天守前の相対戦の様子を蓬莱山輝夜は天守から筒井順慶と共に見ていた。
二回戦は永琳が敵を追い詰めたが時間切れとなり、引き分けになった。
「あら、惜しい」
そう言うと順慶も頷く。
「だが敵もやるな。最初の一人は永琳の手の内を探ることに専念し、二人目で“思兼”の正体を見破った。
そして残るは“思兼”に対抗できる剣を持つ少女と、天照大神」
特に最後の天照大神が厄介だ。
慈母の力ならば永琳の術式を突破できるだろう。
「永琳は天照大神に勝てるか?」
そう隣の輝夜に聞くと彼女は暫く「そうねー」と悩み
「永琳は今筒井城を隠す術式に自分の内燃排気を半分使ってるから厳しいかもね。でもあのわんこだけど……」
そこで彼女が黙ったので「どうした?」と聞く。
「どうも力が弱っているような……。そんな気がするのよ」
力が弱っているか……。
異界の者たちが力に制限を受けている事は知っている。
どうやらそれは天照大神も例外ではないらしい。
天守前を映している表示枠を見れば敵は作戦会議を行っているらしく円陣を組んでいた。
そして青髪の少女が前に出る。
「ふむ? もう次が始まるのか?」
そう言うと輝夜が横目で此方を見た。
「順慶さん、そこ、動かないでね」
「何故……?」と言う前に正面の壁が爆発した。
吹き飛ばされた柱や木片が迫ってくるが眼前でそれらは燃え尽きる。
薄い布が広がっていた。
赤く輝くそれは木片を受け止めると燃やし尽くして行く。
━━火鼠の皮衣か……。
かぐや姫が五人の公達に出した難題の一つだ。
実際に見るのは初めてだがなんとも美しい。
そう思っていると壁に開いた穴から一人の少女が舞い降りてきた。
彼女は背中に生やした炎の翼をしまうと、乱れたその白い髪を整える。
「相変わらずがさつで品が無いわねぇー」
そう輝夜が言うと少女は「ふん」と鼻を鳴らす。
「あんたも相変わらず引きこもってるみたいね」
彼女は周囲を見渡すと此方を見た。
「えーと、筒井順慶さんかしら?」
「ああ、そうだが?」
「ここに障壁の制御装置があると聞いていたんだけど……どこ?」
天守には機材らしいものは無くせいぜい花瓶があるぐらいだ。
まあさっきの衝撃で割れてしまったが。
少女は暫くあたりを見渡していると輝夜の方を見る。
いや彼女ではなく彼女が首から提げている懐中時計のような物を見たのだ。
「……もしかして、それ?」
「ええ、永琳が作ったものだけど最近は小型化させるのが主流みたいね」
そう輝夜が認めると立ち上がる。
それに合せ少女が一歩前に出る。
「それ寄こしなさいよ」
輝夜が一歩前に出る。
「嫌よ。それに貴女みたいなもんぺ女に似合わないわ」
少女が一歩。
「はん! 身形が綺麗なら何でも似合うって? 一人じゃ何もできないくせに」
輝夜が一歩。
「あら? 貴女も同じじゃないの? 私がいないと寂しくて死んじゃうくせに。あ、死ねないんだったわね!」
お互いに目と鼻の先まで近づくと胸ぐらをつかみ合った。
そして互いに額を押し付け合い睨む。
「死にたくなるくらい殺してあげようかしら!」
「上等! 体を磨り潰して畑の肥料にしてあげるわ!」
今にも殴りあいそうな二人に向かって「おーい」と声をかけると同時に此方を見た。
「何!?」
「五月蝿いわよ!!」
思わず下がりそうになるが外を指差す。
「やるなら外な」
そう言うと二人は顔を見合わせ駆け出した。
そして天守に開いた穴から飛び出すのであった。
それを暫く唖然と見,ため息をつく。
「…………相対戦の続きでも見るか」
***
━━姫様!?
穴の開いた天守から主である蓬莱山輝夜と藤原妹紅が飛び出すのを見た八意永琳は戦いが始まってから初めて焦りを感じた。
術式の管理は輝夜が行っている。
その彼女に何かがあれば城を覆う障壁が解除されるのだ。
そのため輝夜にはできるだけ戦わないように言っておいたのだが……。
相手が藤原妹紅となれば輝夜が動かないわけが無い。
彼女にとって藤原妹紅との戦いは掛け替えの無い楽しみなのだ。
敵は最初からこれを狙っていたのだ。
此方の注意を相対戦を行う事で引き付け、その間に妹紅が天守を強襲。
そして相対戦に持ち込んだのだ。
━━やってくれたわね……!
