小心者、コードギアスの世界を生き残る。   作:haru970

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お読み頂きありがとうございます、楽しんでいただければ幸いです。


コードギアスR1.5、“空白”の期間
第86話 R2に向けて


 アリスがスヴェン(アイツ)のいる医務室を後にすると、ドアの向こう側には彼女の見知った者たちがいた。

 

「で、どうだアリス?」

 

「重症の割に意識はハッキリしていて変わらなかったわ。 ()()()ほど意識不明だったのが不思議なくらい。」

 

「兄ちゃんってばタフだねぇ~。」

 

「「「……“兄ちゃん”?」」」

 

 ダルクがのほほんとしながら言った単語にサンチア、ルクレティア、アリスが思わずダルクを見る。

 

「あぇ? 違うの?」

 

アイツ(スヴェン)が兄な訳ないでしょ。 バケモノよ、バケモノ。」

 

「まぁ……怪我を無視した無茶な機動で内臓のダメージが酷く、肋骨にひびが入っていたからな。」

 

「そうねぇ、『非常識の塊』みたいな人だけれど……そもそも私たちがそんなことを言────」

 『────クソ。』

 

 医務室の中から小さくとも確かな声が四人に聞こえ、彼女たちは一瞬で黙り込んでしまう。

 

 『クソ。』

 

 今度はさっきより少しだけ音量が高く、弱々しいながらも確かに悔しさを交えたスヴェンの声に四人は何とも言えない気持ちになる。

 

「………………奴も『人間』だという事か。」

 

「ちょっとホッとした。」

 

「ねぇ~? だから“兄ちゃん”なんだよ!」

 

「“兄ちゃん”じゃないわよ。 ただの“お人好し”よ、アイツは……って何よ、その温かい目は?」

 

「いや~、“アリスが学園でも兄ちゃんと仲良しなことは本当なんだなぁ~”って思っているんじゃない?」

 

 「んなッ?!」

 

 余談ではあるが、クロヴィスランド内のグランドリゾートでナナリー&ルルーシュとダルクが会ったあの日*1から、彼女たちはスヴェンがコーネリア、ダールトン、ギルフォードに追われている間にナナリーとライブラと会話などをして歳が近かったからか、すぐに仲良くなった。

 

 ナナリーが語ったのは身の周りの人たちで主にルルーシュやアリスとスヴェン、生徒会の者たちやアッシューフォード学園の事で、そこでは想像もしていなかったアリスの溶け込み具合に最初は面食らいながらもサンチアたちはボカした自分たちのことを話していった。

 

 このことを思い出しながら、『それは言わない約束』という目を自分に向けるサンチアとルクレティアの視線を無視してダルクはケタケタ笑い、アリスはただただ否定し続けながらディーナ・シーの中を歩く。

 

「やぁ、お疲れさん。 兄さんはどうだい?」

 

 彼女の行先にはマ()がドアの前で立っていた。

 

「どうもこうも、元気だったわよ。 そっちこそ別任務からお帰り&お疲れ様……例の人は部屋の中?」

 

「ああ。 今船医に診てもらっているよ。 それで? もう一人の客人はどうするのさ?」

 

「……今更エリア11に連れて帰るのも無理ね。 黒の騎士団の残党狩りが続いているし、何より正式には『死亡』扱いされている。 下手したら偽物扱いされてもみ消されるわ。 こればっかりはアイツ(スヴェン)か、ぶっちゃ────毒島さんに聞くしかないわ。」

 

「政治って面倒臭いんだねぇ~。」

 

 アリスは何も言わずにただディーナ・シーの食堂へと入る。

 

 すると数々のスイーツを前に陰った表情をしたユーフェミアがテレビに表示されていたニュースを焼き付けるかのように固まっていた。

 

 片手でプディングをすくい上げたスプーンは彼女の持ち上げる手の体温によって既に暖かくなっており、冷えていたプディングは温くなっていた。

 

「……」

 

 彼女の近くにいたマーヤの視線をアリスが辿ると、消音されたテレビに移して画面に映し出されているテロップを見るとここ連日流されていたニュースばかりだった。

 

 エリア11でかつてないほどの内乱。

 ゼロに討たれたユーフェミア。

 行方不明のコーネリアとダールトン。

 そして、ゼロの非公開処刑。

 

