TS転生セシリアが『原初』のリンクスになるようです 作:相川翔太
感想欄で二、三日で投稿しますといってこんなに間が空いてしまいました。
申し訳ありませんでした。
「ええ、申し訳ありません。現在当主は不在でして、いつお戻りになられるかは・・・。はい、お戻りになられましたらお伝えします。はい、はい。それではまたのご機会に・・・」
カチャンと受話器を置くとチェルシーは疲れたように“ふぅ”と息を吐いた。
(こちらが協力を求めた時には碌な支援をしなかったのに今になってから恩を着せて関係を深めようとしてくるとは・・・)
チェルシーはここ数年で圧倒的に増えた親族や金の亡者達からの対応に苦慮していた。
しかし、それも仕方が無いことかと思う。
現在、オルコット家はセシリアの
圧倒的に増えた資産。新興企業でありながら六大企業の一角であるレイレナード社という後ろ盾。さらにそのレイレナード社は欧州第一位の規模を誇りイギリスを本拠地にするBFF社とも協力関係を結んでいるのだ。オルコット家を介して彼らとのパイプを繋ごうと考える輩が出てくるのも当然であるが・・・。
(最初から敵対していた存在が掌を返して媚びを売ってくるのにも腹が立ちますが、雀の涙のような支援しかしなかったのに多大な見返りを要求してくる輩はもっと腹が立ちます)
お家騒動の際協力を求めた比較的良心的だと思っていた親族達も今では完全に金の亡者になっていた。彼らは「あの時協力してあげたのだから謝礼を寄越せ」や「レイレナードやBFFに我が家を紹介しろ」など要求を上げたらキリがなかった。中には「我が家の息子を婿養子にしてはどうですか?」など縁談を求める家もあった。
――
今のオルコット家が在るのはお嬢様が
「まったく・・・、お嬢様が五年ぶりに帰省されるというのに・・・・・・」
先日、レイレナードで生活をしているお嬢様から手紙を貰った。そこには“三日間の休暇を実家で過ごそうと思うので誕生日に合わせて帰省する”ということが書かれていた。
その手紙を読んだときチェルシーを含めメイド達全員が喜んだ。
――なにしろ五年ぶりに愛しい主と会えるのだ。
チェルシーはこの五年で淑女へと成長しているであろうセシリアの姿を楽しみにしていたのだが金の亡者との電話で台無しになった。
「お嬢様が帰省することを彼らが知ったら間違いなく招待もしていないのに押しかけてきますね・・・。情報が漏れないようにしなくては・・・・・・」
そう呟きながらチェルシーは必要な仕事をしながらセシリアが戻ってくる日を待った。
――チェルシーは気付くべきだった
オルコット家の資産はこの五年で増えた。それはセシリアへ多額の報酬が支払われたということだが、それだけの報酬が支払われるということはセシリアは
・
・
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「え・・・・・・」
――それは誰の声だったのか
お嬢様を出迎えるために並んでいたメイド達の誰かかも知れないし、私自身の声だったかも知れない・・・。
車から降りたお嬢様の姿はこの五年で確かに成長されていた。
――しかし・・・・・・
なぜ、杖をつきながらよたよたと歩いているのか?
なぜ、奥様譲りの美しかったブロンドの髪が真っ白になっているのか?
――なぜ?どうして?
私が変わり果てたお嬢様の姿に驚愕し言葉を失っている間にお嬢様は私達の前まで歩いてくると微笑みながら口を開いた。
「皆、ただいま戻りました。五年間私が不在の間、本当にありがとうございます」
「は、はい・・・。このチェルシー含めオルコット家のメイド全てお嬢様のお帰りをお待ちしていました・・・。し、しかしお嬢様・・・、そのお姿は、い、一体・・・?」
「・・・あぁ、それはね?ちょっと二人でお話をしよっか・・・・・・。ね?」
なんとか言葉を紡ぐことが出来た私にお嬢様はそう言った・・・。
「さてと、どこから話そうかな?」
屋敷の中に入り、私と二人きりになるとお嬢様はそう切り出した。
「お嬢様・・・。一体、何があったのですか?その、そのような・・・」
明らかに異常な姿のお嬢様に気が気でなかった私はお嬢様に詰め寄ろうとするが、お嬢様は苦笑しながらそれを手で制した。
「うん、そのことなんだけどね・・・。チェルシー、
「どうしたい、とは?」
「私の身体のこと・・・、社の方からチェルシーにだけなら話しても良いって言われたのだけど、その場合チェルシーの今後の行動に色々制限が掛けられちゃうんだ・・・。でも、チェルシーにはチェルシーの
「お嬢様!!馬鹿にしないで下さい!!!」
私の怒声にお嬢様はビクッと身体を震わせ驚いた。
「私は、チェルシー・ブランケットはお嬢様の専属メイドです!ならば私にはお嬢様について知る『
「そう、だね・・・。分かった。口で説明もするけど、実際に見てった方が分かりやすいから、チェルシー、よく見てね・・・・・・」
私の言葉を聞くとお嬢様は悲しそうに微笑みながらそう言って、嵌めていた白い手袋を外した。そして露わになったのは少女の手ではなく、無骨な
「え・・・・・・?」
そのあまりの事態に私が間抜けな声を出している間にお嬢様は右足の太ももに両手を当てたかと思うとガチャリと音がし、そのままズルリとスカートの中から同じく
「そ、そんな・・・!?お、お嬢様・・・・・・!?」
――もう止めて欲しかった
だが、お嬢様は止まらない。
お嬢様は上着のボタンに手を掛け外すと上着を脱いだ。
お嬢様の白い肌が晒される。その肌には
――呼吸が上手く出来ない
あまりの事態に私が絶句しているとお嬢様が口を開いた。
「チェルシー・・・、私ね、『
そう言うとお嬢様は自分の状況について説明を始めた。
実験の為に手足を切断したこと、内蔵を人工物と交換しお嬢様本来の臓器は心臓くらいしか残っていないこと、痛覚、味覚、嗅覚といった五感の損失、数々の実験による精神負荷とストレスによる白髪化。
――そして、
お嬢様が私に事実を告げる度に私の身体は震え、歯をガチガチと鳴らした。
――『
しかし、甘かった。お嬢様の説明を聞きそんなものはどこかに吹っ飛んでしまった。
――なぜ、
私は頭の中で原因を探った。
レイレナードが悪い?金の亡者共が悪い?それともお嬢様を残してこの世を去った旦那様と奥様が悪い?
