小心者、コードギアスの世界を生き残る。   作:haru970

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次話です。

お読み頂きありがとうございます、楽しんでいただければ幸いです。

*注*いまだに独自設定&その他が続きます。 (汗


第96話 世界平和を望む日本人たち3

 パリのスラムに近い再開発地区では、リフレインの売買をしたことが発端で続いた二つのアンダーグラウンドグループの抗争がここのところ一番の衝突が起きた後をまるで象徴するかのように夜が明けようとしていた。

 

 グループ双方から出た死者数は合計で100名を超え、組織には87名の死亡者。

 

 古くから活動しているため正規の病院とのコネを使っても約37名が集中治療室(ICU)でいまだに組織の者たちは生死を彷徨っている状態である。

 

 それに反して日系人たちのグループからは重傷者は出なかったものの、死者は組織と違って()()()18名である。

 

 上記でも書いたようにこのようないざこざは前代未聞であり、組織のトップをしている元医師の『ドクター』は早々にケリ(決着)、あるいは()()()()をつけようとしていた。

 

「何ぃ? フレッドたちから音沙汰がないだと? もう一度かけなおせ! どうせまたリフレインでラリッっているイレヴンの女でも抱きすぎて寝ているんだろうが!」

 

 だがいざ抗争とは別に動いていた幹部たちに連絡をし、手配しようとしたところで連絡がつかなかった。

 

「(くそ、このイザって時に……) ほかに()()()()()を隠した場所を知っている奴らにかけろ!」

 

 ドクターの作戦は単純な、“シンプルイズベスト”なものだった。

 

 組織の(ほとんどが下っ端だったとはいえ)半数以上の人員をなくした今、抗争を続ければさらに勢力を保持する力は弱っていくのは必須。

 

 漁夫の利を狙ったほかのグループに全滅されかねない。

 

 ならば逆に『ナイトメア』という餌を垂らして、日系人たちを一時的にでも組織に抱き込んで後でゆっくりと処理すればいい。

 ちなみになぜナイトメアを保有しているのに今まで使っていないかというと、単に『未確認で識別反応のないナイトメアが出現した』ともなればEUの軍が出動してしまうからだ。

 

 EUの保安局は確かに『表』としての体面を保ってか『裏』の活動が明るみにさえ出てこなければ沈黙を通せるが、流石に未登録のナイトメア(特に一世代前とはいえブリタニアの機体)が出てきては軍への報告義務を無視するわけにもいかなくなる。

 

 よって武装や外部装甲に出力も強制的に低下させられて基本フレームのみとされた民間や工事用のナイトメアが流通する今もなお、EU国内では意外と『横流し品』で『保持品』としても『ナイトメア』はアンダーグラウンドでは不人気だった。

 

 だがその価値が失われたわけではなく、EUではナイトメアを持っていることだけで一種のステータスとなる。

 

 そんな虎の子(諸刃の剣)を、ドクターは日系人グループとの交渉材料として使おうとしていたがそんな危険物の扱いを任せられる手足となる者たちと連絡が取れなかった。

 

「(これで一旦時間を稼いで、体制を整えて潰してやる。 確か明日も国防40人委員会は同じ時間に終わるはずだ。 選挙の票を欲しがっている若い奴に話をつけて、まだ真っ白なブタ(警察)を────)」

 

 夜が明ける前のまだ暗いパリの闇夜の中で、ポジション故にドクターは転々と仮の拠点を移動していて昨夜の荒事から最も遠くかつ賄賂を警察に渡し、たとえ他のアンダーグラウンドが攻め込もうともすぐに知らせが行くような、()()()()にドクターは手下たちとともにいた。

 

 『────おい女、ここはあんたのような奴が来るところじゃ────いやそもそも、どうやっ────てぷぇ。

「(────ん?)」

 

 そんな安全な場所の最奥で、次の対策を練っていたドクターがドアの外に配置していた手下の一人の声が遮られたことで、考えから(現在)へと意識が引き戻されては普段連絡用に使う携帯をビル内に設置された監視カメラへと繋ぐ。

 

 『────おい、なんだ今のこ────ぇ゛。

 

 様子を見ようとしている間に、今度はさっきより近い様子の声がくぐもったことでドクターは近くの引き出しから銃器を出してドアに向けて構える。

 

 一分、二分、五分と時間が静かに過ぎていき冷や汗が彼の額から頬へと伝い、彼は携帯のスクリーンを再度見るとカメラから入ってくる映像には肩の先から腕が無くなって呻く者たちや、首が胴体から離れている者たちが映っている惨状だった。

 

「(なんだ?! 何が……誰だ?! あのイレヴンどもか?! いや、そもそもどこでここを突き止め────)」

 

 バリィン!

