緋想戦記   作:う゛ぇのむ 乙型

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クロスベルタイムズ 一月号

==マクダエル市長改めて中立宣言を行う==

 

 先月十一月二十五日。出雲・クロスベル市にて行われた六護式仏蘭西からの独立を祝う独立記念式典にて現市長であるヘンリー・マクダエル氏が公衆演説を行った。

その中でマクダエル氏は「出雲・クロスベル市の中立理念は素晴らしい物であり我々はこれを尊重しなくてはならない。その上で世界が一刻も早く平和になるように出雲・クロスベルは世界平和に対する助力を惜しまない」と改めて中立宣言を行った。

 各地で戦争が起きる中この中立宣言は民衆から大いに支持されたが一部の市民からは「再び宣戦布告されるのでは?」「六護式仏蘭西の庇護下に入るべきだ」と大国に攻められるのではと不安視する人や「やはり国防軍は必要である」と軍拡を主張する人も居た。

ともかく各地で戦争が起きる中、出雲・クロスベル市はどう動いていくべきか慎重に見極めていかなければならないだろう。

 

 

==六護式仏蘭西、尼子家に圧勝==

 

 十一月十六日。六護式仏蘭西が隣国尼子家に宣戦布告を行った。

両国は統合争乱以来関係が冷え込んでおり、尼子家が六護式仏蘭西の交易路を軍事掌握した事から開戦に至った。

 両軍は翌日の十七日に衝突。

 六護式仏蘭西は新型の導力戦車を投入し尼子軍を圧倒。僅か一時間の戦闘で勝利を収めた。

尼子家は月山冨田城に撤退。徹底抗戦をする模様だ。

尼子家は出雲・クロスベル市にとって隣人であるためこの戦いに注意しておくべきだろう。

 

 

==教皇総長、P.A.Odaを強く批判する==

 

 今月一日にT.P.A.Italia総長兼聖連盟主である教皇インノケンティウスが公衆演説にて「P.A.Odaは世界に戦の火をばら撒き、平和を脅かす害悪である」と強く批判した。

 近畿ではP.A.Odaが次々と大名を倒し勢力を伸ばしている。

今回の発言はP.A.Odaを牽制するための物と推測されるが織田側からの返答は無い。

 また専門家の話しによれば「T.P.A.Italiaが強気に出たのは自国の衰退を他国に覚らせないためではないか?」との事だ。

 事実T.P.A.Italiaは河野・西園寺との戦いで苦戦しておりその力を衰えさせているようにも感じる。

 聖連が完全に無くなった場合どうなるのか?

その不安は誰もが感じるが答えは出ない。

 

 

==混迷する飛騨情勢==

 

 飛騨国を怪魔の大軍が襲撃するという大惨事から約二ヶ月。

甲斐連合とP.A.Odaによって国内の怪魔は殆ど一掃されたが新たな問題が発生した。

 両国は空白となった飛騨の地の領有権を主張し始めたのだ。

 飛騨北部と桜洞城を所有する甲斐連合は「我々の尽力が無ければ被害は更に拡大していた」と主張しその上で勢力を伸ばすP.A.Odaを批判した。

 それに対し織田は軍を飛騨南部から北上。両軍は睨みあいを続けている。

 多くの民間人に死者が出たと言うのにそれを領土争いに利用するのはなんとも乱世の無常さを感じさせる。

 

 

==妖怪騒動!? あわや乱闘!?==

 

 十二月五日。出雲・クロスベル市の旧市街地区にてちょっとした事件があった。

 統合争乱以降旧市街には戦を逃れてきた難民や妖怪たちが多く住むようになり治安の悪化が問題視されていた。

 そんな中旧市街に住む難民達が妖怪達と共に待遇の改善を求め始めた。

それに市民側の反妖怪派が反発。

 両団体は旧市街に集結し一触即発の雰囲気となった。

 しかしそこへ通報を受け駆けつけた特務支援課が到着。

両団体を仲裁し事なきを得た。

 だが各地で戦争が激化しているため今後も難民は増えると思われる。出雲・クロスベル市議会は早急に難民対策をするべきであろう。


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