そんなことを考えていると、ある事実に気付いた。気付いてしまった。
――そもそも、レイレナードは何処でお嬢様のことを知り、接触してきた?
「あ・・・・・・」
――ワタシノセイダ・・・・・・
「わ、私の、私のせいですか・・・?わた、私がお嬢様に、て、適正、IS適正試験を・・・・・・」
まるで小さな子供が怒られている時のような私の言葉を聞いたお嬢様は一瞬驚いた顔をした後、笑いながら言った。
「チェルシーはなにも悪くないよ?この身体になったのは私が
「うぁっ、うわぁあああ!うわぁああああぁあん!!!」
私のことをまったく責めず、全て自分のせいにしていいと言うお嬢様の言葉を受けて私は幼子のように大泣きしてしまった。
そんな私をお嬢様は「ごめんね、ごめんね・・・」と言いながら抱きしめてくれた。
――違うのです、お嬢様
私はお嬢様にそんなに優しくしてもらっていい存在ではないのです。
お嬢様が私を責めず、全部自分のせいにして良いと言った瞬間、私は
――自分の『
そんな自分に対する嫌悪感とお嬢様への罪悪感から私は泣き続けることしか出来なかったのだった・・・・・・。
今日は記念すべきお嬢様の十五歳の誕生日・・・。
本来なら盛大に祝う日にも関わらずまるで通夜のようだった・・・・・・。
お嬢様の身体の事実について知っているのは私のみで他のメイド達には公式な記録になっている実験中の事故ということで説明したのだが皆やはりというべきか納得しておらず、そんな状況で誕生会を開いても盛り上がる訳がなく・・・。
――お嬢様は努めて明るく振る舞っていたが、私を含め皆、無理をしているようにしか見えなかった。
そして誕生会が終わり、私はお嬢様と二人きりになると口を開いた。
「お嬢様、今回のレイレナードの蛮行、政府に訴えましょう!いくらなんでもこれはあんまりです!!国家が動くとなればいくら六大企業の一角と言えども・・・」
私の言葉にお嬢様は何を言っているか分からないという風に答えた。
「訴える?何を言っているの、チェルシー?私とレイレナードはお互いに
「っ!?た、確かにレイレナードは
再び泣き出しそうになる私にお嬢様は幼子に言い聞かせるように語り出した。
「チェルシー、私、『
――お嬢様は
お嬢様を
「お嬢様!お嬢様は騙されているのですッ!!」
「違うよ、チェルシー。私は・・・」
「こんな『
「違うよ、違うんだよ・・・・・・」
「こんな『
「違うッ!!!」
お嬢様の怒声に思わず身体がすくみ上がる。お嬢様がこんなに怒気を露わにしたのを初めて見た私が驚いているとお嬢様が口を開いた。
「大きい声を出してごめんね・・・。でも、レイレナードはあんな奴らと全然違うんだ。違うんだよ・・・。・・・チェルシーが信じれないのは仕方が無いけど、私は信じてるんだ・・・」
「なら、私にも教えていただくことは出来ないのですか?レイレナードが、いえ、お嬢様が何をしようとしているのかを・・・」
私の問いにお嬢様はしばらく悩んだ後、「このくらいならいいか・・・」と教えてくれた。
「・・・未来を切り開こうとしてるんだ」
「未来・・・、ですか・・・・・・?」
「うん、未来・・・」
「それは・・・、誰のですか?」
「人類の、だね・・・」
――意味が分からなかった
人類の未来とやらを切り開くのになぜお嬢様が『
仮にそれが本当のことだとしても、お嬢様は
「・・・それが本当かどうか私には分かりかねますが、お嬢様、分かっているのですか?」
「・・・なにが?」
「その切り開いた人類の未来とやらに、
私の問いにお嬢様は儚げに微笑んで答えた。
「・・・確かに、私はいないね。私に
「・・・でも?」
「
そう言ったお嬢様の顔と目を見て私は悟った。
――私が何を言おうと、何をしようと、もうお嬢様は
そう悟った私が泣き出すと前日のようにお嬢様は私を抱きしめたのだった・・・
翌日、お嬢様はレイレナードに戻った。
私はせめて笑顔で見送ろうと思ったのだが、お嬢様の姿を見ると涙が溢れ出しそうになり上手く笑うことが出来なかった・・・。
お嬢様とレイレナードが何をしようとしているのか私には分からない。
・・・本当だったらどんな手を使ってでもお嬢様を止めるべきだったんだろう。
だけど、お嬢様が『
――それが私、チェルシー・ブランケットの『咎』なのだから・・・・・・
以上、チェルシー視点になります。
ちょっと報告なのですが勤め先が新店舗開店に伴ってシフトが滅茶苦茶になってて原作を読む時間が中々取れず、IS学園編が少し時間が掛かりそうです。申し訳ありません。
次話予定のオリ弟視点と束視点はなるべく早く投稿しようと思います。
誤字・脱字報告、ご意見・ご感想、よろしくお願いします。