此方のミスだ。
直ぐにでも加勢しなければ……。
そう思い敵を睨みつけた。
***
比那名居天子は天守から二人の少女が飛び出すのを見た。
一人は背に炎の翼を生やした藤原妹紅でもう一人は蓬莱山輝夜だ。
両者は暫くにらみ合っていると交戦を開始した。
「……卑怯よ」
そう言ったのは主の方を見ていた永琳だ。
彼女は眉を吊り上げながら此方を睨む。
「あら? 何も卑怯な事は無いわ。私たちの相対戦を邪魔したわけじゃないわ。ただ別の相対戦が始まっただけよ」
・金マル:『ナイちゃん思うんだけど、結構汚いよねーナイナイ』
・礼賛者:『やってることギリギリですからねぇ』
・立花嫁:『見事な不意打ちですね』
あ、あれ? 何か不評?
とりあえず表示枠を割り、敵の方に緋想の剣を向ける。
「で、どうするのかしら? まだ相対戦は残っているわ」
これで敵が相対戦を放棄すれば相対戦は無効となり、最初の条件は無くなる。
八意永琳を倒せなくても時間を稼ぎその間に藤原妹紅が蓬莱山輝夜を倒すか障壁発生装置を破壊し、総攻撃を仕掛けれるのだ。
さあ、どう動く!?
そう構えると永琳は一歩前に出た。
「相対戦のルール変更を求めるわ!」
すると表示枠が映り本多・正純が映った。
『聞こう』
「相対戦を次で最終戦し、残り二人と戦う!」
そう来たか!
敵は速攻戦を望んで来た。
アマテラスと私。
二人同時なら勝率は遥かに上がるが……。
「正純」
『分かっている。ならば此方もルールの変更を要求する。変更内容は相対戦制限時間の撤廃だ。次の相対戦はどちらかが倒れるまで続ける!』
正純が『出来るか?』と此方に聞いてきたので自分の胸を叩いた。
「任せなさい!」
敵は暫く思案すると空で行われている戦いを見、そして此方を見た。
「構わないわ」
アマテラスが此方の横に立つ。
アマテラスは一度此方に吠えると体を伸ばし、永琳に対して唸る。
その様子を正純は見ると手を掲げた。
『では最終戦。八意永琳対比那名居天子・アマテラスの相対戦を始める! 両者構え!!』
武器を構える。
正純の手が振り下ろされた。
『両者、始め!!』
***
まず動いたのは永琳だ。
今までの彼女は敵の動きを見てから反撃に徹していたが先制攻撃を仕掛けてきた。
一直線に伸びてくる障壁の腕をアマテラスと天子は左右に避けると地面が砕ける。
そこへ弾幕攻撃が放たれた。
アマテラスが吠えると周囲の地面が盛り上がり、壁となる。
弾幕はそれを砕き続けるが砕かれるよりも早く次の岩の壁が作られる。
その間に緋想の剣を地面に突き刺すと小さな要石を四つ召喚した。
「守りの要!!」
眼前、岩の壁が障壁の腕によって叩き崩され大きな穴が出来上がる。
「アマテラス! 砂を巻き上げて!!」
竜巻が起き、周囲の砂を巻き上げるとあっと言う間に周辺は砂煙で覆われた。
それと同時に開いた穴から飛び出す。
敵の攻撃は視覚に頼ったもの、視覚を奪えば弾幕攻撃や腕による攻撃の命中率は大幅に下がる。
なにより……。
「来た! 右側!」
砂煙を押しのけながら腕が来る。
透明であったそれは砂を押しのけるためその姿がはっきりと見える。
直ぐに緋想の剣を地面に刺すと大地を盛り上げさせそこに昇る。
そして迫ってくる腕を足場からの跳躍で避けた。
着地すると同時に敵の方から何かが飛来してきた。
「矢!?」
矢は一直線に此方に向かってきており、それを横に転がって避けると追尾して来た。
「追尾矢!?」
矢を避けれない!
