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「ふぅ~ん? これって私の輻射波動の理論を理解した上で、貫通電極に当てて地下水脈内で人工的な水蒸気爆発を起こしたのね。 (こいつ、ゼロみたいに面白いわね♪)」
ディーナ・シーとは違う潜水艦の中にいたラクシャータが、アオモリの状況をほぼリアルタイムで表示する画面を愉快そうに見ていた。
「(ぬぅぅぅぅ……まさかとは思ったがやはり
「(────これは、ゼロ様がナリタで見せた作戦?)」
近くで考え込む桐原の横で、恐らくはその場にいた大半の者たちが脳裏で連想していたことを神楽耶が思い浮かべる。
『ナリタ連山での奇跡』を。
「(これは由々しき事だ。 このようなことを見せつけられれば、ゼロの為にある筈の黒の騎士団は……それにあの血の件もある。 これは早急に奴の正体を解明し、もしもの時としての対策を考えねば。)」
無論、ディートハルトもその一人であったがほかの者たちのようないい意味での『関心』ではなく『警戒』をしていた。
そんな様々な思惑を黒の騎士団関係者に与えていたスヴェン本人はこう考えていたそうな。
俺には
や、やってしもたぁぁぁぁぁぁぁぁああ゛ああああ゛あ゛あ゛あああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ああああ゛!!!
静かにアオモリの様子をディーナ・シーの中にある作戦室にある巨大
いや、『やりすぎた』感はあるよ?
でもほかに方法が思い浮かばなかったんだよぉぉぉぉぉぉ!
こちとらナリタでシャーリーパパの死亡フラグを折るため確率論も視野に入れてニーナに教えてもらった時からの計算式と地形がちょうど
おえっぷ。
あかん。
皆そう
「よし。 このままカレンたちは黒の騎士団の者たちと一緒に小舟に乗り換えて、潜水艦のアジトに合流してくれ。」
『うん、わかった。』
『帰ったらお前と話がある。』
……なんでCCの声が紅蓮からするの?
『って、なんだお前。 音信だけにしていたのか────』
『────うきゃぁぁぁぁぁ?! 何勝手に画像も繋げようとしているのよ?!』
あ。
『減るものでもないし、相手はあの若造のことだから個室か何かだろう?』
………………………………『煩悩の犬は追えども去らず』とはこういうことか。
俺は思わず原作で数々のサービス回を思い浮かべてしまっては生の情報と掛け合わせて想像する。
『“新宿のことは誰にも言うな”からの
とかとかとか、エ~トセ~トラ~♪
「今だから言っておくが、俺が今いる場所にほかの者たちもいるぞ。」
『ん? そうなのか?』
「ああ、そうだ。」
『そうか。』
よし、これでCCもむやみやたらと勝手に映像通信に切り替えないはずだ。
『何この“通じ合っている感”は……』
「『何か言ったか?』」
『な、なんでもない! というかスバルはどうなの、大丈夫なの?!』
CCと俺の声がハモり、カレンが今更もっともな質問を聞いてくる。
「ああ。 概ね大丈b────」
『────それ嘘だよねスバル?』
何故分かった?!
『怒らないからちゃんと言って。』
「……まぁ、確かにケガはしているが────」
『────次に嘘ついたら怒るよ?』
だから何でわかるのお前?!
エスパーか?!
いや、もしかしてもしかするとギアスとかか?!
『で、どうなの?』
「体が動かない────」
『────え────?!』
「────多分、痛覚麻痺の薬物投与で神経に支障をきたしているのだろう────」
『────えええええ?!』
怒るか驚くかのどちらかにしろよカレン。
『忙しい奴だなお前。』
『アンタだけに言われたかないわよCC。』
むぅ。
CCと気が合ってしまうのは何か不思議な気分だな。
「「「「………………………………………………………………」」」」
ハッ?!
そういえば今ここにいるのは元とはいえイレギュラーズ。
本人の意思とは無関係にCC細胞を埋め込まれて疑似的にギアスに目覚めた奴ら。
そんな者たちがCC細胞の元である、CCを見れば────
「────ねぇアリスは何か言わないの?」
「何のこと、ダルク?」
「私もよくわからんが、さっきからジト目になっていたから私もてっきり何か言うのかと思ったぞ。」
「そ、そんなこと全然ちょっとだけしか思っていないわよ?」
「「ちょっとか~/だけ?」」
「…………………………ハッ?! しまった?!」
あれ?
思っていたよりほんわかとした、良い感じの空気だが……お前らはさっきから何の話をしている?
