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では、気を取り直して次話です!
お読み頂きありがとうございます、楽しんでいただければ幸いです!
ゼロの(非公開ではあるが)処刑、それは様々な者たちに様々なショックを与えた。
絶望や失望はもちろんのこと、(一方的な)期待を寄せながらもそれを裏切られたことで湧き上がる怒りや憎悪といった負の感情も含む。
だがそれらを向ける相手であるはずのゼロは処刑され、
あの大反乱の夜────『ブラックリベリオン』後のブリタニアはさらに目を光らせて以前よりさらに監視体制を強化したことよって人々はブリタニアではなく、ゼロが象徴していた黒の騎士団にそれらの感情を矛先としていた。
日頃の鬱憤などを晴らすために、黒の騎士団と繋がりを持った者たちは魔女狩りのような目に合い、逆に未だ黒の騎士団に希望を寄せた支援者たちはほとぼりが冷めるまで今までより互いとの連携と団結をしていた。
皮肉にも、極限状態によって以前より『敵か味方』の見分け方がより単純になったとも言える上に大きくなりすぎた黒の騎士団は以前より動きやすくなったともいえよう。
捕まれば『逮捕』どころか見せしめに『公開処刑』と、リスクはかつてないほどまでに高くなっていたが。
「ハァァァァァァァァ~。」
そんなことを考えていたカレンはタオルを頭に乗せ、豪快なほどの長~いため息を出しながら、浸かっていた温泉の中から夜空を見上げていた。
その言動はおっさんそのもので彼女の見た目より人生経験の濃い者がするモノだった。
「どうした? らしくないぞ。」
今度は近くから彼女の動作を中身BBAだが見た目相応の体勢でチョコンと、大人しく座っていた髪の毛を団子にしてタオルを巻いたCCが声をかける。
「ほっといてよ、ピザ女……あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
カレンが近くの桶に湯を入れ、それに冷えだしたタオルを入れては頭に乗せなおして豪快な声を出す。
「(う~ん……やっぱりこれって扇達の所為よねぇ?)」
そしてニコニコとほほえましく、対照的なカレンとCCを見ていた井上もその場にいた。
彼女たちは黒の騎士団声明のほぼ直後に、昔からキョウト経由で深い繋がりを持ちながら未だに黒の騎士団を支持する、とある山頂にある旅館に潜伏していた。
「それで肩の傷はどう、カレン?」
井上はなるべく血の循環が行き渡るように、時々左手で包帯と防水ビニールで覆われた右肩をリハビリするように動かすカレンを見る。
「まぁ、痛いけれど……井上さんが言ったように、奇麗に貫通したのが幸いしたかな?」
「そうね。 骨や神経、関節を弾丸が損傷しなかったのが奇跡的ね。」
「それで? 未だに思い出せないのか、自分の撃った奴のことを?」
「う、うん。」
CCはお得意のジト目で見ると、カレンが珍しく気まずい表情を浮かべて目を泳がせる。
「全く。 使えない奴だな、お前は────」
「────太平洋でド座衛門になりかけたアンタに言われたくないわよ。」
「……ちょっと泳いでいただけだ。」
「海のど真ん中でプカプカ浮いていたのどこが『ちょっと泳いでいた』なのよ?」
ブラックリベリオンの終わり頃、カレンはスヴェンに頼まれて
ブリタニア人の軍人や士官などの調略。
ブリタニア内部でも機密情報に値するものを元にした作戦。
元は敵対していたはずの者たちが、急に心変わりをしたかのような流れ。
などなど。
今までゼロが見せた奇跡やそれに類するものにギアスを照合するとすんなりと辻褄が合うような気がしてしまい、『躊躇』が生じた。
無論、何割かでは確かにルルーシュはギアスを使って状況を打破してはいたが、ほとんどは彼自身が得た情報などを使って類推し、用意周到な二手、三手、四手ほどの先を見積もって出た行動が成した神業ではあるのだが、カレンの知っている『ルルーシュ』はゼロからほど遠い人物像だったのが悪い方向に影響してしまった。