そう思った瞬間、アマテラスが間に入った。
アマテラスは背中に鏡を召喚すると矢を受け止め、弾いた。
「危なかったなァ!」
イッスンの言葉に頷くと三人は顔を見合わせ駆け出す。
アマテラス達が敵の右側へ、自分が左側に回りこみ挟撃を掛ける。
まず敵に飛び掛ったのはアマテラスだ。
アマテラスは体を矢のようにし駆けるがそれを迎撃するため障壁の腕が正面から来る。
それを左に跳躍し避けるとミトツダイラの時と同様に幾つもの小さな腕が伸びてきた。
「任せなァ! 喰らえ! オイラの一閃!!」
イッスンが筆を横に薙ぎ、小さな腕が切り落とされてゆく。
その間にアマテラスは背中に勾玉を召喚し射撃を始めた。
永琳はそれを回避するために後ろへ跳躍するがそこへ天子が飛び込んだ。
「!!」
永琳は左手で緋想の剣を受け止めるが緋想の剣が左手の障壁に食い込んでゆく。
「このまま断ち切りなさい! 緋想の剣!!」
━━あと少し!
足に力を入れ踏み込む。
此方の刃が敵に触れそうになった瞬間、横から衝撃を受けた。
周囲に浮いていた小さな要石が攻撃を受け止め砕けるが衝撃を抑えきることは出来なかった。
━━なに!?
吹き飛ばされ地面を転がる。
状況を把握するために直ぐに立ち上がるとそこには砂煙を被る巨大な透明な腕があった。
「言った筈よ、この術式は攻防一体だって」
左手を掲げると左側の障壁の腕が立ち上がる。
「左手側の障壁を防御から攻撃に使ったのね!?」
「そうだ」と言うように腕が振り下ろされる。
そして障壁の腕は大地を砕いた。
***
筒井城の上空で不死鳥と月の姫が争っていた。
不死鳥が翼から炎弾を放つと輝夜は火鼠の皮衣を展開し、防ぐ。
「ふふ、貴女程度の火力じゃこの衣を抜けないわよ?」
余裕の笑みを浮かべる彼女に対して妹紅は舌打ちし不死鳥の口から大きな炎弾を放つ。
輝夜は再びそれを皮衣で受け止めようとするが炎弾は眼前で爆発し、熱波と爆風が襲い掛かる。
爆発に包まれる敵を警戒していると突如上方から無数の流体の槍が降り注いだ。
直ぐに回避を行うが一発が炎の鎧を貫通し、右太腿を掠り裂いた。
「相変わらずいやな能力ね!!」
自分の上方には先ほど爆発を受けたはずの輝夜がおり、傷一つ負っていない彼女の手には玉串が握られていた。
「私の能力は『永遠と須臾を操る程度の能力』。私の前ではあらゆる時間の概念は意味をなさない」
敵が消え、目の前に現れる。
そして玉串を振ると再び幾つもの流体の槍が放たれた。
━━本当に厄介ね……!
時間操作の能力。
戦いにおいてはかなり上位の能力だ。
此方の攻撃は全て避けられるし、敵は瞬間移動や奇襲をいくらでも仕掛けられる。
槍の内の一本が突如加速した。
突然の事に反応が遅れ、右肩の付け根を断たれた。
激痛と共に血が噴出し、墜落するが何とか意識を保ち天守の裏に隠れた。
「一本だけ時間を加速させてみたの!」
反対側から叫ぶ敵に対し「わざわざ有難う! ついでに死んどけ!!」と叫ぶと腕の緊急再生を行う。
再生されて行く腕を見ながら対策を練る。
敵の能力は強力で敵がアレを使える限り此方の勝ち目は薄い。
だが時間操作ともなればかなりの内燃排気を使うはずだ。
つまり連続しての使用は出来ない筈。
地上の戦況が芳しくない以上、自分がここで勝たなくては。
まずは出来るだけ敵に攻撃をさせ、内燃排気の消費をさせる。
そう決め、再び炎の翼を生やした。
再生した右腕を動かし確かめる。
そして天守の影から出ようとした瞬間、眼前に輝夜が現れる。
「はーい、今晩は」
手に持っていた鉢をスイングし叩きつけてくる。
咄嗟に腕で防御するが鉢は此方の腕を砕き、体が吹き飛ぶ。
━━再生したばっかりだってのに!!
