TS転生セシリアが『原初』のリンクスになるようです 作:相川翔太
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○月×日 晴れ
レイレナード社製標準ネクスト『
俺もロールアウトした機体を見せてもらったのだが感想は“か、かっけぇ・・・”だった。
アリーヤは要らぬものをそぎ落とし、入りきらない機構は潔く剥き出しにするところに「F1マシン」を、特異な状況に馴染むためにあえて歪んだ美しさを選択するところに「深海魚」を、鋭く尖ったコアに「ハシボソガラス」のイメージを俺に感じさせた。
性能についても聞くと、単純な機体スペックはアレサの機構をデチューンして搭載したのでアレサに劣るらしいが、汎用性・安全性・整備性・継戦能力などを総合したスペックはアレサよりも上らしい。
俺もアリーヤに搭乗してみたいと思ったのだがこいつに搭載されている最新型のAMSと俺の背中のAMSは規格が合わないらしく俺は搭乗出来ないとのことだった。ちぇっ!
若干悔しさを感じながら廊下を歩いていると正式にレイレナードのリンクスとなった『ベルリオーズ』と『アンジェ』に会った。
二人はリンクスになったのは最近だがスカウト自体は俺よりも前に行われていて、以前はベルリオーズはフランス軍特殊部隊に。アンジェも同じくフランス軍、それもISの教導隊に所属していたというエリート中のエリートの経歴を持つスゴイ人達である。
これからシュミレーターで訓練を行うというので俺も一緒にやらせてもらったのだが、フルボッコにされました。
搭乗機がアレサだったら違ったのかもしれないけど同じ機体で戦ったらやっぱり戦闘経験がまったく違い二人に勝てる気がしなかった。
AMS適正が高い=強いではないのは分かっていたつもりだったけどこの結果は悔しかった。
俺はもっと訓練を積んでいつか勝ってやると思った。
×月×日 くもり
体の成長に合わせて人工内蔵の交換の為の手術が終わったので病室で日記を書いている。
日記を書きながら俺はこの前ベルリオーズとアンジェとした会話を思い出していた。
シュミレーターの訓練が終わった後、俺とは違い将来安泰のエリートだった二人が何でレイレナードのスカウトに答えたのか気になったので聞くとレイレナードの目的に共感した為だと答えた。
その答えに俺はショックを受けた。
――だって俺はレイレナードの目的を未だに
俺の年齢や被検体だったこともあるのかもしれないが俺だって“リンクス”なんだ!“リンクス”になったんだ!!
――俺にだって知る『権利』があるハズなんだ!!!
いつか教えてもらえると思って今まで自分から聞くことはなかったが、容体が安定したら絶対にレイレナードの目的について聞こうと思った。
△月×日 雨
容体が安定した俺のところに主任がやって来た。
俺が主任にレイレナードの目的について聞こうとすると主任は手で俺を制し、「まず話さなければならないことがある」と言い主任の研究室へ俺を招き入れた。
そして椅子に俺を座らせるとまず俺の今までの功績に対して礼を言った。俺は“礼はいいから早く教えてくれ”と思ったが主任の目を見て息を呑んだ。
主任の目はかつて俺をスカウトした交渉人の男と同じ目をしていたからだ。
俺がそのことに驚いている間に主任はまず俺の身体について説明した。
それによると俺の寿命はアレサに乗り続けた精神負荷と手術の影響で残り十年もないということだった。
・・・正直に言って、ショックといえばショックだったがそれは
だって、俺は本来だったら何十年もかけてやらなければいけないことを
俺がそんなことを思っていると主任は俺に選択肢をくれた。
一つはいくつか制約があるがレイレナードから離れ、残りの余生を過ごすこと。もう一つはレイレナードの目的を知り、真の同志として最期まで歩むことだった。
・・・この選択肢は間違いなく俺の残りの人生の分水嶺になる。
前者を選べばレイレナードの目的は知れないがチェルシー達と穏やかに過ごすことができるだろう。後者を選べばレイレナードの目的を知れるが恐らく戦いとは無縁とはいかないことになるだろう。
――なら、迷うことなどなかった。
俺は
前者を選べば確かに残りの時間を平穏に暮らすことが出来るだろう。だが、俺には『原初』のリンクスとしてネクストとその関連技術を確立させた『責任』がある。そんな俺が安易にその道を選ぶことは『無責任』であり絶対に後悔すると思ったのだ。