「ユーフェミア様、テレビのチャンネルを変える────?」

「────夢じゃないのですね。」

 

 アリスの声に、ユーフェミアはやっと視線をテレビから外して温くなったプディングを口に含む。

 

「……ごめん、この際だから()()言っていいかしら?」

 

「あ、はい。 どうぞ、ええっと────」

「────マーヤで良いわ、ややこしいから。」

 

「(あ。 この流れはマズイ!) ちょっとマーヤさん────」

「────アリスちゃんは黙っていて。 私は目の前にいる、()()な人に話があるの。」

 

「私が『盲目』、ですか?」

 

「貴方の『行政特区日本』……貴方は理解していないようですね、現実を。 あれは“対等です”というよりは“対等に扱ってやる”。 つまりは“相手(ブリタニア人)自分(日本人)のことを対等ということにしている”という事から成立している関係性だという事を、貴方は理解しているのかしら?

 それこそ、“相手(ブリタニア人)自分(日本人)を対等と扱うことを辞める”瞬間にその関係もなかったことになる。 要するに“平等に扱ってください”という口約束程度のものなのよ。」

 

「わ、私はそんなつもりじゃ────」

「────じゃあ更に聞くけれど、法的に“平等に扱わない” ことを罰する法律は存在しない世界で仮に行政特区内部だけにその法律が存在すると仮定しましょう。 それを取り締まるのは誰かしら? 間違いなくブリタニアの者よね?」

 

「……………………」

 

「他にもいろいろあると思うけれど、私はあの方ほど優しくは出来ないわ。」

 

「『あの方』?」

 

 「スヴェンの事。」

 

 ユーフェミアの頭上にハテナマークが出るとアリスが小声で彼女に答え、マーヤが言葉を続けた。

 

「ええ。 あの方が出した指示や、下準備を見れば『行政特区』が失敗する前提要素が多かったから、想像するのは簡単。 理由は私が言ったようなものに似ているでしょうね。 あの方が貴方を助けたのは恐らく10割中9割が失敗したとしても、残りの1割に賭けたかったからじゃないのかしら?」

 

 尚、もしスヴェンがこの場に居たらポカンとしながら『あ、うん。 ソウデスネ』と目を点にしながら頷いていただろう。

 

「(容赦ないねぇ~。)」

 

 これをマオ(女)は部屋の端から見ながらパンケーキを口にしていた。

 

「(にしても……お兄さんの行動や接し方が“ベルマ”────じゃなかった、“ヴィレッタ”との鉢合わせを穏便に済ませるとはねぇ~……」

 

 彼女が思い浮かべたのは『ゼロの正体に関して、トウキョウ租界の政庁へと急いでいるのでお前たちに構っている暇はない』と言って、その場から消えたベルマことヴィレッタだった。

 

「(『仲間に成り得るかも知れない』って、お兄さんの言葉の意味が分かったような気がするよ……)」

 

パクッ。

 

「ンブフォォォォ?! あ、甘いぃぃぃぃ?!」

 

 そう考えながらシロップをかけていたマオ(女)のプレートは、見事にシロップ漬けになったパンケーキをそのまま考えずに味わってしまったとか。

 

 

 

 


 

 

 

 

 さて、どうするか。

 

 一旦冷静になった(スヴェン)はこれからの行動について考えたが……やはり現状では色々な無理があったのは痛感した。

 

 組織(アマルガム)も優秀な人材はいるが、俺がいなければ上手く立ち回れなかった。

 

 そもそも『情報不足』以前に、組織(アマルガム)は人材不足だ。

 俺を含めて殆んどが『武人』であって、戦術顧問……上手く活用化できる『将』がいない。

 

 今までやって来られたのも、『原作知識』があったからだが……もう殆んどそれだけを頼りにするのは危険だ。

 

 今回のように足元をすくわれかねない。

 さて、おさらいをしよう。 俺が生き残る……は当たり前として:

 

 1. カレンたち黒の騎士団逃亡の手助け

 2. CC、およびガウェインの回収

 3. アマルガムの戦力強化

 4. VVとマリアンヌに関しての再確認

 

 一期とR2の空白期間で一番初めにするべきことは『4』だが、その為には手っ取り早いのは『2』でCCを回収して直接腹を割って話すことだろう。

 