 

 今度はドクターが今まで注目していたドアやモニターではなく、横の窓ガラスが割れる音に彼が反射的にそちらへ視線を動かせると彼の目に映ったのは黒髪をなびかせる女性で、宙を切る一線を最後に彼の意識は途絶えた。

 

 

 ………………

 ……………

 …………

 ………

 ……

 …

 

 

 ザク、ザク。

 

 昔、パリがブリタニアと張り合うためにまだ再開発に全力を注いでいた名残で完全に封鎖したと思われる地下納骨堂(カタコンベ)に新たな墓標たちを一人の少年が地面に刺していく。

 

 墓標といっても、木の棒や鉄のパイプに名前を彫り、布を巻いたりした簡単なものばかりだが。

 

「っと、これで最後か……」

 

 かなりの長身で茶色の髪をしたこの日系人の少年────『佐山リョウ』こそドクターの組織と抗争を続けている日系人たちのグループのリーダーである。

 

「これで、ここら辺で活動しているのは私たち()()だけになっちゃったね……」

 

 ため息交じりに身長的(&その他もろもろ)ではカレンやレイラに全く引けを取らないショートの黒髪で童顔の少女────『香坂アヤノ』がまるで自分自身を抱擁するかのように腕を回しながら、沈んだ顔で墓標たちを見る。

 

「どうする、リョウ? この人数だと、もうパリの市内には居辛くなるよ?」

 

 中性的な顔で茶髪に携帯を手袋をした左手でいじる少年────『成瀬ユキヤ』はアヤノやその場の空気とは違って薄笑いを浮かべていた。

 

「んなぁこたぁわかっている、ユキヤ……そろそろ、マジで()()を出るか。

 

 リョウのボソリとした独り言にアヤノとユキヤがそれぞれ対照的な表情を浮かべる。

 

「それって……」

 

「アハハ! 丁度いいや!」

 

 アヤノは不安そうな顔になり、ユキヤは逆にキラキラと面白さから目を光らせていた。

 

「だが、まずはアイツのことだ。 あのクソドクターがいる居場所は突き止められたか、ユキヤ?」

 

「う~ん、それなんだけれどね? やっと調べ上げたんだけど、なんか先を越されたみたい。」

 

「「は?」」

 

 リョウとアヤノがさっきから全く表情を変えていないユキヤの携帯スクリーンを横から見ると、そこには上記でドクターが見ていた監視カメラの映像があり、その中でも一つの映像内の壁に特殊なフィルターを付けてやっと見える()()()()書かれた文字に注目した。

 

「あ? なんて書いてんだ、これ?」

 

「形からして日本語みたいだけれど、通訳ソフトを適用した結果がこれなんだよね。」

 

 スクリーンには出てきた自動通訳された文章は意味不明なカタコトとしていて、言語かどうかも怪しいものだった。

 

「全然通訳されていねぇじゃねぇか。」

 

「そうなんだよ。 エラーの原因を突き止めたらさ? 日本語でも昔の文章形式っぽいんだよね────」

「────え? これは要するに、“再開発地区にあるパリの旧メトロ(地下鉄)ステーションで待つ”ってことじゃない?」

 

「「え?」」

 

 リョウとアヤノが目を見開き、同時にキョトンとしながらアヤノを見る。

 

「お前……昔の日本語が読めるのか?」

 

「あ、うん、一応? おじいちゃんの話で出てきて詳しいことを聞いたら、ウキウキと教えてくれたけど?」

 

 実はEUでイレヴンと呼ばれている日系人のほとんどがEU内で生まれ育っており、日本国籍どころかエリア11 の生まれでもない。

 

 つまりブリタニアと違って『日本人の見た目だけ』でありながらほとんどの年若い者たちは強制収容所に隔離されている。

 

「うわぁ……まさかここで『おじいちゃん&日本が大好き』っ子が役に立つとはね……アヤノにしては珍しくグッジョブだy────」

 

 バチン!

 

 「────うっさいわよユキヤ、張り倒すよ?