俺の言葉を受け主任は「そうか・・・」と呟き、明日レイレナードの役員会に俺に出席するように告げると俺を退出させた。
その時の主任のなんとも言えない顔を俺は忘れはしないだろう。きっと、俺の思い違いでなければ主任は俺にレイレナードから離れて欲しかったんだと思う・・・。
でも、これは俺が決めたことなのだから、悔いは無い・・・。
開発主任side
セシリアが部屋から出て行くのを見届けた後、主任はため息を吐きながら天を仰いだ。
(彼女の性格上、レイレナードから離れるということはないと予想していたが、今回ばかりは出来れば外れて欲しかった・・・)
本来ならば主任がセシリアに与えたレイレナードから離れるという選択肢などなかった。役員会はセシリアの思考調査及び現場の声、アレサ以外のネクスト戦力とリンクスの存在。さらに安全策として首輪を嵌めさせたセシリアにレイレナードの目的を教え、そのまま協力させることを望んでいた。
そこに主任は待ったをかけた。
役員会にセシリアがネクスト開発とレイレナードの目的の為に上げた功績。さらに所属リンクスがセシリア以外に既に四名いることを引き合いに出して交渉し、今回の選択肢をセシリアに与えることを了承させたのだ。
社の目的の為にセシリアを利用したことを主任は後悔していなかった。そうしなければレイレナードはここまで来れなかったのだから。
セシリアの献身によりレイレナードは他企業を圧倒するネクスト戦力とそれを操る優秀なリンクスを揃えることが出来た。今ここにセシリアを加えなくても計画に支障はないはずだった。
だからセシリアに対して“もう十分だろう”という気持ちが出来てしまった。
以前までの自分だったらそんな感情など抱かなかっただろう。しかし実験を通してセシリアの健気に献身を捧げる姿を見る内に染まってしまったのかも知れない。
この自分の行為が偽善以下の行動であり、今までの経験からセシリアがどんな選択をするかも分かっていた。
分かってはいたが、せめて選択肢を与えてやりたかった。与えてやりたかったのだ・・・。
主任はしばらく天井を見上げていたが感傷を振り払うように頭を振ると役員会に報告の電話を入れるのだった・・・。
○月○日 晴れ
役員会が終わった。
その場で俺は六大企業グループの目的とレイレナードの悲願を聞いた。
まず企業の目的は統治能力を失いつつある国家に見切りをつけ、全世界でクーデターを起こし企業による新秩序『
これだけでもとんでもないことだがレイレナードはさらにとんでもなかった。
――レイレナードの目的は国家と企業の『罪』の清算
具体的に言うと宇宙開発に進出した各国家と企業が他勢力に対して優位に立つための手段として、衛星軌道上に無差別攻撃をするように設定してばら撒いた自律兵器『アサルト・セル』を破壊し宇宙へと進出する道を創るというものだった。
本来だったら「何言ってんの?」と笑い飛ばすような信じられない話だったが役員達の真剣な顔とある事実がこの話が本当のことだと俺に理解させた。
何故宇宙空間での活動を想定したISが発表当時
何故軍事方面でのみISは利用され一つも
答えは簡単だ。宇宙への道は既に閉ざされていて
そんな秘匿されていた世界の真実に俺は驚愕すると同時にレイレナードが途方もないことをやろうとしている事実に震えた。
だってレイレナードが悲願を達成出来ても、出来なくてもレイレナードは
失敗した場合は勿論だが成功しても他企業と争うことになるのだ。新興であるレイレナードの企業体力は大きく失われ、宇宙への道を切り開いたとしても経済活動を続けることは難しくなる。
レイレナードが今まで積み上げてきたモノを全て失って手に入れるのは人類の道を切り開いたという
でも役員達は・・・。いや、今思えば、主任も交渉人の男も職員さんもベルリオーズ達も皆、皆、
――俺、決めたよ。
前、日記で残りの人生何をして生きていこうか悩んでるって書いていた気がするけど、決めた。
俺の残りの寿命、全部、
――全身全霊を尽くそう。
レイレナード編が少し長くなってきたので少し駆け足になりました。
レイレナードの目的が明かされました。
アサルト・セルはfaが初出ですが存在自体は4で既に示唆されてたのでfaをやった後に4をやると視点が色々変わって面白かった記憶がありますね。
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