小心者、コードギアスの世界を生き残る。   作:haru970

91 / 344
長らくお待たせいたしました、寝込んでいますが出来る時に携帯に書き込んでいたものを投稿しました。

短くて申し訳ございません、楽しんでいただければ幸いです。


第91話 『リアル天子』ッパネェ

『中華連邦』。

 

 コードギアスの世界でブリタニアとユーロピア共和国連合(EU)と並ぶ三大勢力の一つ。

 

 その首都である洛陽の中でも、共産主義を掲げながら政治の中枢となっている朱禁城には国家の象徴である『天子』と補佐である『大宦官』の君主制度で中華連邦は動いている。

 

 というのはとっくの昔の話で、実際は制度としては既に崩壊しているどころか大宦官と軍人達が己の欲望のままに国を動かしている。

 

 そのおかげで『天子』は実際の権力を持たない『お飾り』であり、人民は貧困に喘いでいる。

 

『良くブリタニアに乗っ取られずに済んでいるな?!』と思うかもしれないが、実は上記のおかげで中華連邦は一枚岩ではなくなっていることが原因だ。

 

 あとバカにならないほど人口が多く、第二次世界大戦中のソビエト連邦の『Ни шагу назад(オーダー227)!』を連想してしまうほど皆が『天子の為ならば!』と強く思いながら戦う志を持っている。

 

 とまぁ……謁見の間から挨拶が交わされてから応接間での会食(の名を飾った腹の探り合い)で未だに続く大宦官と神楽耶&桐原(黒の騎士団)の会話を横に現実逃避はここまでにしてハッキリ(内心で)言おう。

 

 椅子にちょこんと座るリアル蒋・麗華(チェン・リーファ)小っさ!

 髪の毛と肌が白粉より白い!

 

 あと余りにも気配(存在感)無さ()すぎて、本当にそこにいるのか疑ってしまう。

 

 え? 『蒋・麗華(チェン・リーファ)って誰だよ?』だって?

『天子』の本名に決まっているだろうが……と言ってもあまりピンとこないかもしれない。

 俺だって設定資料で見たときの『名前あったんや?!』ショックで覚えているだけだし。

 

 多分。

 

 ここで大宦官が神楽耶&桐原の誰かが言ったことに『ホホホホ♪』と愉快に笑い、天子は目の前の会話に付いて来られていないのか純白の髪を揺らし、小さな眉を困ったような時にする『ハの字』に曲げながら赤い目で互いを見る。

 

 少し前まで仲良く神楽耶と話していたのに、急に政治の話が出てきたことで、『小動物がポワ~ンとしながらコトンと頭を横に倒して周りを見る』仕草が披露される。

 

 目の前で神楽耶&桐原が大宦官の笑いに笑みを返すが、多分内心は表情ほど穏やかではないだろう。

 

 日本人ではないとはいえ、圧政を敷きながらただただ我欲のままに貪りそれをさほど隠そうともしない連中の機嫌を伺いながら、表&裏の品を渡さなければいけないのだから。

 

 ソワソワソワソワソワソワ。

 

 おい、毒島ステイ。

 明らかにハテナマークを浮かべる天子に何かしてやりたいのは大いに同意するし気持ちも分かるが、俺たちはあくまで『付き人』だ。

 

 興味を失くしたのか、天子が足をテーブルの下でプラプラし始める不安や寂しさが彼女から漂う。

 

 ……うん。

 

 守ってやりたくなるがな。

 

「ぁ。」

 

 俺の視線に気づいたのか視線が合ってしまい、サッと俺は視線を外す。

 

『付き人』である俺が、お飾りとはいえ国のトップをジッと見るのはマナー違反というか下手したら大宦官に付け入る大義を与えかねない。

 

「ふむ、その話でしたら……天子様、少々同胞と共に席を外してくれませぬか? 報告は後でします故。」

 

 ん?