 もし『ラグナレクの接続』だとすると、『3』に直接繋がるからな。

 

『1』は……個人的な理由だが、R2に向けて黒の騎士団をアマルガムに組み込むことが出来れば大幅な即戦力アップと人材の入手が同時に出来る。

 

 まぁ、要するに全部必要だ。

 

 その中でも『1』と『2』すぐにでもしなくちゃいけない。

 

「誰か、いるか?」

 

 俺は出来るだけ声を医務室のドアに向けて出す。

 

「今後の方針で話しがある。 全員に声をかけてくれ。」

 

 

 


 

 

 

 私はまた夢を見ている。

 

 見知らぬはずの学園を私は見知らぬはずの制服を身に纏って、手に持った木刀で次々と目が虚ろの者たちを押し返しながら走っている。

 

 周りの教室の中では目が虚ろの者たちが見知らぬはずの制服を着た男女や教師に襲い掛かった拍子で出る断末魔しか聞こえなかった筈が、何故かぼやけた様子で私の耳に届く。

 

 見知らぬはずばかりだというのに、『()()()()()()()()』という結果だけが頭に残る。

 

 知らない筈の街を、人を、日本(にほん)を『知っている』。

 

 何とも奇妙な夢だと思えば景色は変わり、今度は久しく見ていない筈の『桜の代紋』をしたビルの中へと突入。

 

 だから 銃はあまり好かんと言っているだろう?

 

 いや、なんだこれは?

 私は知らない。

 

 知らない。 知らない。 知らない。

 

 だから

 

 

 

 

 

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

「ハッ?!」

 

 暗い部屋の中で毒島は目をバッチリと開け、ベッドから起き上がっては周りを見る為に明かりを点けると自分が居るのが黒の騎士団の潜水艦の中だと思考が追いつく。

 

 彼女の息は荒く、大粒の汗が額から頬を伝って落ちる。

 

「……夢?」

 

 体中がベタベタしていることに彼女は気付き、肌着を脱いでから個室のシャワー室に入る。

 

「(まただ。 またあの不可解な夢だ。)」

 

 先ほどまで彼女が見ていた夢は時折、子供の頃から見ていたものだったがブラックリベリオン時のトウキョウ租界で何度も蘇る黒い機体を相手にしてから今まで『朧げな夢』の中身がより鮮明なイメージとなった。

 

 未だにバクバクと唸る心拍音と体に引っ付いた汗を流すように彼女はただシャワーから出るお湯に身を任せる。

 

 ブラックリベリオンの夜から、彼女はアンジュと共にG1ベースにいた黒の騎士団の幹部たちを潜水艦のアジトまで連れてきていた。

 

 スバルの指示とはちょっと違った形だが、今の弱った黒の騎士団なら組織(アマルガム)との合併、あるいは吸収できるだろうと踏んだからだ。

 

 特に毒島の祖父である桐原は既にこのことに気付き、既にそのようなことをそれとなくほのめかしていた。

 

 ディートハルトは断固拒否していたが。

 

「(それより、昴君が心配だ。)」

 

 毒島は頭上から流れるお湯に当たり、冷えた身体を温めて一息を着くと今度は昏睡状態の(スヴェン)が気にかかった。

 

 黒の騎士団の潜水艦に乗った後、密かにディーナ・シーに連絡を取って現状把握と情報交換をした際に彼の事も聞いていた。

 

 彼女がシャワー室から出て、タオルで濡れた髪を拭いていると以前に(スヴェン)が編んでくれたすくすく〇澤を抱く。

 

 「目が覚めなかったらどうしよう、『おはぎちゃん』?」

 

 いつも凛として実際の歳より大人ぶった彼女が少女らしい声で出した質問に、『おはぎちゃん(すくすく〇澤)』はただつぶらな瞳で静かに見返す。

 

 只のぬいぐるみなので当たり前と言えば当たり前で、逆に返事が来たら大問題なのだが。

 

『冴子、起きている?』

 

「どうした、アンジュ?」

 

 その時アンジュから来た通信に毒島は気を引き縮めて答える。

 

『二つニュースがあるわ。 一つ目はスヴェンが起きた。』

 

「そうか。 (良かった……)」

 

『二つ目は、彼の()()ね。』

 

「……フム?」

 