以前、リフレインがトウキョウ租界に蔓延した頃のルルーシュは『ことなかれ』のように、周りの流れに身を任せていたことをカレンは見たことがある。
そしてカレンの『頭がいいあなたなら、なぜもっと早く何かしなかった』に対し、ルルーシュはただ『頭が良いから何もしなかった、ここで助けても得がないから』と冷酷に答えた。
そんなルルーシュを知っているカレンからすれば、彼がゼロと知ったら『今までの奇跡などと呼べる数々の所業を成したのには何か裏がある』と思ってしまうのは無理がないだろう。
さて。 脱線しかけた話を戻すが、カレンは神根島でルルーシュとスザクが銃を向けあう中でどうすればいいのか迷っている間、スザクは躊躇してしまったルルーシュの銃を撃ち、彼は素顔を出した
上記での発砲とほぼ同時に、カレンは背後から銃を持っていた右肩を撃ち抜かれ、首を強打されて一気に意識が朦朧として何とか倒れても眠ることに抗ったが次に気が付いた頃に自分は紅蓮の中にいて、救難信号を出していたド座衛門中のCCが居た周辺まで来ていた。
同時にガウェインも回収したかったが、いつブリタニアやスザクが追って来るかもしれない状況下だったので、カレンは素早くその場にラクシャータ特製の発信機を海に打ち込んでからさっさとトウキョウ租界へと戻る途中、コウベ租界を目指していた井上、吉田、杉山が率いていた黒の騎士団グループと合流した。
そこから本来ならばコウベ租界の港から以前から根回しをして確保した、キュウシュウを迂回した中華連邦への逃走経路を使う手筈だったが、コウベ租界の潜伏先にブリタニアへの内通があったことで、急遽行き先をアオモリに変えた。
元々アオモリに行く予定はなく、現地での協力者たちも急な到来でも潔く彼女たちを保護した。
そして脱出ルートの用意をするまでの間、やっとの思いで一息ついたというのがカレンたちが味わった荒々しい一週間の一連の出来事だった。
「(あのベニオって子には悪いことをしちゃったかなぁ~。)」
ちなみにコウベ租界での潜伏先でカレンたちは間一髪のところでブリタニアの包囲網を抜け出せたのは以前、カレンが(スヴェンの手紙に従い)先走って出撃した『行政特区日本』で命を救った朱城ベニオ*1が、潜伏先の宿でアルバイト中だったからである。
何とも奇妙な巡り合わせで、倉庫で見た紅蓮で『カレンたち=黒の騎士団』と知った彼女は自分の雇用主を裏切った。
ベニオは黒の騎士団との同行を願ったが、今の彼らにそんな余裕はなかったので『ベニオは
余談ではあるが、この時カレンに縛られて『なんだか
そんなカレンはベニオのことで少し気持ちがモヤモヤしていたのもあるが、実は自分の経験した一連の出来事に関し、井上や杉山に吉田たち黒の騎士団幹部やCCにでさえ言っていない情報が主な原因だった。
「(どう昴に聞こうか……それとも聞かないほうが良いのかな?)」
「ねぇカレン? その携帯電話って防水仕様なの?」
「んぇ?」
井上の声と視線をカレンが辿ると近くの桶の中に入っていた、スヴェンに渡された一昔前の型をした携帯電話を見る。
「スバル特製だから。」
「あら、なら大丈夫ね。」
「(お前たちではそれでいいのか? あの
カレンの『スバル特製』という単語を言った本人と井上が納得するところを見たCCが内心でツッコミながらそのまま言葉を続け、カレンと井上の注意を引き付けた。
「ん?」
「何?」
「さっきから携帯がピカピカ光っているぞ。」
カレンと井上が桶の中を見るとマナーモードのままだった携帯に着信が来ていた。
「キキキキキキタ?! どうしよう、井上さん?!」
「取り敢えず出てみたらどうかしら?」
「あ。 うん。 そそそそうね!」
井上はほっこりとしたまま、年相応に慌てるカレンにそういいなだめる。
ピッ♪
「も、もしもし?」
『俺だ。』
「す、昴……」