 

 そうアヤノは口にしたが、ジンワリとした痛みがするほどすでに力強く彼女はユキヤの背中を叩いていた。

 

「イタタタ……それにしてもまさか、僕たちが古巣にしていた旧メトロを指定するとは……なんか楽しいかも♪」

 

「やめてよユキヤ。 あんたの“楽しいかも♪”はたいてい、ロクな結果にならないじゃない────」

「────けど、今の俺たちにとっては好都合だ。 あそこなら、昔の()()()が活きているかもしれねぇ。」

 

「リョウの好きな言い方をすると、“ホーム(地の利)”という奴だね。」

 

「おうよ。 それに、今時クソドマイナーな日本語まで使ってこうも俺たちを誘っているんだ。 行くしかねぇだろ。」

 

 

 ………

 ……

 …

 

 

 半分廃墟と化した旧メトロの奥へと警戒しながらリョウとアヤノが地下へと続く階段を下りていくと、()()のコツンコツンとした足音が反響する。

 

 やがてメトロのホーム内に近づいていくと入り口からうっすらと入ってくる光に目が次第に慣れると────

 

「遅かったな。」

 

 ────文字通り、まるでリョウたちを待ち受けているかのようにコンテナを動かしたと思われるフォークリフトのバランスウェイト(後ろ)に座っていた女性の声がホームの中で響き渡る。

 

「誰だアンタ?」

 

「そういう君は?」

 

「俺は佐山リョウ、ここら辺のイレヴンたちのリーダーをやっている。 こいつは幼馴染のアヤノだ。 で? 俺たちをここに呼んだのはアンタで間違いないか?」

 

「そうだとも。」

 

「へぇ~? で? アンタは誰なんだ?」

 

「日本のキョウト六家が一つ、桐原家の桐原泰三の孫、毒島冴子だ。」

 

 そう口にしながら毒島はヒョイとフォークリフトから降り、リョウが口笛を出す。

 

「ヒュ~♪ “キョウト”っていや、確かエリア11中の反ブリタニア活動を支援していた大物じゃねぇか……“全員公開処刑された”ってニュースで大々的にやっていたぜ?」

 

「フフ、生憎とおじい様たちや私はこの通りピンピンしている。 俗に呼ぶ、ブリタニアの“プロパガンダ”という奴だな。 それとここに呼んだのは……まぁ、コンテナの中身は手土産と話を聞く対価として先に受け取ってくれ。」

 

 毒島が言を並べながらコンテナを開けると、中にはユーロ・ブリタニア仕様の黄色い塗料が施されたグラスゴーと機体の装備一式があった。

 

 成人した男性が一人分すっぽり入るようで中身が入った布袋と共に。

 

「これ、ブリタニアのナイトメア? しかも軍用の……」

 

「く……ハッハッハッハッハッハッハッハッハ!」

 

 アヤノはグラスゴーを見上げ、リョウは布袋の中身を見ては笑い出す。

 

 中にいたのは満身創痍で眠っていた(気絶させられた)ドクターだった。

 

「ん……ごご(ここ)は────()()メェは?!?」

 

 そしてアゴが外れているのか、あるいは歯が抜け落ちていた所為か、それとも声帯がうまく機能していないのかガラガラとした声でドクターはリョウの笑い声で気がついてはギョッとする。

 

「よぉ。 先日ぶりだな、おっさん?」

 

 ドッ!

 

ゴッ?!

 

 ドクターは顔を蹴られ、目を白黒している間にもリョウは彼に話しかける。

 

「気分はどうだ? え? アンタ、こいつの手下はどうしたんだ?」

 

「ん? まぁ、大半は()()したが?」

 

「へぇ……アンタ、綺麗な顔してえげつないな。」

 

「誉め言葉として受け取るよ。」

 

 リョウは横目で平然とする毒島に問うと、彼女も平然とした返しに彼は純粋な関心を示す。

 

()()すけ────」

「────いいぜおっさん。」

 

 ドクターの、藁にでもすがるような言葉をリョウがあっさりと了承したことに彼は安心する。

 

 が、リョウが次に言うことで固まる。

 

「で、いくら払える?」

 

「……は?」

 

 唖然とするドクターの顔を見てはハイエナのような笑みをリョウが浮かべる。

 

「今お前を助けるのに、“いくら払う”って聞いてんだよ。」

 

「ぁ……ぇ……は?」

 

「マリコ。 リョウマ。 アキ────」

 

 そこにリョウは、次々と日系の名前をすらすらと語り始める。

 

「────セイ。 ハヤト。 シンジ。 マキ。 ヒロ。 アンタとアンタの下っ端どもが(ヤク)を売りさばいて食い物にされた奴らと、アンタらを止める為に今まで戦って死んだダチの名前だ。 で? アンタはいくら────!」

 ドッ!

