TS転生セシリアが『原初』のリンクスになるようです   作:相川翔太

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遅れてすみません。
前話のセロ視点となります。
セロの設定に関してはかなりのねつ造と独自設定が入っていますので“こんなの俺の知ってるセロじゃねぇ!”となるかもしれません。

それではどうぞ。


オーメルの『天才』

セロは昔、母親と二人で暮らしていた。

 

貧しいながらも幸せに暮らしていたがある日母親が病死し、セロは孤児院に預けられた。

 

「“良い子”にしていればお父さんがきっと迎えに来てくれるからね・・・」

 

病床に伏せる母が最期に遺した言葉を信じ、セロは孤児院で“良い子”であろうとし勉強も運動も必死に頑張った。

 

――しかし、何年待っても父親はセロを迎えに来ることはなかった。

 

ある日、職員達がセロの母親は富豪の父親の愛人であるということを話しているのを聞いてしまった。

 

その時に感じた屈辱をセロは忘れない。そしてセロは誓った。

 

(僕は偉くなる。偉くなってやる。偉くなって、何もかも見返してやるッ!!)

 

セロがそう誓いを立て一層努力をしていたある日、孤児院にオーメル・サイエンス・テクノロジー社の男が訪ねてきた。

そしてセロに「君は神に選ばれた『天才』であり是非我が社に協力して欲しい」と言いセロをリンクス候補として引き取った。

 

――セロは紛れもない天才だった。

 

桁外れのAMS適正を持ち、実験を行えば毎回驚異的な記録を叩きだした。

 

その度にオーメルの役員も職員も研究者も皆セロを賞賛した。そしてセロが望めば何でもセロの望む物を与えた。

 

最初は喜んでいたセロだったが、次第にその周囲の声も当たり前になり飽きてきた。

 

そんなある日の事、研究員達からネクスト及びコジマ関連技術のライバル企業であるレイレナード社が天才である自分に匹敵するAMS適正を持つ少女を確保し、『原初』のリンクスを誕生させたという情報を聞いた。

 

その情報を聞いたとき、セロはその称号は本来なら自分が得るはずだったのにと悔しがった。それと同時に自分が長らくそんな感情を抱いていなかったことにセロはハッと気付いた。

 

そして自分にそんな感情を抱かせた存在、“セシリア・オルコット”に興味を持ったのだった・・・。

 

 

 

 

 

原初のリンクス・セシリアに会えたのはそれから二年後だった。

 

レイレナードが開発したネクスト・AMS関連技術の商談にセロはセシリアを同行させることをオーメルに望み、それは実現した。

 

――セシリアは“白い”少女だった。

 

真っ白な髪、白い肌、白を基調とした服に白い手袋を嵌めたその姿は神秘的な印象をセロに与えた。

それと同時に首に嵌められた首輪と歩行補助用の杖がその神秘的な姿に違和感を与えていた。

 

お互いに簡単な挨拶を交わすとセロはセシリアを連れオーメルの社内を案内した。

 

セシリアは足が悪いらしく、それについて聞くと実験でこうなったのだとセシリアは言った。

 

(まぁ、初期型のAMSは不具合も多かったという話もあったからな・・・)

 

セロがそんなことを思って歩いているとセロの背後でバタンッ!と音が鳴った。

振り向くとセシリアが転んでいた。

 

「何をやってい・・・!?」

 

転んだセシリアを見てセロは驚愕した。

 

なぜならセシリアの履いていたロングスカートから()()()()()()()()()()()()()

 

「お前・・・」

 

「あぁ・・・、すみません。義足が外れてしまいました。着け直しますので少し後ろを向いてもらっていてもいいですか?」

 

「あ、あぁ・・・」

 

セシリアの言葉を受けセロは後ろを向く。その背後でカチャカチャと音が数秒するとセシリアは義足を着け直し立ち上がっていた。

 

「はい、すみませんでした。どうやら今日は義足の調子が悪かったみたいでして・・・」

 

セシリアは恥ずかしそうに笑いながらそう言った。

 

そんなセシリアを見て嫌な予感がしたセロは“まさかな・・・”と思いながらも聞いた。

 

「お前・・・、もしかして両腕ともう一本の脚も・・・」

 

セロの問いにセシリアは笑顔で答えた。

 

「はい、()()()()()()()()()

