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突然だがここで刻をほんの少しだけ、スマイラス将軍たちを乗せた自動車が元々ブリタニアからの侵略を防ぐために要塞化したパリの軍務地域から、委員会の会議が開かれる中心部に向かっている途中まで巻き戻したいと思う。
「ブリタニアを恐れ、尾ひれに尾ひれがついた噂を信じ込んだ市民たちと委員会はEUに住んでいたイレヴンたちをこのように隔離収容してしまったのも、長く続き過ぎた『共和制』が生んだ臆病さの結果だ。」
時は丁度、スマイラス将軍たちが7年前の戦争で『日本』という国籍を失ってからEUの保護を求めた
「当時も今でも、抵抗と呼べる事をしないイレヴンも情けないがな────」
そんなスマイラスの話を聞きながら、レイラは数々の貧しい者たちが自分たちに今では無くなった
彼女は今まで勉学に励み、軍学校に通っていた時つい最近まで『世間』というモノに目を向ける時間もなかった。
否。 『意識を向けることも考えていなかった』、とこの場合は言った方が正しいだろうか?
EUではそれが当たり前で、群れを成す人間は周りでの『当たり前』を無意識に刷り込まれやすい生き物である。
昨夜のパーティと遠過ぎる者たちの境遇とピカピカの都心部に、再開発のために取り壊されるゲットーとのズレもレイラの中で感じていた『ギャップ感』をさらに引き出していた。
黙り込んで、思惑通りの反応を示すレイラにスマイラス将軍は内心嬉しく思っていた。
「標的がエリアに入ってきた。 予定通りだ……言われなくても分かっていたけれど。」
そんな彼らを、ユキヤがハッキングをかけた交通機関のカメラ越しに見ていた。
携帯の画面には地区の地図と、スマイラスたちが乗っている自動車たちの反応が映し出されていた。
「警備の規模も、少し多いけれど予想内だね……
『恐らくはな。』
ユキヤの独り言に、インカム越しに毒島の声が聞こえてくる。
『そいつがいるとしたら、どこに居やがる?』
『ことが始まれば、自ずと出てくるだろうが……強いて言うのなら、
「余程自信があるんだね?」
『見ればお前たちも分かる。』
「……じゃあ、始めようか。」
リョウの質問に毒島が答えると、ユキヤはスマイラスたちの自動車が走っている高速道路を支えている柱たちに設置した、今ではほとんど用途が無くなりかけている対戦車手榴弾に信号を送る。
ユキヤの見ていたスクリーンにノイズが混じると同時に爆発音が再開発地区に響き渡り、彼は双眼鏡を覗く。
「ビンゴ♪」
すると高速道路の一部はみるみると崩れ、先導していたEUの装甲車たちはブレーキが間に合わないまま瓦礫と化した高速道路と共に転落していく。
スマイラスとレイラを乗せた古風な自動車は辛うじてブレーキが間に合い、殿のトレーラーや装甲車たちも急ブレーキをかけて止まったところで事態は動きだす。
『よっしゃ、行くぜ!』
リョウの掛け声と共に、先日見たユーロ・ブリタニア仕様のグラスゴーが近くの工事現場から飛び出してはスマイラスたちのいた高速道路の上に乗って来てはランドスピナーを展開する。
「は、早く出ろ!」
「隊列を組め!」
「ガルドメアを出撃させろ! 早く!」
呆けたEUの兵士たちはこの襲撃に戸惑い、次々と装甲車やトレーラーの中から出ては機関銃や機関銃に装着されたグレネードランチャーをがむしゃらに撃つ用意をする。
「お、おい装甲車の中に戻れ────!」
「────うるせぇ、イレヴンのお守りなんぞやってられるか!」
その反面、幸か不幸かワイバーン隊はEUの者たちと違って動揺はしていたものの、ナルヴァの森まで経験したこととスバルの訓練もあってからか若干冷静だった。
「なら俺たちはこのまま初撃をやり過ごす。」
イサムは外に出ようとしたEUの運転手を止めようとしては手を振り払われ、アキトは装甲車のドアを閉めては空席になった運転席に移る。
「けどよ
「
バババババババババババン!!!