『北に移動した黒の騎士団の、()()()()よ。』

 

 

 ………………

 ……………

 …………

 ………

 ……

 …

 

 ほぼ同時刻、ブリタニアの本国での宮殿では数多くの貴族や名家の兵士たちが召集されていた。

 

 台座には珍しく、人の前に姿を現してどっしりと構えていていた皇帝シャルルと自分の前に膝を着けてラウンズの正装に身を包んだスザクの姿があった。

 

「枢木スザク。 貴様を、ナイトオブセブンに任命する。」

 

「……イエス、ユアマジェスティ。」

 

 一瞬の戸惑い後にスザクはそれを受け入れ、シンと静まり返った者たちに振り返る。

 

 本来なら人生の中で見るか見ないかの新たなラウンズの任命に感動や拍手は普通なのだが────

 

 「ナンバーズ如きが。」

 「ラウンズに……しかもナイトオブセブンにだと?」

 「ふざけるなよ。」

 「たかがテロリストを生け捕りにしたからって……」

 

 ────その場にいた誰もがギリギリ不敬罪未満の不服を口にしていた。

 

 「だが聞いたか?」

 「何をだ?」

 「あのナンバーズ、実は本人がラウンズ入りを名乗らなかっただとか。」

 「……それはそれで腹が立つな。 だが実際、任命されているではないか。」

 「それがどうも宰相閣下がラウンズに推薦したようなのだ。」

 「シュナイゼル殿下が?」

 「何でも奴の活躍とナイトメアの操縦技術を買って提案したのだとか。 特派も、正式に部隊として再編成が行われているらしい。」

 「では、殿下はこれを見越して特派を作ったというのか?! 何と恐ろしい……」

 「それだけでなく、もっぱらの噂があのゼロとか言うテロリストに対抗する為の旗印にされたとか。」

 

「……………………」

 

 「ワシの決めたことに、異を唱えるか?」

 

 上記のヒソヒソ話にスザクは聞こえないフリをしているとビリビリとした殺意のような圧力が籠ったシャルルの声にピタリとすべての音が止み、あるものは呼吸をすることさえも忘れてしまう。

 

「よい。 今回だけ、特別に許そうではないか。 ナイトオブセブンの座と称号に異を唱える者よ! こ奴との決闘で勝てば、それらをその者に拝命しようではないか!」

 

 シャルルの言ったことにさっきとは違いどよめきが走る。

 

 無理もない、シャルルの言ったことはブリタニアの貴族などからすれば破格の条件だった。

 

 何せ()()()ナンバーズ一人と決闘で勝てばラウンズ入りが確定するのだから。

 

「争いと競いが常にブリタニアの進化を続けておる…………枢木スザク、よもや異論はないだろうな?」

 

「……全くございません。」

 

 ちなみにこのことを聞いたシュナイゼルはため息交じりに、『フゥ……父上には困ったものだ』と言いながらブリタニア本国でも一際大きいコロシアムを決闘場としてカノンに用意させたとか。

 

 決闘希望者は数々の武勲で有名な者たちが殺到した結果、数は数十人にまで膨れ上がった。

 

 決闘を寄りシンプルにするため『武器は一つ』、『先に相手に有効打を与えれば勝利』という二つのルールのみに絞られた。

 

 最初こそ一対一だったが次々と挑戦者たちは秒で倒されていった。

 

「ほぉ……最小限の動きでか。」

 

 左目を過去に負傷したのか、縫い目のような金具で閉じた大柄な男性の『ビスマルク・ヴァルトシュタイン』。

 

「ま、当然の結果じゃね?」

 

 後ろ髪を細く三本に編んだ独特のヘアスタイルをし、見た目のまま活発そうな『ジノ・ヴァインベルグ』。

 

「皇帝陛下、そして宰相閣下たち自らが見込んだ方ですからね。」

 

 ロングストレートの金髪に前髪ぱっつん、そして際どいスリット入りのラウンズでは珍しい(というか唯一の)スカートを履いた『モニカ・クルシェフスキー』。

 

 ドッ!