 

 桐原が『裏の世界』の話を切り出すと、大宦官が天子に言いながら反対側の大宦官に目配せをするのを見て俺は立てていた憶測の確信を得る。

 

 なるほど。

 汚い世界の話をこうやって天子から遠ざけ、『世間知らず』のまま育てていたのか。

 

 しかも少し離れた場所で待機されている長い黒髪のイケボ武人────黎星刻(リーシンクー)の険しい表情を見るからに、大宦官たちは天子自身が逆にこれを嬉しがるように誘導していると見られる。

 

 やっぱり桐原と(特に)神楽耶は良い感情は持っていないだろうなぁ~。

 

 俺もだが。

 

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

 

「お魚が宙を舞うのですか────?」

「────そうですね。 ただかつての日本での『コイノボリ』は本物の魚ではなく、『魚の形をした凧』で────」

「────タコ()?」

 

「タコでも『空に浮かぶ紙飛行機』の類です天子様。」

 

 それがなぜか今の俺と毒島が天子と普通に会話しとる。

 

 ……『ナンデ?』って?

 

 え? 『聞いていない』?

 いや聞いてくれよ。

 

 距離を置いて歩く大宦官からなぜか一人寂しく、テクテクと中庭を歩いている彼女に毒島は自分が桐原の孫だということを天子の隣にいた星刻と大宦官に挨拶を交わすとそのまま話しかけ、俺も巻き込まれて今では主に日本が健在だった頃の話をしている。

 

 つまり、彼女がかなりグイグイと来るような話題を毒島が話し出して俺はうまく逃げられないのだ。

 

 まぁ……ついさっきまでつまらなさそう&寂しそうな彼女が赤い目をキラキラ輝かせがら児童番組(なぜなに)風に“なんで?”、“どうして?”、“なぜ?”が来てちゃんと順を追って説明すると理解した天子も毒島も満足そうに笑みを浮かべたりして、俺は見ているだけで楽しいし癒されるけれども。

 

 あとは俺たちを止めるべき大宦官は内容が中華連邦や政治や世間などに直結していない上に毒島の渡した賄賂もあってか邪魔する気がないのかそっぽを向いているし。

 

「ん? どうやらお時間のようです、天子様。」

 

 っと、桐原たちが席を立ったか。

 

「ぁ……これからも、お話をお願いしても? いいですか?」

 

 「「いいですとも。」」

 

 毒島と俺が立つと、申し訳なさそう&後ろめたく天子がそう聞くと俺と毒島は即答する。

 

 いや、もう……こんな頼み方されて『放って置け』なんて選択はあり得ないじゃん?

 俺も毒島も、正式には『黒の騎士団』ではないし立ち位置も微妙なものだけれど……

 

「では……お友達になってくれますか?」

 

 ンンン゛ン゛ン゛ンンン゛ンンン?!

 

 天子(てんこ)ちゃんのうるうる上目遣いぃぃあぁぁぁぁぁ?!

 

 純粋無垢な笑顔の破壊力で、思わず今まで磨いてきたポーカーフェイスの表情筋ががががガガががガ。

 

 一言だけで締めくくろう。

 

 尊い。

 

 尊すぎて『ポケットの中のモンスター』並みに目の前が真っ白になってその時のことをよく覚えていない。

 

 「何をしている少年。」

 

 そして俺の耳元でささやく『お前を殺す』が代表的なイケボが来るアルヨ────え、ナンデ?!

 

 「今すぐ天子様から離れろ。」

 

 え。

 

 「……えっと……」

 

 よく見たら(というか気が付いたら)俺は天子ちゃんの前に目線を合わせるようにしゃがんで────ええええええええええええ?!

 

 俺、何やってんの。

 

 ↑なにやってん↑のぉぉぉぉぉ?!

 

「ッ。 も、申し訳ございません天子様────」

「────あ、えと、その────」

「────ではまたの機会に。」

 

 天子ちゃんから離れて内心長押しBボタンのダァァァァァァァッシュ(早歩きぃぃぃぃぃぃぃ)!!!

 

 「次に許可なく近づけば、鼻を切り落とす。」

 

 ヒィィィィィィィィ?! ロユゥゥゥゥゥイ?!

 

 俺はレッドスカ〇になるにはまだ早いと言うか嫌だぁぁぁぁぁぁぁぁ!

 

 ごめんなさぁぁぁぁぁぁぁい!!!