 

セロは目眩がした。

 

 

 

 

 

その後、歩きながらセシリアから話を聞くと驚くことばかりだった。

 

AMSの不具合でプロトタイプ・ネクストを動作させることが出来ず四肢を切断したこと、AMS手術の際の激痛で脳が情報をシャットダウンするようになり痛覚、味覚、嗅覚がなくなったこと、戦闘機動のGに耐える為に内臓を人工物と交換したこと、神秘的だと思っていた白い髪も元はブロンドだったことなど聞けば聞くほどセロは混乱した。

 

そんな話をしていると食事の時間になり二人で社内の食堂で食事を取った。取ったのだが大企業オーメルの社食らしく豪華な食事を取るセロに対してセシリアはチューブに入った栄養食を相変わらず笑顔で食べていた。

 

そんなセシリアを見てセロは聞いた。聞いてしまった。

 

「お前、僕のことが羨ましくないのか?」

 

同じ『天才』であるにも関わらずオーメルの寵児として賞賛と寵愛を受ける自分と実験動物やネクストのパーツとして扱われているとしか思えないセシリア。当然扱いの差に何か思うところがあるだろうと思い、セロはセシリアにそんな質問をした。

 

しかし、そのセロの問いにセシリアは何を言っているのか分からないと言う感じでキョトンとしていた。

 

――セロは絶句した。

 

セシリアのセロを見る目は『嫉妬』だとか『羨望』だとかそんな負の感情が一切こもっていなかったのだ。

 

そして、さらにセロを混乱させたのが今までも不幸な話をセシリアは何でもないように笑顔で話しているということだった。

 

セロは政治的能力に優れ、策略、謀略、腹芸が当たり前のオーメルの役員達と普段から接していたから分かる。分かってしまった。

 

セシリアは本気で自分のことを()()()()()()()()()()()()。むしろ言葉の節々から()()()()()だとすら思っているようだった。

 

(何なんだよ・・・、こいつ・・・)

 

セロはセシリアのことが分からなくなった。残りの時間、セシリアが色々話しかけてきたが混乱していたセロの頭の中には入ってこなかった・・・。

 

 

 

 

その夜、セロは夢を見た。それもとびきりの悪夢を・・・。

 

セロは夢の中でAMS手術を受け、リンクスとなった。しかし、リンクスとなった自分の姿は皆が言っていた選ばれた存在などではなかった。

セシリアのように四肢を切断されネクストに組み込まれる、ネクストを動かす為だけの()()()()()。それが自分の姿だった。

 

そこまで悪夢を見てセロは飛び起きた。

 

(違う!違う!!違う!!!僕は選ばれた存在なんだッ!!あいつ(セシリア)とは違うんだッ!!!)

 

頭でそう否定するも同じ選ばれた存在であるハズのセシリアの姿がセロの頭から離れなかった・・・・・・。

 

そして恐怖に耐えきれず、セロはリンクスにはならないと職員に言うと自室に引きこもった。

 

職員や研究員、役員達は大慌てしながらセロを説得してきたがそれらの言葉はセロには響かなかった。

 

そして二日が経った。

 

悪夢を見てからセロは一睡もしていなかった。また、あのおぞましい夢など見たくなかったから・・・。

 

すると自室のドアがノックされ誰かが入ってきた。

 

また研究員共が説得に来たかとセロは思ったが入ってきたのは予想外の人物だった。

 

入ってきたのはセシリアだった。

 

セシリアは杖をつき、よたよたと歩きながら自分のいるベッドに腰掛けると自分に話しかけてきた。

 

「話は職員さんから聞きました。セロ、どうしてリンクスになりたくないんですか?」

 

「・・・なりたくないんだよ・・・・・・」

 

「え?」

 

「お前みたいな『()()()』になりたくないって言ったんだよッ!」

 

それは完全な八つ当たりだった。

 

だがセロのそんな子供じみた八つ当たりの言葉を受けてもセシリアは言葉を続けた。

 

「セロ、落ち着いて下さい。私は黎明期の技術でリンクスになったからこうなりましたが今はデータも揃ったので安全にリンクスになれますよ?私みたいには決して・・・」

 

「どうしてそれが保証できる?実際にお前みたいなのが存在するのに?」

 

セロの否定の言葉を受けるとセシリアは何か決心した表情になると、セロの側まで寄ってきた。

 