「────ギッ────?!

「────俺らに────!」

 ゴリッ!

「────()────?!

 「────払えるか────!」

 ゴキッ!

「────ゴヒュ────」

 「────って聞いてんだよぉ?!」

 

 ボリッ!

 ベシャ!

 グチャ!

 

 リョウはそのままドクターの頭を蹴ったり、踏みつぶしながら怒りをあらわにしていく。

 

「リョウ────」

 「────あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あぁぁぁ!? んだよアヤノォォ?!」

 

「そいつ、もう死んでいるよ。」

 

 リョウはアヤノにそう言われて気が付けば、自分が踏んでいたのは『人間の頭』と呼ぶよりは『マネキン状になった頭蓋骨』……を通り越して、『砕かれた骨が混ざった人肉(ミンチ)』だった。

 

「……思ったより人間って脆いんだね。」

 

 本来、彼女やリョウのような年頃ならばこのような『明確に詳細を記入すれば確実にR18G指定モノ』を見れば吐き気や気分を悪くするのだが彼らはすでにこの生々しい惨状以上や、間近の者たちが同じようなことにされているのを見てしまったりしている。

 

「それで、毒島(ブスジマ)って言ったか? さっき、こいつらと(KMFとドクターの)引き換えに話を聞けって言っていたよな?」

 

「ああ。 “お前たちと接触して()()()()()”、と頼まれていてな?」

 

 毒島の『説得させろ』という言葉に、初めてリョウの表情が曇る。

 

「俺たちを“説得させろ”、ねぇ……アヤノ────────!」

「────うわぁ?!」

 

 リョウがチラリと毒島から一瞬視線を外すと、まるで何かを予想していたかのように近くにいるアヤノの腕を掴んでは強引にナイトメアの陰へと隠れる。

 

「せっかくの機転で悪いが、爆弾は起爆させる信管がなければ爆発できないぞ?」

 

 毒島はそう冷静にいいながら、少し距離の空いたところで潜んでいたユキヤがいる場所を見ると案の定、ユキヤがひょっこりと肩を上げながら姿を現す。

 

「ふぅ~ん……凄いね。 正真正銘、()()毒島冴子なんだ。」

 

 ここでユキヤが()()といったのは、先ほど毒島が自己紹介した際にネット(裏と表双方)で検索した結果を読んだからである。

 

 ほとんどが噂やあることないことのホラ話の類だが、ユキヤほどの手腕ともなるとどれが事実に基づいているか想像させるには情報源として十分だった。

 

「いや、私なんか()に比べたらまだまだヒヨッコだ……それに、ここで凄いのは君と君の仲間たちだよ。 私は()()()()()()()()とはいえ、君たちの活躍には目を見張るものがあったし、なにより“我流でよくここまでの技量を身に着けたものだ”と感心している。」

 

「チッ、お見通しかよ……って、“事前に聞いていた”だと?」

 

「そうだ。 さっきも言ったが、私は君たちのことを聞かされていた。 そこで私は“どうせ日本のアンダーグラウンド(裏社会)と同じだろう”と……いや、それは今は良い。 君たちは、これから居場所を見つけようとするのかね?」

 

 毒島の言葉に、いつもは澄まし顔をキープしているユキヤを含めた三人は度肝を抜かれて驚愕からくる表情を浮かべた。

 

 

 

 


 

 

 

 さて。

 (スヴェン)はここで『レイラ・マルカル』という少女に関してもう少し詳しい詳細を記入しようと思う。

 

『え? ヨアンって兄なのに妹と結婚できるの?』と思っているかもしれないが、彼女は今でこそ裕福かつ庶民の“マルカル”という姓を名乗っているが血筋はブリタニア本国から再度亡命した貴族の出で、両親を幼く亡くしたレイラはマルカル家の養女となり、三男のヨアンとの婚約を予定されている。

 