カレンは先ほどまで言うかどうか迷っていた案件がすっぽりと抜け落ちて様々な質問が浮かび上がってしまい、彼女はどこからどう話をすればいいのか迷ってしまった。
『無事か、カレン?』
「う、うん。 撃たれたけれど────」
『────なんだと?』
カレンは思わず、今まで聞いたことのない
「あ、えっと、肩を貫通しただけだから! ちょっと痛いだけ!」
その様子は、『良いことをする為に悪いことをしたが親にバレた子供』の動作に似ていた。
『…………無理はするな。』
「う、うん。」
『今、どこにいる?』
「えっと、アオモリだけれど────」
『────そこは旅館か何かか?』
「ふぇぇぇ?! な、なんで分かるの────?!」
『────すぐにそこから脱出する準備をしろ。 もしかすると────』
「────旅館内にいる黒の騎士団、およびその協力者たちに告げる! 君たちは完全に包囲されている! 今すぐ武装解除し、投降しろ! 5分待つ! これは最初で最後の通告である」
スヴェンが言っている傍から、スピーカー越しにブリタニア軍の警告らしき声が旅館の周りから聞こえて女性陣は全員思わず立ち上がってしま────
「────あイタタタタタタタタタ────?!」
『────カレン、旅館へ通じる橋を落とすように協力者に今すぐ伝えろ。』
カレンは立ち上がった際に動かした右腕からの激痛で涙目になるのを堪えているとスヴェンからさらに声が来る。
「ちょ、ちょっと?! 昴はどうやって────?!」
『────時間がない。 とりあえずはブリタニア軍が雪崩れ込むのを阻止するのが先決だ。』
取り敢えず、寝たきり状態で身動きができない
まさかのまさかでアオモリだったとは。
動けたら顔を手で覆っていただろう。
何せアオモリに来たのもこれからどうするか考えていたところで『そういえばR2で“アオモリ”がどうのこうのと言っていたなぁ~』と思って合流した黒の騎士団の潜水艦に乗って生存していた桐原に毒島が聞いたら豆鉄砲を受けた鳩のように爺さんが『なぜ、お主がそこを? ……いや、今更であるか。』
いやいやいやいや。 “今更”も何もねぇよ、何一人で満足げに頷いているんだよ?
もし『黙示録』の通りだとしたら
目の保養にはなったが。
よし、よくわからない現実逃避はもうやめにしよう。
「出来たぞ。」
「ありがとう。」
体が動かせない俺の代わりにサンチアとルクレティアのギアスで照らし合わせた地図をダルクが持ち上げる。
う~ん、見事に包囲されているな!
どないしよ。
「これはどういう顔なんだ?」
「さぁ……」
「アタシには何も変わっていない様子だけれど?」
「何か困っている顔ねこれは。」
「「え。」」
「アリスにはわかるんだ?」
「た、たまたまよ! たまたま!」
何か使える策とかネタはないかな。
R2での『中華連邦大使館』は構造が違うから駄目だな。
今考えられる単語や要因を思い浮かべてみるか。
『距離』、『山頂』、『旅館』、『温泉』、『饅頭』、『腹減った』────おっと、脱線。
え~っと。 気を取り直して『アオモリ』、『包囲』、『無頼』、『紅蓮』、『輻射波動』────あ。
「あ、これは何か閃いた顔ね。 って何その顔は?!」
「別に?」
「そうそう、あまりにもアリスが可愛くて♡」
「ねぇー、どうやってお兄さんの顔を見分けているの~?」
って、
今は好都合だが。
「サンチア、旅館の地形データを3Dモデル化できないか? 大雑把にでもいい、重要なのは────」
「(チッ、イレヴン共になぜこうまでへこへこせねばならんのだ。)」
アオモリにある山の一つを包囲したブリタニア軍の司令官らしき男が、全くイラつきを隠せずに愚痴りながら装甲戦闘車両内の画面に映し出されている包囲網の陣を確認していた。
「(いや分かっている。 あの日から世間に対する体面が更に厳しくなったのは分かっているのだが……自分たちのいる場所に続く橋を落とすとは。 相手はたかがテロリストの敗残兵で、籠城戦でも試みるつもりか?)」