 

 ドアが開けられて一瞬中にいた者たちが身構えるが、ドアを開けたのがノネットだと知ると殆んどの者たちが再び視線をスザクのいる方向に向ける。

 

「いやぁ~、アイスを買っていたら遅くなったよ! ジノはミント味で────」

「────おお! サンキュ!」

 

「で、ええっと? イチゴ味がアーニャだっけ?」

 

 ジノにアイスクリームを手渡して今度は長いフワフワピンク色の髪を一つ結びにした小柄な少女────『アーニャ・アールストレイム』にアイスを手渡そうとする。

 

「オレンジペコ。」

 

 ヒョイ。

 

「イチゴは私だ。」

 

 横からノネットがアーニャに手渡そうとしたアイスを取ったのは黒髪を団子に上げた褐色の『ドロテア・エルンスト』。

 

「あれ? ドロシー(ドロテア)の好物ってチョコじゃなかったっけ?」

 

「ノネット……お前、相変わらず覚えろよ。」

 

「アッハッハッハ! いいじゃん別に!」

 

「それよりもベアトリスはどうした? ミケーレはEUの件があるとして、ここにはモニカもノネットもいるというのに……」

 

「あ。 あ~、彼女はなんか用事があるって言っていたような。」

 

 ドロテアの言ったことにノネットは目を泳がせながら残った自分のアイスを食べながらまたも相手を瞬殺するスザクを見る。

 

 ちなみにドロテアの言ったベアトリスとは『ベアトリス・ファランクス』の事で元ナイトオブツー。

 現在は軍事以外の手腕を買われ、帝国特務局の総監であると同時に皇帝の主席秘書を務めている。

 

 ミケーレとは『ミケーレ・マンフレディ』の事であり、ナイトオブツーに選出されていたがユーロ・ブリタニアに異動し、『聖ミカエル騎士団団長』を務めてEUとの戦争に介入していた。

 

『シュナイゼル殿下。』

 

 10人目を倒したところで、スザクがコロシアムの決闘を仕切っていたシュナイゼルに向けて外部スピ-カーで声を出す。

 

『一対一では時間がかかり過ぎます。 残りの者たち全員、まとめてかかって来てもらえませんでしょうか?』

 

「「「「「……………………」」」」」

 

 スザクの提案に残った20人ほどの決闘希望者と共に、コロシアムが静かになる。

 

 ラウンズの観戦している部屋は違ったが。

 

「「ヒュ~♪」」

 

 ジノとノネットは口笛を出し────

 

「あそこのバカたちをバカにしている?」

 

「せめて“愚鈍”と言いなさい、アーニャ。」

 

「バカばっかなのに?」

 

「それでも、よ。」

 

 ────アーニャは考えていたことをドストレートに口にするとモニカがあまり違いのない言い直しを提案する。

 

「……ケッ! 終わったら誰か起こしてくれ。」

 

 ここでずっと黙っていた世紀末ヒャッハーっぽいかなり派手な見た目をした男────『ルキアーノ・ブラッドリー』が面白くなさそうな表情を浮かべながらソファーで横になる。

 

 別名『ブリタニアの吸血鬼』、そして自称『殺人の天才』の彼は日ごろからかなり問題を起こしているからか、仕方なく本国への召集に応じていた。

 

 もうすでに察している者もいるかも知れないが、上記の者たちはブリタニア帝国最強と謳われている『ナイトオブラウンズ』の者たちばかりで、いつもは別行動をしている彼ら彼女らがこうも一か所に集まるのは殆んど例がない。

 

 欠番以外の、実質上ラウンズ全員がその場にいた。

 

 ある者はスザクを見極めに。

 

 ある者は彼自身ではなく、自分たちの専用機体の基礎となるランスロットを見に。

 

 そしてある者は彼を、『眼中にない』と既に決めて。

*1
50話




次話から一期とR2の間の空白期間突入ですぐに亡国のアキト編への突入か、そこまでの経路(カレンたちや中華連邦)を少しでも入れるか正直迷っています。

そのことに関して、アンケートを出しております。
アンケート期間は早くて明後日までを予定しております。
お手数をおかけしますが、何卒ご協力をお願い申し上げます。 <(_ _)>

ちなみに基本的な流れとしては亡国のアキト→時間差でオズ、白の騎士紅の夜叉と同時並行しながら→R2(?)な感じを予想(予定?)しております。

亡国のアキト編、即突入?

  • はよ! (経路ほぼ省く)
  • そこまでの経路も欲しい!
  • その他(メッセージ)

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