以前パチュリーにプレゼントとしたオルゴールが壊れてしまったらしい。それを聞いた魔理沙は急遽、本を借りる(?)ついでにパチュリーの寝室に潜入! オルゴールを回収(?)し翌日にとりの工房を訪れ修理を依頼するのであった……

1 / 1
本作はほのぼの(?)系の小話です。ハートフル全開を意識して書き上げました。以下の点にご注意ください。

①チルノ&大ちゃんのアトリエとは別の世界線のため、似通った設定はあるものの関係は無し。
②一部のシーンにて過激的なキャラ崩壊があります。
③少しイチャコラが多いと思いました(個人的な感想)

大前提ではございますが二次創作を許容出来る方にのみ閲覧をお勧めします。耐性の無い方は非常に危険だと思われますのでご注意くださいませ。



今回のお話に登場するキャラクター↓

霧雨魔理沙
パチュリー・ノーレッジ
十六夜咲夜
小悪魔
河城にとり
物部布都

※キャラクターの解説、説明はございません。


魔法使いとオルゴール

にとり

「はぁ? んなこと言われてもなー」

 

魔理沙

「頼むっ! この通りだ!」

 

魔理沙は手を合わせ

 

拝むような仕草で頼み込んでいる。

 

にとりの掌には小さな白い箱が乗っていた。

 

にとり

「ったくしゃーない……そのままだと

 足掻きが取れないってんでしょ?」

 

魔理沙

「おっしゃ! 恩に着るぜ!」

 

魔理沙がその場を後にしようとした瞬間、

 

にとりは懐からリモコンを取り出して

 

ボタンを押す。

 

魔理沙

「ぬぉお!?」

 

すると部屋の隅の床が突然開き、

 

白い手型の機械が魔理沙を捕らえる。

 

にとり

「今日こそは! お・だ・い!

 いただくからね。」

 

魔理沙

「悪ィなにとり。

 今日は持ち合わせが無くてなぁ。」

 

にとり

「ほんと毎度毎度よくもまぁ

 眉一つ動かさずに言えるもんだね。

 でも残念。今日という今日は……」

 

魔理沙

「なーんてな……隙アリ!」

 

魔理沙が腰を揺らすと

 

彼女のスカートから緑色の液体で

 

満たされた容器が床に落ちる。

 

硝子の容器は碎け散り中から

 

飛び出た液体は瞬時に気化し、

 

部屋全体を包み込んだ。

 

にとり

「ひょえ!?」

 

視界が緑一色となってしまい

 

にとりが慌てているのも束の間、

 

魔理沙は素早く外に繋がる窓から脱出する。

 

にとり

「……チッ……ツケとくからなー!!」

 

魔理沙を捕まえるのを諦めた様子で

 

にとりは聞こえるように大声で叫ぶ。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

パチュリー

「んぅ……んん~はぁ……」

 

自室で大きく伸びをしたパチュリーは

 

姿見の前で身なりを整える。

 

パチュリー

「あれ……」

 

目を丸くして視線を右側に向ける。

 

床から天井までのちょうど半分ほどの

 

高さを持つ棚の上には

 

ランプ、写真、芳香剤、花瓶。

 

一つだけ足りないものがある。

 

パチュリー

「オルゴール……どこに?」

 

 

 

魔理沙からある日突然プレゼントされた

 

思い出の品だ。

 

いつもこの棚の上に飾っている。

 

毎日埃を取るので無くなっていれば気づく。

 

 

 

昨日、寝る前にはあった。

 

つまり寝ている間に無くなったと推測する。

 

パチュリー

(まさか……魔理沙が盗んで……?

 でも自分でくれたものをわざわざ

 こんなところに忍び込んで盗む?)

 

 

 

支度が終わり、朝食のため食堂に出向くと

 

そこには咲夜が忙しそうに動いていたが

 

パチュリーを視認すると立ち止まり礼をする。

 

咲夜

「パチュリー様、おはようございます。」

 

パチュリー

「おはよう、ねぇ咲夜。紅魔館の中で

 オルゴールが落ちてたりしなかった?」

 

咲夜

「いえ、見ていませんが……

 よろしければ確認して参ります。」

 

パチュリー

「あぁいいの、ありがとう。」

 

 

 

後で小悪魔と図書館内を見れば良い。

 

そう考えパチュリーは席に着く。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

パチュリー

(で、まぁ探してみたけど

 全然出てこないわね。)

 

パチュリーは眼鏡を掛け小悪魔や

 

何匹か召喚した魔物と

 