「(ニコニコニコニコニコニコニコニコ。)」
そして
『そう言えばお前、さっき“体が動かない”と言っていたがどこから私たちのことを見ている?』
『え?! 見えているの?!』
「見えているわけがないだろう。 俺が今いるのは別の場所だ。」
『別の場所? ……それでいつ黒の騎士団に戻るの?』
よし、ここで少しだけメリットとデメリットを考えよう。
今の俺……というよりは『アマルガム』という組織を作り上げた俺としてだ。
黒の騎士団と合流して情報交換などをする前提として、大きく分けると:
1. 黒の騎士団との『合併』
2. 黒の騎士団とは別々の組織のまま『同盟』
3. 黒の騎士団とは別々のまま、あくまで距離を置いた組織同士の『協力関係』
“1”は正直、現状では気があまり進まない。
俺は少しだけ『原作知識』と『特典』と『身体能力が少し上位』の取柄があるだけの男だ。
『個人としての武力』としては有能の部類に入るかもしれないが、所詮は『一人』だし『組織のトップ』としてはいろいろと役不足だ。
正直今すぐにでもトンズラのコマンド入力をしたい。
前ならともかく、今頃になってそれを実行しようとしたら“だが逃げられない!”と返ってくるだろうけどもさ。
それに、あっちには昔からの
あとここで逃げたら何気に目をギラギラさせた怖い人たちが追ってくる想像がガガガががガがガガ。
それに、丁度良いかもしれない
「カレン、この通信は俺が前にあげた携帯電話を通しているな?」
『あ、うん。 そうだけど?』
「なら話は早い。 CC、『
『ッ。』
『“アーカーシャ”……って何それ?』
よし、CCの(僅かな吐息から)気まずい時や迷う時の『目をそらす癖』をゲット。
つまりはほぼ確実に、この世界でも『ラグナレクの接続』がシャルル皇帝やVVの目的っぽい確信を得た。
となると、やはり表立って活躍しすぎるのは得策じゃない。
現に、VVの所為で『行政特区イベント』が起きてしまった。
だがあいつはどこで俺のことを知った?
いや、そもそも目的は
……わからなさすぎのところが多くて、今考えても無駄だな。
というわけで“1”の“黒の騎士団との合併”はアウト。
そもそも俺にゼロの代わりはいろいろと荷が重いし考えただけでも胃に穴が開きそうだ。
あとは“2”の同盟もある意味目立ちすぎるし、黒の騎士団からすればアマルガムなんてよくて『ぽっと出の組織と同盟~?www』で終わる可能性もある。
あっちには
黒の騎士団として活躍したカレンならともかく、“幽霊部員”ならぬ“幽霊団員のスバル”じゃあ説得力もへったくれもないし、不安要素しかないだろう。
というかこっちにユーフェミアがいるので、グダグダになるのが目に見えている。
だけどある意味、ちょっと意外なところで戦力発見だ。
何せR2では卜部以外はほとんどが捕虜になっていた。
結構、というかかなり筋の通った人で黒の騎士団がR2まで生き延びられたのも確か卜部のおかげが大きかった……と思う。
いや、マジでもう色々と原作のマイナー詳細が上手く思い出せなくなっている。
『今度書き残そうかな?』とも前に思ったが、もし万が一にもそれが見つかれば色々とヤバイ。
というわけで“3”の協力関係で行けばユーフェミアの保護をしつつ、アマルガムの組織としての戦力増加ができる。
『あ、もしかして“アーカーシャ”って中華連邦の言葉か何かなの?!』
っと、ここでカレンの声で意識が現在へと引き戻される。
「カレン、そのまま黒の騎士団の奴らとともに中華連邦へ逃げ込め。 俺も用事が終わってから合流する」
『……今度は何を企んでいるの?』
おい。
なんでそこでまるで『またか』といいたそうな視線を送るのだ元イレギュラーズたちよ?