そう心の中で叫びながら炎の鎧を纏い敵との距離を取るのであった。
***
点蔵は慎重に箱から頭を出すと周囲の状況を確認した。
直ぐ近くには鈴仙がおり、反対側を見ればそこにはまた鈴仙がいた。
そして遠くの方にも鈴仙達が見える。
━━また増えたで御座るなぁ……。
敵は自身の幻覚能力を利用し自分の分身を幾つも作り上げているのだ。
分身には攻撃能力は無いがデコイとしては非常に優秀で、何処に本体がいるのか分からないため動けない。
聴覚が無事ならば足音から敵の位置を把握できるのだが、狂気の目を見たせいで聴覚もおかしくなっている。
事実足音があらゆる方向から聞えてきておりまるで洞窟の中にいるかのようだ。
視覚も駄目、聴覚も駄目。
八方塞だ。
その上肩の怪我のせいであまり悠長にはしていられない。
視界に頼れないなら無いほうがましで御座るなー。
と思っていると閃く。
なまじ視覚や聴覚が使えるからそれに頼る。
ならばそれを使わなければ……?
「……危険だがやってみる価値はあるで御座るな」
もう体力が持たない。
一か八かでやってみる価値はあるだろう。
まず手持ちの装備を確認する。
短刀が一本に煙玉。さらに緊急用の閃光玉。近くには切りそろえられた丸太がある。
これだけあれば十分だ。
まずは目を閉じる。次に聴覚を術式で遮断し完全に外界と自分を遮断した。
余計な物をそぎ落とし自分だけを認知する。
そこから認知の範囲を伸ばし相手の気配を探るのだ。
どんな存在にも必ず気配がある。
ましてや戦闘中であれば緊張から気配が大きくなる。
半径5m以内。いない。
次は10m。これもいない。
15m。…………いた!
自分の位置から北西。そこに気配があった。
それは緊張し、どこか怯えている気配で一歩ずつゆっくりと移動している。
敵の位置と自分の数多の中にあった風景をあわせる。
そこは小屋の直ぐ近くで金属製の箱が置いてあった場所だ。
タイミングを計り、敵が障害物が少ないところに来るのを待つ。
此方は目を使えないため障害物があるとぶつかる可能性があるのだ。
一歩一歩進み、そして敵は道に出た。
━━今で御座る!!
そして飛び出した。
***
鈴仙・優曇華院・イナバは背にいやな汗を掻きながら周囲を警戒していた。
狂気の瞳を見せ、敵の視覚を狂わせた直後に倒せなかったのが痛かった。
敵は深手を負ったものの直ぐに移動し身を隠した。
相手は忍者だ隠れるのは得意だろう。
こうなってしまうと此方から敵を見つけるのは難しい。
だが敵は深手を負っているため余裕は無いはずだ。
だったら出てくるのを待てばいい。
周囲に自分の分身を放ち敵が飛び出してくるのを待つ。
それでも不安でしょうがないのは自分の性格ゆえだろう。
━━やっぱり私に荒事は向いていないのよ……。
正直分身を置いて逃げ出したい。
だがそんなことをすれば師匠に殺されるだろうし、なによりもてゐが見ているのだ。
━━失望させたくないしね……。
友人に向かって月の兎の偉大さを見せると見栄を張ったのだ。
逃げるわけにはいかない。
慎重に歩き近くの箱の裏を覗き込む。
そこに敵が居ないと分かると直ぐに移動する。
一歩一歩慎重に歩いていると何か物音が聞えた気がした。
立ち止まり音が鳴った方向に銃を構えると同時に何かが投げつけられる。
それは空中で爆発し煙を撒き散らした。
━━来る!!
どうやって此方の位置を把握したのかは分からないが敵が仕掛けてきた。
直ぐにその場を逃れようとするが正面から影が飛び出す。
「!」
右手の銃で迎撃するとそれは忍者の帽子であった。
帽子に穴が開くと同時に背後から忍者が現れる。
「同じ手を喰らうものですか!!」
事前に背後に構えていた左手の銃の引き金を引く。
流体の弾丸が放たれ敵に向かって飛ぶ。
そして当たった。
胸のど真ん中。
そこに大きな穴が開き忍者の体勢が崩れる。
致命傷だ。
そう思った瞬間敵が割れた。
胸の穴から縦に皹が伸び、二つに分かれた。
「!?」
二つに分かれたそれは茶色とベージュ色で出来ておりそれはつまり……。
━━丸太!?
敵の忍術か!?