共にオルゴールを探すも

 

結局出てくることは無かった。

 

パチュリー

(困ったわね…

 いくら壊れてしまったとはいえ、

 魔理沙がくれたものだから

 大事にしていたのに無くしたなんて……)

 

パチュリーはあまり自ら掃除をする質では

 

無いのだが最低限オルゴールと

 

それを置いている棚上は毎日欠かさず

 

毛ばたきで綺麗にしていた。

 

パチュリー

(今でも鮮明に思い出せるわ……)

 

 

 

 

 

ある日の紅魔館の一室にて。

 

 

 

椅子に向かい合って座る二人。

 

魔理沙

「でさ、そんときの霊夢の顔ときたら

 マジで面白くてさー

 真っ赤にしながら口をきゅってしててよ。」

 

パチュリー

「ふふ……珍しいわね。」

 

魔理沙

「そうなんだよ。あいつが

 あんな顔してんのなんて

 片手で数えるくらいしかねーぜ。」

 

いつもは図書館の方で本を勝手に

 

持って行ってしまう魔理沙を注意するところから

 

会話が始まるのだが、その日は魔理沙から

 

わざわざ部屋を指定してきた。

 

 

 

魔理沙

「あ、そうだ。

 珍しいもんが手に入ったからさ。

 見て欲しいんだよなー」

 

なにやらそわそわしつつも

 

魔理沙は小さな白い箱からオルゴールを

 

取り出して机の上に置く。

 

パチュリー

「あら、オルゴール?」

 

魔理沙

「つってもただのオルゴールじゃない。

 一曲だけじゃなくて三曲も聴けるんだ。」

 

パチュリー

「へぇ……中々面白いじゃない。」

 

魔理沙

「だろ? ちょいと聴いてみてくれ。」

 

魔理沙がネジを回して再び机に置く。

 

するとどこか切ないメロディが流れる。

 

二人はただ黙って曲を聴いた。

 

曲の終わるとカチッという音が聞こえ、

 

しばらくの沈黙の後、先ほどとは

 

全く違う明るいメロディが流れる。

 

そして二つ目の曲が終わると

 

再び音が鳴り、一曲目の切なさと

 

二曲目の明るさを合わせたような

 

メロディが部屋に響く。

 

パチュリーは音に耳を傾けながらも

 

魔理沙に視線を向ける。

 

彼女もオルゴールが奏でる音に

 

ただ静かに耳を傾けており、

 

その横顔は普段の振る舞いからは

 

想像も出来ないもので

 

パチュリーは少し驚きつつも

 

曲が終わるまで

 

魔理沙の顔を見続けていた。

 

 

 

パチュリー

「とても素敵だわ。」

 

魔理沙

「おおそうか!

 いや~持ってきて正解だったぜ。」

 

パチュリー

「もしかしてこれを聴かせるために

 この部屋にしたの?」

 

魔理沙

「まぁな~せっかくだし

 二人でじっくり聴こうと思ってさ。」

 

パチュリー

「……あなたがこんなものを

 引っ提げて来るなんてね。」

 

魔理沙

「なんだかんだ世話にはなってるからな。

 これ、おまえにやるよ。」

 

パチュリー

「え……良いの?」

 

魔理沙

「おう! それに私が持ってても

 似合わないだろ?」

 

パチュリー

「そ、そう……?

 そんなことないと思うけど……」

 

魔理沙

「じゃあそういうことで

 悪ィな付き合わせちまって

 また本借りに来るからなー」

 

 

 

魔理沙が空の彼方へと飛んでいくのを

 

パチュリーはオルゴールを抱えて見送る。

 

 

 

パチュリー

(ありがとう……大事にする。)

 

 

 

 

 

 

オルゴールを探しているパチュリーのもとへ

 

魔理沙がやってきた。

 

魔理沙

「さってっと……あ?

 何してんだパチュリー。」

 

パチュリー

「あ、魔理沙。

 ちょっと探し物よ。」

 

魔理沙

「ん? お、おう……そうか。」

 

パチュリー

(何か様子がおかしい……)

 

魔理沙の態度に疑問を抱いたパチュリーは

 

彼女に詰め寄る。

 

パチュリー

「ねぇ魔理沙? まさか昨日の夜、

 ここに忍び込んだりしてないわよね?」

 

魔理沙

「は、はぁ!?

 なわけないだろ!?