アキトの言葉を、今度は道の両端に設置された
「────誘き出された敵に更なる被害を出す為、波状攻撃がセオリーだ。」
原作では、リョウたちはドクターと彼の組織に残った実行員たちとの交渉場となったかつての古巣だったパリの旧地下鉄ホームの仕掛けを使い、ドクターたちを一掃した。
だがそれをするのが不要となった今、設置されていた地雷はホームから外されて今回の襲撃に再利用をされ、今作では遮蔽物のない場所にのこのこと出てきたEUの兵士たちを一掃していた。
無論、地雷は無差別に高速道路の上にいた全てに襲い掛かるのでグラスゴーも攻撃を受ける対象なのだが……
『ハッハッハッハ! 流石はナイトメア! 旧式でも対人地雷じゃビクともしねぇぜ!』
リョウの言ったように、旧式とはいえグラスゴーは軍用のナイトメア。
その装甲は並大抵の歩兵武装では話にもならない。
『コードギアス内の歩兵武装では』と、話の前提は変わるが。
『オラオラオラァ!』
リョウはグラスゴーのアサルトライフルを構え、クレイモア地雷の攻撃に恐怖を感じて恐る恐るとトレーラーから出てくるガルドメア二機の内一機を撃ち、左手ではブリタニア仕様からユーロ・ブリタニア仕様に変えた際に変更された接近戦用武装を手に取る。
本来、今では型落ちになりつつある第4世代のグラスゴーに搭載されている固定武器はスラッシュハーケンと、両腕部に装着されているスタントンファだけである。
だがユーロ・ブリタニアは対ナイトメア武装としては申し訳程度の効果しかないスタントンファを取り外し、敵の装甲を貫通しつつグラスゴーでも取り扱いのできる白兵戦用武器に変えられた。
グサッ!
『雑魚はどきやがれ!』
ガルドメアはナイトメアが戦場の主流機になる前の警備用機体であり、グラスゴーを相手にする事を全く想定していない。
アサルトライフルの弾丸は一機をみるみるとハチの巣状態に変えてやがて内蔵されたサクラダイトに引火して爆発し、もう一つはコックピットを巨大ピッケルで潰される。
この様をスマイラスとレイラは並み大抵の攻撃に耐えられる古風な自動車に見せかけた窓から覗う。
「ナイトメア────?!」
「────実物を見るのは初めてですが、恐らく────」
ゴン、ゴン。
レイラは後ろから何かが窓をノックするような音を見ると、のっぺりとした白いフルフェイスヘルメットに真っ白の服装を着た誰かが刀の柄頭で注意を引き、レイラが見るとその人物が今度は反対側を指で刺す。
「レイラ、対戦車地雷だ! 走るぞ!」
レイラとは反対側を見ていたスマイラスは、今度はフードをした誰かが対戦車地雷をこれ見よがしに見せつけていた。
ドゴン!
『あ? もう一機、まだ生きていたのか!』
その時、今まで煙を出して沈黙していたガルドメアを乗せたトレーラーのハッチが吹き飛んでは予想通りにガルドメアが飛び出る。
手に内蔵された機関銃を撃ちながらグラスゴーに接近し、これに対してグラスゴーはランドスピナーを展開してそれらを避ける。
『もしかして、こいつか!』
グラスゴーは避けながらアサルトライフルを撃ち返すが、まるでそれを予想していたかのようにガルドメアは少しだけユラユラと、まるでボクサーのように横へ横へと動きながら接近する速度を増す。
『(こいつの動き、なんだ? ふざけてんのか?)』
グラスゴーはアサルトライフルを構えると、かすかにガルドメアの背後にスマイラスたちを乗せた自動車の近くにいたアヤノの後姿がをちらりと画面に映る。
『(ッ! こいつ、ワザとアヤノたちが射線上にいるように動いて────?!)────なめんじゃねぇ!』
グラスゴーは怖気づくどころか、ピッケルを構えて撃ってくるガルドメアに自ら接近しながらランドスピナーを酷使して攻撃を凌ぎながら横に動き、射線上からアヤノたちを離れさせてアサルトライフルを再び撃つ。
「(良し、大詰めだ。)」
ガルドメアの中にいたスバルはコンソールに自動前進のプログラムを打つと、横に置いていた釘付きライフルらしきモノを手に取りながら後方にあるコックピットのハッチを開けてそれを構える。
グラスゴーの攻撃はガルドメアの装甲を次々と削っていき、ダメージでガルドメアが転倒する直前に飛び出ながらライフルに外付けされていたワイヤーを射出してそれがグラスゴーの胸に引っ付くと、電動リールが巻き取っていきライダースーツにヘルメットをしたスバルは急速に接近していく。
『そうか! こいつが噂のスバルって野郎か!』
これを画面越しに見たリョウの笑みは深くなり、グラスゴーは握っていたピッケルを構えてそれを振り下ろす。
無論、距離的にも武装的にもピッケルはスバルに届くどころか対人用の想定はされていない。
『ブッ千切れろ!』
だがリョウもそれは承知の上で、ピッケルはグラスゴーと昴を繋いでいたワイヤーを狙っていた。
カチン────
────グサッ!