直ぐにその場を退避しようとするが先ほど帽子が飛んできた方向から再び何かが飛んできた。
丸いそれは眼前に迫ると破裂し、閃光を放った。
「フラッシュバン!?」
直ぐに目を閉じ閃光から目を守るがそれがいけなかった。
次に目を開けるとそこには忍者がいた。
忍者は短刀を構え此方に突撃を行う。
右手の銃で迎撃するが銃弾は敵の脇腹を掠っただけでその動きを止めるには至らない。
その場を逃れようにも閃光を防ごうとしたせいで体勢が崩れ動けない。
━━やられる!!
全身に冷たい感覚が走る。
恐怖から足が動かない。
「頂戴致す!!」
死の恐怖から目を閉じ身を硬くする。
ああ、師匠御免なさい。鈴仙はもう駄目そうです。
そう心の中で謝罪する。
ああ、やっぱり外に出るんじゃなかった……。
最後に敵の顔でも見るかと最早諦めの境地で敵を見てみると敵がさっきよりも低くなっていた。
「…………え?」
低くなっていたのではない。
敵は転んでいたのだ。
先ほどの帽子を踏み滑った彼は此方の腹に突っ込んでくる。
「ちょお!?」
そしてぶつかった。
腹に忍者の頭が突き刺さり後ろに倒れこむ。
そして後頭部に衝撃を受けると目の前が真っ暗になった。
***
━━まさか転ぶとは……。
目を閉じていたため帽子の位置を把握できていなかった。
だが敵に頭突きをすることは出来た。
倒れ方からして敵は引っくり返っており、自分はうつ伏せ状態だ。
直ぐに立ち上がろうとし、その際に目を開ける。
━━元に戻った?
まだ若干周囲が歪んで見える。
どうやら敵は気を失ったらしくそれで狂気の瞳の効果が解けたようだ。
立ち上がろうとすると手に何かを握っている事に気がつく。
それは白色の布で出来たものであり、つまり……。
━━スカートで御座るよ!?
思わず敵の方を見る。
そこには下着を露にした少女が気絶しており……。
「じ、事故に御座る!?」
見てないでござるよー。白いパンツで御座るかー。
とか思ってないで御座るよ!?
ともかく鈴仙が目覚める前に履かせなければ。
そう思いスカートを持って鈴仙に近づく。
腰のほうに手を伸ばした瞬間、鈴仙が動いた。
「う……ん……?」
鈴仙が目を開き目が合う。
寝ぼけた目で此方を見ると今度は自分の姿を見る。
それを暫く繰り返すと目を見開いた。
「な……な……な……」
「お、落ち着くで御座るよ!」
そう言って慌てて手を振るがそれがいけなかった。
手に持っていたのは鈴仙のスカートでありそれが彼女の目に留まる。
「…………あ」
「弁明を……」と言う前に蹴られた。
引っくり返り後頭部を地面にぶつける。
「こ、この変態ぃぃぃぃぃぃ!!」
怒り狂った彼女は銃を此方に向け、引き金を引こうとするが突如自分と彼女の間に木槌が降って来た。
土埃を上げ互いに咳き込むと遠くか因幡てゐとメアリがやって来た。
「はいはいー、二人ともそこまでね」
***
「て、てゐ?」
突然の横槍に驚いているとてゐは此方の横に立ち、ニヤつきながら此方の下半身を見た。
「いやー純白ですかー、うどんちゃん」
「!!」
すぐに近くの木箱に隠れると顔だけ出す。
「……何で止めるのよ」
「いや、だってあんたもう負けてるし」
どういうことだ?
と眉を顰めるとてゐは苦笑する。
「頭突き喰らって気を失って、その間にそこの忍者はあんたを殺せたんだよ?」
た、確かに。
え、じゃあ何? 私の負け?
「あ、あんたの方は!? そっちの英国女との相対戦は!?」
そう言うとてゐは「あー……」と頬を掻き「負けちゃった」と苦笑した。
脱力し、膝から崩れる。
すると忍者の治療を行っていた英国女が此方に来た。
「あの、スカートです」
「ああ……どうも……」
スカートを受け取り履くとてゐの横に立つ。
「師匠に殺されるわ……」
「かもねー」
と互いに顔を見合わせると大きく溜息を吐いた。
そしててゐが忍者の方を見る。
「それで? 私たち負けたけどなんか要望ある?」
そうてゐが言うと忍者と英国女が顔を見合わせ頷き、こう言った。
「では、天守前までの案内を頼むで御座るよ」