 いきなり何言ってんだよ。」

 

パチュリー

「だってあなたいつも

 本を盗んでいくじゃない。

 疑われて当然でしょ?」

 

魔理沙

「だーかーらー借りてるだけだっての。

 盗んでるわけじゃないって!」

 

パチュリー

「ならせめて正式に許可を取って

 借りていって欲しいものね。

 背に隠している本も含めて。」

 

魔理沙

(げ……バレてたか!?)

 

パチュリー

「本当に懲りないわね。

 これ……って待ちなさい!」

 

パチュリーが言い終わる前に魔理沙は

 

箒に乗って浮遊する。

 

魔理沙

「じゃ、じゃあな!

 今日もしっかり借りてくぜ!」

 

パチュリー

「コラー!」

 

パチュリーが声を上げるも魔理沙は

 

構わず出ていってしまう。

 

パチュリー

「はぁ……困ったものね……」

 

一つ大きな溜息を吐き、

 

オルゴールの捜索に戻る。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

にとり

「困ったもんだよねぇ毎度毎度。

 ボランティア団体じゃねーっての。」

 

工具と機械が散乱する部屋で

 

にとりは作業着を着込み、

 

椅子に座りながら作業台に向かっている。

 

その向かいには布都が居り、

 

台の上に両肘を置き

 

組んだ手の甲に顎を乗せている。

 

 

 

布都

「そう言いつつも依頼された品を

 ガチガチの作業服姿で修理しとるなお主。」

 

にとり

「む……だいたいふとちゃんは

 いつになったら要件を言うのかな?

 何の用も無くこんなとこ来ないでしょ。」

 

布都

「ふとちゃん言うなし。

 少し暇を頂戴したからのう。

 お主の顔を見に来ただけじゃ。」

 

にとり

「あっそ。」

 

にとりは布都から視線を外して

 

作業に戻るも数秒後に手を止めて視線を戻す。

 

にとり

「もう一回どうぞ。」

 

布都

「お主の顔を見に来ただけじゃ。」

 

にとり

「いやいや頭でも打った?

 それともこれ幻覚かな。

 最近寝不足だったからなー」

 

布都

「我を幻覚扱いとは

 随分と手前勝手じゃのう。

 押し入った身としては言えぬが。」

 

にとり

「見るのは別にいいけど

 面白いもんでも無いでしょうに。」

 

布都

「あとはあれじゃの。

 布教の一環じゃな。」

 

にとり

「またその話かぁ~

 ぶっちゃけ宗教興味無いって。

 確かに柔軟な発想は大事だけど

 機械相手の私にゃあんましねぇ?」

 

布都

「お主の言い分も理解出来るが

 何事も経験じゃなかろうか。

 閃きが生まれるやもしれんし。」

 

にとりはやれやれといった調子で溜息をつく。

 

にとり

「……はぁわかりました。

 今度時間あったらね。」

 

布都

「お主……いつもそう言って

 逃げるではないか。」

 

布都は少し悲し気な表情を見せる。

 

にとり

「に、逃げてるわけじゃないって。」

 

布都

「我には太子様のように

 魅力が無いのかのう……

 太子様ならばイチコロなんじゃが。」

 

突然にとりが作業を止め、立ち上がった。

 

にとり

「そんなこと……! 無い……です。」

 

布都

「なんじゃお主いきなり立ち上がって。

 しかも急に敬語とは我困惑じゃし。」

 

にとり

「いや何かアレだ乳酸が溜まった。」

 

布都

「そうか溜まっておったか

 ならば仕方ないのう。」

 

にとり

「その、良かったらお茶出すけど。

 妖怪が淹れたものがイヤじゃなければ。」

 

布都

「いただこうではないか。

 何、今さら気にするな。

 もしそうならばお主を訪ねたりせんわ。」

 

にとり

「……そうだよね。」

 

 

 

 

 

 

布都

「ぷは~♪

 どうじゃ? 直せそうかのう?」

 

にとり

「なぁに、河童の技術力を

 舐めちゃいかんよ。少しばかり

 改良を加えたくなってるけどね。」

 

布都

「おぬし……これが依頼主の

 魔法使いにとって唯一無二の

 大事な品かもしれなんだ。

 どういう了見じゃて。」

 

にとり

「あはは……冗談だよ。

 まぁ魔理沙自身はあの性格だから

 仮にそうなっても気を揉むことも無いさ。

 問題になるのはこれが

 魔理沙のものじゃない場合。」

 

布都

「誰かへの贈り物とな?」

 

にとり

「どうだかねぇ。私からしたら

 魔理沙自身の所有物って

 雰囲気ではなかったかなぁ。

 もしそうだとしたら私はこの椅子から

 笑い転げてしまうよ。」

 