 

 

 


 

 

 皇コンツェルン(黒の騎士団)の一行が朱禁城の中庭を後にし、手を振ってお別れを示す天子はそのあげていた手をアンニュイな気持ちで見る。

 

「天子様、如何なされましたか?」

 

「ぁ……な、何でもない。」

 

 そんな彼女に大宦官が声をかけると、彼女は条件反射的にビクリと肩を跳ねらせてからテクテクと歩き出す。

 

 昔から同じ場所で過ごしている朱禁城の中は彼女からすれば、多少の考え事をしながらも自動(オート)で目的地にまで歩けるほど知り尽くしている上に、仮にも天子。

 

 そもそも彼女が自由に行動できる範囲はかなり限られている。

 

 そんな彼女はいつも何も変わらない環境に慣れてしまい、移動するときも考えることをやめていたが今日はエリア11から来た『皇コンツェルン』に、自分とあまり年が離れていない少女がいたことで少しだけ興味が出ていざ話してみると自分(天子)とはかなり違い活発さと強い芯を持った神楽耶に少しだけ天子は憧れ、できるだけ(不器用にも)仲よくしようとした。

 

 歳が近い(?)神楽耶とはすぐに打ち解けそうになったが、やはりいつも通りに込み入った会話に入ってしまった為に天子は手持ち無沙汰になっていたところで、彼女は自分に向けられた視線に気付く。

 

 今まで『天子』として生きてきた彼女(麗華)は実権がないとはいえ、表側には『主君』として他国や自国の武官や文官は彼女に注目するのは最初だけで、後は大宦官との会談に移行する。

 

 そして仮にも『主君(天子)』である彼女に無礼がないよう(というよりは大宦官に隙を与えないために)極力なまでに彼女を見ないようにしている。

 

 否、今回に限っては『していた』と過去形になるだろう。

 

「(()()?)」

 

 いつもは会談が終わるまでボ~っとしている視界の焦点(ピント)を天子がふと合わせてみれば、自分と同じような髪と目の色をした者と一瞬だけ目が合った。

 

 ここで彼女が次に見たのは更にいつもの付き人らしくない、ソワソワとする毒島だった。

 

 その『いつもと違う』ことに気付き、興味を持った彼女がいつものように席を外(除け者扱い)されるとさっきの『付き人らしくない』二人と話すチャンスが到来した。

 

 更に『いつもと違う』ことで興奮した彼女は主に黒髪の女性(毒島)と話をしていき、とうとうお別れの時が来てしまうと思わず“いかないで”と口にしそうになってしまうのを、何とか別の頼みで誤魔化した。

 

 そこで彼女と同じ髪と目の色をした青年がしゃがんだと思えば流れるように一回り体格の小さい天子と目線を合わせ────

 

()()()()()()()()()()()()()。』

 

 ────そうしっかりと、青年は天子を『象徴』や『主君』などではなく『個人』としてみるような目をしながら言ったことに、天子の事となると人一倍にも敏感となるあの星刻でさえも呆気に取られてしまった。

 

「(あ。 お名前……後で聞こう。)」

 

 

 

 …………

 ………

 ……

 …

 

 

 

 当の本人であるスヴェンは帰りの車の中に搭乗するまで、ポーカーフェイス(無表情)のまま無心になっていた。

 

 幸運にも彼はセカンドシートから遮断されている助手席に座っており、運転をしていた毒島の隣にいた。

 

『無免許運転……だと?』というのは野暮であり、中華連邦内で偽装した身分証明書の前では意味をなさないだろう。

 

「(う~む、『画面越し』と『生で見る』のは迫力が違うとカレンとかで実感していたと思っていたけれど……甘かった────)」

「────(スヴェン)? 聞いていいか?」

 

「??? なんだ、毒島?」

 

「……いや、ただ“流石だな”と思っただけだ。」

 

 “どういうことやねん?”と言いた(ツッコミた)かった衝動をスヴェンはただグッと堪えながら自分を襲う体中の筋肉痛の中でポーカーフェイスを維持していると、ふと思い出したように口を開ける。

 

「(そう言えば、『元箱入り』だった経歴を考えてユーフェミアをアンジュに任せたけれど……大丈夫かな?)」

 

 彼は知る余地もないが、ディーナ・シー(アマルガムの潜水艦)中から黒の騎士団員たちは自分たちの船に乗り移って海の中からガウェインの回収や、横流しされた無頼の確保などをしているため出払っていたことと、アマルガムの人員たちが外出しなかったことが良い方向に働いてくれていた。




もうちょっとしたらアキト編に突入できるかと思います。 (;´ω`)φ..イジイジ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。