だがピッケルが振り下ろされる前にワイヤーは外れ、ピッケルは空振りをして高速道路に刺さり、スバルはさっきまでの勢いを利用し地面をスライドしながらライフルを構えていた。
『(こいつ、
その全く動揺のないまま向かってくる姿にゾクリとした寒気のようなモノがリョウの背中を走り、彼はアサルトライフルの角度を調整して撃つ。
元々戦車や自動車相手に使うアサルトライフルでも弾丸がかすっただけで腕が吹き飛ばされてもおかしくない中、スバルはワイヤーを再度射出する。
『(こいつ、また機体に張り付く気か?!
グラスゴーはスバルのワイヤーを懸念してか横に移動するとワイヤーは逸れたまま通り過ぎる。
またも何かに定着したワイヤーは自動的に引き戻されていき、減速していたスバルは再び急速に動き出す。
彼が移動する方向はグラスゴーとの直線ではなく、わずかに逸れていたが接近していたことでグラスゴーはアサルトライフルを構えるが一直線に動いていたスバルが急に横へと急転換する。
『ん?』
画面でリョウが見たのは、スバルが急に横へ巻き戻されるワイヤーのまま高速道路のガードレールを飛び越えて視界から消える姿だった。
『……は? (アイツ、ポカしちまったのか────ハッ?!)』
一瞬だけリョウは呆気に取られているがあることに気付いたことで動きが止まってしまう。
『(この道は柱で支え上げられて、下は空洞! という事は────!)────マジかよ?!』
グラスゴーは高速道路の反対側を見ると案の定、橋状になっていた高速道路の下を周って最初に横へと避けたグラスゴーのすぐ近くにまで接近していた。
グラスゴーはアサルトライフルを構えるが、今度は横から来る爆発に狙いが定まらないままスバルの接近を許してしまう。
『(こ、こいつ……まさか、アヤノたちが標的を車から出す為に使う対戦車地雷の爆発まで────?!)』
スバルの持っていたライフルが火を吹くとグラスゴーの頭部、右腕、右足を次々と撃ち抜くとグラスゴーは倒れてしまう。
『ま、マジかぁぁぁぁぁ?!』
リョウはただ驚愕にそう叫びながらノイズが走る画面を見る。
何とかなって良かったぁぁぁぁぁぁ!!!
俺は対KMF用ライフルを黄色いグラスゴーのコックピットブロックに向けながらバクバクと脈を打つ心臓を感じてクラクラしそうになる意識を引き留める。
一応言っておくが、今までの動きは完全に予想外だったよ?
何せあのグラスゴー、俺の出したワイヤーを切ろうとしていたし?
そもそも、ワイヤーを取り付けられて『せや、ぶち切ってやろう』なんてすぐに思いつけるわけがないじゃん?
思いつかれた訳だけどさ?
んで今度はワイヤーを打ったら動揺しちゃったからか狙いは外すわ、ショックで固まってそのまま橋から落ちそうになるわ、ターザ〇やスパイダーマ〇が頭を過ぎって何とか道の反対側に戻ってこられたけど(多分)リョウが乗っているグラスゴーがいるわで反射的に撃ってしまうわで、もう完全にてんてこまいだった。
ウッ。 ちょっと緊張が解けたら、今更ながら胃がキリキリと痛み出す。
けど何でリョウたちがここに?
毒島、もしかして説得に間に────
ヒュン!
────うおぉぉぉぉぉぉぉぉ?!
刃が! 今横からキラリと刃が光って俺を切ろうとした?!
なんで?!
反射で避けたけれど何で?!
というか真っ白のお前誰やねん?!
「誰だ?」
“誰やねん”叫びをしたかったのに、俺のこの口下手さが憎いでござる。
あと反射的に拳銃とナイフを出したのは許して?
『敵でも味方でもない。』
なんでじゃい?!
いやいやいや、声も体型も誤魔化しているけどさっきの切り方と気配の消し方は毒島だろお前?
え? どういうことなのこ
久しぶりに前半と後半で視点が第三者とスバルに変わる話でした。 (´・ω・`;)