布都

「やつのことはあまり知らんが

 おぬし質が悪いな?」

 

にとり

「ごめんごめん。

 いつも金の為に猫被ってるもんで。」

 

布都

「我にそんな話をして良いのかのー

 里の者達におぬしの本性を

 言いふらしてしまうかもしれんぞ?」

 

にとり

「……なんでだろうね。

 ふとちゃんなら良いかなって思った。」

 

布都

「ひょうきんなやつじゃのー

 悪賢いか心根がいいかはっきりせんわ。」

 

にとり

「半端者ってよく言われるよ。」

 

 

 

 

 

約一時間後。

 

魔理沙

「おーいにとり~

 取りに来たって……なんだ?

 布団まで居るとは。」

 

布都

「誰が布団じゃ!

 我はこやつの顔を見に来ただけじゃ。」

 

にとり

(わりかし恥ずかしいんだけどなぁ……)

 

魔理沙

「あ……? うん?」

 

にとり

「ん、そこに置いてあるから

 勝手に持ってって。」

 

魔理沙

「おうそれじゃ遠慮なく。

 なんだ? さっきまで請求してたのに。」

 

にとり

「今回の分は貰ったからいいよ。

 早く持ってってあげな。

 魔理沙のものじゃないんでしょ?」

 

魔理沙

「……サンキューな。」

 

魔理沙は帽子を深く被り部屋を後にする。

 

布都

「さっき愚痴を

 こぼしておったじゃろうに。

 お代はどうする? 損じゃろ。」

 

にとり

「いいよ、私にとって

 金より手に入れるのが難しいものが

 あれのおかげで舞い込んで来たからさ……」

 

布都

「ふ~むそうかそれは良かったのう。」

 

にとり

「……うん。」

 

布都

「ぬぁ! 魔法使いのものか

 贈り物か聞くの忘れたではないか!」

 

にとり

「あはは……いやでも魔理沙のじゃないって

 言ったら否定はしなかったし……

 まぁまた今度聞いておくよ。」

 

布都

「では次来たときにちゃんと我に

 教えるのじゃぞ! 気になって仕方がない。」

 

にとり

(また来るつもりなんだ……)

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

紅魔館へ箒に乗って飛行中、

 

オルゴールを試しに聴いてみる。

 

魔理沙

「流石にとりだぜ。

 バッチリ直ってやがる。」

 

オルゴールは完璧に修理された。

 

魔理沙

(さて…どうしたもんかねぇ。

 下手したら前より

 警戒されてるかもしれねーなぁ。)

 

あとはパチュリーの部屋に忍び込み

 

棚上の元の位置にオルゴールを

 

戻すだけなのだが大切にしているモノを

 

盗まれたパチュリーは恐らく守りを

 

厳重にしている可能性がある。

 

魔理沙

(まぁそれはそれで面白そうなんだが

 私は泥棒ではないからなぁ。)

 

向かいからメイドが飛んでくる。

 

咲夜

「あら、魔理沙。」

 

魔理沙

「おう! 咲夜じゃねえか奇遇だな。」

 

咲夜

「ええ、そのオルゴールって……」

 

魔理沙

「あ? ああこいつはパチュリーのでな。」

 

咲夜

「魔理沙……まさかあなた……」

 

咲夜がナイフに手を伸ばしているのを見て

 

魔理沙は慌てて手をバタバタさせる。

 

魔理沙

「待て待て待て待て!!

 一旦話を聞いてくれよ!」

 

 

 

 

 

少女説明中・・・

 

 

 

 

咲夜

「いやあなた自信たっぷりな顔してるけど

 とどのつまり窃盗じゃない。」

 

魔理沙

「人聞き悪いこと言うんじゃない。

 この通りオルゴールは直ったんだし

 後はパチュリーに返せばいいわけだ。」

 

咲夜

「であなた、パチュリー様に

 気づかれないようにこっそり忍び込んで

 戻そうとしてるんでしょう?」

 

魔理沙

「おう、怒られそうだからな。」

 

咲夜

「ええそうでしょうね。

 あなたが黙って戻したら。」

 

咲夜は腕を組んで魔理沙に

 

軽蔑の眼差しを送る。

 

魔理沙

「なんだよ。」

 

咲夜

「パチュリー様、今朝

 酷く落ち込んでいたわよ。

 何ならまだ図書館内で必死になって

 無い物探してるんじゃないかしら。」

 

魔理沙

「……」

 