 そんな家に嫌気がさしたのかレイラは軍学校へ通える年になるとすぐに通い、なるべくマルカル家とは関わらないように努力した結果、戦術の才能が開花し異例の若さで昇進していった。

 

 その反面、ヨアンは三男であり家を継ぐことは難しい立場な上に兄二人と違って商才が全くない。

 現に、マルカル家の当主からの援助&おさがりの会社を倒産させている。

 

 彼の周りは優秀すぎて、ヨアンは劣等感から人脈を広げて初めてそっち方面の才能を開花させたがいざ見ると自分と同じように社会の苦~い汁を飲まされていた筈のレイラは昇進。

 

 そのイライラもあって天邪鬼になり、レイラも優等生過ぎてさらに険悪な方向に物事をとってしまいがちになっている。

 

 それとレイラの両親についてだが、前にも言ったようにブリタニアから再亡命をした貴族で父親は政治家として活動し始めて当時のEUを根底からひっくり返すような、民衆の自立を訴えてグングンと人気が右肩上がり具合だった。

 

 が、12年前の演説中に暗殺された。

 表向きは『帰属を狙った過激派の爆破テロ』となっているが、その実────

 

 ガタン。

 

 ────俺が乗っている装甲車が道の凸凹で跳ね上がって、まどろみながらの現実逃避に走っていた意識を(現在)へと引き戻す。

 

『相変わらずイレヴンのジジババたちは元気だよな~。』

『後ろのイレヴンにも見せてやりたいぜ!』

 

『『ハハハハハハハ!』』

 

 うん。

 やっぱEUの兵士の大半は胸糞悪くなる精神持ちだな。

 

 今は『亡国のアキト』でいうと、スマイラスとレイラの二人が国防40人委員会の会議が予定されている会場へと向かっている。

 

 おそらく原作でも、“レイラは一度見学すればいい”といったスマイラスの誘いの続きだろう。

 

 先頭にEUの装甲車両二台、そのあとにスマイラスのクラシックカー風自動車、そのあとに装甲車両二台とEUの警護用機動兵器の『ガルドメア』が二機ずつ積まれているトレーラーが二台。

 

 そのガルドメアに、俺は乗っている。

 

 最初は『なんでやねん?! アキトの席やないか?!』と思ったが、まぁワイバーン隊の生き残りがいたこととちょうどア()ウ中佐の輸送から帰ってきたアキトがいたことで微妙に配置が変わっている。

 

 ま……こういうことも見越して、毒島にフラグ折りを頼んだわけだが。

 

 原作では、多くの仲間を失い、とうとうパリに居辛くなって『自分たちの居場所を探す』という動機を元にアンダーグラウンドで活動していた日本人を先祖に持った日系人たち三人が、スマイラス将軍を誘拐して国外逃亡を図るといったある意味『自殺行為』とも呼べる事件を起こそうとしていた。

 

 この流れで、スマイラスの警護についた奴らが多く死んでしまう。

 

 ぶっちゃけ、俺に関係がない奴らだったら別にそれでもかまわないが……生憎、人手不足と流れでワイバーン隊の生き残りも数人いる。

 

 ならば先に日系人たちに前もって接触し、説得すればいいだけのことだ。

 

 毒島のことだから問題ないだろうし、何よりEUのゲットーと呼んでも大差ない強制収容所にいる元日本人たちとの接触も上手くいくだろう。

 

 面倒くさいから原作と違って生き残った桐原のじいさんにそいつらの世話は丸投げするけれど。

 

 そう思いながら、俺はガルドメアのモニターを外へと繋げると予想通りに()()()()()()()()()()()()()()()()()()()が見え────えええええぇぇぇぇぇぇぇぇ?!?!?!?!

 

 なんでやねん?!

 

 何でカーナビ(GPS)にハッキングかけられて、()()()走った高速道路の上を走っているの?!

 

 ドォォォォォォン!!!

 

 トレーラーに乗せられたガルドメアの装甲越しに聞こえる爆発音に俺の胃がキリキリしだし、反射神経で胃薬を服用しながらアキトやワイバーン隊が乗っている装甲車に通信を繋げながらこう思った。

 

 危うし(俺の)(胃の壁)助けて、只今ドタキャン出来たと思ったライブ真っ最中でアタフタのピンチでゴザル。




以前の『ブスジマバットマ〇フラグ』が蘇りました。 (´・ω・;`)

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