そしておもむろにセロの頭を抱きかかえるようにして自分の胸へ抱き寄せた。

 

トクン、トクンとセシリアの心臓の音が聞こえる。その音を聞くとセロは何故か分からないが安心感に包まれた。

 

(ああ・・・、そういえば心臓だけは自前だって言っていたな・・・)

 

そんなことをセロが考えているとセシリアは幼子に言い聞かせるように優しく口を開いた。

 

「大丈夫ですよ・・・。セロ、大丈夫。私が頑張ってデータを集めたんです。だから、絶対に大丈夫・・・」

 

そのセシリアの言葉は研究員達の説明なんかよりもセロの心に響いた。

 

(ああ、そうだな・・・。こいつがこんな()()になってでも集めたんだものな・・・。なら・・・)

 

そう考えている途中でセロは疲れと安心感からセシリアの胸の中で眠ってしまった。

 

そしてセロは夢を見た。しかし、それは悪夢などではなかった。

 

幼いころ、貧しいながらも母親と二人で幸せに暮らしていた頃の夢だった。

 

夢の中でセロは母親に抱きしめられていた。そして母親がセロに()()()()()()()()()所で目が覚めた。

 

(夢・・・、か・・・)

 

目が覚めたセロだったが夢の中と同じように誰かに抱きしめられていることに気がついた。

 

――セシリアだった。

 

セシリアはセロの頭を抱きかかえるようにして眠っていた。

 

自分よりも年下の少女に抱きしめられながら添い寝されているという状況にセロは若干気恥ずかしさを覚えるも嫌ではなかった。

 

そして無意識の内にセシリアを抱きしめ返していた。するとセシリアが目を覚ました。

 

「んむぅ・・・。セロ、起きたのですね。すみません、私も眠っていました」

 

「いや・・・、大丈夫だ・・・。起こしてすまない・・・」

 

「いえ、大丈夫ですよ」

 

セシリアは少し寝ぼけているのか眠そうに返した。

 

「セシリア・・・」

 

「はい、何でしょう?」

 

「僕は・・・、リンクスになるよ。お前と同じ存在に・・・」

 

「そうですか・・・」

 

「ああ、お前が僕や他のリンクスの為に集めたデータ、無駄にはしない・・・。だから、ありがとう・・・」

 

「くすっ、どういたしまして。祝福しますよ、セロ」

 

「あ、ありがとう。・・・もう少し、このままでもいいか?」

 

「はい、いいですよ」

 

そしてしばらくの間二人は抱きしめ合いながら時を過ごしたのだった・・・。

 

 

 

 

 

そして予定されていた商談の日程が終わり、セシリアはレイレナードの交渉団と一緒に帰って行った。

 

セシリアを見送ったセロは心にぽっかりとした喪失感を感じていた。それに気付いたセロは自分が勘違いしていたことを思い知った。

 

セロは選ばれた存在である自分は『孤高』の存在だと思っていた。しかし違った。自分は『孤高』ではなく『孤独』の存在だったのだ。

 

(ああ、そうか・・・。僕は、一緒にいてくれる存在が欲しかったんだ・・・・・・)

 

それに気付くとセロの心の中に欲望の炎がメラメラと燃え広がった。

 

(欲しい・・・、あの女が、セシリアが欲しい・・・)

 

今まで望むモノは何でも手に入れることが出来たセロだったが今回ばかりはそう簡単にはいかないことは分かっていた。

 

しかし、それでもセロはセシリアを手に入れたかった。

 

(セシリアは僕の『モノ』だッ!僕だけの『モノ』だッ!!レイレナードだろうが何だろうが関係無い・・・。絶対にアレ(セシリア)を手に入れてみせるッ!!!)

 

これ以降、セロは今まで抱くことのなかった他者への執着と野心を抱きながら過ごすこととなる。

 

これがオーメルとレイレナード、そしてセシリアとセロにどのような結果をもたらすことになるのかは誰にも分からなかった・・・・・・。




以上セロ視点となります。
セシリアは見事にロックオンされました。今後どうなるかは神のみぞ知るといったところですね。

ちなみに作者はリンクスの中でセロはかなり好きですね。
ゲーム本編だとかませですが未使用音声などを聞くとかなり興味深いキャラだと思います。

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