咲夜

「そのオルゴールはパチュリー様にとって

 『魔理沙から貰った宝物』のはず。

 毎日手入れをしているんだもの。」

 

魔理沙

「私はただ……!」

 

咲夜

「あなたのやることにいちいち口出しする

 つもりなんて無いわ。私は忙しいから。

 でも我が紅魔館の家族を

 悲しませるようなことをしたら

 その時は容赦しないわよ。」

 

咲夜はそう吐き捨てると

 

魔理沙が来た方角へと飛び去ってしまう。

 

魔理沙

「……ちくしょう。

 言うだけ言ってズラかりやがって……

 これじゃ私が悪者みてぇじゃないかよ。」

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

パチュリー

(はぁ……これだけ探しても

 無いってことは館内には無いわね。)

 

パチュリーは途方に暮れていた。

 

探知魔法を利用し図書館内の

 

隅から隅まで念入りに探したが

 

オルゴールは出てこない。

 

パチュリー

「魔理沙……私……」

 

手で服をきゅっと掴む。

 

瞳には潤んだ底光りが宿る。

 

 

 

その時、入口の扉が勢いよく開いた。

 

パチュリーはハッとして

 

視線をそちらへ向ける。

 

 

 

魔理沙

「よう、さっきぶりだなパチュリー。」

 

パチュリー

「魔理沙……戻ってきたの?」

 

魔理沙

「おう、用事を思い出してな。」

 

パチュリー

「本ならこれ以上盗ませないわよ。」

 

魔理沙

「本は借りねぇ。」

 

魔理沙はパチュリーの目の前まで

 

歩みを進め、立ち止まる。

 

パチュリー

「じゃあ何しに来たの?

 私、忙しいのだけれど。」

 

魔理沙

「その……なんだ……」

 

 

 

魔理沙

(外で拾ったって言うのもな……)

 

魔理沙が言い淀んでいると

 

パチュリーが先に口を開いた。

 

 

 

パチュリー

「魔理沙、ごめんなさい。

 私あなたに貰ったオルゴール

 失くしてしまったの。」

 

魔理沙

「……!」

 

パチュリー

「私……大事にしてたの。

 絶対に失くさないように

 寝室の見えるところに置いて

 毎日確認も怠っていなかったの。

 でもなくなっちゃった……」

 

魔理沙は涙ながらに訴える

 

パチュリーの姿を見て酷く動揺する。

 

魔理沙

「パチュリー、落ち着いて

 聞いて欲しいんだ。」

 

パチュリー

「ふえ?」

 

魔理沙

「オルゴールは私が盗んだんだ。」

 

魔理沙の言葉でパチュリーは

 

頭の中がこんがらがってしまう。

 

パチュリー

「え、盗……魔理沙が……え?」

 

魔理沙

「パチュリーの部屋に忍び込んで

 オルゴールを持ってっちまったのは

 私なんだ。悪ぃ……」

 

パチュリー

「どうして……そんなことを?」

 

魔理沙

「お前、この前私にオルゴールが

 壊れたって話をしてたよな。

 その時の酷く落ち込んだ

 お前を見て何とかしなきゃって

 思ったんだ。それで私は

 パチュリーに断りもせずに

 勝手にオルゴールを持ち出して

 こっそり修理してもらって

 挙句にはお前が気づかないように

 また忍び込んで戻そうとしてたんだ。

 その方が良いと思ってたんだ。」

 

パチュリー

「魔理沙……」

 

魔理沙

「でも今のパチュリーの顔を見て

 私は理解したぜ。私のやったことは

 間違いだったんだって。

 だから……悪かった……パチュリー。」

 

魔理沙の謝罪から二人の間に

 

数分の沈黙が流れた。

 

 

 

涙を頬に伝えながら

 

魔理沙を見つめるパチュリーと

 

どんなに気まずかろうとパチュリーから

 

目を逸らす事だけはしない魔理沙。

 

 

 

そしてパチュリーはついに口を開く。

 

 

 

パチュリー

「どぼじで言っでぐれだがっだの~!!

 も、も……むぉおおおおう~!」

 

魔理沙

「ぱ、パチュリー!?

 いきなりどうした!?

 あいや悪かったって!

 私が言わなかったから

 ショックだったよな!

 許して欲しいぜ……」

 

慌ててオルゴールの入った白い箱を

 

懐から取り出す魔理沙。

 

しかしパチュリーは……

 

パチュリー

「むぅううう! もぉ~! もぉお~!!」

 

魔理沙

「あああああパチュリーだめだ

 それ以上はお前のアイデンティティが!