実は『ブラックリベリオン』での一連は報道局エリアを占拠した際に、ディートハルトが
直ぐにエリア11からの放送受け入れをカットした本国での影響はあまりなかったが、これによって他のエリアなどに中華連邦とEUが
「(だが籠城戦ならそれはそれでいい。 この周辺の反乱分子も援軍として駆け付けたところを潰せば────)」
『────少佐、猶予の5分を切りました。』
「よし! 全軍突撃! 相手は弱ったテロリスト共とその協力者だけ! 容赦は無用である!」
『『『『『イエス、マイロード!』』』』』
「(それに噂によれば、ここに逃げてきたのは思えに黒の騎士団でも後方支援部隊と聞く……奴らを始末、あるいは生け捕りにすれば私の地位向上にも繋がる可能性がある。 最初はこの極東の島国に左遷されて絶望したが、ブリタニアの軍人であれば意外と
ブリタニアの司令官は思わずニヤ突くのをやめると、装甲戦闘車両が僅かに震えているのに気付く。
「??? なんだ────?」
『────少佐!』
『────何だこれは?!』
『────や、山が! 山がぁぁぁぁ?!』
次々と通信機越しに部下の恐怖と困惑に満ちた叫びだけが聞こえてくる。
「な、なんだ?! 何がどうなっている?!」
彼が車両の外を見ると────
「な、んだ? これ、は?」
────圧倒的質量を持った土砂が津波のように視界すべてを覆うほどに押し寄せ、それが車両とぶつかった時の衝撃ととてつもない痛みが彼の最後の記憶となった。
………
……
…
「で、出来ちゃった。」
山の山頂近くに、紅蓮の中にいたカレンが目を疑っていた。
『凄いじゃない、カレン!』
「う、うん。」
近くの無頼に乗っていたと思われる井上の声にカレンはどこか『心ここにあらず』のまま返事をする。
「なるほど、ナリタ連山でのアレか。」
そして紅蓮のコックピットにはCCの姿もあり、彼女は紅蓮の右手が置かれた旧式の貫通電極を見ていた。
その昔にまだアオモリが『日本の青森』だった頃で温泉を掘り、観光地にしようとした時代の代物である。
「う、うん……」
「(それにしても、短期間であれを再現するとはあの若造……何者だ? 下手をすれば坊主と同等の……あるいは……)」
それはCCや井上、他の温泉を堪能していた騎士団員もでなるべく同性の者たちがナイトメアに騎乗していた。
特にカレンの場合は『コックピットが狭い』+『バイク型のシート』なので、自然とCCとは『二人乗り状態』になっていた。
「なんだお前? もしかして『ほぼ全裸でナイトメアに乗っている』ことがそれほど気まずいのか?」
≪そそそそそんなんとちゃうわい! それにタオルも巻いておるやん!≫
「何を言っているのだお前は?」
≪もう知らんし、いくで!≫
「だから何を言っているのだ???」
余りのテンパりぶりにカレンは思わず日本語(方言付き)で反論してしまい、ハテナマークを浮かべるCCを無視して山頂を他の者たちと共に降りていき、土砂崩れで緩くなった地面を利用してさらに加速を続けながら、ナイトメアたちは軽トラックなどから無理やりもぎ取った荷台などに人を乗せて避難させていた。
ここまで来ると『下山』と呼ぶよりは、『ギリギリコントロールが何とか効いている疑似的スノボー』の姿だった。
「……なぁ杉山────?」
「────言うなよ吉田────」
「────なんか、虚しくならねぇか────?」
「────だから言うなよ吉田テメェ。」
尚、温泉を堪能していたのは極少数の者たちだけだったのが幸いしたが何もそれは女性だけではない……とだけここに記入しよう。
詳しくは描写できずに────否。 コードギアスでならばの『敢えてしない』で行こうと思う。
吉田に杉山、ドンマイ。
そして合掌。
このような感じで行こうと思います♪
『はよ!』と『そこまでの経路も欲しい!』が現状で37%対61%と想像以上に近かったので、なるべく両方を取り込みたいと思っています。