすがの彼もスザクがノータイムで打つとは思わなかったのか
「これが、ゼロの正体だよカレン。」
カレンは思わず拳銃を握る手に力を入れる。
スヴェンから聞いて『ゼロを……ルルーシュを頼む』と言われてからは想像をしていたが、実際に見るショックは原作のように放心させるまでは至らなかった。
決して動揺は小さくはなかったが。
「知っていたのか、スザク。」
「確信はなかった。 それに信じたくはなかった。 君を信じたかったから。」
「スザク、俺は────」
「────でも便利だよね、ギアスって。 それさえあれば、相手が誰だろうと思うがままに出来るんだっけ?
相手の信念や思いや志さえも無理やり捻じ曲げさせて自意識のないまま、文字通りの操り人形に。」
「……え?」
ここでカレンに初めて『迷い』が生じ、彼女の拳銃がわずかに震え出す。
「その能力で、君はいったいどれだけの人間を自分の都合の良い駒や、考え方を無理やり備え付けさせて仲間にしたんだい?」
「……(ここまでギアスの事を……誰だ。 誰がスザクに伝えた?! 何故────?)」
「────否定はしないんだね。」
突然の出来事にルルーシュはテンパり、彼の沈黙を肯定とスザクは受け取った。
「君はいつもそうだ。 都合が悪い時はだんまり、責任は間接的な他人を巻き込んで和らげる……今のように。
そんな君を放置するのは、危険すぎる。 投降しろ、ルルーシュ。」
「(クソ! スザクに嘘を吹き込んだ奴の推測は後だ! 今は目の前のバカだ!) なら俺を撃ってみろ! 俺には、やらねばならないことがあるのだ!」
ルルーシュは自分の懐から拳銃を出して、それをスザクに向けながら背中で門を押し始める。
「
考えに追いつかない口の所為で言葉足らずのまま、ナナリー以外の他人から意図的に距離を取っていた不器用なルルーシュ。
「カレン、こいつは君も皆同様に操っているだけの男だ! 聞くことはない!」
自分のやったことで大勢の人が死ぬより酷い末路を遂げた結果を見て、他人の為に自分を押し殺すスザク。
「(そんな……じゃあ、私は? 私や扇さんや藤堂さんたちは? 昴、私は……どうしたら────?!)」
そして『ギアス』という超能力で自分のやってきたことや、他の者たちの行動原理に疑問を感じ始めたカレン。
────パパァァァァァン!
二つの乾いた銃声が洞窟内でほぼ時間差なしに響いた。