 ああ! 作画が! 作画が大変なことに!」

 

小悪魔

「あら魔理沙さん大丈夫ですかぁ~?」

 

魔理沙

「こあか! やべぇんだ!

 パチュリーがなんかこう……

 なんかやべぇんだ!」

 

小悪魔

「語彙力が遠足してますけど

 とりあえず落ち着いてくださぁ~い

 パチュリー様は今、怒りと嬉しさと

 理解出来ない感情がごっちゃに

 かき混ぜられたシチュー状態なので

 作画が崩壊しちゃってるんですよ~

 魔理沙さんに会った日の夜とか

 いつもこんな感じなので大丈夫です~」

 

魔理沙

「え、そうなの? というか身長も

 ちっちゃくなっちゃったぞ

 新手の魔法か? 本当に大丈夫なのか?」

 

パチュリー?

「むっきゅむっきゅ! きゅ~!」

 

小悪魔

「罪深いですねぇ魔理沙さん。

 まぁ安心していただいて。

 明日には元に戻ってますよ。

 魔理沙さんの前で

 ファイナルむっきゅんモードに

 なっちゃったことを思い出して

 振り返しそうですけどねぇ。」

 

魔理沙

「ファイナルむっきゅんモード

 ってなんだよ初耳だよ……

 だめじゃねぇかどうすんだこれ

 というか私が居たらだめってことか

 こあ面倒看といてくれるか?」

 

小悪魔

「え、逃げるんですか?

 いいんですか? こんな状態で

 パチュリー様をほっぽって。

 そのまま寝室に連れてって

 おっぱっぱーでしょJK?」

 

魔理沙

「何トチ狂ってんだお前

 そんなキャラだったか?」

 

小悪魔

「こあは前からこうです~

 綺麗な小悪魔は別の個体ですよぉ~」

 

魔理沙

「お前何人居るんだよ…

 おいパチュリーしっかりしろ。」

 

パチュリー?

「むきゅきゅ! むぅうきゅいい!!」

 

魔理沙

「あだめだこりゃ。

 私の解決力を優に越えてやがる。」

 

小悪魔

「あ、アドバイスです~♡

 キスすれば治りますよ~♪」

 

魔理沙

「は、はぁあ!?

 何言ってんだおまえ!?」

 

小悪魔

「本当です~

 それしか方法はありません。」

 

魔理沙

「急に真顔で説得力上げやがって。

 じゃ、じゃあ額にちょっとだけ…」

 

魔理沙は小さく(?)なったパチュリーの

 

前髪を手で押し上げて

 

そっと額に唇を当てる。

 

魔理沙

「こ、これでいいよな!?

 口の方じゃないといけないとか

 そんなルールねーよな!!」

 

小悪魔

「大丈夫ですよぉ~

 ほら、気になるなら

 見て見てください♡」

 

魔理沙

「あ、本当だ。戻ってる……」

 

パチュリー

「………」

 

魔理沙

「ん? パチュリー? おーい?」

 

小悪魔

「あーあ。

 魔理沙さんが接吻なんてしたから

 パチュリー様石化しちゃいましたよ。」

 

魔理沙

「お前がやれって言ったんだろーが!

 あああああパチュリーが

 線画みたいになっちまった!

 パチュリー気を確かに持て!

 編集者仕事しやがれぇえ!!」

 

小悪魔

(これは新しい玩具ね~♡)

 

 

オルゴールは無事に

 

パチュリーの寝室に戻ったが

 

彼女の意識は三日三晚

 

戻ることはなかったという……




お疲れ様です。Almaです。Twitterでは通知致しましたがチルノ&大ちゃんのアトリエ ~目覚めし幻想の錬金術士~ は前編までで打ち切り(無期限休載)とさせていただきました。詳しくはTwitterの固定ツイートを参照していただけますと幸いです。

今回は練習も兼ねて新たに小話をちょいちょい出していく企画の一作目となります。至らぬ点ばかりだとは思いますが今までの文章とはまた違ったアプローチを取り入れている実験的な作品なので皆様からの感想や見解、アドバイス等をドシドシ叩きつけ、喜びパワーで我が家の電子レンジを爆発してくれると踊り狂いますのでどうかよろしくお願い致します。もちろん誤字脱字、表現の誤りも指摘してくださいますと助かります。直ちに修正致しますのでご協力をお願い致します。

それでは皆様、ここまで読み進めていただきありがとうございます。今後ともよろしくお願い致します。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。