「まぁ、その……なんだ。 未来に向けての“投資”のようなものだ。」
「うわ、意外。 人間らしいところがある!」
「なんだか変な気分だな。」
「でしょ? クロヴィスランドでの次の日なんてあれより歯痒い、いつも学園で見るあいつを見た私の気持ちがわかる?」
「あれだけ愚痴をこぼしていれば容易に想像がつきますわ。」
声が聞こえているぞお前ら。
あとアリス、後で
『“未来の投資”? ……お前、当てはあるのか?』
おお、意外とCCから────って、彼女の十八番である『話題の切り替え』か。
「一応、あるにはある。」
さてと。
これから一期とR2の間にある空白期間内のスピンオフや外伝に突入するか。
それにはまず空路……は無理だな。
あまりにもリスクがあるし、万が一空港から飛びだっても降りた先でブリタニア軍が待ち受けている以前に空中で戦闘機に囲まれて基地にドナドナされたらそれこそ『
となると、陸路と水路になるがこのまま中華連邦を横断するのが無難か……
いやいやいや。 西遊記とかじゃあるまいし、悠長にしていられない。
ブラックリベリオン後の何時、スピンオフや外伝が始まるとか定かじゃないが少なくともR2前の筈。
うん。
ならば中華連邦を最大限に利用させてもらおうじゃないか。
「そうだな……この後、黒の騎士団で残った幹部たちと話そうと思う。」
名目上は“顔合わせ”だが、本命はラクシャータに現状の俺を診てもらうことだ。
動けない俺に代わって誰かに頼んで代理で行動させても良いが、どれだけ俺の知識が適用されるか分からないし、不安だし……正直に言って、それを元にした所為で俺の知っている誰かが亡くなるのは断固回避したい。
なら、俺の代わりに誰か介入するとすれば
それに、これからの戦いなどを考えるとやはり必然的にフロートユニットとシステムの開発は確実に外せない要素だ。
となると────
「────誰でも良い。 ウィルバー・ミルビル博士と、彼の家族の安否を確かめてくれないか?」
「ウィルバー・ミルビル……もしや、“ミルビル卿”か?」
おお?
やっぱり『双貌のオズ』だけに知っている?
でもなんでサンチアが?
「知っているのか?」
「以前、ハゲ大佐の元にいた奴の一人だからな。 一度だけ、見かけたことがあるが────」
「────なら話が早い。 彼はまだ『天空騎士団』を提唱しているか?」
「なるほど、これがマーヤのいう事か。」
え。
ちょっと待って、なんでそこで納得したように頷くの?
ちょっと怖い。
……ま、まぁいいや。
「危険だが、もし無事ならば彼と彼の妻の
「保護、だと?」
「
「……その根拠は?」
ご尤もで冷静な指摘だ。
やっぱりサンチアは軍人でもちゃんと意見を出せる有能な方だな、頼りがいがある。
「ブリタニア本国でも未だに皇帝派と貴族派の派閥争いは続いている。
「わざと“対テロ対策”の能力を低下させるようなことをするのか?」
「恐らく単純に、“皇帝派を削って貴族派の者を中枢に置く”といった、短慮な考えだ。」
「……つまり“本国に潜入してミルビル卿と彼の家族を守ってブリタニアから引き抜け”と? 無理難題だな。」
「承知の上だが、頼みたい。」
「しかもミルビル卿は昔からの皇帝派だ。 大人しく引き抜かれるとは思えん。」
デスヨネェ~。
ウィルバー・ミルビルは『双貌のオズ』の中でも、ゴリゴリの皇帝派でブリタニアのKMF開発の中核に近いポジションを持っている描写が
そう、過去形だ。
「ミルビル卿を引き抜くのは襲撃の
「『後』……だと?」
実はウィルバー・ミルビル、『双貌のオズ』でも少し触っているが妻をテロで亡くすんだよな。
んでシャルルに謁見を求めてテロへの対策として、軍のフロートユニットとシステムの充実化を求めるけれど『瑣末なことだ』とシャルルに一刀両断されるんだよな。
『ラグナレクの接続』を目標にしているシャルルからすれば本当に瑣末なことかも知れないが、この謁見でウィルバー・ミルビルの見解が180度変わるんだよな~。
『皇族は国民を蔑ろにしている』って。
本当は世捨て人気味のシャルルがそうだけであって他は…………………………ま、まぁ今は良いや。
「テロから守った後で、ミルビル卿は恐らく皇帝シャルルにテロ事件を自分の提案がどれだけ重要か訴えると思うが……恐らくその提案は通らないだろう。 そこを狙えば行けるはずだ。」
ウィルバー・ミルビルの人物像が『双貌のオズ』のままならば、研究者の中でも彼は人情を持ちながら軍事にもかなり精通している。
少しえげつないかもしれないが、そこを突く。
さ~て、初の『俺が直接しない根回しタイム』だ!
……それはそうと誰か胃薬持ってきて。
「はい。」
そこでアリスが胃薬の錠剤を持ち上げる。
「何故わかった、アリス?」
「じ~っと一点だけ見ていれば、そこに何か意味があるのは分かるでしょ? ほい。」
俺が口を開けるとアリスが胃薬を放り込む。
って水かなんか持って来んかい?!
久しぶりにほぼスヴェン視点の話でした。 (汗
これからもぐんぐんと突き進むと思います。 (汗汗汗